Daily report for 20 October 2014

午前と午後、ADP 2-6開会プレナリーが開催された。ADP議題項目3のコンタクトグループは午後に会合し、ワークストリーム2(プレ2020年野心)を議論した。夕方、UNFCCC事務局は、9月23日に米国のニューヨークで開催された国連気候サミットの情報を提供するイベントを開催した。

開会プレナリー

ADP共同議長のKishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)は、出席者を歓迎し、会合の開会が遅れたことへの懸念を表明、出席者にスケジュール順守を促した。同共同議長は、5月に2015年合意の草案を国連公用語に翻訳するには、2015年4月初めまでにこの草案を用意する必要があることを想起した。同共同議長は、「橋渡し会合(bridge-building session)」を呼びかけ、参加者に妥協を促し、「立場に固執するのは交渉ではない」と付言した。 ペルー環境大臣でCOP 20/CMP 10の次期議長であるManuel Pulgar-Vidalは、参加者に対し次の議題の議論を「同時進行で進める」よう求めた:意図する国家決定貢献分(約束草案)(intended nationally determined contributions (INDCs))の情報;交渉文書草案の要素;ワークストリーム2決定書草案の慎重なレビュー。 UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、国連気候サミットは前例のないほどの一般の参加を得たと指摘し、「世界の目は皆さんに向けられている」と述べ、公平かつ地球への責任を果たす気候変動解決策に向け「橋をかけ」、「道を示す」よう求めた。 UNFCCC事務局のDan Bondi Ogollaは、2015年合意の法性面に関する事務局の質問と回答文書の概要について説明した。 共同議長のKumarsinghは、締約国は今回の会議でINDCs及びプレ2020年野心の情報の決定書草案を最終決定し、2015年の追加交渉会期でも合意すべきだと述べた。 ボリビアは G-77/中国の立場で発言し、2015年合意では決定書1/CP.17規定の要素を公平に扱うべきだと述べ、交渉文書草案の要素に関するADP共同議長のノンペーパーは、「完璧ではない」が「有用な(議論の)開始点」になりうると付言した。 EUは、ADP 2-6では次の項目の決定に焦点を当てるよう求めた:差異化を行う上での INDCsの役割;モニタリング、報告、検証 (MRV)の規則;ポスト2020年野心引き上げサイクル;2015年合意における適応の側面及び実施手段(means of implementation (MOI))。 オーストラリアはアンブレラグループの立場で発言し、この会議では2015年合意要素の輪郭を描き、合意に続く決定書推敲に向け詳細を明らかにすべきだと述べた。同代表は、技術専門家会議(TEMs)で実用、教育、協力に焦点を当てることを強調した。 スイスは環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、共同議長の決定書草案及びノンパーパーに基づく議論を支持すると表明、緑の気候基金(GCF)に対するEIGメンバー諸国の貢献に焦点を当て、INDCsのタイムリーな連絡を行うという同グループの約束を表明した。 スーダンはアフリカングループの立場で発言し、INDCs及び2015年合意の要素は同じマンデートの一部であると述べ、2つの異なる文書が提出されたことに懸念を表明した。 ナウルは小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、2015年合意に損失と被害メカニズムを含めるよう提案、ADP 2-6では条約の下での法的拘束力のあるプロトコル、及び温暖化を1.5℃以下で抑制することがCOP21の成果になると明言すべきだと述べた。 ネパールは後発途上国(LDCs)の立場で発言し、ADP2-6においてポスト2015年合意の要素を体系化し、INDCsの法律様式や扱い方などINDCsの議論を進めるよう求めた。同代表は、ワークストリーム2は国連気候サミットのモーメンタムを踏まえ、それを基礎として構築すべきだと述べた。 米州ボリバル同盟(ALBA) の立場で発言したベネズエラ、アルゼンチン、エルサルバドルは、緩和、資金援助及び技術支援の提供における附属書I諸国の指導力を求めた。 エクアドルは有志途上国(LMDCs)の立場で発言し、締約国からのインプットをベースにしたオープンで参加性が高く、透明性のあるプロセスを求めた。同代表は、2015年合意の要素に関する共同議長のノンペーパーを交渉の土台として歓迎、その一方でINDCsの決定書草案は締約国提供情報の明確化に言及しており、ワルシャワマンデートの範囲を超えると述べた。 サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、2015合意の根幹要素について可能な限り早期に合意し、INDCsで必要とされる情報を議論するよう提案した。同代表は、先進国の義務行動と途上国の自主行動との差異化を求めた。 南アフリカはブラジル・南アフリカ・インド・中国 (BASIC)の立場で発言し、GCFの全面資本化など先進国によるプレ2020年の野心引き上げは、ポスト2020年プロセスへの信頼を築くものだと指摘した。同代表は、2015年合意では貢献分の漸進強化を認めるべきだと強調した。 ベリーズは中米統合機構(CENTRAL AMERICAN INTEGRATION SYSTEM)の立場で発言し、2015年合意では適応、損失と被害、REDD+枠組を規定すべきだと述べた。同代表は、2015年合意の法性面を議論するコンタクトグループ の設置を求めた。 コスタリカは中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言し、共同議長の「大胆かつ効果的な」作業を称讃し、AILACは「橋の架け渡し作業を続ける」と述べた。 ビジネス・産業の非政府組織(NGOs)は、緩和及び適応では経済の全部門を動員する必要があると強調した。 地方政府当局は、プレ2020年野心に関する共同議長の文書草案は都市や国内小地域当局の行動計画の基礎を提供すると述べた。 農業従事者NGOsは、科学的技術的助言に関する補助機関の下での農業部門作業計画を求め、食糧安全保障、緩和及び適応を対象とするよう求めた。 研究及び独立NGOsは、証拠に基づき、健全な科学に根ざした交渉プロセスの重要性を強調した。 女性及び性差別問題NGOsは、2015年合意に女性と男性の権利やニーズ、専門性への配慮を入れるよう求めた。 若者のNGOsは、気候変動の窓は「目の前で閉ざされようとしている」と警告し、締約国に対し、可能な限り最高レベルの野心を約束するよう求めた。 気候行動ネットワークは環境NGOs (ENGOs)の立場で発言し、世界を「気候に安全な軌道」に戻せるだけの詳細かつ包括的なINDC文書を求めた。Climate Justice NowはENGOsの立場で発言し、COP 20における市民社会代表の出席人数制限を嘆き、新しい気候合意では全ての要素を扱うよう参加者に求めた。

ADP議題項目3に関するコンタクトグループ

ADP共同議長のArtur Runge-Metzger (EU)は、コンタクトグループ会合を開会し、参加者に対し、次の項目の議論に焦点を当てるよう求めた:プレ2020年気候行動強化の実施加速化に関する決定書草案を交渉の土台として用いる; TEMsの改善;非国家行動者の参加;2015年以後のワークストリーム2の継続 AOSISの立場で発言したナウル、及びチリは、共同議長の決定書草案に基づく交渉開始を支持した。ベネズエラは、国家レベルの行動と多国間の行動の差異化を求めた。ヨルダンは、この草案は先進国の野心に焦点を当てていないと述べた。ニュージーランドは、この草案は長すぎるが、有用な第一歩だと述べた。タンザニアは、適応への言及と2020年までに1,000億米ドルを提供するとの先進国の約束の総括を求めた。中国及びサウジアラビアは、この時点で決定する必要があるか疑問を呈した。 AOSISは、ワークストリーム2の下での作業は緩和ギャップが埋まるまで続けるべきだと述べた。メキシコ、EU、チリ、ツバル、ノルウェーは、2015年以後のワークストリーム2の作業継続を支持した。ノルウェーは、2015年以後の緩和野心引き上げを話し合う場について検討するよう提案し、実施に関する補助機関及び技術執行委員会(TEC)を例として挙げた。 多数のものが2015年以後のTEMs継続を支持した。AOSIS は、TEMsの改善策を提案、事前の情報提供、各TEM後のテクニカルペーパー作成、実施障壁への注目などを挙げた。メキシコ、AOSIS、ツバルは、地域TEMsの検討を提案した。 コロンビアはAILACの立場で発言し、TEMsの計画やフォローアップの改善を求めた。米国は、TEMsの議題や議事録をTECで管理することを提案し、AOSISと共に、会議の詳細について3カ月前に通知するよう求めた。日本は、TEMsにおけるTEC及び気候技術センター・ネットワークの活用を求めた。 EUは、TEMsは推進行動に焦点を当てるべきだと述べ、ウェブ掲載で既存ツールに付加価値を与える方法を探るよう求めた。サウジアラビアは、TEMsでは適応を議論すべきだと述べた。イランは、バリ行動計画(BAP)を議論すべきと述べた。インドは、TEMsは緩和義務を附属書I締約国から引き離しているとの懸念を表明した。 オーストラリアは、TEMsが成功であったかはその成果が各国の政策面に反映されるかどうかの検証で測られるべきだと述べ、恒久的な政策実施を可能にする環境整備を話し合うTEMsを求めた。同代表は、米国とカナダの支持を得て、まだプレ2020年約束を行っていない諸国に焦点を当てる進捗状況報告会合を求めた。米国は、関連性継続を確保するため、2016年のTEMsのレビューを提案した。ニュージーランドは、既存のメカニズムや枠組みの利用を求めた。 EU、チリ、AILAC、AOSISは、ワークストリーム2への閣僚の参加を支持した。AILACは、ハイレベルな参加を得た会合で次の項目を議論することを提案した:TEMsのサマリー;国連気候サミットのフォローアップ;新しい発表。EUは、民間部門及び市民社会の更なる参画を提案した。チリ、メキシコ、マリ、AOSISは、ワークストリーム2を非国家行動者の参加を得るツールとして歓迎した。タンザニアは、非国家行動者の役割の重要さを指摘すると同時に、締約国による行動と他のものの行動の混同を避ける必要があると強調した。 ベネズエラは、国際社会レベルで可能にする環境の整備を強調した。AOSISは、BAPの達成を求めた。AILACは、ワークストリーム2の中でのMOIの推進とMRVシステムの強化の重要性を強調した。ヨルダンは、資金援助の適切性のレビュー開始を提案した。中国は、プレ2020年約束の達成をレビューする2015-2020年作業計画の立ち上げを求めた。

廊下にて  

6月の新緑がさわやかな秋の風に代わる中、ADP 2-6の参加者は、第1日の作業開始に向け、重厚なボン世界会議場に到着した。その中の多くの人々は、2014年10月1-3日にペルーのリマで開催されたCOP20の次期議長主催非公式協議を積極的に評価するコメントをした。これらのコメントした人たちは、ペルー会議議長団の方式は透明で野心的なCOPに向けた優れたものであったと指摘した。また他の人たちは、国連気候サミットで十分な前進エネルギーを得たとし、ある参加者は、ADP会議はサミットで得られたモーメンタムに則り、構築してほしいとの希望を表明した。 しかし、この楽観的な見方が続いたのは短時間であり、プレナリーの雰囲気は、即、「いつもの交渉」モードに戻ったようであった。会合の開始が1時間半遅れたのは、ある参加者に言わせると、「少ない時間に多くのことをしなければならない」時でも、時間通りに始められないという悪い癖の兆候ではないかとのことだった。 数名の参加者は、2015年の期限に間に合わせることはこれまで以上に大きな課題であり、国家グループ内で合意することが一層難しくなっており、その点は、今週、ワークストリーム1に新しい文書提出を行った主要諸国連合がないことでも明らかであると述べた。ADP2-6での議論は、リマでの非公式協議や国連の気候サミットで得られた、ある参加者のいう「希望の光」を締約国がつかみ取れるかどうかを示すことになる。

(IGES-GISPRI仮訳)

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Alice Bisiaux, LLM, Mari Luomi, Ph.D., Annalisa Savaresi, Ph.D., and Anna Schulz. The Digital Editor is Brad Vincelette. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMATE) and the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for coverage of this meeting has been provided by the Kingdom of Saudi Arabia Ministry of Petroleum and Mineral Resources and Aramco. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA. The ENB team at the Bonn Climate Change Conference - October 2014 can be contacted by e-mail at <alice@iisd.org>.

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