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アース・ネゴシエーション・ブレティン (地球交渉速報)

第12巻第642号 - 2015年9月3日(木)


ボン気候変動会議

2015年9月2日(水) | ボン、ドイツ

英語 (HTML - PDF) | フランス語 (HTML - PDF) | アラビア語 (HTML - PDF) | 日本語 (HTML - PDF)

ボン(ドイツ)からのIISD/ENB会議の報道については、下記のリンクをご参照ください:
http://enb.iisd.org/climate/unfccc/adp2-10/


ADP 2-10は、2015年9月2日(水)もドイツ・ボンで続けられた。参加者は、次の問題を議論する促進グループ(facilitated groups)会合に集合した:午前は、適応及び損失・被害、技術、資金、透明性;午後は、緩和、キャパシティビルディング、資金、時間枠;夕方は、手続き及び制度の条項、ワークストリーム2(プレ2020年野心)。促進グループの非公式会議も一日を通して開催された。ADPコンタクトグループは、夕方、進捗状況報告会合を開催した。

促進グループ

適応及び損失・被害:この会合では、Andrea Guerrero (コロンビア)が進行役を務めた。ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、途上国の開発優先性を認識することが重要であると強調した。ノルウェーは、緩和目的との等価性達成のための「目的(objective)」に関する促進グループにおいて、適応の世界大での目標を議論することを提案した。

G-77/中国は、米国の支持を得て、適応努力では利用可能な最善の科学を指針とすべきであり、適切な場合は従来の知識も指針とすべきだと述べた。G-77/中国は、支援とのリンクを議論するよう求め、AILACの立場で発言したチリ、アフリカン・グループの立場で発言したガーナもこれを支持した。

LDCsの立場で発言したツバル、カナダ、そしてチリは、国家主導のアプローチを強調した。日本と韓国は、モニタリングと評価の重要性を強調した。LDCsは、「主流化(mainstreaming)」という表現の使用に反対した。

EUは、国別適応計画に関する報告(communication)及び他のプロセスを合意の中に入れるべきか、それともCOP決定書に入れるべきか議論することを提案し、G-77/中国もこれに同意した。ニュージーランドは、既存の報告メカニズムの利用を提案し、COP決定書はプレ2020年の行動を可能にすると指摘した。

米国は、各国の適応計画の報告の中身を予め定めることに警告し、AOSISの立場で発言したジャマイカもこれを支持した。

メキシコ、LDCs、EU、タンザニアは、性別に配慮する手法に言及するよう求め、一部の締約国は、人権及び生態系ベースの手法を強調した。

技術移転:この会合ではTosi Mpanu-Mpanu (コンゴ民主共和国)が共同進行役を務めた。締約国は、手続き上の議論に時間を費やした。中国はG-77/中国の立場で発言し、共同議長ツールのパート3(置き場所をより明確にする必要がある条項)の問題及び意見対立が少ない箇所を議論するよう提案した。

メキシコは、現在パート3に置かれている条項を、合意の一部とするか、それともCOP決定書に入れるかを決めるよう勧めた。ベネズエラ及びアルゼンチンは、文章について作業する必要があると強調した。アラブ首長国連邦、日本、米国、メキシコは、合意の技術セクションに関する議論の構成に集中することを提案した 。

スワジランドはアフリカン・グループの立場で発言し、強化された行動の枠組みに関する同グループの提案は新しい制度を構築するものではないとし、既存の制度に中長期的な指針を提供し、レビューするものだと明言した。続いて、EUは、枠組みに関する更なる議論を支持した。G-77/中国は、MRV及び障壁を含め、枠組みを「土台」とするよう求めた。

分科会(スピンオフ・グループ)についての手続きの議論の後、締約国は、強化された行動枠組みに関する分科会を開催し、カナダがその進行役を務めることで合意した。

資金:Georg Børsting (ノルウェー)は、このグループの午前と午後の会合で共同進行役を務めた。エクアドルは、水曜日午前中の資金規模拡大に関する分科会について報告し、特に次の点に焦点を当てた:資金供与を受けるべき行動を明確にすることなく、資金の規模拡大を議論することの難しさ;INDCの行動と支援のアンバランス;締約国間の差異化。

ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、制度アレンジ及び資金の規模拡大に関する文章案は急がれているとし、いつ、どのような形で議論するか、明確にするよう求めた。

共同進行役のBørstingは、ADP共同議長との議論の概要を報告し、次の点に留意した:透明性グループの共同進行役との現在行われている議論及び適応グループとの合同会議の可能性。クウェートと中国は、合同会議開催への懸念を表明した。

カナダはオーストラリアとともに、可能にする環境(enabling environment)の議論を提案した。G-77/中国は、可能にする環境を理解する根拠として長期資金に関するUNFCCC報告書を利用するよう提案した。オーストラリアは、最も脆弱な諸国への支援の議論を強調した。

手続きに関する議論の後、共同進行役のBørstingは、各グループが表明した関心のありなしに応じ、議論時間が配分されると指摘し、締約国に対し、橋渡しとなる提案を出すよう求めた。

午後、スウェーデンは、午後行われた約束/義務/行動に関する分科会の議論について報告し、次の議論に焦点を当てた:約束の広範な範囲;合意における新たな約束/義務/行動の必要性;資金の提供を強化し、その予測可能性、規模拡大性も強化する;可能にする環境の重要性及びそれに伴う各国の主権との関わりに関わる懸念。同代表は、分野によっては文章案が有用かもしれないと述べた。

G-77/中国は、文章案の提出が急がれることを強調し、他の締約国に対し、文章案を出すよう促した。

行動及び支援の透明性:Fook Seng Kwok (シンガポール)は、この会合の共同進行役を務めた。

南アフリカはアフリカン・グループの立場で発言し、AOSISの立場で発言したバハマの支持を受け、途上国のMRVシステムへの効果的な参加には先進国からの追加支援が必要であり、この点を明確に認識するよう求めた。

EU、米国、スイス、オーストラリアは、途上国の支援のニーズを認め、ブラジルは、この点での広範な意見の一致を指摘した。

EUは、現在のMRVシステムに則り、共通の、強化された、柔軟性のある透明性枠組を構築することを求めた。ニュージーランドは、オーストラリアの支持を受け、「統一システム(unified system)」では多様な手法を認めるべきであり、継続的に改善すべきだと説明した。

米国は、透明性システムは資金を供給するだけでなく、フィードバックを提供し、能力を構築するべきだと述べた。ブラジルは、国レベルで効果的なMRVシステムを構築するには時間が必要だと強調した。

日本は、支援のMRVは合意の中に入れるべきだとし、現在の表現を明確にするよう求めた。

締約国は、差異化に関する事実調査を行う分科会、及び計算(accounting)に関する問題のリストを特定する分科会を開催することで合意した。

キャパシティビルディング:Artur Runge-Metzger (EU)は、この会合の共同進行役を務めた。スワジランドは、キャパシティビルディングのプレ2020年「里程標(milestones)」に関する火曜日の分科会での議論について報告し、次の項目の重要性について意見が集約されたと強調した:キャパシティビルディングのニーズとは何かを明確にする; 迅速で効果的、一貫性があり協調された形での実現;キャパシティビルディング支援のMRV;キャパシティビルディングに関する長期かつ持続可能な展望。

日本は、何が必要かについて実のある議論がなされたことを歓迎し、「どのようにするか(the how)」を議論するよう求めた。米国は、MRV及びキャパシティビルディングの文章は運用性が欠けていると指摘した。

サウジアラビア、G-77/中国の立場で発言した中国、AOSISの立場で発言したジャマイカ、スワジランド、アルゼンチン、ガンビアは、合意に新しい制度アレンジを盛り込むよう求めた。

EUは、COP決定書における制度アレンジの強化、及びキャパシティビルディング枠組の第3回包括レビューを提案した。オーストラリアは、キャパシティビルディングのニーズは国情に合わせるべきと発言、国際的な「マクロレベルの」メカニズムでこの課題を達成できるかどうか、その能力に疑問を呈した。

ガーナは、残された「難しい(hard)」問題を論じる3つの論卓(table)に分けることを求めた。スーダンは、直接、文章の議論を開始するよう求めた。締約国は、木曜日に合意に入れるべき問題を議論することで合意した。

緩和:この会合の共同進行役は、Franz Perrez (スイス)が務めた。ブラジルは、共同実施に関する分科会について報告し、締約国によるINDCsの作成、報告(communication)、及び実施に関する草案パラグラフ、及びINDCsのアレンジに関する草案パラグラフの2つの草案を提示した。南アフリカは、差異化に関する分科会について報告し、差異化が交渉の根本であること、政治決定によってのみ解決されることで合意したと指摘した。続いて、数カ国の締約国は、「ツール」に記載された緩和問題に関する共同進行役の表(table)についてそれぞれの見解を披露し、セントルシアは、合意の附属書を論じるための時間を求めた。

締約国は、合意の集団努力に関する文章について、議論を開始した。EUは、気温目標への言及を歓迎し、排出削減の数量目標及びピーク時の考えを含め、目標の運用開始を強調した。インドは、緩和セクションにおける排出削減の数量化に反対した。

南アフリカとノルウェーは、気温目標を総論セクションにも反映させるよう求めた。米国は、気温目標を合意の前文に反映させることを希望し、決定書において正味ゼロ排出量またはカーボン・ニュートラリティーに言及することを希望した。マーシャル諸島は、これに反対し、長期の気温目標を達成する確率がより高い経路が必要であると強調した。

時間枠:Roberto Dondisch (メキシコ)は、この会合の共同進行役を務め、締約国に対し、合意の時間枠セクションに関する火曜日からの意見表明を続けるよう求めた。

インドは、このパラグラフは「作業可能(workable)」であるとし、レビューは参照ツールとなる可能性があるが、個別の調整部分を改定すべきでないと述べた。

ヨルダンとアルジェリアは、レビューを緩和に限定すべきでないと述べた。アルゼンチンは、適応は緩和の論理とは異なる論理に従うと述べた。ツバルはLDCsの立場で発言し、このパラグラフは緩和及びMOIに適用されるべきだが、それぞれの手順は異なる可能性があり、締約国は個別にも、集団的にも、野心を引き上げるべきだと述べた。

共同進行役のDondischは、セクション間を横断するリンクを指摘し、手続き及び制度アレンジに関するグループの議論を見ていると、全体的には時間枠問題が検討されていると報告した。同共同進行役は、透明性及び資金のグループの共同進行役にもこのグループの次回会合に出席してもらうことを提案し、締約国もそれに同意した。

進捗状況報告会合

ADP共同議長のAhmed Djoghlaf (アルジェリア)は、議論のペースについて締約国が懸念していると指摘した。締約国は、作業を早めることが差し迫って必要である点で意見が一致した。G-77/中国の立場で発言した南アフリカ、LDCsの立場で発言したアンゴラ、AOSISの立場で発言したモルディブ、AILACの立場で発言したグアテマラ、ALBAの立場で発言したボリビア、アフリカン・グループの立場で発言したスーダンは、促進グループ間で進展に差があると指摘し、本会合で意図される成果を明確にし、共同進行役のマンデートを明らかにするよう求めた。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、一部の分科会、特に差異化に関する分科会は有用であると指摘した。マレーシアはLMDCsの立場で発言し、文章に基づく交渉に専念する必要があると強調した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、実質的交渉を始めるよう促した。EUは、「ツール」は「理想的ではない」が、議論を体系化するとの認識を示した。

スイスはEIGの立場で発言し、手続きの議論に専念したことでは締約国自身が責められるべきだと述べた。同代表は、次回会合で交渉可能な文章に到達するため、合意及びCOP決定書の要素について今週末までに意見を集約するよう求めた。多数の締約国は、本会合で新たな取りまとめ文章をまとめるべきではないと強調した。

共同議長のDjoghlafは、「パリに向け用意万端整える(be ready for Paris)」との締約国の集団による決意を歓迎し、本会合の目的はADP共同議長のシナリオノート及び作業モードに関する更なる明確化により既に明示されていると指摘した。同共同議長は、共同議長の方で10月会合での作業モードを議論する二者間協議を開催すると指摘した。

廊下にて

1週間の会議の中間点を迎え、一部の参加者は、適応、キャパシティビルディング、透明性、緩和における共同実施に関する議論で「小さいが意味のある動き(small, but meaningful movements)」があったことを歓迎した。しかし、この多少とも抑えた熱意でさえ、全ての促進グループに均等に伝わったわけではなく、一部のものは、交渉担当者が中身に少し触れただけで、「二者対立問題(binary issues)」が不可避に出てきてしまうとコメントした。

進捗状況報告会合は、このような焦燥感を映し出すものとなり、各グループは、最初の数日間を悔いるとともに、この週の残りの日々に不安感を抱いていた。多数のものは、橋渡しになるような提案がないと指摘し、「ストーリー作りや概念の明確化(storytelling and concept clarifying)」に立ち戻ったことを驚き、他のものは手続きの議論を嘆いた。

大半のものは、作業をどう進めるべきかに関する指針を求めたが、ある参加者は、各国の相互の議論をかみ合わせることを求め、「お互いに責めあうべきではない、自分たち自身を責めるべきだ(we should not blame each other, but ourselves)」とけん責した。共同議長のツールをどのように利用するかが依然として明確にならない中、多数のものは、共同議長のAhmed Djoghlafが言う交渉担当者の「歴史的な日(date with history)」まで7日分の交渉期間しか残されていないことで、交渉のペースに深刻な懸念を抱きつつ、会議場を後にした。

(IGES-GISPRI仮訳)