Daily report for 19 October 2015

ADP第2回会合第11部のボン気候変動会議は、2015年10月19日(月)、ドイツ・ボンで開会された。短時間の開会プレナリーに続き、ADPは、午前中、コンタクトグループ会議を開催、今後の進め方を議論した。午後、コンタクトグループは会合を続け、合意書草案の各条項を議論した。

ADPプレナリー

ADP共同議長のDaniel Reifsnyder (米国)は、ADP 2-11の開会を宣言した。COP 20/CMP 10議長の立場であるペルーの環境大臣Manuel Pulgar-Vidalは、ビデオメッセージを通し、これまでの作業を活かし、意見一致の文章を作成するため、建設的に参加するよう締約国に提案した。

COP 21/CMP 11議長職のフランスのLaurence Tubianaは、ノンペーパーを作成した共同議長の努力を賞賛した。同代表は、この文章であっても野心不足だと指摘し、締約国に対し、明確で簡略、かつ野心に富んだ文書の作成を求めた。

ADP共同議長のReifsnyderは、この文書で意見が一致したわけではないと認識し、参加者に対し、ADP共同議長のノンペーパー(ADP.2015.8.InformalNote)はこの文書に基づく交渉の土台となることを意図したものだと想起した。同共同議長は、日曜日夜開催の会議成果に基づき、今回の会議作業では、「ADP 2-11における作業モードの更なる明確化(Further Clarifications on the mode of work at ADP 2-11)」に記載するとおり、今後の進め方に関する代表団長会議に続き、コンタクトグループでの作業を進め、文章に「何を入れる必要があるか(must-haves)」、「外科的な挿入(surgical insertions)」を行うことで、締約国の理解を得ていると指摘した。

南アフリカはG-77/中国の立場で発言し、共同議長はバランスのとれた文章作成というマンデートを果たしていないと嘆き、アフリカン・グループの立場で発言したスーダンもこれを支持した。同代表は、オープンエンドの草案作成委員会を提案、文章をスクリーンに映し、ライブで編集することを提案した。

ADPコンタクトグループ

午前中、ADP共同議長のReifsnyderは、コンタクトグループ会合を開会した。モルディブは小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、共同議長文書には脆弱な諸国が直面する実存の課題が反映されていないと指摘した。

その後、締約国は、G-77/中国の提案について議論し、有志途上国(LMDCs)の立場で発言したマレーシア、アフリカン・グループの立場で発言したスーダンは、事前協議で表明された意見を衡平に反映することが重要だと繰り返した。

スイス、ニュージーランド、EUは、共同議長提示の作業モードを支持した。

G-77/中国は、途上国が自国を正当化する必要があることを、アパルトヘイドになぞらえて嘆き、ADP共同議長の方式に疑念を呈した。アンティグア・バーブーダは、共同議長文書はADP 2-10での議論を正確に示すものではないと発言した。

スイスと米国は、この文書には欠落した要素があると、全ての締約国及びグループが感じていることを指摘した。ニュージーランドは、外科的な挿入方式及び作業方法(modus operandi)での分量と状況に対する不安感を表明した。メキシコは、自国はG-77/中国の提案に合わせられると述べた。

ADP共同議長のReifsnyderは、締約国に対し、次の方式での合意を求めた:ノンペーパーの各セクションを議論し;スクリーンに挿入箇所を表示し;その後、今後の進め方に関し代表団長間で決定する。

メキシコ及びLMDCsは、締約国が挿入案を電子メールで送付することを提案し、LMDCsは、挿入文案を速やかにスクリーンに表示して何が挿入されたのかに関する締約国の不安感を払しょくし、長い説明を回避することを提案した。

締約国は、オープンエンドなコンタクトグループでの作業継続で合意し、文書全体を条項ごとに議論し、締約国提出の提案をスクリーンに表示することで合意した。

序文に関し、午後、マレーシアはLMDCsの立場で発言し、次の項目への言及を提案した:条約第2条;衡平性及びCBDR;途上国の「最優先課題(overriding priorities)」としての持続可能な開発と貧困撲滅。ボリビアは、先住民の権利及び開発する権利を強調した。

モルディブはAOSISの立場で発言し、2013-2015年のレビュー成果、及び小島嶼開発途上国(SIDS)に特有の脆弱性への言及を求めた。

オーストラリアはアンブレラグループの立場で発言し、締約国の文章の再挿入に対する躊躇感を表明し、「肥大化し、動きがとれない(ballooned, un-navigable)」文書を作ることにならないか、懸念を表明した。

アンゴラは後発開発途上国(LDCs)の立場で発言し、IPCC報告書及び締約国のインプット、さらには大幅な排出量削減の必要性への言及を提案した。

フィリピン、ノルウェー、環境十全性グループ(EIG)の立場で発言したメキシコ、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言したコスタリカは、人権及び性の平等に言及する提案を行った。

パナマは熱帯雨林諸国連合(CfRN)の立場で発言し、REDD+の重要な役割に焦点を当てた。

スイスは、炭素価格化に関する文章を提案した。カナダは、地方政府当局及び非国家行動者の役割を強調した。

定義及び目的 (1-2条)に関し、LMDCsは、持続可能な開発、母なる大地の保全及び適応に関する挿入文を提案した。

LDCsは、特に次の事項を提案した:1.5℃以下の気温目標;損失と損害への効果的な対応;性差別への感度と性の平等;人権の尊重。

マーシャル諸島はAOSISの立場で発言し、長期気温目標を合意の中心に据えることを強調した。

緩和 (3条)に関し、数カ国の締約国は、緩和貢献の報告及びレビューに関する提案を提示した、この中には、合意加入時点で第1回の緩和貢献報告を行うとの提案も含まれた。

セントルシアはカリビアン諸国の立場で発言し、緩和約束は合意附属書に入れるべきだと述べた。ロシアは、締約国の排出量のピーク達成時期の違いを指摘し、貢献は法的拘束力を持つべきで、合意の附属書にすべきだと述べた。

ニュージーランドはアンブレラグループ諸国の立場で発言し、各国の約束草案(nationally determined contributions (NDCs))のパラメーター確立を提案した。スイスは、「科学の推奨するところから見た(in light of recommendations by science)」締約国の最高水準の野心を、NDCsに反映することを提案した。米国は、今世紀を通した世界経済の脱炭素化を含めることを提案した。EUは、LDCs及びSIDSに関する表現や国際的バンカー燃料排出量への対応を復活するよう提案した。

AOSISは、合意書の締約国会議(CMA)において、INDCsの理解を推進するプロセスを遂行するよう提案した。LDCsは、一定期間において、締約国が経済全体目標に向け努力することを提案した。数カ国の締約国は、二重計算回避の表現を提案した。

アルジェリアはアフリカン・グループの立場で発言し、特に次の項目を提案した:差異化に関する新しいパラグラフ;緩和を可能にするMOIの提供。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、NDCsには適応及び経済多角化の結果得られる共同便益も含められるとの表現を挿入した。

CfRNは、REDD+を含め、即時に実施可能、規模拡大可能、結果本位の行動を優先するとの文章を提案した。アルゼンチンはG-77/中国の立場で発言し、対応措置の悪影響を最小限に抑える協力メカニズム設置に関する決定書文章を提示した。

適応 (4条)に関し、ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、制度アレンジ及び世界目標/長期ビジョンに関する数件の挿入文案を提出した。メキシコは、早期警戒システム関連の技術の移転、及びハイレベル会合において進捗状況を議論するため、適応努力を通知するとの文章を提案した。

損失と損害 (5条)に関し、G-77/中国は、損失と損害のワルシャワ国際メカニズムとリンクする新しいメカニズムの設置及びその目的を提案した。スイスは、この5条全体を括弧内に入れるよう要請した。カナダは、5条の除去を提案し、損失と損害はCOP決定書で扱うことを提案した。

資金 (6条)に関し、韓国は、GCF及びGEFを本合意の資金組織として明記することを要求した。メキシコは、CMAによる資金報告推進を推奨した。ドミニカ共和国は、先進国からの支援を気候変動に関する政策や規制の推進に振り向けるよう提案した。

EUは、炭素価格化への言及を求め、進化する責任及び能力に合わせた気候資金動員での全ての締約国の役割に言及することを求めた。ノルウェーは、検証可能な排出削減に対する成果ベースの支払いを優先するとのパラグラフを挿入した。

米国はアンブレラグループ諸国の立場で発言し、スイスとともに、資金供与が可能な全ての締約国を資金供与国に含め、「必要がある(in need)」開発途上国を支援享受の有資格国とすることを提案した。

ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、途上国の野心を高める資金供与を強調した。

技術開発及び移転 (7条)に関し、カナダはアンブレラグループ諸国の立場で発言し、障壁への注目を減らすよう求め、可能にする環境に関する文章を追加した。

スワジランドはアフリカン・グループの立場で発言し、技術枠組みによる技術評価ガイダンスの提供を提案した。LMDCsは、環境に優しい技術の研究、開発、適用、及び途上国への移転に対する先進国の支援を提案した。インドは、知的財産権で発生する障壁への対応を提案した。

キャパシティビルディング (8条)に関し、中国はG-77/中国の立場で発言し、途上国のキャパシティビルディングについて、先進国が各国のニーズに応じて支援することを提案した。EUは、効果的な制度アレンジに関する文章を提案した。

透明性 (9条)に関し、LMDCsは次の事項を強調した:差異化;支援のMRV;二重計算なし。AOSISは、透明性、正確さ、完全性、比較可能性、一貫性の確保を提案した。

アンブレラグループは、行動と支援の両方を対象とし、全ての締約国に適用可能な、統一され、確固とした透明性システムへの支持を表明した。ブラジルは、国際的な協議と分析(ICA)及び国際的評価及びレビュー(IAR)プロセス強化のためのプレースホールダーを挿入するよう提案した。

EUは、共通のガイドライン及び手続きに基づく技術専門家レビュー、及び国際的な多国間評価プロセスを提案した。グアテマラはAILACの立場で発言し、途上国への新規の追加的で予測可能及び適切な支援を提供するとの先進国の約束について、その達成状況の追跡を提案した。

アフリカン・グループは、特に次を提案した:先進国、資金メカニズムの運用組織、及び資金供与が可能な他の全ての組織は、途上国の透明性関連能力に資金源を配分する。

世界的な進捗状況 (10条)に関し、LMDCsは、全体的な進捗状況の評価及びCBDRの尊重を強調した。EIGは、CMAにおいて、本合意の実施進捗状況を検討し、全体の進捗状況を評価することを提案した。コロンビアはAILACの立場で発言し、野心を最大限引き上げられるような積極的な取組みを求めた。EUは、5年間の進捗状況検討サイクルを提案した。

実施及び遵守 (11条)に関し、LMDCsは、京都議定書の表現を引用し、差異化の考えを入れるよう提案した。コロンビアはAILACの立場で発言し、締約国の国内能力や国情に留意することを提案した。AILACの立場で発言したノルウェー、及びEUは、COP 21より遅くない時期での遵守委員会の設置を支持した。ボリビアは、先進国の非遵守に対応する国際気候正義法廷を要求した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、経済全体目標を有する諸国を扱う執行部と途上国を支援する推進部を有する遵守メカニズムを提案した。

一部の締約国は、次の事項に関する文案を提出した:CMA (12条);事務局 (13条);投票 (22条)。CfRNは、REDD+メカニズムを定義づける新しい条項を提案した。

議事は進行し、多数の締約国は、新しい挿入文章の明確化を求め、スピンオフグループの前に、これらを締約国ノンペーパーに取り込むよう求めた。アフリカン・グループは、AILAC、EU、USの支持を受け、文章の重複表現や重なりをスリム化する「技術的作業」を事務局で行うよう提案した。共同議長のDjoghlafは、G-77/中国が同意するなら、事務局による軽い文書編集作業に同意すると述べた。G-77/中国は、スリム化作業が行えるかどうか協議し、今夕遅くに共同議長に報告すると述べた。

廊下にて

月曜日、ADP出席者は、ADP共同議長作成のノンペーパーに含まれた文書草案、多くのものがパリ合意の最小限の文書だと称した文書草案について議論すべく、混み合ったプレナリー会議場に集合した。会合は手続き上の議論から始まり、無数の参加者は、この文書に対する不満の意を表した。一部のものは、この文書は「オプション削除作業のやり過ぎ」であり、これまでの会合における締約国のインプットを適切に取り入れることに失敗したと嘆いた。他のものは、文書の劇的なまでの短縮は2015年2月のジュネーブ交渉文書取りまとめという、そもそもの始まりまで、締約国を押し戻す可能性がある「ギャンブル」だったとコメントした。

午後の会合ではこのような不安感が確認され、多数の締約国は、何ダースもの文案を提示した。しかし、この夜のプレナリーから出てきた参加者の多くは、この文書が締約国の手に戻ったとして歓迎した。他のものは、今週末までに明確なオプションを持つ簡素な文書が提示されるかどうか疑問だとし、一部の締約国がさらなる文章案の提出を示唆したと指摘した。

(IGES-GISPRI仮訳)

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