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アース・ネゴシエーション・ブレティン (地球交渉速報)

第12巻第660号 - 2015年12月8日(火)


パリ気候変動会議

2015年12月8日(火)| パリ、フランス

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パリ(フランス)のIISD/ENB会議の報道については、下記のリンクをご参照ください:
http://enb.iisd.org/climate/cop21/enb/


12月8日(火)、 COP/CMP合同ハイレベル協議が終日続けられ、政府閣僚やその他の首脳陣の意見表明が行われた。パリ合意案については、COP議長の下、一日を通して、非公式な閣僚級協議や二国間協議、パリ委員会の下での締約国主導の分科会など様々な場で、以下の問題に関する交渉が進められた。支援: MOI (資金、 技術、キャパシティビルディング);  2020年までの行動の加速(ワークストリーム 2、 2020年までの資金を除く); 適応および損失・被害; 差異化、 特に、緩和、 資金、透明性; 野心(長期目標および定期点検を含む); 実施の促進および遵守; 前文; 森林; 協力メカニズム; 対応措置。

また、COPおよびCMPに議題項目に関する決定をとりまとめるため、一日を通して、非公式協議とコンタクトグループの会合も続けられた。

パリ委員会( Comité De Paris

COP 21 議長 Laurent Fabiusが、閣僚主導の会合(いわゆる“インダバ”と呼ばれる会合)や 二国間会合、その他の協議の状況について報告するよう求めた。

支援/MOIについては、 Jochen Flasbarth (ドイツ) は、2020年以降の資金 (6条)について報告し、整合性や全体の構成を含めた現在のテキストをいかに改善するかという点で特に理解は生まれつつあるとしながらも、“未だ現時点では合意を受けたテキストとして認識できていない”ことから今後の作業が必要であると指摘した。

Emmanuel Issoze-Ngondet (ガボン) は、技術の開発と移転(7条)および関連する決定書テキストについて意見の集約が見られたと報告し、意見が一致した分野として、 協力行動、 長期ビジョンおよび技術の枠組み等を挙げた。

また、キャパシティビルディング (8条)については、キャパシティビルディングに関するパリ委員会の設置について合意が成立し、キャパシティビルディングに関する長期作業計画への理解が進んでいると報告し、今後は委員会の作業方式についての議論を続けると述べた。

差異化については、 Vivian Balakrishnan (シンガポール) が、“締約国はまだ交渉テーブルに最後の主張を出していない”段階だとして共同進行役が議長や事務局とともに、原案に関する意見の断層線を具体的に抽出する作業を行うと述べた。

野心については、 James Fletcher (セントルシア)は、関連事項の作業を行っていたADP 共同進行役と会合を行った結果、今後の着地点を見つけられたと述べた。

Tine Sundtoft (ノルウェー) は、各国から寄せられた意見を紹介。ほとんどの国が1.5℃気温抑制目標を合意の目的に盛り込みたいとの意思をもっており、ここに付随する関連条項として、持続可能な開発、 MOI、 衡平性、食料安全保障があると指摘。また、世界の緩和目標としては、異なる時間枠ごとの数値目標と長期にわたる質的な目標という2つの選択肢があると特定されたことを挙げ、包括的かつ促進的な世界目標の進捗点検、継続的な5年ごとの報告といったアイディアが支持されていることを報告した。

ワークストリーム 2については、 Pa Jarju Ousman (ガンビア) が、適応TEPのために緩和TEPに類似した制度的なアレンジを構築し、適応委員会に重要な役割を持たせるということで意見がまとまりつつあると強調した。一方、実施の加速については、意見が分かれていると述べた。

適応および損失・被害については、 René Orellana (ボリビア)が、条約2条(目的)に沿った、適応のための明確な目標;緩和と適応との関連性の認識; 柔軟性があり途上国に追加的な負担を課さない報告プロセス等の着地点について強調した。

Åsa Romson (スウェーデン)は、気温目標や脆弱性、CBDRの記載を含め、決議が必要な横断的なテーマについて強調した。また、損失・被害については、制度的なアレンジについて現在進行中の議論について触れ、意見の収束が見られないと述べた。

森林については、 Henri Djombo (コンゴ) は、パリ合意によって持続可能な森林管理を促すための強力なシグナルを発信できるとの共通認識について報告した。

協力メカニズムについては、 Catherine McKenna (カナダ) が、環境十全性、二重カウントの防止、それらアプローチの自主性等を含めた基本理念について討議したことを報告した。また、持続可能な開発の支援メカニズム(3-3条)については、長期的な永続性をもった仕組みが必要だとの意見がある一方で、合意の中に盛り込むべきではない意見があると報告した。

Raymond Tshibanda N’Tungamulongo (コンゴ民主共和国) は、認証を受けた適応支援活動から出る資金についての提案について言及した。

対応措置については、 Jan Szyszko (ポーランド) が、12月8日(火)夕方遅くにグループ会合を行うと述べた。

実施の促進および遵守については、 Rafael Pacchiano Alamán (メキシコ) が、その性質と目的に関する合意が必要であり、手順や手続きについては後の段階で合意を目指すべきだという全般的な認識について言及した。また、この部分に差異化を反映させるか否かについては意見が分かれていることを指摘した。

前文については、 Claudia Salerno (ベネズエラ)が、12月8日(火)夕に作業を開始することを提案し��。

COP 21 Fabius議長が今後の方針について提案し、これが締約国の合意を得た。ADPの成果文書や閣僚級協議の進行役とADP分科会の共同進行役による諸提案をベースとした“クリーンなテキスト”は12月9日(水)午後1時に提示する予定だと議長が伝えた。また、12月9日(水)午後遅くに開催するパリ委員会で、最初の反応や9日(水)午後移行の作業について検討し、翌日に開催する委員会では指摘された懸案事項について議論する予定であると告げた。

多くの締約国が提案された作業方式を支持すると述べ、今後の作業においても、ひきつづき透明性が必要であると強調した。

南アフリカは、G-77/中国の立場から、地域グループや交渉グループで原案を検討するために十分な時間が欲しいと訴えた。モルジブは、AOSISの立場から原案でSIDSの特殊事情を配慮してほしいと訴えた。

マレーシアは、 LMDCsの立場から、ワークストリーム 2 (2020年までの野心)で“規定なし”という選択肢があるレポートについて所感を述べ、これがパリ合意に深刻な影響を与える可能性を示唆した。

アンゴラは、LDCsの立場から、 新たな原案には、科学に則った気温目標を明記する必要があると強調し、1.5℃目標では意見がまとまったとの報告を歓迎した。

その後、COP 21 Fabius議長が閉会した。

廊下にて

火曜日の閣僚級交渉の題目リストは前日の2倍の分量に増え、パリ会議は決定的に重要な段階に入った模様だ。作業方式についての議論では交渉官らに総じて前向きなムードが漂っており、同様の気分でフランスの議長が“残りの1マイルまで”走り切れるよう締約国を導いてほしいとの願望をある交渉官が口にしていた。

“インダバ”や二国間協議、締約国主導の分科会への参加のため閣僚らの姿は視界から離れ、現在審議中の問題や今後の交渉の行方についての憶測も、ル・ブルジェ会議場周辺に立ち込める濃霧に包まれていた。

最も熱い議論がなされているテーマの一つが、パリ合意で1.5℃目標を長期気温目標として定めていくという動きであった。カナダ をはじめとする国々が、合意では1.5℃目標を明示すべきだと主張したものの、 いくつかの政府代表は、せいぜい期待できるのは“2°C未満”目標の合意だとして、“あまりに遠い道のりに思われる”と静かに答えた。野心に関する協議の進行役は“ほとんど”が1.5℃と明記する案を支持していると述べており、この問題に関しては、パリ委員会から返されたレポートには、もっと前向きに取り上げられていた。

他方、数値目標を重視するあまり、質に関する他の重要尺度である、脱炭素化や正味ゼロ、先住民の権利、人権、ジェンダー平等などのテーマが日陰に追いやられてしまう危険があるとの懸念する声もあがった。夕方、パリ委員会に戻り、条約2条  (目的)に記載された食料安全保障などの質的な用語が盛り込まれたが、一部のオブザーバーにとっては驚かなかった。

市民社会も“1.5℃での生き残りと繁栄”のデモを行い、オブザーバーにとっては数値目標を実現するための野心を点検し、引上げるための仕組みが盛り込まれているか確認せずに、ただ“1.5℃という表記が盛り込まれただけで合意を賞賛”できるのだろうかと訝った。

非公開の会議室に入れなかった人々は、ブラジル、 南アフリカ、 インド、中国の政府閣僚から交渉の現状について何かヒントを得られないかとBASIC 記者会見での発言を注意深く聞き入ったが、2015年9月の気候変動に関する米中首脳による共同宣言における資金と透明性に関する言及に注目した人々は、差異化に関する文言はほとんど一言一句、米中共同声明から引用されており、 “リマのデジャヴュ(既視感)”だと指摘していた。

合意の中身が何であれ、資金が決定的に重要である点は多くが考える通りであり、MOIに関する非公式閣僚協議の大部分の時間がそこに充てられたようだ。共同進行役からの報告によれば、キャパシティビルディングについても著しい進展があり、それは原案について関係者が円陣を組んで集まり協議した議場の前向きな精神のおかげだと評価した。

合意成立までに残された交渉時間が急速に失われてゆく中、パリ委員会の部屋を夕刻退出する参加者の多くは、閣僚が務める進行役や議長、ADP共同進行役によって、9日(水)には “クリーンな” テキストが作成されることを歓迎していた。

この先に残された仕事や “サプライズ”の可能性、差異化に関して進行役が報告した“断層線” 等々への不安感は静かに共有されているものの、透明性とパリ委員会の前向きな精神については皆一同に褒め続けている。各国の交渉官には「様々な障害が立ちはだかるかもしれないが、ダーバンから野心的なパリ合意へと至る、長い旅路の最後の1マイルで、“積極性”が実を結ぶことになるかもしれない」と、あるベテランのオブザーバーが指摘した。

(IGES-GISPRI仮訳)