Daily report for 24 May 2016

Bonn Climate Change Conference - May 2016

ボン気候変動会議は、火曜日も APAのオープンエンド型非公式協議が一日を通して続けられた。適応行動の実施強化に関するTEM は午前と昼過ぎに開催。また、SBI及びSBSTAの非公式協議は終日開催された。

APA

決定書 1/CP.21緩和セクション関連の追加ガイダンス: Jo Tyndall共同議長は、 集中的な議論を行うべき分野を指摘:国別貢献(NDCs)に関する特徴や情報はNDCsの種別かその他の基準に合わせるべきか否かという問題やその際の方法; INDCsからの教訓; 現行会計法(アカウンティング)を考慮すべきかという点とその方法や必要とされる細かなレベル等。

全般的なガイダンス(指針)については、多くの国が、全てのNDCsに共通する幾つかのガイダンスとNDCsの種別ごとの指針をもたせつつNDCsに多様性を反映させるよう求めた。また、ガイダンスの目的は、各国ごとの目標と全体の目標に向けた進展をたどることを含め、NDCsへの理解向上にあると多くが強調した。

メキシコは、包括的なガイダンスを求めた。ブラジルは、全体的なベースを提示し、NDCの種類や提供される情報の目的に応じて細部のレイヤーを施すという案を出した。資格や能力の違いを指摘しつつ、中国は、LMDCs(有志国連合)の立場から、 先進国と途上国の差異化を要求したが、米国がこれに反対を唱えた。

特徴については、多くの国が、規範的なガイダンスにしないよう釘を刺した。 LMDCsは、ガイダンスについては既にパリ協定で定義されていると述べ、共通の要素と差異化された要素の両方を指摘した。EU、南アフリカ、オーストラリアは、NDCsの計量可能性について強調した。

テイラーメイドの指針を必要とする緩和NDCsの種別については、特に、経済全体の排出削減・抑制目標、BAUとの乖離、炭素集約度とセクター別目標、低排出型の開発戦略・計画・行動等に関する提案があった。

情報については、 モルディブは、AOSISの立場から、情報の長期的な品質強化案を支持し、透明性のためのキャパシティビルディングの完全運用を強調した。ノルウェーは、土地セクターや市場の役割を明確にする必要があると強調した。カナダは、ベースラインと予測に関する情報の強化に焦点をあてる必要があると指摘した。オーストラリアは、意見書の提出を求めた。

サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、明瞭性と透明性、そして理解が主要な基準であると強調し、同国のINDCは適応と経済多角化が中心となっており、緩和の共同便益を備えていると言及した。クウェートは、 G-77/中国の立場から、 多くの国々にとってNDCsは緩和と適応、その他の要素も含まれるのだと指摘した。

INDCsからの教訓については、スイス、 EU、ノルウェーが、INDCsに関するリマ・ガイダンス(指針)を参考にすることを提案した。韓国は、現在のINDCsを分析するよう求めた。ベトナムは、教訓を今後のNDCsに生かすよう求めた。

アカウンティング(会計)については、 パリ協定、条約(UNFCCC)、京都議定書に立脚すべきだと多くの国が要求し、環境十全性や二重カウント防止について強調した。

ケニアは、アフリカン・グループの立場から、 NDCsの多様性に対応し、自主的かつ規範的ではないガイダンスを求めた。 LMDCsは、詳細な運用手続きやモダリティではなく、一般原則を求めた。

ブラジルは、グレナダとともに、 “アカウンティング”をめぐる概念の明確化を提案した。 また、ブラジルは算定の単位ではなく、進展をたどることに作業を集中させるべきだと主張した。

ニュージーランドは、アカウンティング・ガイダンスに関する意見書の提出を要請し、その中で、環境十全性を保護する原則・規範、現在のアプローチから引き出せること、全てのNDCsへの対応法等を重点的に取り上げるよう求めた。

パリ協定7条10項・7条11項に記されたNDCsの要素としての報告を含めた、適応報告書に関する追加ガイダンス: Sarah Baashan共同議長が各国に話合いを求めた問題は以下の通り: 特に、その他の問題との兼ね合いやガイダンスに必要な範囲という観点から適応報告書によって実現をめざすものは何か;柔軟性と適応報告書のガイダンスに対するニーズの両方の間で、いかにバランスをとるかという問題。

適応報告書が実現をめざすものと範囲については、適応報告書で各国別の慣行や経験を伝えるべきだと多くの締約国が述べた。ウルグアイは、G-77/中国の立場から、適応報告書の役割は、行動・支援を促進するためのニーズ・優先順位・計画の報告、緩和を伴った平等な扱いの実現、適応に関する世界目標の達成のための途上国支援にあると強調した。

ボツワナ(アフリカン・グループ)、ジャマイカ(AOSIS)は、ニーズの規模評価や効果的なグローバル・ストックテイク支援における適応報告書の役割を強調した。インドネシアは、ハイチとともに、グローバル・ストックテイクを適応の野心引上げを助ける機会とみなすよう求めた。アルゼンチンは、支援の妥当性もグローバル・ストックテイクの重要な要素であると述べた。

LDCsとコロンビアは、AILACの立場から、適応報告書にはニーズと優先順位を明記すべきだと述べた。ノルウェーは、適応報告書が適応支援に向けた“全体図の一部にすぎない”と述べた。

米国は、パリ協定で実現した適応への高い注目を維持するという適応報告書の役割を強調した上で、学んだ教訓についての “レベルの高いサマリー” として適応報告書を活用すべきだと提唱した。

スイスは、適応報告書は国家計画の策定に基づくべきであり、賛同を得たものであるべきだと指摘した。EUは、逆行性と先行性という要素を盛り込むべきだと示唆した。インドは、報告書をもって適応計画策定と行動を融合させることに警戒感を示した。エクアドルは、LMDCsの立場から、適応報告書に対する差異化したアプローチを維持することを強調した。

オーストラリアは、適応報告書は、実施の進展、ギャップ、課題、教訓に関する情報伝達ツールとの見解を示し、その他の条約の下にある機関の作業との重複作業がないよう釘を刺した。日本は、途上国の取組みを認識するプロセスと報告書のガイダンスとの関係性を明確にするよう求めた。

エルサルバドルは、報告書とグローバル・ストックテイクは、後退を予防するものであり、科学と衡平性に導かれるべきものだと強調した。

サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、報告書は、罰則的ではなく、適応に関する世界目標にいかに貢献しているか示すべきだと述べた。

バランスについては、 途上国に対する追加的な負担を最小限にしつつ、柔軟性を維持する必要があると多くの締約国が強調した。

ウルグアイは、G-77/中国の立場から、パリ協定7条 (適応)の諸規定に則り、報告の手段も含めて、柔軟にする必要があると指摘した。

アフリカン・グループは、利用する報告手段にかかわらず、“共通の最小限の指針”を求めた。AOSISは、適応の報告モダリティの柔軟性を維持するよう求めた。インドは、ガイダンスは単純かつボトムアップ型の各国主体のものとすべきだと述べた。アルゼンチンは、ガイダンスを特定することがプロセスをより効率的にすると認識した上で、柔軟性を維持するよう求めた。韓国は、共通かつ最小限の要素を支持した。

米国は、国家の意思決定プロセス、優先順位と行動に関する情報についての概要; 近い将来に向けた適応活動; 支援のニーズを盛り込むことを提案した。

LDCsは、グローバル・ストックテイクと透明性の関係性を指摘し、適応報告書は情報源であると述べた。インドネシアは、グローバル・ストックテイクと透明性のそれを含め、モダリティ、手続き、ガイドラインを並行して整備する案を支持した。

日本は、NDCsやNAPs、国別報告書の存在を考慮し、報告書の新たなタイプは必要でないと強調し、ガイダンスによって報告に盛り込むべき項目を強制的ではなく、推奨することが可能だと提案した。

LMDCsは、適応報告書の自主的で任意裁量的な性質を尊重することによってバランスを維持することはできると述べた。

ノルウェーは、世界目標の進展をたどることができるようにするために十分な詳細を詰めることを求めた。メキシコは、生態系に基づくアプローチを求めた。

AILACは、適応の要素を備えたINDCsの数を受け、共通要素を抽出したテクニカルペーパーの作成を推奨し、これを事務局に要請した。

パリ協定13条に記された行動・支援の透明性枠組みのモダリティ・手続き・ガイドライン: Tyndall共同議長が締約国に議論を促した項目は以下の通り: 現行のMRVから学んだ経験や教訓、それらによって、いかに行動・支援の透明性枠組みの強化に向けた基盤づくりができるか; 途上国向けの柔軟性の構成要素は何か、ならびに完全かつ効果的な参加を担保するべくモダリティ・手続き・ガイドラインを通じて、いかに柔軟性を適用できるか等。

経験と教訓については、 南アフリカが、アフリカン・グループの立場から、 透明なやり方で報告することよりも、定期的に報告することから始める方が重要だと述べ、モダリティの策定においては全ての締約国が次の点〔柔軟性; キャパシティビルディングのニーズ; パリ協定のその他関連条項との相関関係(ブラジルとの共同提案)〕を考慮しなければならないと示唆した。米国は、ノルウェーの支持を受け、報告とレビューは能力構築の機会であると主張した。

ペルーは、AILACの立場から、ベースライン構築のためにREDD+の経験は有用であるとし、透明性枠組みのモダリティ・手続き・ガイドラインがREDD+ガイドラインより優先されることはないと述べた。

日本、 カナダ、 ノルウェーをはじめとする国々は、FSVが能力のギャップや課題について教育する内容になっていると指摘した。ブラジルは、 FSVの教訓のひとつは、より一般的なガイダンスは「柔軟性」と同義ではないが、詳細なガイダンスの方が実施やレビューに役立つと述べた。

メキシコは、適応に関する技術的な作業を適応委員会と後発開発途上国向け専門家グループ(LEG)に託すことを提案し、支援の透明性に関するガイダンスの必要性に注意を払うよう求めた。イランは、実施手段(MOI)に関する包括的な報告書作成と途上国向け支援の動員が必要だと強調した。

コンゴ民主共和国は、LDCsの立場から、MRV制度における測定・検証・算定(アカウンティング)の対象について明確なガイドライン作りを求め、気候資金の供与に関して運用上の定義についての合意を求めた。

セントルシアは、特に、共通報告様式と共通のIPCCガイドラインと測定基準の活用を求めた。

柔軟性については、透明性枠組みの設計において長期にわたる改善を続けるという原則を援用する案を多くの締約国が支持した。モルディブは、AOSISの立場から、長期にわたる各国の能力改善を担保すべきだと強調した。ニュージーランドは、IPCCの段階的アプローチ活用に学ぶことを提案した。

インドは、 LMDCsの立場から、透明性枠組みに関する差異化の特徴を強調しつつ、差異化の運用開始とCBDRRC原則、ならびにモダリティ・手続き・ガイドラインにおける秩序ある統合された柔軟性を求めた。サウジアラビアは、柔軟性について、秩序ある導入と現行ガイドラインに組み込まれた柔軟性という2階層があると指摘した。

EUとノルウェーは、一般的なレベルで柔軟性を導入することに反対した。米国は、共通の手続きとの関係の中でのみ柔軟性について議論することができるとし、ノルウェーとともに、それは各国の能力次第であると述べた。オーストラリアとEUは、後発開発途上国(LDCs)と小島嶼開発途上国(SIDS)に対しても柔軟性を拡大適用することを支持した。

アフリカン・グループは、特に、透明性枠組みへの効果的参加という途上国の政治的な意思について強調した。

作業方式については、多くの締約国が集中的な意見提出を支持した。カナダは、マラケシュで技術的な作業を開始すべきとの案を出した。日本は、作業計画づくりを求めた。サウジアラビアは、現時点での意見提出に反対を唱え、コンタクトグループか非公式協議での作業を提案した。

パリ協定14条に記されたグローバル・ストックテイク関連問題: Baashan共同議長が提示した論点は以下の通り: グローバル・ストックテイクへのインプット; 単純さや重要性、主体性、包括性などへのニーズに配慮したグローバル・ストックテイクの実施法; グローバル・ストックテイクと2018年促進ダイアログとの関連があれば、その関連性。

グローバル・ストックテイクへのインプットについては、多くの締約国が報告書について、IPCC報告書や、条約に基づく諸機関、補助機関などについて述べた。また、多くが、緩和と適応、MOIによってインプット内容は変わると指摘した。

コロンビアは、AILACの立場から、グローバル・ストックテイクとIPCCの評価報告書のサイクルをリンクさせることを提案した。グレナダは、地域情報について言及した。インドネシア、日本、ノルウェー、ニュージーランドは、国家以外の主体によるインプットを検討するよう求めた。

クウェートは、 G-77/中国の立場から、 NDCsに関する全体的な評価(アセス)と支援の動員に関する情報について強調した。日本は、GEFとGCFからの情報を指摘した。EUとスイスは、透明性枠組みのアウトプットについて言及した。インド、アルゼンチン、ノルウェーは、適応支援の状況を盛り込むよう求めた。ブラジルは、グローバル・ストックテイクにおける衡平性の評価に必要なインプットの検討を要請した。

ヨルダンは、 LMDCsの立場から、決定書1/CP.21 (パリの成果)の中で列挙された項目に加える情報について意見提出を提案した。

グローバル・ストックテイク実施法については、 EUが、「機能」から始まる形式とし、緩和、適応、MOIに関する異なる性質に合わせてバランスの取れたプロセスにすべきだと述べた。

ボツワナは、アフリカン・グループの立場で、インドネシアとともに、十分に検討する時間がとれるように情報提供すべきだと述べた。EU、グレナダ、ノルウェー、ニュージーランド、ベトナムは、技術と政治について別々のプロセスにするよう提案したが、サウジアラビアが反対した。

多くの国が、2013-2015年レビューに関する専門家対話(SED)に学ぶことを提案したが、サウジアラビアが反対した。インドは、2013-2015年レビューは緩和の取組みに関する評価が中心だと述べた。

アウトプットについては、 グレナダとソロモン諸島が、LDCsの立場から、各締約国が自国のNDCs作成においてアウトプットの中間点検を行えるよう2023年にグローバル・ストックテイクを完了すべきだと強調した。LMDCsは、2023年以降、ハイレベルのラウンドテーブルに関するサマリー・レポートを発行することを提案した。AILACは、グローバル・ストックテイクのアウトプットはパリ協定締約国会合(CMA)で審議すべきだと提案した。カナダとEUは、2023年のハイレベルな“政治的瞬間(political moment)”を示唆した。

インドは、グローバル・ストックテイクの設計に関する意見提出案と事務局による雑文書(miscellaneous document)作成案に支持を表明した。

グローバル・ストックテイクと2018年促進ダイアログとの関係については、促進ダイアログとグローバル・ストックテイクの対象範囲が異なるものの、後者は前者から学習できるという一般認識があった。LDCsは、ダイアログは各国の野心強化の機会になると述べた。インドは、ダイアログは、衡平性や持続可能な開発、貧困撲滅の取組みが緩和の取組みの中でいかに考慮されているかという問題を取り上げるべきだと述べた。アルゼンチンは、ダイアログでパリ協定の早期発効の可能性を検討すべきだと提案した。

SBSTA

農業: SBSTA 44で成し遂げた作業を反映させることを意図した結論書草案 [ワークショップ・レポートの検討; 締約国とオブザーバーから提出された意見についての留意;2回のインセッション・ワークショップ; SBSTA 45でのワークショップ・レポートの検討継続についての合意] について審議が行われた。ある途上国グループは、“条約の目的や原則、規定を踏まえて、条約9条を想起し” という一文を、SBSTA 40で決定した通り、科学的・技術的な作業をSBSTAが継続したことを記したパラグラフに挿入することを提案した。しかし、これに対して、先進国が反対を唱え、本件は未決となった。

科学とレビューに関する諸問題: グローバル・ストックテイクに対するIPCC評価報告書の助言のありかた: 非公式協議において、2つの締約国が〔過去の経験からの学びに関連して2013-2015年レビューに関するSED; 今次会議のSBSTA-IPCC特別イベントに関するSBSTA議長レポート; COP 21で採択された、1.5°C シナリオを含む研究上のギャップ解決に向けた科学コミュニティーへの奨励〕に言及することに反対を唱えた。2013-2015年レビューについては、脚注で言及することで締約国が合意。また、特別イベントでの“情報交換” についても合意した。しかし、科学コミュニティーへの奨励について記載することについては合意に至らず、夕方から非公式の非公式会合を開いて審議が行われた。

CDMのモダリティ・手続きに関するレビュー: 非公式協議では、前回の協議で聴取した多様な意見を考慮に入れつつ、共同進行役が提示した結論書草案について、締約国による再検討が行われた。テキストに盛り込まれたバランスと妥協点は概ね好意的に受け止められたが、締約国が提出した意見書について脚注に直接リンクを貼って盛り込むべきか否かという点で意見は分かれ、リンクは削除すべきだとの意見も出た。また、一部の締約国が結論書に盛り込む必要があると感じているモダリティ・手続きの変更は、結論書には見当たらず、これらの意見書の中に見つけられたとして、意見書の検索法についてもっと直接明確に示すべきだとの意見も出た。結局、意見書にリンクを貼った共同進行役の原案で締約国の合意が得られた。

SBI

パリ協定4条12項 (NDC登録簿)に記された公開登録簿の運用・利用に向けたモダリティ・手続き: 結論書草案に関する非公式協議では次のパラグラフに関して集中的な議論が行われた。〔SBI 44で本項目に関して締約国から表明された締約国の諸見解に留意; 登録簿に関する作業の関連性(リンケージ)についてSBIとAPAの2つの議題項目の下にある問題の箇所に記載〕

長時間の議論の末、 リンケージに関するパラグラフを削除し、 “SBIの議題項目6と APAとの”リンケージについての記載を締約国の見解に留意するとしたパラグラフの中で追加することが決定した。

また、“事務局は、適切な場合、暫定登録簿の改善を続ける”ことを認識したテキストを追加することも決定した。

公開登録簿(public registry)については、パラグラフ素案に定冠詞 “the” または不定冠詞“a”をつけて記載するかという問題をめぐって二カ国が同意しなかったため、Madeleine Diouf Sarr共同進行役 (セネガル) が本件に関して締約国間で協議するよう促し、結論書草案に関する最終案はSBI閉会プレナリーで提出すると述べた。

ジェンダー: 結論書草案についての非公式協議で、 リマ作業計画用の資金不足についての言及を削除する案が出されたが、これに対する反対意見もあった。ある国が、“各国の国情次第で”という文言を追加し、SBI45でCOP 22向けの決定書草案を作成するという記載や結論書草案に各国が添付したインプットについての記載を削除することを提案した。いくつかの国による提案で、各国の国情に関する記載を残すこと、妥協案として決定書草案に添付について言及しないとの案が出された。これらの未解決問題については合意が成立せず、Martin Hession共同進行役 (EU)は、合意に向けて更なる時間を確保するため、SBI議長に報告する。

SBSTA/SBI

対応措置: 午前の非公式協議で、作業計画に関する共同進行役の修正提案(第3版)の検討を行った。その中で、構成要素やタイムライン、成果物などの検討が行われた。ケーススタディを通じた意見と経験の共有については、具体化させることに反対し、パリの成果である決定書から出されたガイダンスについて一般的に記載する方がよいとの意見がある締約国から出された。同じく、多くの締約国が意見提出を招請することに同意したが、意見書の範囲について、もっと全般的なフレームにした方がよいとの意見がいくつかの国が出された。

ワークショップについては、会期と会期の間隙にワークショップを開催するのが良いとの意見がいくつかの締約国から出された。それによって、参加者が限定され、予算的にも影響が出るとの懸念も生じるため、会期中にワークショップを開催する、及び/またはCOP 22での発表イベントとする方がよいとの意見も出された。

その後のコンタクトグループでは、結論書草案についての議論が行われた。 SBIのTomasz Chruszczow議長は、この項目は“経済移行期に入り、持続可能な開発を行う” 多くの国にとって重要だと指摘した。SBSTAのCarlos Fuller議長は、 フォーラムに関するパリ協定のモダリティ、作業計画、機能についての結論を歓迎し、改善されたフォーラムと作業計画における進展を奨励した。バーレーンは、G77/中国の立場で、南アフリカは、アフリカン・グループの立場で、全ての小項目の結論をパッケージとして一緒に検討する意向を示した。その後、作業計画の要素に関する審議が続けられたが、今後も議論は継続する。

適応に関するTEM: 適応行動の実施強化: Farhana Yamin(Track 0 /Chatham House)が進行役を務めた。適応の実施については、パネリスト達は、水-気象システムとその他のデータシステムとの連携といった情報システムの役割やどのような作物や慣行を選択すべきか助言を与える自動ウェザー・ステーションに焦点をあてて紹介した。多くのセクターの視点へとシフトするためのガバナンス制度の必要性や政治改革への取組み、ならびにマルチなレベルでのガバナンスや複数の利害関係者間の合同意思決定などの関与が必要であるとパネリスト数名が指摘した。あるスピーカーが、民間セクターの関与を、また別のスピーカーが、新たな気候レジリエントなビジネスモデルの設計が必要だと強調した。多くの参加者が、ランドスケープ・プランニング(土地景観づくり)を含む、状況的アプローチ(contextual approach)に焦点をあてた。

不適応リスクに特化した議論が行われ、水害多発地域の建物や気候変動と市場原理の両方に影響を受けやすい換金作物の作付け、短期的に食料安全保障を増強させるような帯水層枯渇などのテーマが注目された。また、気候変動のデータや情報は、不適応を減じるために利用可能かつアクセスしやすいものとする必要があるとし、技術は現行システムの効率を最大化して、リスク評価を行うことが可能であると強調された。また、水の可用性が適応と開発にとって根本的に重要な問題であるとの指摘が多かった。

その後の分科会では、資金や技術、キャパシティビルディングへの支援、適応行動の実施を加速化させるための機会とオプションについて話合いが行われた。午後からは、模倣しやすい優良事例(グッドプラクティス)や支援、パートナーシップを含め、適応行動の実施を加速化させるための機会についての議論が行われた。

廊下にて

火曜日のボン世界会議場にはどんよりとした雲がかかり、陰鬱な天気が協議の場にも入りこんできたようだった。各国の政府代表は補助機関の両議長が定めた水曜日のデッドラインまでに懸案の議題項目を消化する作業に取り組んだが、張り詰めた雰囲気が根強く残った。ある参加者は、一部の国がパリ協定のどの部分に食い込むか“えり好み”していることへの苛立ちを露わにした。 また、別の参加者は、従来からの対立構造がまた表面化して、技術的な作業が遅れていると指摘した。

科学-政策のインターフェース等のテーマをめぐり、ご存じの根強い意見対立が再浮上。「仮にSB 44で進展が加速しなければ、パリ以降、マラケシュで締約国が再集結するまで何も仕事がない状態で一年を費やすことになるまいか」と心配する声も聞かれた。他方、非公式協議の場で、テクニカルペーパーやワークショップ、意見書提出、対話、利害関係者の行動などを求める声が沸き起こっていたのは、COP 22に向けて、そしてCOP 22会期にも、重要な仕事の準備に入るとの期待を知らせる合図だとして、ネガティブな見方を一蹴する声も聞かれた。

火曜日夕刻。議長国フランスとモロッコ主催による損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズムの特別イベントが開催され、「今回の会議で損失・被害のテーマが完全に消えたのではなかった」とオブザーバーらは歓迎していた。レジリエンス支援や保険、リスク管理、ジェンダーへの対応、その他諸々について豊富な事例をもつNGOsやIGOs は、自分たちの実践事例を紹介。国以外の主体が提供する幅広いソリューションが現在進行中で展開されているのだと、参加者は高揚感をもってイベント会場をあとにした。とはいえ、非国家主体の参加者は、この重大事にCOP 22がどのように取り組むのか、解を求めたいという気持ちを抱きつつ、会場を離れた。

(IGES-GISPRI仮訳)

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