Summary report, 28 March 2017

45th Session of the IPCC (IPCC-45)

気候変動に関する政府間パネルの第45回総会(IPCC-45)は、2017年3月28-31日、メキシコのグアダラハラで開催され、100か国以上から約320名の出席者が集まった。IPCCの議題には次が含まれた:気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸上生態系の温室効果ガス・フラックスに関する特別報告書の概要;気候変動、海洋、雪氷圏に関する特別報告書の概要;IPCC奨学金プログラム;2017年、2018年、2019年、2020年のIPCCプログラム及び予算並びに資源動員。IPCC-45では、次に関する報告も受けた:コミュニケーション及びアウトリーチ活動;IPCCのカーボン・フットプリント;影響及び気候分析のデータ並びにシナリオ支援に関するタスク・グループ(TGICA)の今後;第6次評価報告書(AR6)の戦略計画スケジュール。これに加え、パネルでは、短命気候強制力の検討というメキシコ提出の提案についても議論した。IPCCは、次に関する決定書を採択した:「気候変動と土地:気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸上生態系の温室効果ガス・フラックスに関するIPCC特別報告書」;「変動する気候の下での海洋及び雪氷圏に関するIPCC特別報告書」;IPCC信託基金プログラム及び予算。さらに、パネルは、IPCCの資金安定化に関する特別タスクグループの創設も決定し、その委託条件でも合意した。

IPCC略史

IPCCは、人為的気候変動や潜在的な影響、適応策や緩和策の理解に関する科学的、技術的、社会経済的な情報を、総合的で客観的、開放的、かつ透明性のある形で評価することを目的とし、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が設立した。IPCCは、195カ国が加盟する政府間の科学的組織である。IPCC自体では新たな研究は行わず、気候関連データのモニタリングを実施しない代わりに、ピアレビューを受けた公表済みの科学技術文献に基づいて気候変動分野の知識の状況評価を行う。IPCCの報告書は、政策との関連性をもつよう志向するが、特定の政策を推奨するものではない。

IPCCには3つの作業部会(WGs)がある。作業部会I (WG I)は気候変動の自然科学的根拠について、作業部会II(WG II)は気候変動の影響、適応、脆弱性について、作業部会III(WG III)は温室効果ガス(GHG)排出量の抑制や気候変動の緩和策を議論する。各部会は2名の共同議長と6名の副議長を有するが、第5次評価報告サイクルでは例外的にWG IIIが共同議長3名を置いた。共同議長はパネルから託された作業部会に対する規約の順守を指導し、これの実施においてはテクニカルサポートユニット(TSUs)の支援を受ける。

さらに、IPCCは、IPCC国別GHGインベントリ・プログラムを監督するための国別GHGインベントリに関するタスクフォース(TFI)を有し、これも他と同様にTSUの支援を受ける。このプログラムは、国別GHGの排出量と除去量を計算し、報告するため、国際合意を受けた方法論とソフトウェアを開発、精緻化し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国による利用推進を目指している。

IPCCのパネルは、IPCC評価報告書の作成にあたる約5~7年の評価サイクル全期を担当する議長団を選出する。議長団(ビューロー)は、全ての地域を代表する気候変動の専門家で構成され、IPCC議長を支援し、IPCCの業務を計画立案し、調整を図り、監視する。現在、議長団はIPCC議長と副議長、各WGの共同議長と副議長、TFI共同議長とその議長団を含む34名のメンバーで構成されている。2011年、IPCC会議間隙中の業務を支援し、WGs間の調整を図る目的で、執行委員会(ExComm)が設立された。ExCommは、IPCC議長、IPCC副議長、各WG及びTFIの共同議長、ならびにIPCC事務局長と4つのTSUsの長を含める諮問メンバーで構成される。IPCC事務局はスイス・ジュネーブに設置され、世界気象機関(WMO)が主管組織となっている。

IPCCの成果物:IPCCは発足以来、数々の評価報告書、特別報告書(SRs)、テクニカル・ペーパーを作成、気候変動に関する科学情報を国際社会に提供し、専門家と政府による徹底したレビュー(査読)を受けてきた。

IPCC第1次評価報告書は1990年に完成、第2次評価報告書は1995年、第3次評価報告書は2001年、第4次評価報告書(AR4)は2007年、第5次評価報告書(AR5)は2014年に完成した。評価報告書は現在、作業部会ごとの報告書をまとめた三部構成となっている。各作業部会の評価報告書は、政策決定者向け要約(SPM: Summary for Policymakers)、技術要約(Technical Summary)、その基礎となる評価報告書の本文で構成される。各報告書の全セクションは徹底した3段階の査読プロセスを受ける。1回目は専門家による査読、2回目は専門家及び政府による査読、3回目は政府の査読である。その後、SPMはそれぞれ担当のWGにおける行ごとの承認を受ける。続いて、評価報告書全体を対象とする統合報告書 (SYR:Synthesis Report)が作成され、3つの作業部会の報告書で最も重要度の高い項目をまとめ、その後パネルでSYRのSPMについて行単位の承認を行う。

IPCCはこれらの総合評価報告書に加え、気候変動に関する特定の問題に注目した特別報告書(SRs)や方法論に関する報告書(メソドロジー・レポート)、テクニカル・ペーパー等を作成する。これまでに以下のテーマに関する特別報告書(SRs)が作成された。土地利用・土地利用変化・森林 (2000年)、二酸化炭素回収・貯留 (2005年)、再生可能エネルギー資源と気候変動の緩和 (SREN) (2011年)、気候変動の適応推進を目的とする極端な現象及び災害のリスク管理 (SREX) (2011年)。また、テクニカル・ペーパーとしては、気候変動と水(2008年)に関する報告書などがある。

さらに、IPCCは、各国のGHGs報告書の作成を支援するため、方法論報告書やガイドラインも作成している。グッド・プラクティス・ガイダンス報告書は2000年と2003年にパネルの承認を受け、国別GHGインベントリに関するIPCCガイドライン最新版 (2006年IPCCガイドライン)については2006年に承認された。また、IPCCは、2006年国別GHGインベントリ・ガイドラインに対する2013年追補:湿地(湿地追補)を採択。京都議定書補足的方法論グッド・プラクティス・ガイダンス2013年改訂版(KP補足文書)も採択した。

また、2007年12月には「人為的気候変動に関する多くの知識を構築し、普及し、変化に対応するために必要な基礎を築く」というIPCCの業務と取組みに対して、IPCCは米国のアル・ゴア前副大統領と共同でノーベル平和賞を授与された。

インターアカデミーカウンシル(IAC)のレビュー:第4次評価報告書(AR4)の記述の不正確さに関する社会の批判やIPCCパネルの対応への世論の不満を受けて、国連事務総長Ban Ki-moon及びIPCC議長Rajendra Pachauri(インド)は、IACに対し、IPCCのプロセスと手順に関する第三者レビューを行い、IPCCの強化やIPCCの報告書の質を確保するための勧告を行うよう要請した。

IACは、2010年8月の報告書においてレビュー結果を提示し、特に次の項目(IPCCのマネジメント体制;危機管理対応を含むコミュニケーション戦略;参加者の選定基準や評価対象の科学技術情報の種別等における透明性;各WGにおける不確実性の定義における一貫性)に関する勧告を行った。

IPCC-32総会(2010年10月11-14日、韓国・釜山)でIACレビューの勧告について議論された。この問題に関して、パネルは、灰色文献や不確実性の扱い、過去の報告書中の誤謬を議論するプロセス等について多数の決議を採択。また、さらに精査が必要な勧告に関しては、プロセスと手順、コミュニケーション、COI(利害相反)政策、ガバナンスとマネジメントに関するタスクグループを設立した。

IPCC-33総会(2011年5月10-13日、アラブ首長国連邦・アブダビ)では主にIACレビューのフォローアップに焦点が当てられた。パネルはExCommを設立し、COI政策を採択。IPCC報告書の手順に関して数カ所を変更した。

IPCC-34総会(2011年11月18-19日、ウガンダ・カンパラ)では、IPCC報告書の作成、査読、受理、採択、承認、刊行に関する改定手続き書が採択されたほか、COI政策に関する実施手順及び情報公開フォームも採択された。

IPCC-35総会(2012年6月6-9日、スイス・ジュネーブ)では、IPCC事務局及びTSUsの機能を承認、コミュニケーション戦略を承認し、これをもってIACレビューの勧告に関するパネル審議を終了した。

WGI-12及びIPCC-36総会(2013年9月23-26日、スウェーデン・ストックホルム)において、WGIは、AR5における同部会の報告書「気候変動2013年:自然科学的根拠」を最終決定した。その後のパネルで、WGI SPMを承認し、技術要約及び付属書を含む報告書本体を受理した。

IPCC-37総会(2013年10月14-17日、ジョージア・バツミ)で、IPCCの将来の作業に関するタスクグループ(TGF)の設置を決定した。さらに、2つの方法論報告書、湿地に関する追補、KP補足文書を検討・採択した。また、IPCCは、IPCCの将来計画に関する初期段階の議論を行った。

WGII-10及びIPCC-38総会 (2014年3月25-29日、日本・横浜)で、AR5のWGII報告書「気候変動2014年:影響、適応、脆弱性」を最終決定した。その後パネルは、WGII SPMを承認し、技術要約及び付属書を含める報告書本文を受理した。

WGIII-12及びIPCC-39総会(2014年4月7-12日、ドイツ・ベルリン)で、AR5のWGIII報告書「気候変動2014年:気候変動の緩和」を最終決定した。その後、WGIII SPMを承認、技術要約及び付属書を含める報告書を受理した上で、COPとIPCCの将来作業等について議論した。

IPCC-40:総会(2014年10月27日-11月1日、デンマーク・コペンハーゲン)は、IPCCの3つのWGsの知見をまとめたSYRについて検討し、最終決定した。さらに、SYRのSPMについて行単位の承認作業を行い、長文のSYRについてはセクション単位で採択を行った。

IPCC-41総会(2015年2月24-27日、ケニア・ナイロビ)では、TGFに関する提案などを含むIPCCの今後の作業について議論し、IPCC議長団及びTFI議長団(TFB)の規模や体制、構成等を決定した。また、IPCCの成果物や発行時期、有用性、IPCCの体制、IPCC事務局やIPCC TSUsの各役割、調整役代表執筆者(CLA)、代表執筆者(LA)の選抜及び支援に関するオプション、執筆・査読プロセスの改善等についての決定書も採択した。また、IPCCのPachauri議長の辞任を受け、IPCC-42でIPCC新議長が選出されるまでの議長代行としてIsmail El Gizouli(スーダン)が任命された。

IPCC-42総会(2015年10月5-8日、クロアチア・ドゥブロブニク)では、IPCC議長、IPCC副議長、WG及びTFB共同議長、WGs副議長とTFBのメンバーを含めるIPCC議長団メンバーならびにTFBを選出した。パネルは、Hoesung Lee (韓国)を第6次評価サイクルのIPCC議長に選出した。

IPCC-43総会(2016年4月11-13日、ケニア・ナイロビ)では、第6次評価報告書(AR6)についてSRsや戦略計画も含めた議論を行った。また、IPCC-43は、3つのテーマに関する特別報告書(SRs)の作成に合意。「産業革命前の水準比で地球が1.5℃温暖化する場合の影響と関連する世界のGHG排出経路」、「気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、及び陸域生態系におけるGHGフラックス」、「気候変動と海洋、雪氷圏」に関する特別報告書を作成することとなった。さらに、次回の評価サイクルにおいて、都市に関する特別報告書も準備することで合意した。

IPCC-44総会(2016年10月17-21日、タイ・バンコク)では、気候変動の脅威や持続可能な開発、貧困撲滅に対する世界の対策強化に照らして、「産業革命前の水準比で地球が1.5℃温暖化する場合の影響と関連する世界のGHG排出経路」に関する特別報告書(SR15)の骨子に関する決定書を採択した。また、国別GHGインベントリに関する2006年IPCCガイドラインの精緻化に向けた方法論報告書の骨子に関する決定書も採択した。さらに、IPCCは、緩和や持続可能性、気候安定化シナリオに関する専門家会合、コミュニケーション及びスコーピング・プロセス、TGICAの将来、IPCCのコミュニケーション戦略の再検討、ならびに気候変動と都市に関するワークショップについて決定書を採択した。

IPCC-45レポート

3月28日(火)、IPCC議長のHoesung Lee (韓国)が第45回総会を開会した。産業革命前と比べ気温が1.1℃上昇した2016年は観測史上最も温暖な年となったとする世界の気候の現状に関するWMO報告書の知見を引用しつつ、気候変動の影響やリスク、対応策の理解を助けるIPCCの取組みの緊急性について強調した。また、IPCCが作業を継続するためAR5で指摘された知識の格差を埋める科学研究投資を行うよう各国政府に要請した。

WMO事務局長代理Elena Manaenkovaは、WMOとIPCCの業務の相乗効果、補完性、共便益について強調し、「気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、及び陸域生態系におけるGHGフラックスに関する特別報告書(SRCCL)」、及び「気候変動と海洋、雪氷圏に関する特別報告書(SROCC)」はWMOのモデリング及び予測にとって重要不可欠だと強調した。

メキシコ外務省のMiguel Ruiz Cabañas Izquierdoは、政策決定者が産業革命前と比べた気温上昇幅を1.5℃未満に抑制するための野心的な行動を講じるための科学的な評価基準を設定するために取り組むというメキシコ政府の公約について強調し、国際社会がIPCCの作業を支援し、気候変動に関するパリ協定の目標を達成するための多国間外交の役割を擁護するよう呼びかけた。

UNEP(国連環境計画)事務局次長のIbrahim Thiawは、いくつかの観測記録や気候の影響の概要について述べ、“これが紛争の火種となって膨大な難民流入を起こす恐れがあることは明白”との結論を示した。また、パリ協定と持続可能な開発に関する2030年のアジェンダが行動に関するロードマップとなり、明確かつアクセスしやすい科学やあらゆる規模のリーダーシップを通じて現下の機運を踏まえIPCCの財政難を解決し、行動を起こすよう各国政府に要請した。

UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、パリ協定が気候中立性を回復させ、気温上昇幅を1.5℃近傍で抑えるための“実施”の時代の始まりだと伝えるビデオメッセージを寄せた。また、IPCCはこうした取組みの礎を築いたとしながらも、エビデンスに基づく意思決定を介してパリ協定の実施という行動と持続可能な開発目標に関して期待される成果との間を相互に関連づける必要があるとしてIPCCの現行及び将来の作業について強調した。

メキシコ天然資源環境相のRafael Pacchiano Alamánは、Peña Nieto墨大統領の代理として、参加者に歓迎の辞を述べた。また、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を22%、ブラックカーボンを50%削減するという政府公約について強調しつつ、気候変動分野における同国のリーダーシップと気候変動に対する脆弱性について強調した。また、化石燃料補助金の撤廃やクリーンエネルギー証書を通じた低炭素エネルギー奨励等を盛り込んだメキシコの公約を達成するための行動について言及した。

メキシコ・ハリスコ州知事のJorge Aristóteles Sandoval Díazは、気候変動は安全保障問題であると強調し、科学に基づく専門家の提言に従う必要があると力説した。また、米国の大統領について非難し、軍事費の増大や化石燃料産業の推進等、気候変動に対する行動を後退させ“逆向きの措置”を講じていると断じた。他方、メキシコ・ハリスコ州はIPCCの提言を支持していると述べ、気候変動の現実を否定するような“愚行”や産業界の利益に対して抵抗する最前線となっているIPCCの姿勢を支援すると強調した。その後、同州知事によるIPCC-45開会宣言が行われた。

議題採択

IPCCのLee議長から暫定議題 (IPCCXLV/Doc.1)が紹介された。

ニュージーランドは、SYRの戦略計画を早期に開始する必要があると指摘し、AR6スコーピング・プロセスに関する最新報告を要請した。

パネルは、この議題項目の下で戦略計画スケジュールを討議することで合意した。

サウジアラビアは、決定書 IPCC/XLIII-6 (AR6 報告書: 特別報告書)に反映された順序に従って、SROCCの前にSRCCLに着手する方が良いとの意見を表明した。SROCC 科学運営委員会(SSC) のKo Barrett は、プレナリーで採択された骨子の順序は会合の進展次第だと指摘した。そうした理解をもって、パネルはSROCCの前にSRCCLについて検討することで合意した。

フランスは、第7次評価サイクル中の作業とパリ協定に基づき想定されるグローバル・ストックテイクと整合させる提案について、2018年までの審議に向けてIPCCへの提出が期待されるとして検討を求めた。パネルは“その他の全案件”の議題の下で本件を取り上げることで合意した。

英国は、IPCCライブラリー設備に関する進展状況の報告とIPCC予算の検討のために許される時間を十分にとるよう要請した。パネルは“その他の全案件”の議題の下で本件を取り上げることで合意した。

ノルウェーは、メキシコ、チリとともに、TFIの作業として、短寿命気候強制力物質(SLCFs)の議論を含めるよう求めた。

IPCC のLee議長は“その他の全案件”の下で本件を取り上げるよう提案し、パネルの合意が得られた。

IPCCは上述の件やその他の些少な修正をもって議題を採択した。

IPCC44回総会の報告書案の承認

その後、IPCC議長によって紹介されたIPCC-44 報告書 (IPCC-XLV/Doc.5)はパネルで採択された。

IPCC 事業予算

資金動員: 28日(火)、IPCCの報告書の資金獲得のための関心を呼ぶべく事務局が提案している資金動員戦略案 (IPCCXLV/Doc.3)を紹介し、2017年予算900万CHFから開始して2022年までに5800万CHFの資金集めを目標としていると強調した。2008年以降、資金拠出額と拠出者数は着実に減少していて、上記の戦略はこうした趨勢を反転させる試みだと述べ、2016-2019年、2020-2022年の2段階で資金調達を行う意向を示した。

スウェーデンは、2017年の資金拠出額を110,000 CHFに増額し、さらに年末までに200万SEKの追加拠出を行うと発表した。フランス及びモロッコは、IPCCへの財政支援や現物出資を増やすと誓約した。

パネルは資金動員に対する外部の資金提供者の役割について異議を唱えた。

スウェーデンは、ドイツ、ベルギー、英国の支持を受け、IPCCは信頼性と中立性を担保するために各国の政府が中心となって資金を動員すべきだと主張した。

サウジアラビアは、韓国、バハマ、ザンビアとともに、「善行を欲する全てのものに広く門戸は開かれるべきだ」と述べ、IPCCの信頼性と中立性は外部から資金援助を受けても負の影響を受けるはずはないと対抗した。さらに、バハマは、一国で資金拠出が不能となる場合、外部からの資金提供を模索可能であると言い添えて、戦略文書は既にIPCCの信頼性を担保していると指摘した。サウジアラビアは、南アフリカ、トリニダード・トバゴ、ザンビアとともに、ヒモつきの援助金が潜在的にIPCCの信頼性を毀損する可能性があると釘を刺した。

南アフリカは、ポーランド、トリニダード・トバゴ、ザンビアの支持を受け、各国の資金拠出と当該国のIPCCへの参加を結びつけないよう要請した。また、セネガルは、サウジアラビアを支持し、現在の出資国からの資金拠出を担保することに集中すべきだと提言した。

スイスは、“予測可能で充分な資金拠出”を実現するための策は、国連の標準的な慣行と同様、資金拠出額の明示的な規模を用いた“公平な分担率”で全てのIPCC加盟国が資金を貢献することだと強調した。

日本は、英国やポーランドの支持を受け、戦略が成功しない場合にどんな予算カットが実現可能なのか質問した。インドネシアとベルギーは、事務局予算はビューロー会合を通訳なしで実施することによって削減可能だと指摘した。

ポーランドは、IPCC予算の5-7割は出張費関連だと指摘した。WGIII 副議長 Diána Ürge-Vorsatzは、併催会合やビューロー会合の通訳サービス中止等によるコスト節減努力が潜在的な質の低下につながりかねないとの懸念を示した。

英国は、IPCCの財源の僅かな部分に貢献している慈善団体に開放することを表明し、IPCCで現在実施中の資金動員に関する情報を求めた。

ノルウェーは、どういった種類の組織を受け入れ可能なのか合意を求め、過度の規制はIPCCの業務に貢献したいという国々の意思を台無しにするとしてヒモつきの援助金問題の複雑さを指摘した。

ドイツは、これらの問題について会期間の検討部会を設置するよう提案した。フランスをはじめとする国々は、小部会でそうした部会に対する委託条件(ToR)をまとめることを提案した。IPCCのLee議長は、この提案を支持し、Thelma Krug副議長 及び Youba Sokona副議長が、IPCCの財政安定化に関するオープンアドホックグループ向け委託条件(ToR)をまとめる部会の共同議長を務めることを提案し、ToR作りの時間を求めた。

3月31日(金)午後、Krug議長はIPCCの資金安定性に関する特別タスク・グループ(ATG-Finance)向けのToRを紹介し、パネル承認を求めた。また、ToRの概要について説明し、ATG-Finance の目的はIPCC作業計画を予測可能で持続可能かつ充分に実施するための財政上の選択肢を提起することにあるとし、ATGのメンバーは資金タスクチーム (FiTT)共同議長及び中核メンバー、IPCC事務長及び副事務長で構成し、全ての政府代表に開放すると述べた。さらに、Krug及び Sokona両氏が共同議長を務めるATG-Finance グループの役割と責任については、現物出資を含む各国政府からの拠出金の増大や資金拠出国数の増加、国連の諸機関等からの資金を含めた追加資金動員策の模索、それによる利害相反や法的問題を考慮した潜在的な影響の評価や民間部門を含む潜在的な出資者の適格性に関する指針の提供等について詳述した。また、ATG-Finance は、作業計画案を作成するため、IPCC-45後FiTTと緊密に連携して速やかに作業を開始し、他の国際機関に学ぶ教訓等を含む進捗報告書をIPCC-46に提出すると説明し、そこでATGの任期について再検討することとした。

ベルギーは、ATG-Finance で資金安定化は実現できるとの期待を示し、IPCCが奨学金プログラム向け財源を拡大し、ATG-Finance による資金調達に関する幅広い取組みとリンクさせるべきだとするベルギーの提案を繰り返した。また、その点がToRに盛り込まれていないことに対して失望感を示した。ベルギーは、ガーナの支持を受け、ATG初回報告書の提出と奨学金プログラム信託理事会メンバー任命が行われるIPCC-46において本件を再検討するよう要請し、同理事会がATGと連携する役割を担わせることを求めた。

スウェーデンは、スイス及びガーナの支持を受け、資金源を選別する際にIPCCの風評リスクについてATG-Finance が検討するのか問うた。スイスは、IPCC全加盟国が公平にIPCCのプロセスに貢献すべきとの呼びかけを繰り返した。

その後、プレナリーでATG-Finance へのToRについて合意した。

事務局は28日(火)、IPCCパートナーシップ指針及び手続に関する文書 (IPCC-XLV/Doc.8)を紹介。政府や非政府組織、営利組織からの寄付を含む資金動員に関する選択肢ならびにIPCCの公平性と信頼性を担保するための基本理念等の概要を示した。

ドイツ、スウェーデン、フランスは、ATG-Finance で同文書を検討するよう要請し、パネルが合意した。

IPCC事務長のAbdalah Mokssitは活動計画の実施状況に関する情報文書(IPCC-XLV/INF.6)を紹介し、IPCC-44以降の資金動員に関する進展をパネルに報告した。また、モンテネグロが初めて資金拠出国となり、マリが初めて資金拠出の誓約を行ったことに対して称賛を送り、そうした貢献の拡大に対してこれらの国々に感謝の意を示した。また、Mokssit事務長は“全員で一律に動員をかけないと成果は得られない”と強調し、IPCCの会合に専門家を参加させるための現物出資、IPCC会合を主催するための現物出資、未だ実施していない国々に対しては2017年の資金拠出ならびに可能ならば多年度にわたる資金拠出の誓約を行うよう各国に奨励した。

日本は、AR6サイクル向けにIPCCが想定する財政状況に関する詳細な情報を事務局からパネルに提供することが不可欠であると述べた。カナダは、IPCC全加盟国がリーダーシップを発揮し、資金動員に関するイノベーションを起こすよう求めた。マリは、同国が初めて誓約を行ったことを強調し、所定の資金額だけではなく、善意を示すことが重要だと述べた。

スイスは、“世界が参加し、全員に便益を供している”一方で、限られた数の出資国に依存することに警戒感を示した。スーダンは、さらなる資金動員策すべてについて検討するよう求めた。

ドイツからの質問に対し、IPCCのLee議長は、ATG-Finance に提出される改訂報告書の中に全ての提案やコメントがまとめられるとパネルに請け合った。

2017年、2018年、2019年、2020年の予算: 事務局は28日(火)、2016年の収支状況、2017年修正予算ならびに2018年、2019年、2020年の予算案について取り上げている議題項目 (IPCC-XLV/Doc.2)を紹介した。IPCCのLee議長は、FiTTに対し、会合を行って、決定に対する何らかの提言をもってプレナリー向けに報告を返すよう招請した。パネルは2017年修正予算を暫定的に承認し、2018年、2019年、2020年の予算案に留意した。

その他の案件: 2015年に発効した改訂出張規約 (IPCC-XLV/INF.3)及び2017年から実施されている新たな出張プロセスが事務局から紹介された。事務局は、財務的な損失を防ぐため、資金援助を受ける専門家に対しては、 出張が出来なくなった場合は出来るだけ前もって事務局に連絡するよう要請した。パネルは同文書について留意した。

プレナリーに対するFiTTの報告: FiTTのHelen Plume共同議長は31日(金)午後、FiTTが作成した決定書草案を提起した。その中で、ライブラリー施設運動を含むIPCC-44で承認された2016年-2017年の予算線の修正や103,000CHF増額、IPCC-44での承認額を15,800CHF増額する資金動員に関する予算線引上げ、SRCCL主管執筆者の出張日数調整と65,520CHFの増額対応について紹介した。また、作成中の報告書の本数を考慮した出張日数の追加要請について言及し、今後の予算への影響を勘案すると、AR6作業計画の実施が危うくなることを指摘した。短い議論の後、IPCC信託基金事業予算に関する決定書が採択された。

最終的な決定書: 最終的な決定書 (IPCC-XLV/CRP.4)の主な内容は、以下の通り。IPCC-44で承認を受けた予算案を改訂した修正予算案の承認;2018年、2019年、2020年の予算への留意; 加盟国によるIPCC信託基金への寄付金の維持・増額・開始を要請;事務局に対する予算・支出その他の予算項目の内訳に関する情報提供の継続及びAR5の開始以降の過去の年間支出表作成の要請; 予算の予測をもっと正確にするために過去の見積もりが超過してしまった原因の分析を行うよう事務局に対して要請;出張日数の検討等による信託基金向け費用を最小限にするようWGビューローに対して要請。

また、添付された付属書にはATG-Finance 向けToRが盛り込まれた。さらに、決定書には、2016年8-12月及び2016年1-7月の現物出資や活動リストも盛り込まれた。

オブザーバー組織の認可

3月28日(火)、事務局がこの議題項目 (IPCC-XLV/Doc.10)を紹介し、オブザーバーの資格を申請した8組織について紹介。アフリカ、カリブ海、太平洋諸国、国際社会科学協議会(ISSC)、国際エネルギー機関(IEA)、SILVA、Arbres、Forêts et Sociétésを含む申請組織の半数が既にUNFCCCに対するオブザーバー資格を有しており、追加資料の提出は不要だと指摘した。なお、その他の「農業における温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)や全米心理学会(APA)、Indian Institute for Human Settlements (IIHS)、及びカーネギー・カウンシルの4組織は追加資料を提出済みで、全8組織をオブザーバーとして認可することがパネルで合意された。

報告書

コミュニケーション及びアウトリーチ活動: 事務局は28日(火)、この議題項目(IPCC-XLV/INF.1)を紹介し、IPCC-44以降に実施されている活動の最新情報及び今後の一年の活動計画について報告した。また、 IPCCの影響力拡大やアウトリーチ向けとして認知されたノルウェーからの出資金拡大を目指したIPCCの作業に関して行われた最近のプレゼンテーションについて触れ、他の国も同様の貢献について検討するよう要請した。パネルは報告書に留意した。

IPCC カーボン・フットプリント: 事務局は28日(火)、本項目及びIPCC活動に関するカーボン・フットプリント削減の取組み拡大案 (IPCC-XLV/ Doc.4、 Rev.1)を紹介し、IPCCに対しては国連の環境マネジメントグループとの連携や複数の会議を1枚のチケットでカバーするためのバンドリング・ミッションの継続、実際に顔を突き合わせる会議よりもテレビ会議を活用する等の提案について説明した。また、排出量の数量化に向けたIPCCインベントリを含む、ビューローからの諸提案は有益だと述べた。パネルはこの報告書に留意した。

TGICAの将来: TGICA 共同議長 Bruce Hewitson は28日(火)、TGICA及びデータ配信センター(DDC)の現行の活動に関する進捗報告書(IPCC-XLV/INF.4、 Rev.1)を供した。その中で特に、気候影響・適応評価のためのシナリオデータの活用に関する全体的な指針の策定、研究成果に幅広くアクセスするための統合地域気候ダウンスケーリング計画 (CORDEX)との連携について言及した。また、現段階で設定されているTGICA最終会合は2017年6月または7月に実施する旨を発表し、特にアフリカにおけるDDC情報ダウンロード数の増加について指摘した。パネルは報告書に留意した。

TGICAの将来については、TGICAの将来に関するアドホック・タスクフォース(ATF-TGICA)のEdvin Aldrian共同議長がAR6期間中及び以降のTGICA の役務について再検討し、TGICAを改革するための戦略計画を策定する取組み(IPCC-XLV/INF.5)の概要を示した。また、TGICAと類似作業を行っている組織との作業重複や隙間について特定するマッピング作業が必要だと強調し、長期ビジョンと短期的な戦略を策定する必要があると訴えた。さらに、実現可能な国の資金拠出拡大策を含む組織機能を改革するために持続可能な財源を求めた。また、このプロセスにより、マッピング演習向けのアンケートが作成され、IPCC-46向けに現在分析中だと述べた。また、参加者には、積極的に貢献している“メンバー”と情報連絡が継続している“フレンド”の二種に分類されると指摘した。

スワジランドは、ATF-TGICAは少数の個人による形式的な承認作業となっており、自身がメンバーの一員としてATF-TGICAの作業に関する定期的な情報提供を受けていないことにも苛立ちを示したが、この発言はケニアの支持を受けた。また、一部の途上国メンバーが会合に参加できなかったことに失望感を示した。

ATF-TGICA 共同議長 Andreas Fischlinは、時差によって生じる参加の難しさを指摘した。ATF-TGICAのAldrian共同議長は、技術的な難しさを指摘し、途上国による参加のアンバランスについて言及した。また、ケニアと南アフリカの支持を受け、その他の途上国の参加者も積極的なメンバーになるよう求めた。ケニアはメンバーによる全てのアンケート回答結果を考慮し、コメントもしくは提案が受け入れられない場合はその理由を示すよう求めた。

ザンビアは、ATF-TGICAの成果をどう進めていくか、テレビ会議参加の情報は共有されるのか、マッピングにどれほどの比重をおくのか尋ねた。南アフリカの質問を受け、Fischlin共同議長は、IPCCの“フレンズ”はテレビ会議には参加可能だが、一回のテレビ会議に52名が参加するのは技術的に困難だと説明し、タスクフォースのToRだけはテレビ会議を認めるものの、全員がIPCC-45期間中に開催されるATF-TGICA会合に参加するよう奨励した。パネルは報告書に留意した。

戦略計画スケジュール: IPCC事務次長 Kerstin Stendahlが29日(水)午前、総会の議題や各総会の間の期間、SROCC及びSRCCL立案会合、代表執筆者(LA)会合、2021年の重複会合やパリ協定に基づくグローバル・ストックテイクとの整合性等に関してIPCC-44で寄せられた意見をまとめた改訂版の戦略計画スケジュール(IPCC-XLV/INF.8)を提起した。ドイツは、ルクセンブルグ及び中国の支持を受け、IPCC-50 及び IPCC- 51で開催予定のSROCC 及びSRCCL承認会合をそれぞれ2週間から3週間に延長可能か質問した。2017年10月には3回のLA会合があることに留意し、WGIII 共同議長 Jim Skeaは第2回SRCCLの代表執筆者(LA)会合を1週間後にずらして、同会合の開催地と地理的にも近い第3回SR15のLA会合と連続開催することを提案した。米国はこれらの問題を2019年-2021年の総会本会議において明確にするべく対応するよう求めた。ノルウェーは、2019年のIPCC総会のうち1回の本会議ではSYRに関する第2回スコーピング会合の結果について取り上げるよう要請した。

SR15については、WGI 共同議長 Valérie Masson-Delmotteが、WGII共同議長のHans-Otto Pörtner、WGIII共同議長のSkea、SR15 SSC議長及びIPCC副議長のThelma Krug、デンマーク、スイス、ニジェール、エルサルバドルの支持を受け、報告書の執筆陣に(5週間ではなく)6週間の執筆期間を与えるため、政府査読は(8週間ではなく)7週間とすることを提案した。ブラジルは、サウジアラビア、ガボン、モルディブ、インド、ベネズエラ、タンザニア、ザンビア、マレーシアの支持を受け、政府査読には8週間の期間をとる方が良いと主張。その理由として、途上国政府のニーズや、徹底した査読を行うべく報告書とその内容をよく理解するために英語以外の言語に翻訳する必要がある国々のニーズを挙げた。中国は、ニュージーランド、フランス、トーゴ、アイルランド、ノルウェー、コロンビア、セネガル等の支持を受け、執筆者と各国政府の双方に充分な時間を与えるには微妙なバランスが必要であり、柔軟性も必要だと指摘した。ノルウェーとコロンビアは、各国政府に報告書ドラフトや中間段階のドラフトを送る正確な日取りを設定することを提案した。

IPCCのLee議長は、AR6スコーピング・プロセスについて、2017年5月のAR6スコーピング会合から出てくる概要文書をIPCC-46で承認する予定になっていると説明。また、5月のスコーピング会合については、①議長のビジョン・ペーパー、②2017年4月13日に政府フォーカルポイント及びオブザーバー組織から受けとる予定の意見、③スコーピング会合ガイドライン、④科学と政策に関連深く返答を要する質問に対する各国政府の反応、という4文書を土台にして行うと述べた。また、スコーピング会合のプログラム詳細については、2017年4月第1週に作成予定だとし、第2回SYRスコーピング会合は2019年6月に開催、IPCC-50でSYR骨子を承認する予定だと述べた。

戦略計画スケジュール改訂版を作成するよう多くの国が要請した。ノルウェー、ドイツは、新たな戦略計画スケジュールを至急完了させるべきだと発言した。スイスは、パネルの作業のためにスケジュールは合意可能な基礎となるとし、軽微な調整のみに留めるべきだと主張した。また、Lee議長は、IPCC-46の前に利用できるようにするため、事務局が議論に留意し、各国からのスコーピング会合開催申し出を含む各種意見を改訂版スケジュールに組み込むべきだと提案し、パネルがこれに合意した。

第6次評価報告書の成果物

気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸域生態系のGHGフラックスに関する特別報告書(SRCCL)の概要:この議題項目(IPCC-XLV/Doc.7及びIPCC-XLV/INF.7)は、水曜日に第1回の審議が行われた。SRCCL SSC議長でIPCC副議長のYouba Sokonaは、スコーピング・プロセスに関し報告、IPCC-43におけるこのSR作成の決議に続き、2016年11月に、広範な専門分野を代表するスコーピング会議参加者の指名が最終決定されたと説明した。同副議長は、利害関係者向けアンケートを各国窓口及び関連組織に送付しており、この中には生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)、砂漠化防止条約(UNCCD)、世界食糧農業機関(FAO)が含まれる、このアンケートの結果は2017年2月にアイルランドで開催されたスコーピング会議の前に参加者に配布されたと指摘した。同副議長は、この会議から提起された概要は議事進行プロセスの成果であるが、自身は、査証を確保できず、この会議に出席できなかったと述べた。

SSC副議長でWG III副議長のAndy Reisingerは、利害関係者との協議で得られた広範な意見をスコーピング会議に伝えたと述べた。同副議長は、利害関係者との協議の一環として、気候変動、土地利用、食料安全保障に関するFAO-IPCC専門家会議が開催されたパネルに伝えた。

SRCCLの概要に関し、Reisinger副議長は、タイトルを「気候と土地:気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸域生態系のGHGフラックスに関するIPCC特別報告書(Climate and Land: IPCC Special Report on Climate Change, Desertification, Land Degradation, Sustainable Land Management, Food Security, and GHG Fluxes in Terrestrial Ecosystems)」にするとの提案に焦点を当て、これは長いタイトルと短いタイトルの両方というSR15で採用された方法を反映していると指摘した。同副議長は、概要で提案されている章の構成及び暫定的な作成スケジュールのあらましを示した。

その後の議論で、サウジアラビアは、ベネズエラ、ザンビア、エクアドル、エジプト、マダガスカル、マリ、キューバ、南アフリカ、タンザニア、その他多数の支持を得て、SRCCL SSC議長が査証を取得できず、スコーピング会議に出席できなかったことを嘆いた。同代表は、多数の先進国における厳格な査証発給規則が特に開発途上国からの参加者に影響を及ぼしていると指摘し、IPCCの役職者に対し事前に査証を確保するため、主催国との合意締結を求め、IPCCグループはこのような条件が整わない限り国連本部のある国で会合することを提案した。ベネズエラは、エクアドルと共に、一般的に言えば、開発途上国代表の会議出席は保証されるべきものだと述べ、マダガスカル及びタンザニアは、主催国は開発途上国からの参加者への査証発給を容易にすべきだと付言した。マリは、キューバ及びタンザニアの支持を得て、開発途上国の参加を妨げる困難な事態は会議において開発途上国の懸念に注意を向けることにも影響すると述べた。

このSRのタイトルに関し、参加者は、長いタイトル、短いタイトル、それともSR15の場合と同様長短両方の方式にするかで、意見が分かれた。ベネズエラは、スペインその他の支持を得て、「気候変動と土地(Climate Change and Land)」という「読者の注意を惹く(attention-grabbing)」短いタイトルを希望した。ノルウェー、ドミニカ共和国、ウクライナ、ニカラグアは、現在の報告書のタイトルは長すぎることで意見が一致した。キューバ、マダガスカル、タンザニア、サウジアラビア、ルクセンブルグ、その他は、提示されたとおりのタイトル(長短併記)を支持した。マリは、長いタイトルに「干ばつ(drought)」を追加するよう提案した。議長のSokonaは、ルクセンブルグ、ドイツ、トルコ、ハンガリーの支持を得て、長短両方のタイトルと短い非公式なタイトルの両方とすることの有用性を指摘した。

エクアドルは、ベルギー、オーストリア、チリ、マダガスカルの支持を得て、SRCCLのテクニカル・サマリー作成を提案した。一部のものは、これを全ての国連用語に翻訳するよう求めた。

ドミニカ共和国は、スイス、トルコ、イタリア、ノルウェー、ウクライナ、コートジボワール、その他の支持を得て、砂漠化の章の前に、土地劣化の章を置き、両者の重複を回避するよう提案した。コートジボワール、ニカラグア、マリは、砂漠化の章の中に干ばつへの言及を入れるよう求めた。

ポーランドは、ハンガリーの支持を得て、陸域生態系のGHGフラックスが報告書に十分反映されていないと嘆き、ベルギー、インド、米国、ノルウェー、ドミニカ共和国、ウクライナ、フランス、コートジボワールと共に、森林に一層の注意を払うよう要請した。

スイスは、米国の支持を得て、次を提案した:枠づけの章では「有限の資源である土地(land as a finite resource)」よりも「土地(land)」に言及する;明確かつ関連性のある地域の記述;土壌の質に特に注意を払う;新しいモデル形式がSRCCLでの予測にどう影響しうるかの考察。

南アフリカは次を求めた;土地劣化に関し、人間による作用要素を含めて、概念化を図る;林地及び草原を含める;土地改革及び土地保有に言及する。

ノルウェーは、インターリンク(interlinkages:相互作用)に関する章、及び発現リスク、意思決定、持続可能な開発(emergent risks, decision making and sustainable developmentに関する章では、それぞれ「気候リスク(climate risks)」及び「シナジー及び解決策(synergies and solutions)」に焦点を当てることを希望した。インターリンクの章に関し、ブラジルは、「土地に関する競争(competition for land)」という箇条書きを「異なるタイプの土地利用間の相互作用(interactions of different types of land use)」に置き換えることを希望した。ブラジルは、両方の章に事例研究を入れるよう提案した。

ドイツは、土地部門がパリ協定の目的達成に貢献できる方法を議論するよう求めた。ベルギー、ノルウェー、欧州連合(EU)、ルクセンブルグは、パリ協定への明確な言及も求めた。ルクセンブルグは、パリ協定を引用し、SRCCLと炭素吸収源との関係性を箇条書きに入れるよう提案した。ニカラグアは、これに同意せず、パリ協定への言及はIPCCの中立性を損なう可能性があり、これらの報告書では「科学に基づく政策決定における、科学的、技術的な側面を高めることの重要性(strengthening the science and technological aspects that are crucial for science-based policy making)」に焦点を当てるべきだと述べた。

韓国は、トルコと共に、2015年のUNCCDで合意された土地劣化ニュートラリティ(中性化)目標への言及を求めた。インドは、SRCCLの概要は生産現場に焦点をあてていると指摘し、自然の生態系により多くの注意を払うよう求めた。フランスは、森林と炭素回収努力との結びつきを強調した。キューバは、生態系と森林、及び干ばつと天候現象との関係をより明確に説明する必要があると強調した。ルクセンブルグは、生態系サービスへの言及を求めた。

土地と気候の相互作用に関する章について、日本は、土地と大気との相互作用を考察する表面にとどまらないモデル化手法を盛り込み、マイナスの排出で生じる緩和可能性に伴うシナジー及びトレードオフに注目することを提案した。

セントルシアは、トリニダード・トバゴ、ハイチ、キューバ、ドミニカの支持を得て、損失と被害を含めるよう求めた。セントルシア, トリニダード・トバゴ、米国、日本、フランス、ニカラグアは、食料安全保障への言及を支持した。ナイジェリアは、極端な天候現象と紛争(conflict)との結びつきに言及するよう求めた。セントルシアは、ニカラグアの支持を得て、損失と被害、淡水の利用可能性、極端な天候現象及び食料安全保障問題の相互の結びつきを指摘した。ハンガリーは、ドミニカ共和国及びトリニダード・トバゴの支持を得て、土地劣化におけるGHGsの役割への言及を含めることを希望した。

WWFは、特に次の点に焦点を当てるよう促した:森林の喪失並びに他の生態系への転換/劣化;炭素貯留源としての土壌の重要性;解決策、特に地域固有の解決策;生息地と生態系。

ベルギーは、インド、米国、ドミニカ共和国、フランス、EUの支持を得て、生物多様性への言及を入れるよう提案し、IPBESは類似の問題を扱っており、協力すれば努力の重複を避けられると指摘し、生物多様性への言及を入れることはSRCCLを包括的なものにする上でも必要であると強調した。

米国とサウジアラビアは、概要は暗示的な性質を持つと強調し、サウジアラビアは、構成の議論の蒸し返しに警鐘を鳴らした。ドイツは、パネルに対し、専門家が関連する重要な生態系の全てを含めると信用するよう求めた。

米国は、このSR全体を通し、気候変動の議論で技術及び市場が果たせる役割など、経済面を考察することも必要だと強調した。

インドと米国は、AR6と3つのSRsの間で概念が繰り返されることを回避する必要があると強調した。米国は、「AR6の成果物全体を通し、何も失なわれず、何も繰り返されない(nothing is lost and nothing is repeated across the AR6 products)」ことを確保するため、議長及び副議長(複数)は、このプロセスを効果的に指導するとの確信を表明した。

その後、SSCは、プレナリーで表明されたコメントに基づき、SRCCLの概要を推敲するため会合した。

木曜日午前中、SSC議長のSokonaは、SRCCLの概要の改訂版を提出し、20-30頁のテクニカル・サマリーへの言及を追加し、適応の限界などへの言及を含めていると指摘した。同議長は、特に次の項目への言及を新しく含めたと指摘した:枠づけや内容の下では、他の関連のIPCC報告書及び制度;土地―気候相互作用の下では、「自然の生態系及び管理された生態系(例、土壌、森林、その他の土地表面の形態)」における陸域GHGフラックス。同議長は、砂漠化の下では、干ばつなどの極端な現象、「エアロゾル及び塵の役割(the role of aerosols and dust)」を含める観測された影響及び予想される影響、生態系サービス及び社会―生態系システムに対する特定の影響、適応の限界などへの言及を追加したと指摘した。土地劣化の章に関し、同議長は、次の追加項目を指摘した:洪水、干ばつ、浸食を含める極端な現象と劣化との結びつき;土地の回復;生態系サービス及び社会―生態系システムに対し観測された影響及び予想される影響;適応の限界。

食料安全保障に関し、同議長は、特に、安価なこと、貿易及び市場、食料の供給及び需要に伴う緩和オプション、土地ベースの緩和オプションの影響などへの言及を指摘した。インターリンケージの章に関し、同議長は、報告書で扱う全ての題目と各章のタイトルとの間のインターリンケージの規定を指摘し、次の項目への言及を指摘した:「シナジー/トレードオフ/副次的効果/共同便益(synergies/trade-offs/side effects/co-benefits)」など、対応措置の「経済面及び社会面(economic and social dimensions)」;適応の限界;人為的な排出源と吸収源とのバランスをとる上での、森林、土壌、バイオマスの利用の役割;事例研究。リスクを論じる章について、同議長は、次の項目の追加に言及した:タイトルに、持続可能な開発と関係する「リスク管理(risk management)」の意思決定を追加する;対立及び移住などの開発圧力と気候変動との相互作用から発生するリスクを追加する。

IPCC議長のLeeは、SRCCLで取り上げられていない要素は全てAR6で議論されると再度述べた。

その後の議論において、ブラジルは、南アフリカと共に、他の土地表面の形態に言及することなく森林に言及することに異議を唱えた。トルコは、スイス、セネガル、ベルギー、英国と共に、砂漠化の章の前に、土地劣化の章をもってくるよう再度求めたが、サウジアラビアは反対した。

食料安全保障に関する章について、マリは、セネガル、ギニア、ニジェール、トーゴ、ガーナと共に、干ばつの影響を箇条書きに入れるよう求め、コロンビアは、土地劣化が食料安全保障に与える影響への言及を提案した。ニカラグアは、ベネズエラと共に、脆弱な地域社会への言及を求めた。

米国は、土地利用及び生産性を向上させる市場の力及び技術革新に言及するよう求めたが、サウジアラビアは反対した。

ノルウェー、ポーランド、ドイツは、パリ協定への言及を入れるとの要求を繰り返し述べた。インドは、関連する政府間組織への言及を歓迎したが、ニカラグアは反対した。

サウジアラビア、メキシコ、フランス、モロッコ、ベネズエラ、ヨルダン、ドイツ、ガーナ、ハイチ、アルゼンチン、チリ、南アフリカ、ノルウェー、米国など多数の国は、概要の改訂版を受け入れる用意があると表明した。

EUは、特定の生態系への言及を外すことに警鐘を鳴らし、これでは適切な専門知識を持つ執筆者の招請が困難になると指摘した。日本は、マイナスの排出及び土壌に関するシナジー、トレードオフ、副次的効果、共同便益を議論することの重要性を強調した。

セントルシアは、モルディブ、ミクロネシア連邦、トリニダード・トバゴ、ジャマイカ、ハイチ、グレナダ、バハマ、その他の支持を得て、損失と被害への明確な言及を入れる必要があると強調し、UNFCCC COP 19で採択された気候変動の影響に伴う損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムを指摘した。米国、ニュージーランド、英国はこれに異議を唱え、「損失と被害」という用語は政治的で、科学的でないと述べた。ニカラグアは、政治的な議論には参加せず、中立性を保つ必要があると強調した。

トリニダード・トバゴは、ガーナの支持を得て、自国の地域では、既に適応の限界を超えていると発言、損失と被害は政治的な問題ではない、生存の問題だと指摘した。スイスは、いつ適応の限界に達するかの議論を提案した。ドイツは、「極端な現象(extremes)」と「適応の限界」には損失と被害が含まれるとの理解を表明した。

エルサルバドルとガーナは、「損失と被害」が不適切とみなされるのであれば、「災害の現実(catastrophic realities)」を説明する科学に基づく用語が必要だと指摘した。中国は、南アフリカ、キューバと共に、セントルシアなどが提起した懸念に対応するため適切な表現を見出すようSSCを促し、枠づけ及び内容に関する章では、関連組織のリストにUNFCCCを加えるよう提案した。

IPCC議長のLee及びSSC議長のSokonaは、この概要には箇条書きのリスト案が含まれており、概要に含まれない問題に関する科学文献は、SR自体で査読されると、パネルに想起した。WGIII共同議長のJim Skeaは、草案の通りの箇条書きは損失と被害に関する既存の科学文献へのアクセスを可能にするとし、損失と被害への明確な言及は概要を採択するための決定書に入れることが可能であると述べた。

セントルシアは、損失と被害はAR6に記載される予定だが、報告書自体は「何年も先(many years away)」のことであり、それまで政策決定者は指針のないままにされる可能性があるとの見解を表明した。

WGII共同議長のRoberto Sánchez-Rodríguezは、脆弱性の評価の概念追加を提案した。

WGI副議長のEdvin Aldrianは、SR15の概要には損失と被害への言及が含まれていないと指摘した。

SSC副議長のAndy Reisingerは、枠づけ及び内容に関する箇条書きに、「観測された影響、適応の限界及び残留影響と、損失と被害との関係を含める、重要な概念及び定義づけ(key concepts and definitions, including the relationship of loss and damage to observed impacts, limits to adaptation and residual impacts)」に関する項目を含めるよう提案した。バハマとモルディブはこの改定を支持したが、米国と英国は反対した。

サウジアラビアは、フランス、ハイチ、ニジェール、米国、その他の支持を得て、SSCが改定したとおりの概要を採択し、他の追加の懸念事項は全てこの会合の報告書に記載することを提案した。

金曜日午前中、バハマは、ベルギー、ノルウェー、モルディブ、英国、キューバ、セントルシア、フランス、グレナダ、トリニダード・トバゴ、クック諸島の支持を得て、SRCCLの枠づけ及び内容の章の主要な概念及び定義づけの項目でも、SROCCで合意されたばかりの文章と同じ、「脆弱性評価、適応限界、残留リスクを含める(including vulnerability assessments, adaptation limits and residual risks)」ことを提案した。

IPCC副議長のSokonaは、その後、木曜日の議論を受け改定された決定書草案を提出し、この決定書及び概要が採択された。

アイルランドは、SRCCLスコーピング会議出席での査証発給で問題が発生したことに対し、遺憾の意を表明した。同代表は、同国が主催した4回のIPCC関連の会議で、このような査証発給問題を経験したのは初めてであるが、技術を活用してこの困難さの大半は克服されてきたと述べた。同代表は、アイルランドは、自国の手順を見直していると発言した。

議長のLeeは、今回のSRCCLスコーピング会議を含め、過去10年間にわたりIPCC活動を支援してきたとして、アイルランドに感謝した。

最終決定書:決定書(IPCC-XLV/CRP.3)において、IPCCは、次を決定する:「気候変動と土地:気候変動, 砂漠化, 土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸域生態系の温室効果ガス・フラックスに関するIPCC特別報告書」のSR概要で合意する;このSRでは、これら全ての主題に関係する文献、特にAR5以降の文献を、IPCCガイドラインと一致する形で評価する;執筆者は、スコーピング・プロセスの結果として得られた文章及びプレナリーでのコメントを、方向性を示すものと考える。

さらに決定書は、SR作成の予定表も2019年9月での承認及び受理を計画して提供し、この活動の予算については、IPCC信託基金のプログラム及び予算に関するIPCC-45 決定書(IPCC-XLV/CRP.4)を参照する。

SRCCLは、合計で約330頁に及ぶ予定である。今回の概要は、付属書として添付されており、SRには約10頁のSPMと20-30頁のテクニカル・サマリーが含まれ、章ごとに図表を付したエグゼクティブサマリーが作成される。概要には、7つの章の詳細も記載される:枠づけ及び内容(15頁);土地―気候の相互作用(50頁);砂漠化(35-40頁);土地劣化(40頁);食料安全保障(50頁);砂漠化、土地劣化、食料安全保障、GHGフラックスの相互作用;シナジー、トレードオフ、統合対応オプション(40頁);持続可能な開発と関係するリスク管理及び意思決定(40頁)。SRCCLには、ボックス、事例研究、よく聞かれる質問の項も含まれる(20頁以下)

気候変動、海洋、雪氷圏に関する特別報告書(SROCC)の概要:この議題項目(IPCC-XLV/Doc.6及びIPCC-XLV/INF.6)は、水曜日に第1回の審議が行われた。SSC議長でIPCC副議長のKo Barrettは、この議題項目を提起し、SROCCの概要草案作成のため、2016年12月にモナコでスコーピング会議が開催されたと述べた。同議長は、活発で、反復性、参加性の高いプロセスで、概要及びタイトルに関する意見の一致が得られ、議長団の承認を受け、IPCC-45に送致したものであると述べた。

水曜日午後及び木曜日午前中、参加者は、SROCC及び概要草案について、第1回のコメント発表を行った。インドは、指名された執筆者のうち開発途上国出身者の割合が低いことを嘆いた。ベネズエラは、この報告書の中で、気候変動が各国の主権にどう影響するかを、検討するよう要請した。ケニア、ベルギー、ノルウェーは、概要の政策関連性を強化し、政策オプションを一つの章、またはボックスの中にまとめることを提案した。ドミニカは、エジプトの支持を得て、意思決定を推進するため、この報告書の中で、最善の実施方法(best practices)を議論するよう要請した。

カナダは、SROCC全体を通した海洋酸性化の扱い方について質問し、沿岸の浸食及び氷の変化への言及も追加するよう提案した。韓国は、セントルシアと共に、沿岸漁業に力点を置き、SROCCでは、持続可能な漁獲管理、及び北極の温暖化が中緯度地帯の自然及び社会に与える影響に関する情報を提供すべきだと述べた。

オーストラリアは、フランス、マダガスカル、モルディブ、サウジアラビア、バハマ、トリニダード・トバゴ、ケニア、フィリピン、ベルギー、グレナダ、インドネシア、エジプト、その他の支持を得て、サンゴ礁及び気候がサンゴ礁に与える影響を含めるよう求めた。

エクアドルは、高山地域に関する章に、アンデス山脈やアマゾン川、及びこれらが世界の気候や脆弱な人口に与える影響の考察を含めるよう提案した。インドは、この章では、ヒマラヤの生態系及び氷河にも言及するよう促した。ベルギーは、この章のタイトルを「高山地域及び雪氷圏(high mountain areas and the cryosphere)」に変えることを提案したが、中国は反対した。

極地域を扱う章について、中国は、山岳氷河の後退、これに伴うリスク及び適応オプションに関する最新の文献を適切に反映させるよう要請した。パキスタンは、「第3の極地(third pole)」、すなわちヒンズークシ・ヒマラヤ地域の考察を求め、これらの地域には極地を除く他のどの地域より大量の雪氷が含まれると指摘した。英国は、この章ではアルベドの変化など、全ての気候フィードバックを考慮するのかどうか、明らかにするよう要請した。日本は、海洋と大気の循環モデルで得られた新しい知識を含めること、及び海洋の熱含有量への言及を提案した。WWFは、特に、生息地の喪失や創生、オキアミの変化とそれが海洋の食物連鎖に与える影響、南極での氷河の後退を考慮するよう求めた。

海面水位上昇及びこれが沿岸や地域社会に与える影響に関する章について、モルディブは、セントルシア、ジャマイカ、スリナメ、ミクロネシア連邦、グレナダ、インドネシアの支持を得て、章のタイトルの中に小島嶼国への言及を入れるよう提案した。日本は、このタイトルは海面水位上昇の影響を受ける沿岸地帯を有する全ての国に当てはめるに十分な一般的な表現にすべきと発言し、小島嶼国の懸念については章の中で議論することを提案した。ベルギーは、低海抜地域が直面する問題の考察を支持した。中国、インド、ドミニカは、海面水位の上昇が人口密度の大きい沿岸地帯の開発及びその住民に与える影響を考慮するよう促した。ドミニカは、エジプトの支持を得て、この章では政策決定を推進するため、適応オプション、学習事項、ベストプラクティスを論じるよう要請した。インドは、海洋のプラスチック(ゴミ)、生物多様性及び適応オプションの考察を要請し、公海(open ocean)を沿岸地域とは別扱いとするよう提案した。WWFは、海洋と雪氷圏の気候フィードバックの考察を支持した。

ノルウェーは、次のことの重要性を強調した:SROCCで議論される現象の社会的、文化的、政治的、制度的、経済的側面を議論するため、社会学者を指名する;極地帯の変化が他の地域にどういう影響を与えるかを議論する;ガバナンス及び管理手法の扱いを高める;パリ協定実施における雪氷圏及び海洋の役割;回復力を強化する経路に関する文章を入れる。ベルギー及びフィリピンは、多分野からの展望及び社会経済の側面に一層の力点をおくよう促した。

サウジアラビアは、海底下の炭素回収、及び海洋肥沃化などの地球工学オプションを含めるよう提案した。米国、英国、スペイン、その他は、地球工学はSRsではなくAR6に含めるよう提案した。WGI共同議長のMasson-Delmotteは、地球工学はAR6の3つのWGs全ての題目となると応えた。セントルシアは、「ブルー・カーボン(blue carbon)」ではなく「自然ベースの解決策(nature-based solutions)」とするよう提案した。チリ及びサウジアラビアは、炭素回収及び保全戦略の可能性を示すにはブルー・カーボンの議論が重要だと強調したが、ドミニカ、ジャマイカ、ドイツ、ルクセンブルグは、SROCCはブルー・カーボンを考察する場ではないと発言した。

バハマ、トリニダード・トバゴ、ドミニカは、熱帯サイクロン及び他の気候影響を理由とする移住問題の議論を要請した。セントルシアは、ドミニカ、フィリピン、エジプト、ジャマイカ、バハマ、トリニダード・トバゴの支持を得て、SROCCでの損失と被害の議論を要請した。エジプトは、損失と被害の数値化方法を追加するよう求めた。ドミニカは、パリ協定での保障及び責任の排除は小島嶼開発途上国にとり「損失(loss)」であると付言し、パネルはSROCCの草案の中でこのことに何らかの形で留意するよう要請した。米国は、損失と被害を含めるのであれば、IPCCはその気候面、気候以外の面の推進要素を認識するよう求めた。

スイス、ベネズエラ、米国は、他の国連のプロセス及び組織と協力し、先住民及び地域社会の知識、あるいは海洋―雪氷圏―気候の相互作用などを、重複して扱わないよう促した。

スイス及びケニアは、適応、回復力、リスク、影響などの概念を一貫性のある形で、確実に扱うよう求めた。ルクセンブルグ、英国、スイスは、インターリンケージ及び分野の重なりについて考察するよう促した。

オーストリアは、テクニカル・サマリーの必要性に言及した。ベルギー、スペイン、ベネズエラは、全ての国連用語への翻訳を要請した。ベルギーは、テクニカル・サマリーの長さを30頁とし、SPMは10頁とすることを提案した。インドネシアは、SROCCを250頁までの長さに限定するよう提案した。

SSCは、その上で、プレナリーで表明されたコメントに基づき、概要の改訂版を作成するよう要請された。

金曜日午前中、SSC議長のBarrettは、参加者の審議に付すべき概要改訂版を提出した。同議長は、多数の変更点を指摘、これには次の言及が含まれた:20頁のテクニカル・サマリー;南極の氷河;海洋の熱含有量;生態系サービス;海面水位上昇の章のタイトルに「低海抜島嶼部(low lying islands)」を含める;沿岸の洪水、移住、再居住;適応措置;経路及び限界;サンゴ礁;自然ベースの解決策の小項目として「ブルー・カーボン」;海面水位上昇に関係する高潮。

パキスタンは、インドと中国の支持を得て、「第3の極地(third pole)」地域への明確な言及を含めるとの自国の提案を再度述べた。フランスは、レバノン、スペイン、イタリアの支持を得て、地中海に関する事例研究を含めるとの提案を繰り返した;タンザニアは、ザンビアの支持を得て、「熱帯地方(tropical regions)」への言及の再挿入を提案した;エクアドルは、アンデスへの言及を求めた。コロンビアとエルサルバドルは、それぞれの地域の懸念に言及するよう要請した。アルゼンチンは、ドイツ及びブラジルの支持を得て、特定地域を考察することに反対し、報告書の長さを指摘した。

サウジアラビアは、エジプトの支持を得て、地球工学を含めるとの提案が概要改訂版に含まれていないこと、ブルー・カーボンがあまり重要視されていないことを嘆き、塵と海洋との相互作用を考察し、UNFCCCに明確な言及をするよう要請した。フランスは、スペインの支持を得て、SRsではなくAR6での地球工学の考察を希望した。ETCグループは、ドイツの支持を得て、AR6とSRsの両方での地球工学への言及に反対した。

ミクロネシア連邦は、海面水位上昇の章において、「小島嶼開発途上国」への言及よりも「低海抜島嶼部(low lying islands)」への言及を希望したが、フィリピンは反対した。

ノルウェーは、ベルギー、EU、ニカラグアの支持を得て、報告書草案ではガバナンス及び解決策の考察を高めるとの要請を再度述べた。

バハマは、モルディブ、トリニダード・トバゴ、グレナダ、キューバ、ベリーズ、エクアドル、ドイツ、メキシコ、ニュージーランド、ジャマイカ、ドミニカの支持を得て、報告書の枠づけ及び内容の詳細を扱う章では、損失と被害への言及に代わり、「脆弱性評価、適応の限界、残留リスク(vulnerability assessments, adaptation limits and residual risks)」というフレーズを含めることを提案した。バハマは、このフレーズをSRCCL概要にも含めるよう提案し、多くのものがこれを支持した。

その後、SSCは、これらのコメントに基づき概要を再度改定するため会合した。SSC議長のBarrettは、プレナリーに結果を報告し、審議に向け、再度改定した概要を提出した。同議長は、開発途上国の参加に関しインドが提起した懸念に応え、状況は大きく改善されたと発言、執筆者の候補者指名では開発途上国出身者は29%であったが、選出された執筆者の中では48%が開発途上国出身であったと指摘した。同議長は、概要の変更点を指摘し、この中には次の言及が含まれると述べた:バハマが提案した「脆弱性評価、適応限界、残留リスク」の挿入;政策オプション及びガイダンス、UNFCCC、「アンデス、ヒマラヤ、東アフリカ(Andes, Himalayas and East Africa)」及び塵のインプットへの言及;地域の事例研究の考察を可能にする「関連の海洋地域(relevant ocean regions)」への言及;ブルー・カーボンの表現に関する再度の議論。同議長は、地球工学はAR6で論じられることから、ここには含まれないと明言した。

SSC議長のBarrettは、セネガルの要請に応え、東アフリカと特定する表現よりも、一般化したアフリカという表現にすることを提案した。同議長は、この事例研究に関する表現は執筆者が利用可能な文献に基づきどの事例研究を入れるか決定する際に十分な指針を提供すると指摘した。米国は、執筆者の指名に必要とされる6週間の期間を反映させ、スケジュール表上の日付を変更するよう要請した。パネルはこれらの改定を行った上で、概要について合意し、その決定書を採択した。

最終決定書:決定書(IPCC-XLV/CRP.2)において、パネルは、「変化する気候における海洋及び雪氷圏のIPCC特別報告書(IPCC Special Report on the Ocean and Cryosphere in a Changing Climate)」と題するSRの概要について合意する、この概要は決定書の付属書に記載される。パネルは、この概要の箇条書き項目は執筆者が考察すべき方向性を示すものであり、執筆者は、IPCCの指針に則り、海洋と雪氷圏に関する関連の科学論文、特にAR5以後利用可能となった論文に関し推敲すると決定する。さらに決定書は、科学面のギャップを明確に特定することにも言及する。

SRは、合計で約280頁になる予定である。その構成は、SPM(10頁)及びテクニカル・サマリー(20頁)が含まれるほか、次の6つの章を含める:枠づけと内容(15頁);高山地帯(30頁);極地域(50頁);海面水位上昇と低海抜島嶼部、沿岸、地域社会への影響(50頁);海洋の変化、海の生態系及びそれに依存する地域社会(65頁);極端な現象、突発的な変化、リスクの管理(20頁)。さらに、各章を通し、事例研究、良くある質問、ボックス(20頁)も記載される。SRの承認は、2019年9月のIPCC-50で予定される。

IPCC奨学金プログラム

木曜日午後、科学理事会議長のKo Barrettは、この議題項目(IPCC-XLV/Doc.9)を提起し、科学理事会はIPCC-44でIPCC奨学金プログラムの進捗状況に関し報告したと指摘した。同議長は、IPCC-44で課題及びオプションが提起されたが、意見の一致には至らなかったと説明した。同議長は、議長団会合において3つの改善オプションが提示されたと述べ、議長団は奨学金資金の利用に関するパートナーシップ構築のための組織認定を明らかに志向していたと指摘した。

ドイツは、スイスと共に、活動のリスト、資金問題及びこのプログラムの博士課程の学生の現状など、文書作成の状況に関し追加の情報を求めた。ベルギーとドイツは、このプログラムは事務局の資金的逼迫を示していると発言し、「これでIPCCの基幹の作業が損なわれることがあっては(not compromise core IPCC work)」ならないと述べた。

モナコ、スワジランド、ガーナ、マリ、ケニアは、開発途上国での能力構築におけるこのプログラムの重要性を強調した。モナコは、ケニアの支持を得て、博士課程の学生に対する資金支援の期間延長を提案した。

議場からの提案には次の項目が含まれる:より大きなIPCC資金集め努力を支援するため、このプログラムを活用する(ベルギー);学生の成績について事務局に報告する(ナイジェリア);新たに設置されたATG-Financeに資金集め努力を上乗せする、なぜなら可能性ある資金提供者はIPCCの基幹努力に対する資金供与よりも、このプログラムへの資金供与により大きな関心を寄せる可能性があると指摘する(ドイツ)。

パネルは、全ての提案に留意すると決定し、科学理事会及び事務局に対し、このプログラムの長期の持続可能性を改善するオプションを探求するよう求めた。

その他の議題

この議題項目は、木曜日午後及び金曜日午前中に議論された。

TFI共同議長のKiyoto Tanabeは、次の項目に関するTFIで進行中の作業について報告した:2006年版IPCC国別GHGインベントリ・ガイドラインの2019年版改定の手法論、これには執筆者及び編集者の選抜、全ての利害相反に関係し進行中の評価;2016年12月、インドネシア、バリで開催された、排出要素データベースに関する直近のTFI編集理事会会議; IPCCインベントリ・ソフトウェアの改善、これには2017年3月、日本の北九州市で開催された利用者からのフィードバック収集のための専門家会議を含める。ドイツは、手法論報告に関する進捗状況報告を将来のIPCC会合の議題に載せるよう求めた。トーゴは、マリ及びギニアと共に、能力不足の諸国が「デフォルト(default)」の排出量ではなく優れた推計値を出せるよう、小地域レベルでの技術修練及び手法の訓練を追加で行うことを求めた。マリは、バリの会議出席者に関する情報を要請し、さらに出席人数を改善する方法についても情報を求めた。共同議長のTanabeは、コメントに留意した。

その後、フランスは、2018年にAR6UNFCCCのグローバル・ストックテイクとを合わせることに関し、情報を求めた。同代表は、グローバル・ストックテイクは、IPCCの作業方法を「急激に変化(radically change)」させ、数回分のIPCC作業サイクルに影響を及ぼすほか、既に大量の作業量を抱える議長団及び事務局の作業負担を増やすと述べた。事務局は、IPCC-46での審議用にこの問題を準備していると述べた。事務局代表は、AR6の作業では既に2018年のグローバル・ストックテイクと合わせるのに必要な変更を行っており、SR15は2018年の排出目標改定前に発表され、AR6は2023年のグローバル・ストックテイクの前に最終決定されると指摘した。

英国は、IPCCライブラリー設備の最新情報を求めた。事務局は、執筆者のニーズに応える方法に関する関係組織間の合意、最も喫緊ではSR15のための合意について報告した。事務局代表は、この問題に関する簡単な報告及び利用者向けの利用マニュアルが現在最終決定されようとしており、引き続いての協力を待望していると述べた。スイスは、民間の組織が「パートナーシップ」として市場の出版物への無料アクセスを提供し、その組織はIPCCの中立性に負の影響を与えることなく、公益を高めたと主張できることを示唆した。

UNFCCCに関係する問題について、ノルウェーは、この問題をIPCC-46の議題項目に入れるよう要請し、UNFCCC事務局がIPCCに関連する活動について最新情報を提供することを要請した。UNFCCC事務局は、2016年11月にモロッコで開催されたCOP 22に関する最新情報、及びパネルの作業に関連する問題を提示した。同代表は、特に次の点を指摘した:グローバル・ストックテイクでIPCC報告書をどのように考察するのかに関する、科学的・技術的助言のためのUNFCCC補助機関(SBSTA)の提案;グローバル・ストックテイクの概念の下、SBSTA-IPCCの合同WGを強化するとの提案;今後開催される研究ダイアログ及び排出シナリオ専門家会議へのIPCCの参加を歓迎する;2018年のCOP 24は、12月に延期されており、このためIPCCはSR15を最終決定する時間的余裕がある。

オランダ、ルクセンブルグ、ドイツ、その他は、UNFCCC関係の問題をIPCC-46の議題項目に入れるとするノルウェーの提案を支持した。サウジアラビア、マリ、ブラジル、その他は、全ての政府窓口に送致されるまではいかなる議題項目も承認しないよう要請した。事務局は、議題項目案はIPCC-46に十分先立つ時期に配布されると保証した。

メキシコは、他の25の国の代表と非公式協議を行った後、チリ及びケニアと作成した提案書草案を提出し、執行委員会に対し、短寿命気候強制力物質(SLCFs)特に黒色炭素に関するIPCCの議論継続のためのオプション、たとえばIPCC-47に対する提案を作成する専門家会議などの開発を求めた。多数の諸国がこれを支持すると表明した。カナダは、IPCC-46の会期中での、この問題に関する並行作業イベントの開催を申し出た。

TFI共同議長のTanabeは、SLCFsはIPCCインベントリ・ガイドラインで既に扱っていると指摘、ただし黒色炭素は対象になっていないと述べ;TFIのマンデートには柔軟性があるが、TFIでこの問題を新しく扱うのは時間的制約からすると実際的でないと述べ;この作業に大気の質を含めることを提案;執行委員会はこの作業について慎重に検討すべきだと発言;戦略計画スケジュールに影響する可能性を指摘した。

スイスは、SLCFsに関し行われた全ての作業についてIPCCからUNFCCC及び気候と大気連合に情報を伝えることを提案し、TFIはそのような作業の実施可能性を調査し、欧州で使われている手法など既存の手法の活用方法を検討することを提案した。

中国は、WGIに対し、黒色炭素を議論するための科学的な側面を明らかにするよう求め、これは気候交渉の一部ではない、議論するには政治的意思が必要だと指摘し、TFIに対し、IPCC-47の前にこの作業を行う時間があるのか尋ねた。

金曜日午前中、メキシコは、この提案の主要な目的について次のように詳しく説明した:各国が希望する場合、その国のインベントリに黒色炭素を含める手法論に関し、IPCCから技術的助言を得ること。

サウジアラビア及びその他は、この提案を総論的に支持するとし、チリと共に、IPCC-46での正式議論を求めた。ドイツは、ベルギーと共に、WGIとTFIがIPCC-46にSLCFsに関する情報を提供するよう要請し、ノルウェーは、米国と共に、この問題の扱い方について執行委員会で検討することを提案した。ベルギーは、IPCC-46において専門家パネルまたはワークショップの開催を検討することを提案した。

WGI共同議長のMasson-Delmotteは、AR6の議長ビジョン・ペーパーは大気の質も対象としており、これはSLCFsを包含すると指摘、2017年5月のAR6スコーピング会議及びWGでのさらなる審議でこの問題に関する議論を重ねることができると指摘した。同共同議長は、専門家会議の題目を決定する際には、SLCFsに関する専門家会議も考慮されるべきと推奨した。

IPCC議長のLeeは、この提案及びその後の議論をIPCC-45の報告書に記録すると述べ、執行委員会はこの問題を議論しIPCC-46に結果を報告すると述べた。

金曜日午後、事務局は、月曜日午後に開催されたプレナリー前ブリーフィングに関するフィードバックを収集するため参加者に配布されたアンケートの結果を報告した。回答者の約80%は、ブリーフィングについて、次のような考えであると表明した:優れた企画であった;プレゼンテーションは適切であり、審議時間も適切だった;IPCC活動に対する開発途上国の参加を高めることに役立つ。大多数はプレナリー前のブリーフィングは今後も続けるべきとの感想を述べた。

IPCC-46の場所及び日付

IPCC事務局長のAbdalah Mokssitは、IPCC-46開催に関するカナダの申し出を指摘した。カナダは、2017年9月3日の週に会議を開催するのは光栄であると述べた。サウジアラビアは、カナダの会議開催に感謝する一方、モロッコ、モルディブ、セネガル、マリ、ギニアの支持を得て、会議開催案の日程はEid al-Adhaの休日と重なると指摘し、会議開催日の変更を検討してほしいと述べた。コンゴ共和国は、カナダの入国査証取得に問題がないことを希望すると表明し、この日付はUNCCD COPと日付が重なるので変更してほしいと求めた。IPCC議長のLeeは、このような懸念について検討すると述べた。

会合の閉会

IPCC議長のLeeは、新しいIPCC副事務局長のKerstin Stendahlを歓迎した。同議長はメキシコの暖かい歓迎に感謝し、この会議は資金の安定を達成するための明確な経路を示し、資源動員を話し合ったと述べた。同議長は、強力なSR概要で合意した出席者を称賛し、これで報告書作成に向け、代表執筆者を募集できると指摘した。同議長は、出席者、議長団メンバー、通訳、事務局に感謝し、午後5時7分、会議閉会の槌を打った。

IPCC-45の簡易分析

そこには空気があり、太陽があり、雲がある。上空には青空が、その先にはおそらく歌があるだろう、多分、最高の歌声が。つまり希望があるのだ。あらゆる後悔においても、我々には希望があるのだ。(開会プレナリーでIPCC議長のHoesung Leeが引用したメキシコの小説家、Juan Rulfoの小説「Pedro Páramo」の一節)

太陽と雲

IPCCは、メキシコのグアダラハラで第45回総会を開会した、6か月ほど前の気候変動に関するパリ協定の発効後、初めてという良い時期での開会となり、UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、開会の挨拶の中で、このパリ協定は「気候のニュートラリティ回復を実施する時代、1.5℃近くの気温上昇で制限する時代」の幕分けを告げるものだと指摘した。今回の総会はパネルにとっても、2016年4月にケニアのナイロビで合意した第6次評価報告サイクルの成果物に焦点を当てる二回目の会合であった。2016年10月、タイのバンコクで、1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書の概要が採択されたのに続き、IPCC-45では、次の特別報告書の概要に焦点を当てた:気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸上生態系のGHGフラックス(SRCCL);変動する気候の下での海洋及び雪氷圏(SROCC)。

全般的に意見が一致していることは、パリ協定の実施を可能にし、国際社会が持続可能な開発目標(SDGs)の実現を可能にするため、証拠に基づき意思決定を行うには、科学が必要であるという点である。しかし暗雲がたちこめようとしている。2016年が記録に残る限り最も温暖な一年であったことには、圧倒的な証拠がある、さらに2017年3月28日、IPCC-45がまさに会議を開始したとき、米国のドナルド・トランプ大統領は、気候行動を化石燃料主体のエネルギー政策の下位におくことを明言する大統領令に署名した。米国の電力部門の排出量削減及び再生可能エネルギーの発電量増加を求めるバラク・オバマ前大統領の政策、クリーンパワープランを廃止するには、多数の法廷闘争や何年もの期間を要する可能性があるが、いずれにしても、今回の大統領令は、失望させるメッセージである。トランプ政権の気候変動問題に対する攻撃は、(グアダラハラのある)ハリスコ州知事のJorge Aristóteles Sandoval Díazも認識し、同知事は開会スピーチの中で、米国大統領は気候変動に関する行動を逆転させる「後ろ向きの歩み(backwards step)」を進めていると評し、「気候変動の現実(reality of climate change)」を否定するのは「愚(stupidity)」の骨頂だと述べた。とはいえ、米国の気候政策は、IPCCの作業に極めて現実的な影響を与えるものであり、毎年の予算に対する寄付額、ひいては予算上の優先策にも大きく影響する。

この簡易分析は、特別報告書(SR)の概要、及び不確実性がある中での資源動員に関するIPCC-45の決定を検証し、今後の課題に対応するパネルの適応能力についても論ずる。

歌声、多分、最高の歌声

IPCC-45は、ナイロビ・マンデートに基づき、2つのSRsの概要について議論し、最終的に合意した。パネルは、サウジアラビアの要請に応じ、SROCCの概要を議論する前に、SRCCLの概要を審議、暫定議題書記載の概要審議の順序を入れ替えた。一部のものは、この変更でSROCC概要の議論に割り当てられる時間が不適切になるのではと懸念したが、2件の概要に関するパネルの議論はバランスのとれたものになったようであり、数名の参加者がバランスの確保を求めていたとおりとなった。2件の概要にテクニカル・サマリーが追加され、関連の制度及び政策内容を参照することも追加された。たとえば、SRCCLの概要では、IPBES、UNCCD、FAOなど、他の関連組織の努力とIPCCの努力の補完性を認識、SROCCの概要では、パリ協定、SDGs、仙台防災枠組の機能とのリンクを認識する。

両方の概要にともに追加された事項としては、「脆弱性評価、適応の限界及び残留リスク(vulnerability assessments, adaptation limits and residual risks)」への言及がある、これは損失と被害に対応する必要性に関し、セントルシア及び他の小島嶼開発途上国(SIDS)が提起した懸念に応えることを目指すもの。小島嶼開発途上国は、損失と被害への対応は、「生存問題(matter of survival)」と主張、この概念は「適応の限界(limits to adaptation)」ではカバーされていないと述べた。「損失と被害(loss and damage)」への言及には、当初、先進国数か国が反対、この用語は政治的で科学的ではないとしていたが、これらの諸国とSIDSとの妥協点を模索した結果、慎重に選ばれた表現となった。新しい表現は政治的な意味が詰まったものとは言えないが、一部のものは「残留リスク(residual risks)」の追加を疑問だとし、残留リスクの決定は科学に基づくものにする必要があると論じた。

2019年9月にSRsの採択が予定されていることから、その概要でのパネルの合意は、この厳しい作成プロセスが開始されることを意味し、2017年4月には締め切られる、調整役代表執筆者、代表執筆者及び査読編集者の候補者指名の開始を意味する。二つの執筆者チームが選ばれたら、それぞれの執筆者チームは、SRs作成作業を進めるため、その後の3年間に数回の会合を開催する予定である。SRs及びこれに伴う政策決定者向けサマリーは、パネルの受理及び承認を受ける前に、数回の専門家及び政府による査読を受ける。今日、パネルは、科学的専門性と政策決定者の要求とを組み合わせる確固とした概要で合意、執筆者が選抜されたなら、作業を進められるだけの確固とした土台ができた。

雲が広がる?

パネルが緊急に議論する必要があったもう一つの重要事項は、IPCC信託基金のプログラム及び予算である。IPCCへの寄付金は、2008年以後、金額でも寄付者の数でも、減少を続けてきたのは秘密でもなんでもない。米国は、長年、パネルの主要な支援者であり続け、IPCCの結成以来、4300万スイスフランを超える寄付を行ってきた。実際、米国は、2016年にIPCCに寄付を行ったわずか23か国の寄付国の一つであり、ほぼ200万スイスフランという寄付額は、国としては最大の寄付額で、第2位の寄付国の6倍に及ぶ。しかし、パネルが資金及び資源動員戦略を議論する中、トランプ政権が国際気候プロセスへの資金供与を廃止するのか、削減するのか、それをどの程度まで実施する用意があるのかという不確実性は、たれこめる暗雲である。

パネルは、資金の土台を拡張し、追加資金を確保する努力の一環として、資源動員戦略を作成、国連機関や基金、プログラム、世界銀行などの国際金融機関、地域開発銀行、地域経済統合体及び政治統合体、市民団体、慈善基金、さらには営利ビジネス部門とのパートナーシップ確立の可能性を模索するよう提案する。新たな寄付者の必要性は否定するまでもないが、多数の欧州諸国は、政府以外のだれであれ、寄付を受けるのでは、パネルの独立性や不偏性、健全性が損なわれるとの懸念を表明した。同様な懸念は、資金がひもつきになることについても、指摘された。多数の開発途上国は、多様な寄付者のグループから資金を受け取ることに何の異論も見出さず、「良いことをしようとする全てのものに門戸を広く開放すべきだ(the door should be wide open to all who want to do good)」と主張した。

資金集めについては、多種多様なアイデアが浮上、その中にはクラウドファンディングや、都市及び地方の団体の支援に目を向けた緑の気候基金の例にならうことなどが挙げられた。スイスは、国連が環境基金に対し採用しており、自国でも環境基金に関して適用している国連環境寄付金の自主指標(VISC)にならうことを提案した。VISCの下では、加盟国は、少なくとも国連評価基準レベルまでの寄付を行うよう求められ、国連の基準またはそれ以上の寄付を行うものは、最低限、その寄付額水準を維持するよう要請され、これまでの最高額を下回る寄付を行うものは、最高額レベルまで戻すことを奨励される。VISCを用いると、米国からの寄付は、合計額の22%となり、これは45%近くという現在の寄付額レベルの半分である。しかし、これでも最善のシナリオとなる可能性がある。米国からの寄付額が「空の財布(empty purse)」になる可能性が高いとスイス代表は考えたようであり、次のように発言した:「財布をいろいろな方向に向けても、空っぽなら、空っぽのままだ(we can turn the purse in all directions but if it’s empty, it’s empty)。」VISCの利用は、政治的な実現可能性が高いとは言えない。IPCCの科学者がどれだけ嘆いても、IPCCの議論には政治がつきものであり、たとえば、IPCC-45での損失と被害の議論がある。「寄付者としての(donor)」国からの寄付レベルの保持を求める開発途上国自体、だれもが「公平な割合(fair share)」で寄付をするという概念の受け入れには慎重である可能性がある。

では、この暗雲に光が差す可能性はあるのか? IPCC-45は、多数の資金関連問題を議論するため、IPCCの資金安定性に関する特別タスク・グループ(ATG-Finance)を設立、その委託条件も作成した。このタスクグループは、IPCC作業計画の円滑な実施に向け、予測可能で、持続可能、適切な資金調達手段の提供を目指し、IPCC-46に対し、資金オプションを提案する。ATG-finance は、各国政府からの寄付額を増加するオプションについて検討し、国連組織からの追加の資金動員方法を模索し、民間部門を含め、他の寄付の可能性のあるものの適格性に関する指針を提供する。多数のものは、これは資金不足の克服に向けた一歩前進とみた。

あらゆる後悔においても、希望はある

資金問題への懸念から、IPCC-45(の雰囲気)は曇りがちであったが、会議に参加した多数のものの間では、希望が優っていた。資金源の負担増が、IPCCの適応能力や、AR6成果物のタイムリーな発表を行う能力に試練を課すのは間違いない。現在の、そして将来の資金課題に取り組むには、想像力豊かな思考や、多様な多くのオプションを探求する必要がある。この点、IPCCは、多様な可能性を検討する柔軟性や開放性があることを実証してきた、ただしその健全性を損なうことなく、資金危機から脱出できるかどうかは、まだ不明である。

今後の会議予定

3回、全てのものに持続可能なエネルギーをフォーラム:全てのものに持続可能なエネルギーを(SEforALL)の第3回フォーラムは、2017年4月3-5日、ニューヨークで開催される、テーマは「もっと先へ、もっと早く共に進もう」である。各国政府、ビジネス、市民団体、国際機関のハイレベルな代表が会合、新しいパートナーシップの締結、アイデアの交換、投資の呼び込み、持続可能なエネルギーを志向する行動の推進を図り、同時に、持続可能な開発目標第7項(安価でクリーンなエネルギー)の実現に向けた世界的な進展状況について、情報を共有する。日付:2017年4月3-5日  場所:米国、ニューヨーク市ブルックリン  連絡先:SEforALL事務局  電話:+43-676-846-727-200  電子メール:Info@SEforALL.org wwwhttp://seforallforum.org/ or http://se4all.org/

アフリカ再生可能エネルギー指導者サミット:2日間のサミットの期間中、次の会議等が予定されている:エネルギー・アクセスにおける地域社会中心ミニグリッドの重要性;東アフリカでの再生可能エネルギー開発を推進する規制枠組の策定;アフリカの再生可能エネルギー・イニシアティブ、及びアフリカの将来的なエネルギー・ポテンシャルの解放;再生可能エネルギー・プロジェクト開発のための資本誘致;サブサハラ・アフリカ地域の太陽光発電ポテンシャル養成;東アフリカの水力発電の全ポテンシャル探求;風力発電、地熱発電、バイオマス、ハイブリッド・プロジェクト;エネルギー効率化及び再生可能エネルギーの開発。日付:2017年4月4-5日  場所:ケニア、ナイロビ  www http://www.africarenewablesummit.com/

緑の気候基金(GCF)16回理事会:GCF理事会は、特に次の問題を議論する予定:COP指針に関係する問題;準備及び予備的支援;資金提案に関係する問題;事務局スタッフの現状; GCFリスク管理枠組の最新情報;信任問題;独立是正メカニズムの委託条件改定。 日付:2017年4月4-6日  場所:韓国、仁川 連絡先:GCF事務局  電話:+82-32-458-6059  ファクシミリ:+82-32-458-6094  電子メール:info@gcfund.org wwwhttp://www.greenclimate.fund/home

20CCAC作業部会及び科学政策ダイアログ:4月25日に開催される科学政策ダイアログでは、黒色炭素及び他の汚染物質の計算方法、黒色炭素のインベントリ、短寿命気候汚染物質(SLCPs)を国家決定貢献分に含める方法に、焦点を当てる予定。4月26-27日の第20回気候及びクリーンな大気連合(CCAC)作業部会会合では、次の問題を議論する予定:2017年後半の同連合の次回ハイレベル会議で、新たな行動及び約束を決定するための準備作業;同連合のイニシアティブで規模拡大の準備ができているもの;マラケシュ・コミュニケの約束のフォロー;新たな資金集め提案の審議。この会議は、チリの環境省とCCACが企画する。この会議は、CCACのパートナーのみが参加可能、現在のパートナーは、51か国、16の政府間組織、45の非政府組織など。 日付2017年4月25-27日  場所チリ、サンチャゴ  連絡先James Morris, UNEP  電子メールJames.Morris@unep.org wwwhttp://ccacoalition.org/

緩和、持続可能性、気候安定性シナリオに関するIPCC専門家会議:このWGIII専門家会議の目的は、異なる研究組織間のダイアログ設置、AR6の文献になりうるような学際研究活動の推進、緩和に関する専門家及び利害関係者の参画など。 日付:2017年4月26-28日  場所:エチオピア、アジスアベバ  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

IPCC AR6のスコーピング会議:この会議で、メンバーはAR6の概要について議論する予定。日付:2017年5月1-5日  場所:エチオピア、アジスアベバ  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

UNFCCC補助機関(SBs)46回会合:科学的技術的助言に関する補助機関(SBSTA)及び実施に関する補助機関(SBI)の第46回会合、並びにパリ協定特別作業部会第1回会合第3部が開催される。  日付:2017年5月8-18日 場所:ドイツ、ボン連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://unfccc.int/

GEFカウンシル第52回会合:地球環境ファシリティ(GEF)カウンシルは、年2回会合し、GEFが注目する分野である生物多様性、気候変動の緩和、化学品及び廃棄物、国際的な水域、土地劣化及び持続可能な森林管理に関し、世界に環境上の利益をもたらす新しいプロジェクトを承認するほか、持続可能な都市や商品チェーンからの森林伐採(製品)の除去、サブサハラ・アフリカ地域における食料安全保障の持続可能性及び回復力の分野に関するGEFの総合対応プログラムにおいても、新しいプロジェクトを承認する。さらに同カウンシルは、GEF事務局及び下部組織に指針を示す。この5月のGEFカウンシル会議に先立ち、同じ場所で市民団体との協議も行われる。後発開発途上国基金及び特別気候変動基金の会議も招集される予定。日付:2017年5月22-25日  場所:米国、ワシントンDC  連絡先:GEF事務局  電話:+1-202-473-0508  ファクシミリ:+1-202-522-3240  電子メール:secretariat@thegef.org wwwhttp://www.thegef.org/council-meetings/gef-52nd-council-meeting

2017年災害リスク軽減のグローバル・プラットフォーム(防災フォーラム):この会議では、人為的及び自然のリスクを原因とする災害における、人命の喪失及び経済損失の軽減方法に焦点を当てる。この会議の目的は、各国に対し、防災だけでなく、それ以上に、災害からの損失増加を招くようなリスク、たとえば貧困や無計画な都市化、環境の劣化、不十分なリスク管理などへの対処を奨励すること。GPDRRは、2007年に設立され、1年おきに会議を開催、情報交換、最新の展開や知識の議論、部門横断パートナーシップ構築の機会提供を行う。日付:2017年5月22-26日  場所:メキシコ、カンクン  連絡先:Connie Brown, UNISDR  電話:+41-22-91-78908 または 連絡先:Elena Dokhlik, UNISDR  電話:+41-22-91-78861  ファクシミリ:+41-22-91-78964  電子メール:globalplatform@un.org wwwhttp://www.unisdr.org/conferences/2017/globalplatform/en

SR 15のための第2回代表執筆者会議:この第2回代表執筆者会議は、作業部会I(WGI)が計画、1.5℃の地球温暖化の影響及び関係GHG排出経路に関する特別報告書を作成する、この報告書は2018年9月のIPCC-48での承認を予定。  日付:2017年6月5-9日  場所:英国、エグゼター  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int  wwwhttp://www.ipcc.ch

(国連海洋会議)SDG 14の実施を支援するハイレベル国連会議:SDG 14 (持続可能な開発のための、海洋、海、海洋資源の保全及び持続可能な利用)の実施を支援するハイレベル国連会議は、6月8日の2017年世界の海の日に合わせ、フィジーとスウェーデンの両政府の共催で行われる。この会議の全体テーマは:「我々の海、我々の未来、持続可能な開発目標第14項の実施におけるパートナーシップ構築」。  日付2017年6月5-9日  場所ニューヨークの国連本部  連絡先Permanent Missions of Fiji and Sweden(フィジーとスウェーデンの常設代表部)  電話+1-212-687-4130 (フィジー);+1-212-583-2500 (スウェーデン)  wwwhttps://sustainabledevelopment.un.org/topics/oceans/SDG14Conference

3回欧州気候変動適応会議:欧州気候変動適応会議(ECCA)2017年の主要テーマは、「我々の気候対応型未来」。この会議の目的は、社会を元気づけ、地方経済を活性化し、環境を強化する未来志向の気候適応策を見出し、実現するため、人々が共に努力することを推奨し、これを可能にすること。ビジネス、産業、NGOs、地方政府、自治体の代表が一堂に会し、指導的立場にある研究者及び政策決定者と、知識やアイデア、経験を共有する。木曜日と金曜日には、この地域全体での一連の先進的な適応プロジェクトや文化的な場所を視察する見学ツアーが行われる。日付:2017年6月5-9日  場所:英国、スコットランド、グラスゴー  連絡先:ECCA 2017  wwwhttp://ecca2017.eu/conference/

2006年版IPCCガイドラインの2019年更新版に関する第1回代表執筆者会議:この会議では、国別GHGインベントリに関するIPCCガイドライン2006年版の2019年更新版作成について議論する予定。  日付:2017年6月7-14日  場所:スペイン、ビルバオ  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

G20サミット:ドイツが議長国を務めるG20サミットは、7月7-8日、ドイツのハンブルグで開催される。20か国の国及び政府の長、国際機関のトップが会合、テーマは:「相互に関係しあう世界の構築」。議長国の主な懸念事項は、持続可能な開発のための2030年アジェンダ目標の実現、及び気候変動に関するパリ協定実施での進展である。  日付:2017年7月7-8日  場所:ドイツ、ハンブルグ  wwwhttps://www.g20.org/Webs/G20/EN/

モントリオール議定書OEWG 39オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書のオープンエンドな締約国作業部会第39回会合が開催される、これに先立つ7月10日には、ハイドロフルオロカーボンの代替品で、地球温暖化係数の低い物質の利用に関する安全基準ワークショップが開催され、7月9日には、モントリオール議定書非遵守手順の下での実施委員会第58回会合が開催される。  日付:2017年7月11-14日  場所:タイ、バンコク  連絡先:オゾン事務局  電話:+254-20-762-3851/3611  ファクシミリ:+254-20-762-0335  電子メール:ozone.info@unep.org wwwhttp://ozone.unep.org/en/meetings

IPCC46回総会:IPCCは、特にAR6 WG報告書の概要などAR6スコーピング会議の成果、及びプログラムと予算の問題を議論するため会合する。IPCC-46総会の前には、IPCC議長団の第54回会合が開催される。  日付:2017年9月6-10日 (確定は後日)  場所:カナダ、モントリオール  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int wwwhttp://www.ipcc.ch

他の会議予定については右記を参照:http://sdg.iisd.org/

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