Summary report, 6 September 2017

46th Session of the IPCC (IPCC-46)

気候変動に関する政府間パネルの第46回総会(IPCC-46)は、2017年9月6-10日、カナダ・モントリオールで開催され、107カ国から約320名が出席した。IPCC-46では、IPCC第6次評価報告書(AR6)を構成する3つの作業部会(WG)の報告書の章立てとともに統合報告書(SYR) の章立てが承認された。3つの作業部会(WG)の会合もモントリオールで開催。IPCCプレナリーで承認を受ける前に、部会にて章構成の概要に関する合意を成立させた。

また、パネルには、資金安定化に関するアドホック・タスクグループ(または特別作業部会)(ATG-資金)の進捗状況に関する最新情報が提起され、IPCCの様々な資金関連オプションについて議論を行い、ATGの役務延長およびIPCC-47での資金問題に関する検討再開について合意した。

さらに、パネルでは12のオブザーバー組織を新たに認可することで合意。利益相反(COI)に関する委員会の報告、影響・気候分析のためのデータシナリオ支援に関するタスクグループの今後に関する報告を受けた。また、IPCC報告書のサイクル調整やUNFCCCに基づくグローバルストックテイクに関するタスクグループの発足に関してもパネルでの合意が成立した。その他、短寿命気候強制力因子(SLCFs)に関する専門家会合が開催された。また、コミュニケーション及びアウトリーチ活動やIPCCスカラーシップ・プログラム、1.5℃地球温暖化に関する特別報告書等について進捗報告が行われた。

時間の制約上、IPCCの諸活動に関する途上国の参加やUNFCCC関連の項目、その他の国際機関に関する問題は次回のIPCC-47で討議されることとなった。なお、2018年上半期のIPCC-47はフランス・パリで開催することで合意した。

IPCC略史

IPCCは、人為的気候変動や潜在的な影響、適応策や緩和策の理解に関する科学的、技術的、社会経済的な情報を、総合的で客観的、開放的、かつ透明性のある形で評価することを目的とし、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が設立した。IPCCは、195カ国が加盟する政府間の科学的組織である。IPCC自体では新たな研究は行わず、気候関連データのモニタリングを実施しない代わりにピアレビューを受けた公表済みの科学技術文献に基づいて気候変動分野の知識の状況評価を行う。IPCCの報告書は、政策との関連性をもつよう志向するが、特定の政策を推奨するものではない。

IPCCには3つの作業部会(WGs)がある。作業部会I (WG I)は気候変動の自然科学的根拠、作業部会II(WG II)は気候変動の影響、適応、脆弱性、作業部会III(WG III)は温室効果ガス(GHG)排出量の抑制や気候変動の緩和策について議論する。各部会は2名の共同議長と6名の副議長を有する。共同議長はパネルから託された作業部会に対する規約の順守を指導し、その実施においてはテクニカルサポートユニット(TSUs)の支援を受ける。

さらに、IPCCは、IPCC国別GHGインベントリ・プログラムを監督するための国別GHGインベントリに関するタスクフォース(TFI)を有し、これもTSUの支援を受ける。このプログラムは、国別GHGの排出量と除去量を計算し、報告するため、国際合意を受けた方法論とソフトウェアを開発、精緻化し、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国による利用の推進を目指す。

IPCCのパネルは、IPCC評価報告書の作成にあたる約5~7年の評価サイクル全期間を担当する議長団を選出する。議長団(ビューロー)は、全ての地域を代表する気候変動の専門家で構成され、IPCC議長を支援し、IPCCの業務を計画立案し、調整を図り、監視する。現在、議長団はIPCC議長と副議長、各WGの共同議長と副議長、TFI共同議長とその議長団を含む34名のメンバーで構成されている。2011年、IPCC会議間隙中の業務を支援し、WGs間の作業の調整を図る目的で、執行委員会(ExComm)が設立された。IPCC事務局はスイス・ジュネーブに設置され、世界気象機関(WMO)が主管組織となっている。

IPCCの成果物:IPCCは発足以来、数々の総合評価報告書、特別報告書(SRs)、テクニカルペーパー(技術文書)を作成、気候変動に関する科学情報を国際社会に提供してきた。

IPCC第1次評価報告書は1990年に完成、第2次評価報告書は1995年、第3次評価報告書は2001年、第4次評価報告書(AR4)は2007年、第5次評価報告書(AR5)は2014年に完成した。現在、評価報告書は作業部会ごとの報告書をまとめた三部構成となっている。各作業部会の評価報告書は、政策決定者向け要約(SPM: Summary for 政策決定者)、技術要約(技術要約)、その基礎となる評価報告書の本文で構成される。各報告書の全セクションは3段階の徹底した査読プロセスを受ける。1回目は専門家による査読、2回目は専門家及び政府による査読、3回目は政府の査読である。その後、SPMはそれぞれ担当WGにおける行ごとの承認を受ける。続いて、評価報告書全体を対象とする統合報告書 (SYR:Synthesis 報告書)が作成されるが、これは3つの作業部会の報告書で最も重要度の高い項目をまとめたもので、その後パネルにてSYRのSPMについて行単位の承認作業が行われる。

IPCCはこれらの総合評価報告書に加え、気候変動に関する特定の問題に注目した特別報告書(SRs)や方法論に関する報告書(メソドロジー・レポート)、テクニカルペーパー等を作成する。これまでに以下のテーマに関する特別報告書(SRs)が作成された。土地利用・土地利用変化・森林 (2000年)、二酸化炭素回収貯留 (2005年)、再生可能エネルギー資源と気候変動の緩和 (SREN) (2011年)、気候変動の適応推進を目的とする極端な現象及び災害のリスク管理 (SREX) (2011年)。また、テクニカルペーパーとしては、気候変動と水(2008年)に関する報告書などがある。

さらに、IPCCは、各国のGHGs報告書の作成を支援するため、方法論報告書も作成している。グッド・プラクティス・ガイダンスに関する報告書は2000年と2003年にパネルの承認を受けており、国別GHGインベントリに関するIPCCガイドライン最新版 (2006年IPCCガイドライン)については2006年に承認された。また、IPCCは、2006年国別GHGインベントリ・ガイドラインに対する2013年追補:湿地(湿地追補)を採択。京都議定書補足的方法論グッド・プラクティス・ガイダンス2013年改訂版(KP補足文書)も採択している。

また、2007年12月には「人為的気候変動に関する多くの知識を構築し、普及し、変化に対応するために必要な基礎を築く」というIPCCの業務と取組みに対して、IPCCは米国のアル・ゴア前副大統領と共同でノーベル平和賞を授与された。

インターアカデミーカウンシル(IAC)のレビュー:第4次評価報告書AR4)の記述の不正確さやそうした批判を受けたIPCCパネルによる対応への社会の非難を受けて、国連事務総長Ban Ki-moon及びIPCC議長Rajendra Pachauri(インド)は、IACに対し、IPCCのプロセスと手順に関する第三者レビューを行い、IPCCの強化やIPCCの報告書の質を確保するための勧告を行うよう要請した。

これを受けて、IACはレビュー結果を2010年8月の報告書の中で提示し、特に次の項目(IPCCのマネジメント体制;危機管理計画を含むコミュニケーション戦略;参加者の選定基準や評価対象の科学技術情報の種別等における透明性;各WGにおける不確実性の定義における一貫性)に関する勧告を行った。

さらに、パネルは、灰色文献や不確実性の扱い、過去の報告書中の誤謬に対応するプロセス等について多数のIAC関連決議を採択。また、さらに精査が必要な勧告に関しては、プロセスと手順、コミュニケーション、COI(利害相反)政策、ガバナンスとマネジメントに関するタスクグループも設立した。

AR5 2013年9月のIPCC-36(開催地:スウェーデン・ストックホルム)において、AR5におけるWG Iの報告書「気候変動2013年:自然科学的根拠」が承認された。2014年3月のIPCC-38 (日本・横浜)では、AR5のWGII報告書「気候変動2014年:影響、適応、脆弱性」が承認され、2014年4月のIPCC-39 (ドイツ・ベルリン)でAR5のWGIII報告書「気候変動2014年:気候変動の緩和」が承認を受けた。IPCC-40 (2014年10月27日-11月1日、デンマーク・コペンハーゲン)では、SYRのSPMについて一行毎の承認を行い、SYR本編がセクション毎に採択された。なお、2013年10月、ジョージア・バツミで行われたIPCC-37では、2つの方法論に関する報告書、湿地に関する追補、およびKP補足文書が採択され、IPCCの今後の計画に関する初期段階の議論を行った。

IPCC-41本総会(2015年2月24-27日、ケニア・ナイロビ)では、IPCCの今後の作業について議論し、IPCC議長団及びTFI議長団(TFB)の規模や体制、構成等を決定した。また、AR6の発行サイクルに関して数々の決定書も採択した。

IPCC-42本総会(2015年10月5-8日、クロアチア・ドゥブロブニク)では、IPCC議長団ならびにTFBのメンバーを選出した。また、パネルでは、Hoesung Lee (韓国)を第6次評価報告書の期間のIPCC議長に選出した。

IPCC-43本総会(2016年4月11-13日、ケニア・ナイロビ)では、第6次評価報告書(AR6)のサイクルに3つのテーマに関する特別報告書(SRs)を作成することで合意。「産業革命前の水準と比較して地球が1.5℃温暖化する場合の影響と関連する世界のGHG排出経路(SR15)」、「気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、および陸域生態系におけるGHGフラックス(SRCCL)」、「気候変動と海洋、雪氷圏(SROCC)」に関する特別報告書を作成することとなった。さらに、次回の第7次評価サイクルにおいては、都市に関する特別報告書を作成することで合意した。

IPCC-44本総会(2016年10月17-21日、タイ・バンコク)では、特別報告書(SR15)の概要や2006年IPCCガイドラインの精緻化に向けた方法論報告書の概要に関する決定書を採択した。さらに、IPCCは、緩和や持続可能性、気候安定化シナリオに関する専門家会合、コミュニケーション及びスコーピング・プロセス、TGICAの今後、IPCCのコミュニケーション戦略の再検討、ならびに気候変動と都市に関するワークショップについて決定書を採択した。

IPCC-45本総会(2017年3月28-31日、メキシコ・グアダラハラ)では、SRCCL及びSROCCの概要を承認。AR6の戦略計画スケジュール、SLCFs検討に向けた提案、再調達案も含めた事業予算等に関する検討を行った。また、パネルはATG-資金(資金)の発足を決定した。

AR6 スコーピング会合:本総会(2017年5月1-5日、エチオピア・アディスアベバ)では、IPCC-46に提起する3作業部会のAR6向け報告書の章立て概要を作成し、SYR関連の問題を討議した。約60カ国から200名以上の専門家が参加した。

                                                                                                                                                                                                                                                                  

IPCC-46レポート

 

9月6日(水)、第46回IPCC総会はIPCCのHoesung Lee議長 (韓国)により開会した。Lee議長は今次総会のAR6サイクルにおける重要性を指摘し、SR15第1次ドラフトの専門家レビューが現在進行中であることに言及した。また、2006年IPCCガイドライン精緻化に関する第1次ドラフトが年内完了予定であると述べた上で、IPCCの作業を実施し、その知見を伝達し、気候に強靭な開発経路に関する取り組みを示すには資金援助が欠かせないと強調した。

Mohawk Council of Kahnawà:ke首長のChristine Zachary-Deomが本会合でモホーク族の伝統に則った儀式的な祈りを捧げ、参加者のモントリオール来訪を歓迎するとともに、それが誰であるにしても創造主ならびに数多の自然の構成要素に対する感謝の辞を述べた。

カナダ環境・気候変動省のMartine Dubuc次官補は、 参加者に歓迎の挨拶を述べ、カナダはパリ協定やその他の国家的な持続可能な開発計画を実施するべく国内的な取組みを下支える最先端知識を提供する科学者に依拠していることを強調した。

世界気象機関(WMO)のDavid Grimes総裁は、WMOによるIPCCの作業に対する貢献ならびにWMOの科学者と加盟国、特に途上国の水文気象サービスとの積極的な関わり合いによる相互のメリットを強調した。

WMO副事務総長のElena Manaenkovaは、IPCCの中で各国の気象サービスが果たす役割の大きさについて述べ、AR6サイクルの全段階のIPCCの活動を支援するためのWMOの取り組みについて強調した。

国連環境計画(UNEP)の主席研究員Jian Liuは、政策決定の場に科学を持ち込むことが重要であると強調し、この点においてIPCCは “大胆かつ勇敢”な作業を行っていると評価し、年後半のUNFCCC第23回締約国会議 (COP 23) では政治と資金の両面でIPCCを支援するよう各国に促す合同イベントを企画していることをアピールした。

カナダ 環境・気候変動大臣のCatherine McKennaはプレナリーにビデオメッセージを寄せて、クリーンな成長と気候変動に向けた汎カナダの枠組みを強調し、パリ協定における各国の目標を認識するためにはIPCCの作業が重要であると強調した。

カナダ科学大臣のKirsty Duncanもビデオによるプレゼンテーションを行い、 気候変動に関する科学研究に対するカナダのコミットメントと支援を強調し、そうした重大な地球規模の課題に国際社会が一丸となって取り組むことが重要だと指摘した。

UNFCCC事務局の適応部門ディレクター、Youssef Nassefは、UNFCCCの作業に対してIPCCの報告書によって付加価値をつけられる、政策を含めた分野について論じ、IPCCの調整やグローバルストックテイクのサイクル、各国が決定した貢献量(NDCs)、透明性枠組の強化、2018年促進ダイアログに関してIPCCがUNFCCCに関与する機会について強調した。

サウジアラビアは、 政府代表団の複数のメンバーが査証を取得できず本会議に参加できないのは残念だと述べ、自国の専門家が貢献できるときが来るまで会合結果について意見を留保する権利があると強調し、パネル合意を受ける会合記録に自身の発言を記載するよう要請した。サウジアラビアの要請に対して、IPCCセクレタリーのAbdalah Mokssitは、査証問題については報告書への記載を約束し、事務局は今後、査証プロセスを円滑にするため移民局にもっと積極的に働きかけるつもりだと述べた。

その後、IPCCのLee議長は暫定議題 (IPCC-XLVI/Doc.1 及び Add.1)を紹介した。ノルウェー、スイス、英国、ドイツ、フィンランド、フランス、オランダ、メキシコ、ベルギー、スペイン、ルクセンブルグ、ニュージーランド等の国々が、9月5日(火)に開催されたジェンダーバランス改善に関するサイドイベントに関する口頭報告を議題項目「その他の案件」の下に提示するよう求めたが、サウジアラビアが新たな議題項目についてはすべて本国に相談しなければならないとして反対を表明した。ニュージーランドは、本件について実質的な討議が必要となる場合は今後の会合議題に本件を追加することができると述べ、フィンランドは、会合欠席者への情報共有を促すため当ジェンダー会合から文書で報告を出すよう要請した。IPCC Lee議長は、各WGの報告中にジェンダーバランスに関する口頭での報告を受けるよう提案した。

その後、パネルは提起された通りの議題ならびにIPCC-45報告書原案(IPCC-XLVI/Doc.5)を採択した。

IPCC信託基金事業予算

2018年、 2019年、 2020年の予算: 事務局は9月6日(水)、2017年の収支及び2020年までの予算に関する議題小項目 (IPCC-XLVI/Doc.2)を紹介した。本件については、資金タスクチーム (FiTT) で議論を行い、プレナリーで報告することとなった。

9月10日(日)、 FiTT 共同議長 Helen Plumeは、同グループの議論の結果ならびに決定書草案、2018年予算案を紹介し、標準的なコスト計算で考えると2018年には予算が不足する可能性が高いと指摘する一方で、急減する引当金でわかるように特にAR6の作業計画の観点からIPCCが“もっと安定した基盤”を探すことが急務だと述べた。パネルは決定書及び提示された予算を採択した。

最終決定: 決定書 (IPCC-XLVI-1)で、パネルは特に予算に資金貢献を行った各位への感謝を述べるとともに、各国政府に対しては寄付金の維持およびできれば増額、多年度にわたる寄付を要請した。また、IPCC信託基金への寄付金額は現在までに受け取った寄付金および誓約された寄付金額のレベルが2018年の事業計画を実施するには不十分であると指摘し、2017年の資金不足分180万CHFを埋める必要があると伝えられた。

資金動員: IPCC セクレタリー Mokssitは、AR6のために行われた資金動員活動に関する情報文書(IPCC-XLVI/INF.9)を紹介し、財政状況の深刻さに触れて、全加盟国には資金プランの必要性に対処し、資金集めへの参加を考慮してほしいと呼びかけた。さらに、早めに出張手配を行ったことで航空運賃のコスト削減につながったと報告し、IPCCの予算から引き出すことなく、2019年までの全会合が開催されると言及した。

IPCC信託基金については数カ国が支援を表明した。英国、ノルウェー、日本 は、自国からの寄付金額を増大させる意向を表明した。欧州共同体 (EU)は、EU加盟国それぞれからの寄付に加え、EU全体で2017年末までに170万ユーロ、今後3年間に400万ユーロの補助金という今後数年にわたる実質的な寄付金増額案を述べた。オランダは、合計10万ユーロに寄付金額を倍増する意向を発表した。ノルウェーは、2018年には過去の寄付金額の2倍以上に増額すると述べた。マリは、寄付金はWMOを通じて行っていると説明した。 オーストラリアは、2018年の寄付金は過去数年と同じ率で行うと述べ、2018年4月にインベントリ・ガイドラインに関するLA会合を主催すると発表した。韓国は、多年度の資金貢献の約束と指摘し、2018年にIPCCプレナリーを主催すると宣言した。カナダは、2022年まで年間15万ユーロの資金を倍増すると発表した。

ポーランドは、AR6サイクルに重要ではないIPCC会合の省略を提案した。

2016年財務諸表監査: 事務局は2016年財務諸表の監査結果(IPCC-XLVI/INF.1)を紹介した。パネルは同監査文書に留意した。

その他の全ての問題: 事務局は予算準備プロセス (IPCC-XLVI/INF.2)を紹介した。パネルは文書に留意した。

IPCC事務局コミュニケーション及びメディアのヘッド、Jonathan LynnはAR6サイクルのSRs向けコミュニケーション・アウトリーチ戦略(IPCC-XLVI/Doc.4)を紹介した。

ドイツは、ノルウェー及びルクセンブルグの支持を受け、2018年のUNFCCC COP 24の前に、最低でもSR15 SPM、理想的にはSR15報告書すべてを多言語で提供することを担保することが重要だと強調した。

ドイツ、スウェーデン、スイスは、予算をつけた活動と資金のニーズの間のギャップを指摘し、出張不要の会合という選択肢やIPCCの配布資料代を予算から外す案、予算効率化に向けた予算の見直しを行う等の案を提案した。メキシコがコミュニケーション及びアウトリーチ活動の向上のため学術機関と戦略的パートナーシップを結ぶことを提案する一方で、フィンランドは、そうした活動がそもそも不要になるよう元のAR6報告書の原文を出来るだけ明快にすべきだと提案した。Lynnは、専門家でなくても報告書の言葉が理解できるようにするための取り組みは既に進行中であると説明し、事務局がコミュニケーション及びアウトリーチ活動のための追加資金策を検討していると述べた。

資金安定化に関するアドホック・タスクグループ(ATG-資金)

9月9日(土) 午前、 ATG-資金共同議長 Thelma Krugから同部会の報告書(IPCC-XLVI/Doc.8)の紹介があり、今後の資金調達案の長所短所をまとめた文書(IPCC-XLVI/INF.12)及びタスクグループのメンバーのコメント集(IPCC-XLVI/INF.14)について言及があった。ATG-資金は持続可能で充分な資金調達策を模索するべくIPCC-45で発足したもので、IPCCへの寄付金額は着実に減少しており、過去数年にわたり毎年の寄付金額は440万ユーロに満たないと議長が述べ、2017年現在までに手元資金は計190万ユーロ、各国からの公約としての資金は計180万ユーロになったが、これは2017年末までに約600万ユーロの引当金が枯渇することを意味していると説明した。

ATG-資金 共同議長 Youba Sokonaは、8つの資金策を検討していくとし、①各国政府による自主的で評価済みの資金拠出の維持; ②自主的な資金拠出の増大; ③各国政府による強制的または評価済みの資金拠出; ④公的クラウドファンディング; ⑤科学機関、研究機関、フィランソロピー機関からの寄付金; ⑥国連の諸機関、国際的な金融機関からの資金拠出; ⑦民間セクターからの資金拠出; ⑧善意のサポートを受けた“資金調達”会合 について紹介した。

IPCC Lee議長は、ATG-資金の役割は、加盟国からの資金貢献を増やし、国連やその他機関から追加的な資源を動員し、民間セクターを含む潜在的な拠出人の適格性に関する指針を提供する等の選択肢を模索することになると改めて説明した。また、各国政府には、拠出額の減少トレンドに歯止めをかけるため、紹介した各種オプションに関する決断を下すよう求めた。

すべての国は、IPCCの独立性と完全性の担保、財務状況の改善が重要だと強調した。 また、政府間組織であるIPCCの主要財源は各国政府から確保すべきであり、資金拠出を行う加盟国数も増えるべきだと主張した。

ATG-資金が提起した選択肢については、米国、南アフリカ、サウジアラビアをはじめとする国々が自主的な寄付を行う案を支持し、日本などの国々とともに、 現物出資の価値を訴えた。これとは対照的に、マリ、ボリビア、ベニン等は強制的に拠出させる方がいいと主張した。

メキシコ、カナダ、ケニアをはじめとする国々は、各国からの寄付金拠出以外の策を模索することを提案し、ドイツ等の国々とともに、同提案の実現を追求する場合は適格性に関する評価基準をつくる必要があると強調した。オランダは、その他の財源のために独立したファンドを設立することを提案した。

英国やベルギーをはじめとする国々は、国連諸機関・国際金融機関・地域金融機関からの資金拠出を求めることに吝かではない旨を表明した。オーストラリアは、WMO やUNEPからの毎年の現金拠出が必ずしも実行されていないことに失望感を示し、中国、モロッコ等の国々とともに、この点でIPCCの2つの主幹組織の取り組みを求めた。

メキシコは、イタリア、ベルギー等の国々とともに、資金拠出のため緑の気候基金(GCF)にアプローチをかけることを提案した。Krug共同議長及びSokona共同議長は、IPCCに対する地球環境ファシリティーのこれまでの貢献について言及しつつも、その他の機関にそのような資金拠出が可能なのかガバナンスのルールを究明する必要があると強調した。

ベルギー、ケニア、南アフリカ、ギリシャ、ブラジルをはじめとする国々は、利害相反の問題を回避できる限り、科学機関、研究機関、慈善機関からの資金拠出を模索する案を示唆した。ベルギーは、Bloomberg PhilanthropiesからUNFCCC宛に相当額の寄付金があったことに注意を喚起し、IPCCが本件についてもっと情報を得るべきだと提案した。イタリアが、研究者のコミュニティーは往々にして資金の圧力を受けると指摘する一方で、将来の Earthは科学研究から多様な資金源を得ると最終的にはIPCCを弱体化させるとして、他のプランを模索すべきだと示唆した。

ハンガリー、ポーランド、ブラジルは、クラウドファンディングの検討を示唆しが、ドイツやマリが反対した。イタリアは、クラウドファンディングを適切に行うには特別なスキルが必要であり、コスト高につながる可能性があると指摘した。トーゴは、IPCCが一部の報告書についてユーザーに課金することもできるのではないかと示唆した。米国は、特定の組織がIPCC報告書のスポンサーになるという考え方に警戒感を示し、スイスが賛同した。その後、IPCCのLee議長は、IPCCが今後も各国政府だけから資金を募るべきか、あるいは外部の資金拠出先と組んでハイブリッド型のアプロ―チを採用するという方向転換をすべきか意見を求めた。

オーストリア、スイス、バハマ、ペルー、サウジアラビアをはじめとする国々は、今後も各国の政府だけがIPCCの出資機関である方がいいと主張した。サウジアラビア、メキシコ、スイス、モロッコは、2018年のIPCC設立30周年記念に合わせた募金キャンペーンを行うことを提案した。

ニカラグア、南アフリカ、ザンビア、アルゼンチン、チリ、ボリビアは、ハイブリッド型の資金調達アプローチを採用する方がいいと主張した。ボリビアは、あらゆる政府レベルに資金拠出を募ることが暫定的な解決策になると述べた。ザンビア、アルゼンチンは、その他の資金調達源が求められるような予算上の制約が発生した場合の“代替策”を確保するにはハイブリッド型アプローチの方が良いと主張した。同様に、オランダ、ドイツも、IPCCが財政難から脱却できない場合でも必要不可欠な活動を確実に継続させるために“プランB”の代替策を実施するための財政スケジュールの策定を要請した。

米国、フランス、マリ、メキシコ、フィンランド、モルディブをはじめとする国々は、留保条件つきでハイブリッド型の資金調達アプローチの採用にもウ吝かではないという姿勢を示した。多くの参加者は、予算の不足分を決定するため予算のさらに詳しい明細を求め、収支状況をはっきりとさせ、その他の組織による資金拠出が受け入れられるものは何か決定できるようにしてほしいと主張した。

ハイブリッド型アプローチ採用の是非に関する正式決定を下す前に様々な資金調達策の評価を続けるべく、ATG-資金の期限延長を多くの国が支持した。IPCCのLee議長は、各国の政府代表に対し、当面は資金調達に向けた取組みを精力的に行っていくと述べた。その後、ATG-資金グループの期限延長が合意を受け、IPCC-47でも資金問題について再検討することとなった。

IPCC第6次評価報告書のスコーピング

IPCCプレナリーでは、各WG共同議長によりWG報告書の章立てに関する発表が行われ、9月7日(木)~10日(日)にはWG毎の討議を経て、報告書の章立てに関する合意が成立した。会期の中で本編の改訂版が紹介され、論議を呼ぶ問題については必要に応じて非公式折衝が行われた。9月8日(金)、WGIが章立てについて合意し、WGIIとWGIIIも10日(日)午前に作業が完了した。合意を受けたWG報告書の概要はIPCCプレナリーでの採択に向けて送付された。

WG会合では、WG間の整合性と一貫性に関する問題が数多く提起された。さらに、数名の参加者がすべてのWG間の整合性を担保することに特化した部会の設置案を支持し、スペインは、そうした部会は横断的な問題、進捗状況を測るための言語や計算法、共通の用語集の整備に専念すべきだと言い足した。また、多くの参加者がアクセスしやすいテクニカルサマリー(技術要約)とエグゼクティブサマリー、さらに独立したハイレベルのヘッドラインステートメントを求めた。

プレナリー及びWGごとの報告書概要に関する議論の総括は下の通り。

1作業部会(WGI)、AR6報告書の概要: プレナリーでの発表: WGI共同議長 Valérie Masson-Delmotteが9月6日(水)、パネルにWGI概要を紹介し、気候科学や気候システムや事象の理解向上、新たな観測結果や統計、理論、モデリング等のエビデンスの統合等の発展を受け、AR4からAR5は著しく進化したことを指摘した。また、今回の作成サイクルにおけるリスクの評価や管理等や3つのSRsの準備において3つの作業部会間の情報交換が強化されたことを指摘した。

Masson-Delmotte共同議長は、①大規模な気候変動、②SLCFsに関する新たな総合的な章も含む全球気候プロセス、③地域の気候情報の三テーマから成る報告書の構成概要を示した。また、各章のグループは、これまでの評価報告書よりも更に包括的なアプローチに則り、今般の研究アプローチや整合性を担保する科学の進歩を提示するものとなると述べた。

Masson-Delmotte共同議長は、リスク評価とリスク管理の重要性を鑑み、AR6は複数の章で極端現象を取り上げると説明。また、全球気候プロセスに関する章はWGIIIに関連し、地域気候情報に関する章はWGIIに関連していると指摘した。さらに、WGIでは、章をまたぐ必要があれば他のWGを支援することにも前向きな姿勢を見せた。なお、AR6スコーピング会合では、WGを横断する地域的な問題の取扱いに対応するための専門家会合の開催が提案され、この点に関する資金援助のニーズとともに、地域別リスク地図の作成が求められており、各WGから選出する新たな執筆チームとAR6プロセスを通じて活動を行う横断的なWGシナリオチームの発足が必要だと指摘された。

WG I -13章立て概要の議論: 9月7日(木)午前、 WGI 共同議長 Panmao Zhaiが1作業部会の第13回会合(WGI-13)を開会。WGI Masson-Delmotte共同議長が、WGI報告書の執筆者について、専門知識やキャリア段階、地域、ジェンダーを含め、多様な人材を指名するよう奨励した。IPCCのLee議長 は、政策に情報提供を行う堅牢な科学が重要であると強調した。WGIは議題 (WG-I:13th/Doc.1及びWG-I:13th/Doc.1、Add.1、Rev.1)を提起された通りに承認した。

その後、各国政府の代表は章立てに関する全般的なコメントを発表した(WG-I:13th/Doc.2)。ドイツは、報告書の長さを最大800頁とし、可能性が低いもの(low-probability)や影響度の高い事象を含めるよう求めた。中国は、シナリオの利用について全WGで一貫させるよう要請し、セネガルとともに、リスク及びシナリオの取扱いを全WGで一貫させるよう求めた。

気候アクションネットワーク(CAN)は、韓国やFriends World Committee for Consultation (FWCC)の支持を受け、ジオエンジニアリングによる解決策を盛り込むことに対する懸念を表明した。スーダンは、米国の支持を受け、WGI報告書や特別報告書(SR)の研究の重複に釘を刺した。ドイツは、アイルランド、ノルウェー、米国とともに、全章を通じた整合性と報告書の最初から複雑な科学の概念を明確に伝えるべきだと主張した。

サウジアラビアは、WGIの概要が社会科学や政策関連の問題に力点を置きすぎているとし、新しい用語の利用を抑えて、不確実性に関する独立した一章を設けるよう要請した。米国は、マルチモデル評価やモデルのダウンスケーリングおよび炭素予算に関する不確実性の扱いをもっと明示的にするよう要請した。

10-12章で地域に焦点があてられたことを多くの政府代表は歓迎した。WGを横断する報告書の一貫性について言及し、日本は、AR5でも行ったようにWGIのダウンスケーリングの結果をWGIIでも活用するよう奨励した。

構成、背景、手法(第1章): マリは、第1回から第5回までの評価報告書の成果に関して簡潔な総括を盛り込むことを要請し、各WG報告書でもそれを行うよう求めた。セントルシア、ロシア、サウジアラビアは、報告書のグローバルストックテイクにおける役割を明確にすべきだと要請し、報告内容の本質は科学的であるべきだと述べた。スイスは、炭素予算に関する記載を第5章 (生物地球化学的な循環及びそのフィードバックに関する章) から本章に移すよう要請した。しかし、サウジアラビアはこの意見に反対し、炭素予算に関する記載すべての削除を求めた。

9月8日(金)午前、 WGI共同議長は章立て改訂版を紹介し、報告書全体を通じた不確実性の扱いと評価にスポットを当てた新たな箇条書きのポイントを示した。この追加をもって、本章について合意が成された。

気候システムの変化状態 (第2章): 本章は9月8日(金)、修正なしで合意が成された。

人間が気候システムに及ぼす影響 (第3章): 本章は9月8日(金)、修正なしで合意が成された。

将来の世界の気候: シナリオに基づいた予測と近未来に関する情報(第4章):、セントルシアは9月7日(木)、アイルランド、ノルウェー、EU、ベルギー、英国、ボリビア、ザンビア等の支持を受け、GHGの除去はパリ協定で定められた政策的な対応だが太陽放射管理はそれと異なるとして、ジオエンジニアリングに関連する個々の概念を一括することに反対した。CANは、ジオエンジニアリングは現段階では現実的な対応戦略ではないと強調した。ロシア、セネガル、サウジアラビアは、ジオエンジニアリングによる解決策に関する科学文献を盛り込むべきだと指摘した。

9月8日(金)午前、 WGI共同議長が、GHG除去及び太陽放射管理に関して個別に2つの箇条書きを入れた改訂版の概要を紹介した。これらの変更をもって章立ての合意が成立した。

地球規模の炭素と他の生物地球科学的循環及びそのフィードバック (第5章): 9月7日(木)、サウジアラビアとシンガポールは、原案における炭素予算の記載で意見が対立した。日本、そしてMasson-Delmotte共同議長が本文の文脈において炭素予算は新たな文献によって出された全球規模の科学的な評価を参照するものだと明言した。ロシアは、“全球(global)”の炭素と記載することを提案した。日本は、英国をはじめとする国々の支持を受け、2100年以降の急変と不可逆性を検討するとの案への支持を表明し、Masson-Delmotte共同議長が今後これの検討が行われることを確認した。

9月8日(金)、グループは章立て改訂版について議論した。ベルギーは、ルクセンブルグの支持を受け、炭素循環の地域的側面から改訂版のタイトルで“地球規模(global)”という言葉を使うことに懸念を示し、執筆陣への提案として地域的な側面の重要性に言及することを示唆し、これが全体の合意を得た。ノルウェーが示した懸念を受けて、執筆陣に対して、自然な変化と人為的な変化の差異化を担保するよう追加提案が出され、これが合意された。

さらに、ノルウェーは、生物地球化学的な土地(陸域)管理に関する箇条書きがブルーカーボンの様な沿岸地域を考慮しているのか明確にするよう求めた。メキシコ、サウジアラビアは、章にこれを含める案を支持し、両共同議長は、箇条書きの最後に一例として含めることを提案したが、は反対した。 by アイルランド、ドイツ、スペイン、ノルウェー、英国が、それではブルーカーボンが目立ち過ぎてしまうとして反対を唱え、執筆陣への指針の中でブルーカーボンを検討するよう提案した。ノルウェーは、同箇条書きを“土地および海岸部の管理(による)緩和”と変更することを提案し、作業部会ではこれらの提案を受け入れ、合意が成立した。

短寿命気候強制因子(SLCFs)(第6章):  アイルランド、マリは9月7日(木)、両国の要望通りに本章が入ったことを歓迎した。中国は、大気品質と気候変動を扱う場合に明確な関連性が必要だと強調した。ベルギー、Future Earthは、SLCFsを取り上げる際に硫黄も対象に含めるよう求め、ベルギーとともに、WGIIおよび WGIIIでSLCFsを気候変動のインパクトや緩和に影響を及ぼす横断的な問題として検討するよう求めた。インドは、SLCFsに関する独立した本章ならびに元々のタイトルに入っていた大気品質の記載について、これはIPCCの領域外であり、本件が目立ち過ぎると述べ、氷河やモンスーン等の他のSLCFsとの関係も指摘した。

9月8日(金)、各国の政府代表は章立て改訂版について議論したが、インドは、章のタイトルに大気品質という語を残すことは受け入れられないと述べ、SLCFsの寿命による違いを区別することが重要だとし、SLCFsがどれほど気温に寄与しているかは非常に不確実だと主張した。

章に関する別の改訂もあり、非公式折衝が行われたが、共同議長は、タイトルを“SLCFs”と短くし、大気品質との関連性に関する箇条書きを新たに付け加えることを提案した。インドは、大気組成に関して新たに言及することを提案した。これらの修正をもって、 本章は合意となった。

地球のエネルギー収支、気候フィードバック、気候感度 (第7章): この章立てはコメントなしで合意が成立した。

水循環の変化 (第8章):サウジアラビアは9月7日(木)、AR5の時と同様に雲とエアロゾールを独立した1章で扱うよう要請した。8日(金)の改訂版概要には雲とエアロゾールのプロセスを箇条書きで、蒸気や降雨パターンに影響を及ぼす循環、プロセス、現象と書き入れることとなった。この変更をもって、章立てが合意された。

海洋、 雪氷圏、海面水位の変化 (第9章): 本章立ては議論なしで合意した。

世界規模と地域規模の気候変化のつながり (第10章): セントルシアは、ダウンスケーリングやバイヤスの調整を含めた手法の評価を地域的な課題として箇条書きすることを提案した。これらの提案を反映させる文言を入れて本章は 合意した。

気象および気候の極端現象(第11章): エルサルバドルは9月7日(木)、ニカラグアの支持を受け、2つの海洋システムが交差する特に敏感な熱帯地域として中米が特殊な状況にあると記載することを求めた。フィリピンが熱帯サイクロンの記載を含めるよう求める一方、マリが干ばつの記載を要請した。 干ばつ及び熱帯サイクロンの記載を追加して、章立てが合意した。

地域規模の影響およびリスクを評価するための気候変化に関する情報(第12章): 本章立ては修正なしで合意した。

9月8日(金)午前、 WGI 共同議長 Zhaiは、2021年4月に次回WGI会合(場所は未定)を開催すると述べ、WG合同会合で2018年10月に完成予定のSR15を承認・承諾することになると述べた。ノルウェーは、2018年11月のCOP 24の前にSR15を完成・配布するには合同会合の時期が不適切ではないかとの懸念を示した。WGI会合は午後12時30分ごろ終了した。

IPCCプレナリーへの報告: 9月10日(日)午後のIPCCプレナリーで、WGIのMasson-Delmotte共同議長が作業部会の会合で合意を受けたWGI報告書を紹介し、各国政府がジェンダーの多様性をもつ複数の執筆者候補を支持することが重要であると強調した。こうした意見に呼応するかのように、カナダは、9月5日(火)に行われたIPCCにおけるジェンダー改善に関する会合について口頭報告を行い、報告書はIPCCウェブサイト上に掲載されると述べた。また、ジェンダー行動計画の協議が2017年11月にカナダ・オタワで開催予定と伝えた。

ポーランドは東欧からの科学者が参加していないことは残念だと述べ、地域間のバランスをとることも重要だと主張した。ロシアは、多様性を増すためWMOに頼って気象サービスに従事する各国の科学者を引き込む案を示唆した。モロッコをはじめとする国々は、途上国の執筆者を除外しがちな執筆者選考プロセスに対する懸念を表明した。

ベルギーは、メッセージを明確に簡潔に伝えるためにSPMの長さを10頁以内に収めるにすべきだと主張したが、Masson-Delmotte共同議長は長文の報告書には柔軟性が必要だとし、10点の図を含めて20-25頁のSPMになるとの見方を示した。ノルウェーおよびWGIIのHans-Otto Pörtner共同議長は、頁数の議論は後の段階で議論すべき内容であり、各作業部会は未だこの問題を調整する時期に達していないと指摘した。

米国は、3つの作業部会全ての報告書の骨子にある箇条書きは明示的であるとし、執筆陣はカバーする科学文献に関するIPCCのガイドラインに則るとする旨を明記した一文を決定書に盛り込む提案した。ベネズエラは、本件はプレナリー報告書の中に盛り込むべきであり、WG(報告書の)概要の中に入れるべきでないと主張した。ベルギーは、ドイツやルクセンブルグの支持を受け、自然科学的な側面に関する文献だけに限定して言及することは横断的な問題についてWGIが全面参加する能力に影響するのではないかとの懸念を示した。その後の議論で問題を明確にし、“特にAR5以降の関連文献を文献活用に関するIPCC指針に則した方法で評価する”との一文を各WGの決定書に盛り込むことでパネル合意した。

最終決定: 最終決定(IPCC-XLVI/Doc.11)の中でパネルは、WGIのAR6報告書の概要について合意するとともに、WG共同議長に対して各WG作業間の効果的な連携を担保する適切なメカニズムの構築や横断的なテーマの取扱いの監督、3つのWG共通の用語集作成を招請した。さらに、決定書で、WGI報告書の作成スケジュールを定め、同WGの作業予算についてIPCC信託基金事業予算 (IPCC/XLVI-1)決定書に記載すると記した。

この概要には、SPM、技術要約、WG間の統一に関するオプションや地域別の地図、WG横断的な用語集等を含めた数多くの付属文書についての記載が盛り込まれた。概要の中に入った章立ては次の通り:

  • 構成、背景、手法
  • 気候システムの変化状態
  • 人間が気候システムに及ぼす影響
  • 将来の世界の気候シナリオに基づいた予測及び近未来に関する情報
  • 地球規模の炭素と他の生物地球科学的循環及びそのフィードバック
  • SLCFs(短寿命気候強制因子)
  • 地球のエネルギー収支、気候フィードバック、気候感度
  • 水循環の変化
  • 海洋、雪氷圏、及び海面水位の変化;
  • 世界規模と地域規模の気候変化のつながり
  • 変化する気候下における気象及び気候の極端現象
  • 地域規模の影響及びリスクを評価するための気候変化に関する情報

2作業部会、AR6報告書の概要:プレナリーでの発表: WGIIのHans-Otto Pörtner共同議長及びDebra Roberts共同議長は9月6日(水)のプレナリーでWGII報告書向けの概要案を紹介し、自然から人間のシステム、様々な地域、そし統合アプローチに至るまでの全体的なストーリー展開を示した。また、報告書の全体的な3つのテーマとして、テーマ①リスク、適応、気候変動に影響を受ける様々なシステムの持続可能性、テーマ②様々な地域、テーマ③3つの持続可能な開発経路、適応と緩和の統合について説明した。また、WGIIの概要での横断的な章の囲み記事(ボックス)を入れ、報告書の情報を補完すると伝えた。

WGII-II 章立て議論: 9月7日(木)午後、 第2作業部会のPörtner共同議長がWGII第11回プレナリー会合を開会。IPCCのLee議長はリスク、適応、緩和、開発の問題を包括的に考察した概要への賛辞を贈った。同部会は議題 (WG-II:11th/Doc.1 及び WG-II:11th/Doc.1、Add.1、Rev.1​)を承認した。

概要に関する全般的なコメント(WG-II:11th/Doc.2)としては、日本が、セクターに関する章で炭素の社会コストについて取り上げるよう求めたが、サウジアラビアがWGII概要から炭素の社会コストについての記述すべてを削除するよう要請した。ノルウェーは、グローバルストックテイクに関するWGIIの報告内容をもっと幅広く考えることを提案し、生態系サービスや自然に基づく解決策、生態系シフト、それらと持続可能な開発目標(SDGs)との関わりにもっと重点を置くべきだとの意見を支持した。

カナダは、ボリビア、エクアドル、ノルウェー、ベネズエラ、インドネシア、Future Earthの支持を受け、AR6の成果物の中で先住民の知識や地域の知識を活用するためのガイドライン作成を提案した。カナダは、先住民の指導者との専門家会合の開催を勧め、そうした会合への支援を表明した。スイスは、この点について、IPCCが「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBES)」で採用されているアプローチから一足飛びに進化できると示唆した。

トリニダード・トバゴ、セントルシア、マリ、タンザニア、グレナダ、バハマ、モルディブ、ベネズエラ、ジンバブエは、概要で損失・被害について記すよう求め、この問題が政策決定者にとって重要な意味を持つことを示唆した。ボリビア、チリ、エクアドルは、各章の中で箇条書きにするか、独立した章を設けて記載する案を支持した。米国は、科学的観点から損失・被害についてアプローチする必要があると主張し、不明瞭な定義や政治的な定義は回避するべきだと述べた。さらに損失・被害の問題に対応するための分科会が行われた。

ボリビアとシンガポールは、報告書全体に衡平性の概念をもちこむ考えを支持した。

アフリカに関するデータ不足に関連したAR5での問題に触れ、マリは、タンザニア、南アフリカ、ジンバブエの支持を受け、AR6でアフリカのためのデータの欠落問題に対処する必要があると強調し、本件に関するグレー文献の活用を求めた。

米国は、気候変動以外の自然の気候可変性、フィードバック、ドライバーに関して十分に検討し、一貫性ある不確実性の取扱いを主張し、排出源や不確実性の定量化の問題は各章で明示的に取り上げるべきだと述べた。

サウジアラビアは、概要はあまりに緩和中心になっているとし、“適応と緩和のトレードオフ”は“適応と緩和の共同便益”に変更すべきだと主張した。 また、漸進的または転換的な適応のための定義について合意が欠如しているとして、経済多角化が持続可能な開発と気候変動対策の中核部分であると指摘した。

また、複数の国が新しい章を追加することを提案した。カナダは、極圏について独立した章を設けて扱うことを提案し、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、チリ、ノルウェー、米国がこの意見を支持した。。サウジアラビアは、砂漠化と不確実性に関する章をそれぞれ作ることを提案した。インドは、国レベル、地方レベルでの適応計画と実施 、適応のための国際協力、そしてノルウェー及びモルディブに支持された、経済や観光、保険業界への気候リスクという3つの新しい章の追加を提案した。韓国は、国家適応計画の実施、モニタリング、検証に学んだ教訓に関する章の追加を要請した。

出発点と主要なコンセプト(第1章): ボリビアは9月7日(木)、人間のシステムと自然のシステムの相互作用を本章に含めるべきだと述べた。インドは、適応のストックテイクに関する記載を盛り込む案を支持した。9月8日(金)、 Roberts共同議長は、改訂された章立ての変更点を強調し、リスクに関する更に一貫性ある扱い、適応策に関するより包括的な扱い、緩和と適応の相互作用に関する省察の改善等を挙げた。ニカラグアは、変貌する政策的な背景について取り上げた箇条書きの中でUNFCCCに関する記載を追加するよう求めた。さらなる議論の末、気候リスクの枠組みを取り上げた箇条書きの中でリスクと不確実性についての記載を入れ、適応の重要性を取り上げた箇条書きの中で自然と生態系に基づく適応やレジリエンスを盛り込むことで作業部会での合意に至った。

Roberts共同議長は9月10日(日)午前、“残留被害を含めた現在および将来の残留影響に関する科学・技術・社会経済的側面、徐々に発生する現象や極端現象によって引き起こされる不可逆的な損失や経済以外の損失”についての記載を盛り込み、損失・被害に関して非公式協議でまとまった新たなテキストを紹介した。また、適応の限界に関する記載が「効果的な適応を実現させるための状況」に関する箇条書きの中に追加されたことを説明した。セントルシア、トリニダード・トバゴは、このテキスト案への支持を表明した。

サウジアラビアは、経済以外の損失だけについて言及した場合、執筆陣は経済損失について検討できなくなるとの懸念を示し、“経済以外の損失”についての記述の削除を要請した。セントルシア、ジャマイカ、FWCCは、金銭価値を測ることが困難な損失について検討することが重要だとして、この意見に反対した。Roberts共同議長は、“経済および経済以外の損失”を妥協案として提案した。これらの変更をもって章立てに関する合意が成立した。.

陸域および淡水生態系サービス(第2章): アイルランドは、土壌およびバイオマスの炭素貯留の脆弱性と主要な海洋循環に関する検討を求めた。ボリビア、ベネズエラ、南アフリカは、“生態系サービス”よりも“生態系の便益”について記述するよう求めた。

9月8日(金)、Roberts共同議長は、改訂版の概要では持続可能な開発とSDGsの扱いについて整合性の担保に尽くしたと述べ、作業部会でも執筆陣への指針として“生態系の便益”に関する記述を再配置することで合意した。これらの修正をもって本章は合意に至った。

海洋及び沿岸の生態系並びに生態系サービス(第3章):木曜日、ノルウェー、日本、カナダ、ベルギーは、海洋酸性化の影響について、追加で言及するよう求め、ボリビアは、経済発展への言及を求めた。

金曜日、改定案の議論の後、共同議長のPörtnerは、予想ハザード及び曝露を論じる項目の中で「海洋の温暖化、海洋酸性化、酸素減少」に言及することを提案、グループもこれに同意した。生態系の「サービス(services)」及び「便益(benefits)」という用語に関し、ボリビアは、執筆者向けガイダンスの中でIPBESへの言及を入れるよう提案し、グループもこれに同意した。これらの変更を行った上で、この章の概要は合意された。

(第4章):木曜日の議論で、中国は、越境水資源への言及の削除を求め、インドは、水と食料の結びつきについて、章横断ボックスで取り上げる可能性を提案した。

金曜日、概要改定案の議論において、ウクライナは、水の安全保障における長期リスクを論じる箇所に、水資源の量及び質を入れるよう提案し、グループもこれに同意した。その後、この章の概要は合意された。

食糧、繊維、他の生態系生産物(第5章):木曜日、インドは、ノルウェーと共に、漁業及び自給自足農業への言及を求めた。インドは、スイス、ベルギー、ザンビアの支持を得て、農業に一層の注目をするよう促した。国連食糧農業機関(FAO)は、社会経済的影響を入れることを支持した。

金曜日、共同議長のRobertsは、改定されたこの章の概要は、農業、林業、漁業のビジビリティーを高めていると指摘し、「生態系生産物(ecosystem products)」への言及は、この章のタイトル原案に記載されていた管理された生態系の概念を明確化しようとするものだと指摘した。

スイスとハイチは、この章のタイトルで「生態系生産物(ecosystem products)」ではなく、「生態系物品とサービス(ecosystem goods and services)」とすることを希望したが、インド、エクアドル、ベネズエラは反対し、この表現は入れられなかった。インドは、この章のタイトルに「食餌(feed)」を入れるよう要請した。その後の議論で、一部の参加者は、インプットとアウトプットの区別保持を保証するよう求めた。このため、このグループは、食餌や肥料など、インプットへの考察を執筆者に対するガイダンスに追加することで合意した。

ザンビアは、適応オプションの項目では「食糧の生産(the production of food)」よりも広範な表現にすることを希望し、多くの国が食糧チェーン全体の損失を経験していると指摘した。さらにこのグループは、この項目に他の生態系生産物への言及を入れることで合意した。

この章の概要は合意された。

都市、居住、主要インフラ(第6章):金曜日、サウジアラビアは、適応オプション、適応能力、対応及び成果を示す項目の中に健康及び大気の質への言及を入れることに疑義を唱え、このグループは、健康及び大気の質をエネルギー・水・健康の関係を論じる項目に移すことで合意した。更なる議論の後、このグループは、観測された影響の検知と起因及び対応に関する項目では特定の部門に言及せず、執筆者へのガイダンスの中に部門別の考察を含めることで合意した。これらの変更を行った上で、この章の概要は合意された。

健康、福利、地域社会の構造変化(第7章):金曜日、サウジアラビアと南アフリカは、心理的、文化的、社会経済的側面に関する項目で人間の安全に言及することに反対した。ドイツは、対立と人間の安全への言及挿入を支持した。WGII議長団は、「人間の安全(human security)」への言及を削除し、適応オプション、適応の限界、及び社会的、環境的、経済的な影響に関する項目の中に持続可能な発展の概念を追加することを提案した。この章の概要は、これらの変更を行った上で、合意された。

貧困、生活、経済発展(第8章):木曜日、インドは、現実の脆弱性状況と予想される脆弱性状況との関係喪失(missing link)を指摘し、人間の安全を議論するよう提案した。共同議長のPörtner は、この問題を再度取り上げると共に、開発の機会を論じる項目の中で人間の安全に言及することへのサウジアラビアの懸念に応え、執筆者向けガイダンスの中でAR5に記載したとおりの人間の安全の定義づけに言及することを提案、グループもこれに同意した。

日曜日午前中、このグループは、開発の機会を論じる項目に関する改定案について議論し、共同議長のPörtnerは、「人間の安全(human security)」の後に、「損失への対応及び残されたリスク(coping with loss and residual risk)」を入れると指摘、グループもこれに同意した。その後、この章の概要は合意された。

地域別の章(第9章から第15章):これらの章は、木曜日に第1回の議論が行われた。ベルギーは、地域別の評価に限界があることを各章に記載するよう提案した。協議の後、地域別の章全てを横断して考察されるべき項目の最初のリストに少数の要素が追加された:

  • 多様な時間規模における自然系及び人間社会で観測された影響の検知及び起因とそれへの対応;
  • 曝露及び脆弱性に関する地域別情報;
  • 現在の部門別気候リスク、これには、土地、沿岸、地域内海域に関係する特定の地域や小地域の考察を含める;
  • 異なるタイプの知識システム;
  • 多様な適応オプション;
  • 気候変動のリスク及び対応と持続可能な開発経路との相互作用
  • データの入手可能性及び異質性の影響、これには灰色文献の利用も含める。

提案された地域別の章及び共通要素のリストは、土曜日の午後、合意された。

部門及び地域を横断する主要なリスク(第16章):この章の概要は改正されることなく、提示されたとおりで合意された。

適応を介するリスク管理の政策決定オプション(第17章):木曜日、サウジアラビアは、コスト及び非貨幣価値の損失、便益、シナジー及びトレードオフの項目から、カーボンの社会コストへの言及を外すよう要請したが、フランスは反対した。土曜日午後、共同議長のPörtnerは、章の概要の改訂版を提示し、カーボンの社会コストへの言及は削除したと指摘した。モルディブは、マリその他の支持を得て、適応コストの明記を求めたが、共同議長のPörtnerは、執筆者向けガイダンスへの追加を提案した。セントルシアは、政策決定及びリスク管理統治に関する項目において、残留リスク及びリスク管理の限界に言及することを求め、この点で合意がなされた。インドは、ベネズエラの支持を得て、適応のための国際協力及び適応計画とその実施をこの章に入れるよう求めた。この章の概要は、これらの変更を加えた上で合意された。

気候強靭な開発経路(第18章):ロシアは、リスク評価と適応レベルに関する項目からグローバルストックテイク進捗状況への言及を削除するよう提案した。同代表は、サウジアラビアの支持を得て、提案されているタイトルに関し、「転換(transformation)」ではなく「適応経路(adaptation pathways)」に言及することを希望した。サウジアラビアは、政策決定の推進要素に関する項目に経済多角化を入れることを支持した。

土曜日午後、章の概要改訂版が提示された。ロシアは、サウジアラビア及び米国の支持を得て、この章にグローバルストックテイクへの言及を入れることはIPCCに適応レベル分析の義務があることを暗示する可能性があるとして、懸念を表明し、別な文章を提示した。米国は、適応レベルへの言及削除を提案し、枠組の章(第1章)におけるグローバルストックテイクへの言及保持を提案した。ノルウェーは反対した。

非公式協議後、IPCC副議長のKo Barrettは、「グローバルストックテイクの内容におけるリスク及び適応の考察(considering risk and adaptation in the context of the global stocktake)」という表現への変更を提案した。南アフリカはこれに反対し、適応レベルへの言及保持を希望したが、ただしこれが気候に対し強靭な開発経路と結びつくことを条件とするとし、グローバルストックテイクへの言及を、執筆者へのガイダンスの中に移すよう提案した。

適応経路に関する項目に関し、サウジアラビア、ベネズエラ、ボリビアは、経済多角化の追加を求めたが、ノルウェーはこれに反対した、さらにこれら諸国は、カーボンの社会コストへの言及削除を要請、代わりに「GHG排出の社会的影響(social effects of GHG emissions)」への言及を希望し、インドはこれを支持したが、アイルランド、ベルギー、オランダは反対した、反対した諸国は、代案として外因性への言及を提案した。更なる議論の末、このグループは、「GHG排出量の社会的影響(social effects of GHG emissions)」という表現を受け入れ、このGHG排出量の社会的影響にはその外因コスト(GHGsの社会コスト)が含まれるとの表現を、執筆者向けガイダンスに入れることも受け入れた。

ベネズエラは、エクアドル及びサウジアラビアの支持を得て、適応経路の項目から「人間の安全(human security)」の概念を外すよう提案し、気候強靭性の内容においては適切ではないと指摘した。共同議長のPörtnerは、この表現を「人間の福利(human wellbeing)」に置き換えることを提案し、グループはこれに同意した。オランダは、執筆者へのガイドの中にAR5の用語集記載の人間の安全の定義を入れることを要請し、グループも同意した。

日曜日午前中の非公式協議の後、このグループは、適応のリスクとレベルの統合を論じる項目について再度議論した。米国は、執筆者へのガイダンスにグローバルストックテイクへの言及を入れるよう求め、同時に序文と枠組の章の政策内容の変化に関する項目でも、グローバルストックテイクへの言及を加えるよう求めた。セントルシアは、執筆者向けガイダンスにおいて、損失と被害のワルシャワ国際メカニズムへの言及を追加し、さらに温度目標の定期的レビューにも言及するよう提案した。これらの変更を行った後、この章の概要は承認された。

章を横断する論文:木曜日、フランスとスペインは、地中海地域に関する章を横断するボックスについて質問した。グループは、章を横断するボックスではなく論文とすることで合意した。

金曜日、スウェーデン、カナダ、ノルウェーは、極地域を対象とする章を独立させるよう提案し、極地域の場合、科学者が資料を適正に評価をできるようにするには、このようなアレンジが必要だと述べた。米国は、極地域に関する章横断論文を地域別の章に挿入するよう提案した。

サウジアラビアとスイスは、砂漠、準乾燥地帯、乾燥地帯、砂漠化で提案されている頁数(5頁)及び山岳部について提案されている頁数(5頁)に懸念を表明し、頁数の追加が必要になる可能性があると指摘した。

土曜日午後、共同議長のPörtnerは、章横断論文の承認用改訂版を提示した。インドは、ヒマラヤに関する章横断論文を要求、サウジアラビアは、砂漠に関する論文に砂嵐及び砂塵の考察も入れるよう求めた。執筆者向けのガイダンス文書の中に、ヒマラヤへの言及、砂嵐及び砂塵への言及を入れることで合意に達した。エクアドルは、インドの支持を得て、山岳部に関する章横断論文の長さを10頁から15頁に増やすよう求め、これで合意された。章横断論文は承認された。

日曜日、WGIIプレナリーの閉会会合で、共同議長のRobertsは、IPCC-46終了後に執筆者の任命作業が開始されると指摘し、執筆者の選任は2018年1月の予定であり、第1回の代表執筆者会議は2019年1月に南アフリカのダーバンで予定されると指摘した。同共同議長は、各国は章横断論文の執筆者の候補指名に、特に注意するべきと強調した。共同議長のRobertsは、次回のWGII会合は、2021年10月に予定されており、この会合で参加者はSPMを承認する予定であり、SR15は2018年10月のWG合同会合で承認される予定であると述べた。同共同議長は、午前11時、WGII会合を閉会した。

IPCCプレナリーへの報告:日曜日午後のIPCCプレナリーにおいて、共同議長のPörtnerは、WGIIプレナリー会合で合意されたWGII報告書の概要を提出し、WGsは3つのWGs報告書全体に共通の用語集を作成すると指摘した。

セントルシアは、WGIIの議論結果からすると、IPCCはまだ「損失と被害という用語を机上に載せる用意はない」として遺憾の意を表し、この問題は科学文献で取り上げられることが多くなり、今後もこれが続くという現状を考えると、「機会を逸する」と指摘した。同代表は、執筆者は適切な場合には関連文献を考慮に入れるものと確信すると述べ、SYRにおけるこの概念の考察を希望した。WGIIの概要は、合意された。

最終決定:最終決定書(WGII:11th/Doc.2, Rev.1)において、パネルは、AR6に対するWGIIの貢献報告書の概要について合意する。パネルは、概要の各項目の表現は執筆者に対する暗示と捉えるべきであり、執筆者はIPCCガイダンスに沿い、AR5以後に利用可能となった関連の科学文献に基づいて、この概要を推敲すると決定した。この報告書は、合計で約970頁となる予定である。

概要には、次のものが含まれる:SPM (頁数は未定)及びテクニカルサマリー(40頁)、18の章は、次の3つのセクションに分けられる。第1章ではこれまでと異なる点及び主要コンセプトを扱う(30頁)。セクション1は、気候変動の影響のリスク、適応、システムの持続可能性について論じ、次の7つの章で構成される:

  • 陸上及び淡水の生態系と生態系サービス(60頁);
  • 海洋及び沿岸の生態系と生態系サービス(60頁);
  • 水(60頁);
  • 食糧、繊維、他の生態系生産品(60頁);
  • 都市、居住、主要インフラ(60頁);
  • 健康、福利、地域社会の構造変化(50頁);
  • 貧困、生活、持続可能な開発(60頁);

セクション2では地域を論じ、7つの章がある:

  • アフリカ(50頁);
  • アジア(50頁);
  • オーストラリア(30頁);
  • 中南米(50頁);
  • 欧州(40頁);
  • 北米(40頁);
  • 小島嶼(30頁)

セクション2には、地域別の章の全てを横断する共通要素に関する執筆者向けガイダンスなど12の項目があり、次の7つの章横断論文が含まれる:

  • 生物多様性のホットスポット(土地、沿岸、海洋)(10頁);
  • 沿岸の都市及び居住域(10頁);
  • 砂漠、準乾燥地帯、砂漠化(10頁);
  • 地中海地域(10頁);
  • 山岳部(15頁);
  • 極地域(15頁);
  • 熱帯雨林(10頁)

セクション3は、持続可能な開発経路を論じる:適応と緩和を統合し、次の3つの章を含める:

  • 部門及び地域を横断する主要リスク(40頁);
  • リスク管理のための政策決定オプション(40頁);
  • 気候強靭性開発経路(40頁)

5つの附属書があり、これには次のものが含まれる:地域の地図、用語集、略語リスト、寄稿者リスト、査読者リスト。

WGII報告書の承認は2021年10月で予定されている。

作業部会III、AR6報告書概要:プレナリーへのプレゼンテーション:水曜日、WGIII共同議長のJim Skeaは、WGIII報告書の概要をプレナリーに提出し、WGIII報告書のスコーピング会議では次の項目を目指したと指摘した:ハイレベルな気候安定化目標及びシナリオと短中期の実用ステップとの強力なリンク付けを確立する;これまで表には出てこなかったが緩和に関連性のある文献の分野及び要素;緩和を持続可能な開発及びSDGsに結びつける。

共同議長のSkeaは、報告書概要のうち、AR5から乖離する若しくは革新する特徴についてプレゼンテーションを行い、最初の章と最後の章はこの報告書を広範な持続可能な開発の概念において枠づけしようとするものだと指摘し、SDGs及びパリ協定などAR5以後の主要な展開を論じた。同共同議長は、これまでIPCCのアウトプットで取り上げてこなかった文献も含めるつもりだと指摘した。

共同議長のSkeaは、排出傾向、推進要素、経路のハイレベルな評価を扱う章の提案においては、あらゆる規模のものを扱う文献資料、伝統的なモデル化手法を超える文献資料を含めるべきであり、長期目標と中期や近未来の行動を区別すべきだと述べた。同共同議長は、6つの章が経済部門に注目し、主にAR5以後の増分変化を取り上げると共に、地域特性に着目し、ハイレベルなメッセージを補足するため、事例研究に焦点を当てると説明した。同共同議長は、部門別の章で扱われていない気候変動対応策、たとえば炭素回収除去(carbon capture and removal)などを示す章では、これらの対応策が部門を横断してどのように累加されるか、トレードアフや共同便益、倫理も含めて調べると指摘した。共同議長のSkeaは、WGIII代表執筆者会議開催の申し出を歓迎した。

WGIII各章の概要に関する議論:木曜日、WGIII共同議長のSkeaは、第13回WGIII会合の開会を宣言し、もう一人の共同議長であるP.R. Shuklaは会合に出席できないことからWGIII副議長のRamon Pichs-Madrugaがその代理を務めると説明した。IPCC議長のLeeは、冒頭の挨拶をし、WGIIIの報告書では、ビジネスアズユージャルな経路から持続可能な経路への重要な転換について議論すると述べた。

このグループは、議題書(WG-III:13th/Doc.1及びWG-III:13th/Doc.1, Add.1, Rev.1)を提案通り採択し、概要草案(WG-III:13th/Doc.2)に関する一般的なコメント発表に移った。日本は、フィーシビリティーを議論し、SDGs関係での気候変動のマイナスの影響を検討するよう要請した。同代表は、さらに、多様なシナリオ及び想定条件を解釈するためのマニュアル作りを提案した。副議長のPichs-Madrugaと共同議長のSkeaは、透明性を確保するため、そのような文書を附属書に含める提案をしていると述べた。

インドは、グローバルストックテイク・プロセスでの報告書の重要性を強調し、現在の約束とリンク付ける必要があると強調した。中国は、グローバルストックテイクの全ての要素を、包括的かつバランスのとれた形で反映させるよう提案し、NDCsの評価に加え、開発途上国への資金供与及びキャパシティ・ビルディングの提供についても検討することを提案した。中国は、オランダの支持を得て、部門別の章においては、一貫してAR5以後の進展を扱う、あるいは事例研究を含めるなど、各部門の扱いにおけるシナジー改善を求めた。中国は、世界カーボン・バジェット、経路、緩和/適応と持続可能な開発とのリンク付け、地球工学などのクロスカッティング・イシューに関するWGs間の調整が重要だと強調した。共同議長のSkeaは、WGsはWG報告書間の一貫性を確保する手段として共通の用語集を作成すると指摘した。

ポーランドは、気候ニュートラリティ―とのリンク付けのなさを嘆いた。セントルシアは、全ての章において、気候変動の影響、適応オプション、緩和便益とのリンク付けを含めるよう求めた。

英国は、代表的な濃度経路を一定範囲含めることを支持し、エストニアは、これらの経路に包含される経済社会的機会を議論するよう求めた。

サウジアラビアは、不確実性を推敲すべきだとし、政策中立型の手法の必要性を強調し、特に「lock-in(固定)」及び「decarbonization(非炭素化)」などの概念に異議を唱えた。

WGII副議長のSergey Semenovは、たとえば、パリ協定など政治制度の効果を評価する場合に、科学的評価とされる政策に注目が集まることに、懸念を表明した。同副議長は、サウジアラビアと共に、転換(transformational)技術への言及に異議を唱えた。

序論及び枠組(第1章):木曜日、ベネズエラ及びボリビアは、市場及び炭素価格への言及に反対した。セントルシアは、世界の気温上昇の制限について、2℃だけでなく、1.5℃と2℃の両方に言及することを提案した。金曜日、概要の改訂版の議論で、ドイツ、ルクセンブルグ、フランス、英国、エストニア、ハンガリー、アイルランド、ポーランド、スウェーデン、EU、その他は、グローバルストックテイクへの言及削除に反対したが、サウジアラビアはこれに異議を唱えた。妥協案として、ニュージーランドは、ストックテイク・プロセスへの言及はパリ協定に対する一般的な言及で十分カバーされると提案し、米国、ブラジル、WGII副議長のSergey Semenovの支持を得た。米国は、政策を技術問題と切り離すことを提案した。フランスは、長期2℃目標への言及保持を求めたが、エストニアは、1.5℃目標へも言及するよう求めたセントルシアの先日の要請に共感した。

日曜日午前中、このグループは、別な改定文書を議論した。ルクセンブルグは、パリ協定を含める最近の動きを指摘する項目に、グローバルストックテイクへの言及を再度入れるよう要請し、そのような言及はWGI及びWGII概要でも既に同意されていると指摘、ドイツもこれを支持したが、サウジアラビアは反対した。短時間議論した後、このグループは、次のように変更することで合意した:「recent developments including: the Paris Agreement and potential scientific inputs from the IPCC, including to the global stocktake and the SDGs(最近の動きには次のものが含まれる:パリ協定とIPCCからの科学的インプットの可能性、これにはグローバルストックテイク及びSDGsを含める)」

この変更を行った上で、この章の概要は合意された。

排出傾向及び推進要素(第2章):木曜日、韓国は、提案されている生産動向と同様に、過去及び現在の消費動向を議論し、比較できるようにすることを提案し、グループもこれに同意した。

金曜日、オランダは、ノルウェーの支持を得て、毎年の排出量と累積排出量の両方を含めるよう求めた。ノルウェーは、人為的な排出量に焦点を当てることも要請した。

日曜日午前中、改定された概要のうち、気候政策と非気候政策の項目について議論が行われ、WGII副議長のSemenov及びノルウェーは、異なる規模への言及を追加するよう提案した。インフラ及び将来の排出量の固定(Lock-in)を議論する項目について、サウジアラビアは、バハマの支持を得て、「future emissions associated with infrastructure(インフラに伴う将来の排出量)」という別な表現を提案した。ドイツ、フランス、オランダ、ノルウェーは反対し、「locked-in(固定―ロックイン)」への言及保持が重要だと強調した。非公式協議の後、このグループは、「existing and planned long-lived infrastructure(既存の及び計画されている長寿命インフラ)」という表現を入れることで合意した。この章の概要は、合意された。

長期目標と合致しうる緩和経路(第3章):木曜日、サウジアラビアは、持続可能な開発とのリンクを議論する際にはスピルオーバー効果にも言及し、AR5からの継続性を確保するよう求めた。ガーナは、適応及び緩和の共同便益にもっと注目するよう提案した。日本は、改定された概要に適応と緩和の共同便益のほか、トレードオフも含めるよう要請したが、サウジアラビアは反対した。

日曜日午前中、改定文書の議論が行われ、共同議長のSkeaは、排出経路モデル化を論じる項目に関するコメントを求めた。サウジアラビアは、「carbon budgets(カーボン・バジェット)」及び「the long-term temperature target(長期温度目標)」への言及に懸念を表明した。非公式協議の後、次のような代替文案が提案された:「modeled emission pathways compatible with the Paris Agreement, including the long-term temperature target, and higher warming levels, taking into account CO2, non-CO2 and SLCFs (including peaking, rates of change and balancing sources and sinks and cumulative emissions).(パリ協定と合致する排出経路のモデル化、これにはCO2、非CO2、SLCFsを考慮する長期温度目標、温暖化レベルの引き上げが含まれる (ピーキング、変化の速度、排出源と吸収源及び累積排出量のバランスをとることが含まれる))」。英国は、カーボン・バジェットへの言及を執筆者向けガイダンスにも入れるよう要請した。このグループは、3か所変更することで合意した。

システムの移行を議論する項目に関し、ドイツは、「transitions(移行)」への言及を排除し、原案の「transformations(変換)」に戻すよう要請、これらの概念は異なる意味を暗示すると指摘し、ベルギーとメキシコはこれを支持したが、サウジアラビアは反対した。公式協議の後、このグループは、transitionsとtransformationsの両方の表現を含めることで合意した。このような変更の後、この章の概要は合意された。

近未来及び中期の緩和と開発経路(第4章):木曜日、ボリビアは、国内小地域のプログラムを「as appropriate(適切な場合)」とするよう求め、「green growth(グリーン成長)」については、これが何を意味するか意見が一致していないとして、言及に反対した。スペインは、人口統計の重要性に着目し、人口に言及するよう求めた。ノルウェーは、航空輸送及び海上輸送から生じる排出量など国際的排出量を含めることも重要だと強調し、カーボン・バジェットを論じる必要があると強調した。日本は、トレードオフを論じるよう求めた。フランスは、今世紀半ばに緩和と適応の経路を議論するとの言及が削除されたのは遺憾であると述べた。

日曜日午前中、WGIIIは、この章の概要改訂版の議論に立ち戻った。国の、地域の、国際的なモデルつくりを議論する項目について、サウジアラビアは、緩和便益を論じる項目が以前、削除されたが、WGを横断するリンクを確保するため、再挿入するよう要請し、グループもこれに同意した。これらの変更を行ったところで、この章の概要は合意された。

緩和の需要、サービス、社会的側面(第5章):木曜日、ベネズエラは、この章に記載される転換の社会的側面が持続可能な開発指しているのは明確であると示唆した。金曜日、この章のタイトル改定の審議で、ドイツは、緩和ではなく移行に言及していた原案に戻すことを求め、ルクセンブルグ、ハンガリー、ベルギーはこれを支持したが、サウジアラビアは反対した。サウジアラビアは、提案されている循環経済という表現について、意味が明確でないとして、説明を求めた。オランダは、循環経済という概念は持続可能な生産及び消費に関係しており、循環経済への言及保持を希望し、ノルウェー、ルクセンブルグ、スペイン、ハンガリー、ベルギーもこれを支持したが、サウジアラビアは反対した。循環経済の概念を一層明確なものにするため、非公式協議が開催された。土曜日夕方、このグループは、循環経済について、「maximizing material and resource efficiency, closing loops(物質及び資源の効率を最大限にし、ループを閉じる(循環する))」との定義を入れることで合意した。その後、この章の概要は、合意された。

部門別の章の共通要素:金曜日、このグループは、部門別の章の第6章から第11章に共通する要素のリストを含めると決定した。英国は、インフラ・ロックインも共通要素に加えるよう提案し、オランダは、実施の社会的側面の追加を支持し、サウジアラビアは、緩和と適応の相互作用の項目に緩和の共同便益を加えるよう提案した。

土曜日の夕方、追加協議の後、このグループは、「adaptation with mitigation co-benefits(緩和共同便益を伴う適応)」への言及を追加するとのサウジアラビアの提案に同意した。さらにこのグループは、「infrastructure and lock-in as appropriate(インフラ及び適切な場合はロックイン)」を挿入するとの英国の提案に同意、スイスの提案どおり、部門別政策、資金及び可能にする環境を議論する際は、障壁にも言及することに同意した。

エネルギーシステム(第6章):木曜日、米国とFWCCは、エネルギー効率化を排出削減の重要な手段として追加するよう提案した。サウジアラビアは、化石燃料価格への言及削除を要請したが、ノルウェーはこれに反対した、さらにサウジアラビアは、炭素回収貯留(CCS)への言及保持を提案し、ノルウェーはこれを支持した。ボリビアは、化石燃料価格ではなく、需要供給パターンに言及することを提案したが、フランスは、エネルギー価格への言及を希望した。中国は、原子力エネルギーを低炭素エネルギー供給オプションの一つとして入れるよう求めた。日本は、エネルギー生産用バイオマスの項目に食料生産への言及を入れるよう要請した。

土曜日夕方、「fossil fuel prices(化石燃料価格)」に代わり「energy prices(エネルギー価格)」と改定した文書の審議が行われ、サウジアラビアは、「prices(価格)」を「policies and measures(政策措置)」に置き換えるよう提案した。ノルウェー、共同議長のSkea、その他は、文献の中では必ずしも政策措置とされておらず価格になっていると指摘した。さらなる議論の後、このグループは、この概念を二つの項目に分け、一方では、「global and regional new trends and drivers(世界的、地域的な新しい傾向及び推進要素)」とし、他方では、「policies and measures and other regulatory frameworks; and supply and demand systems(政策措置その他の規制枠組;及び需給システム)」と表現すると決定した。ノルウェーは、サウジアラビア、オランダ、日本の支持を得て、CCSを緩和オプションの例として再挿入するよう求め、これはAR5でも行われてきたと指摘した。日本は、CCS及び関連分野に関する一般の受け止め方、及び社会的な需要にも言及するよう求めた。これらの変更を行ったところで、この章の概要は合意された。

農業、林業、他の土地利用(AFOLU)(第7章):木曜日、インドは、生態系サービスをより多く含めるよう求めた。南アフリカは、特に緩和、適応、持続可能な開発の概念において、全てのバイオマスタイプをバランスよく扱うことを促した。同代表は、世界の炭素吸収源(sink)、プール、フラックスの評価を取り入れるよう提案し、これは政策立案者にとり貴重な情報であると指摘した。共同議長のJim Skeaは、南アフリカが提起した題目はSROCCで論じると指摘し、この2つの報告書のリンクが明確に示されることを保証した。日本は、この章には炭素貯留オプションの実施可能性のレビューを含めるべきであり、炭素除去や貯留も含めるべきだと発言、スペインと共に、「accounting(アカウンティング)」という用語には政治的な意味合いが伴うのではないかとの懸念を表明した。スペインは、林業における緩和ポテンシャルを過大に表現することに警告した。ノルウェーは、アイルランドの支持を得て、林業部門でのバイオエネルギー、及び農業における緩和戦略を議論するよう提案した。

金曜日、この章の概要改定案において、スイス、スペイン、ルクセンブルグは、AFOLUのデータを構成部門別に分けるよう求めた。EU、ノルウェー、ルクセンブルグ、ブラジルは、排出量及び除去量の計算に関する項目について、管理されていない土地に限定しないよう求めた。スペインは、この部門の排出量及び除去量を論じるときは、何を計算するかを明らかにする必要があると強調した。

土曜日夕方に提示されたこの章の概要の改訂版は、AFOLUの排出量と除去量とで分け、排出量及び除去量を論じる場合は多様な情報源を考慮に入れるという要請を反映するものとなった。ブラジルは、「anthropogenic(人為的な)」排出量及び除去量への言及を提案し、グループもこれに同意した。ノルウェーは、この部門の排出量及び除去量が緩和経路で果たす役割及び意味合いについて、特に言及することを促した。廃棄物の量の抑制及び農業や林業の残滓の再利用は、EUからの要請に応じて、執筆者向けガイダンスに追加されることとなった。さらなる明確化が行われた後、この章の概要は合意された。

都市部及び他の居住域(第8章):スイスは、都市の緩和オプション及び戦略に関する項目に、建築技術及び建築基準への言及を入れるよう求めた。WGIII副議長のDiana Ürge-Vorsatzは、建築基準は建築の章でカバーされていると説明した。この変更を行った後、この章の概要は、合意された。

建築物(第9章):金曜日、一部の項目をこの章から共有要素リストに移動するなどの改定がされた概要案が提示され、その後、この章の概要は、合意された。

運輸(第10章):一部の項目をこの章から共有要素リストに移動するなどの改定がされた概要案が提示され、その後、この章の概要は、合意された。

産業(第11章):木曜日、韓国は、この章において先進国及び開発途上国の構造改革の考え方を差異化するよう要請した。ノルウェーは、循環経済及び廃棄物は範囲を広げて扱うべきであり、独立の章とするか、それとも次の項目を扱う章に入れるかすべきと指摘した:需要、サービス、転換の社会的側面;エネルギーシステム;AFOLU;都市システム及び他の居住;運輸。

金曜日、この章の概要改訂版の提示に続き、オランダは、パリ協定及び(モントリオール議定書のキガリ改定文書への言及削除を提案した。フランスは、EUの支持を得て、非炭素化の深化(deep decarbonization)という表現の再挿入を提案したが、サウジアラビアは反対した。韓国は、工業製品の需要の進化を論じる項目での、先進国及び開発途上国の差異化を要請した。

土曜日夕方、スイスは、産業発展パターンに関する項目において、規模への言及を入れるよう求めた。サウジアラビアは、材料及び資源の効率最大化、(物質の流れの)ループ閉鎖、及び資源の効率利用に関する項目の改定版に、「material substitution(材料の代替)」を入れることを要請したが、オランダ及び副議長のÜrge-Vorsatzは反対した。非公式協議の後、共同議長は、「substitution of industrial material inputs(工業材料のインプット代替)」を提案したが、サウジアラビアは反対した。その後、このグループは、材料代替への言及を執筆者向けガイダンスに入れることで合意し、この章の概要は合意された。

部門横断の展望(第12章):木曜日、ポーランドは、海洋によるGHGの除去に加えて、陸地(land)でのGHG除去、及びそれらの共同便益も考慮するよう求めた。セントルシアは、トレードオフ及び便益のさらなる考察を支持し、土地の倫理及びガバナンスを扱う項目から太陽放射光の管理を外すよう要請し、ドイツもこれを支持した。ドイツは、提示された排出技術に伴うリスクや影響、マイナスの副次的影響に関する情報を含めるよう要請した。米国は、「competition for finite resources(有限資源をめぐる競争)」への言及を削除し、「mitigation opportunities in diet changes(食事の変化における緩和機会)」への言及を「energy intensity of food systems(食料システムのエネルギー原単位)」も置き換えることを提案した。FWCCは、これに反対し、食事の変化は市民個人が緩和努力に貢献する方法のひとつであると指摘した。ノルウェーは、この章では全ての部門内や全ての部門を横断するコスト及び共同便益という「big picture(大きな絵)」を提示すべきであると発言し、この章と他の章とでは多数の重複が見られると指摘、一部の項目は他の章へ移せるのではないかと示唆した。

金曜日、この章の概要改訂版の議論で、ドイツは、日本の支持を得て、GHG除去の技法及びスピルオーバー効果に関する項目に影響の考察も入れるよう要請した。ノルウェーは、土地に関するGHG除去の技法と水からのGHG除去の技法では、プロセスに大きな違いがあるとして、別々に扱うことを提案し、さらに、有限資源をめぐる競争への言及を入れなおすよう要請した。

追加協議の後、このグループは、この章の議論に立ち戻った。ノルウェーは、オランダの支持を得て、2つの項目でGHG削除技法を扱うという冗長性を指摘した。このグループは、2つの項目をまとめて明確化を図り、部門別の章で扱われていないGHG除去技法の側面と特定することで合意した。

大規模な土地ベースの緩和の影響及びリスクに関する項目に関し、メキシコは、サウジアラビアの支持を得て、海洋ベースの緩和も含めるよう求めた。副議長のReisingerはこれに異論を唱え、それでは成熟度や展開の度合いが異なる緩和手法が混ざることになると指摘した。さらなる協議の末、このグループは、この項目に下記を含めることで合意した:「land, water, food security, use of shared resources, management and governance(土地、水、食糧安全保障、共通資源の利用、管理及び統治)」。日曜日午前中、この章の概要は、合意された。

国内及び国内小地域の政策及び制度(第13章):金曜日、米国は、各国の統治システムに対するいかなる偏見ある扱いにも警告するとし、ギリシャは、「building public agreement(一般人の合意形成)」ではなく「building agreement(合意形成)」とするよう要請した。日曜日午前中、特に統治システム及び気候行動への言及に関する文章上の修正が加えられた後、この章の概要は、合意された。

国際協力(第14章):木曜日、ボリビアは、この章には非市場手法への言及も含めるべきだと述べた。メキシコは、SDGsとのリンクを含めることを提案した。

金曜日の概要改訂版の議論において、米国は、国際環境条約は開発政策の一部にはなっていないことを明確にするよう提案し、メキシコ、サウジアラビア、その他と共に、この章の概要で特定のプログラムや組織を名指しすることは避けたいとの希望を表明した。サウジアラビアとベネズエラは、「market and non-market approaches(市場及び非市場手法)」への言及削除を提案した。EU、オランダ、ノルウェー、アイルランドはこれに反対し、この表現は執筆者が国際的な気候政策ツールの可能性範囲や協力関係の経験を執筆する際の指針になると指摘した。シンガポールは、「international climate policy and cooperative approaches(国際気候政策及び協力手法)」という表現にする妥協案を提示した。さらにこのグループは、開発政策及び関連する国際環境条約のリンクに関する項目でも合意した。

参加者は、太陽放射光管理とリスク管理のガバナンス及び倫理に関し、提案されている項目について議論し、ドイツは、「management(管理)」ではなく、「risk assessment(リスク評価)」に言及することを提案した。WGII副議長のSemenovは、「associated risks(関係するリスク)」を希望し、これで合意された。その後、この章の概要は、合意された。

投資及び資金(第15章):木曜日、ドイツとノルウェーは、この章のタイトルを「Climate Finance and Financial Flows(気候資金及び資金フロー)」 に変更することを提案し、オランダは、EUとノルウェーの支持を得て、タイトルの中に「Investment(投資)」を含めるよう提案、資金投資及びフローを可能にする環境という項目の挿入も提案した。日本は、民間部門の観点を加え、気候資金の定義を明確化するよう提案した。

金曜日、概要改定案の議論において、中国及びサウジアラビアは、投資ニーズに関する項目に開発途上国への資金フローを加えることを提案した。EU、アイルランド、ドイツは、政治的中立性を確保し、政策規範的になることを回避するため、これに反対した。エクアドルは、客観性の確保に役立てるため、資金フローの評価で使用した手法のレビューを含めるよう提案した。これに対し、サウジアラビア及び中国は、UNFCCC及びパリ協定では開発途上国への資金フローに言及しているとし、その表現を尊重する必要があると強調した。スイス、ドイツ、オランダ、フランスは、開発途上国への資金フローの追加は受け入れ可能であるが、これに伴う内容の明確化が条件であるとし、世界的な気候資金の必要条件と国内の資金フローとの違いを指摘した。スイスは、気候資金の効率及び投資公開に関する表現を追加するよう求めた。中国は、ギャップ分析への言及を要請した。

各国の国内資金と国際資金のリンクに関する項目について、サウジアラビアとモルディブは、「innovative financial mechanisms(革新的な資金メカニズム)」への言及削除を提案したが、ノルウェー、アイルランド、フランスは反対した。

このグループは土曜日夕方、開発途上国への資金フローの議論に立ち返り、その際、オランダは、一方では世界及び地域の投資ニーズに言及し、他方では開発途上国への資金フローに言及することを提案した、これは、「investment related to mitigation on pathways and climate change action(緩和経路及び気候変動行動に関係する投資)」を論じる項目に関係するからだと述べた。

この問題に関するさらなる審議の後、このグループは、日曜日午前中、次の共通の表現で始まる2つの項目とすることで合意した:「scenarios of, and needs for, investment and financial flows related to mitigation pathways and climate change action(緩和経路及び気候変動行動に関係する投資及び資金フローのシナリオ、並びに必要性)」、さらに一つの項目は「at the global and regional scales(世界規模及び地域規模)」を結びとし、別な項目は「in developing countries(開発途上国)」を結びとすることで合意した。これらの変更を行った後、この章の概要は合意された。

イノベーション、技術開発及び技術移転(第16章):木曜日、韓国は、国連技術促進メカニズムを含めるべきと述べた。米国は、技術の改善と規模拡大、及び市場浸透を強調するよう提案した。

この文章は、特定する度合いを低くし、特に次のようにすべく、改定された:展開インセンティブへの言及;パリ協定及びUNFCCC技術メカニズムではなく「partnerships and cooperative approaches(パートナーシップ及び協力手法)」への言及;新しい破壊的な技術の特性及び影響を含める。

日曜日午前中の議論の結果、「role of innovation, technology development, diffusion and transfer in contributing to sustainable development and the aims of the Paris Agreement, including mitigation pathways.(緩和経路を含めるパリ協定の目的及び持続可能な開発への貢献における、イノベーション、技術開発、普及、移転の役割)」という項目となった。気候強靭性(climate resilience)を含めるかどうか、多少審議した後、このグループは、気候強靭性は持続可能な開発の重要な部分であると、執筆者向けガイダンスに記載することで合意した。これらの変更の後、この章の概要は合意された。

持続可能な開発の観点における移行加速化(第17章):金曜日、共同議長は、改定された概要文書を提出した、この文書には前日の議論に基づき、不確実性及び知識の必要性を扱う項目の追加などが含まれた。

日曜日午前中、このグループは、政策決定及びガバナンスに関する項目を再度議論し、共同議長のSkeaは、「managing risk(リスク管理)」の後に「considering residual risk and the limits to risk management(残りのリスク及びリスク管理の限界を検討する)」を挿入すると提案した。これらの変更の後、この章の概要は合意された。

IPCCプレナリーへの報告:日曜日午後、共同議長のSkeaは、WGIIIプレナリーで合意されたWGIII報告書概要を提出した。同共同議長は、「readability(読みやすさ)」が改善されていると熱意をもって報告する一方、現時点でSPMの頁数を限定することには好意を示さなかった。WGIII概要は合意された。

最終決定:決定書(WGIII-13th/Doc.2, Rev.1)において、IPCCは、AR6のWGIII報告書概要について合意、スコーピングプロセス及びプレナリーでのコメントの結果作成された文書は執筆者に暗示を与えると解されるとし、執筆者は、IPCCガイダンスに則り、AR5以後に入手可能となった関連する科学文献を考察することで合意する。本概要書の規定では、報告書にはSPM、テクニカルサマリー、6つの部門別の章を横断する共通要素のリスト、並びに下記を対象とする合計17章で構成される:

  • 序論及び枠づけ;
  • 排出の動向及び推進要素;
  • 長期目標と合致する緩和経路;
  • 緩和及び近未来から中期の開発経路;
  • 緩和の社会的側面、需要、サービス;
  • エネルギーシステム;
  • AFOLU;
  • 都市システム及び他の居住;
  • 建築物;
  • 運輸;
  • 産業;
  • 部門横断の展望;
  • 国内及び国内小地域の政策及び制度
  • 国際協力;
  • 投資及び資金;
  • イノベーション、技術開発及び移転;
  • 持続可能な開発の概念の下での移行の加速化

報告書、SPM、テクニカルサマリーの頁数は後日決定される、次回会合は2021年4月に開催の予定。

AR6統合報告書:日曜日午後、IPCC副議長のKrug及びSokonaは、SYRスコーピング会議の結果(IPCC-XLVI/Doc.6)を提示した。副議長のKrugは、スコーピング会議では3つのWGsに適用されるクロスカッティング・イシューを特定し、統合を推進する調整経路を探求したと述べた。

副議長のSokonaは、SYRの概要の基礎となる広範な要素は下記のとおりであるが、これらに限定されるものではないと説明した:グローバルストックテイク;排出量、気候、リスク及び開発経路の相互作用;開発経路の観点における緩和及び適応の便益、並びに経済的社会的コスト;資金及び支援手段。同副議長は、SYRに特化したスコーピング会議が開催される予定であるとし、TSUは2019年に設置されると述べた。

オランダは、WG報告書を統合するプロセスのスリム化について提案するよう要請し、執筆者は専門のテーマ別に選任されるものとし、そのプロセスを可能な限り早期に開始するよう要請した。

クロスカッティング・テーマに関し、IPCC議長のLeeは、主要なインプットは2017年5月のスコーピング会議で出てきたものであり、次の8つのテーマが特定されたと述べた:地域;シナリオ;リスク;都市;グローバルストックテイク;地球工学;適応及び緩和;WG統合のプロセス及び手法。インドは、クロスカッティング・チームは可能な限り早期に相互作業を開始するよう求めるとともに、IPCCはさらなる統合に向け動くよう求めた。ドイツは、社会の敏感さ及びガバナンスなどの問題に関しWGsを横断して協調することを求め、リスクについては共通の手法をとるよう要請した。IPCC議長のLeeは、これらの点はIPCC-47に向けた準備作業の中で検討されると述べた。

影響及び気候分析のためのデータ並びにシナリオ支援に関するタスク・グループ(ATF-TGICA)の将来

TGICA共同議長のAndreas Fischlinは、進捗状況報告書(IPCC-XLVI/Doc.9)を提出、この報告書では, TGICAの将来の主要優先課題を特定し、TGICAまたはデータ流通センター(Data Distribution Centre)に類似するもしくは関係する外部組織が行っているマッピング演習を開始することなどを記載している。共同議長のFischlinは、進捗は見られるがATF-TGICAは作業を終了できていないと報告し、ATF-TGICAのマンデートをIPCC-47まで延長することを提案、同意された。

IPCCのサイクルとグローバルストックテイクのサイクルとの調整

日曜日、IPCC事務局長のMokssitは、この議題項目(IPCC-XLVI/Doc.3)を提起、IPCC-43は事務局に対し、IPCCのAR7の作業をグローバルストックテイクと合致させるため、提案を作成するよう要請したと指摘した。同事務局長は、次の3つの調整オプションを指摘した:評価報告書のサイクルを5年ごとに短縮する;評価サイクルを10年ごとに延長し、5年ごとに更新する;現在の7年間の評価サイクルを維持し、IPCCのサイクルがグローバルストックテイクと合致しない場合はストックテイクと合致する時期に、そのためのSRを作成する。ドイツ、フランス、インド、ブラジル、サウジアラビア、ルクセンブルグ、その他は、IPCC-46では適切な議論を行うだけの時間がないと指摘し、この問題を議論するタスクフォースの設置を提案した。多数の国が、マンデートなしにそのようなグループを設置するわけにはいかないと指摘した。フランスとノルウェーは、事務局に対し、この問題に関しIPCC加盟国に意見書の提出を招請するよう求めた。さらなる議論の後、パネルは、フランス及びメキシコを共同議長とするタスクフォースの設置に原則合意し、そのマンデートについてはIPCC-47で合意し、それまでに、3つの調整オプションに関する文書提出を要請することで合意した。

IPCCの活動における開発途上国の参加

パネルは、時間がないことから、この議題項目(IPCC-XLVI/INF.3)の議論を行わなかった。日曜日のプレナリーで、インドは、この議題をIPCC-47で検討するよう求め、パネルもこれに同意した。ジンバブエは、IPCCの活動における開発途上国の参加にはギャップがあるとして懸念を示し、会合期間外に参加を促進するための行動をとるよう求めた。議長のLeeは、代表執筆者を選任する次回の議長団会合で、ジンバブエの表明した懸念を提起すると約束した。

短寿命の気候強制力

日曜日、TFI共同議長のEduardo Calvo Buendíaは、この議題項目(IPCC-XLVI/Doc.7)を提起し、第6次評価サイクルでの、SLCFに関する専門家会議開催について、3つのオプションを紹介した:オプション1-主にTFIで作業した専門家を招き、SLCF排出量推計関連問題を議論する;オプション2-TFI及びWGIの専門家を交えて、SLCF排出量推計関連問題及び気候影響の推計関連問題を議論する;オプション3-TFI及び全WGsの専門家を交え、SLCF排出量推計関連問題、社会経済的影響を含める気候影響の推計関連問題を議論する。同共同議長は、どのオプションであっても提案書にはインベントリ方法論が含まれると述べた。

米国は、この題目の関連性を指摘する一方、IPCCの資金状況や会議のタイミング、IPCCの活動における優先順位が適切かどうかに懸念を表明し、ブラジルも同意見であると述べた。ノルウェーは、SLCFsに関し、不確実性を軽減することの重要性を強調し、科学運営委員会の設置を提案、専門家会議に資金援助をする意志があると表明した。ドイツは、特にブラックカーボン(黒色炭素)に関するSLCFsの議論を歓迎した。ノルウェー、ドイツ、スウェーデン、チリ、南アフリカ、ブラジル、カナダは、オプション2を支持したが、アルゼンチンはオプション1を支持し、手法論に焦点を当てるべきと指摘した、エクアドルはオプション3を支持したが、資金的に限界があるならオプション2も支持できると述べた。IPCC議長のLeeは、パネルに対し、専門家会議に関するオプション2を支持するよう提案し、パネルも同意した。

進捗状況報告

SR15:日曜日、WGI共同議長のMasson-Delmotteは、SR15に関し口頭で報告し、現在、TSUによる第一次草案の査読が進行中であると指摘、次回の代表執筆者会議はスウェーデンが主催する予定と述べた。同共同議長は、第4回及び最終回の代表執筆者会議の開催を申し出るよう招請した。パネルは、この報告に留意した。

同共同議長は、SR15のテクニカルサマリーでは、可能な限り多くの情報を多様な言語に翻訳するとともに、SRs間で一貫性を確保することを提案した。同共同議長は、SR15を予定通り作成するには、この問題での決着が必要であるとし、第二次草案に間に合うよう決定を実施する必要があると指摘した。パネルは、SR15のテクニカルサマリーについて合意した。

共同議長のMasson-Delmotteは、地域別ガイドラインを作成する専門家会議に関しても決定する必要があると付言した。共同議長のPörtnerは、執行委員会の方で専門家会議に関する最終決定を行うことが可能であり、全ての窓口に通知することも可能なのかどうか質問した。多少の議論の後、パネルは、専門家会議の開催で合意し、執行委員会に対して専門家会議に関しWGIが作成した文書を検討し、準備を始めることを義務付けることでも合意した。

SROCC:時間の制約から、パネルは、議論することなく、報告書(IPCC-XLVI/INF.10)に留意した。

SRCCL: 時間の制約から、パネルは、議論することなく、報告書(IPCC-XLVI/INF.11)に留意した。

TFITFI共同議長のKiyoto Tanabeは、現在進行中のTFIの作業に関する進捗状況報告書(IPCC-XLVI/INF.5)を提出した。同共同議長は、同グループはインベントリ手法の開発プロセスの段階にあると指摘し、328名の専門家の候補指名を受理、そのうち190名を選任したと述べた。2006年IPCCガイドラインの更新及び補足を行う手法論報告書について、第1回の代表執筆者会議が、2017年6月にスペインで開催され、第2回の会議は2017年9月末にジンバブエで開催される予定。同共同議長は、文献提出の締切日は2018年6月25日であり、UNFCCCと協調する形でオンライン・インベントリを更新することで合意に達したと指摘した。同共同議長は、加盟国政府に対し、2017年後半に専門家を指名するよう招請した。パネルはこの報告書(IPCC-XLVI/INF.5)に留意した。

TGICA:時間的制約のため、パネルは、議論することなく、報告書(IPCC-XLVI/INF.7)に留意した。

緩和、持続可能性及び気候安定化シナリオに関する専門家会議:時間的な制約から、パネルは議論することなく、この報告書(IPCC-XLVI/INF.6)に留意した。

コミュニケーション及びアウトリーチ活動:日曜日、IPCC事務局のJonathan Lynnは、この議題項目に関する進捗状況報告書(IPCC-XLVI/INF.8)を提出、ネット上のウェブネアの形で、費用効果の高いアウトリーチが行われていると指摘し、IPCCのウェブサイトを改善し、ソーシャルメディアを通してアウトリーチ活動を強化する作業が進行中であると指摘した。パネルは、この報告に留意した。

サウジアラビアは、2017年9月19-20日にリヤドで地域アウトリーチ・ワークショップを開催し、AR5の結果や、可能性ある気候解決策、今後の進め方に関するプレゼンテーションを行うと発表した。

IPCC奨学金プログラム:日曜日、IPCC副議長のBarrettは、IPCC奨学金プログラムの進捗報告書(IPCC-XLVI/INF.4)を提示し、第4回の募集では188件の申請を受理、13名の博士課程及びポストドクトラルの申請者が選ばれたと指摘した。同副議長は、評議会設置の提案について事務局に提案書を提出するよう出席者に求めた。パネルはこの報告書に留意した。

UNFCCC及び他の国際機関に関係する問題

日曜日、ノルウェーは、時間的な制約からこの議題項目の議論ができないことを嘆き、IPCC議長のLeeに対し、COP 23の前にUNFCCCと連絡をとり、会合期間外でUNFCCC事務局と共に作業するよう求めた。この議題項目は IPCC-47において審議される予定。

IPCC-47の開催場所及び時期

日曜日、FiTT共同議長のPlumeは、FiTTは2018年の最初のプレナリー会合の時期を通常より遅い時期に開催し、各国が2018年の寄付金を実施するだけの適切な時間的余裕を持てるようにし、IPCCの資金状況全体を評価できるようにするかどうか、議論したと指摘した。ルクセンブルグとノルウェーは、財政面の制約を指摘し、IPCC-47の会期短縮を提案した。

フランスは、IPCC-47を主催するという自国の申し出を再確認し、2018年の会議開催をあまり遅らせることに警告し、IPCCの重要な活動にリスクをもたらす可能性があると指摘した。韓国は、2018年10月の第1週にIPCC-48を開催すると申し出た。

IPCC議長のLeeは、2018年1月後半もしくは2月初めにスイスのジュネーブで3日間の議長団会議を開催し、特に代表執筆者の選任を行うとの議長団の決定を指摘した。

パネルは、IPCC-47をフランスのパリで開催し、その時期はフランスと事務局とのさらなる協議の上で決定することで合意した。

会合の閉会

日曜日、IPCC議長のLeeは、カナダ政府の歓迎に感謝した。同議長は、この会議はIPCCの今後5年間の作業予定を打ち立てたと発言した。同議長は、強力な概要文書の完成を称賛し、これによりAR6の政策関連性が一層確保されたとし、参加者に対し、専門分野及び専門性を横断する最善の執筆者を候補指名するよう促し、地域バランス及び性別バランスを確保し、開発途上国をよりよく代表する執筆者チームにするよう求めた。同議長は、資金状況の深刻さを指摘し、「現在の作業プログラムを完了できるかどうかも危うい」とし、より多くの資源を確保し、財源の拡大も図るべきだと述べた。同議長は、午後8時31分、会合の閉会を宣言した。

IPCC-46の簡易分析

ハリケーン・イルマがカリブ海を襲うなど、天候や他の自然災害のニュースが多くを占める中、IPCC第46回会合の参加者は、モントリオールに集合した。多数のカリブ海小島嶼国の代表が会議に出席できないなど、気候の問題は特に強く意識させられ、皮肉なめぐりあわせと感じないものはいなかった。

IPCC-46の議題の多くを占めていたのは、3つの作業部会報告書の概要草案承認作業である、これら3つの作業部会報告書はSYRと共にIPCC第6次評価報告書を構成することになる。今回の作業は、2017年5月にアジスアベバで開催されたスコーピング会議で各作業部会が作成した概要草案に関し、政府査読が行われたのを受けてのものである。パネルは、IPCC自体の資金安定性の問題、及びUNFCCCのグローバルストックテイクのサイクルと合致させるかどうかという、IPCCの作業継続や使命達成能力に極めて重要な二つの問題も議論しなければならなかった。

下記の簡易分析では、このIPCC-46の内容を記述すると同時に、この会議で議論された重要問題にも焦点を当てる。

AR6 WG報告書概要の承認:証拠に基づく政策、それとも政策に基づく証拠?

前回、WGsが報告書概要案を承認したのは、コペンハーゲンでのUNFCCC COP開催のちょうど2か月前、2009年10月にバリで開催されたIPCC-31であった。その当時は、UNFCCC第2条、すなわち気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準においてGHGの大気濃度を安定化するという条約の究極の目的に言及するかどうかが議論の焦点であった。このことは、IPCC報告書の政策関連性における重要な進展とみられたが、極めて困難な問題でもあった、その理由は、IPCC前議長のRajendra Pachauriがその当時コメントしたとおり、危険な気候変動に関する優れた科学情報というニーズと、危険な気候変動の具体的な構成とは何かの定義づけとのバランスをとる必要があったためである。

8年がたち、一つの評価報告書サイクルが終了したが、何が危険な気候変動を構成するかという問題は、奇妙なことに、関連性を失っている。今の問題は、どう対応するかである。気候変動を科学的に確立する段階から、行動可能な対応策オプションは何かを議論する段階に移り、各国政府は、気候変動とその影響に関する自然科学の最新情報だけでなく、全てのものにとっての持続可能な開発経路という概念からみた緩和及び適応の社会経済コストや便益の評価を求めている。この要求に応えるには、カーボン・バジェットの問題、適応の限界、極端な現象や緩慢な現象―たとえば段階的に進行する温暖化や海水面の上昇などーのリスク及び影響、資金及び他の支援手段、そして利用可能な全ての緩和オプション―たとえば地球工学の世界で未だ試されたことがないオプションなどーを論じる必要がある。

AR6の注目分野は、過去の評価報告書より広範なものになっているが、下記を含め変わっていないものもある:不確実性に関する明確な説明の必要性、研究や資金増額で知識を得られるものもあれば、確実に知ることができないものがある;3つの作業部会同士の協調及び統合の重要性;効率の良いコミュニケーション及びアクセス可能性;おそらく最も重要と思われるのは、開発途上国の参加及び有意義な参加を確保するという、組織全体に及ぶ課題である。

このような観点の下、参加者は、WG報告書概要の承認問題を議論した。IPCC報告書の権利は加盟国に帰することからすると、この承認問題はIPCCプロセスにとり極めて重要である。このような場合、各国は、自国の国益に基づいた発言をしがちである。概要自体は、政策立案者に役立つ知識とは何かについて執筆者に明確なガイダンスを提供するのが目的であるが、いったん交渉モードに入ると、参加者の中には、政治的な表現を盛り込む衝動にかられるものがでてくるのは不可避かもしれない。ある参加者の言うとおり、証拠に基づく目標か、政策に基づく証拠か、疑問である。とはいえ、今日、科学的な結論を出すのは執筆者や査読者に委ねられており、その結論が政治的利益を超越するものになるのは確実である。

IPCCの持続可能な発展の確保

あらゆるレベルの政策立案者が利用できる客観的な気候変動評価報告書を求める声は、さらに大きくなっている。IPCCは、ほとんど不可能な課題をつきつける要求に応え、3つの作業部会によるAR6報告書だけでなく、AR6統合報告書、3つの特別報告書及び手法論報告書を作成する。その全てを今後4-5年以内に提供する予定である。

しかし、資金不足により、これらの作業の全てをタイムリーに提供できるかどうか、危うくなっている。IPCCは、1989年の設立以来、一部の加盟国政府や組織から毎年自主的な寄付を受けてきた。しかし、2010年以後、寄付額は減少を続け、寄付者のすそ野も狭まっており、IPCCは、予備費を取り崩さざるを得なくなっている。この傾向が続くなら、現在の作業プログラムの完遂が危うくなると、IPCC議長のLeeは、閉会プレナリーで警告した。

IPCCは、最小限度の予算で運用されている。作業の大半は科学者が自主的に行っており、そのホスト組織や限られた一連の寄付者の支援を受けている。資金に関する特別タスクグループの共同議長が指摘したとおり、資金の減少はIPCCの業務に対する支持及び信頼とは別物であり、むしろ寄付者のすそ野の狭まりが問題であるようだ。他人任せの傾向もみられ、その日をしのぐための資金はだれかがだしてくれるものと思いがちである。このIPCCの資金安定性という問題は、対応しなければならない深刻な問題である。パネルは、寄付者のすそ野拡大を真剣に探求するとともに、全加盟国政府に対し、資金供与約束のため一層の努力を求めると決定した。

IPCCの持続可能な発展に関する項目としては、もう一つ、IPCCの評価サイクルをUNFCCCの下でのグローバルストックテイク・プロセスに合わせるかどうかの問題がある。パリ協定では、グローバルストックテイクは2023年から5年ごとに行われ、協定の目的及び長期目標の達成に向けた全体の進捗状況を評価する。ストックテイクとは、「集団の進捗状況(collective progress)」の評価を意味するもので、個々の締約国の活動を評価するものではない。これこそまさにIPCC設立の目的と同じ作業である。しかしIPCCの評価報告書作成サイクルは通常7年から8年かかり、このため、このサイクルをより効果的に(ストックテイクのサイクルと)合わせるにはIPCCのスケジュール表と作品自体を改定する必要がある。モントリオールでは、WGの概要の議論に予想より多くの時間を割いたことから、プレナリーでは、ストックテイク・プロセスとの合致という課題を議論するだけの時間が短くなり、パネルは、タスクグループを設置すると決定し、加盟国の意見発表を招請した。国際的な政策決定者への情報提供という意味で、政策決定者に最も役立つ時期でIPCC報告書を発表し、IPCCの使命に忠実であり続けるには、この問題に対応する必要がある。

世界の持続可能な開発アジェンダ

気候変動は、今や、全てのものの持続可能な開発にとっての問題との理解が深まっており、IPCCの作業は、世界の持続可能な開発アジェンダにおいて、確固とした地位を占めている。これはパリ協定だけではない、2030年持続可能な開発アジェンダのSDGsにおいても、さらに仙台防災枠組、ニュー・アーバン・アジェンダにおいてもそうである。持続可能な開発アジェンダに目を向ける動きは、モントリオールで承認されたWG報告書概要にも明らかに認められ、SDGsへの言及が随所にみられる。

2018年は、IPCCの創立30周年であるが、成長の痛みを感じる時期を過ぎ、経験を積んだIPCCは、あるオブザーバーに言わせると、30歳の誕生日を迎えたかがごとくみられる瞬間(とき)となろう。IPCCは、組織の実施能力も生産性も最高の域に達し、今後5年間についえ、一日たりとも無駄にしない、完璧かつ野心的なプログラムを設定しているのは確実である。たとえば、WG報告書の多様な章の執筆者指名募集は、パネルが概要を採択したその日に開始されている。

WGsの作業は、モントリオールで合意されるやいなや、各章の概要に則ったWG報告書草案の作成作業が開始され、関連する科学文献の評価作業も開始されるなど、真にスタートを切ったところである。第1次草案は2019-2020年の期間で作成され、科学者による査読、やがては各国政府による専門家査読プロセスが開始される。WGプレナリーは、2021年に再開し、パネルによる受理、承認、採択を受けるための各WG報告書を採択する。この日程が厳しく見えるなら、さらに厳しい作業もあり、2018年には、1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書の作成が予定され、2019年には、海洋、氷雪圏、変動する気候に関する特別報告書、及び気候変動と土地に関する特別報告書が作成される予定、同じく2019年には、国別GHGインベントリのIPCCガイドライン2006年版の更新及び補足手法論報告書も予定されている。このように今後5年間の作業の予定表がつまっており、IPCCには多忙な作業が待ち受けている。困難なスケジュールだが、多数のオブザーバーは、資金さえあれば、IPCCはこのスケジュールを遂行するに足る良い立場にあるという。

今後の会議予定

気候ウィークNYC2017年:毎年開催される気候ウィークNYCの第9回は、国連総会の一般演説期間中に行われる。ビジネス及び政府の指導者が一堂に会し、イノベーション、技術、クリーンエネルギーへの投資で収益性を高め、正味ゼロ排出という世界経済に結び付ける努力を続ける方法を実証する。 日付:2017年9月18-24日  場所:米国、ニューヨーク市  連絡先:気候グループ  e-メール: info@theclimategroup.org  www: https://www.theclimategroup.org/ClimateWeekNYC  

UNFCCC適応委員会第12回会合(AC12):UNFCCC適応委員会(AC)の第12回会合は、次の問題などに焦点を当てる:気候変動に関するパリ協定の実施支援方法;適応に関する技術検証プロセスのAC作業部会の作業;適応行動及び実施方法に関する締約国への技術支援及びガイダンス;啓発活動、アウトリーチ、情報交換;COP 23に対するAC報告。 日付:2017年9月19-22日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話番号:+49-228-815-1000  ファックス:+49-228-815-1999  e-メール:secretariat@unfccc.int  www:http://unfccc.int/adaptation/groups_committees/adaptation_committee/items/10375.php

国別GHGインベントリのIPCCガイドライン2006年版の2019年精緻化会合:調整役代表執筆者の会合は、9月24日、代表執筆者会合は、9月25-28日に開催される予定。  日付:2017年9月24-28日  場所:ジンバブエ、ビクトリア・フォール  連絡先:IPCC事務局  電話番号:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  e-メール:IPCC-Sec@wmo.int  www:http://www.ipcc.ch

地方及び先住民の知識を気候変動観測及び解決策に生かす:カリブ海地域の展望:この会議はユネスコが企画、カリブ海地域の先住民及び現地人の知識活用に貢献するため次の作業を行う:カリブ海地域の環境に関する先進的な地方及び先住民の知識の概要を示す、この中には、現地及び先住民の知識を生かすツール及び手法論を含む;気候変動の評価及び行動における地方及び先住民の知識を促進するため、主要な地域問題、経験、グッドプラクティスの理解を深める。  日付:2017年9月27-29日  場所:ギアナ、ジョージタウン  連絡先:Jen Rubis、UNESCO  e-メール:j.rubis@unesco.org www:https://en.unesco.org/lik-climate-caribbean-conference

SROCCの第1回代表執筆者会議:この会議はIPCC WG I/IIのための会議で、WGIIが企画する。 日付:2017年10月2-6日  場所:フィジー、Nadi  連絡先:IPCC事務局  電話番号:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  e-メール:IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

損失と被害のワルシャワ国際メカニズム執行委員会第6回会議:気候変動の影響に伴う損失と被害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)のUNFCCC執行委員会第6回会議では、次の問題などが議論される:パリ会議の成果実施支援;緩慢に発生する現象の知識及び対応能力を改善するための提案;執行委員会の5か年回転(rolling)作業計画の活動展開;啓発、アウトリーチ、情報交換;COP 23に対する執行委員会報告。  日付:2017年10月11-13日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話番号:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  e-メール:secretariat@unfccc.int  www:http://unfccc.int/adaptation/workstreams/loss_and_damage/items/9073.php  

SRCCLに関する第1回代表執筆者会議:この会議は、WG I/II/III向け、企画はWGIIIが行う。 日付:2017年10月16-20日  場所:ノルウェー、オスロ  連絡先:IPCC事務局  電話番号:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  e-メール:IPCC-Sec@wmo.int  www:http://www.ipcc.ch/

中南米及びカリブ海カーボン・フォーラム2017年:第10回中南米及びカリブ海カーボンフォーラム(LACCF)では、官民の代表が一堂に会し、この地域の気候変動緩和の状況を議論し、協力機関や、可能性ある投資家、サービス提供者の参加を得る。 日付:2017年10月18-20日  場所:メキシコ、メキシコシティー  連絡先:Latin American Carbon Forum(中南米カーボン・フォーラム)  e-メール:latincarbon@dtu.dk  www:http://www.latincarbon.com/

SR15に関する第3回代表執筆者:産業革命前水準比1.5℃上昇の地球温暖化の影響及び関係の世界温室効果ガス排出経路に関するIPCC特別報告書の第3回代表執筆者会議は、WG I/II/III向け、WGIが企画する。  日付:2017年10月23-29日  場所:スウェーデン、Malmo  連絡先:IPCC事務局  電話番号:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  e-メール:IPCC-Sec@wmo.int  www:http://www.ipcc.ch/

人々の気候サミット、2017年:このイベントは、UNFCCC COP 23の直前、及び平行して開催される。人々の気候サミットは、気候の正義に関係する作業に刺激を与え、強化するため、ネットワーキングや情報交換の場を提供する。夕方(evening)パネル会議は、11月3-5日に開催され、次の議題を議論する:地球の気候の正義、地上に正義を残す;非炭素化をどう進めるか、だれが非炭素化に転換しているか? 11月6-7日には、50を超えるワークショップが開催され、社会のそしてエコへの転換を実現する方法について議論し、気候正義に向けた世界的取り組みを検討し、スキルを共有するとともに、ネットワーク作りをする。  日付2017年11月3-7日  場所ドイツ、ボン 連絡先People’s Climate Summit  e-メールcontact@pcs2017.org  wwwhttps://pcs2017.org/en/

UNFCCC COP 23:国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第23回締約国会議(COP 23)は、フィジーの主催で、ドイツのボンにあるUNFCCC事務局本部で開催される。  日付:2017年11月6-17日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話番号:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  e-メール:secretariat@unfccc.int www:http://unfccc.int/meetings/bonn_nov_2017/meeting/10084.php

持続可能なイノベーション・フォーラム・2017年:ビジネスに焦点を当てるイベントは、COP 23の会合期間中に開催される。8年目を迎え、600名を超える出席者の参加が見込まれており、この中には各国及び各地の政策立案者、国連機関、ビジネスリーダー、投資家、国際的なNGOsが含まれる。次の議題に関し議論及び討論が行われる:再生可能エネルギー;循環経済;持続可能な土地及び水の管理;カーボン市場;気候資金;新興地域における気候イノベーション。 このフォーラムは、気候行動がUNEPとパートナーを組み主催する。  日付:2017年11月13-14日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:気候行動  電話番号:+44-20-7871-0173  ファクシミリ:+44-20-7871-0101  e-メール:info@climateactionprogramme.org  www: http://www.cop-23.org/

気候にスマートな農業に関する第4回世界科学会議:気候的にスマートな農業(CSA)に関する第4回世界科学会議は、「CSAの規模拡大推進に向けた各地のイノベーション及び行動の触発(Catalysing local innovations and action to accelerate scaling up of CSA)」というテーマを中心に開催される。この会議は、アフリカの発展に向けた新パートナーシップ(New Partnership for Africa’s Development (NEPAD))が主催する。   日付2017年11月28-30日  場所南アフリカ、ヨハネスブルク  連絡先Conference Organizers(主催組織)  e-メールcsa2015.montpellier@agropolis.fr  wwwhttp://csa2017.nepad.org/en/

気候変動への適応に関するグローバル・ワークショップ:このワークショップは、国連欧州経済委員会 (UNECE)が開催する。  日付:2017年12月11-12日  場所:スイス、ジュネーブ  www:https://www.unece.org/index.php?id=43633#/  

都市と気候変動科学の会議:この会議の目的は次のとおり:都市と気候変動に関係する主要な研究及び知識上のギャップを明らかにする;ピアレビューされた刊行物及び科学報告書に結び付く地球規模・地域規模の研究について構想を得る;AR6サイクルの期間中、都市及び気候変動に関する研究を触発する。その成果は、近く作成されるIPCC報告書に情報を提供するほか、気候変動に関するパリ協定や新しい都市アジェンダ、SDGsの実現に向けても情報を提供し、都市及び都市の住民による低炭素で気候強靭性があり、持続可能な都市の構築を支援する。 日付2018年3月5-7日  場所カナダ、アルバータ州、エドモントン  連絡先Conference organizers(主催組織)  e-メールhttps://www.citiesipcc.org/en/contact  wwwhttp://www.citiesipcc.org/  

IPCC第47回プレナリー:IPCC-47は、2018年の前半に開催される予定、特に次の議題を議論する:資金調達、IPCCプロセスへの開発途上国の参加、IPCCとグローバルストックテイクとの調整。 日付:2018年春  場所:フランス、パリ  連絡先:IPCC事務局  電話番号:+41-22-730-8208/54/84  ファクシミリ:+41-22-730-8025/13  e-メール:IPCC-Sec@wmo.int  www:http://www.ipcc.ch

追加の会合については、右記を参照:http://sdg.iisd.org/

Further information

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European Union
Non-state coalitions
NGOs

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