Daily report for 11 November 2017

Fiji / Bonn Climate Change Conference - November 2017


フィジー/ボン気候変動会議は土曜日も引き続き行われた。COP、CMP、APA、SBSTA、SBIの下、 非公式協議やコンタクトグループが終日開催された。午後からはCOP議長により非公式のストックテイキングプレナリーが開催された。

COP

ストックテイキング ・プレナリー: COP 23 議長 Frank Bainimaramaが議長となった全体会合で、締約国に対し、会議2週目にタラノア対話へのアプローチを提案すると伝えた。

SBSTA 議長 Carlos Fuller (ベリーズ) は、技術や建設的なアプローチ、財務会計処理の手順を中心とした進展を強調しつつ、建設的な 議論が行われたと報告した。

SBI 議長 Tomasz Chruszczow (ポーランド) は、公開登録簿に関する項目や対応措置といったパリ協定作業計画に関する議論が現在進行中であることを指摘しつつ、ほとんどの項目における進捗について報告した。

APA 共同議長 Jo Tyndall (ニュージーランド) 及び Sarah Baashan (サウジアラビア)は、実質的な原文が出てくるにつれ、複数の交渉組織の間で調整が必要だと強調した。

スイスは、EIGの立場から、ジョージアの支持を受け、進捗の遅さに懸念を示し、SB 48で実質的で技術的な議論に移れるよう今回COPから共同議長と共同進行役に明確な指令を与えるよう求めた。

エクアドルは、G-77/中国の立場から、条約を再解釈することをせず、 “不自然に技術的な話と政治的な話を分ける”ことをせず、全ての項目がバランス良く進展するよう求めた。また、特に重要なのは、プレ2020年の行動と野心、資金関連項目での進捗、適応基金はパリ協定に役立てるとする決定書、適応報告書に関する指針についての前進、GST の下で衡平性の議論に割り当てる時間だと主張した。

オーストラリアは、アンブレラグループの立場から、進捗に留意しながらも、意見の著しい相違は残っているとして、一部の締約国が既に定められた委任事項意外のところで作業することを主張していることに失望感を示した。

エチオピアは、 LDCsの立場から、次回の会議で“原案作成モード”に取りかかれるような進捗を求め、補助機関で損失・被害を検討する必要性、適応基金に関する決定書、タラノア対話の設計終了、支援の透明性での進展が重要だと強調した。

モルディブは、AOSISの立場から、COP 24までにIPCCの1.5°Cに関する特別報告書の知見をタラノア対話で確実に吸い上げるよう求め、損失・被害については、会期と会期の間に議論を行い、WIM執行委員会の下に専門家グループを設置し、条約の資金メカニズムとの関係性を築くよう求めた。

EUは、第2週のCOP 23の目的は3つあると指摘。すなわち、緩和を含めた全ての議題項目での進捗、パリ協定作業計画で定められた項目への集中、パリ協定で実現された精神とバランスの維持継続だと指摘した。

資金と適応に関する進捗に懸念を示し、マリは、アフリカン・グループの立場から、現在の資金目標が順調に達成されていない状況だと強調し、締約国全体の資金に関する新目標を設定するための議論を可及的速やかに開始することが急務だと指摘した。

イランは、LMDCsの立場から、先進国はCBDRや柔軟性の諸原則に合意せず、パリ協定を書き直そうとしているとの懸念を示した。

サウジアラビアは、“全体像”を示す一括型の決定書を作成することでパリ会議の成功をなぞるよう求めた。

ペルーは、AILACの立場から、手続き上の問題よりも実質的な事柄で進展を図ることが重要だと述べた。

COP 22 議長 Salaheddine Mezouarは2件のCOPの議題項目案に関する協議の最新状況を伝えた。LMDCsからの提案はプレ2020年の約束と行動の実施加速及び プレ2020年の野心引き上げ。コンゴ民主共和国は、締約国以外の組織に係わる野心の奨励、モニタリング、レポーティング、検証、及び会計処理についてのゲートウェイに関する提案だった。Jochen Flasbarth (ドイツ)は、 GCFへのアクセスとCTCN支援に関するトルコ 提案について現在行われている協議の最新状況を伝えた。Mezouar及び Flasbarth両議長が建設的な取組みが行われたことに留意しつつ、何の合意も成立していないことを伝えた。

技術の開発・移転 と技術メカニズムの実施: CTCNの効果的な実施レビュー:共同進行役 Balisi Gopolang (ボツワナ) 及び Elfriede-Anna More (オーストリア)が作成した決定書草案を締約国は非公式協議で検討した。いくつかの締約国 は同原案が議論のたたき台になると歓迎した。また、一部の国からは、UNEP(CTCNのホスト) 及び CTCNからの独立審査について、審査の勧告への対応をどうするかCOP 24で決定する前に、UNEP(CTCNのホスト) 及び CTCNの書面での対応を要請する一文の挿入が提案された。その他、締約国のインプットをCTCN作業計画にまとめる必要があるとの指摘もあった。非公式協議を継続する。

APA

決定書 1/CP.21緩和セクションに関する追加指針:  Gertraude Wollansky (オーストリア)が進行役を務める非公式協議では、11月10日(金)に出された予備資料文書について振り返り、ある先進国からの提案として、情報及び会計処理に関する補遺からの2つの ‘クラスター’を原案の本体部分に格上げすることや締約国に意見提出の追加を要請し、各セクションの後にそれぞれ添付文書として盛り込むこと、さらに共同進行役がクラスターを含め原案を整理するよう要請する案が提起された。

ある途上国グループは、締約国から提出される意見書を2つの ‘クラスター’の代わりにすることを提案し、意見書をあくまでも締約国やグループのものと見なすことに反対を唱えた。

Wollansky進行役は、情報及び会計処理ならびに原案から欠落している事柄の全てについて会期中に締約国が意見提出を行うことを提案し、締約国もこれに合意した。 また、意見書の帰属に関する意向を意見書提出時に指示できるようにして、共同進行役が同文書を整理することが合意された。

11月13日(月)、予備資料文書第2版をベースに非公式協議を継続する。

適応報告書 : 午前と午後に非公式協議が行われた。午前はBeth Lavender (カナダ) が共同進行役を務め、同Lavender進行役によると“骨組みリスト(skeleton list)”に関する議論に省察を加えたという「共同進行役の非公式ノート第1版」の議論が行われた。 ある途上国グループは、非公式ノートについて、グループ各国の意見を反映していないとして、今後の交渉の土台としては使えないと述べ、UNFCCCウェブサイトからの削除を要請し、Lavender進行役が今後の対処を確認した。また、同グループは、 報告手段としてのNDCsに関する頭書き(headings)の代案として、共通の適応報告書指針、共通適応報告書指針及び媒体(vehicles)に特化した指針、及び手段に特化した指針という3つの選択肢を提案した。

その他の多くの国が非公式ノートは今後の交渉のための良い土台になると述べた。非公式ノートについて寄せられた意見は特に頭書きを合体あるいは分類させる可能性に関するものであった。ある途上国グループは、NDCsに関する頭書きを明確にするよう求めた。また、いくつかの先進国が集中的に議論すべき最後の分野として「序文」があると示唆した。

骨組みリストについては、Julio Cordano (チリ) 及び Lavenderが共同進行役となり、午後からも各国の意見交換が続けられた。 ある途上国グループは、別の国の支持を受けつつ、適応報告書の指針には、一般的な指針とNDCに特化した指針の2セットがそれぞれ必要であると提案した。いくつかの先進国がこれに反対し、部会の役目は適応報告書の指針の作成であって、NDCsを通じた適応に関する報告を行うことではないと主張した。これに対して、ある途上国グループは、NDCsにおいて適応報告書向けの指針が存在しないことに端を発した提案であると説明した。数カ国から同提案はさらなる負担となるとの意見が出された。Cordano共同進行役からの要請を受け、同文書に関する意見交換を続行することとなったが、ある途上国グループは、異なる頭書きの下で“アプローチ”が登場する理由や異なる媒体と指針の更新のリンクの連携法等を中心とする疑問点を提起した。また、一部の途上国が、共通要素に関する頭書きとオプトイン/オプトアウトに関する頭書きの違いについて質問した。非公式ノート改訂版をベースに非公式協議が継続される。

GST: 非公式協議の進行役となったOuti Honkatukia (フィンランド) 及び Richard Muyungi (タンザニア)がGSTとの関連で衡平性をいかに運用していくか参加者に意見を募った。各国の合意点としては、これを最優先課題と位置づけ、包摂性を担保し、持続可能な開発と貧困撲滅というコンセプトと関連づけること、さらには途上国締約国に過度の負担を課すことなく、客観的な措置を活用することや、適応や緩和、MOIへの適用、締約国以外のステイクホルダーや専門家グループの参加奨励等があった。締約国からの提案としては、通常会合と連動させて技術的な対話の場を設けることや、活動A (準備局面)の中の「衡平性」を分析するための情報源の検討、活動B (技術局面) の中の個別対話の実施、活動C(政治局面) の中のGSTの成果における衡平性の記載を盛り込むこと等が挙げられた。

衡平性のコンセプトに関する考え方については、ある途上国グループが衡平性とはGSTでいかに公平さを反映させるかということだと強調する一方で、ある先進国は、衡平性は平等にプロセスに参加することを意味すると主張した。 ある先進国がGSTでは“衡平性の問題修復が志向されていない”と強調した。 ある国は「衡平性には締約国が損害を起こす責任や問題解決に向けた貢献能力、危うくなっている便益を享受する権利が含まれる」と主張した。

予備資料文書と非公式ノートに対するフィードバックをまとめるよう共同進行役が提案し、締約国がこれに合意した。非公式協議を継続する。

実施および遵守の促進委員会: Janine Felson (ベリーズ)が共同進行役を務めた非公式協議で、すべての国が予備資料文書の改訂版への支持を表明した。ある途上国グループは情報源としてWIMを含めることを求めたが、別の国が情報源、トリガー、及び成果に関するセクションで体系的に考察する方がよいと提案した。一部の先進国は、機能の連続したつながりに関する自らの見解が十分に反映されていないとし、前の文章を再度挿入するよう求めた。

原理原則については、先進国及び途上国が、非重複的、独立性、専門家ベース、促進的および透明性といった文言の追加を提案し、ある先進国が原理原則のセクションが必要であるという合意が欠如していると指摘した。ある途上国 グループは、パリ協定の原理原則に加えて、条約の原理原則についての記載を加えるよう要請した。その他の途上国は、CBDRを委員会の作業の指針とすべきだと主張したが、先進国の一部は様々な形で「差異化」に関する記載を盛り込んだり、CBDRや二分化(bifurcated)アプローチ、各国の情勢や能力に関する記載を引用したりして同文書の分量が“膨らんでいる”ことに懸念を示した。非公式協議が続く。

さらなる問題: 適応基金: Peiter Terpstra (オランダ) が共同進行役を務めた非公式協議では、対応すべき問題は何か?いつ追加情報が必要か?問題に対する適切な対応策は何か?等、非公式ノート改訂版に関するコメントを募った。ある途上国グループは提出した意見書が直接引用されていなかったことを憂慮した。一方、ある途上国は、追加情報は一切必要ないと強調した。いくつかの先進国は、いくつかの問題を決定し、想定される移行期間中に改正すべき問題や方針を列挙した決定書が2018年に欲しいと主張した。多くの途上国及びグループが、基金関連の数多くの問題はUNFCCC事務局や管財人、適応基金理事会で対応可能だと繰り返し主張した。いくつかの途上国グループや締約国が、進展不足に懸念を示し、ある国などは “方向感を失った”議論となっていると指摘。他方、いくつかの先進国は意見がまとまってきた分野もあると指摘した。共同進行役が非公式ノートの別版を作成すべきか、あるいは締約国による原案文章の検討を開始すべきかという点で各国の意見が分かれた。今後の方針に関する総意は得られず、Tepstra共同進行役は協議継続を伝えた。

その他のさらなる問題: 非公式協議で、共同進行役 Jo Tyndall (ニュージーランド)は、GCF 及び GEFに対する初期のCMA指針に関する追加的な問題についての考えを明らかにするよう呼びかけた。ある途上国グループは、関連諸機関の中での法律問題や説明責任に係る調整事項を明確にした。CMAからのいずれの指針も、パリ協定だけに関する問題への対応指針となるものであり、SCFからの要請を受けた後、CMAで検討され、最後にCOPに持ち込まれるものになると指摘した。

現時点では本件を取り上げるべきではないとの考えに多くの国が同意した。また、多くの先進国が決定書 1/CP.21 (パリの成果)により SCFはすでに指針の草案づくりを行うという役割を得ているとして追加で指針は一切必要ないと主張した。途上国は、追加指針について議論する前に“CMAの作業計画”をもっと明確にするよう待つ方がいいと主張した。

ある途上国グループは、今後の追加指針について検討するプロセスをCMA 1が開始するよう提案した。Tyndall進行役は同グループに文章案の準備を要請した。

11月13日(月)に残りの追加事項3件を取り上げる非公式協議を継続する。

SBI

制度的アレンジを含む途上国による森林部門の緩和活動の実施支援の調整: Keith Anderson (スイス) 及び Ayman Cherkaoui (モロッコ)が共同進行役を務める非公式協議で、共同進行役が提案する結論書草案についての議論が行われたが、グループの役割、自主的なフォーカルポイント会合がその目的を果たしたのか、あるいは継続させるべきかという問題やREDD+の支援や実施に向けて独立したガバナンス機構が必要かという問題では意見の相違が続いた。締約国は、“最終的なガバナンス権限(ultimate governance authority)” という用語に関する法的な説明を求め、事務局に対しては、最終文書で決定書や結論書の草案を提示するのか、なぜ決定書草案や結論書をCOPへ戻す必要があるのか根拠を明確にするよう求めた。一部の先進国は、自主会合を続ける場合は期限を設定しておくべきだと述べた。非公式協議を継続する。

技術の開発・移転: 技術移転に関するポズナニ戦略計画: Kunihiko Shimada (日本)を共同進行役として非公式協議が続けられた。同進行役からは締約国の合意も近いと指摘があり、GEFフォーカルポイントとCTCN DNEs間の連携に関するGEFの報告についての意見の相違がごく非公式の非公式協議で解決したと締約国が報告した。また、改正文章案についても締約国が合意し、Shimada進行役が今回の会合を終了した。同文章は結論書草案としてSBI議長に送られる。

パリ協定に基づく行動強化のための教育訓練・意識向上・市民参加・市民の情報アクセス等の実施強化策: 非公式協議はAlbert Magalang (フィリピン) が進行役を務め、結論書草案に議論を行った。Magalang進行役は、結論書草案の手続き上の特徴を強調し、なるべくSBI 48と連動させてSBIワークショップを実施し、締約国及びオブザーバーの参加を得て、気候エンパワーメント行動(ACE)関連活動を通じたパリ協定の実施強化に向けた行動リストの策定を目指す旨を伝えた。また、同ワークショップには条約の下の関連機関の代表や専門家の関係者、若者、実務家、ステイクホルダー等が参加可能との一文を明記することで各国が合意した。

締約国は結論書草案及び共同進行役の非公式ノートに合意した。

SBSTA

協定6条に関する問題: Kelley Kizzier (EU)が共同議長を務めるコンタクトグループが招集され、協定6条2項 (ITMOs)に関する共同議長の非公式ノートへのインプットについて集中的に審議した。アルゼンチンは、協定6条2項の処理に関する環境十全性についてのブラジルの懸念を支持する会計と報告に関する文章を提供した。 セントルシアは、AOSISの立場から、収益の5%を適応に振り当てるよう提案した。 コスタリカは、 ブロックチェーン技術を活用した集中管理型の登録簿に関する文章を提案した。ブラジルは、パリ協定は条約及びそれに関連する法律文書に役立っていると主張した。ツバルは、 LDCsの立場から、環境への悪影響に関する環境十全性や社会の品格(integrity)及び人権に関する小要素を提案した。 共同議長が各議題項目に関する非公式ノート改訂版の作成することに留意し、Kizzier議長がセッションを一時休会とした。

技術の開発・移転: 協定104項に基づく技術枠組: 非公式協議はStella Gama (マラウィ)が進行役を務め、支援のテーマに関する意見の共有を締約国に呼びかけた。支援は財政支援に限定しないことで締約国は合意し、対象範囲を幅広くするための提案として、キャパシティビルディング及び技術支援、無償支援及び現物支援、制度的な支援、モニタリング及びレポーティング、先住民の技術、民間セクターによる投資奨励などを含めることを提案した。

いくつかの国は、協定10条6項(技術の開発・移転の支援) を決定書の基礎とし、協定13条 (透明性枠組)と明確なつながりを持たせるよう求めたが、ある締約国が透明性の議論の成果を予断するとして警告を発した。 共同進行役は、11月13日(月)までに非公式ノートの更新版を作成すると述べた。締約国は、結論書草案の文章作成をSBSTA議長に要請することで合意した。

SBSTA/SBI

対応措置の実施の影響: Andrei Marcu (パナマ) 共同進行役は午後、対応措置の実施による影響に関するフォーラムについて、パリ協定の手順、作業計画、役割に関する共同進行役の非公式ノートに対する締約国のインプットを受け取った。UNFCCCの規定外の題目であるとして作業計画から国際貿易を除外する案や同フォーラムをパリ協定に役立てるための方策を講じるようCMAに指示する文言案など、締約国は詳細な提案を出した。11月13日(月)までに共同進行役は改訂版の非公式ノートを作成予定。午前と午後の会合で上記項目に関する結論書草案ならびにフォーラムと作業計画の改善についての審議が行われた。引き続き非公式協議でもインプットの追加が期待される。

廊下にて

会議6日目。憂鬱な天気が参加者に影響したのか、いくつかの項目の議論で暗雲が立ち込めた模様だ。各国の政府代表が同じ言葉を使いながらも、全く話が噛み合っていない様子を参加者は冷静に観察していた。資金絡みの新項目を2018年の議題として“積み荷”しようとする圧力を感じ取った一部の国々からは“パリのバランス”尊重を求める声があがった。他方、別の大グループからは、COP 24でのバランスの取れた“パッケージ合意”を担保するためには、これが役立つとの意見も出された。COPの非公式ストックテイキング会合では意見対立が剥き出しになった。あるグループは、2017年を通して交渉の勢いが失われ、 明るい話題となるような行動が“目下の交渉では見られない”と嘆く。しかし、ベテラン交渉官はこうも話す。すべてが目に映る通りではない。解決の糸口を見つけるべく、多くの項目は「水面下で」動いているのだ。

 

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