Curtain raiser

Bonn Climate Change Conference - April 2018

ボン気候変動会議は、本日開会、2018年5月10日まで続けられる予定。この会議では、3つの組織が次の会合を行う: 実施のための補助機関の第48回会合(SBI 48)、科学的技術的助言のための補助機関の第48回会合(SBSTA 48)、パリ協定特別作業部会第1回会合第5部(APA 1-5)。

本会合への期待

これら3組織では十分広範な重要議題を扱うが、今回の会議の焦点は、パリ協定作業計画(PAWP)及び運用開始に必要な一連の決定書である。この作業は、2018年12月のカトヴィヅェの気候変動会議で終了すべきである。この目的を達成するため、ボン会議では技術的に十分な進展を遂げる必要がある。

ボンでの交渉の主要議題には、サイクル式かつ反復するというパリ協定の特性に関係するものも含まれる、すなわち締約国による5年間隔での国家決定貢献(NDCs)の更新、透明性枠組及び信頼性枠組の下での進捗状況の定期的な報告、パリ協定の目標に向けた全体的進捗状況を評価する5年ごとのグローバル・ストックテイクなどである。交渉では、関連するものとして、次の項目に焦点が当てられる:

  • NDCsの明確性、透明性、理解を深める情報 (APA);
  • NDCsの特性(APA);
  • NDCsの計算方式 (APA);
  • 行動と支援のための透明性枠組、温室効果ガス(GHG)排出量の報告、開発途上国に供与される資金支援を含める(APA);
  • グローバル・ストックテイク関連問題(APA);
  • NDCsの共通時間枠 (SBI);
  • NDC登録簿のモダリティ及び手順(SBI)。

このほか、ボン会議で議論される予定のPAWPの重要テーマには次のものが含まれる:

  • パリ協定の下での実施推進及び遵守促進を目的とする委員会 (APA);
  • 公的干渉を通して提供され動員される資金源の計算(SBSTA);
  • 開発途上国の適応努力の認識(SBI及びSBSTA);
  • 適応報告書(APA);
  • 対応措置実施の影響に関するフォーラム(SBI及びSBSTA);
  • パリ協定6条の協力的手法、これには市場及び非市場手法を含める(SBSTA)。

ボンにおけるもう一つの重要な議題はタラノア・ダイアログであろう、これは締約国及び非締約国利害関係者の両者の間で行われる世界的な対話で気候変動と戦う努力が話し合われる。このダイアログでは、気候変動と戦う各国の努力について、3つの質問に焦点を当てる:われわれはどこにいるのか(Where are we?)、どこへ行きたいのか(Where do we want to go?)、どうやってそこへ行くのか(How do we get there?)。このダイアログの準備段階は、2018年1月に開始され12月まで続く予定であり、その後にカトヴィツェ国連気候変動会議での政治的段階が続く。

UNFCCCプロセスの起源

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる、この条約は、「気候系に対する危険な人為的干渉」を回避するため、GHGsの大気濃度を安定化すべく、国際的な気候変動協力を行う基本の法的枠組及び原則を定める。この条約は1994年3月21日に発効、197の締約国を有する。

このUNFCCCの効果を高める目的で、1997年12月、京都議定書が採択された。この議定書では、先進工業国及び市場経済移行国が、6つのGHGsバスケットの排出削減数量目標達成を約束する。京都議定書は2005年2月16日に発効、192の締約国を有する。その第一約束期間は2008年から2012年であった。2012年のドーハ改定書は、2013年から2020年の第2約束期間を設置した。この改定書は144か国の批准で発効する予定である。2018年3月の時点で、111の締約国がドーハ改定書を批准している。

2015年12月、締約国はパリ協定を採択した。この協定の規定では、全ての国がNDCsを提出、緩和、適応、実施方法に関する全体の進捗状況を5年ごとのグローバル・ストックテイクでレビューする予定である。パリ協定は2016年11月4日に発効、2018年4月29日現在、175の締約国がこの協定を批准した。

重要な転機

ダーバン・マンデート:パリ協定の交渉マンデートは、2011年の南アフリカ、ダーバンでの国連気候変動会議で採択された。締約国は、2015年より遅くない時期に、「全ての締約国に適用可能な条約の下での議定書、他の法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果を策定」し、2020年の発効をマンデートとする「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)」発足で合意した。加えてADPは、2℃目標に関するプレ2020年の野心のギャップを埋める行動の探究もマンデートとされた。

リマ:2014年、ペルー、リマでの国連気候変動会議は、パリ協定に向けた交渉の進展を進める「気候行動のためのリマ提言」を採択した。これにより交渉文書草案の要素を推敲し、国別約束草案(INDCs)の提出及び統合のプロセスを定め、プレ2020年野心について議論する。

パリ:2015年国連気候変動会議は、フランスのパリで開催され、12月12日、パリ協定採択に至った。この協定には世界の平均気温の上昇を産業革命前の水準比2°Cを大きく下回る水準で制限するとの世界目標のほか、1.5℃で制限するための努力追及が盛り込まれた。さらにこの協定は、気候変動の悪影響に適応する締約国の能力向上、低GHG排出量及び気候に強靭な開発の道筋に合わせる資金フロー構築を目指す。この協定は、衡平性を反映し、各国の異なる状況を踏まえ、共通するが差異のある責任の原則及びそれぞれの能力を反映する形で実施される。

パリ協定の下、各締約国は、連続して野心を高めていくNDCsを5年間隔で報告しなければならない。2025年までの時間枠を含めるNDCsを持つ締約国は、2020年までに新しいNDCの報告が求められ、2030年までの時間枠を含めるNDCsを有する締約国は、2020年までにこれら貢献に関する報告または更新が要求される。

パリ協定の主要な特徴には、透明性枠組が含まれ、グローバル・ストックテイクと呼ばれるプロセスも含まれる。締約国は、このプロセスを2023年に開始し、以後5年間隔で緩和や適応、実施手段に関する全体的な進捗状況をレビューする。さらにこの協定には、適応、資金、技術、損失と損害、遵守に関する条項も含まれる。

締約国は、パリ協定採択時にPAWPを発足、APA、SBI、SBSTAによるものも含め、この協定の運用細則を作成する。締約国は、2018年に促進ダイアログを開催し、パリ協定の長期目標に向けた全体の進捗状況を調べることで合意した。このプロセスは現在タラノア・ダイアログと呼ばれる。

パリ会議では、締約国は、パリ協定の目標達成には全ての締約国、非締約国利害関係者がより強力かつ野心的な気候行動をとる必要があることでも合意した。数名の非締約国利害関係者は、リマ・パリ行動アジェンダに則り、パリでユニラテラルな緩和プレッジを行い、1万件以上の行動をプレッジした。非締約国利害関係者の行動への関心は、2016年に発足した世界気候行動のためのマラケシュ・パートナーシップを通しても続いた。

マラケシュ:2016年11月7-18日、マラケシュ国連気候変動会議が開催されたが、これには第1回パリ協定締約国会議(CMA 1)も含まれた。締約国は、PAWPに関係する数件の決議を採択、これには次のものが含まれた:PAWPの作業は2018年までに結論を出すべき;キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会の委託条件;協定9.5条(先進国による事前の隔年資金報告書)に則り提供されるべき情報を特定するプロセスの開始。他の採択された決議には、損失及び損害に関するワルシャワ国際メカニズム(WIM)の5か年作業計画の承認、技術メカニズムの強化、ジェンダーに関するリマ作業計画の継続及び強化が含まれる。

フィジー/ボン:フィジー・ボン気候変動会議は、フィジーのCOP議長職の下、2017年11月6-17日にドイツのボンで開催された。COPはタラノア・ダイアログを発足、「実施のためのフィジー・モーメンタム」を設立した、これはプレ2020年の実施及び野心を優先する。さらにCOPは、PAWP完了の指針を提供、CMA 1-3で決議されることを条件に、適応基金がパリ協定でも役割を果たすと決定した。締約国は、次のものに関する更なる作成または指針提供を行った:地方コミュニティー及び先住民のプラットフォーム、WIM執行委員会、資金常任委員会、適応基金。

会合期間外のハイライト

都市及び気候変動科学の会議:都市及び気候変動科学会議は、2018年3月5-7日、カナダのエドモントンで開催された。この会議の目的には次のものが含まれた:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(AR5)以後の、都市及び気候変動に関する科学文献、データ、他の知識の源に関する最新情報を調査し、現在進行中の作業をAR6サイクルの一環とする;AR7の都市と気候変動に関する特別報告書で評価されるべき新しい研究の推進を図るため、主要なギャップを明らかにする;都市システムと気候変動との組織的リンク、シナジー、トレードオフを考慮する新しい評価枠組を作成する。ここでの議論は、気候変動及び都市における気候変動の影響に関する理解を深め、さらに気候変動への対応で地域社会の人々が果たす役割の重要性を理解するための研究課題に対し、情報を提供し、逆に将来の気候変動と都市に関するIPCC特別報告書に情報をフィードインする。

IPCC-47IPCCの第47回会合は2018年3月13-16日、フランスのパリで開催された。IPCC-47でパネルが採択した決議には次のものが含まれる:ジェンダーに関するタスクグループの設置;パリ協定の下でのグローバル・ストックテイクを考慮した将来のIPCCの作業構成に関するタスクグループの委任条件;開発途上国のIPCC活動への参加を強化する。パネルは、第6次評価報告書の各作業部会の報告書を作成する調整役代表執筆者、代表執筆者及び査読編集者の選任に関するプレゼンテーションを聴いた。

IPCC-47は、第6次評価報告書作成サイクルでの追加制作物に関する進捗状況報告も聴いた、これには次のものが含まれる:1.5℃地球温暖化に関する特別報告書;気候変動と土地に関する特別報告書;変動する気候における海洋及び氷雪圏に関する特別報告書;国別温室効果ガス・インベントリの2006年IPCCガイドラインを推敲する手法論報告書。

Further information

Participants

National governments
US
Negotiating blocs
European Union

Tags