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地球交渉速報 (ENB)

第12卷 第718号 | 2018年5月2日(水)


ボン会議ハイライト

2018年5月1日(火) | ボン、ドイツ


言語: 英語 (HTML/PDF) フランス語 (HTML/PDF) アラビア語 (HTML/PDF) 日本語 (HTML/PDF)
IISD/ENB ドイツ・ボン会合レポートのリンク先: http://enb.iisd.org/climate/sb48/

ボン気候変動会議は火曜日も続行、この日の焦点はパリ協定作業計画(PAWP)の交渉であった。議論されたのは、資金、緩和、透明性、グローバルストックテイク、適応であり、パリ協定の実施推進及び遵守促進の委員会も議論された。これらの議論は、APA、SBI、SBSTAの下、多様なコンタクトグループ及び非公式協議で行われた。次の項目に関する3件のワークショップが一日を通して開催された:

  • 対応措置に関する作業計画関係の経済モデル化ツール;
  • 地方コミュニティ及び先住民(LCIP)のプラットフォーム;
  • パリ協定の下の行動強化を目的とする教育、訓練、啓発、一般の参加、情報への公的アクセス(ACEワークショップ)

APA

コンタクトグループ:午前中のコンタクトグループ会合で、締約国は、全ての実質的な議題項目に関し非公式協議を開催することで合意した。

APA共同議長のJo Tyndall (ニュージーランド)は、APA 1-4で作成された情報ノートは追加要素の検討に予断を加えるものではないと明言した。同共同議長は、項目8(パリ協定の実施に関係する追加事項)の下の全ての問題に関し適切な時間配分を行うと保証し、注釈付き議題書で言及する「追加事項の可能性(possible additional matters)」はこれらの問題を取り上げるかどうかでの締約国の意見の不一致を反映したものだと明言した。東チモールは、項目8は損失及び損害を議論する場を提供する可能性があると示唆した。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、議題項目に割り当てられる交渉時間の長さはその議題の複雑さで決めるべきと強調した。モルディブはAOSISの立場で発言し、インターリンクやクロスカッティングな問題の審議には適切な余裕を持たせる必要があると強調した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、一部の議題項目の議論は熟しているが、他のものは行き詰まっているとして懸念を表明した。エジプトはG-77/中国の立場で発言し、代表団首脳会議という共同議長提案にはどういう追加的な価値があるか説明するよう、共同議長に求めた。ガボンはアフリカングループの立場で発言し、そのような会議は政治的な問題に関する締約国の理解を助け、その解決を助ける可能性があると示唆した。

適応報告書:非公式協議で、一部の開発途上国グループは、支援の議論に十分な時間をかけ、適応報告書の作成、提出、実施、更新というサイクル全体の議論に時間を費やすことが重要だと強調した。

その後の議論では決定書草案文書の構成に焦点が当てられ、ある開発途上国グループは、構成フォーマットを提案した。締約国は、この提案された構成をたたき台として議論するかどうかで意見が一致しなかった。一部の締約国は、 内容を構成しなおす前に、まず共同進行役が重複箇所を取り除き、オプションを明らかにして文書を「整理(clean up)」すべきと提案した。他の締約国は、交渉時間が限られているとして、早く前進する必要があると強調した。

グローバル・ストックテイク:非公式協議で、一部の締約国は、前回の会合の情報ノートに記載されていない要素として、損失と損害、利用可能な最善の科学、持続可能な開発、UNFCCC原則などを指摘した。締約国は、次の項目のさらなる明確化を求めた:ガバナンス構造;技術段階の緩和、適応、実施手段と支援の3つのワークストリーム;パリ協定の他の要素とのリンク;ストックテイクの3段階のタイミング。一部の締約国は、共同進行役に対し、情報ノートの中で共存できないアイデアとは何かを明らかにし、これらのアイデアをオプションとして再構成するよう要請した。

適応基金以外の他の問題:非公式協議では、パリ協定の下で地球環境ファシリティ及び緑の気候基金(GCF)に対し指針を提供すべきな組織はどれかという問題に焦点が当てられた。ある諸国グループは、資金常任委員会(SCF)がこれら基金向けの指針草案を作成するよう提案した。締約国は、SCFは既に指針の提供を委託されているのではないか、それともCMAからの要請が必要かどうかで意見が分かれた。ある締約国は、そのような委託は次の3つの原則に従うべきだと述べた:全てのものによる資源の利用可能性;透明性;プロセスの政治色一掃。あるグループは、ある締約国の支持を得て、非公式協議の委託事項は手順問題を議論することで、中身を議論することではないと強調し、原則の議論は「不適切(inappropriate)」であると述べた。

適応基金に関係する問題:非公式協議で、締約国は、CMA 1-3での決定を条件に、適応基金はパリ協定においても役割を果たすべきとしたCOP23の成果を歓迎した。ある締約国は、残されたセンシティブな部分に注目した。締約国は、この会合では次の項目の実現を目指すべきことで合意した:パリ協定においても役割を果たす適応基金に関係し作成される可能性がある決定書の文章要素;パリ協定において役割を果たす適応基金の可能な落としどころ、及びオプション、これにはガバナンス及び制度アレンジ、セーフガード、運用モダリティを含める。締約国は、これらの問題に関するインプットを書面で提出するよう招請された。

協定の実施推進及び遵守促進委員会:非公式協議で、締約国は、情報ノートに関し意見交換をし、作業で提案された方法についても意見を交換した。多数の締約国は、APA 1-4の情報ノートを歓迎し、文章の流れを整理し、重複箇所を取り除き、オプションを作成したことを支持、制度アレンジに関する議論の進展を支持した。

多数の締約国は、他のPAWP要素とのリンクの議論を進める必要があると強調した。締約国数か国は、この委員会の創設、計画、範囲の更なる検討を支持し、一部の締約国は、これらをパッケージとするよう提案、他のものは、計画及び範囲は創設枠組の構築において、検討するよう提案した。締約国は、実際的で具体的な例に基づき作業する必要があることで合意した。

透明性枠組:非公式協議では、この会合の作業計画に焦点が当てられ、前回会合の情報ノートから議論を開始した。締約国は、特に次の点で合意した:情報ノートに記載される多様なオプションを可能な限り明確で簡潔な形で明示する、これには特定の開発途上国に対する柔軟性の提供方法も含まれる;透明性枠組のモダリティ、手順、指針の法的特性を議論する;COP 24の決定書に含める必要がある要素を捕捉する;他のPAWP項目とのインターリンケージに関する理解を深める;広範な問題に関する締約国の意見を明確に理解できるよう時間と場を確保する。締約国は、議論の進行とともに情報ノートの一部を改定すること、ノートに対する「軽いタッチの(light touch)」変更を追跡することには広範な支持があるとの認識を示した。

この項目に関する「非公式な非公式(informal informal)」協議を行う実現可能性やそれが望ましいかどうかについては意見が分かれ、「非公式な非公式の非公式(informal informal informals)」協議への参加が奨励された。

SBSTAを審議し

資金源の計算モダリティ(協定9.7)コンタクトグループ会合で、締約国は、共同議長の情報ノートについて審議した。南アフリカはG-77/中国の立場で発言し、文章の交渉に進むよう促したが、米国は、ノルウェー、スイス、オーストラリアの支持を得て、文章の交渉を始める前に情報ノートの要素を議論することを希望した。共同議長は、情報ノートを「物語(a textual narrative)」に作り変えるよう提案した。多数の先進国は反対したが、多数の開発途上国グループは同意した。共同議長のDelphine Eyraud (フランス)は、次回の会合ではマルチチャンネル及び民間の資金に焦点を当てるよう提案し、締約国に対し文章の提案を求めた。

協定6.4 (メカニズム)締約国は、協定6.4条の下でのメカニズムの規則、モダリティ、手順の要素案を記載するSBSTA議長の非公式文書について審議した。

この文書の読み合わせでは、締約国が質問し、共同進行役及び事務局が回答した。議論されたのは次の項目:協定6.2条(協力的手法)及び6.4条の非公式文書で、原則、序文、参加要項、適格性などの要素が異なっている理由は何か;監督組織のガバナンス機能を推敲する根拠;共同進行役の情報ノート第3版とSBSTA議長の文書との違い。2回目の読み合わせで、締約国は、SBSTA議長文書にコメントする予定。

SBI

協定4.12(NDC登録簿)に言及する公開登録簿:非公式協議で、締約国は、SBI 47の情報ノートについて議論した。締約国は、2回目の会合後に共同進行役が情報ノート草案及び結論書草案を作成することで合意した。

暫定のNDC登録簿に関し、一部の締約国は、検索機能を特徴づけ、各国のNDCsを横断する検索キーワードは「干渉的(intrusive)」で登録簿のマンデートを超える可能性があると指摘した。他のものはこれに反対し、そのような検索機能は情報の比較可能性を高めると強調した。

さらに締約国は、NDC登録簿を協定7.12条 (適応報告書)の下の公開登録簿と共に議論するかどうかで、意見が分かれた。

協定9.5 (先進国の隔年事前資金報告書)非公式協議では、今会合で COP決定書草案を作成すべきことが提案された。

あるグループは、協定9.5条の決定書は気候資金に関する「プロセス上のギャップ(lacuna in the process)」を埋めるのではないかと強調し、別なものは、資金をCOP 24の主要な実績指標と特定した。

締約国は、情報ノート及びラウンドテーブル報告書は議論に確かな土台を提供したとの意見で一致した。多数の締約国は、要素の肉付けを提案し、他のものは、成果を上げるべく前進することが重要だと強調した。

技術メカニズム(TM)の定期的評価の範囲及びモダリティ:非公式協議では、COP 24までに議題項目を最終決定するとの目標に焦点が当てられた。

締約国は、情報ノートを議論のたたき台とすることで合意した。一部の先進国は、定期的評価の範囲の議論に反対し、これはSBI 44で合意されていると指摘した。一部の開発途上国は、これに不同意で、提案されている議論はTMの効果性の評価に重きを置きすぎており、支援の適切性に対する配慮が十分でないと述べた。締約国は、範囲とモダリティの両方の議論を保証されたが、結局、どちらを最初に取り上げるかで意見が一致しなかった。

経済モデル化ツールの訓練ワークショップ

対応措置の影響に関するフォーラムのフォーラム内訓練ワークショップは、この日一日を通して続けられ、経済モデル化ツールの利用に焦点が当てられた。

ノルウェー科学技術大学のKirsten S. Weibeは、EUでの再生可能エネルギー技術の導入効果についてシミュレーションを行い、EUに化石燃料を輸出する国とは別に、雇用にプラスの影響があると結論付けた。地球環境戦略研究機関(Institute for Global Environmental Studies)のZhou Xinは、日本の炭素税への影響に関するモデル研究結果について議論し、税自体は一部の部門において競争面の影響を及ぼすが、その影響は越境炭素税調整で低い水準に抑えられることを示した。

このワークショップの報告はSB 49に送られた。

LCIPプラットフォームのマルチ利害関係者ワークショップ

一日を通し、LCIPプラットフォームのマルチ利害関係者ワークショップが開催され、SBSTA議長のWatkinsonとRoberto Múkaro Borrero, Taínoがモデレーターを務めた。

午後の会合を開会したWatkinson議長は、プラットフォームの進め方に焦点が当てられると強調した。

ロシアの北部先住民支援センター(Center for Support of Indigenous Peoples of the North)のRodion Sulyandzigaは、国連組織の先住民能力向上プログラムについて議論した。同氏は、特に資金源の重要性及び国レベルを含める全てのレベルのキャパシティ・ビルディングの重要性を強調した。

グアテマラのRita Mishaanは、キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会の関連性に焦点を当て、キャパシティ・ビルディングに関するダーバン・プラットフォームはLCIPプラットフォームも議論すると述べた。同氏は、UNFCCCプロセスに先祖の知識を取り入れることの重要性、及び資金源の必要性を強調した。 

午後の議論では次の問題などに焦点が当てられた:ペルーの新しい気候変動法の下での先住民の参加に対する支給及び経験;国家と先住民とのダイナミックなパートナーシップの必要性;資金源の重要性、全てのレベルでの先住民の参加。参加者は、権利に基づく手法は野心的な気候行動に結びつく可能性があると強調し、UNFCCCプロセスに参加するための人権を保護する「安全な場(safe space)」を求めた。LCIPプラットフォームは「先住民の参加レベルに等しいだけの良さしかない(only as good as the level of indigenous peoples’ participation)」ことが強調された。このワークショップは夕方まで続けられた。

ACEワークショップ

ACEワークショップではDeo Saran (フィジー)とAna Maria Kleymeyer (ミクロネシア)が共同進行役を務め、この日一日を通し、プレナリー及び分科会が開催された。

午後のプレゼンテーションでは、ACEのクロスカッティングイシューに関係するグッドプラクティス及び学習事項に焦点が当てられた。ノルウェーのAlice Gaustadは、ノルウェーの第7次国別報告書に記載するACE関連の報告で学習事項を報告した。ドミニカ共和国のVictor R. Viñas Nicolasは、自国の手法について説明し、ACEを自国のNDCに取り入れる、国内のACE戦略を整備することなどをあげた。気候行動ネットワークのErika Lennonは、次の点を強調した:ACEを主流に据える必要性;ACEはより持続可能な成果に結びつくことを実証するプラスの事例;ACEをパリ協定実施の全ての面に取り入れることの重要性。ICLEI-Local Governments for Sustainability (持続可能性のための地方政府)のYunus Arikanは、ACE実施における地方政府及び地域行政の役割に関しプレゼンテーションを行い、これらの政府の市民との距離の近さや信頼性を強調した。北カロライナ自然科学博物館(North Carolina Museum of Natural Sciences)のEmlyn Kosterは、気候変動を伝える上での博物館の役割と責任について述べた。マンチェスター博物館(Manchester Museum)のHenry Mcghieは、博物館の将来の業務でもACEを推進する意図があると指摘した。

その後、クロスカッティングなACE問題に関する分科会が開催された、これには次のことが含まれた:ACE関係の国際枠組同士のシナジー及びリンク;ACEをNDCs及び国別適応計画の主流に据える;ACEの評価及びモニタリング;ACE実施における非締約国利害関係者の役割;国際協力、パートナーシップ、資金調達。

廊下にて

パリ協定作業計画の下での多数の問題を議論する非公式協議は、火曜日一日を通して開催された。問題がAPA、SBI、SBSTAという3つの異なる組織を横断して分散されており、このため一部の参加者は、進展状況に関する「ヘリコプターからの鳥瞰図(helicopter view)」を論じていたようだ。多くのものは、3つの組織全てで同じ進展をしない限り、さらにはそれぞれの議長が相互に密接な調整を行わない限り、パリでせっかく得られた「慎重なバランス(careful balance)」が失われる可能性があると危惧していた。しかし、他のものは、均等な前進を強調しすぎれば交渉のペースは「最も低いレベル(lowest common denominator)」で落ち着いてしまう可能性があると懸念した。

並行して行われる会合が倍増し、これからの2週間の作業量が多くなり、相互にリンクし合うことから、多くの締約国は、「全力疾走(full throttle)」で進む必要性とパリ協定の精神と意図を維持することのバランスがとれるかどうか疑問視していた。

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