Daily report for 5 May 2018

Bonn Climate Change Conference - April 2018

交渉の最初の週が終わりを迎える中、この日の重要イベントの一つは、SBI、SBSTA。APAの合同ストックテイキング・プレナリーであった。ジェンダー・ダイアログも開催され、キャパシティ・ビルディングのパリ委員会(PCCB)も会議を開催した。

交渉の主眼点は、COP 24までに最終決定する必要があるパリ協定作業計画(PAWP)であり続けた。この日、広範な議題が議論されたが、これには資金、適応、緩和、市場及び非市場手法、対応措置、透明性枠組が含まれた。

交渉グループは、SBSTA及びSBIの議題に関する他の多様な問題を議論するため会合し、政府間会合のアレンジ、農業、研究と組織的観測などが議論された。

SBI、SBSTA、APA合同ストックテイキング・プレナリー

夕方、SBI、SBSTA、APAのストックテイキング・プレナリーが開催された。

SBSTA議長のWatkinsonは、数件の問題ではよい進展があったと報告した。PAWP関係の問題に関し、同議長は、進捗の速度は「ミックスしていた(mixed)」と述べ、作業を早めるよう呼びかけた。SBI議長のDlaminiは、締約国に対し、PAWPの項目について広範な協議を行い、行き詰まっている(crunch)問題のオプションを絞り込み、文書草案に向け進展できるようにすることを促した。同議長は、農業に関するSBI/SBSTAの合同項目での進捗を歓迎した。

APA共同議長のBaashanは、PAWP項目を横断する一貫性及び統一性を確保し、それにより「ジグソーパズル(jigsaw puzzle)」 のパーツをはめ込めるようにする必要があると強調し、全ての非公式グループが文書の新しいバージョンを作成したが、作成間近であると報告した。同共同議長は、これでオプションを固めることができ、読み合わせ可能な文書を作成できてほしいとの希望を表明し、非公式グループには火曜日までに作業を終えるよう指示が出されていると指摘した。

エジプトはG-77/中国の立場で発言し、資金では進捗が限定的であるなど、進捗のバランスがとれておらず、地球環境ファシリティの資源アクセスでの課題が未解決であることに対する懸念を表明した。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、共同進行役のノートを次回のバージョンでは「大きな進展を遂げる(significantly more advanced)」ものにするよう促し、COP 24の前の交渉の追加会合は全てPAWPに焦点をあてるべきだと述べた。EUは、進捗状況を理解するには、SBSTA、SBI、APAの議長を務める役職者同士の協力が重要であると強調した。同代表は、交渉の追加会合はすべて、即、PAWPの項目を議論すべきだと述べた。スイスEIGの立場で発言し、非公式な非公式会合を通して中身の議論を続けるよう求め、特定項目に審議時間を追加割り当てするよう求めた。

モルディブはAOSISの立場で発言し、「PAWPの議題項目では何も仕残したものがない(leave no PAWP 議題項目 behind)」ようにし、資金源の計算に関する議論の作業モードを変更する必要があると強調した。エチオピアはLDCsの立場で発言し、SB 48の終了時までに共同進行役がすべての項目の非公式ノートの新しいバージョンを公表するとの期待感を述べ、全ての項目の作業を中断し、次回会合では議題を議論する必要なしに、作業を続けられるようにすることを提案した。

イランはLMDCsの立場で発言し、緩和に関するAPA議題項目での進捗を妨げる障壁に注目し、適応報告書、透明性、資金での進捗を促した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、議題項目での進捗でのバランスをとりなおすよう求め、関係する項目に関し、合同の会合を開催するよう求めた。インドは、APAの議題項目8でのポスト2020年資金目標が重要であると強調し、協定9.5条(先進国の隔年事前資金報告書)及び9.7条(資金源の計算モダリティ)に関係する項目での進捗を求めた。

チリはAILACの立場で発言し、この会合でオプションを明らかにし、全てのPAWP議題項目に関し、全文のストーリーを提供することへの期待感を表明した。ガボンはアフリカングループの立場で発言し、他の項目とのリンクを議論することも含め、適応、資金、透明性に関する進捗を促した。韓国は、非公式な非公式協議によるものも含め、緩和及び透明性枠組に関するさらなる進捗を求めた。

COP 23議長職でフィジーのLuke Daunivaluは、日曜日のタラノア・ダイアログのアレンジに関する最新情報を参加者に告げた。

APA

透明性枠組:締約国は、資金、技術開発及び移転、キャパシティ・ビルディングへの支援に関する情報に対するアプローチを議論した。いくつかのグループは、計算モダリティに関し、SBSTAでの議論と密接に協調するよう促し、あるグループは、透明性枠組を最終決定するだけの時間をとれるよう、COP 24の第1週でSBSTAの議論を終わらせるべきだと強調した。締約国は、一つのガイダンスのセットを先進国と支援を供給する「その他の」締約国の両方に適用すべきだが、先進国には義務であるが、開発途上国には自主的なものであるとすることで合意した。必要とする支援に関する情報に共通の表形式を用いるということで意見は大きく集約されており、一部の締約国は、この表をBURsなどの現在の形式に基づかせるよう提案し、他のものは、新しい共通の報告形式を作成するよう提案した。

午後、締約国は、NDCsの実施及び達成での進捗状況を追跡するため必要とされる情報について意見交換をし、ここでも、他のAPA項目及びSBSTA項目との密接なリンクに注目した。一部の締約国は、APA議題項目3 (緩和)の下で審議されるNDCsの範囲に予断を加える議論であってはならないと強調した。一つの締約国のNDCを説明するにはどのような情報が必要かについては意見が分かれ、一部の締約国は、NDCへのウェブリンクで十分ではないかと考えた。他のものは、対象となる部門、ベースライン、NDC達成に伴う量的価値など、はるかに詳しい情報を主張した。GHG排出量及び除去量の予測についても意見が分かれ、ある締約国は、予測というのは多くのNDCsにとっては関連性がなく、国家決定という特性を損なう可能性があると指摘した。

あるグループは、意見の分かれを指摘し、締約国は文章の交渉へ移る用意がなく、共通の理解を得る前にそうすることは透明性枠組の議論での他の要素にも「スピルオーバー効果(spill-over effects)」を及ぼす可能性があるとして懸念を表明した。

今会合中の非公式協議用の追加時間がこの議題項目に割り当てられている。APA共同議長は、APA議題項目4(適応報告書)及び5(透明性枠組)の合同会議を開催する予定。

決定書1/CP.21(パリ協定の採択)の緩和セクションに関係するさらなるガイダンス:非公式協議では、NDCsの特性に焦点があてられた。締約国数か国は、NDCsの主要な手順や内容の特性は既に協定で概要が示されていると論じ、その再交渉に警告した。他のものは、非公式グループはこの問題に関するさらなるガイダンスの推敲を委託されているのだと述べた。

多様な締約国は、NDCsは次のようにあるべきだと強調した:適応、資金、技術移転、キャパシティ・ビルディングの構成要素を含む;グローバル・ストックテイクの成果から情報を得る;全ての顕著なGHG排出量及びガスを対象とする;長期の低GHG排出戦略とリンクする;対応措置の影響を最も強く受ける締約国の懸念を考慮する;LDCs及びSIDSに対し柔軟性を示す。NDCsを数量化可能なものにすべきかどうかでは意見が分かれ、ある締約国は、これは国家決定というNDCsの特性を損なうと論じた。

180頁の非公式ノートを読み合わせるため提案されたツールなど、非公式な議論が続けられる予定。

適応基金(AF)関係問題:締約国は、AFが協定においても役割を果たすための制度アレンジに関する議論を続けた。事務局は、AFがCMPとCMAの両方で役割を果たすというシナリオ、及びCMAのみで役割を果たすというシナリオの下での暫定的なアレンジについて明確に説明した。締約国は、次の項目に関しさらなる明確化を求めた:適応資金理事会(AFB)に対し、事務局及び評議員の制度アレンジとの調整を委任するのはどの組織か?;CMAはこの基金に対するCMPの権限を変えることができるのかどうか?;条約の資金メカニズムの運用機関としてのこの基金の立場;AFBの構成に関係するマンデート;基金の運用が停止しないことを確実にする決定書のタイミング。事務局は、この基金がCMAのみで役割を果たす準備を関連のCMP決定書が示唆していることを確認し、AFBが制度アレンジを調整できる暫定移行期間を提案した。締約国は、共同進行役及び事務局に対し、各シナリオでの基本の決定時点を付けたタイムラインの作成を要請した。

遵守:非公式協議で、締約国は、さらなる議論の土台として、共同進行役の非公式ノート草案の新しいバージョンを歓迎した。特に次の項目に関係するコメントは:委員会メンバーの利益相反;システム問題;予備的な評価手順;事務局に対し、委員会に対する情報を送るよう委任する;会議の頻度;作業の電子モード。

締約国数か国は、委員会の作業範囲はノートの別なセクションで取り上げるよう提案したが、他のものは、非公式ノートの題目は範囲のさらなる議論に予断を加えないと論じた。ある開発途上国グループは、この委員会は開発途上国の資金的ニーズを考慮に入れる必要があると述べた。

共同進行役は、これらの提案を非公式ノートに組み込む予定。

適応報告書に関係するさらなるガイダンス:非公式協議で、参加者は共同進行役の非公式ノートの最初のバージョンの読みやすさ改善のための提案について議論した、この中には繰り返し部分をどう扱うかという問題も含まれた。ある締約国グループは、適応報告書の共通要素およびオプショナルな要素に関するセクションという付属書Iでの分け方を保持する必要があると強調した。他のものは、これらのセクションの統合を支持し、適応報告書に関するガイダンスはいずれも義務ではないと指摘した。

締約国は、NDCsのガイダンスに関する2件目の付属書が必要かどうかでは意見が分かれており、一部のものは、この質問は議題項目のマンデートの一部であると論じ、他のものは、適応報告書のチェンネルの選択における柔軟性が重要だと強調した。

適応基金を除く、その他の問題:非公式協議で、締約国は、資金に関する新しい数量全体目標を検討した。全てのものは、「2025年より前に(prior to 2025)」新しい目標を設定するというCMAのマンデートの重要性を認識した。CMAに対し、このCMA 1の期間中に作業を開始するよう求めるかどうかでは意見の不一致が残った。多数の開発途上国は、協議やニーズの評価を含める参加性プロセスの早期開始を求めたが、先進国数か国は、2020年資金目標及び長期資金に関する現在のプロセスで学んだことからニーズを特定するのは時期尚早だと反論した。

締約国は、PAWPに関するSBsの進捗状況調査について議論した。ある締約国は特に次の提案を行った:全ての関連ある議長による合同のリフレクションノート;全ての関連する進行役による合同のストックテイク;多様なPAWP関係の議題項目に対し割り当てられた時間についての事務局の報告。締約国数か国は、割り当てられた交渉時間に関する報告は役に立たないと感じた。

共同進行役は、その非公式ノートの最終版を作成する予定。

SBSTA

協定9.7条の下、公的干渉で供与され動員される資金源の計算:非公式協議で、締約国は、改定された共同進行役の非公式ノート、及び多数の締約国提出文書を審議した。

ある開発途上国グループは、自分たちのグループの提出文書について、非公式ノートを再構成したものだと説明した。この提出文書は、たとえば年度や通貨、部門など先進国の隔年報告書に既に記載されている情報に焦点を当てるのではなく、情報伝達のモダリティに焦点を当てた。多数の開発途上国は、この提案を支持、文書の交渉を始めるよう促した。一部の先進国は、既存のノートは利害関係のバランスを反映していると論じ、この既存のノートの改定は共同進行役に委ねることを希望した。

共同進行役は月曜日に非公式ノートを改定する。

協定6.4条(メカニズム):非公式協議で、締約国は、協定6条(協力的手法)の下での全3項目を横断する進捗状況について検討した。誤謬、欠落、誤記を直すため、SBSTA議長の文書の改訂版を検討し、締約国は、必要な場合は推敲するとの提案が出された。締約国は、次のステップに再度移る予定。

監督機関に関し、締約国は特に次を議論した:協定15条及びPCCBの下での実施及び遵守を推進する委員会など、既存のモデルを用いる;代表(representation)の別なモデル、LDCs及びSIDSを含める方法;;クリーン開発メカニズム執行理事会の規則の適用及びCMAとのリンクを含める、手順規則;収入の一部徴収分の移転制度。

ホスト締約国の参加、便益、責任に関し、締約国は、人権とマイナスの社会的経済的影響との間の関係、協定6.2条(緩和成果の国際的な移転)と協定6.4条のリンクについて、意見交換をした。

締約国は非公式な非公式会議を開催する。

SBI

政府間会合のアレンジ:非公式協議で、締約国は、結論書草案の審議を行った。2020年以前の会議の頻度を議論する必要があるかどうかでは意見が分かれた。一部の締約国は、重要な政治的機会と会議とを合わせるよう提案したが、他のものは、そのような議論は時期尚早だと指摘した。他のものは、会議場所の検討を提案した。さらに締約国は、非締約国利害関係者の参加を促進する最善の方法でも意見が分かれ、多数の締約国は、アクセスを制限することは利害関係者間の差別の可能性があると警告した。締約国は、COP 24についても議論した、この中には、ポーランドの議長職に対する実質的な準備やロジスティック面の準備に関する最新情報の要請が含まれた。

SBI/SBSTA

対応措置フォーラムの協定の下でのモダリティ、作業計画、機能:非公式協議で、締約国は、SBI及びSBSTA議長が作成した決定書草案を審議し、「機能(functions)」のセクションに焦点を当て、文章の明確化を求めたが、まだ交渉は行わなかった。

一部の先進国は、一定期間、作業計画の動的な進化を認める、規範性の薄い詳細を希望した。これら先進国は、対応措置の監督及びモニタリングという観念はこのフォーラムのマンデートを外れていると論じた。

非公式な非公式協議が続けられた。

農業に関するコロニヴィア(Koronivia)共同作業:非公式協議で、締約国は、共同進行役に対し、合意されたロードマップを結論書文書に挿入するよう要請した。午後、締約国は、共同進行役が提示した結論書草案は明確で運用可能であり、説明を必要としない文書であるとして歓迎した。締約国は、パラグラフごとの編集上のインプットを提供した。ここでの議論は特に次の点に焦点があてられた:文章の中でオブザーバー及び非締約国利害関係者の出席に言及する場合の適切な方法;SB 53における作業計画活動の明示;UNFCCCの条項への参照。

ジェンダー・ダイアログ

土曜日午前中、ジェンダー・ダイアログが開催され、UNFCCC構成組織の作業へのジェンダーに対する配慮の統合に焦点があてられた。

UNFCCC事務局次長のOvais Sarmadは、ダイアログの枠を超えて、野心及び約束の作業を続けるよう奨励した。UNFCCC事務局のFleur Newmanは、UNFCCCのワークストリームにジェンダーへの配慮を統合する場合の挿入箇所に関するテクニカルペーパーの概要を示した。

ジャマイカのUna May Gordonが進行役を務める第1回会合では、Women and Gender(女性とジェンダー)構成員と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)との協力における最善の実施方法に焦点を当てた。

Women and Gender(女性とジェンダー)のAnne Barreは、構成員の作業を紹介し、会員組織の専門知識及び経験に注目した。同氏は、ジェンダー・ジャスト気候解決策賞及びメンタリング・プログラムの概要を説明した、これにはCTCNとのキャパシティ・ビルディング・ワークショップなどが含まれた。

CTCNのKarina Kolbrún Larsenは、CTCNの技術支援、ネットワークつくり、モニタリングと評価、予算作りを通したジェンダーの統合を目指していると説明した。同氏は、ジェンダーに関する意識レベルが多様な利害関係者と作業する上での課題を指摘した。

さらなる会合では、各構成組織からそれぞれの経験に関するプレゼンテーションがあり、参加者は提言及び今後の進め方を議論した。

廊下にて

合同のストックテイキング・プレナリーの後、多数の参加者は、土曜日夕方恒例のNGOのパーティーだけでなく、タラノア・ダイアログが開催される予定の日曜日の作業も楽しみに、世界会議センターを後にした。一部のものは、ダイアログの話つくり(story-telling)がどうなるか首をかしげていた、ある熟練の交渉担当者が苦々しげに言った通り、「ステートメントを読むのには慣れている」のだが。ダイアログの最終成果はまだ流動的であるが、ある参加者は、ポリネシアの伝統が野心引き上げに向けた実体のある有意のステップに転換されることを希望した。

他方、多数の市民社会代表は、COP 24に目を向けた。ボンではこのプロセスへのアクセスに関する懸念が浮上しているが、カトヴィセへの移動手段や宿泊面での難しさが見えてきたこともこれに拍車をかけている。COP 24を対象とする最近のポーランドでの反デモ法可決も、一部のものを苦悩させ、多数のものは、COP 23における交渉ゾーンと市民社会ゾーンの分離を想起した。参加性の高いタラノア・ダイアログを待ち望んだものでも、プロセスを密室のものにする大きな流れを恐れていた。

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