Daily report for 7 May 2018

Bonn Climate Change Conference - April 2018

ボン気候変動会議は第2週、最終週の始まりを迎え、パリ協定作業計画(PAWP)に焦点を当て続けた。PAWPの下での議論の中心は、グローバルストックテイク(GST)、透明性枠組、適応報告書であった。その他のPAWPの議論には、国家決定貢献(NDCs)の共通時間枠、地方コミュニティ及び先住民(LCIP)プラットフォームが含まれた。

資金に関係して数件の議論が行われた。長期資金に関するワークショップが開催され、締約国は、先進国の資金報告書、公的資金から供与され、動員される資金源の計算モダリティについて議論した。

長期資金に関するワークショップ

共同進行役は、アクセス強化の推進で学んだ学習事項というテーマに注目し、適応基金理事会事務局のMikko Ollikainenは、昨年のワークショップでの学習事項を紹介した。アンティグアバーブーダのLia Nicholsonは、自国の10年の制度構築プロセスについて説明し、このプロセスによりGCFの第1回理事会会合で主要なプロジェクトの承認を得るに至ったと述べた。国連環境計画のErmira Fidaは、準備態勢支援のための18か国のマルチパートナー努力について説明した。その後参加者は、分科会に分かれた、これら分科会には次の項目が委任された:気候資金へのアクセスに関する課題及びギャップ;資金へのアクセス強化を推進する非利害関係者の努力に関する情報、課題及びギャップを解決する方法。

SBI

協定9.5条(先進国の隔年事前資金報告書):非公式協議で、締約国は、5つのセクションで文章が構成される非公式ノートの改訂版を審議した。これらのセクションは次の項目の情報強化に関するもので、さらなる明確化を図る:異なる資金源からの気候資金の供与及び動員で期待される水準の明確化を高める;政策、プログラム、優先策;広範な資金源からの追加資金動員の行動及び計画;適応と緩和のバランス;可能にする環境。一部のものは、内容に予断を加えないようセクションの題目は短いものにするよう提案し、あるグループは、決定書の要素をスリム化し、明確にするよう提案した。共同進行役は、このノートの新しいバージョンを作成し、結論書草案の文章を提供する。

条約の下でのキャパシティビルディング:非公式協議で、締約国は、次のパラグラフで合意した:キャパシティビルディングに関するパリ委員会(PCCB)での進捗を指摘した;PCCBの第2回会合及びキャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラムの第7回会合のテーマ「NDCs実施のキャパシティビルディング」を歓迎する;NDCs、国別適応計画、モニタリング、報告、検証(MRV)、資金へのアクセスに関係して浮上した能力面のギャップを指摘する。火曜日、非公式協議では、京都議定書の下でのキャパシティビルディングを議論する予定。

協定4.10条でのNDCsの共通時間枠:非公式協議で、締約国は、結論書草案で合意した。締約国は、締約国の提出文書及び会議室ペーパー(CRPs)の両方をSBIが歓迎するとの言及を脚注に入れることでも合意し、続いてCRPsには正式な立場はなく、次回会合でのいかなる議論においてもこれが予断を加えることはないと保証することでも合意した。SBIはCMA-1での審議及び採択のための提案も行うというある締約国の提案では合意しなかった。

SBSTA

協定6.2条(国際的に移転される緩和成果、ITMOs):非公式協議で、締約国は、SBSTA議長の非公式ノートを通した議論を行った。文章が各問題の多様なオプションを正確に記述することの確保を目指す意見発表が行われた、たとえば次のような問題である:ITMOsはNDCの約束の計算に入れることが可能;ITMOsは最初の移転の後は、取引可能となる;追加性は必要条件であるべき;計算はプロジェクトベース、または排出量ベース、あるいはリアルタイムで起きているか計算期間内で起きている。締約国は、環境十全性の必要条件の運用開始、LDCs向けの柔軟性、マイナスの社会的または経済的影響を回避する必要性などの項目に関し、それぞれの立場を反映する文章にしようと注意を払った。他のものは、パリ協定の透明性枠組及び実施と順守のメカニズムとの結びつきを強調した。

協定6.4条(メカニズム):非公式協議で、締約国は、SBSTA議長の非公式ノートについてコメントした。締約国の責任に関し、一部のものは、マイナスの社会経済的結末を回避する必要があると強調し、人権を含めることには反対した。あるグループは、ホスト国のNDCsに対するITMOsの利用と取得する締約国によるITMOsの利用とを区別するよう促した。認定国家組織に関し、締約国は、クリーン開発メカニズムで行われている活動ごとの承認ではなく、「ブランケット」方式の承認を行う可能性、もしくはホスト国政府が方法を決定すべきかどうか、議論した。

適格な緩和活動に関し、締約国は、この文章はメカニズムの範囲について合意がなかったことをどう記載すべきかどうか議論し、ある締約国グループは、標準化ベースライン手法を利用するLDCsへの特別な配慮を求めた。CDMからの移行に関し、ある締約国は、プロジェクトは承認のための6.4条の必要条件全てを満たさなければならないと指摘した。全体として、「文章なしのオプション(no text option)」を暗示するものがあることが明らかになった。共同進行役は、非公式ノートの新しいバージョンを発行する予定。

LCIPプラットフォーム:朝の非公式協議で、締約国は、LCIPプラットフォームの下で促進作業部会を設置すると決定するなどを行う文書草案のスリム化作業を行った。この作業部会の目的は、LCIPプラットフォームのさらなる運用開始であり、その機能の実行推進であることでは意見の一致が見られた、ただしこれらが2つの別個の目的であるか、それとも1つのリンクする目的の一部であるかという点では意見が分かれた。マンデートに関し、促進作業部会を設置するCOP決定書の下でモダリティを作成すべきか、それとも作業部会自体で作成すべきかで、意見が分かれた。

午後、締約国は、特に次の項目について意見を交わした:SBSTAは、作業部会の提案する作業計画を承認する必要があるかどうか;作業部会は一連のまとめられたモダリティに則り、作業を行うべきかどうか;作業部会のモダリティの要素。促進作業部会は作業計画の作成と並行して初期の活動を遂行できるという点で意見の一致が見られた。

協定9.7条に則った公的干渉で供与され動員される資金源の計算のモダリティ:非公式協議で、締約国は、非公式ノートの第2版を検討した。CRPsの扱いなど、締約国の提出文書を反映させる最善の方法については、意見が分かれた。ある締約国グループは、非公式ノートは文章の交渉のたたき台ではないと述べたが、他のものは反対した。締約国は、次の項目に関し意見交換を行った:モダリティでの差異化、透明性枠組の議論とのリンク;明確な支援のタイプとして損失及び損害に関し報告する;寄贈国の内部会計手順との整合;「新しい」及び「追加的な」資金を定義づける最善の方法。 共同進行役は、新しいノート草案を発行し、結論書草案を提案する予定。

SBSTA/SBI

農業:非公式協議で、締約国は、2020年のSB 53までの共同作業のロードマップを記載する決定書で合意した。締約国は、このロードマップの参画性及び参加性、包括的で野心的な範囲(scope)、構成組織とのリンクに注目した。一部の締約国は、 適応、実施方法、食糧安全保障及び農業従事者の政策に焦点を当てる必要性が重要であると強調した。他のものは、変化をもたらすものとしての農業従事者の役割を強調した。

対応措置フォーラムの協定の下でのモダリティ、作業計画、機能:共同進行役は、SBSTA議長の文書を改訂した非公式ノートを提出し、提出文書及び会合中の議論で出された全てのオプションを保持し、スリム化し、重複箇所を削除しようとしたと説明した。同共同進行役は、自身が結論書草案を作成し、次回のSBSTA会合に送ることを認めるよう締約国に提案した。全ての締約国は、この文章は改善であることに同意した。一部の先進国及びグループは、詳細な作業計画を付属書とすることに反対し、これは作業計画を推敲するとのマンデートを超えていると発言した。開発途上国数か国は、この文章に対する懸念を表明したが、これを次回会合に送ることには同意した。共同進行役は、結論書草案はこの文書が将来の審議を目的としていることを明らかにすると述べた。

APA

決定書1/CP.21の緩和セクションに関係する追加ガイダンス:非公式協議で、締約国は、180頁のAPA 1-4非公式ノート、およびAPA 1-4以後の締約国の提出文書並びに意見発表を読み合わせ可能にするため、共同進行役が提起した「読み合わせツール(navigation tool)」について議論した。多様な参加者がツールに対する懸念を示したが、全てのものがこれは有用であると捉えた。締約国は、このツールは非公式ノートを置き換えるまたは上書きするものではなく、非公式ノートは机上に残ると理解した上で、このツールを受け入れることに同意した。

適応報告書:非公式協議で、参加者は、非公式ノートの第2版について議論した。序文に関し、UNFCCC及びパリ協定の全体にかかる条項を採火するかどうかで締約国の意見は分かれた。締約国は、ガイダンスの序文にGST及び透明性枠組など協定の他の条項への言及を付け加えるかどうか、さらには国別報告書、隔年報告書、国別適応計画への言及も行うかどうか議論した。締約国数か国は、持続可能な開発目標及び防災のための仙台枠組への言及を提案した。非公式協議が続けられる予定。

透明性枠組:非公式協議で、多数の締約国は、実施方法に関する情報についてのアプローチに関し、協定9.7条に則り、公的干渉により供与され、動員された資金源の計算(accounting)の組み込みを支持した、この計算方式はSBSTAの下で作成中である。あるグループは、一つの締約国の支持を得て、SBSTAの成果を期待する一方、議論は続けることを提案したが、別なグループは、このような資金計算モダリティからのインプットを報告作成ガイドラインに移すにはさらなる議論が必要だと指摘した。

排出源からの人為的排出量及び吸収源による除去量の国別インベントリ報告書に関し、締約国は、手法論、パラメター、データで異なる方法を希望すると表明し、部門やガス、さらには報告方式でも異なる方法を希望した。多数の諸国は、これらの問題に関し、先進国は「後戻りなし(no backsliding)」の原則を確実に反映させる必要があると強調する一方、開発途上国、もしくは開発途上国の中の小グループには柔軟性が必要であると指摘した。この柔軟性をどのように運用可能にするかでは意見が分かれた。

グローバルストックテイク:この日一日中開催された非公式協議で、締約国は、非公式ノートで合意した。締約国数か国は、 GSTのガイドとなるような特定の質問をリストアップした非公式ノートの付属書について、これに限定されるものではないことの確認を求めた。

共同進行役は、第1回のGSTに向けた進捗状況を描く「図示化タイムライン(illustrative timeline)」を提示し、締約国は、ストックテイクは準備段階、技術段階、政治段階を行うだけの適切な時間を確保するため、これをいつ開始すべきかについて意見交換を行った。締約国は、ストックテイク・プロセスは次の通りであるべきと強調した:ストックテイクは時間の経過とともに異なるものになるだけの柔軟性を認める;インプットを統合するだけの適切な時間を与える;例えばIPCC報告書など他の可能なインプットを検討する;交渉なしのアウトプットに注目する。タイミングの関し、締約国の提案には、インプットのリストは2021年に完成されるべきで、制度上の組織は2022年一年間で完了すべきであり、ストックテイク・プロセスは少なくとも1年間かけるべきであることが含まれた。

廊下にて

参加者は、ボン会議の先を見据えてこの第2週を開始した。次回COP 24のポーランド議長職は、ロジスティックのブリーフィングを行ったが、参加者はホスト都市であるカトヴィツェでの宿泊場所確保の課題に注目するなど、アレンジへの懸念が再浮上した。多数のホテルが会場から1時間以上離れており、多くのものは、参加者はどうやって忙しい会議スケジュールと睡眠時間をこなすのか、首をかしげていた。ロジスティックのほか、新しいポーランドの法律では、自然発生的なデモが禁止され、警察の監視権限が拡大しており、国連の特別報道官5名はこのことに対する懸念を表明した書状をポーランド政府に送付、ポーランド政府がどのような反応を示すか、オブザーバーは待っているところである。

さらに先を見据えた多くのものは、「我々はまだ協定に入っている(We Are Still In)」というグループが行った夕方のプレゼンテーションに出席した、このグループは米国の人口の半分以上を代表する署名者による「行動の波(wave of action)」を約束、非締約国利害関係者はパリ協定を支持するうえで、重要な役割を果たすことになるという、多くのものが持つ見方をさらに強固なものにしている。

Further information

Participants

National governments
US
Negotiating blocs
European Union
Least Developed Countries

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