Daily report for 6 December 2019
Chile/Madrid Climate Change Conference - December 2019
チリ/マドリード気候変動会議は、金曜日も続けられた。議論されたのは、資金、損失及び損害、共通時間枠などであった。適応の世界目標に関する非公式会議が開催された。第6条(協力アプローチ)の交渉は一日中続けられ、代表団長とCOP議長職及びSBSTA議長との会議も開催された。
COP 25
適応に関する世界目標:非公式会議の進行役はCOP 25議長のJulio Cordanoが務めた。数か国の先進国は、適応に関する議題項目及び構成組織をリストアップし、これら全てが世界目標に向けて努力していると述べた。多数の開発途上国及びグループは、緩和及びパリ協定の資金目標と同等に扱う必要があると強調した。
ある開発途上国グループは、「何かを実現する(deliver something)」公式の議論を求めた。ある先進国は、パリ協定及びカトヴィツェ気候パッケージは妥協の代表格であると強調し、これらの議論の再開に警告した。数か国の開発途上国は、この考えを拒否し、自分たちはパリ協定の全ての柱を進めようとしていると述べた。
数名のものは、グローバルストックテイクにおける全体的適応努力及びその進捗状況のレビューと、そのプロセスに情報を提供するという適応委員会のマンデートとのリンクを指摘した。数か国の先進国は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は作業量が多く、能力にも限界があるため、適応委員会へのインプットで助力できないとの見方を示した。一部の開発途上国は、これは埋める必要がある多数の情報上のギャップの一つと位置付けた。
会合を閉会するにあたり、議長のCordanoは、締約国間で合意に達した通り、今回の会合では文書によるアウトプットは出されないと指摘した。
資金関係問題:GCFの報告及びGCFへのガイダンス:Toru Sugio (日本)を共同進行役とする非公式協議は、GCFへのガイダンス及びGCFへの特権と免責に関する決定書草案に対する反応を集めた。締約国は、特権と免責に関する議論の先送りで合意し、一部のものは、COP議長と国連事務総長との議論に関する報告を待つよう提案し、他のものは、12月5日木曜日に提起された質問事項に対するGCF事務局の文書による回答を待つよう提案した。
GCFガイダンスに関し、締約国は、重複箇所を除去し、文書をスリム化することで合意した。多数のものは、「マイクロ管理(micromanagement)」の回避及びGCF理事会の決定に予断を加えることの回避を強調した。開発途上国グループは、特に、直接のアクセスの加速化及び資金の払い出しの加速化について、より強い表現を求めた。ある開発途上国グループは、能力上の限界に言及する場合に新しい地理上の分類を創設することに対し警告した。大半の開発途上国は、損失及び損害関係の支援の組み込みに関するパラグラフ、及びGCFの下での非常時対応窓口の設置に関するパラグラフを含めるかどうかで先進国とは意見が分かれた。先進国は、損失及び損害はWIMレビューの議題項目において議論されるべきだとし、この文章をカッコ書きにするよう求めた。開発途上国は、GCFに関連する資金関係の議論は全てこの小項目の下での議論に付すという、他の議題項目での先進国の主張を想起した。
CMA 2
資金関係問題:GCFへのガイダンス:この小項目は、COPとの合同非公式協議で議論された。締約国は、CMAガイダンスに関する議論は先に延ばし、先にCOPガイダンスを議論することを希望した。
SBI 51
国別適応計画(NAPs):Pepetua Latasi (ツバル)が共同進行役を務める非公式協議が短時間開催され、非公式な非公式協議での締約国の実のある議論を指摘した。更なる非公式な非公式協議のため、この会議は中断された。
LDCsに関係する問題:Malcolm Ridout (英国)が共同進行役を務める非公式協議で、締約国は、共同進行役の結論書草案をパラグラフごとで議論した。ある開発途上国は、GEFにより提供されるLDC基金に対する先進国の資金プレッジをサポートする文書を求めた。議論のほとんどは、LDC専門家グループ(LEG)の会議及び作業計画活動に関する情報へのアクセシビリティ及び透明性を高める方法を検討するよう同グループに要請する問題に焦点が集まった。締約国は、LEGは適切な場合、他の構成組織及び専門家組織での実施方法から知恵を引き出すべきだという点では、意見が集約されたが、会議文書を公開する、オブザーバーの会議出席を認める、会議のウェブキャストの可能性をそのような実施方法の例として挙げるかどうかでは合意できなかった。GCFプロセスの人層化を促すことに関し、締約国は、この問題の議論はNAPsに関する非公式協議で行われていると指摘した。非公式な非公式協議が開催される。
適応基金に関係する問題:適応基金理事会のメンバーシップ:非公式協議において、共同進行役のFiona Gilbert (オーストラリア)は、全体的に意見の一致がなかったと指摘した。共同進行役は、この会議では進捗が得られなかったこと、ならびに締約国はこの項目の審議をSBI 52に送ることで合意したことをSBI議長に報告する予定。数か国の 先進国は、この項目の審議のマンデートは時間の制約があると指摘し、この場合にも規則16項の適用が可能かどうか明確にするよう求めた。共同進行役のAmjad Abdulla (モルディブ)は、これは標準の実施方法であると明言した。
Amjad Abdulla (モルディブ)を共同進行役とするCMP非公式協議が再開され、締約国は、決定書草案及び理事会のメンバーシップを議論した。第6条による収入の一部が利用可能になり、この基金がパリ協定のみで役割を果たす場合に、理事会の構成に関する質疑を行うことでは意見の集約の可能性が出てきた。非公式な非公式協議が開催される予定。
共通時間枠:Grégoire Baribeau (カナダ)及びGeorge Wamukoya (ケニア)が非公式協議の共同進行役を務めた。締約国は、非公式ノート草案にあるオプションでグローバルストックテイク (GST) に言及するかどうかでは合意に至れなかった。そのような言及を希望する一つの国は、共通時間枠とGSTのリンクを想定することは望まないとしたが、10年という共通時間枠のうちに2回のGSTが行われることは、5年のGSTサイクルの価値を損なう可能性があると指摘した。ある開発途上国グループは、そのような言及はいかなるものでも一線を越えていると強く主張した。
別な開発途上国は、締約国が前回の会合の非公式ノートに戻ることを主張した。締約国は合意できなかったことから、手順規則草案の規則16項が適用される予定。数か国は、失望感を表明した。この問題は、SBI 52で取り上げられる予定。
SBSTA 51
パリ協定の下での手法論:提供され動員され、さらに必要とされ受け取られた支援に関する共通の表形式:Seyni Nafo (マリ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、議論のための一般要素及び表の草案を記載する非公式ノートに関する、最初の印象を述べた。数か国のグループ及び締約国は、ノートを歓迎したが、後で追加コメントをする権利を保留した。一部の先進国は、クロスレファレンスし、表の一部を自動記入する電子式の報告フォーマットをどう導入するか議論するよう提案した。2つの開発途上国グループは、一つの先進国の支持を得て、緩和及び適応への支援を示す情報の分散化を支持し、ある開発途上国グループは、損失及び損害への支援も加えるよう提案した。2つの開発途上国グループは、さらに無償融資の等価(equivalency)の議論も求めた。
資金動員に関し、一部の先進国は、文章もしくは表形式で情報を提供できると述べ、数か国の開発途上国は、用いられた手法論を明らかにするため、脚注または文中のボックスの形で記入スペースを提供するよう求めた。非公式協議が続けられる予定。
パリ協定第6条に関係する問題:第6条2項(国際的に移行される緩和成果、ITMOs):締約国は、9つのセクションに分けられた付属ガイダンスを有するCMS決定書草案について、フィードバックを続けた。コメントが集中したのは、ITMOs、レビュー、収入の一部、世界排出量中の全体の緩和量(OMGE)、及び責任に関するセクションであった。
締約国は、それぞれの希望を再度述べた、収入の5%分を第6条4項のメカニズムさらには第6条2項のための適応基金に振り向けることでは異なる意見が出された。あるグループは、「OMGEは第6条2項の内容において提供される(OMGE being delivered in the context of Article 6.2)」ことが肝要だと強調した。
カバーとなる決定書において、締約国は、ガイダンスに関するSBSTA作業計画に注目した。あるグループは、締約国の意見が共通の計算構造からオプションの「メニュー手法(menu approach)」に移るのであれば、作業計画がさらに不可欠なものになるだろうとし、完成のタイムラインを特定する必要があると強調した。別な締約国は、締約国が逆行をどう扱えるか、あるいは不確実性が大きい部門をどう扱えるかなど、一部の分野では、IPCCガイダンスが既に存在していると想起した。
締約国は、責任のセクションにおける数件の保留された問題を議論した。締約国は、NDCの実施及び達成と合致する形で、及びNDCの実施及び達成を示すよう、NDCの年度において相応の調整を行うとの考えから、NDCsを複数以上のマルチな年にする場合と、単一年にする場合について議論した。用いる方法に関しては「回転式平均値(rolling average)」を用いることへの支持が表明され、さらに義務的な動詞を用いる、すなわち締約国は用いた「方法が関連の原則に従っている(method follows relevant principles)」と説明する「ものとする(shall)」ことへの支持が表明された。
他の国際的緩和目的に関し、あるグループは、相応の調整の適用にいかなる例外を設けることにも反対した。締約国が共通の計算構造で合意できず、複数以上のオプションを包含する場合には、環境十全性のためのセーフガード、及びITMOsの移行及び利用の制限も、優先度が高いものとして注目した。
第6条2項、第6条4項(メカニズム)、第6条8項(非市場手法):午後も討議が続けられ、第6条2項に関するスピーカーのリストを終わらせたほか、他の小項目にも触れた。多数の開発途上国は、人権への言及に反対したが、他の数か国は、先住民及び地方コミュニティーの権利への言及追加を支持した。排出量の推計値に高度の不確実性がある部門で達成された排出削減量に関係する第6条2項及び第6条4項の文章におけるセーフガードについて、ある開発途上国グループは、「不確実性の大きい部門(sectors with high uncertainty)」を定める方法を明確にするよう求めた。別な締約項は、次の表現を提案した:「特定の部門の排出推計量からのITMOsの作成において、発生する可能性があるリスクの管理(managing risks that may arise in the creation of ITMOs from certain sectors’ emission estimates)」。
数か国の締約国は、第6条及び第13条(透明性)の技術専門家レビューに関する作業での重複を回避するよう提案した。報告及びレビュープロセスに関し、一部のものは、環境十全性と国家の大権を慎重にバランスさせることが重要だと強調した。ある国は、同等の扱い及びバランスを求め、第6条2項及び第6条4項の両方における「切れ目のないガバナンス上の解決策(seamless governance solution)」が必要だと強調した。締約国は、環境十全性とOMGEを確保する、または二重計算を回避する方法について、合意しなかった。
次の項目においても意見は分かれた:参加の「必要条件(requirements)」のリストアップ;非国家行動者の参加;排出量の回避と除去の区別;対応措置への言及;京都議定書ユニットをパリ協定の締約国のNDCsに用いることの禁止。あるグループは、「ユニットでレジストリがあふれることの回避(avoiding an overflow of registries with units)」に焦点を当てるよう提案した。別な締約国は、クリーン開発メカニズム(CDM)での学習事項を生かすよう提案した。
締約国は、「更なるガイダンス(further guidance)」を作成するSBSTA作業計画に入れるべき要素に関し、それぞれの期待感を述べ、COP 25で決定する必要がある要素はどれかについても期待するものを述べた。一部のものは、作業計画は別々のフェーズ及びタイムラインで分けることができると示唆した。他のものは、これに反対し、一つの厳格な期限とするよう求めた。
共同進行役のPeer Stiansen (ノルウェー)は、12月5日木曜日及び12月6日金曜日に開催された非公式な非公式協議の結果について報告し、豊かで多様性に富んだ議論だったと評した。共同進行役のHugh Sealy (バルバドス)は、共同進行役が12月7日土曜日の朝までに文書草案の第2版を作成し、それにより未解決の問題について明確なオプションを明らかにしようとすることを提案し、締約国もこれを委任した。共同進行役のSealyは、短い時間しか残されていないことから、共同進行役は「大胆(bold)」である必要があると指摘し、締約国に対し、次のバージョンでは「間違いや不正確なもの(mistakes and misrepresentations)」の特定に焦点を当てるよう求めた。
国際航空輸送及び海上輸送に用いられた燃料からの排出量:共同進行役のBert van Loon (ベルギー)は、一般的な意見表明を求めた。ある締約国は、国際民間航空機関(ICAO)及び国際海事機関(IMO)から得る必要がある追加情報に関し、関心のある締約国に対し、文書提出を求めるよう提案した。
数か国の締約国は、これに不同意で、締約国には既に事務局に対し要請を提出する権利があると指摘した。ある開発途上国グループは、ICAO及びIMOは識見を提供できるかもしれないと指摘した。共同進行役のvan Loonは、ICAO及びIMOに対し、SBSTAとの現在の関係を明確にするよう求めた。これら組織からの意見表明の後、ある締約国は、これら2つの組織からの協力がないことから、この会議を閉会するとの議事手続き上の提案を行った。共同進行役は、更なる非公式協議を提案し、同じ締約国はその議事手続きへの反対を述べた。締約国は、法律顧問の出席を得て、議事手続きを議論するため、再度会合する予定。
SBSTA/SBI
WIM:非公式協議 共同進行役ed by Marianne Karlsen (ノルウェー)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、共同進行役文書の新しいバージョンに関する意見交換を行った。個人のグループ及び締約国は、追加、スリム化、または削除を希望する点を多数提起した。開発途上国は、行動と支援に関する専門家グループの設置、さらには損失及び損害のための新しい追加資金に関する表現を強調した。ある締約国は、ジェンダー及び人権ベースの方法を主流化するとの表現を削除するよう促した。ある非附属書I国は、地域グループの平等な代表という原則に則り、執行委員会の構成を改定するとの表現を提案した。数か国の先進国は、WIMレビューの周期における柔軟性の保持を求めた。締約国は、協調に関する条項及びリスク評価に関する条項をスリム化する必要があることで意見が集約された。共同進行役は、追加の非公式協議を開催するだけの余裕を求める予定。
適応委員会の報告:Pepetua Latasi (ツバル)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、文書草案の第2バージョンに関する意見交換を行った。議論の大半は、CMA決定書が「パリ協定に適用されるCOP決定書を承認する(endorse the COP decision as it applies to the Paris Agreement)」ことが与える影響可能性に係るものであった。事務局の法律顧問は、CMPの決定書はこの実施方法に適用されると指摘し、このことは二つの統治組織間の法的な上下関係に提供するものではないと明言した。今後の進め方として、数か国の締約国は、決定書草案を分け、それぞれの組織のマンデートに言及する、さらに関連する場合は、同じ文章を用いることを提案した。一部の開発途上国グループは、この報告の中の特定の推奨案に対する懸念を再度述べ、この報告書に「留意する(noting)」または「感謝と共に留意する(noting with appreciation)」よう提案したが、他のものは反対し、報告を「歓迎する(welcoming)」よう促した。一部のものは、決定書の中の推奨案への言及を全て削除するよう要請したが、他のものは反対し、推奨案の内容について、実質的な議論を行うよう求めた。締約国は、共同進行役に対し、SB議長たちに協議時間の追加を要請するよう促した。
条約の下での長期世界目標及びその達成に向けた全体的な進捗状況に関する次回の定期レビューの範囲:共同進行役のLeon Charles (グレナダ)及びMadoka Yoshino (日本)は、第2回の定期レビューを進めることを決定する非公開の非公式協議に続けて開催される会合での審議に向けた文書草案を提示した。
しかし、少数の点で意見は分かれた。締約国は、この文書において定期レビューの範囲に関係する決定書を想起すべきかどうかで合意できなかった。さらに締約国は、長期世界目標「に関係する科学(science related to)」への言及を入れるかどうか、第2回定期レビューの組織化された専門家ダイアログのタイムライン、そして長期世界目標達成のための努力の適切性及び効果性についても、意見が一致しなかった。数か国の開発途上締約国は、「定期レビューの範囲を制限する(limit the scope of the periodic review)」いかなる条項にも反対すると主張した。
数か国の締約国は、審議のための時間の追加を求めた。共同進行役は、将来の協議開催の可能性について、SBSTA議長と相談する予定。
廊下にて
補助機関会合の期限が迫る中、金曜日の交渉会場で会合していた参加者からは、プレッシャーがひしひしと感じられた。いくつかの協議は時間をオーバーした:会議の行き詰まりに次ぐ行き詰まりで非公式な非公式協議の数は倍増し;事務局の法律顧問は、部屋から部屋へと急ぎ、質問や議事進行の手続きについて答えていた。多くの適応の議論が行われたが、野心への道筋を開くというよりは、塞いでいたようだった。ある開発途上国の交渉担当者は、適応に関する世界目標の非公式会議後、「適応や脆弱な国にとっては悲しい一日だ」と嘆いた。「緩和だけを議論していた日々に戻っている」とも。
テクニカルな交渉では悩みや苦しみが出てきたが、一部の熟練の交渉担当者は、この日の早い時間に行われた代表団トップとSBSTA議長との会議からは前向きな雰囲気が出てきたと報告した。数か国の締約国が、第6条に関する橋渡し案を受け入れる意思を示したようだ。この感触は、夕方の非公式協議にも続いていたようで、締約国は、共同進行役に対し、土曜日の朝までに文書草案の第2バージョンを作成するよう委任した。強い風当たりが続くことを意識した共同進行役は、この先何が待ち構えているか、心の準備をするよう締約国に求めた:「我々は大胆である必要があり、意見の一致や落としどころの話を聴いたら、リスクをとることもいとわない。我々は、だれも文書を喜ばないだろうことを保証する。」 SBSTA閉会の期限である月曜日が近いことは、閣僚たちの到着が近いことも示しており、多数のものは、これら閣僚たちが実務者レベルの行き詰まり解消への最後の一押しになってほしいと希望した。ある疲労困憊した参加者は、ある有名な人物の口癖をもじり、同僚の交渉担当者に助言した:「下の方でモチベーションが見つからなかったら、高いところを試せば良い(if you can’t find motivation low, try going high)」。