Summary report, 26 November 2012

国連気候変動会議は、2012年11月26日から12月8日、カタールのドーハで開催された。この会議は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第18回締約国会議(COP 18)、京都議定書締約国の第8回会合(CMP 8)で構成された。このほか、次の5つの補助機関会合も開催された。科学上及び技術上の助言に関する補助機関第37回会合(SBSTA 37)および実施に関する補助機関第37回会合(SBI 37)、京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会の第17回会合の第2部(AWG-KP 17)、条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会の第15回会合の第2部(AWG-LCA 15)、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会の第2部(ADP 1)。

初めて中東で開催される国連気候変動交渉を記念して、政府関係者4,356名、国連組織および機関、政府間組織、市民社会の機関3,956名、メディア関係683名を含む9,000名ほどがこの会議に参加した。

ドーハの交渉では、これまでの会議で達成できた合意の確実な実施に焦点があてられた。12月8日土曜日の夜、「ドーハ気候ゲートウェイ」決定書と称されるパッケージが採択された。この中には京都議定書の第二約束期間設定に関する京都議定書の改定も含まれた。2005年、CMP 1で開始されたAWG-KPは、ドーハでその作業を終えた。さらに締約国は、AWG-LCAおよびバリ行動計画の下での交渉も終わらせることで合意した。その成果の主要要素には、「たとえば(such as)」気候変動の悪影響に特に脆弱な途上国での損失・損害に対応する制度メカニズムなど損失・損害を考慮する合意が含まれる。

途上国およびオブザーバーは、附属書Ⅰ国の緩和や資金の成果における野心度の欠如に失望感を表明したが、大半のものは、この会議が、AWG-KPおよびAWG-LCAの下での交渉結果の実施に焦点を当て、ADPの下での交渉を進めることで、新たな段階への道を開いたとの見方に賛同した。

UNFCCCおよび京都議定書のこれまで

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。この条約は、気候系に対する「危険な人為的干渉(dangerous anthropogenic interference)」を回避するため温室効果ガス(GHGs)の大気濃度安定化を目指す行動枠組を規定する。この条約は1994年3月21日に発効し、現在195の締約国が加盟する。

1997年12月、日本の京都でのCOP 3の参加者は、先進国および市場経済移行国(EITs)が排出削減目標を約束するUNFCCCの議定書で合意した。UNFCCCの下で附属書Ⅰ国と呼ばれる諸国は、6つの温室効果ガスの全体排出量を2008-2012年(第一約束期間)の間に1990年の水準より平均5%削減し、各国がそれぞれ異なる固有の目標を約束することで合意する。京都議定書は2005年2月16日に発効し、現在192の締約国を抱える。

2005-2009年の長期交渉:2005年末、カナダのモントリオールで開催されたCMP第1回会合は、第一約束期間終了の少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討すると義務付けている議定書3.9条に基づき、AWG-KPの設立を決定した。COP 11では、「条約ダイアログ」と称される4回のワークショップを通し、条約の下での長期的協力を検討するプロセスが創設された。

2007年12月、インドネシア、バリでのCOP 13とCMP 3は、長期的な問題に関するバリ・ロードマップ合意を得る結果となった。COP 13は、バリ行動計画を採択し、長期的な協力行動の共有ビジョン、緩和、適応、資金、技術に焦点を当てることをマンデートとするAWG-LCAを設置した。AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。この2つの交渉トラックの結論を出す期限は、2009年のコペンハーゲン会議とされた。その準備に向け、両AWGsは、2008-2009年に数回の交渉会合を開催した。

コペンハーゲン:デンマーク、コペンハーゲンでの国連気候変動会議は、2009年12月に開催された。この注目を集めたイベントは、透明性やプロセスに関する論争で彩られた。ハイレベルセグメントでは、主要経済国および地域グループ、その他の交渉グループの代表からなるグループが非公式な交渉を行った。12月18日の夜遅く、これらの交渉の結果として、「コペンハーゲン合意」という政治的な合意がなされ、採択のためCOPプレナリーに提出された。13時間におよぶ討論の末、参加者は、結局コペンハーゲン合意に「留意する(take note)」ことで合意した。2010年、140以上の国がこの合意を支持すると表明した。さらに80以上の国が、国別緩和目標もしくは緩和行動に関する情報を提供した。また締約国は、AWG-LCAとAWG-KPのマンデートをCOP 16およびCMP 6まで延長することでも合意した。

カンクン:メキシコ、カンクンでの国連気候変動会議は、2010年12月に開催され、締約国はカンクン合意を最終決定した。条約の交渉トラックでは、決定書1/CP.16において、世界の平均気温の上昇を2℃までで抑えるには世界の排出量を大幅に削減する必要があると認識された。締約国は、世界の長期目標を定期的にレビューし、2015年までのレビューでは1.5℃目標の提案に関するものも含め、その強化を検討することで合意した。締約国は、先進国および途上国がそれぞれ通知してきた排出削減目標および国別適切緩和行動に留意した(FCCC/SB/2011/INF.1/Rev.1 and FCCC/AWGLCA/2011/INF.1、両方ともカンクン会議後に発行)。さらに決定書1/CP.16において、次の項目など緩和の他の側面にも対応した:計測、報告、検証(MRV);保全を含めた開発途上国における森林減少・劣化に由来よる排出の削減(REDD+)。

またカンクン合意は、カンクン適応枠組および適応委員会など、数件の新しい制度やプロセスを設置し、技術執行委員会(TEC)および気候技術センター・ネットワーク(CTCN)など技術メカニズムも設置した。緑の気候基金(GCF)が創設され、24名の理事会が統治する条約の資金メカニズムの新たな運用組織と認定された。締約国は、この基金の設計を担当する暫定委員会、および資金メカニズムに関しCOPを支援する常任委員会を設置した。さらに締約国は、2010-2012年に早期開始資金として300億米ドルを提供し、2020年までに合同で年1千億米ドルを拠出するという先進国の約束を認識した。

議定書の交渉トラックでは、CMPが、附属書Ⅰ国に対し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書に明記する範囲と一致する全体の排出削減量を達成するため、野心レベルを引き上げるよう求め、土地利用・土地利用変化及び林業 (LULUCF)に関する決定書2/CMP.6を採択した。2つのAWGsのマンデートはさらに一年延長された。

ダーバン:南アフリカ、ダーバンでの国連気候変動会議は、2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果は、広範な議題を網羅しており、特に京都議定書の下での第二約束期間の設定、条約の下での長期的協力行動に関する決定、GCF運用開始に関する合意が含まれた。さらに締約国は、「議定書、法的文書、または全ての締約国に適用される条約の下での法的効力を伴う合意成果を構築すること」をマンデートとする新しいADPの創設でも合意した。ADPは、2015年までに交渉を終了させる予定である。この成果は2020年以降に発効するはずである。

2012年ボン気候変動会議:この会議は2012年5月14-25日にドイツのボンで開催された。この会議はSBIとSBSTAの第36回会合で構成された。さらにAWG-LCA 15、AWG-KP 17、ADPの第1回会合も含まれた。AWG-KPは、京都議定書の下での第二約束期間採択に向けた最終決定、およびCMP 8でのAWG-KPの作業終了の問題に焦点をあてた。多数の問題が保留されて残された。この中には京都議定書の下での第二約束期間の長さ、および余剰ユニットの繰越の問題が含まれた。

AWG-LCAは、COP 18でのAWG-LCAの作業終了を可能にするため、どの問題を検討する必要があるかで論争が続けられた。先進国は、カンクンおよびダーバンでの「顕著な進展(significant progress)」と、多様な新しい制度の設置を強調した。一部の途上国は、バリ行動計画のマンデート達成に必要な問題で議論を続ける必要があると指摘した。

ADPでは、議題と役員の選出が議論の焦点となった。2週間近くの議論の末、ADPプレナリーは、議長団のアレンジについて合意し、議題書を採択し、2つのワークストリームを開始した。一つは決定書1/CP.17のパラグラフ2-6(ポスト2020年体制)に関する問題を話し合うもの、もう一つはパラグラフ7-8(2020年までの期間における野心度引き上げ)を議論するものである。このほか役員の選出でも合意した。

2012年バンコク気候変動会議:この非公式会合は、2012年8月30日から9月5日、タイのバンコクで開催された。ADPでは、ADPに関する各締約国のビジョンや大志、希望する成果、そのような成果を達成する方法を議論するラウンドテーブル会議が開催された。さらに締約国は、野心の引き上げ方法、実施方法の役割、国際協力イニシアティブを強化する方法、さらにはADPの作業枠組を組む場合の要素について議論した。

AWG-KPは、ドーハでこのグループの作業を成功裏に終わらせ、CMPの採択にかける改定案を提起できるよう、保留された問題に焦点をあてた。これにより議定書の下での第二約束期間が2013年1月1日から即時開始できるようになる。AWG-KPは、京都議定書の改定を採択するためのドーハ決定書の要素を列記する非公式文書を作成した。

AWG-LCAは、COP 17からの特定のマンデートを達成するため、実際的な解決策に関する作業を続けた。ドーハでこのグループの作業の結論を出すために必要な成果とは何か、AWG-LCAの最終成果に各要素をどう反映させるか、COP 18後も追加作業が必要となる可能性があるかどうかの問題に焦点があてられた。

ドーハ気候変動会議の報告

COP 18とCMP 8は、2012年11月26日、月曜日の朝に開会した。COP 17議長で、南アフリカの国際関係・協力大臣のMaite Nkoana-Mashabaneは、参加者に次のことを促した:京都議定書の下での第二約束期間の採択;AWG-LCAの下での作業終了;COP、補助機関、または新しい制度の下で他の作業を行うだけの適切な余地を見出す。同議長は、「ADPが新しい名前のAWG-LCAになるのでは一歩後退だ」と発言した。UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、COP 18は第一約束期間の終了、次の約束期間の開始、バリ行動計画を設計段階から全面的かつ効果的な実施に移すユニークな会議であると強調した。同事務局長は、衡平性を確保し、科学に対応する将来枠組に向け努力するよう促し、共通点を見出すよう参加者に課題をつきつけた。

本報告書は、COP、CMP、AWG-LCA、AWG-KP、ADP、SBI、SBSTAでの議論を議題項目ごとにまとめたものである。COPおよびCMPが、SBI、SBSTA、AWG-KP、AWG-LCA、ADPに送った問題に関する交渉および成果は、関連の補助機関の交渉経緯の中にまとめられている。

締約国会議

11月26日月曜日、カタールの副首相、Abdullah bin Hamad Al-Attiyahが拍手をもってCOP 18/CMP 8議長に選ばれた。同議長は、ドーハで会合を開催する7つの組織が抱える課題を指摘し、京都議定書の下での第二約束期間について合意し、バリ会議から開始された作業を終了させ、ダーバンで行われた作業の進展を図るよう参加者に求めた。

組織上の問題:議題書の採択:締約国は、条約4条(a)項および(b)項の適切性に関する第2回レビューの議題項目を保留とし、これを除いた暫定議題書(FCCC/CP/2012/1)をベースに作業を進めることで合意した。

手順規則:COP議長のAl-Attiyahは、締約国に対し、COP 1以来、手順規則案(FCCC/CP/1996/2)の第42項以外の規則を適用する慣習を想起した。同議長は、COP 17議長との協議でも意見の一致が得られなかったと締約国に告げ、締約国は、規則第42項の草案を除く規則案の適用で合意した。閉会プレナリーにおいて、COP議長のAl-Attiyahは、非公式折衝でも意見の一致が得られなかったと報告した。何らかの変化が起きた場合は、COP議長がCOP 19に報告する。

役員の選出:COP閉会プレナリーにおいて、次のものがCOP議長団に選出された:SBSTA議長のRichard Muyungi (タンザニア);SBI議長のTomasz Chruszczow (ポーランド);Emmanuel Dumisani Dlamini (スワジランド);Su Wei (中国);Claudia Salerno Caldera (ベネズエラ);Delano Bart (セントキッツ・ネーヴィス);Gary Cowan (オーストラリア);Nicole Wilke (ドイツ);Jane J. Chigiyal (ミクロネシア連邦);報告官としてMarina Shvangiradze (グルジア)。

さらにCOPは、SBI議長団を選出し、Robert F. Van Lierop (スリナム)を副議長として、Mabafokeng F. Mahahabisa (レソト)を報告官として選出した。

COPは、CTCN諮問委員会の役員も選出した。任命が保留されている他の役職については、協議が続けられる。CTCN諮問委員会の指名者リストは下記で入手可能: http://unfccc.int/files/bodies/election_and_membership/application/pdf/nominations_update_2012_latest.pdf 

オブザーバーの承認:COPは、提案されている組織をオブザーバーとして承認することで合意した。(FCCC/CP/2012/12/Rev.1 and Add.1)

条約17条に基づく締約国の提案:この問題は、当初、11月28日のCOPで議論された。締約国は、日本(FCCC/CP/2009/3)、ツバル(FCCC/CP/2009/4)、米国(FCCC/CP/2009/7)、オーストラリア(FCCC/CP/2009/5)、コスタリカ(FCCC/CP/2009/6)、グレナダ(FCCC/CP/2010/3)の提案に留意した。12月8日土曜日に再開されたCOP閉会プレナリーで、COPは、次回会合でもこの問題の議論を続けることで合意した。

条約15条に基づく改定に関する締約国の提案:ロシア連邦の提案:この問題(FCCC/CP/2011/5)は、当初、11月28日のCOPプレナリーで議論され、続いてJavier Díaz (コスタリカ)が進行役を務めるコンタクトグループで議論された。COP議長は、12月7日の閉会プレナリーにおいて、締約国が合意に至らなかったと報告した。この問題の議論はCOP 19でも続けられる。

パプアニューギニアとメキシコの提案:この問題(FCCC/CP/2011/4/Rev.1)は、当初、11月28日のCOPプレナリーで議論された。その後は非公式折衝で議論されたが合意には至らなかった。12月7日、COPは、COP 19の議題にこの項目を含めることで合意した。パプアニューギニアは、手順規則が採択されていないため、条約18条の「投票権(right to vote)」が実現していないと強調した。同代表は、この問題の議論に関する提案を支持する声が、先進国でも途上国でも「高まっている(growing)」と報告した。

資金:この議題項目は次の4つの小項目で構成される:長期資金に関する作業プログラム;常任委員会報告書;緑の気候基金(GCF)報告書およびCOPのガイダンス;COPおよびGCF間のアレンジ。この問題は、当初、11月28日にCOPで議論され、Kamel Djemouai (アルジェリア)とGregory Andrews (オーストラリア)が共同議長を務めるコンタクトグループおよび非公式折衝でも議論された。会合の第2週では、Mariyam Shakeela (モルディブ)およびBruno Oberle (スイス)が非公式の閣僚級協議を行った。2013-2020年の資金の問題が議論の焦点となった。多数の途上国締約国が、資金の規模拡大への道筋とともに、資金動員に対する確固とした約束を求めた。

長期資金に関する作業プログラム:長期資金に関する作業プログラムの共同議長を務めるZaheer Fakir (南アフリカ)とGeorg Børsting (ノルウェー)は、長期資金に関する作業プログラムのワークショップ報告書 (FCCC/CP/2012/3)を提出した。

バルバドスは小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、長期資金に関する作業では次の点に焦点を当てるべきだと提案した:資金の規模拡大;途上国の資金へのアクセス改善;適応活動と緩和活動のバランスを確保。インドは、長期資金に関する作業が共通するが差異ある責任(CBDR)の原則や、他の条約組織での議論と整合するよう確保すべきだと述べた。

日本は、国際海運および航空輸送を長期気候資金の資金源とみなすことは不適切だと述べた。日本と中国は、国際航空輸送および海運からの収入を気候資金に利用できるようにするオプションを検討するため、UNFCCC事務局、国際民間航空機関 (ICAO)、国際海事機関 (IMO)で構成されるハイレベル専門家グループを設置することにも、反対した。サウジアラビアは、提案されている国際的な課税方法は途上国にマイナスの影響を与えるとの観測を示し、市場ベースメカニズムは世界貿易機関(WTO)の規則と不適合であると指摘した。

欧州連合(EU)は、単独の資金源では気候資金のニーズに対応できないと認識することが重要だと指摘した。同代表は、資金源の効果的な動員および展開に関する技術的な作業の継続を求め、国際航空輸送および海運からの収入に関する作業は、そのような作業でも重要だと述べた。

ケニアとウガンダは、気候資金の明確な定義づけを求めた。バルバドスはAOSISの立場で発言し、チリ、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、その他の立場も代表して発言したコロンビアと共に、気候資金の規模拡大や動員に関わる政治プロセスを支持するとともに、短期、中期、長期の気候資金を動員する資金源およびオプションに焦点を当て、条約の下での集中審議および組織化された作業の遂行を支持した。

COP決定書:決定書(FCCC/CP/2012/L.16)において、COPは、長期資金に関する作業プログラムの1年延長を決定する。COPは、COP議長に対し、この作業プログラムのため、途上国および先進国からそれぞれ1名、合計2名の共同議長を指名するよう要請する。さらにCOPは、資金源に関する途上国締約国のニーズを評価し、レビューするため、条約内の既存のプロセスを継続することで合意する。これには資金源動員のオプション、その適切性、予見可能性、持続可能性、アクセス可能性の特定も含める。

常任委員会報告書:常任委員会議長のDiann Black Layne (アンティグア・バーブーダ)および副議長のStefan Schwager (スイス)は常任委員会報告書(FCCC/CP/2012/4)を提出した。

COP決定書:常任委員会に関する決定書 (FCCC/CP/2012/L.16)において、COPは:

• 常任委員会の運用化、およびこれまでの進展を歓迎し、

• 2013-2015年の常任委員会作業プログラムを支持し

• 常任委員会のフォーラムに関する作業を歓迎し、常任委員会に対し、民間部門、金融機関、学術部門のフォーラムへの参加を推進するよう奨励し、

• 常任委員会の構成の改定および作業規則を採択し

• 常任委員会の議長および副議長は、常任委員会の共同議長も務めると決定し、これは2013年の常任委員会の第1回会議から効力を有すると決定し、

• 同委員会を資金に関する常任委員会と改称すると決定し

• 資金フローの第1回隔年評価および概要書の準備においては、気候資金の報告の方法を強化する方法について検討するよう同委員会に要請する

緑の気候基金(GCF)報告書およびCOPガイダンス:GCF共同議長のZaheer Fakir (南アフリカ)とEwen McDonald (オーストラリア)は、 COP開会プレナリーでGCF報告書(FCCC/CP/2012/5)を発表した。両共同議長は、GCFのホストとして韓国のソンドを選んだ決定に焦点を当てた。

バルバドスはAOSISの立場で発言し、COPはGCF基金の運用化を促進する方法に関してGCF理事会に追加のガイダンスを提供し、早期のかつ適切な補給プロセスを開始すべきだと強調した。フィリピンはG-77/中国の立場で発言し、同基金が何を行うのか、プロジェクトへの資金供与を検討する方法など、各種の問題にガイダンスを与えることを支持した。コロンビアは、チリ、コスタリカおよびペルーの立場も代弁し、ボリビア、ウルグアイ、トーゴとともに、GCFの運用化を推進するため、資金を供与するよう求めた。韓国は、GCFホスト国として、可能な限り早期に暫定事務局の設置を推進するとの約束を表明した。

COP決定書:決定書(FCCC/CP/2012/L.17)において、COPは、GCF理事会および韓国に対し、次のことを要請する:GCF開設に関する法律上および行政面での手配を終了させる;GCFへの法律関係の人材および法的な能力の供与を確実に行う;GCFおよびその職員に対し、必要な特権および免責を与える。COPは、COP 19において、GCFに対する初期ガイダンスを提供すると決定する。

COPは、GCF理事会に対し、決定書3/CP.17の実施についてCOP 19に報告するよう求める。COPは、COP 19より遅くない時点で暫定アレンジを終了させるべきだとする決定を再度確認する。

COPGCF間のアレンジ:この問題(FCCC/CP/2012/5, FCCC/CP/2012/CRP.1, and FCCC/CP/2012/CRP.4)に関し、GCFとCOPの間のアレンジに関する草案作成をどの組織が担当すべきかで締約国の意見が一致しなかった。

米国と日本は、アレンジの主要要素として既に次の点で合意されていると発言した:GCFは、COPのガイダンスを受け運用される独立した法的権限を有する組織であり、このためアレンジの草案作成能力がある。バルバドスはAOSISの立場で発言し、GCFの統治手法に関する審議再開に警告した。同代表は、COPおよびGCF理事会の代表と協力してアレンジを作成するプロセスを提案した。南アフリカは、GCFの統治手法にはアレンジ作業のドーハでの終了を可能にする要素が含まれていると述べた。サウジアラビアは、GCF自体が自身の責任関係に関する草案を作成することへの懸念を表明し、常任委員会がこの課題に取り組むべきだと提案し、ケニアおよび後発発展途上国 (LDCs)の立場で発言したザンビアもこれを支持した。コロンビアは、ペルーおよびグアテマラの立場も代弁し、COPの代表が、おそらくは常任委員会およびGCF理事会を通して、アレンジの草案作成作業を行うことを提案した。EUは、協力的な形でのアレンジの草案作成を支持し、草案を関連組織の審議にかけるため提出し、COP 19までに承認を受けるよう提案した。

COP決定書:決定書(FCCC/CP/2012/L.18)において、COPは、条約11条3項、決定書3/CP.17、およびGCF統治手法がCOPおよびGCF間のアレンジの基礎を成すと認識し、これによりGCFは途上国締約国でのプロジェクト、プログラム、政策、その他の活動の支援に関し、COPに対して責任を負い、COPのガイダンスの下で機能することが確実になる。さらにCOPは、常任委員会およびGCF理事会に対し、これらの手法に則りCOPとGCF間のアレンジ草案を作成し、GCF理事会での合意、さらにCOP 19での合意を得るよう要請する。

閉会プレナリー:COP閉会プレナリーは、当初12月7日金曜日の夜遅くに開催された。締約国は市民社会による短編映画を鑑賞した。この映画は、皆のためにより良い未来を築くため、「今こそ参加すべき(get involved now)」と参加者を鼓舞する内容であった。その後、COPは、合意に至った議題について議論した。プレナリーは土曜日の午前12時15分に中断され、いくつかの問題に関する協議を保留した。

COPの閉会プレナリーは、12月8日土曜日の午後7時に再開され、以下の決定書からなるドーハ気候ゲートウェイパッケージが、改定されることなくまたパッケージ全体の承認を前提として、採択された:バリ行動計画に則った合意成果(FCCC/CP/2012/L.4);ダーバン・プラットフォームの推進(FCCC/CP/2012/L.13);損失・損害(FCCC/CP/2012/L.4/Rev.1);長期資金に関する作業プログラム (FCCC/CP/2012/L.15);常任委員会報告書 (FCCC/CP/2012/L.16);GCF報告書 (FCCC/CP/2012/L.17);COPとGCF間のアレンジ (FCCC/CP/2012/L.18)。ADP報告書(FCCC/ADP/2012/L.3)およびAWG-LCA報告書(FCCC/CP/2012/L.14/Rev.1)もドーハ気候ゲートウェイパッケージの一部として採択された。

パッケージの採択後、COPおよびCMPの合同プレナリーが開会し、締約国がステートメントを発表した。米国は、AWG-LCAでは「多くの良い作業(much good work)」が達成できたと強調し、ドーハ成果に関する同国の解釈を明確にした。共有ビジョンに関する文章中のCBDR原則への言及に関し、米国は、UNFCCCやカンクン合意と整合しないと解釈される限り、そのような文章を受け入れることはないと述べた。米国は、条約の原則に言及するADP決定書の序文に関し、これがダーバン・プラットフォームでADPに与えられたマンデートに影響を与えることはできないとし、ADPの作業に米国が参画する際の基礎になることもないと発言した。米国は、ユニラテラルな貿易措置に関し、「懸念の対象(of concern)」という表現は、この問題を提起した締約国を意味するとした。

アルジェリアはG-77/中国の立場で発言し、このパッケージは新しいポスト2020年の気候体制実施における「マイルストーン(milestone)」になると称した。同代表は、ドーハパッケージには「短所(shortcomings)」もあるが、「微妙なバランス(delicate balance)」とみられるべきであり、その全体像で評価されるべきだと述べた。

ロシア連邦は、COP/CMP議長がドーハ気候ゲートウェイパッケージについて採択の槌を打つ前に発言権を求めていたと強調し、CMPの成果に関するロシア連邦、ウクライナ、ベラルーシ提出の提案について、議長がプレナリーに提起することを期待すると強調した。議長のAl-Attiyahは、この懸念および提案は会議報告書に反映されると応じた。

中国はBASIC (ブラジル、南アフリカ、インド、中国)の立場で発言し、パッケージの特定の要素には失望したが、このグループのメンバーは決定を受け入れると述べ、将来の気候変動への対応に「先を見越したアプローチ(proactive approach)」を約束した。オーストラリアは、余剰割当量単位 (AAUs)が70億トンにのぼる可能性があることに懸念を表明し、京都議定書の環境十全性が危ぶまれると指摘した。同代表は、オーストラリアが第一約束期間からのAAUsを購入することはないと強調し、そのようなAAUsは国内排出量取引スキームに適格でないと強調した。EU、リヒテンシュタイン、日本、モナコ、スイスも、第一約束期間から繰り越された余剰AAUsを購入しないと発言した。

ナウルはAOSISの立場で発言し、採択されたパッケージは緩和の野心や資金の面で欠陥があるとしてこれを嘆き、「単に将来何かが実現する可能性があると約束している」に過ぎないと発言した。さらに同代表は、Ban Ki-moon国連事務総長が発表した2014年気候変動指導者サミットは野心ギャップ解消に向け努力してほしいとの期待感を表明した。同代表は、ここでの成果は「長い道のりの入り口を提供するに過ぎない(provides little more than a gateway to a long path)」と嘆き、参加者が「間違えて曲がると、このプロセスは崩壊し、我々の国は消滅する(a wrong turn in the road, this process will collapse and our nations will disappear)」と警告した。

EUは、 EUの法律は第二約束期間を織り込み済みであり、速やかにこれを適用すると述べた。これに加えて、EUは、議定書4条は締約国が合同で約束の順守を行う可能性を予見していると指摘し、第二約束期間でのEU、クロアチア、アイスランドに関する議定書附属書B記載の約束は、この約束の合同遵守との理解に基づくと説明した。

エジプトはアラブグループの立場で発言し、ドーハで得られた決定は気候変動に対する将来の多国間の行動に対する希望を示すものだとし、野心的な目標および第二約束期間開設の成功を指摘し、決定の全面的かつ継続的な実施を待望すると述べた。スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、世界の気温上昇を1.5℃以下に抑える道筋を設定できなかったことで、「われわれは危険な領域に向かっている」と指摘し、現在から2020年の間の条約実施に向け資金面で懸念があるが、ドーハの決定は正しい方向を向いていると述べた。

ガンビアはLDCsの立場で発言し、バランスのとれたパッケージを求めてドーハに来たのだと述べ、多数の要素が議論されていないと嘆いた。同代表は、緩和に関する約束は野心のギャップを解消するには不十分だと述べ、2013-2020年の資金の詳細が抜けていることへの失望感を表明した。

COP議長のAl-Attiyahは、前進を図ろうとする政治イニシアティブへの締約国の支持を称賛し、「解決に至れるようにした(helped us reach solutions)」交渉担当者の柔軟性も賞した。同議長は、一部の問題では共通の立場を得ることができなかったと認め、AWG-LCAでの意見の一致は締約国が共に努力する意思があるとの確信を高めたと指摘し、2013-2020年の期間の資金源に関する合意を強調した。

フィリピンは「同様の意思を持つ途上国(Like-Minded Developing Countries)」の立場で発言し、「むらのある文章(uneven texts)」と野心の弱さへの懸念を表明した。さらに同代表は、ドーハ会議の後でも資金の問題が「空っぽ(empty shell)」のままであるとして「深い失望感(deep disappointment)」を表明した。同代表は、先進国の緩和、努力の比較可能性、対応措置、資金など、AWG-LCAの成果での主な欠陥に焦点を当てた。

「Climate Justice Now」は、ドーハ会議は効果的かつ公平な合意も実現できず、気候変動との戦いに必要な資金も確保できなかったと述べた。同代表は、ドーハの文章を拒否し、「ドーハのゲートウェイ」は気候の不公平と気候の死への入り口だと述べた。気候行動ネットワーク(CAN)は、2015年までに拘束力のある合意を確保するには締約国の姿勢を変える必要があると述べた。「Trade Unions」は、今こそ、転換を始めるよう求めた。「若者グループ(Youth)」は、ドーハ気候ゲートウェイは衡平性への扉を閉ざしたと述べた。

COPは、バーレーン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦の提出文書(FCCC/CP/2012/MISC.2)に留意し、経済多角化イニシアティブに関する決定書 (FCCC/CP/2012/L.11)を採択した。米国は、この提出文書に関わった各国に祝意を述べ、これは気候変動への対応におけるそれぞれの立場や努力の「大きな転換(a significant shift)」を表すと発言した。

さらにCOPは、参加者の信任状(FCCC/CP/2012/7)を承認し、SBI 36およびSBI 37の報告書(FCCC/SBI/2012/15 & Adds.1-2とFCCC/SBI/2012/L.27)を採択し、SBSTA 36および37の報告書(FCCC/SBSTA/2012/2とFCCC/SBSTA/2012/L.20)を採択し、ADP報告書(FCCC/ADP/2012/L.3)を採択した。

またCOPは、将来会合に関する決定書(FCCC/CP/2012/L.8)も採択した。この決定書において、COPは:2013年11月11-22日にワルシャワで COP 19およびCMP 9を開催するとのポーランドの提案を受け入れ;COP 20およびCMP 10は中南米およびカリブ海諸国で開催されると指摘し、これらの会合の開催に関し協議するよう締約国に求め;2015年にCOP 21およびCMP 11を開催するとのフランスの申し出に留意。

その後、COPは、この会議の報告書(FCCC/CP/2012/L.1)を採択し、この会議を主催したカタール国およびドーハの市民への感謝の意を表する決定書(FCCC/CP/2012/L.3)を採択した。COP 18議長のAl-Attiyahは、成果を収めた参加者の大いなる努力に感謝し、午後9時34分、会議閉会の槌を打った。

京都議定書締約国会議

11月26日、CMP 8議長のAl-Attiyahはこの会合の開会を宣言し、AWG-KPは2013年1月1日からの第二約束期間の速やかな開始を可能にするため、一連の京都議定書改定案をCMPに送ることが期待されていると指摘した。同議長は、全ての締約国に対し、求められる成果を確実に達成するため、柔軟性と想像力を発揮するよう求めた。AWG-KP議長のMadeleine Diouf (セネガル)は、第二約束期間の予定通りの開始を可能にするため解決されるべき問題が一部保留されていると強調した。同議長は、交渉推進のための議長提案(FCCC/KP/AWG/2012/CRP.1)が、AWG-KPにおける議論の土台になるとし、作業が進むにつれ改定されることになると述べた。

組織上の問題:議題書および作業の構成:11月26日、CMPは、議題書および作業の構成(FCCC/KP/CMP/2012/1)を採択した。

議定書改定の締約国提案:この問題は、当初、11月28日のCMPプレナリーで議論された。COP議長のAl-Attiyahは、議定書の改定に関し、締約国から14件の提案(FCCC/KP/CMP/2009/2-13とFCCC/KP/CMP/2010/3-4)がCMPに提出されていると指摘し、今年度では、ナウルから新たな提案(FCCC/KP/CMP/2012/2)を受理したと指摘した。締約国は、この問題の議論はオープンなままとし、閉会プレナリーでの審議再開で合意した。12月8日土曜日、再開されたCMP閉会プレナリーで、締約国は、CMPが京都議定書改定案を採択したことから、この議題の審議は終了することで合意した。

議定書附属書Bの改定に関するカザフスタンの提案:この問題(FCCC/KP/CMP/2010/4)は、当初、11月28日のCMPプレナリーで議論された。これに続いて、Philip Gwage (ウガンダ)を進行役とする非公式折衝でも議論された。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.3)において、CMPは、特に:京都議定書の附属書Bに記載された約束とともに、第二約束期間に附属書Ⅰ国として参加するとのカザフスタンの意思を歓迎する。

クリーン開発メカニズム(CDM)この問題(FCCC/KP/CMP/2012/11)は、当初、11月28日のCMPプレナリーで議論された。CDM理事会議長のMaosheng Duan (中国)は、同理事会の年次報告書(FCCC/KP/CMP/2012/3)を提出した。

ザンビアは、アフリカにおける追加の指定運営機関(designated operational entities)の承認を求め、CDMの透明性と説明責任に対処し、方法論の簡素化を図るためCDMの改革を続けるよう提案した。ボリビアは、技術移転やキャパシティビルディングでのCDMの貢献度、非追加的である可能性について懸念を提起した。ニュージーランドは、第二約束期間に参加する締約国のみがCDMにアクセスできるのであれば、CDMプロジェクトの需要が不十分になる可能性が高いと指摘した。多数の締約国が認定排出削減量 (CER)の価格低下への懸念を表明し、その対処方法について示唆を提供した。ベネズエラは、CDMは野心度と結び付いており、「単なるビジネス機会(just another business opportunity)」ではないと強調した。

その後、この問題はKunihiko Shimada (日本)とGiza Gaspar Martins (アンゴラ)が共同進行役を務めるコンタクトグループおよび非公式折衝でさらに議論された。この議論の中で、締約国は特に次の点に焦点を当てた:京都議定書第二約束期間でのCDM参加に関する適格性;CDMの2013年作業計画;自主的なCERsの取り消し;CDMプロジェクトの地域配分および小地域配分に関係する問題;締約国によるCDM安定化基金の設立。共同議長が作成したCDM決定書案に基づき議論が進められた。長時間の協議が行われたが、締約国は、次の問題に関し合意できなかった:CDM安定化基金の設立;CERsの自主的な取り消し;ベースラインと追加性;第二約束期間でのCDM参加の適格性;第一約束期間からの余剰ユニットの繰越。

括弧書きのついた文書が更なる審議のためCMPに送られた。12月8日、CMPはこの問題に関する決定書を採択した。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.10)において、CMPは、CDMのモダリティと手順の第1回レビューがCMP 9までに行われると再度明言し、SBI 39に対し、CMP 9までに審議にかけられるよう、モダリティや手順での可能な変更案の作成を要請する。

さらにCMPは、CDM理事会および事務局に対し、CDMプロジェクトおよび活動プログラムの登録、CERsの発行に関わるプロセスの合理化方法の検討を続け、文書提出を受けてから、その完全性のチェックを開始するまでの期間を、平均で15暦日未満にするよう要請する。

さらにCMPは、締約国および意思のある組織に対し、適格なプロジェクト活動支援に向け当該スキームの資金供与能力の拡大を図るため、CDMローンスキームに自主的な資金供与を行うよう求める。

共同実施:この問題は当初、11月18日のCMPプレナリーで議論された。共同実施監督委員会(JISC)議長のWolfgang Seidel (ドイツ)は、JISCの年次報告書 (FCCC/KP/CMP/2012/4)をCMPに提出した。同議長は、JIは重要な分岐路にあり、「不確実な未来(uncertain future)」に直面していると指摘し、JIガイドラインの再検討を目的としてJISCが作成した提案(FCCC/KP/CMP/2012/5)に焦点を当てた。

その後この問題は、Balisi Gopolang (ボツワナ)とHelmut Hojesky (オーストリア)を共同議長とするコンタクトグループおよび非公式折衝で議論された。議論では次の2つの小議題項目に焦点があてられた:JIガイダンス(FCCC/KP/CMP/2012/4);JIガイドライン(FCCC/KP/CMP/2012/5, INF.1 and MISC.1)。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.7)において、CMPは、特に、次の点を要請する:事務局は、JISC、締約国、政府間組織、認定オブザーバー組織の提案を参考に、JIガイドラインの可能な変更に関する報告書を取りまとめ、SBI 38までに審議にかける;SBI 38は、JIガイドライン改定草案を含め、CMP 9までに審議にかける提案を作成する。さらに、CMPは、JIガイドラインのレビューに関し、JIの将来の運用を特徴づける一連の主要要因について合意する。これには次のものを含める:JIプロジェクトに関する単一の統合トラック;JIとCDMとの緊密な提携、もしくは承認手順の統合を図る;CMPの権限の下、CMPに対し責任を負う、JISC決定に対する上訴プロセス。

遵守:遵守委員会報告書:この問題(FCCC/KP/CMP/2012/6)は、11月28日のCMPプレナリーで取り上げられた。遵守委員会共同議長のKhalid Abuleif (サウジアラビア)は、同委員会の報告書を発表し、同委員会の執行部にとり2012年はこれまでで最も多忙な一年であったと指摘し、促進部門にとっても「重要な年(significant year)」であったと指摘した。Ilhomjon Rajabov (タジキスタン)とChristina Voigt (ノルウェー)が非公式折衝の進行役を務めた。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.2)において、CMPは特に次のことを行う:

• 遵守委員会のメンバーおよびメンバー代理も対象とする特権と免責の法的なアレンジに関しCMPの採択を得ることは、遵守委員会にとり引き続き有益であると認識する;

• JISCは、京都議定書第6条の実施に向けたモダリティおよび手順の精緻化を目指しており、これは京都議定書の下での遵守に関係する手順およびメカニズムにも影響を及ぼす可能性があると指摘する;

• 他の条約下の遵守組織との協議を設定し、遵守関係の問題で意見交換を行おうとする遵守委員会の努力は有益であると認識する;

• 京都議定書の下で設立された構成組織の会合参加を目的とする、遵守委員会メンバーおよびメンバー代理の旅費関連の支出に関するSBI 36の結論書に留意する。

適応基金:適応基金理事会(AFB)報告書:この問題(FCCC/KP/CMP/2012/10)は、当初、11月28日のCMPプレナリーで議論された。さらにコンタクトグループ会合でも議論された。AFB議長のLuis Santos (ウルグアイ)は、AFB報告書(FCCC/KP/CMP/2012/7)を発表した。同議長は、資金を受けた適応プロジェクトの件数、および各国の実施組織で認定を受けたものの数が大きく増加したと強調した。同議長は、CERsの価格低下を指摘し、これは同基金の存在を脅かす可能性があるとの観測を示した。同議長は、附属書Ⅰ国に対し、脆弱な諸国のニーズを満たすため、同基金の能力が損なわれることのないよう、資金の供与を求めた。

ジャマイカは、CMPに対し、CMP 8での追加資金の動員を進めるよう求め、スーダン、フィリピン、バヌアツ、ザンビアもこれを支持した。ブルキナファソは、炭素市場の限界を指摘し、予測可能な資金源を制度化する方法の探求を求めた。インドは、附属書Ⅰ諸国の実績を見ると、適応基金への資金供与の規模を自主的に拡大する意思について、「楽観視できる理由はない(no reason for optimism)」と指摘した。同国は、JIと排出量取引からの収入の一部を適応基金に割り当てることを示唆した。ニュージーランドは、CERsは同基金にとり重要な資金源であると指摘し、適格性の議論の中で、十分なCDMの需要があれば同基金に資金が提供されることを締約国に考慮するよう推奨した。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.8)において、CMPは、現在のCER価格の不確実性および第二約束期間とそれ以降の適応基金の継続に関する不確実性のため、適応基金からの資金供与の持続可能性、適切性、予測可能性に問題があり、懸念とともに留意する。CMPは、適応基金理事会に対し、同基金の資金の状況、資金の流れの動向、そのような傾向の原因で明らかになったものについて、SBI 38に報告するよう要請する。CMPは、CMP 9において、これら資金源の持続可能性、適切性、予測可能性を強化する方法を検討すると決定する。これには適応基金への収入の流れを多角化する可能性も含める。CMPは、事務局に対し、条約ならびに広範な国連システムの下での組織のホストを選択するプロセスに関して、条約の締約国および広範な国連のシステムでの経験に基づき、テクニカル・ペーパーを作成し、SBI 38までに審議にかけるよう要請する。

事務管理上、資金上、制度上の問題:特権と免責:11月28日、CMP議長は、CMP 2がSBIに対しこの問題を検討するよう要請したと指摘した。さらに同議長は、SBI 36においてこの議論を終了し、CMP 8での採択に向け条約のアレンジに関する草案を送ったと指摘した。同議長は、Javier Diaz (コスタリカ)に対し、この非公式折衝の進行役を務めるよう要請した。CMPは、12月8日、結論書草案を採択した。

CMP結論書:結論書(FCCC/KP/CMP/2012/L.6)において、CMPは、条約のアレンジ草案に留意し、SBIに対し、次回の会合でこの問題を検討するよう要請する。CMPは、COPに対し、この問題を検討するよう求め、CMPもCMP 9で検討を続けると決定する。

閉会プレナリー:CMP閉会プレナリーは、最初12月8日土曜日の午前12時15分に開会し、合意がなされた問題を検討した。CMP閉会プレナリーは、午後7時に再開し、ドーハ気候ゲートウェイとして知られる決定書パッケージの一部として、議定書の改定文書と第二約束期間関係の決定書を採択した。CMPは、AWG-KPの作業成果 (FCCC/KP/CMP/2012/L.9)を承認し、ドーハ気候ゲートウェイの下での全決定書パッケージの承認を条件として、決定書2/CMP.7から5/CMP.7 (FCCC/KP/CMP/2012/L.4/Rev.1)を、改定することなく承認した。

さらにCMPは、信任状(FCCC/KP/CMP/2012/12)をブルンジの分を加えた上で承認し、SBSTA 36およびSBSTA 37の報告書 (FCCC/SBSTA/2012/2 and FCCC/SBSTA/2012/L.20)を採択し、SBI 36とSBI 37の報告書 (FCCC/SBI/2012/15 & Adds. 1-2; and FCCC/SBI/2012/L.27)を採択した。CMPは、クリーン開発メカニズム(CDM)理事会、適応基金理事会、遵守委員会、共同実施監督委員会の役員を選出した。CMP副議長は、保留されている役職の候補者名を提出するよう締約国に求めた。

その後、CMPは、会議報告書 (FCCC/KP/CMP/2012/L.1)を採択し、さらにポーランドが提出したカタール政府とドーハ市民への感謝を表明する決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.5)を採択した。CMPプレナリーは午後9時48分に閉会した。

cop 18およびCMP 8合同ハイレベルセグメント

12月4日、COP 18およびCMP 8のハイレベルセグメントが開会した。UNFCCC事務局長のFigueresは、ドーハ会合では次の点を担保する必要があると強調した:京都議定書の改定に関する合意;気候資金の明確な道筋;長期の世界目標の効果的なレビュー;拡大する排出量ギャップへの速やかな対応;全てのものに適用され、衡平に制度化され、科学に対応する長期枠組みの確固とした基礎。

COP 18/CMP 8議長のAl-Attiyahは、締約国に対し、相互理解に向け共に努力し、バランスの取れたパッケージを確保するよう求め、気候変動は我々の時代の最も喫緊の課題の一つであると強調した。

国連総会議長のVuk Jeremićは、気候変動への対応は全ての国連加盟国の「国益の根幹」になるべきだと述べた。同議長は、第67回国連総会の再開会議において、気候変動、グリーンエネルギー、水の持続可能性に関するハイレベルな主題ごとの議論を行う予定であるとしてその計画の概要を説明した。

国連事務総長のBan Ki-moonは、これが危機であることは幻想ではありえないと強調した。同事務総長は、ドーハ会合で可能な成果として5つの項目を指摘した:京都議定書の下での批准可能な第二約束期間の採択;長期の気候資金における進展;途上国による緩和と適応を支援する制度の用意を完全にする;法的拘束力のある制度に関する交渉を軌道に乗せる;現在の緩和プレッジと2℃目標達成に必要なものとのギャップについて行動するという決意の表明。

クウェートの首長であるH.H. Sabah IV Al-Ahmad Al-Jaber Al-Sabahは、このハイレベル会議への多数の参加は、気候変動が緊急の問題であるとの国際社会の認識の反映であると指摘した。同首長は、次のことを行い、長期的な協力への道をひらく決定を行うよう求めた:バリ行動計画およびその全ての要素の効果的な実施を確保する;京都議定書の下での第二約束期間の採択;途上国に新たな約束を課さない;先進国の資金および技術移転による、途上国の自主的行動の支援。

カタールの首長であるH.H. Sheikh Hamad Bin Khalifa Al-Thaniは、次のことを求めた:相互依存の概念の典型となる;柔軟な解決策を伴う実際的で効果的な合意の達成;各国や地域社会のエネルギーのニーズを一方とし、温室効果ガスの排出量削減の必要性を他方とした均衡点の発見。

ハイレベルセグメントは12月7日まで続けられ、各国のステートメントのほか、オブザーバー組織もステートメントを発表した。ステートメントのウェブキャストは下記で入手可能:http://unfccc.int/meetings/dohanov_2012/meeting/6815/php/view/webcasts.php

条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会

条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA 15)第15回再開会合は11月27日に開会し、Aysar Tayeb (サウジアラビア)が引き続き議長を務め、Mark Pallemaerts (ベルギー)も引き続き副議長を務めた。

多数の途上国が、中期資金を明確にする必要があると強調した。アンブレラ・グループは、全面的な実施段階への移行を求め、早期資金の約束は、集約すると既に超えていると強調した。EUは、2012年以降の継続した気候資金の供与と、2020年に向けた資金の規模拡大の作業を強調した。ペルーは、コロンビア、チリ、コスタリカ、パナマの立場も代弁し、次の段階の実施の定義付けで進展を図り、AWG-LCA交渉トラックを終了させる必要があると指摘した。同代表は、COP 18において保留問題の解決を図り、必要な場合は、補助機関(SBs)および他のプロセスに特定の課題を委ねることを支持した。スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、ドーハ会議では次の問題で合意を得なければならないと述べた:先進国の緩和努力の比較可能性および遵守枠組み;資金に関する明確な中期目標。ナウルはAOSISの立場で発言し、範囲を狭めた科学に基づくレビューなど、ダーバン会議での作業マンデートに焦点を当てるよう提案した。ガンビアはLDCsの立場で発言し、ドーハ会議の締約国はADPに返すレビューを行うため別な専門家組織を設置し、共通算定規則作成のプラットフォームを設置しなければならないと述べた。中国はBASICの立場で発言し、AWG-LCAを成功裏に終了させるにはバリ行動計画の全ての要素に対応しなければならず、持続可能な開発および知的財産権 (IPRs)への衡平なアクセスなど、主要問題を残すべきではないと強調した。エジプトはアラブグループの立場で発言し、保留問題での合意に向け努力し、合意に至らない場合は、他の条約の機関に問題を移すことも検討するよう提案した。

COP 18における包括的かつバランスの取れた合意成果の作成:11月27日、議長のTayebは、非公式な概要紹介文書(FCCC/AWGLCA/2012/CRP.3)を提出し、これは会合期間外の協議に基づくものであると説明した。この文書に関する締約国の意見は分かれた。中国、フィリピン、アラブグループ、その他は、この文書を今後の作業の基礎として使うことを支持したが、アンブレラ・グループ、環境十全性グループ (EIG)、EU、カナダ、その他はこれに反対した。

AWG-LCAは、REDD+、途上国の緩和、先進国の緩和、セクター別アプローチ、市場・市場外手法、共有ビジョン、レビューに関するスピンオフグループで議論を開始した。これと並行して、議長のTayebは、資金、技術移転、適応、キャパシティビルディング、対応措置など他のAWG-LCA議題項目について協議した。会合の第2週、AWG-LCAは、Pallemaerts副議長を進行役とする非公式折衝、分科会、非公式閣僚協議で議論した。

12月3日月曜日、締約国は、新しい文書について議論した。議長のTayebは、これはスピンオフグループからの「ペーパーを未編集でまとめたもの(an unedited compilation of papers)」だと指摘し、ただし文書作成で合意が得られなかったグループのものは除くと述べた。アルジェリアはG-77/中国の立場で発言して失望感を表明し、この文書は「アンバランス」だと指摘し、バリ行動計画の主要要素を反映できていないと述べた。ニカラグアは「同様の意思を持つ途上国(Like-Minded Developing Countries)」の立場で発言し、他の多くの途上国と共に、適応、資金、技術、キャパシティビルディングに関する文章が必要だと強調した。ケニアはアフリカングループの立場で発言し、バリ行動計画の主要要素が盛り込まれていることが議論の前提条件だと指摘した。フィリピン、アラブ首長国連邦、その他は、実施方法が明確になっていないと嘆いた。ボリビアは、文書の「市場本位」な焦点の当て方に反対した。南アフリカ、その他は、AWG-LCAの終了文書はAWG-LCAのマンデートにある全ての問題を包括すべきだとし、一部の問題ではさらなる推敲が必要だと強調した。米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは、多様な新しい制度アレンジの設置など、AWG-LCAの下での進展を認識することが重要だと強調した。先進国数カ国は、適応や資金などの問題はAWG-LCA終了後も他のプロセスで議論が続けられると強調した。

AWG-LCAの下での非公式折衝は、12月4日も続けられ、議長のTayebは、資金の問題はMariyam Shakeela大臣 (モルディブ)とBruno Oberle大臣 (スイス)による協議で議論されると指摘した。12月5日、議長のTayebは、締約国に議論の全体像を示すべく、AWG-LCAの各議題項目の下での議論状況を示す文書を非公式進捗状況報告プレナリーに報告した。同議長は、AWG-LCAはこの日の夜どおし、一つの非公式グループで作業を続け、翌日にはスリム化した文書の作成で進展を図りたいと説明した。12月6日、議長のTayebは、全ての要素で進展があったと報告する一方、さらなるスリム化が必要な分野が残っていると指摘した。同議長は、「今夜のどこかの時点で」全ての要素を一つの文書にまとめられるとの希望を表明した。

12月7日夜、AWG-LCA閉会プレナリーにおいて、 議長のTayebは、参加者に対し、バリ行動計画に則ったAWG-LCAの合意成果文書 (FCCC/AWGLCA/2012/L.4)を作り出した「継続作業(continuous work)」に感謝した。同議長は、この文書に関する「異なる懸念(different concerns)」を聴いたと報告し、これは、同議長曰く「一定程度のバランス(certain degree of balance)」についての示唆であるとした。また、この文書は合意成果に向けた良い基礎を提供すると述べた。同議長は、締約国に対し、このAWG-LCA文書はドーハ会合全体のパッケージの一部になることを想起した。議長のTayebは、これをもってAWG-LCAの成果をCOPに送り、その更なる審議と採択にかけることを提案し、締約国も同意した。

更なる非公式折衝の後、12月8日夜、COPは、バリ行動計画に則った合意成果 (FCCC/CP/2012/L.14/Rev.1) をドーハ気候ゲートウェイの一部として採択し、AWG-LCAはその作業を終えた。バリ行動計画の下でのAWG-LCAの作業の最終成果を下記にまとめる。

共有ビジョン:この問題は、 Zou Ji (中国)が進行役を務めるスピンオフグループで議論された。協議では、次の開発に焦点があてられた:排出削減の世界目標に関する数値、世界の排出量がピークを迎える時間枠、ならびにこれらの数値の影響を探求するプロセス;持続可能な開発への衡平なアクセスを検討するプロセス。

12月7日、AWG-LCAの閉会プレナリーにおいて、多数の締約国が、共有ビジョンに関する文書への懸念を表明した。EUは、協議で「何らの進展(no progress)」も生まれなかったと失望感を表明した。エジプトは、文書の中で次のステップに言及するよう要請した。米国は、衡平性およびCBDR原則への言及に反対した。COP閉会プレナリーにおいて、米国は、「条約あるいはカンクン合意とは整合しない形で、この文書が読まれなかった限りにおいて(to the extent that it is not read in a matter that is inconsistent with the Convention or the Cancun agreements)」この文書を受け入れたと、会議報告書の中に反映させるよう求めた。

最終成果:COPは、締約国が科学およびIPCC第4次評価報告書と整合する形で、地球の平均気温を産業革命前の水準より2℃以下の上昇で抑えるため、世界のGHG排出量をそれに必要な量まで大きく削減し、世界のGHG排出量を可能な限り速やかにピークに達するようにするため、緊急な努力を行うと決定し、ピーク時に達する時間枠は途上国の場合は長くなることを再確認する。

さらにCOPは、そのような努力は衡平性および共通するが差異ある責任に基づき、それぞれの能力に応じて行われるべきであり、途上国での緩和および適応を支援するため、資金、技術移転、キャパシティビルディングが提供されるべきであり、持続可能な開発に対する衡平なアクセス、各国の存続および母なる大地の十全性の保護が不可欠であることに配慮すると決定する。

緩和:先進国の緩和:締約国は、この問題をスピンオフグループおよび AWG-LCA議長が主催する非公式なオープンエンドな協議で議論した。ノンペーパーおよび締約国提出文書に基づき交渉が行われた。

主な問題には、先進国の緩和プレッジに伴う条件の除去、AWG-LCA終了後もこの問題の議論を継続する作業プログラムの設置が含まれた。多数の途上国が、先進国に対し、それぞれのプレッジの上限に向けて動くよう求め、それぞれの目標を、2020年までの期間における二酸化炭素換算トンの炭素予算として表現し、1990年の共通基本年と比した一つの数値で提示する必要があると強調した。

先進締約国の異なるグループから、既に設定されている2015年からの報告作成要求の実施の前に、2013年から2014年のプレッジの基となる想定条件の明確化を目指す作業プログラムの提案を提出した。多くの途上国は、条件性の排除、野心の引き上げ、共通の基本年を含む共通算定規則の制定を目指す作業プログラムを支持した。結局、締約国は、「共通要素(common elements)」の作成に言及することで合意した。一部の締約国は、作業プログラムの期間を1年間だけとし、速やかな形で結果を出すことを支持した。締約国は、作業プログラムをSBSTAの下におくか、それともSBIの下に置くか議論し、最終的にはSBSTAの下に置くべきことで合意した。

最終成果: COPは:

• 先進締約国に対し、それぞれの経済全体の排出削減数量目標の野心を引き上げ、全体の人為的なGHG排出量をIPCC第4次評価報告書と整合するレベルまで削減するよう求める;

• SBSTAの下で2013年に開始され2014年に終了する作業プログラムを設置し、目標の明確化作業を継続し、次のことを目指すと決定する:目標達成に向けた進展を測るための共通要素を特定する;各国の国情の違いに配慮した上で、先進国間の努力の比較可能性を確保する;

• 2013年3月25日までに作業プログラムに対する各国の見解を提出するよう締約国に要請する;

• 事務局に対し、先進締約国が自国の目標に関して提供する情報に基づき、目標明確化プロセスに関するテクニカル・パーパーを毎年更新するよう要請する;

• SBSTAに対し、作業プログラムの進捗状況をCOP 19に報告し、COP 20では、審議されるべき作業プログラムの成果に関し報告するよう要請する。

途上国の緩和:締約国は、この問題をスピンオフグループおよび AWG-LCA議長主催の非公式なオープンエンドな協議で議論した。ノンペーパーおよび締約国提出文書に基づき交渉が行われた。

議論された主な問題は、AWG-LCA終了後の途上国のプレッジの基となる想定条件を明確化する議論を継続するための作業プログラムの設置ならびに途上国のプレッジに関する関連情報のとりまとめなどであった。さらに締約国は、NAMAsの作成、提出、実施の能力構築を目的とする技術資料を作成する地域技術ワークショップを計画し、低排出開発戦略に関してもワークショップを計画することに関し、意見が異なった。最終的に締約国は、これらの活動は「関心のある(interested)」途上国の要請で実施されるべきことで合意した。

このほか、意見対立のあった問題には、途上国締約国による緩和行動の多様性に対する理解を深めるプロセスの成果をとりまとめ、文書を作成するよう事務局に要請するかどうか、要請する場合にはどう要請するかの問題が含まれ、一部の国は、事務局による情報のとりまとめ文書作成を支持したが、他のものは、情報を統合したテクニカル・ペーパーの作成を支持した。一部の締約国は、当初、SBSTAがNAMAsの作成および実施の支援に対するMRVのガイドラインを作成し、レジストリを通して支援を提供することを支持したが、結局、締約国はこの言及を外すことで合意した。

最終成果:COPは、特に:

• 2013年に開始し、2014年に終了する作業プログラムを設置し、SBIの下でのNAMAsの多様性に対する理解を深めると決定する。この中には次のものが含まれる:根底にある想定条件および方法論に関するもの; NAMAsの作成および実施に対する資金、技術、キャパシティビルディングの支援の必要性; NAMAsと支援とのマッチング。

• SBIに対し、 COP 19に進捗状況を報告し、COP 20に成果を報告するよう要請する;

• 事務局に対し、関心のある途上国締約国の要請を受け、地域技術ワークショップを計画し、NAMAsの作成、提出、実施の能力構築、ならびに低排出開発戦略の策定に向けた技術資料を作成するよう要請する。

REDD+締約国は、この問題をスピンオフグループおよびAWG-LCA議長主催の非公式なオープンエンドな協議で議論した。ノンペーパーおよび締約国提出文書に基づき交渉が行われた。

ある締約国グループは、REDD+委員会を設置し、REDD+活動実施の主流化を図り、資金源の動員における整合性を確保するよう提案したが、他の多数の諸国は反対した。一部の締約国は新しい制度の創設に対する反対意見を表明したが、締約国は、REDD+活動を推進しその協調を図るCOPの権限の下での統治組織設立の可能性についても議論した。結局、締約国は、REDD+活動支援の問題を議論するプロセスをSBI 39およびSBSTA 39で開始すべきことで合意した。

先進国は、REDD+実施における非炭素(non-carbon)の利益も検討する必要があると強調し、非炭素利益を考慮に入れ、REDD+活動に対する資金の規模拡大オプションを検討する作業プログラムを提案した。一部の諸国は、そのような利益を計測するのは困難であり、多額の投資が必要であるとして、これに反対した。結局、締約国は、非炭素利益に関する方法論問題の作業をCOP 19までに開始することで合意した。意見対立があったもう一つの問題は、REDD+ 活動に対する追加の資金援助の必要性への言及方法に関する問題であった。

最終成果:COPは特に:

• 2013年の結果ベースの資金に関する作業プログラムを実施し、COP 19までにこれを終わらせることとし、決定書1/CP.16のパラグラフ70 (REDD+活動)に記載する活動の全面的実施に向けた進展を目指す2回の会合期間中ワークショップも含めると決定する;

• この作業プログラムの目的は、REDD+活動資金の規模拡大および効果の改善に向け行われている努力に貢献することであり、広く多様な資金源を考慮に入れると決定する;

• SBSTA 38に対し、共同の緩和および適応手法など、非市場ベースの手法をいかに策定するかを検討し、REDD+活動の結果として得られる非炭素便益に関する方法論問題の作業を開始し、COP 19に報告するよう要請する。

さらにCOPは:

• REDD+活動に対する支援に関する調整を向上させ、開発途上締約国による活動実施に対し、資金援助や専門的かつ技術的な支援など、適切かつ予測可能な支援を提供する必要があると認識する;

• SBsに対し、その第39回会合において、REDD+活動支援の調整を進める必要性について議論するプロセスを合同で開始し、既存の制度アレンジもしくは統治に関する可能性ある代替案を検討し、COP 19に提案を提起するよう要請する;

• 締約国およびオブザーバーに対し、2013年3月25日までにそれぞれの意見を提出するよう求める。

セクター別アプローチ:締約国は、この問題をスピンオフグループで議論し、その後、AWG-LCA議長主催の非公式なオープンエンド協議との関連でも議論した。

多数の締約国が、国際航空および海運による排出量に対するユニラテラルな措置は避ける必要があると強調した。一部の締約国は、この問題はICAOおよびIMOを通して、多国間方式で検討すべきだと強調した。多数の締約国が、ICAOおよびIMO事務局に対し将来のSBSTA会合でも報告を続けるよう求めることを支持した。

最終成果:セクター別アプローチに関する文書は、AWG-LCAの成果に関するCOP決定書に盛り込まれなかった。

市場および非市場アプローチ:この問題は、Alexa Kleysteuber (チリ)を進行役とする非公式折衝で議論された。

EUは、AWG-LCAのマンデートの中の特定の課題に焦点を当て、市場アプローチに関する決定がないことはドーハ以後にこの問題を議論するプロセスがないことを意味すると述べた。ベネズエラは、バリ行動計画パラグラフ1(b)(v) (市場および非市場アプローチ)に関する文章は非公式折衝で多数の途上国が拒否した文章であると強調し、この文章を更なる交渉のベースとして提起することに反対した。ボリビアは、二重計算や非追加性など市場メカニズムに関する懸念を強調し、これらの問題は排出量の増加を招く可能性があると指摘した。

12月1日のAWG-LCA進捗状況報告プレナリーにおいて、進行役のKleysteuberは、多様なアプローチの枠組みおよび新しい市場メカニズムに関しては明らかな進展があり建設的な議論がなされたと報告し、両方の問題さらには両方の関係については意見の違いが残っていると強調した。

最終成果:COPは、締約国が緩和に関し、市場および非市場を利用する機会など多様なアプローチを開発し実施する可能性があることを認識し、そのようなアプローチは適切な基準を満たすべきことも認識する。さらにCOPは、SBSTAに対し、COP 19への決定書案の推奨を視野に入れて、次のことを精緻化する別の作業プログラムを行うよう要請する:

• この問題に関するAWG-LCAの作業を取り入れた、当該アプローチの枠組み;

• 非市場ベースのアプローチ

• 決定書2/CP.17に規定する新しい市場ベースメカニズムのモダリティと手続き。

適応:この問題(FCCC/AWGLCA/2012/CRP.2)は、AWG-LCA議長のTayebを進行役とする非公式グループ会合で議論された。多数の途上国が、適応は議論されるべききわめて重要な問題の一つであると繰り返し指摘した。多数の締約国が、バリ行動計画の採択以降、適応委員会の設置や国別適応計画の検討プロセスの設置など、適応問題での進展を認めたが、一部の途上国は、バリ・マンデートの下には国家レベルの制度および地域センター、条約の下の他の制度と適応とのリンク、実施方法など保留要素があると指摘した。

最終成果:COPは、特に、次のことを行う:

• COP、そのSBs、条約の下でのその他の組織は、適応に関する行動の強化に向け努力を続けると決定する;

• 途上国締約国による行動の統一性や提供される支援に関する問題、地域センター、ネットワークの関与、さらには適応行動を計画し、プライオリティをつけ、実施するコンテキストにおいて、回復力(resilience)を持たせるため、生計や経済活動の多角化を推進する問題を考慮すると決定する;

• 適応委員会に対し、適応に関する認識および野心を向上させるため、毎年の適応フォーラム設置を検討するよう要請する。

技術:締約国は、この問題をAWG-LCA議長主催の非公式なオープンエンド協議の中で議論した。

議論では、CTCNとTECとのリンク、条約の資金メカニズム、TECの役割、TECによるIPRs関連問題の審議の可能性などがとりあげられた。一部の途上国は、TECによるIPRs関連問題の作業継続を支持したが、一部の国、特に先進国はIPRsについて言及することに反対し、このような問題は他の関連フォーラムで議論されていると強調した。

異なる組織間のアレンジの問題に関し、締約国は、審議を開始したが合意には至らず、次回の会合でもこの問題の審議を続けることで合意した。

最終成果:COPは、特に、次のことを行う:

• COP 19において、TECとCTCNとの関係の詳細の検討を開始することで合意する;

• TECに対し、将来の作業計画の詳細を検討する際には、文書FCCC/SB/2012/2のパラグラフ35に記載する問題を含め、可能にする環境や障壁問題の探求を開始するよう要請する;

• CTCNの諮問委員会に対し、CTCN作業計画を検討する際には、次の活動を考慮に入れるよう提案する:新興技術の評価作業に関する開発途上締約国への助言および支援;締約国における主要な低炭素開発および気候に強い開発のニーズを満たすため、現在利用可能な気候に優しい緩和技術および適応技術を特定する場合のCTCNの役割を練り上げる;

• COP 20では、条約の技術メカニズムおよび資金メカニズムのリンクに関し更なる審議を行うことで合意する。

資金:締約国は、AWG-LCAコンタクトグループおよび閣僚クラスのものも含めた非公式折衝で資金に関し議論した。

議論で焦点があてられたのは、ポスト2012年の資金の継続性問題であった。G-77/中国は、資金供与の正確な説明を含む、「資金のギャップ」に対応する提案を発表した。米国は、早期開始資金と2020年の資金目標に関する妥協に言及し、AWG-LCAがこの問題の作業を終わらせるために更なる決定を行う必要はないと強調した。日本は、ドーハで資金に関する決定を行う必要はないと主張した。

コロンビアは、現在から2020年までの資金目標は、先進国による2020年の目標達成を支援するため必要なものだと強調した。グアテマラは、資金に関する決定がパッケージに含まれないなら、ドーハで成果に達することはできないと述べた。バルバドスはAOSISの立場で発言し、G-77/中国の提案は2020年の資金目標の進捗状況評価に寄与することを意図していると強調した。

最終成果:COPは:

• 先進締約国に対し、財政状況が許す場合には、さらなる気候資金プレッジを発表するよう求める;

• 適応に関する新たな多国間資金の大部分はGCFを通して流れるようにすべきだと繰り返し、GCF理事会に対し、GCFの資金配分では適応活動と緩和活動のバランスをとるよう要請する;

• 先進締約国に対し、公共資金の相当な割合を適応活動に振り向けるよう求める;

• 全ての先進締約国に対し、広範な資金源からの気候資金の規模拡大を図り、2020年までに年千億米ドルを動員するとの共同目標達成を求める;

• 長期資金に関する作業プログラムを2013年末まで1年延長すると決定する;

• 常任委員会に対し、気候資金の流れの第一回隔年評価および概要を開始するに当たり、他の組織および機関が行っている気候資金を支援し追跡するMRVに関する関連作業を考慮に入れるよう要請する;

• GCF理事会に対し、GCFの可能な限り早期の運用を可能にし、早期の適切な資金補充プロセスを可能にするよう、2013年作業計画の迅速な実施を要請する;

• COP 19において、ポスト2012年の気候資金動員の規模拡大に向けた先進締約国の努力に関して、COPの下の会合期間中のハイレベル閣僚ダイアログを開催し、長期資金動員の進捗状況を検討することで合意する。

キャパシティビルディング:締約国は、この問題をAWG-LCA議長主催の非公式なオープンエンド協議の中で議論した。

締約国は、キャパシティビルディングに関する作業プログラム設置が必要かどうかで異なる意見を表明した。一部のものは、既に、ダーバンで2011年に創設されたキャパシティビルディング・フォーラムがこの問題を議論する適切な場を提供していると指摘したが、他のものは、このフォーラムの作業が、国レベルのキャパシティビルディング活動の実施に際して、各国を支援すべきだと述べた。

最終成果:COPは、特に:

• SBI 38で開催されるダーバン・フォーラムの第2回会合では、国レベルのキャパシティビルディング実施の更なる強化を図る可能性がある方法を探求すべきと決定する;

• 締約国に対し、次のものを2013年2月18日までに提出するよう求める:実施したキャパシティビルディング活動に関する情報、これにはニーズやギャップの情報も含める;ダーバン・フォーラムの第2回会合で議論すべき問題に関する意見、およびこの組織の更なる強化に関する意見;

• SBIに対し、ダーバン・フォーラムを通すものも含め、国レベルのキャパシティビルディング実施の更なる強化を図る方法を探求するよう要請する。

レビュー:この問題は当初、11月28日の非公式グループで議論された。12月3日、議長が主催した合意成果に関する非公式折衝で、議長のTayebは、非公式グループに対し、レビューの範囲に焦点を当てるとともに、専門家のインプットも検討するよう求めた。

最終成果:COPは、特に、次を決定する。レビューでは長期世界目標の適切性を定期的に評価すべき、この目標に向けた全体的な進捗状況も評価すべき、これには条約の下での約束の実施の検討を含めるべきと決定する。さらにCOPは、レビューの科学的な十全性を確保するため、COPによるレビューの遂行を支援するため設置されたSBSTA/SBI合同コンタクトグループの作業を支援すべく構成される専門家ダイアログに参画すると決議する。

EITsこの問題は非公式グループで議論された。

最終成果:COPは、特に、EITsが緩和行動および適応行動の実施を強化できるよう、非附属書Ⅰ国に対する新たな追加資金源、技術移転、キャパシティビルディングの提供に関し、一定の柔軟性を認めるべきであり、この柔軟性措置は2020年まで延長されるべきであると決定する。さらにCOPは、そういったことができる立場にあるEITsには自主的な形で資源を提供するよう勧める。

COPが特別な状況にあると認めた締約国:この問題は非公式グループで議論された。

最終成果:COPは、特に、;COPが特別な状況下にあると認めた締約国による国内の気候変動戦略および行動計画の実施を支援するため、これら諸国に資金、技術、技法、キャパシティビルディングの支援を提供できる立場にある附属書Ⅱ国に対し、これを行うよう求める。

閉会プレナリー:AWG-LCA閉会プレナリーは12月7日金曜日の夜に開催された。

アルジェリアはG-77/中国の立場で発言し、資金問題が「ドーハ会議の成功で最も重要(utmost importance for a successful outcome in Doha)」であると強調した。同代表は、資金なしでは中身のない、効果が上がらない制度になると述べ、文書に適応および技術移転での進展がないことに対し、懸念を表明した。

EUは、AWG-LCAの下の作業はトータルで誇りに思うべき点も多いが、2°C目標達成には一層の緊急行動が必要であると宣言した。同代表は、共有ビジョン、対応措置、新しい市場メカニズムのモダリティ、多様なアプローチなど、文書の懸念を指摘した。同代表は、技術に関し、EUはIPR体制を妨げるものは一切受け入れられないと述べた。

エジプトはアラブグループの立場で発言し、ドーハでのパッケージの「必要要素(necessary component)」として資金に関する具体的な成果を今も待望していると述べた。同代表は、附属書Ⅰ国の野心および明確な説明責任が必要であると強調した。同代表は、パラグラフ42 (バンカー燃料)は条約の原則を適用すべきとの明確なシグナルをICAOおよびIMOに送っていないとして、これを削除すべきと指摘した。

スイスはEIGの立場で発言し、COPへの文書送付を支持し、これは更なる議論の土台として用いることができると指摘し、残された問題はCOPで解決できるとの確信を表明した。同代表は、共有ビジョン、緩和、対応措置、技術に関する文章要素では更なる作業が必要だと強調した。

ナウルはAOSISの立場で発言し、全体的にこの文書は作業を行う「一応の土台(decent basis)」を提供すると述べたが、文書には野心が欠けていると強調し、規則ベース体制への言及を増やすよう求めた。

スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、この文書に基づく審議を行う意思があると表明したが、緩和および適応、さらには実施方法で野心が欠けていると指摘した。同代表は、資金面でも野心が欠けており、特に2013-2020年の中期資金への言及がないと指摘した。

フィリピンは「同様な意思を持つ途上国(Like-Minded Developing Countries)」の立場を代弁し、この文書は改善可能と述べ、特に次の項目を強調した:実施方法、先進国の資金のMRV、緩和野心、技術移転、キャパシティビルディング。同代表は、パラグラフ42を削除すべきとも述べた。

コスタリカは独立中南米カリブ海諸国連合(Association of Independent Latin American and Caribbean states (AILAC))の立場で発言し、この文書は更なる審議に向け良い土台を提供するが、不完全であると述べた。同代表は、更なる審議が必要な問題として資金を強調し、資金に関するユニラテラルな決定およびその他の良い兆候があるとはいえ、この文書の資金の規定をさらに強力なものにすべきだと指摘した。多数の独立した締約国がステートメントを発表し、この文書のCOPへの送付を支持し、多数の保留問題を指摘した。

AWG-LCAは最終報告書(FCCC/AWGLCA/2012/L.3)を採択した。議長のTayebは閉会スピーチの中で、Vivian Balakrishnan大臣(シンガポール)およびPeter Altmaier大臣(ドイツ)が、AWG-LCAの保留問題に関する閣僚協議を開催すると発表した。議長のTayebは、締約国が異なった方向からとはいえ、文書の中の同じパラグラフや問題に言及しているとし、参加者に対し、この点をさらに熟考するよう求めた。AWG-LCA は午後6時11分閉会した。

京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会

11月27日、AWG-KPの第17回再開会合が開会し、Madeleine Diouf (セネガル)が引き続きAWG-KP議長を務め、Jukka Uosukainen (フィンランド)が副議長を務めた。

アルジェリアはG-77/中国の立場で発言し、ドーハの成功を示す基準として次の項目を挙げた:2013年1月1日より有効となる京都議定書の下での野心的な第二約束期間;附属書Ⅰ国による野心的な数量化された排出抑制および削減目標(QELROs);第二約束期間の約束を行う意思のない附属書Ⅰ国の柔軟性メカニズムへのアクセス制限;余剰AAUsの繰越への対応。

EUは次の点に焦点を当てた:他の締約国の批准のタイミングに関わらず、EUは第二約束期間を即時実施する;環境十全性に基づく柔軟性メカニズムへの広範な参加の必要性;余剰AAUsの繰越問題を解決する必要性。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、京都議定書の下での第二約束期間は、2013年1月1日から8年間実施する必要があると強調した。同代表は、「京都議定書柔軟性メカニズムの便益が、ドーハで脅かされている(the benefits of the Kyoto Protocol flexibility mechanisms are threatened here in Doha)」ことへの懸念を表明し、「この制度への広範なアクセス(broad access to these)」を確保するよう求めた。リヒテンシュタインはEIGの立場で発言し、3つの保留問題を強調した:第二約束期間の長さ、野心レベル、第二約束期間へのスムーズな移行。

ナウルはAOSISの立場で発言し、ドーハ会合の審議全体に掛かる問題は附属書Ⅰ国の約束の野心度問題であると強調し、提案されているQELROsはこれまでのプレッジから派生したもので、挑戦する規模として「明らかに不適切である(plainly inadequate)」との観測を示した。

スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、会議では第二約束期間に適用される規則および必要な改定にのみ焦点を当てるべきであり、今後検討すべきその結果必要となるSBsの改定に言及するべきだと強調した。

サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、附属書Ⅰ国に対し、科学およびIPCC報告書に沿った排出削減目標の規模拡大に向け約束をするよう求めた。

パプアニューギニアは熱帯雨林諸国連合(Coalition for Rainforest Nations)の立場で発言し、5年間の第二約束期間を希望すると表明する一方で、次のものが含まれるなら8年間の期間を検討する意思があるとも表明した:近く発表されるIPCC第5次評価報告書と整合する目標の一層の深化を求める中期レビューメカニズム;国内参照レベルの下でのREDD+の行動;次の4年間の約束期間における環境十全性を確保する国別MRVシステム。

フィリピンは、アルジェリア、アルゼンチン、ボリビア、中国、キューバ、コンゴ民主共和国、ドミニカ、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、インド、イラン、イラク、クウェート、マリ、モーリタニア、ニカラグア、パキスタン、パラグアイ、サウジアラビア、スリランカ、スーダン、ベネズエラの立場も代表して発言し、先進締約国に対し、2020年までに1990年比で少なくとも40-50%、2017年までに少なくとも25-40%排出量を削減するQELROsの約束を求めた。中国はBASICの立場で発言し、先進国に対し、その野心レベルを科学および歴史責任に沿ったレベルまで引き上げるよう促し、COPもしくはCMPにおいて更なる野心の議論をするよう提案した。

附属書Ⅰの更なる約束:この問題は、当初、11月27日のプレナリーで議論され、AWG-KP議長のDioufが議長を務めるコンタクトグループでも議論された。初めは、交渉進展を目指すAWG-KP議長提案 (FCCC/KP/AWG/2012/CRP.1)に基づき議論した。数値/文書についてはSandea de Wet (南アフリカ)とJürgen Lefevere (EU)が共同進行役を務めるスピンオフグループで議論され、第二約束期間に関する問題はAWG-KP副議長のUosukainenが進行役を務める非公式折衝で議論された。12月3日、CMP議長のAl-Attiyahは、Luiz Figueiredo Machado (ブラジル)とBård Vegar Solhjell (ノルウェー)が非公式閣僚アウトリーチプロセスを開催し、第二約束期間で約束を行わない締約国の柔軟性メカニズムへの参加アクセスに関係する問題および収入の一部徴収制度を他の柔軟性メカニズムにも拡大して適用する問題を議論し、AWG-KP議長を支援すると発表した。

12月6日木曜日、AWG-KP閉会プレナリーにおいて、議長のDioufは、AWG-KPの下での交渉推進を図る提案書改定案(FCCC/KP/AWG/2012/CRP.3)を提出した。同議長は、この作業は閣僚に明確なオプションを提供しようというもので、その結果をAWG-KPの作業成果に関する結論書草案(FCCC/KP/AWG/2012/L.3)に取り入れたと説明し、この草案をCMPでの採択のため送ることを提案した。AOSISは、次の文章を含むセクションなど、文書の一部に括弧書きをつけるよう要請した:締約国の緩和を記載する議定書附属書Bの改定;柔軟性メカニズム参加の適格性に関する文章;AWG-KPのマンデート達成およびその作業の結論に関する文章。締約国は、AOSISが口頭で改定したとおりのAWG-KP作業成果文書をCMPに送り、更なる審議と最終決定にかけることで合意した。

議長のDioufは、CMPへ送る文書の法律面のレビューを行うグループ結成に関し、以前の合意を想起し、このレビューにより審議が再度開催されることはないと述べた。同議長は、このグループは全ての地域グループおよびSIDSのメンバーで構成されるとし、法的レビューの結果に基づき何らかの変更が必要になった場合は、同議長がCMP議長に報告すると説明した。

第二約束期間の長さおよび野心レベルに関し、締約国の意見は分かれており、AOSIS、G-77/中国、アフリカングループおよびLDCsは、5年間の約束期間を希望した。多数の締約国が、附属書Ⅰ国が提案するQELROsの野心レベルの低さを嘆き、このレベルは科学と合致するものではないと強調した。これら締約国は、低い野心レベルでの固定化を避ける必要があると強調した。

EUとアンブレラ・グループは、8年間の第二約束期間を支持し、EUは、2013-2020年でのEU内の法律が既に効力を有していると強調した。熱帯雨林諸国連合(Coalition for Rainforest Nations)は、同グループは5年間の第二約束期間を希望すると繰り返したが、近く発表されるIPCC第5次評価報告書と合致するよう目標の一層の深化を求める中期レビューメカニズムが盛り込まれるなら、8年間の期間を検討する意思があると表明した。アフリカングループは、(第二)約束期間開始後2年以内に緩和の野心を引き上げるメカニズムの導入を支持した。

12月4日、G-77/中国は、附属書Ⅰ国が、プレッジ範囲の上限に一致するQELROsを約束し、第二約束期間の間に野心の更なる引き上げを図るとする提案を提出した。この提案は、附属書Ⅰ国に対し、第二約束期間で採択されたQELROsに関し、全体の排出削減量が2017年までに1990年比で少なくとも33%確実に削減することを求める。さらにこの提案は、附属書Ⅰ全体の排出削減量が2020年までに1990年比で45%以上の削減になるように、各締約国が遅くとも2014年までにQELROを再検討するプロセスを設置する。AOSISは、この提案を支持し、EUはこれを探求する意思があると指摘した。

2013年1月1日からの第二約束期間の法的な適用に関し、途上国は、批准の緊急性を強調し、改定を採択する期限を求めた。先進国はこれに反対し、各国の立法プロセスには一定の期間が必要であると強調した。EUは、既にEU内部の法律が施行されていることから、他の締約国の批准の時期に関わらず、第二約束期間は即時実施されると強調した。

柔軟性メカニズム参加の適格性に関し、締約国は、第二約束期間の約束を行わない附属書Ⅰ国のメカニズム参加資格を継続させるべきかどうか、継続させる場合はどのメカニズムに対してか、異なる意見を表明した。G-77/中国、アフリカングループ、LDCsは、QELROsを持つ附属書Ⅰ国だけにアクセスを限定することを支持した。EIGは、QELROsを行わない附属書Ⅰ国でもCDMへの参加を認めることを支持した。アンブレラ・グループは、柔軟性メカニズムへの広範なアクセスを支持し、多数の利点があると強調した。

余剰AAUsの繰越に関し、途上国は、第一約束期間からの余剰AAUsの第2約束期間への繰越中止を支持した。EIGは、余剰AAUs繰越の限界を強調した。スイスおよびG-77/中国を含む締約国は、この問題に関し数件の提案を提出した。G-77/中国の提案は、第二約束期間での野心引き上げの機会を支援する形で野心と相互に関連付けることに対応している。

CMP決定書:決定書(FCCC/KP/CMP/2012/L.9)において、CMPは、京都議定書の改定を採択した。この改定はその附属書Ⅰにおいて、新しい附属書Bを記載し、第二約束期間での各附属書Ⅰ国の数量化された排出制限および削減約束(QELRC)を規定する。議定書附属書Aで対象とされた温室効果ガスのリストに、3フッ化窒素(NF3)を加える改定が行われた。

議定書3.1条の改定も採択され、この中には対象となる温室効果ガスの附属書Ⅰ国全体の排出量を2013年から2020年の約束期間に少なくとも1990年比で18%削減するとする目標が含まれた。3.1条には新しい規定が加えられ、附属書B記載の締約国は附属書B記載の自国のQELRCを「削減するための調整を提案できる(may propose an adjustment to decrease)」とされ、この提案は出席し投票する締約国の4分の3以上がその採択に反対しない限り、CMPで採択されることになる。

CMP決定書は:発効を待つ間、締約国は、暫定的に改定を適用できると認め;各附属書Ⅰ国は遅くとも2014年までに第二約束期間のQELRCを再検討し、2020年までに全体のGHG排出量を1990年比で少なくとも25-40%削減する目標に沿い、自国のQELRCの野心を引き上げることができると決定する。

柔軟性メカニズム参加の適格性に関し、CMPは、全ての附属書Ⅰ国が新しい及び現行のCDMプロジェクトへの参加を継続できるが、第二約束期間のQELRCsを持つ締約国のみが、第二約束期間でのCERsを移転及び取得できると明確にする。さらに同決定書は、排出量取引参加のJIの適格性の要件に関し、第二約束期間のQELRCs を持つ締約国のみが、第二約束期間の排出量取引で有効となるCERs、AAUs、排出削減単位s (ERUs)、除去量単位(RMUs)を移転及び取得できると決定する。

一部徴収料に関し、CMPは、脆弱な途上国による適応コストに対処するため、2%の徴収税配分制度を排出量取引およびJIに対して拡張すると決定する。余剰AAUsの繰越に関し、CMPは:

• 第二約束期間のQELRCsを有する附属書Ⅰ国に対し、「前期余剰留保(previous period surplus reserves)」の設置を求める;

• 附属書Ⅰ国の国家登録簿に記載するCERsまたはERUsで取り消しまたは償却がされていないものは当該締約国の各ユニットタイプの割当量のうち最大2.5%まで次の約束期間に繰り越せると決定する;

• 締約国の国家登録簿に記載されるAAUsで、償却も取り消しもされていないAAUsは、当該締約国の第二約束期間における割当量に加算でき、前期の余剰留保口座(surplus reserve account)に移せると決定する;

• 余剰のCERs、ERUs、もしくはAAUsを有する締約国は、その排出量が割当量を超過した場合には、余剰分を約束達成に利用できる;

• 締約国は、その第一約束期間の割当量の2%以下の範囲において、他の締約国の前期余剰留保口座のユニットを取得し、自国の同様の口座に入れることが認められる。

CMP決定書の附属書Ⅱには、余剰AAUsに関する政治宣言が盛り込まれており、この中でオーストラリア、EUとその加盟国、日本、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、スイスは、第一約束期間から繰り越された余剰AAUsの購入も利用も行わないと宣言する。

CMPは、AWG-KPがそのマンデートを達成し、作業を完了したと決定してその活動を終了する。

閉会プレナリー:AWG-KPの閉会プレナリーは12月6日に開催された。アルジェリアはG-77/中国の立場で発言し、2013年1月1日からの京都議定書の下での野心的な第二約束期間の運用化、附属書Ⅰ国による野心的なQELROsの約束など、保留問題に焦点を当てた。同代表は、ガンビアと共に、LDCsの立場で、第二約束期間で約束を行わない附属書Ⅰ国の柔軟性メカニズムへのアクセスを制限する決定を求めた。LDCsは、さらに暫定的に適用される5年間の野心的な第二約束期間を支持した。

スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、閣僚が必要な政治決定を行えることを希望すると表明した。同代表は、第二約束期間は次のものであるべきだと述べた:余剰AAUsの繰越を排除する;第二約束期間のQELROsを持つ締約国のみが柔軟性メカニズムに参加可能とする;(第二)約束期間の開始から2年以内に緩和野心を引き上げるメカニズムを含める。

EUは、締約国に提起された文書は、AWG-KPがドーハ会合で実現が期待されるバランスの取れた成果に貢献することを示すと強調した。同代表は、第二約束期間で約束を行う全ての締約国に対し、間断のない市場メカニズムへのアクセスを確保する必要があると指摘し、現在の文章はこの懸念に対応していると指摘した。附属書B締約国による第二約束期間でのQELROs強化の可能性に関し、EUは、G-77/中国が提案する野心メカニズムを探求する意思があると指摘した。同代表は、余剰AAUs繰越問題の重要性を認識する一方で、2013年から2020年の間ではそのようなAAUsに対する需要は最小限になると指摘した。

オーストラリアは、アンブレラ・グループの数カ国を代表して発言し、多くの問題での意見の集約を指摘し、8年間の第二約束期間、市場メカニズムへの参加拡大など合意が必要な主要要素に焦点を当てた。同代表は、AWG-KPは「相当に広範な共有の努力の一部(part of a much broader, shared endeavor)」だと強調した。

フィリピンは、台風ボーファによる自国の被害に注目するよう求めた。同代表は、締約国に対し、「今年を我々が望む将来にむけ責任を取る勇気を持つ年にする(let this be the year we found the courage to take responsibility for the future we want)」ため、「直面する厳しい現実に目を見開く(open their eyes to the stark reality we face)」よう訴え、さらに参加者に対し、「我々でなければ、誰がするのだ?今でなければいつするのだ?ここでなければどこでするのだ?(If not us, then who? If not now, then when? If not here, then where?)」と問うた。

スイスはEIGの立場で発言し、ドーハでの議定書改定の採択により、第二約束期間への切れ間のない移行が確保されると述べた。同代表は、次の必要性を強調した:第一約束期間からの余剰AAUsの繰越に制限を加え第二約束期間の環境十全性を確保する;QELROsを行わない附属書Ⅰ国にもCDM参加を認める。同代表は、「これから一層頻度を増して発生すると見られるものの証拠(a testimony of what can be expected to take place more frequently)」であると述べたボリビア同様、フィリピンの人々との連帯感を表明した。ボリビアは「から手形(empty promises)」に対し警告し、低い野心レベルは一部の人々にとり「死の宣告(death sentence)」に値すると説明した。同代表は、自主的な約束という考えに反対し、先進国は7年間でも野心レベルを引き上げておらず、「なぜ今、彼らが信じられるべきか(why should they be believed now)」と述べた。

セントルシアはAOSISの立場で発言し、特に、次の点を求めた:5年間の約束期間;附属書Ⅰ国は自国のプレッジの上限そしてそれ以上のプレッジに向け動き、前提条件をなくす;ドーハで採択される議定書改定の暫定的適用;第二約束期間の約束をする附属書Ⅰ国のみへの柔軟性メカニズム参加の制限。同代表は、野心メカニズムに関するG-77/中国の提案がAWG-KP文書に記載されていないと指摘し、この提案は「検討中(remains on the table)」との同代表の見解を強調し、このメカニズムは遅くとも2014年までには「実を結ぶ(bear fruit)」べきだと強調した。

AWG-KPは、報告書 (FCCC/KP/AWG/2012/L.2)を採択し、議長のDioufは午後12時24分、会合の閉会を宣言した。

強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会

11月27日、ADP 1の再開会合が開会され、ADP共同議長のJayant Moreshwar Mauskar (インド)は、バンコクでの進展を認め、2015年までの合意実現の重要性を強調した。同共同議長は、締約国に対し、「バンコクの精神(in the spirit of Bangkok)」に則り協力して作業し、目標を達成するよう求めた。ADP共同議長のHarald Dovland (ノルウェー)は、ドーハでのADP会合の目標は2013年のADP作業計画の策定継続、現在の緩和ギャップを克服し、2015年までに新しい合意を実現するための努力を進めることだと指摘した。

アルジェリアはG-77/中国の立場で発言し、ADPの下での議論は締約国が主導する十分な参加性と透明性を持つものにすべきであり、その成果は衡平性やCBDRの原則に則るものにすべきだと強調した。

エジプトはアラブグループの立場で発言し、次の点を求めた:結果ベースの目標での合意;条約の原則との適合;緩和、適応、実施方法の考慮。オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、ADPがそのマンデートを実現するために必要な作業を行うため、明確な計画を示すよう求めた。

EUは、ドーハでバランスの取れた成果を挙げるには、ADPの作業において次のステップに関する合意を示し、2015年の合意採択に向け政治的モーメンタムを提供する決定書を打ち出すべきだと強調した。スイスはEIGに代わり発言し、将来の合意は法的拘束力があり、地球規模で適用され、差異を認め、比較可能かつ透明性のある目標を含めるべきだと述べた。

ナウルはAOSISの立場で発言し、ダーバン・プラットフォームの下で立ち上げられたプロセスは、規則ベースで法的拘束力のある体制を強化する、条約の下での新しい議定書を結果として得るべきだと述べた。ガンビアはLDCsの立場で発言し、ドーハでの同国らのプライオリティとして、京都議定書の下での法的拘束力のある批准可能な第二約束期間の採択、そして強力な資金約束が含まれると述べた。

パプアニューギニアは熱帯雨林諸国連合(Coalition for Rainforest Nations)の立場で発言し、REDD+の実施を重要な構成要素として盛り込む、明確かつ野心的な行動計画および作業プログラムを採択するよう求めた。コンゴ民主共和国は、インド、中国、フィリピン、エルサルバドル、ドミニカ、エジプト、サウジアラビア、ボリビア、アルゼンチン、パキスタン、スリランカ、スーダン、ベネズエラ、マレーシア、エクアドル、ニカラグア、アルジェリア、イランの立場で発言し、BASICの立場で発言した中国と共に、ADPは条約の原則について「再交渉、書き直し、あるいは再解釈」をする場ではないと強調した。

チリは、コロンビア、コスタリカ、パナマ、ペルーの立場を代弁し、国情の変化を指摘し、途上国が低炭素成長モデルに向け動くためには、インセンティブが必要だと指摘した。エクアドルは米州ボリバル同盟(Bolivarian Alliance for the Peoples of our America (ALBA))の立場で発言し、ダーバン・プラットフォームの将来はドーハにおいて京都議定書の下での野心的な法的拘束力のある約束が採択されるかどうかに絡んでくると強調した。

スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、2020年以前の緩和に関する作業は野心のギャップを狭める新たな機会を提供するが、京都議定書そしてAWG-LCAの下での約束の代わりになるわけではないと強調した。

ADPは、5月のボン会合で採択された議題書(FCCC/ADP/2012/agenda)の下で作業を続けた。

決定書1/CP.17の全要素の実施:ADPプレナリーは、11月27日に初めてこの問題を取り上げた。続いてADP共同議長によるコンタクトグループおよび非公式折衝で議論した。さらに締約国は、ワークストリーム1 (決定書1/CP.17のパラグラフ2から6に関する問題)およびワークストリーム2 (決定書1/CP.17のパラグラフ7と8に関する問題)でそれぞれ数回のラウンドテーブル会議を開催した。予定されていたADPの会議は、特に途上国がAWG-LCAに集中したいとの希望を表明したため、第2週に数回にわたり延期もしくは中止された。ADP結論書およびCOP決定書がドーハ気候ゲートウェイの一部として採択された。

ワークストリーム1の議論では、特に、ADPで作成される新たな法的合意における条約の原則の役割が議論された。ワークストリーム2では、次の点が議論された:ADPの下でのバランスの取れた作業とは何を意味するか;プレッジに追加的および補足的な、国際的および国内の行動および国際協力イニシアティブ;緩和野心を引き上げるためのテーマ別アプローチ。さらに締約国は、2013年のADP作業計画について議論した。

条約の原則に関し、アンブレラ・グループ、EU、コロンビアは、条約の原則は「進化する文脈(evolving context)」の中で見るべきとの見解を表明し、衡平性原則については公平性と変化する現実の反映の観点から更なる議論を重ねる必要があると指摘した。多数の途上国が、いかなる「条約の原則の書き直しや再交渉(rewriting or re-negotiation of Convention’s principles)」にも反対すると強調し、中国は、CBDR原則がADPの作業を導くべきだと示唆し、米国、その他はこれに反対した。

ワークストリーム2に関し、ナウルはAOSISの立場で、「2020年までの緩和野心強化(enhancing pre-2020 mitigation ambition)」に関する決定書草案文書を発表した。この文書は、現在ある「2020年」前の緩和野心のギャップをなくすことの緊急性を強調し、数個の題目分野に関する一連のワークショップ開催を含む、2013年の詳細な作業計画を示す。数カ国の締約国は、AOSISの文書は議論を進めるのに役立つ提案だとしてこれを歓迎した。一部の締約国は、作業計画に特定の題目を加えるよう提案した。この中にはHFCs、黒色炭素、化石燃料補助金が含まれた。しかし他の締約国は、詳細を盛り込み過ぎると非効率に結び付く可能性があるとしてこれに警告した。

国際行動、国内行動、国際協力イニシアティブ、テーマ別アプローチに関し、アンブレラ・グループとブラジルは、多様な利害関係者をテーマ分野に参加させ、インセンティブを提供するボトムアップアプローチを支持した。EUは、既にある緩和行動に追加的な行動に焦点を当て、補足的な国際協力イニシアティブについては透明性を強調するよう主張した。EIG、EU、LDCs、マーシャル諸島は、国際協力イニシアティブは最も効率の良いオプションではないと強調し、最も緩和ポテンシャルが大きいオプションに焦点を当てるべきことを要請した。

2013年の明確な作業計画の要素に関し、締約国は、ワークストリーム1は概念を構築する段階にあることで合意し、しかしながら、このことがワークストリーム2で緊急に必要とされる作業を妨げることがあってはならないと指摘した。アンブレラ・グループ、EIG、AOSIS、EU、コスタリカは、ADPの交渉が軌道に乗っているとの強力な政治シグナルを出す必要があると強調した。

12月7日金曜日の夜、共同議長は、結論書草案(FCCC/ADP/2012/L.4)そして決定書草案 (FCCC/ADP/2012/L.5)をADP閉会プレナリーに提起し、これらの文書を「バランスをとるエクセサイズ(balancing exercise)」であると述べた。プレナリーでは、結論書草案に関する意見交換が行われ、提案されている提出文書の範囲およびADPワークショップの頻度と目的に焦点が当てられた。決定書草案に関する締約国の議論の中心となったのは、リオ+20の成果文書への言及に関する提案であった。米国、ノルウェー、メキシコ、その他は、リオ+20はダーバン・プラットフォームより広範な「政治的(political)」文書であり、「明確さの欠如(a lack of clarity)」は有益ではないと述べ、これらの言及の削除を支持した。中国、インド、アラブグループの立場で発言したエジプト、そしてボリビアは、宣言については全ての締約国が合意しており、これにはCBDRの原則を認識する気候変動に関するステートメントも含まれたと強調した。共同議長のDovlandは、合意のないパラグラフに括弧書きを付け加え、ADPは、最終決定のためこの決定書草案をCOPへ送ることで合意した。

最終成果:結論書において、ADPは、特に:

• 審議を直ちに進めることで合意する;

• 2013年にはさらに焦点を絞った作業モードへ移ると決定する;

• 締約国の代表および承認されたオブザーバー組織の広範な参加を奨励することで合意する;

• 次の点に関する両ワークストリームに関する文書提出を勧める:ADPにおける条約の原則の適用;緩和および適応の便益;障壁、これを克服する方法、行動のためのインセンティブ;実施を支援する資金、技術、キャパシティビルディング。

決定書(FCCC/CP/2012/L.13)において、COPは、特に、2020年より前の野心のギャップをなくす一連の行動について、オプションを2013年に特定、探求し、これは条約の下で可能な最大の緩和努力を確保するため2014年の作業計画で更なる活動を特定できることを視野に入れる;ハイレベルな参加の重要性を強調;ADPは、COP 20より遅くない時点に交渉文書案の要素を決定し、2015年5月より前に交渉文書が利用できるようにすることを視野に入れる、ことを決定する。

閉会プレナリー:閉会プレナリーは12月7日金曜日に開催された。ADPは報告書 (FCCC/ADP/2012/L.3)を採択した。共同議長のDovlandは、最終週が「極めて忙しかった(hectic)」と認め、来年は「リラックス(relaxed)」した会議を歓迎すると述べた。ADPは午後10時19分に閉会した。

実施に関する補助機関

SBI 37は、11月26日月曜日に開会し、Tomasz Chruszczow (ポーランド)が引き続きSBIの議長を務めた。締約国は、議題書および作業構成書(FCCC/SBI/2012/16)を採択した。SBI閉会プレナリーは、12月2日日曜日に結論書を採択した。このセクションでは、COP/CMPの交渉およびSBIに託された問題の議論の成果をまとめる。

附属書国別報告書:第5回国別報告書:この問題は11月26日、SBIで検討された。SBIは、第5回国別報告書の提出状況およびレビューに関する報告書(FCCC/SBI/2012/INF.11)に留意した。

1990-2010年のGHGインベントリデータ:この問題は11月26日、SBIで検討された。SBIは報告書 (FCCC/SBI/2012/31)に留意した。

議定書締約国による年次取りまとめ算定報告書:この問題は当初11月26日のSBIで議論された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.28)において、SBIは、COPが報告書(FCCC/KP/CMP/2012/9 & Add.1)に留意することを推奨する。COPは12月7日金曜日、報告書に留意した。

非附属書Ⅰ国別報告書:非附属書Ⅰ国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)この問題(FCCC/SBI/2012/17, 18, 25, 26, 28, 32 and INF.15)は11月26日のSBIプレナリーで議論され、Anne Rasmussen (サモア)とKiyoto Tanabe (日本)が進行役を務める非公式折衝でも取り上げられた。締約国は、CGEのマンデートに関する問題の審議を終了できず、括弧書きのついた文書をCOPに送ると決定した。SBI閉会プレナリーは、12月2日日曜日、結論書を採択し、括弧書きのついた決定書をCOPに送った。この問題は、Anne RasmussenとKiyoto Tanabeが進行役を務める非公式折衝でCOPによるさらに議論された。COP決定書は12月7日に採択された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.53/Rev.1)において、SBIは、特に:

• 5回のCGEの非附属書Ⅰ国のための実践訓練の地域ワークショップの進捗状況報告書を歓迎する;

• ワークショップの内容を、ビデオ会議ツールを利用して遠隔地に提供し、最大限の参加を図ろうとするCGEの努力を賞する;

• e-学習プログラムの開発や非附属書Ⅰ国別報告書の作成に携わる専門家のためのウェブベースのネットワーク設立など、CGEで計画されている活動の実施の進展に感謝を持って留意する;

• 事務局に対し、国家GHGインベントリ、脆弱性と適応、緩和評価の最新の訓練資料など、UNFCCCのウェブサイトでは現在英語のみしか利用できない資料を、他の国連の公式用語に翻訳するよう要請する;

• 附属書Ⅱ国および他の附属書Ⅰ国で資金を提供できる立場にある国に対し、CGEが計画中の活動を実施できるよう資金の提供を求め、二国間、多国間、国際機関に対し、CGEの作業への支援継続を推奨する。

COP決定書(FCCC/CP/2012/L.

6)は、特に:CGEのマンデートを1年延長し; CGEに対し、2013年の作業プログラム作成を要請し;SBI 38での審議のため決定書草案文書をSBIに送る。

資金および技術援助:この問題(FCCC/SBI/2012/INF.10 and FCCC/SBI/2012/MISC.15)は、当初、11月26日のSBI開会プレナリーで取り上げられ、Anne RasmussenとKiyoto Tanabeが進行役を務める非公式折衝で議論された。SBI閉会プレナリーは12月1日土曜日、結論書を採択した。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.52)において、SBIは、特に:

• 隔年更新報告書(BURs)の作成に対する十分な資金援助および技術援助の利用可能性に関し、非附属書Ⅰ国の懸念に留意する;

• 2012年10月1日の時点で地球環境ファシリティー (GEF)が受理したBURs作成のための支援要請は4件に過ぎないことを「懸念を持って(with concern)」留意し、非附属書Ⅰ国に対し、第1回のBUR作成に対する支援要請をGEFに提出するよう促した;

• 非附属書Ⅰ国のコロンビアが、最新の国別報告書作成のコストおよびGEFから受理した資金に関し提出した文書(FCCC/SBI/2012/MISC.15)に留意し、他の非附属書Ⅰ国に対し、この問題に関するそれぞれの意見を提出するよう求める;

• GEFに対し、開発途上締約国が条約12条1項の下での報告義務を果たすためのコストとして合意された全額を満たすに十分な資金の提供を確保し続けるよう推奨する;

• 国連開発計画(UNDP)および国連環境計画 (UNEP)が合同で管理する新しいプロジェクトで、非附属書Ⅰ国による国別報告書およびBURsの作成に対するロジスチック支援および技術支援を提供するプロジェクトについてのGEFの報告書に謝意を持って留意する;

• COP 18が、非附属書Ⅰ国によるBURs作成への技術支援を行う資金を提供するようGEFに要請することを推奨し、そのような技術支援のコストがBURs作成のための資金から差し引かれることはないと認識し、GEFに対し、COP 19にこのことの報告をするよう求める。

NAMAs:レジストリのプロトタイプ:この問題は、当初、11月26日のSBI開会プレナリーで取り上げられ、Soren Jacobsen (デンマーク)とWondwossen Sintayehu (エチオピア)を共同議長とするコンタクトグループ会合および非公式折衝で議論された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.39)において、SBIは、COPのための決定書草案を提案し、これは12月7日に採択された。この決定書において、COPは、特に:

• 開発途上締約国によるNAMAsのレジストリへの提出に謝意を持って留意する;

• 先進締約国、ならびにそれが行える立場にある公共および民間の提供者に対し、NAMAsの作成そして/または実施のために利用可能な、そして/または提供された資金援助、技術援助、キャパシティビルディング支援に関する情報を提出するよう再度促す;

• 開発途上締約国に対し、さらなる個別のNAMAsに関する情報を提出するよう求める;

• 事務局に対し、COP 19会合の少なくとも2カ月前に動的なウェブベースのレジストリ初版を利用可能な状態にするよう要請し、レジストリの運用開始を図ると決定する。

ICAの技術専門家:この問題(FCCC/SBI/2012/INF.9)は、当初11月26日のSBIで取り上げられ、Soren JacobsenとWondwossen Sintayehuを共同議長とするコンタクトグループ会合および非公式折衝でも議論された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.50)において、SBIは、COPによる更なる審議のための決定書草案を提案した。COP閉会プレナリーは、COP 19での決定を推奨するとの考えで、この文書をSBI 38に送った。

資金:資金メカニズムのレビュー:この問題は当初11月26日のSBIで取り上げられ、続いてAna Fornells de Frutos (スペイン)とSuzanty Sitorus (インドネシア)を共同進行役とする非公式折衝で議論された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.45)において、SBIは、COPのための決定書草案を提案し、COPはこれを12月7日に採択した。この決定書において、COPは:

• 資金メカニズムの第5回レビューを開始すると決定する;

• 常任委員会に対し、COP 20での審議で資金メカニズムの第5回レビューを最終決定するよう、資金メカニズムのレビューに関するガイドラインの更なる改定とCOP 19での審議と採択にかける最新のガイドライン案の提供を要請する;

• 常任委員会に対し、資金メカニズムの第5回レビューに関する作業の進捗状況について、SBIに最新状況を定期的に報告するよう要請する;

• 締約国に対し、資金メカニズムの第5回レビューの更なるガイドラインに関し、それぞれの見解を2013年3月1日までに提出するよう求める。

GEF報告書および追加ガイダンス:この問題(FCCC/SBI/2012/MISC.10, INF.10 and FCCC/CP/2012/6)は、当初11月26日のSBIで取り上げられ、Ana Fornells de FrutosとSuzanty Sitorusを共同進行役とする非公式折衝で議論された。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.48)において、SBIは、決定書草案を提案し、COPは12月7日、これを採択した。決定書(FCCC/CP/2012/L.7)において、COPは、特に:

• 資金提供者の締約国に対し、GEFの第5回資金補充のため、資金提供約束を果たすよう求める;

• 締約国に対し、条約の資金メカニズムの運用組織に対する毎年のガイダンス作成で考慮されるべき要素に関し、それぞれの見解を毎年事務局に提出するよう求める;

• 常任委員会に対し、GEFの年次報告書および締約国の提出した意見書に基づきGEFへのガイダンス草案をCOPの各会合に提出するよう要請する。

適応基金の第1回レビュー:この問題(FCCC/SBI/2012/INF.8/Rev.1, FCCC/SBI/2012/MISC.11 & Add.1, FCCC/KP/CMP/2012/7, FCCC/SBI/2012/INF.2, FCCC/KP/CMP/2011/MISC.1 and FCCC/KP/CMP/2011/6 & Add.1)は11月26日のSBIで取り上げられ、Ruleta Camacho (アンティグア・バーブーダ)とDiane Barclay (オーストラリア)を共同進行役とする非公式折衝で議論された。

議論で焦点があてられたのは、適応基金の適切性と持続可能性、暫定理事(interim trustee)の任期延長の可能性であった。基金の適切性、持続可能性に関し、一部の先進国は、CMPの下での適応基金報告書に関する議題項目、もしくはCOPの下での常任委員会報告書に関する議題項目の下で議論することを提案した。多数の途上国が、予定がタイトであるという理由でこのグループでこの問題の審議を行わないということがあってはならないとし、文書のパラグラフ保持を支持した。暫定理事の任期延長の可能性に関し、ある締約国は、オープン的な要請プロセスを提案した。しかし多数の先進締約国は、暫定理事の制度保持に関する適応基金理事会の提案受け入れを支持した。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.46)において、SBIはCMPでの採択にかける決定書草案を提案し、これは12月7日に採択された。この決定書において、CMPは、特に:

• 適応基金の理事の暫定的な制度アレンジ(世界銀行)を2015年6月まで延長すると決定する;

• 適応基金理事会 (AFB)の事務局の暫定的な制度アレンジを2014年の適応基金第2回レビュー完了まで延長すると決定する;

• AFBに対し、CERsの収益化(monetizing)プロセスの更なる強化に関し、適応基金の暫定理事との作業を継続するよう推奨する;

• AFBに対し、同基金からの資金提供へのアクセス可能性をさらに改善する方法、特に直接アクセス手段について検討するよう要請する;

• 現在のCER価格に関する不確実性、ならびに京都議定書第二約束期間およびそれ以降の適応基金継続に関する不確実性により、適応基金からの資金の持続可能性、適切性、予測可能性に関し問題があることに懸念を持って留意する;

• SBI 38に対し、適応基金の第2回レビューを開始するよう要請する。

LDC基金:この問題(FCCC/SBI/2012/27, INF.13, MISC.12 & Add.1, MISC.13 and FCCC/CP/2012/6)は当初11月26日のSBIで取り上げられ、Ana Fornells de FrutosとSuzanty Sitorusを共同進行役とする非公式折衝でも議論された。SBIは COP決定書案を含む結論書草案を12月1日に採択した。

最終成果:結論書(FCCC/SBI/2012/L.49)において、SBIは決定書草案を提案し、COPは12月7日、これを採択した。この決定書において、COPは、特に:

• GEFに対し次のことを行うよう要請する: LDC作業プログラムの全活動に対する支援を続ける;LDC作業プログラムの全面的な実施を確保するため、資源の動員を続ける;LDC基金へのアクセスをさらに容易なものにする;国別適応行動プログラム(NAPA)のプロジェクト実施における国家主導プロセスの更なる強化を図る。

• 附属書Ⅱ国およびそれを行える立場にある他の締約国からのLDC基金への自主的な資金供与を求める;

• 締約国および関連組織に対し、LDC作業プログラムの残された要素を実施する上での知見について、情報を2014年8月1日までに事務局に提出するよう求める;

• SBI 41に対し、NAPAsの更新および実施など、LDC作業プログラムで残された要素の実施における進捗状況を検討するよう要請する。

条約4.8条および4.9:  ブエノスアイレス作業計画: この問題は11月26日のSBIで取り上げられた。SBI議長は、SBI 38で関係国との協議を継続する。

LDC関連の問題: この問題(FCCC/SBI/2012/27)は11月27日開催のSBIプレナリーで取り上げられ、Collin Beck (ソロモン諸島)の進行により非公式協議で検討された。

最終結果:結論書 (FCCC/SBI/2012/L.35)で、SBIは、特に

• LDC専門家グループ (LEG)に対して、GEF及びその代理機関と協力し、LDC基金のアクセスに関して一部のLDC締約国が提起した問題をさらに調査するよう要請;

• LEGに対して、国別適応計画作成のためLDCをさらに支援するための方策に関する意見を提出するよう要請;

• LEGに対して、SBI 38と連動する形でLDC国別適応計画に関するイベントを計画するよう要請;

• その立場にある締約国に対して、LEG作業計画の実施のための資金供与を続けるよう招請

適応委員会報告書: この問題(FCCC/SB/2012/3) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた後、Kishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ)が進行するSBI・SBSTA合同非公式協議で検討された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2012/L.33 および FCCC/SBSTA/2012/L.22)において、SBIおよび SBSTAは決定書草案を提案し、COPにより12月7日に採択された。COPは、特に:

• 適応委員会の3カ年作業計画案を承認;

• 適応委員会の手続き規則案を承認;

•2012年の適応委員会の委員任命が遅くなった結果、現在、任にある委員の任期は、2カ年の任期の委員においては2015年の第1回委員会会合の直前まで、また3カ年の任期の委員においては2016年の第1回委員会会合の直前までとすることを決定;

• 委員の任期を調整した結果、現在、任にある議長および副議長の任期終了は、2014年の適応委員会第1回会合の直前までとすることを決定;

• 締約国に対しては、適応委員会の3カ年作業計画の成功と時宜を得た実施のために十分な資金を利用可能にするよう奨励;

国別適応計画: この問題 (FCCC/SBI/2012/8,27,MISC.1, MISC.2 & Add.1, MISC.3, FCCC/SB/2012/3 および FCCC/CP/2012/6) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられ、Richard Merzian (オーストラリア) および Amjad Abdulla (モルディブ)が共同進行役を務める非公式協議で検討された。COPにて更なる検討の後、12月7日に決定書を採択した。

最終結果:SBI 閉会プレナリーは、結論書 (FCCC/SBI/2012/L.41)を採択した、その内容は、特に:

• 国別適応計画の策定および実施のためのLDCニーズの支援に関してLEGで特定したことに留意;

• LDC基金のもとでの国別適応計画プロセスのためのLDC支援供与をSBI 39までに運用開始することを期待;

• 特別気候変動基金 (SCCF)のもとでの国別適応計画プロセスのためのLDC以外の国々に対する支援供与の運用開始を期待;

• 先進国締約国に対して、LDC基金および SCCFへの更なる寄付を要請;

• COPで検討し最終的にとりまとめを行うための決定書草案テキストを提起することを決定

COP決定書 (FCCC/CP/2012/L.2)において、COPは:

• GEFに以下を要請する:LDCが国別適応計画を作成できるようにするための活動の合意済みのコスト全額をLDC基金から供与する; 国別適応計画プロセスのための支援提供; およびLDCが資金にアクセスできるような柔軟なアプローチの奨励;

• 先進締約国には、SCCFを介するものも含めて、LDC以外の関係ある開発途上締約国向けの国別適応計画プロセスへの資金援助を動員するよう求める;

• 締約国および関係機関に対して、LEG作業に立脚しながら、各国の制度的なアレンジやキャパシティの確立においてLDC支援を継続すること、および国別適応計画プロセスの実施のため、LDCが特定した科学および技術的なキャパシティのニーズを支援することを要請;

• UNおよびその他の関係組織、ならびに、二国間および多国間機関に対して、LDCの国別適応計画プロセスを支援するよう要請。

損失と被害: この問題(FCCC/SBI/2012/29, INF.14, MISC.14 & Adds.1-2 および FCCC/TP/2012/7) は11月26日のSBIプレナリーで取り上げられ、Don Lemmen (カナダ) および Lucas Di Pietro (アルゼンチン)が共同議長を務める非公式協議で検討された。

この問題は論争を呼び、Edna Molewe (南アフリカ) による12月5日の閣僚級協議に送られた。同代表はメカニズムのような制度的なアレンジを設置する可能性に係る主要な政治問題だと報告した。途上国から、制度的なメカニズムの提案があったが、先進国は受け入れを渋った。交渉の結果、気候変動の悪影響に対して特に脆弱な途上国における損失と被害への対応のためにCOP 19において“国際メカニズムのような”制度的アレンジの発足に関してテキストに盛り込まれた。また、このテキストでは、そうした国際メカニズムの機能およびモダリティが条約の役割に沿って明確にされることとし、総合的なリスク管理アプローチの知識向上; 関係する利害関係者との対話強化; および損失と被害への対応に向けた行動と支援の強化を含んでいる。損失と被害に関するCOP決定書は12月8日土曜日の夕方、「ドーハ気候ゲートウェイ」の一部として採択された。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L44)において、SBIは:

• 損失と被害に関する作業計画の実施における進捗状況を検討し、極端な気象現象や緩慢に襲う事象などを含めた、気候変動の悪影響に関連する損失と被害への対応に一連のアプローチが必要とされることについて留意;

• COPで検討し最終的にとりまとめを行うための決定書草案テキストを提起することを決定。

COP決定書 (FCCC/CP/2012/L.4/Rev.1)において、COPは、特に

• 損失と被害に対応するためのアプローチの実施促進における条約の役割について合意、特に、総合的なリスク管理アプローチの理解および知識向上; 関係する利害関係者との対話強化; および資金、技術およびキャパシティビルディングを含む損失と被害への対応に向けた行動と支援の強化を含む;

• 損失と被害への対応する行動を強化するよう全ての締約国に要請。特に、国家主導のリスク管理戦略およびアプローチの設計と実施; 総合的な気候リスク管理アプローチの実施; 投資を奨励し、気候リスク管理における関係する利害関係者の関与を奨励するような環境を推進することによって;

• 先進締約国に対して、資金、技術およびキャパシティビルディングを開発途上締約国に提供するよう要請;

• COP 19における、気候変動の悪影響に特に脆弱な途上国の損失と被害に取り組むための国際メカニズムのような制度的なアレンジの発足を決定;

• SBI 39までに、緩慢に襲う事象に対する可能なアプローチに関わるキャパシティ面のニーズを含めた今後のニーズについて検討するための専門家会合を実施し、経済面以外の損失や、損失と被害への対応におけるUNFCCC内外の既存の制度的アレンジのギャップに関する技術文書を作成するよう、事務局に要請。

議定 3.14 (悪影響): これらのSBIとSBSTAの合同の議論は、議定書2.3条に関するSBSTA議題項目の項でとりまとめている(49頁参照)。

対応措置に関するフォーラム および 作業計画: これらのSBIとSBSTAの合同の議論は、SBSTAの項でとりまとめている(48頁参照)。

技術移転: 技術執行委員会の報告: これらのSBIとSBSTAの合同の議論は、SBSTAの項でとりまとめとめている (47頁参照)。

気候技術センター・ネットワーク(CTCN): この問題(FCCC/SBI/2012/30) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられ、Carlos Fuller (ベリーズ) および Kunihiko Shimada (日本)が共同議長を務めるコンタクトグループおよび非公式協議で検討された。引き続き、CTCN諮問委員会の問題はCOPの下、Maria del Socorro Flores (メキシコ) が進行役を務める非公式協議で討議された。COPは、12月7日に決定書を採択した。

最終結果:12月1日に採択されたSBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.54)では、SBIは、気候技術センターのホストとCTCN諮問委員会の構成に関する覚書草案を含む、CTCの今後のホスト合意の主要な要素について議論した事務局の報告書について検討し、COPによる検討と最終とりまとめに向けてテキスト案の結論書草案を提起した。

12月7日に採択されたCOP決定書(FCCC/CP/2012/L.10) において、COPは:

• CTCの最初の5カ年のホストとしてUNEPを指定し、今後COP 23までに更新;

• CTCホストに関するCOPとUNEPとの覚書を採択;

• CTCN諮問委員会の設置;

• COP18の決定を受けてCTCの作業を速やかに開始させるべく必要なアレンジを行うようUNEPに促す;

• 技術の開発と移転のための国家指定機関の指定を締約国に要請;

• 諮問委員会を介して、CTCNがCOPに対する説明責任を負うことを再確認;

• 開発途上締約国からの要請に対するCTCNの対応の即応性や妥当性について、それらを監視・評価・審査するための規定および手続きを、CTCN諮問委員会が整備することを改めて表明。

ポズナニ戦略プログラム: この問題(FCCC/CP/2012/6) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた。その後、Carlos Fullerと Kunihiko Shimadaが共同議長を務めるコンタクトグループで討議された。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.37)で、SBIは、特に:

• 技術ニーズ評価 (TNA) の実施において36の非附属書Ⅰ国支援に向けてGEFが行った支援について認識し、他の非附属書Ⅰ国に対してTNAの実施または更新のためにGEF が行った支援について報告するよう要請;

• 気候技術センターおよび気候技術ネットワーク向けの支援に関するポズナニ戦略プログラムの要素の更なる実施の必要性を強調;

• GEFに対して、CTCNの作業のためにGEFが供与する支援について、CTCNと協議するよう要請。

条約 6 (教育・訓練及び啓発): この問題 (FCCC/SBI/2012/3, 4, 5, 19, MISC.4 およびFCCC/CP/2011/7/Add.2)は、11月26日のSBIプレナリーで取り上げられ、Tony Carrit (EU)が進行役を務める非公式協議で討議された。こうした議論の結果、条約6条に関するドーハ作業計画の合意が成立した。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.47)において、SBIは決定書草案を提起し、12月7日にCOPで採択された。COPは、特に:

• 条約6条に関する8ヶ年のドーハ作業計画(決定書の附属書に盛り込まれている)を採択;

• 進捗に関する2016年の中間見直しとともに2020年の作業計画のレビュー実施の決定;

• 2016年と2020年のレビューのため、作業計画の実施のために講じられた取り組みや措置に関する情報の提出、および経験の共有を締約国に招請;

• 非附属書Ⅰ国向けの資金供与を継続するようGEFに要請;

• 条約6条に関する、年次会合時の対話を計画することをSBIに要請;

• SBI 38で年次対話の第1回会合を開催し、最初の重点分野に焦点をあてるよう決定。

キャパシティビルディング (条約): この問題(FCCC/SBI/2012/20, 21, 22および MISC.9) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた後、Peter Wittoeck (ベルギー)が進行役を務める非公式協議で検討された。

最終結果: SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.42)で、COP 19での採択を目指して、決定書草案を提起できるよう、SBI 38でもこの問題の審議を継続することで合意。COPは12月7日、これについて留意した。

キャパシティビルディング (議定書): この問題 (FCCC/SBI/2012/21およびMISC.9) は11月26日のSBIプレナリーで最初に取り上げられた後、Peter Wittoeck (ベルギー)が進行役を務める非公式協議で検討された。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.38)において、SBIはCMPでの採択を目指して決定書草案を提起。CMPは12月7日に決定書を採択した。

CMPは、特に:

• キャパシティビルディングについての詳細な議論のためのダーバン・フォーラムは、京都議定書に係るキャパシティビルディング活動の実施に関連した経験の共有と交換のための適当なアレンジであると決定し、締約国にはキャパシティビルディングのさらなる実施の改善を奨励;

• SBI 38で開催される第2回ダーバン・フォーラムで検討するべく、途上国における京都議定書の実施のためのキャパシティビルディング関連の個別のテーマ問題について意見を提出するよう締約国に招請。

遵守に係る議定書改正: この問題(FCCC/KP/CMP/2005/2) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた後、SBI議長の代理でChristina Voigt (ノルウェー) および Ilhomjon Rajabov (タジキスタン)が議長を務めた会合で話し合いが行われた。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.40)で、SBIは:

• 遵守に係る手続きとメカニズムに関する京都議定書改正に向けたサウジアラビア提案を想起;

• 京都議定書の条項に沿って非遵守の場合の決定と対応についての手続きとメカニズムの妥当性と実効性に係る初期の懸念について留意;

• 決定書27/CMP.1の現在の実施状況および京都議定書の遵守メカニズムの更なる整備のために締約国が実施した作業について認識;

• 結論として更なる議論の必要はなく、CMPが提案の審議を完了するよう勧告。

12月7日、CMPはこの問題の審議を完了することを決定。

CDM理事会の決定に対する上訴: この問題(FCCC/SBI/2011/17、FCCC/SBI/2011/MISC.2および FCCC/TP/2011/3) は11月27日のSBIプレナリーで取り上げられ、次いで、Kunihiko Shimada (日本) および Yaw Bediako Osafo (ガーナ)が共同議長を務めるコンタクトグループで討議された。

最終結果: SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.43)において、SBIはCMP 9での採択をめざして決定書草案を提起するべくこの問題の審議をSBI 38でも継続することで合意。

約束期間リザーブ: この問題は、先ず11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた後、Karoliina Anttonen (フィンランド)が議長を務めるコンタクトグループで検討された。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.29)において、SBIは、特に、約束期間リザーブの設計のために必要な修正はないとし、第2約束期間における排出量取引の効果的な運営を支援するため、CMPでの更なる決定が必要となる可能性があると結論づけている。

国際取引ログ: この問題(FCCC/KP/CMP/2012/8) は、先ず11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた後、SBI議長 Chruszczowと関係国との話し合いが行われた。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.30)において、SBIは、京都議定書に基づく国際取引ログ管理者による年次報告書に留意し、その提言に関する審議をSBI 38でも継続することで合意。

事務管理、資金および制度的な問題: この問題(FCCC/SBI/2012/24 & Adds.1-2) は、先ず11月27日のSBIプレナリーで取り上げられた。次いで、SBI議長Chruszczowと関係国との話し合いが行われた。

最終結果:SBIの結論書二点(FCCC/SBI/2012/L.31および L.32)において、SBIは決定書草案をそれぞれCOPおよびCMPでの採択をめざし提起。

12月7日に採択された決定書において、COPは、特に: 2010-2011年の二ヶ年の監査された財務諸表と2012-2013年の二ヶ年の実行予算に留意し、SBI 38で検討するために2014-2015年の二ヶ年のプログラム実行予算案を提出するよう事務局に要請している。

12月7日に採択された決定書において、CMPは、特に: 2010-2011年の二ヶ年の監査された財務諸表と2012-2013年の二ヶ年の実行予算に留意し;SBI 38で検討するために、2014-2015年の二ヶ年のプログラム実行予算案を提出するよう事務局に要請する。

その他の問題: この議題項目の下での議論はUNFCCC諸機関における男女比や女性の参画に焦点をあてた。この問題は、先ず11月27日のSBIプレナリーで取り上げられ、EUがUNFCCC交渉や条約および議定の諸機関における締約国の代表者の中の女性の参画を向上させることによってジェンダーの平等を促進することを目指す決定書草案 (FCCC/SBI/2012/CRP.1)を提案した。その後、Nozipho Mxakato-Diseko (南アフリカ) とKunihiko Shimada (日本)の進行による非公式協議で話し合いが行われた。COPは12月7日、決定書を採択した。

最終結果:SBI結論書 (FCCC/SBI/2012/L.36)で、SBIは、UNFCCC交渉や条約および議定に則り設立された諸機関における締約国の代表者の男女比の均等化促進や女性の参画の向上に関する決定書案の採択をCOPに勧告した。

COP決定書では、特に:

• 女性の参画向上のために、全ての締約国によるさらなる取り組みが必要であると合意;

• 女性の参画を向上させ、女性と男性のニーズに等しく取り組む実効性ある気候変動政策を周知するべく、条約および議定書に則り設立された諸機関における締約国の代表者の男女比均等化の目標を採択;

• 非公式な交渉グループや協議メカニズムを設置する際に、そうした機関の現在および将来の議長に対して、男女比均等化の目標を指針とするよう要請;

• 女性の参画者の増加を目指し、締約国には、特に、条約および議定書の諸機関に女性を指名することによって、男女比均等化の目標達成に取り組むよう要請;

• 政府団の代表者の男女比均等化に向けて尽力するよう締約国に要請;

• ジェンダーと気候変動の問題をCOPの恒常的な議題項目として追加することを決定;

• 事務局に対しては、UNFCCCプロセスにおける男女比均等化、ジェンダーを意識した気候政策、および女性の参画の大幅な向上を促進するキャパシティビルディング活動、これらに関する会合開催中の(インセッション)ワークショップをCOP 19と連動して計画するよう要請;

• この決定書を承認するようCMPに要請。

12月7日、CMPは決定書を承認した。

閉会プレナリー: 12月2日日曜日、SBI 37 はその報告書 (FCCC/SBI/2012/L.27)を採択した。締約国による短い閉会の挨拶が行われた後、午前2時32分、SBIが閉会した。

科学上及び技術上の助言に関する補助機関

SBSTA37は、Richard Muyungi (タンザニア) を議長として、11月26日月曜日に開幕した。締約国により議題および作業構成書(FCCC/SBSTA/2012/3)の採択が行われた。12月1日土曜日にSBSTAプレナリーで結論書が採択された。このセクションでは、COP/CMP交渉とSBSTAに付託された問題の結果について概要をまとめる。

ナイロビ作業計画: SBSTA開会プレナリーでは、Muyungi議長が、ナイロビ作業計画 (FCCC/SBSTA/2012/INF.5)の活動実施の進捗状況を報告し、水および気候変動の影響並びに適応戦略に関するテクニカル・ワークショップの報告書(FCCC/SBSTA/2012/4)、および国別適応計画のプロセスに関するケース・スタディを編集したもの(FCCC/SBSTA/2012/INF.6)について紹介した。また、COP17がSBSTAに対してCOP 19向けの勧告を行うよう要請したことを改めて締約国に認識させた。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.26)で、SBSTAは、ユーザーが利用しやすい情報文書の新規作成や、途上国、特にLDC各国がそうした文書のアクセスにおいて直面している課題を指摘し、ナイロビ作業計画パートナーの新しいデータベースや活動の約束について指摘した。SBSTAは、ナイロビ作業計画の最善の支援策について、COP 19へ勧告することを目指し、SBSTA 38でこの問題をあらためて検討するということで合意した。

REDD+に関する方法論的な指針: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.22) は、先ず11月26日のSBSTAプレナリーで最初に取り上げられた。Muyungi議長から、この問題に係る作業は、特にMRVと国別森林モニタリングシステムについての作業が多いとの説明があった。Peter Graham (カナダ) および Victoria Tauli-Corpuz (フィリピン) による共同議長で、コンタクトグループにおいて週を通して討議が行われた。

閉会プレナリーで、本項目の諸問題について十分合意が得られなかったとMuyungi議長が報告した。ブラジル、アルゼンチン、インド、キューバ、ベネズエラ、中国は、SBSTA 38での審議継続を支持すると表明したが、米国は、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、ロシア、EU、コロンビアとともに、特にMRVについては、ドーハで共通基盤を模索する方が良いと主張した。Muyungi議長は、手続き規則案の規則26に則り、この問題をSBSTA 38で取り上げると述べた。

12月7日、Muyungi議長は、SBSTAの結論書草案採択とSBSTA 38でのこの問題の審議継続について報告した。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.31)で、SBSTAは以下について合意:

• 決定書 1/CP.16のパラグラフ71(c)  (AWG-LCAの作業の成果)に記載がある国別森林モニタリングシステム、および決定書 1/CP.16 付録 IIパラグラフ (c) に記載があるMRVに関する、モダリティに関する方法論的な指針の審議を継続;

• 国別森林モニタリングシステムおよびMRVのモダリティに関する方法論的な指針に関する作業は、これらの問題に関して作成される決定書草案の諸要素を盛り込んだ付属書をベースに作業を継続; SBSTA 39での作業完了およびCOP 19での検討および採択のための決定書草案に向けた提案作成;

• 決定書1/CP.16付録Ⅰに記載された保護策が現在どのように検討・考慮されているか、およびSBSTA 39でのこの問題の審議完了を目指した情報サマリーの提示の透明性、整合性、包括性および実効性を確保するための追加的な指針の必要性、これらに関する情報のサマリーの提示の時期および頻度に係る審議を再開;

• 森林減少や森林劣化の要因に関する諸問題に関して、決定書1/CP.16パラグラフ72および付録 IIパラグラフ (a) および締約国の見解(FCCC/SBSTA/2012/MISC.1 および Add.1) および認定オブザーバー機関の見解について留意しつつ、審議継続;

• 締約国、関連国際機関および利害関係者に対して、途上国が森林減少や森林劣化の要因にどのように対処しているかについての情報、および決定書1/CP.16パラグラフ 70に記載がある活動の実施における、それらの要因への対処で得られた経験についての情報の共有を奨励。

技術移転とTEC報告書: この問題 (FCCC/SBSTA/2012/INF.7 および FCCC/SB/2012/2) は、先ず11月26日のSBSTAプレナリーで取り上げられ、技術執行委員会 (TEC)議長のGabriel Blanco (アルゼンチン) がTECの進展について締約国に最新情報を提供した。

Carlos Fuller (ベリーズ) および Zitouni Ould-Dada (英国) が共同議長を務めるコンタクトグループは、SBIと共同で、この問題を一週間審議した。Muyungi議長が12月7日、同議長とSBI議長 Chruszczowが行った非公式協議の結果、決定書草案がまとまったとの報告を行った。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.32、FCCC/SBI/2012/L.51)で、SBSTAは、技術ニーズ評価に関する経験共有ワークショップについての報告書について歓迎し; およびNAMAや国別適応計画、低炭素排出開発戦略、技術ロードマップ、および行動計画を作成する際は、同ワークショップの成果を参照することを締約国に奨励している。

COP決定書 (FCCC/CP/2012/L.9)で、COPは、特に:

• TECに対しては、2013年の活動実績報告書の中で、TECと他の関連する制度的アレンジとの協議の結果を報告するよう要請;

• TECが、2012-2013年の作業計画用に既に計画されている活動に加えて、2013年には、特に、技術開発・移転を可能にするような環境および障害について明確なフォローアップ活動を実施することに留意;

• 技術ニーズ評価の結果を実施する必要性を強調;

• 技術ニーズ評価プロセスが、NAMAや国別適応計画、低炭素排出開発戦略を含めた条約に基づく他の関連プロセスと統合されるべきだという点で合意。

研究と組織的観測: SBSTAはこの問題を、全球気候観測システム (GCOS)に係るニーズに対応した全球観測 (FCCC/SBSTA/2012/MISC.14); および気象に係る陸域観測の方法論や基準、手続きの整備の進展(FCCC/SBSTA/2012/MISC.15)に関する最新情報とともに、SBSTA開会プレナリーで検討した。また、世界気象会議からは気候サービスのための全球枠組みの実施に関する臨時総会の報告(FCCC/SBSTA/2012/MISC.21)があった。Stefan Roesner (ドイツ) および Chris Moseki (南アフリカ) が共同議長を務める非公式協議が行われた。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.25 & Add.1)で、SBSTAは、特に:

• GCOS運営委員会と事務局が、2015年の早い時期までに、全球気候観測システムの妥当性に関する第3回報告書を、また2016年までに全球気候観測システムの新たな実施計画を作成するという計画を歓迎;

• 組織的観測に関して新たに浮上したニーズ特定への締約国の貢献を奨励;

• 長期的な衛星観測の継続・維持、および完全かつオープンなデータ共有促進における地球観測衛星委員会の役割の重要性について留意;

• 利用可能な資金に応じて、条約の他の議題項目の下でも扱われていない、高い炭素貯留をもつ生態系の技術的・科学的側面の情報を検討するためのワークショップを計画し、SBSTA 39までに開催するよう事務局に要請;

• ワークショップの内容に関する意見を提出するよう締約国に要請;

• 締約国および地域や国際的な研究計画・組織に対して、人間の諸活動の影響を定量化することを目指し、陸域生態系の排出量および除去量を含めた、炭素排出源からの排出、吸収源による除去、およびGHG全種の貯留の技術的・科学的側面に関する情報を提供するよう要請。この情報は、締約国からの意見書とともに、次回の研究ダイアログのテーマとして検討される。

対応措置に関するフォーラムおよび作業計画: SBSTAは、この問題を先ず11月26日のSBSTA開会プレナリーで検討した。SBSTAのMuyungi議長とSBIのChruszczow議長が共同議長を務め、火曜から金曜にかけてフォーラムが行われ、作業計画の分野(a) および分野 (h) (それぞれ、報告および低GHG排出社会への移行をめざした学習) についてプレゼンテーションがあり、分野(f) (関連する条約や議定書の決定書の実施に係る諸側面) に係る締約国の意見 (FCCC/SB/2012/MISC.2) について議論が行われた。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.23 および FCCC/SBI/2012/L.34)で、SBSTAとSBIは、特に: SB 38までに、作業計画の分野(a) および 分野(h)に関するフォーラム内ワークショップの報告書を作成し、分野(f)に関する締約国の議論のサマリーを提供するように議長に要請する。また、SBSTAは、COP 19への勧告をめざし、同フォーラムの作業のレビュー期間中に開催予定のフォーラム内ワークショップに関する報告書とともに、この情報をSB 39で検討するということで合意する。

議定書 2.3 (政策措置の悪影響): この問題は議定書3.14条に関するSBI議題項目と併せて検討された。SBSTA開会プレナリーでの簡単な紹介の後、Muyungi議長は今後の会合でどのようにこの問題を扱うか非公式に協議すると話した。SBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAでは議定書2.3条と3.14条の対応についての協議を終了することができなかった。会合の報告書に、SBSTAおよびSBIがSB 38でこの問題の協議を継続することが記載されている。

農業: SBSTA開会プレナリーでこの問題が最初に取り上げられた。国連食糧農業機関(FAO)から、食料の安全保障と栄養摂取に関するハイレベル専門家パネルからの報告を含め、農業と気候変動に関する報告があった。農業における適応問題を重点的に扱うという案をいくつかの途上国が支持した。この問題は、その週を通じて、George Wamukoya (ケニア) とAlexandra Conliffe (カナダ)が共同議長を務めるコンタクトグループで非公式協議が行われた。

閉会プレナリーでは、Muyungi議長から、SBSTAでは本議題項目の審議を完了できなかったとの報告があった。バングラデシュ、ブラジル、ガンビア、アルゼンチン、ニカラグア、キューバは、本項目を次回のSBSTA会合に議論を延期する案を支持した。ベネズエラをはじめとする国々が、この問題はテクニカルな問題であるため、COPに付託すべきではないと述べたのに対し、エチオピアは、ダーバンCOPにより、COP 18でSBSTAが農業に関する決定書を採択するよう定められたのだとクギを刺し、次回SBSTA会合でこの問題の審議を継続するかどうかCOPで決定することを提案した。その後の意見のやり取りの結果、Muyungi議長は、この問題に関してコンセンサスが得られなかったため、次回のSBSTA会合で農業問題を審議するとCOPに報告すると言った。

SBSTAのMuyungi議長は、12月7日、この問題をSBSTA 38でも取り上げることをCOPに報告した。

方法論の問題 (条約): SBSTAは、11月26日、条約の下での方法論に関する問題におけるすべての議題項目を取り上げた。

先進締約国向けのUNFCCC隔年報告ガイドラインのための算出表様式に関する作業計画: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.11 & Adds. 1-3) は開会プレナリーで取り上げられた。先進締約国向けのUNFCCC隔年報告ガイドラインのための共通算出表様式に関するワークショップについての報告書 (FCCC/SBSTA/2012/INF.13)、および締約国の見解に関する意見書の統合報告書(FCCC/SBSTA/2012/INF.4) が紹介された。Helen Plume (ニュージーランド) とQiang Liu (中国)が共同議長を務める非公式協議が行われた。閉会プレナリー中において、Muyungi議長が未だ議論で合意に到達しておらず決定書草案をCOPに提出することでは合意に至ったと報告した。その後、この問題はCOP議長の要請によりMuyungi議長による非公式協議で討議され、12月7日のCOP閉会プレナリーで決定書が採択された。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.33)で、SBSTAはCOPでの審議および最終とりまとめをめざして決定書草案をCOPに送ることで合意する。COP決定書 (FCCC/CP/2012/L.12)は、特に、決定書の付属書に記載されている通り、UNFCCC隔年報告ガイドラインのための共通算出表様式を採択する;次回の報告ガイドライン改訂時に気候関連の民間資金について今後報告を行うための最善のアプローチについて検討することを締約国に要請する。

国別インベントリのレビューを含む、隔年報告書と国別報告書のレビューのガイドライン改訂に関する作業計画: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.17 & Add.1) は開会プレナリーで取り上げられた。事務局は、現行のレビュープロセスに関するテクニカル・ペーパーと、国別報告書と国別GHGインベントリのレビューを整理した事務局の知見 (FCCC/TP/2012/8)を紹介した。また、締約国の意見書をまとめた統合報告書(FCCC/SBSTA/2012/INF.11)についても紹介された。Helen Plume および Qiang Liuが共同議長を務める非公式会合が11月28日に開催された。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.28)で、SBSTAは、特に、2013年、2014年の具体的な日程および活動と共にレビューのガイドラインの改訂に関する作業計画について合意。SBSTAは、国別報告書および隔年報告書のレビュー・ガイドライン改訂をCOP 19までに終了させる一方で、GHGインベントリのレビュー・ガイドライン改訂はCOP 20までに終了させることになることに留意する。また、SBSTAは、2013年と2014年にテクニカル・ワークショップを開催するよう事務局に要請する。

途上国による国内支援を受けたNAMAの国内MRV向けの一般的なガイドライン: SBSTAはこの問題について開会プレナリーで簡単に議論し、その後はHelen Plume および Qiang Liu.共同議長により、11月28日から12月1日の非公式協議は開催された。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.24)で、SBSTAは、ガイドラインは以下の通りであるべきであると合意する: 一般的で、自主的で、現実的で、指示されたものでなく、押し付けられたものでなく、国家の主導によるものであること;各国の状況を考慮に入れ;NAMAの多様性を尊重し;既存の国内制度や能力に立脚し;既存の制度を認識し;費用対効果のあるアプローチを促進する。SBSTAは、2013年3月25日までにガイドラインに関する意見を提出するよう締約国に要請請する。さらに、SBSTAは、COP 19にガイドライン草案を付託するようSBSTA 39でガイドライン作成プロセスを継続することで合意する。

バンカー燃料: SBSTA開会プレナリーで ICAOおよびIMOから関連作業についての報告があった(FCCC/SBSTA/2012/MISC.20)。この問題に対するCBDR原則の適用性が最初の議論の焦点となった。日本は、操業国や登録国のいかんにかかわらず、国際的な規制を世界各国一律で適用させるべきだと主張した。他方、多くの途上国はCBDRの重要性を強調した。

SBSTA閉会プレナリーで、ICAOおよび IMOの進捗報告書に記載された情報に留意し、この問題に関して今後も報告を続けるようこれらの機関に要請した。

附属書Ⅰ国のGHGインベントリのテクニカル・レビューに関する年次報告書:開会プレナリーで、SBSTAは附属書Ⅰ国のGHGインベントリのテクニカル・レビューに関する年次報告書(FCCC/SBSTA/2012/INF.10)に留意した。Muyungi議長は、レビューに参加させる新たな専門家を指名するよう締約国に奨励した。

方法論の問題 (議定書): 11月26日、SBSTAは議定書の下での方法論に関する問題の下のすべての小項目についての議論を開始した。

CDMに基づく炭素回収貯留: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.12 & Add.1) は、SBSTA開会プレナリーで紹介され、国際的な炭素回収貯留(CCS)プロジェクト活動に関するテクニカル・ペーパー (FCCC/TP/2012/9)に基づく報告があった。Ulrika Raab (スウェーデン) とAbias Moma Huongo (アンゴラ)を共同議長とするコンタクトグループ会合が11月28-29日に行われた。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.21)で、SBSTAは、特に、CDMに基づく国際的なCCSプロジェクトの適格性およびCCSプロジェクト活動のためのCERsの国際リザーブの構築をSBSTA 45で検討することをCMPに勧告することで合意;国際的なCCSプロジェクトはCDMの対象に含めるに値するものの、さらなる実務経験が役立つとの点で合意。

決定書 (FCCC/SBSTA/2012/L.21)で、COPは以下について決定:

• 二国間のCO2輸送や複数国にまたがる地層貯留サイトに係るCCSプロジェクト活動のCDM対象としての適格性、および地層貯留CCSプロジェクトの国際CERリザーブの構築について、SBSTA 45で検討;

• 二国間のCO2輸送や複数国にまたがる地層貯留サイトに係る地層CCSプロジェクトはCDMの対象に値するものの、CDMに基づく地層CCSプロジェクトのさらなる実務経験が有用となる。

議定書3.3条・3.4条およびCDM に基づくLULUCF: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.16、MISC.18 & Add.1 および MISC.19 & Add.1) は開会プレナリーで紹介された。Muyungi議長は、排出源や吸収源の総合的な算定や追加的なLULUCF活動に対するモダリティや手続きなど幾つかのLULUCF問題はCMP 9の検討に付すということで既にSBSTAは合意していることを参加者に改めて説明した。Peter Iversen (デンマーク) とMarcelo Rocha (ブラジル)が共同議長を務めるコンタクトグループが11月28-30日に開催された。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.30)で、SBSTAは、決定書草案をCMP 9に付託することを目的として、SBSTA 38で以下の検討を継続することで合意する:より包括的な活動ベースまたは土地ベースのアプローチを通じた、人為起源GHGのLULUCFに由来する排出源による排出量と吸収源による吸収量の総合算定; CDMに基づく可能となる追加的なLULUCF活動のためのモダリティと手続き、および非永続のリスクに対処する代替アプローチ。

方法論の問題に関する以前の決定書に対する決定書 2/CMP.7 および 決定書5/CMP.7の影響: この問題(FCCC/SBSTA/2012/MISC.13) は、先ず開会プレナリーで取り上げられた。SBSTAでは、ワークショップからの報告書 (FCCC/SBSTA/2012/INF.12)と本項目に関するテクニカル・ペーパー (FCCC/TP/2012/6)についても検討した。Nagmeldin Elhassan (スーダン) と Anke Herold (ドイツ)を共同議長として、その週いっぱいコンタクトグループが開催された。

最終結果: SBSTA結論書 (FCCC/SBSTA/2012/L.29)で、SBSTAはCMPでの審議および最終とりまとめをめざして決定書草案を送付することで合意。CMP決定書 (FCCC/KP/CMP/2012/L.4/Rev.1)で、CMPは、特に:

• 決定書5/CMP.7は、これまでの決定書に対する如何なる修正にもつながるものではないと合意;

• 決定書1/CMP.8附属書B第3欄で約束を記載した附属書Ⅰ国は、13条、パラグラフ 7 bis、8 および 8 bisに則り、第2約束期間の割当量の計算を促進し、各国の排出量および割り当て量を算定する能力を示すための報告書を2015年4月15日までに事務局に提出することを決定;

• 京都議定書の附属書B第3欄にQELROを記載した各締約国は、第2約束期間の議定書ユニット報告用の第1回標準電子様式を、当該約束期間の第1回年次インベントリ提出に合わせて、提出することを決定;

• SBSTAに、第2約束期間に対する議定書3.3条および3.4条のLULUCF活動の報告に必要な補足的な報告表の検討を開始するよう要請;

• 事務局に、ワークショップおよびワークショップの報告書を含め、決定書の実施を可能にするために必要な措置を実施するよう要請。

HCFC-22/HFC-23: この問題は最初開会プレナリーで取り上げられ、11月27日に追加協議が行われた。閉会プレナリーで、SBSTAは、SBSTA 38でこの問題の審議を継続することで合意した。この内容は会合報告書に反映される。

議定書7.1条に基づく附属書Ⅰ国のGHGインベントリのテクニカル・レビューに関する年次報告書および附属書Ⅰ国が報告するその他の情報: 開会プレナリーで、SBSTAは議定書7.1条に基づく附属書Ⅰ締約国のGHGインベントリのテクニカル・レビューに関する年次報告書および附属書Ⅰ国が報告するその他の情報について留意した (FCCC/SBSTA/2012/INF.8)。

附属書の議定書締約国による国内活動の実施に関する報告書:開会プレナリーで、SBSTAは、附属書Ⅰの議定書締約国による国内活動の実施に関する報告書に留意した(FCCC/SBSTA/2012/INF.9)。

その他の問題: 12月1日のSBSTA閉会プレナリーは、この項目の下、パイロット段階の共同実施されている活動について取り上げた。SBSTAは決定書草案をCOPに送付することで合意した。12月7日、COPは決定書を採択した。

最終結果: 決定書 (FCCC/SBSTA/2012/L.27)で、COPは、共同実施活動の報告書について検討し、共同実施活動のパイロット段階を終了することを決定した。

閉会プレナリー: 12月2日日曜日、SBSTAは報告書 (FCCC/SBSTA/2012/L.20)を採択した。締約国が閉会のステートメントを発表した。SBSTAの Muyungi議長は、出席者の尽力に対する謝意を述べ、SBSTA 37を午前3時4分に終了した。

ドーハ気候変動会議の簡単な分析

“…我々でなければ、一体だれが? 今でなければ、一体いつ? ここでなければ、一体どこで?”

Naderev Saño – フィリピン主席交渉官

世界の主要メディアやソーシャルメディアの注目の中、ドーハ気候変動会議の決定的瞬間となったのは、フィリピン大型台風ボーファ発生を受けたフィリピンのNaderev Saño主席交渉官が痛切なる訴えを行ったときだった。“ここで決断に迷って、ぐずぐずしているうちに死者の数も増加する”と各国の行動を要請し、このアピールが会議場の至る所で反響を呼んだ。ハリケーン、台風をはじめとする“自然”災害がもたらした、これらの破滅的な損害や大惨事による悲劇を見ても、気候変動の兆候はますます顕著になっている。残念ながら、国際気候変動交渉の場では必ずしもこうした事態に危機感をもって対応がなされてこなかった。

“移行的な” ドーハ気候変動会議はまさにその典型だ。ドーハは、野心の即時引き上げを求める多くの若者やNGOのやり方ではなく、国際気候合意の2015年までの採択をめざした軌跡を辿ろうとしている。参加者は京都議定書の第2約束期間採択とAWG-KPとAWG-LCAという2つの作業部会の完了を目標に据えてドーハに到着した。ドーハでは気候変動対策コスト、特に2009年にコペンハーゲンで合意された通り2020年までに年間1000億米ドルのレベルまで達するとされる途上国の行動支援向け長期資金の供与での進展が問題となった。

この点を念頭に置いて、この簡単な分析では、2つのAWG作業部会の過去数年にわたる気候変動プロセスに対するこれまでの貢献について振り返り、“ドーハ気候ゲートウェイ”と名付けられた会合の成果と将来に向けた意味合いについて検証する。

第2約束期間へのゲートウェイ

2005年にモントリオールの CMP 1でAWG-KPが発足し、京都議定書に基づく先進国の2012年以降の約束に対応することを定めたとき、第1約束期間と第2約束期間の間に空白期間を設けないようにするため、この作業部会で“可及的速やかに”結果を出すよう締約国は要請した。この交渉に7年という長い歳月がかかるとは当時の交渉官は想像しえなかっただろう。—これは議定書の発効に要した歳月と同じである。むしろ、こうしたマラソン交渉は今の国連気候変動交渉が抱える、複雑化するダイナミズムを暗示するものだろう。

“第1約束期間から第2約束期間へのシームレスな移行”を確実にすると、野心的な排出削減は十分に保証できないだろうということは、いつの日か明白となった。第1約束期間には、2008-2012年に1990年比で平均5%の排出削減を実現するための37の先進国とEUの法的拘束力を有する数値目標が盛り込まれていたが、1997年の採択時には野心的というには程遠い内容であった。AWG-KPが発足した2005年までに、米国は決して議定書を批准しないだろうと多くの国が認めるようになっていた。とはいえ、第2約束期間の約束を課されることを拒否して、日本、カナダ、ニュージーランド、ロシアのように、京都議定書の主要国が議定書を離脱するとはおそらく予想していなかった。これにより、現在世界最大の排出大国となった中国のような主要途上国が京都議定書の下で約束を課されていないという事実と相まって、2012年時点には、京都議定書は世界全体のGHG排出量の約15%しかカバーしていないということになる。

結局、ドーハでは、第2約束期間は 2013年1月1日から暫定的に適用“可能”であるとの合意が成立し、AWG-KPの使命が果たされた。しかしながら、附属書Ⅰ国が2013-2020年の排出量を1990年比で平均18%削減しても、2ºC以内に世界の昇温幅を抑制させるにはほとんど不十分であることは、周知の通りだ。AOSIS諸国は、緩和の野心が低水準で固定されるのを防止するために約束期間を5カ年に設定しようとキャンペーンを行ったが実を結ばなかった。既に施行済みの国内法との関係や第2約束期間と2020年に発効予定の新レジームとの間の空白期間を回避する思惑から、ヨーロッパ諸国のような附属書Ⅰ締約国は約束期間をより長く設定することを望んだ。妥協案として、附属書Ⅰ国のQELRCを見直す自主的なメカニズムを設置し、近い将来に京都議定書の下で緩和の野心を引き上げることを望むということで締約国は合意に達した。

第2約束期間の採択をもって、京都議定書の下で整備されてきた様々な制度や共通算定ルール、柔軟性メカニズムが崩壊するとの懸念は後退した。しかし、一部の附属書Ⅰ国は、国内での炭素市場の台頭を招いた市場メカニズムのような京都議定書の一部の要素だけを“選り好み”しているとの批判に晒された。クリーン開発メカニズム(CDM)を含む議定書の柔軟性メカニズムに参加するための適格性基準での合意のためにドーハの交渉時間の大半が費やされた。その後、約束を課される附属書Ⅰ国だけが第2約束期間の柔軟性メカニズムを通じて創出された炭素クレジットの取引(“移転および取得”)が認められるということで合意が成された。

間違いなく、ドーハの最大のドラマは、超過した割当量単位 (AAU)の利用、およびそれらのAAUの第2約束期間への繰り越しを認めるかどうかという点をめぐって繰り広げられた交渉だった。京都目標を超える排出削減量を達成したために使用しなくても済むAAUをもつ締約国は他国に余剰単位を売却することができる。しかし、これらの余剰AAUはほとんど実際の緩和の努力を反映しておらず、ロシアやウクライナ、ポーランドといった多くの市場経済移行国での経済減速によって生じた“ホット・エアー”という余剰単位である。

土曜日(GISPRI注:2012年12月8日)午後の閉会プレナリーで、排出削減目標を前進させ“環境保全”を確実にするために余剰AAUの利用上限を押さえたい国々と、約束を“超過達成”することがAAUの利用制限という形で罰せられるべきではないと主張する国々との間で最後の“つばぜり合い”が行われた。ロシア、ウクライナ、ベラルーシは、CMP閉会プレナリーの間、AWG-KPの成果の採択をブロックしようと試みたが、機敏なCOP議長は、ロシアが旗を挙げる前に採択の槌音を鳴らした。

余剰AAUの使用制限とともに第2約束期間にQELRCを担った締約国だけがAAUを利用可能であると定めた決定書の採択にあたり、拍手喝采が起こった。これに対して、ロシアは、議長が手続き上の違反を犯したと反対を唱えたが、COP議長は最終報告書に自らの意見を反映させるまでの事だと述べた。このCOP議長の行動は、カンクン合意採択に反対したボリビアの意見が却下/無視された一件を彷彿とさせる事態だった。また、多くが繰り返し主張してきたように、コンセンサスは一締約国による進行妨害の権利を意味するものではないが、これが気候交渉のトレンドとなりつつあるのか多くの参加者に考えさせる出来事であった。

AWG-LCAを後に残して

条約の側については、AWG-LCAでは、5年前のCOP 13でのバリ行動計画 (BAP)採択時に見られたような割れんばかりの拍手喝采も興奮も無く、ドーハでは反気候主義による「制度消滅」ということになった。当時、“多国間主義の新世紀”を担う“現状打破”の先触れとなったCOP 13の参加者は、疲労困憊しながらも意気揚々と故国へと向かったものだった。長時間の厳しい交渉を経て、参加者は2年間のプロセス—いわゆる“バリ・ロードマップ”—と呼ばれる一連の決定書に合意し、2009年12月のコペンハーゲン会議までに2012年以降の新レジームの交渉をまとめることを目指すこととなった。特に主要な開発途上排出国の排出削減を義務付けない場合は条約参加を拒否するとの米国への対応など、バリ・ロードマップは表面的には京都議定書の一部の欠陥に対処するものであった。一方では、これまでの認識を超えるような世界経済の状況変化があり、中印の炭素排出量の急増が継続的な精査の対象となってきた。

“附属書Ⅰ国” と“非附属書Ⅰ国”に対して、条約に基づく“先進国”と“途上国” という概念を初めて導入したということで、誕生当時はBAPが非常に革新的であると見られていた。この新たな分類軸は、途上国の中でも経済発展のレベルに応じて差別化を図るという可能性を切り開いた、当時としては目新しいコンセプトであった。

2年間を早送りして振り返ると、コペンハーゲンCOP 15では新たな議定書の採択には至らず、最終的にコペンハーゲン合意に“留意”することでの合意に止まり、紛糾した交渉はほとんど頓挫した。AWG-LCAの期限はもう一年延長され、COP 16、COP 17へと更に延長し、結局はCOP 18でAWG-LCAを終了させることが決定した。

ドーハの事前段階では、AWG-LCAの作業が満足に遂行されたと見なされない場合、AWG-LCA完了の合意には至らないのではないかとの観測が飛び交っていた。ドーハのAWG-LCA交渉は時に場当たり的で— 混沌を極めたように見える場面さえあり— AWG-LCAのTayeb議長の意図ややり方に対して参加者から批判めいた言葉が噴出した。特に資金と損失及び被害の問題は宙に浮き、附属書Ⅰ国の緩和のための枠組みは弱い状況で、合意は危うく見えた。しかし、集中的な協議と妥協を経て、最終的にはAWG-LCAは予定通り作業を完結することとなった。

しかし、AWG-LCAの遺産は何だろうか?  AWG-LCAの公約を果たすことが出来たのか、あるいは参加者は純朴に2007年の野心を抱いていただろうか?  バリでは、共通するが差異ある責任で固定したとしても、最終的には、途上国と先進国ともに緩和の取組みをすることで合意した。また、歴史的な進展として、途上国は、“持続可能な開発の面において、技術支援を受け、資金とキャパシティビルディングによって実現された、計測・報告・検証可能な方法による、国ごとの適切な緩和行動” について合意した。他方、先進国は、“各国の状況の差異を考慮に入れ、取組みの比較可能性を担保しつつ、QELROを含めた計測・報告・検証可能な国ごとの適切な緩和の約束または行動” の実施について合意した。

コペンハーゲン以降、85ヶ国以上の途上国と先進国が条約に基づく排出削減の誓約を提出した。とはいえ、それらの誓約の大半には、数値目標を達成するための前提条件が盛り込まれ、提案された可能削減量の幅は広く、内容が不明瞭であった。この5年で AWG-LCAの下での緩和は “トップダウン・アプローチならぬ、ボトム(を目指す競争のような)アプローチ”へと次第に変遷し、“国別報告書やインベントリの報告を通じた緩和行動の報告を重視する、誓約と報告システムが特徴”となっていったと批評する声もあった。先進国向けの緩和の下でのドーハ合意は、先進国に対して、科学が推奨する水準まで経済全体の排出削減の数値目標の野心を引き上げることを “要請”するもので、それらの誓約を明確にしていく作業を継続するための作業計画を策定するというものである。この作業計画で、排出削減数値目標と取組みの比較可能性に向けた進展を確保するための “共通要素”を特定することが目指された。

“この決定書は先進国向けの共通算定ルールや方法論、共通基準年の策定に言及するものではなかった”と、ある途上国の政府代表は嘆く。国際炭素市場の堅牢性維持やその他様々な理由から附属書Ⅰ国間の緩和の取組みの比較可能性を評価することが重要である。この決定書においては、先進国の野心レベル引上げに対する約束を疑問視する声が多数残された。また、途上国の緩和については、“NAMAの多様性の理解を深める”ための作業計画がドーハで策定されたが、これも数々の新興国により増加の一途をたどる排出量対策としてはまだまだ道のりが長いという内容だった。

何か肯定的なものを見ようとするならば、AWG-LCAが条約の下で完全に新しい制度面の展望を描いたことが挙げられる。ドーハでは、韓国・松島(Sondgo)を緑の気候基金(GCF)のホストとして承認した。資金に関する常設委員会もしっかりと構築された。技術メカニズムが構築され、ドーハで気候技術センター (CTC)を主管とするUNEP主導のコンソーシアムが発足した。また、適応について取り組むための適応委員会も発足した。数年前にAWG-LCA交渉で「損失と被害」のコンセプトがAOSISから初めて紹介されたときは、ゆっくりと発現する海面上昇のような事象による途上国の損失と被害を補償するための制度的なアレンジ構築をめざしてドーハで最終合意が成立するようなことは想定しにくいと思われた。

資金問題は常々交渉の要である。コペンハーゲン合意により、2012年までの早期開始資金と2020年まで適応と緩和向けの1000億米ドルの動員が規定されたが、資金合意には2012-2020年の期間については沈黙していた。ここ2~3年の交渉時には常に、中期のギャップが多くの交渉官を悩ませていたが、ドーハにおいて、先進国に対して早期開始期間に定められたものと同レベルで2013-2015年の資金を提供するよう取組強化を“奨励する”ことで合意が成立した。多くの関係者にとって、これはバリ後に想定していた資金援助のMRVにはほとんど及ばない内容である。また、この合意は長期資金の作業計画の期限を1年間延長するものとし、“気候資金の動員を拡充するための取組み”が今後検討されるというものである。GCFが発足したものの、資金補充については具体的なシグナルが発信されず、 “中身が空っぽの殻”のようなものだと多くが見ている。

最終的には、AWG-LCAの成果の成否は、新制度がいかに効果的にその任務を果たし、途上国の気候変動の難問解決を実現できるかということで判断されるだろう。

ADP: 新たな気候制度のゲートウェイ?

2011年のダーバンでは、より野心的な気候レジームに向けた道筋をつくろうと、遅くとも2015年までに可及的速やかにその作業を完了するという目標をもって、“条約の下で全ての締約国に適用可能な議定書、別の法的文書または法的拘束力を有する合意成果” を作成することが決定され、それが2020年に開始されることとなった。そのための交渉は発足したばかりの「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会」(ADP)に託された。

ドーハでは、AWG-KPとAWG-LCAの下での合意の欠如により、2015年までの新たな合意づくりというADPの作業に深刻な影響が出てしまうと多くの参加者が懸念していた。6月にADPのアジェンダについて合意して以来、締約国はマンデートをいかに実践に移すかということに対処するため円卓会合で意見交換を行った。しかし、これらの話し合いはAWG-LCAの発足初期に交わされた議論やポジションを彷彿とさせるものでもあった。ドーハでは、意見交換の間、特にマンデートがいかに“全ての国に適用可能か”という問題や、衡平性原則や共通するが差異ある責任などの条約の原則が新たなレジームの中核となるかという問題で、意見の相違が目立った。また、原則を適用すべきか否かという点ではなく、原則の適用の仕方こそが問題の中核であるとの認識もあった。ADPを採択している決定書が条約の諸原則について明示的な言及をしていない為、米国にとっては、むしろ“ADPのマンデートを書き直さない”ということが関心事であった。

ADPでは、先進国側は、今の社会経済の現実を反映し、先進国と途上国の緩和の間の“防火壁”を決定的に崩すような、日々変化するダイナミックな枠組みを思い描くようになっていった。欧州委員会の気候行動委員Connie Hedegaardは言う。 “我々は古い気候システムから新しいシステムへの橋を渡ろうとしている。今や2015年の国際協定に向かう道の途中にいるのだ。”

進化する交渉のダイナミズムはおそらく別の次元における新たな世界秩序の先駆けだ。途上国は違う角度から未来を見ようとし始めている。コロンビア、ペルー、コスタリカ、チリ、グアテマラ およびパナマといった国々で構成されるボン生まれの連合が、ドーハでは AILAC (Association of Independent Latin American and Caribbean states、独立中南米カリビアン諸国連合)として公式声明を行った。加盟国によると、AILACは“強く堅牢な条約こそ2℃未満の世界目標達成に最も効果的だとの共通の信念によって設立されている。” 他方、アラブグループやアルゼンチン、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル等の一部の中南米諸国、ならびにインドと中国を主要メンバーとする “like-minded group(有志グループ)”と称する別のグループが6月のボン会合時にしっかりと発足した模様だ。このグループの目標は、共通するが差異ある責任と衡平性という条約の諸原則ならびに気候変動に対する先進国の歴史的責任を支持することだ。

交渉のバトンがADPへと手渡された今、こんなにも厳しいスケジュールの中、そして方法論だけでも意見が噴出する中、どうすればADPがより実効性あるレジームを実現できるのか、多くのものが自問している状況だ。ADPの成功は、各国の交渉官が条約内外の他の様々なプロセスで学んだ教訓や経験をいかに活かせるかという手腕次第という側面もある。ドーハを後にした多くの政府代表らは、“2015年までに国際気候合意の採択を行うための確固たるタイムテーブル” とADPワークストリーム2の下での2020年までの期間の野心引上げ議論において必要な野心引上げの道筋について合意できたことに満足しているようだ。また、“気候変動を今後とも世界の指導者たちの最優先課題である”として検討するべく、2014年に世界の指導者たちによる会議を開催する意向を示した潘基文国連事務総長の発表も多くの参加者の歓迎を受けた。

COP 18議長Abdullah bin Hamad Al-Attiyah の言葉を借りると、“ドーハは、大きな野心と偉大な行動に向けた新たなゲートウェイ—ドーハ気候ゲートウェイ—を切り開いた。” “気候変動に対する解決策を推進するため、ドーハ気候ゲートウェイを通じて各国政府は今、速やかに動かなければならないのだ。”と、彼は付け加えた。

“我々でなければ、一体だれが?”

今次会議の閉幕にあたり、COP議長のAl-Attiyahはこのように述べた。 “今、陳列されているモノが完璧なパッケージ商品であるとは言っていない。完璧さというのは単なるコンセプトに過ぎない。仮にプラトンやソクラテスといった偉大な人がCOP議長だったとしても、完璧なCOP 18のパッケージを手渡せなかったのではないかと断言する…” と。ドーハでは合意に到達したものの、それは期待値に届かないものだったという多くの参加者の実感を認識していた。ある市民社会の代表が指摘したように “成功を測る尺度は、プロセスを生き永らえさせることではない。” 気候変動と闘うために真の行動を起こせるかどうかである。

京都議定書の下では、たとえば、2005年の非附属書Ⅰ国の期待は実現に遠く及ばないものの、ある内部関係者の言葉のように、“唯一存在する法的拘束力を有するトップダウンのルール・ベースの制度を守ったという点では非常に穏当なステップを残した会議として、ドーハは歴史に記録されることになるだろう。”

世界は劇的に変化を遂げている。また、2020年までには今までと同程度かさらに多くの変化があることだろう。特にいくつかの “途上国”の経済状況や1人当たりの排出量でさえも先進国のそれらを上回り、気候変動の影響はさらに一般的で破壊的なものとなるだろう。将来の世界の気候変動レジームが実現できるのか、さらに必要不可欠な切迫感と政治的な意思をもって危険な気候変動を回避できるよう担保できるのか、皆の視線は今、これから先を見据えている。フィリピンの交渉官が言うとおり、“我々が直面する厳しい現実に目覚めたのかどうか” 審判を下せるのは歴史だけである。

今後の会議スケジュール

19回適応基金理事会: 京都議定書の締約国各国の権限と指導の下、適応基金理事会は適応基金を監視・監督する。日程: 2012年12月13-14 日  開催地:ドイツ・ボン  連絡先: Jeannette Jin Yu Lee  TEL: +1-202-473-7499  FAX: +1-202-522-2720  E-mail: jlee21@thegef.org  www: http://www.adaptation-fund.org/page/calendar

3IRENA総会: 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の最高意思決定機関である第3回IRENA総会が2013年1月に開催され、懸案の制度設立の議論終結、加盟国に対する進捗報告、世界の再生可能エネルギーに対する利用促進に係わるマンデートの更新などを行う。 日程: 2013年1月13-14日   開催地:アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ  連絡先: IRENA事務局  TEL: +971-2-4179000   E-mail: secretariat@irena.org  www: http://www.irena.org/

アブダビ国際再生可能エネルギー会議(ADIREC): アブダビ国際再生可能エネルギー会議(ADIREC)には政府関係者、民間部門、市民社会の代表が集まり、再生可能エネルギーの進歩について議論し、国連事務総長の「すべての人のための持続可能なエネルギー(SE4All)イニシアティブ」の成果にスポットをあてて分析し、経済発展やエネルギー安全保障、気候変動の緩和に対する再生可能エネルギーの貢献について議論することを目指す。また、同会議において、UNFCCC COP 18の影響について議論するための戦略プラットフォームを提示する予定。 日程: 2013年1月15-17日  開催地: アラブ首長国連邦(UAE)  ・アブダビ、  連絡先: Jonathan Skeen  TEL: +33-1-44-37-50-98  E-mail: jonathan.skeen@ren21.net  www: http://ren21.net/

森林、ガバナンス、気候変動に関する第13回ダイアログ: サブテーマを“中央アフリカおよび西アフリカの変貌しつつある景観における土地および資源政策のハーモナイゼーション” と掲げ、政策決定者や開発の専門家を招き、アフリカの土地取引や採掘権の社会経済、環境面の影響について議論する。日程: 2013年1月23-25日  開催地: カメルーン・ヤウンデ  連絡先: Boubacar Diarra  TEL: +223-76-45-55-45  E-mail: bdiarra@rightsandresources.org  www: http://www.rightsandresources.org/events.php?id=687

27UNEP管理理事会/グローバル閣僚級環境フォーラム: 第27回UNEP管理理事会/グローバル閣僚級環境フォーラム(GC 27/GMEF)は2月開催予定。管理理事会では、重要かつ新たに浮上してきた環境政策の課題についてレビューする、閣僚級による年次の世界環境フォーラムを設置している。 日程: 2013年2月18-22日  開催地:ケニア・ ナイロビ  連絡先: UNEP管理理事会事務局 TEL: +254-20-7623431  FAX: +254-20-7623929   E-mail: sgc.sgb@unep.org   www: http://www.unep.org/resources/gov/overview.asp

UNECE 気候変動に関するパイロット・プロジェクト中核グループ会合:この会合は、国連欧州経済委員会(UNECE)の国境を越える水路と国家間にまたがる湖の保護と利用に関する条約(Watercourses Convention)の水と気候に関するタスク・フォースが立ち上げた水適応パイロット・プロジェクトについて議論する。 日程: 2013年2月20-21日  開催地:スイス・ジュネーブ   連絡先: Cammile Marcelo  TEL: +41-22-917-1606  FAX: +41-22-917-0621  E-mail: cammile.marcelo@unece.org  www: http://www.unece.org/env/water/core_group_pilot_projects_climate_change_2013.html 

ラテンアメリカ炭素フォーラム 2013: 第7回中南米およびカリブ海諸国炭素フォーラムでは、ラテンアメリカの炭素プロジェクトの展望について議論する。フォーラムは米州開発銀行、ラテンアメリカ開発銀行、世界銀行、国際排出量取引協会、ラテンアメリカエネルギー機関、国連環境計画(UNEP) Risø Centre および UNFCCCの共催。  日程: 2013年3月25-27日  開催地:ブラジル・リオデジャネイロ   連絡先: Miriam Hinostroza, UNEP Risø Centre  TEL: +45-4677-5180  E-mail: mihl@dtu.dk  www: http://www.latincarbon.com  

エネルギー・トレーニング・ウィーク2013: 国際エネルギー機関がエネルギー・トレーニング・ウィークを主催する。特に新興市場国や発展途上国を対象とし、様々なエネルギー分野の最新トレンドや進展に焦点を当てる。研修コースとしてカバーする分野は、意思決定者向けのエネルギー基本編; エネルギー市場と安全保障; エネルギー効率政策と措置; 再生可能エネルギーと低炭素エネルギー技術; エネルギー分析及びモデリング; 持続可能なエネルギー。 日程: 2013年4月8-12日  開催地:フランス・パリ  連絡先: 国際エネルギー機関  TEL: +33-1-40-57-65-00  FAX: +33-1-40-57-65-09  E-mail: training.programme@iea.org  www: http://www.iea.org/training/etw2013/#d.en.15745

4回クリーンエネルギー大臣会合: CEM4は “技術とビジネスのイノベーション”のテーマの下に、20カ国以から関係閣僚が参加する。討議するトピックは、CEMの13のクリーンエネルギーのイニシアティブ; CEM各政府間の協力強化; クリーンエネルギー開発に向けた官民パートナーシップの構築である。 日程: 2013年4月17-18日   開催地: インド・ニューデリー   連絡先: CEM事務局   www: http://www.cleanenergyministerial.org/events/cem4/index.html

中米およびカリブ海諸国のためのクリーンエネルギー資金拠出フォーラム: この会合は気候技術イニシアティブ(CTI)後援で、国際エネルギー機関、CTI民間資金拠出諮問ネットワーク、米国国際開発庁(USAID)、国際環境技術移転センターの下での合意を実施する組織としての多国間イニシアティブ。 日程: 2013年4月26日  開催地: ホンデュラス・サンペドロスラ  連絡先: Fernando Alvarado  E-mail: fernando.alvarado@flexenergygroup.com  www: http://cti-pfan.net/events_detail.php?eventsid=43

カーボンExpo:国際炭素取引市場展示会および会議。この会議は、フィラ・デ・バルセロナ、国際排出量取引協会、世界銀行の後援による日程: 2013年5月29-31日  開催地: スペイン・バルセロナ  連絡先: Lisa Spafford, IETA  TEL: +41-22-737-0502  E-mail: spafford@ieta.org  www: http://www.carbonexpo.com/

UNFCCC補助機関会合: 条約の補助機関による次回会合は2013年6月に開催される。 日程: 2013年6月3-14日   開催地: ドイツ・ボン(仮)   連絡先: UNFCCC 事務局  TEL: +49-228-815-1000  FAX: +49-228-815-1999  E-mail: secretariat@unfccc.int  www: http://unfccc.int  

GEF44回理事会会合: GEF理事会は年2回行われ、GEFの重点分野における地球環境に有益な新プロジェクトの承認やGEF事務局および関係機関へのガイダンス提供などを行う。日程: 2013年6月18-20日   開催地: 米国ワシントンDC  連絡先: GEF事務局   TEL: +1- 202-473-0508   FAX: +1-202-522-3240  E-mail: secretariat@thegef.org   www: http://www.thegef.org/gef/events/gef-44th-council-meeting

IPCC WGⅠ総会 および IPCC-36: AR5承認のためのIPCC WGⅠ総会が2013年9月に開催。その後AR5の中のWGⅠ作成部分の承認のためIPCC-36 が開催される。日程: 2013年9月23-26日  開催地: スウェーデン・ストックホルム  連絡先: IPCC事務局  TEL: +41-22-730-8208  FAX: +41-22-730-8025  E-mail: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

IPCC-37: IPCC第37回総会では、2つの方法論に関する報告書(“2006年国別温室効果ガス・インベントリに関するIPCCガイドラインの2013年補遺: 湿地 および京都議定書に基づく土地利用・土地利用変化及び林業(LULUCF)からのGHG排出量・除去量推計に関するグッド・プラクティス・ガイダンス)を承認予定。日程: 2013年10月14-18日 開催地: グルジア (予定)  連絡先: IPCC事務局  TEL: +41-22-730-8208  FAX: +41-22-730-8025  E-mail: IPCC-Sec@wmo.int  www: http://www.ipcc.ch/

第19回UNFCCC締約国会議: 日程:開催地: 連絡先:TEL:FAX:E-mail:secretariat@unfccc.intwww:http://www.unfccc.int

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