Summary report, 1–12 December 2014

Lima Climate Change Conference - December 2014

リマ気候変動会議は、2014年12月1-14日、ペルーのリマで開催された。この会議には、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第20回締約国会議(COP20)、第10回京都議定書締約国会合(CMP10)が含まれた。さらに3つの補助機関(SBs)も会合した:第41回科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合(SBSTA41)、第41回実施に関する補助機関会合(SBI 41)、そして強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第7部(ADP 2-7)である。

リマ気候変動会議には、11000名を超える参加者が出席、このうち政府関係者は約6300名、国連機関や組織、政府間組織、市民社会組織からは4000名の代表、そして900名のマスコミ関係者が出席した。

リマでの交渉の焦点は、2015年のパリでのCOP21での合意推進に必要とされるADPの下での成果であり、これには、各国自主決定の約束草案(INDCs)を2015年の可能な限り早い時期に提出するため要求される情報やプロセスの推敲、そして交渉文書草案の要素に関する進展が含まれる。強化された行動のためのダーバン・プラットフォームを推進させる決定書草案について、長時間の交渉が行われ、その後、COP 20は、「リマ気候行動提案書(Lima Call for Climate Action)」を採択した、この提案は2015年合意やINDCsの提出及びレビュープロセス、そしてプレ2020年野心強化に向けた今後一年の交渉に弾みをつけるものである。

さらに締約国は、19件の決定書を採択した、このうち17件はCOPの決定書、2件はCMPの決定書であり、これらは特に次を行うこととする:損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムの運用開始を推進する;性差別に関するリマ作業計画を確立し、教育と啓発に関するリマ宣言を採択する。リマ気候変動会議は、2015年合意の交渉文書草案の要素推敲では進展を捉えており、INDCsの範囲や事前情報、提出後に事務局がとるべきステップを規定する決定書を採択し、来年のパリ会合に向けた基礎を築くことができた。

UNFCCCと京都議定書のこれまでの経緯

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため温室効果ガスの大気濃度安定化を目指し、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在は196の締約国を有する。

1997年12月、日本の京都で開催された第3回締約国会議(COP3)に参加した各国政府の代表は、先進工業国および市場経済移行国に排出削減目標の達成を義務付けるUNFCCCの議定書に合意。UNFCCCの下で、附属書Ⅰ国と呼ばれる国々が、2008-2012年(第一約束期間)に6種の温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年と比較して全体で平均5%削減し、各国ごとに異なる個別目標を担うことで合意した。京都議定書は、2005年2月16日に発効し、現在、192の締約国を有する。

2005-2009年の長期交渉: 2005年、カナダ・モントリオールで開催された京都議定書の第1回締約国会合(CMP1)では、議定書3.9条に則り、京都議定書の下で附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の設立を決定し、第一約束期間が終了する少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討することを、その役割と定めた。

2007年12月、インドネシア・バリで開催されたCOP13及びCMP3では、長期的な問題に関するバリ・ロードマップについて合意に至った。COP 13は、バリ行動計画(BAP)を採択するとともに、条約の下での長期的協力行動のための特別作業部会(AWG-LCA)を設立し、緩和、適応、資金、技術、長期協力行動の共有ビジョンを中心に討議する役目を定めた。また、AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。さらに、2009年のコペンハーゲン会議を2つの交渉トラックが結論を出す期限と定めた。

コペンハーゲン:2009年12月、デンマーク・コペンハーゲンで国連気候変動会議が開催された。非常に大きな注目を浴びる会議となったが、透明性やプロセスをめぐる論争が目立った。12月18日深夜、会議の成果として政治合意の「コペンハーゲン・アコード」が成され、その後、採択のためにCOPプレナリーに提出された。それから13時間にわたる議論の末、参加者は、コペンハーゲン合意に「留意する」ことで合意した。また、締約国は2010年のCOP 16及びCMP 6まで2つの交渉トラックを延長することで合意した。 2010年には140カ国以上がこの合意への支持を表明し、80カ国以上が国家緩和目標または行動に関する情報を提出した。

カンクン: 2010年12月にメキシコ・カンクンでの国連気候変動会議が開催され、締約国はカンクン合意を成立させるとともに、2つのAWGをもう一年延長させることでも合意が成された。条約の交渉トラックでは、決定書 1/CP.16において、産業革命以降の世界の平均気温の上昇を2℃以内に抑えるには世界の排出量の大幅な削減が必要であると認識された。締約国は、世界の長期目標を定期的にレビューし、2015年までのレビュー期間中に目標の強化を更に検討するということで合意し、その際に1.5℃を目標とする案についても検討することで合意した。また、決定書1/CP.16には、測定・報告・検証 (MRV)やREDD+(途上国における森林減少や森林劣化からの排出削減策、森林保全の役割、持続的な森林管理や森林炭素吸収源の強化)等、緩和に係わるその他の側面についても記載された。

さらに、カンクン合意で、いくつかの新たな制度やプロセスが創設された。なかでも「カンクン適応枠組み」や適応委員会、技術メカニズムが創設され、技術メカニズムの下では技術執行委員会(TEC)と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)が設立された。また、緑の気候基金(GCF)が新設され、条約の資金メカニズム運用機関と指定された。議定書の交渉トラックでは、世界全体の排出削減目標の実現に向けて、CMPが附属書I国に対して野心レベルの引き上げを要請し、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)に関する決定書2/CP.6を採択した。

ダーバン:南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動会議は、2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果としては広範なトピックが網羅されたが、特に京都議定書の第二約束期間の制定や、条約の長期的協力行動に関する決定、GCFの運用開始に関する合意などが盛り込まれた。締約国は「条約の下で全ての締約国に適用可能な、議定書、法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とする新組織としてADPを発足させることでも合意した。また、ADPでの交渉は2015年までに完了させることとし、2020年には新合意の発効を目指すこととした。さらに、ADPは2℃目標に絡んで2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索する役割も付与された。

ドーハ: 2012年11月26日-12月8日、カタール・ドーハにて、国連気候変動会議が行われ、「ドーハ気候ゲートウェイ」と称される一連の決定書パッケージが作成された。その中には、第二約束期間を定めるための京都議定書改正やドーハでAWG-KPの作業を最終的に完了させるための合意が盛り込まれた。また、AWG-LCAの作業完了についても締約国の合意がなされた。一方、2013-15年の世界目標に関するレビューや先進国と途上国の緩和、京都議定書の柔軟性メカニズム、国別適応計画(NAP)、MRV、市場および市場以外のメカニズム、REDD+等、さらなる議論が必要とされる数多くの問題については、SBI及びSBSTAに付託されることとなった。

ワルシャワ: 2013年11月11日-23日、ポーランド・ワルシャワにて、気候変動会議が開催された。ADPのフォローアップ作業等、これまでの会議で成立した合意内容の実施に関する集中交渉が行われた。この会議では、各国が決定する約束草案(INDC)のための国内準備作業の開始または強化を締約国に要請し、BAPの完全実施ならびにプレ2020年の野心を加速する決意を記すADP決定書が採択された。また、「損失被害に関するワルシャワ国際メカニズム」の設立、ならびにREDD+の資金や制度的アレンジ、方法論の問題等に関する7つの決定書を盛り込んだ「ワルシャワREDD+枠組み」の設立を定める決定書も採択された。

ADP 2-4: ADP第2回会合第4部 (ADP 2-4)は、2014年3月10-14日、ドイツ・ボンで開催された。ワークストリーム 1 (2015年合意)では、議題項目3についてオープンエンド型の協議が行われ、適応、INDC、資金・技術・キャパシティビルディング (実施手段) 、野心・衡平性、緩和行動や支援の透明性、その他の各要素に絡む諸問題などについて議論した。また、インセッション・ワークショップでは、 INDCの国内準備の問題が取り上げられた。ワークストリーム 2(プレ2020年の野心)では、再生可能エネルギーやエネルギー効率に関する技術専門家会合(TEM)を実施した。

ボン気候変動会議(ADP2-5,SB含む): ボン気候変動会議は2014年6月4-15日、ドイツ・ボンで開催され、 SBI及びSBSTA第40回会合およびADP第2回会合第5部 (ADP 2-5)も併催された。会期中にADPに関する交渉が進展し、リマCOP及びCMPに提出される決定書草案も作成された。また、各国閣僚が参加するイベントが2種開催された。議定書の実施状況を評価し、各国の排出抑制削減の数値化された約束(QELRC)を引き上げる機会の提供を目指した“京都議定書の下でのハイレベル閣僚級ラウンドテーブル”。もう一つが、プレ2020年野心を引き上げ、2015年合意に関する交渉の機運を盛り上げることを目指した“強化された行動のためのダーバン・プラットフォームに関するハイレベル閣僚級ダイアログ”であった。

ADP 2-6: ADP第2回会合第6部(ADP 2-6) は2014年10月20-25日、ドイツ・ボンで開催された。ワークストリーム1では、2015年合意の最終形の土台となる交渉テキスト案の要素を詰める協議が続けられ、交渉文案の要素について各国の意見や提案を俯瞰できる “ノンペーパー”の検討が行われた。また、ADPでは、 各国がINDCを通知する際に提供する情報の種別を把握するための決定書草案についても検討作業を行い、これらの貢献が今後どのような形で考慮されるのか審議した。ワークストリーム2では、CO2以外の温室効果ガス(GHG)に関する行動の機会、炭素回収利用貯留(CCUS)、エネルギー効率や再生可能エネルギー、都市環境や土地利用の改善を通じた2020年までの緩和機会の向上に関するフォローアップを行うTEM会合等について、TEMで審議を行った。また、締約国は、プレ2020年の野心に関する決定書草案についての議論も行った。

リマ気候変動会議レポート

COP 19/CMP 9 議長のMarcin Korolecは12月1日(月)、COP/MOP合同開会式典で歓迎の挨拶を行い、COP 19の顕著な成果をいくつか挙げた後、ペルー及びフランスが早い段階から取り組んできたことを指摘し、「パリに至る道をこの三者の働きでスムーズな高速道路が出来つつある」と賛辞を送った。

ペルー環境相 Manuel Pulgar-Vidal は、COP 20について、国家と非国家主体との間の信頼を醸成し、対話の場を築き、気候行動と持続可能な開発を両立させる草案文を練って新たな気候条約の基礎固めをする場とすべきだと述べた。

ペルーのリマ市長Susana Villarán de la Puenteは、気候変動対策における大都市の重要な役割を指摘しつつ、新たな交通のパラダイムづくり、エネルギー源の変革、環境インフラ投資などを推進する世界の市長らの取組みを浮き彫りにした。

ペルー・ナスカの地上絵について触れ、 UNFCCC 事務局長のChristiana Figueres は、世界共通の新たな合意づくり;適応に関する進展の実現; 最も脆弱な国々の資金力の強化などを締約国に促した。

ペルーのOllanta Humala大統領は、ビデオメッセージの中で、人類は“持続可能性の習慣を置き去りにしてきた”とし、今こそ気候変動について行動を起こして正しい道に戻るときだと述べた。

気候変動に関する政府間パネル (IPCC)については、第5次評価報告書 (AR5)の統合報告書(SYR)の主要な知見を紹介しつつ、IPCC議長 Rajendra Pachauriは、 2℃目標未満の気温を維持には2050年までに2010年比でGHG排出量を40-70%減少させ、2100年までにはゼロ排出またはマイナス水準に達するようにすることが求められると主張した。

このレポートでは、COP、CMP、SBI、SBSTA、ADPについて、それぞれの議題のテーマごとに議論を総括する。ただし、SBI、SBSTA、ADPに付託されたCOP/CMPの交渉の模様とその成果は関連する補助機関の項目の中で取り上げる。

締約国会議(COP

12月1日(月)、ペルー環境相Manuel Pulgar-Vidalが、拍手による投票をもってCOP 20/CMP 10の議長に選出された。

組織上の問題: 投票に関する規則案42を例外として、手続き規則案 (FCCC/CP/1996/2) を適用することで締約国が合意した。

COPでは、提案どおり、議題が採択されたが(FCCC/CP/2014/1)、条約4.2条(a)及び(b) (先進国の緩和)の妥当性に関する第2回レビューに関する議題項目は一時中断された。また、COPは、作業組織についても合意し、非附属書I国の国別報告書に関する専門家諮問グループ (CGE)の非附属書I国のメンバーシップに関する議題項目をSBIに付託した。オブザーバー組織の認定についても合意が成された(FCCC/CP/2014/4)。

議長以外の委員選出: COP議長のPulgar-Vidal は委員選出に関する協議を行うよう指示。12月13日(土)のCOP閉幕プレナリーで下記の通りCOP議長団のメンバーが選出された。SBSTA 議長 Tomasz Chruszczow (ポーランド); SBI 議長 Amena Yauvoli (フィジー); COP 報告官 Johanna Lissinger-Peitz (スウェーデン); Ismail Elgizouli (スーダン); Cheikh Ndiaye Sylla (セネガル); Ravi Shanker Prasad (インド); Oleg Shamanov (ロシア); Jaime Hermida Castillo (ニカラグア); 及び Jo Tyndall (ニュージーランド)。 後任が選出されるまでSu Wei (中国) は現職を務める。

また、COPでは、SBSTA議長団の副議長にCarlos Fuller (ベリーズ) を選出。SBI 議長団の副議長にGuoshun Sun (中国) 、報告官にSidat Yaffa (the ガンビア) を選出した。

さらに、COPでは、適応委員会や適応基金理事会 (AFB)、気候技術センター・ネットワーク (CTCN)諮問委員会、クリーン開発メカニズム(CDM) 理事会 (CDM EB)、 専門家に関する諮問グループ(CGE)、遵守委員会、共同実施(JI) 監督委員会 (JISC)、 資金に関する常設委員会 (SCF)、 技術執行委員会 (TEC)、損失被害のためのワルシャワ国際メカニズム執行委員会等のメンバーも選出した。上記リストはUNFCCCウェブサイトに掲載。

今後の会議の開催地および日程: 12月12日(金)にCOPで今後の会議に関する決定書(FCCC/CP/2014/L.8)が採択された。2016年11月7-18日にCOP 22 / CMP 12をモロッコで開催する意思が表明され、ロジ、技術、法律、資金など全ての面で会議を開催できるかどうか調査団をモロッコへ派遣し、その結果を2015年6月までにCOP/CMP議長団に報告するよう事務局に要請した。Ouafae Dehmani (モロッコ)大臣は、新たな合意の運用を開始することが重要だとし、モロッコは“行動のためのCOPになる”と主張した。

信任状に関する報告書の採択:12月12日(金)のCOP で、信任状に関する報告書(FCCC/CP/2014/9-FCCC/KP/CMP/2014/8)が採択。バハマは、事務局に電子メールで同国の信任状を送付したと述べ、 その旨が留意された。

補助機関の報告書: 12月12日(金)のCOP で、SBSTA 40 及び SBSTA 41の報告書(FCCC/SBSTA/2014/2 及び Add.1、及びFCCC/SBSTA/2014/L.20) 及びSBI 40及びSBI 41の報告書(FCCC/SBI/2014/8及びAdd.1、及び FCCC/SBI/2014/L.25)の報告書が採択された。また、決定書 9/CP.19 (ワルシャワREDD+枠組)で設置されたREDDの情報ハブを「REDDのためのリマ情報ハブ」という名称にすることをSBIが推奨し、COPもこれに合意した。

ADPの報告書: 12月13日(土)の閉幕プレナリーで、COPがADP 2-7の報告書を採択した。

条約17条に基づく締約国の提案に関する検討: 12月12日(金)、この項目の検討(FCCC/CP/2009/3-7 及びFCCC/CP/2010/3) をCOP 21でも継続することで締約国が合意。

15条に基づく条約改正のための締約国からの提案の検討:ロシア提案: この項目 (FCCC/CP/2011/5) については、12月3日(水)に最初の審議が行われた。COP 20のPulgar-Vidal議長は、Antonio García (ペルー) 及び Augusto Cabrera Rebaza (ペルー)が共同で進行役を務める非公式協議を提案し、締約国も同意した。12月12日(金)、本件の検討をCOP 21でも継続することで締約国が合意。

ニューギニア・メキシコ提案: この項目 (FCCC/CP/2011/4/Rev.1) については、12月3日(水)に最初の審議が行われた。COP 20のPulgar-Vidal議長は、Antonio García (ペルー) 及び Augusto Cabrera Rebaza (ペルー)が共同で進行役を務める非公式協議を提案し、締約国も同意した。12月12日(金)、本件の検討をCOP 21でも継続することで締約国が合意。

適応委員会の報告書: 適応委員会の報告書に関するSBI 議題項目の欄で本件に関する議論を総括する。

気候変動の影響に関する損失被害のためのワルシャワ国際メカニズム: 損失被害のためのワルシャワ国際メカニズムに関するSBI 議題項目の欄で本件に関する議論を総括する。

技術の開発・移転および技術メカニズムの実施 (TM): TECCTCN合同年次報告書: TEC・CTCN合同年次報告書に関するSBI 議題項目の欄で本件に関する議論を総括する。

TM 及び条約の資金メカニズムの関係 この項目 (FCCC/CP/2014/6 及び 8) については、12月3日(水)に最初の審議が行われた。COP 20 議長 Pulgar-Vidal がCarlos Fuller (ベリーズ) 及び Elfriede-Anna More (オーストリア)が共同で進行役を務める非公式協議を提案し、締約国も同意した。

COPに対して、共同進行役から、締約国間の合意に至らなかったとの報告があり、COPはこの小項目をCOP 21暫定議題に盛り込むことを決定した。

この小項目条約の実施のための重要性を強調しつつ、 中国 は、合意が成立しなかったことは遺憾だとし、技術協力を支援し、気候技術への道筋をつけるためには2つのメカニズム間の関係をしっかり築く必要があると述べた。2013-2015年レビュー: 2013-2015年レビューに関するSBI 議題項目の欄で議論を総括する。

条約4条パラグラフ 2(A) 及び (B)の妥当性に関する第2回レビュー: この項目の審議は保留となった。

資金に関する問題: この項目については12月3日(水)に最初の審議が行われた。 COP 20 議長 Pulgar-Vidal は、長期の気候資金、SCF、GCF及び地球環境ファシリティ (GEF) の報告書、 及び資金メカニズム第5回レビュー等に関する小項目を取り上げるよう締約国に促した。

長期の気候資金及びSCF報告書の問題に関して、Tosi Mpanu Mpanu (コンゴ民主共和国) 及び Dany Drouin (カナダ)が共同議長を務めるコンタクトグループで、GCF及びGEFの報告書と指針、及び資金メカニズム第5回レビューに関しては、Ayman Shasly (サウジアラビア) 及び Stefan Schwager (スイス)が共同議長を務めるコンタクトグループで審議することをPulgar-Vidal議長が提案し、締約国の賛同を得た。

GCFについては、ザンビアが、資金供給に対する直接的なアクセス方式のスピードアップ及び国家機関の認定・支援を求めた。

気候 Justice Now!は、 環境NGO (ENGO)の立場から、“褐色からグリーンへ”という経済変革が実現するならば、途上国のニーズに対応するよう求めた。

企業・産業NGOは、信頼性と透明性の高いMRV制度の構築が重要であるとし、二重算定を回避するよう求めた。

ウルグアイは、全アメリカ地球変動研究機関(IAI :Inter-American Institute for Global Change Research)がUNFCCCと協力する準備ができていると述べた。

エジプトは、 アフリカン・グループの立場から、長期気候資金は年間1000億米ドルという枠に限定すべきではないと述べた上で、資金源、予測可能性、 妥当性 、安定性、2℃未満を維持するために必要な資金規模の達成策などの取組みも含めた資金に対する戦略的アプローチ求めた。パナマは、適応基金の活用を提案した。

12月4日(木)の長期の気候資金及びSCF報告書に関するコンタクトグループ会合で、Tosi Mpanu Mpanu 及び Dany Drouin共同議長がSCF報告書(FCCC/CP/2014/5)を紹介した。

ボリビアは、G-77/中国の立場から、 支援のMRVについても現在ADPで審議中であるとし、整合性と調整、途上国向け財政支援レベルの明確さ、SCF第3回フォーラムに関する指針、森林に対する資金などを求めた。

米国は、提出書類について議論することを提案し、欧州連合(EU)とともに、リマ会議の前にGCF第一回資金拠出額が97億米ドルに達したことを強調した。

GCF 及びGEFの報告書と指針、及び資金メカニズム第5次レビューに関するコンタクトグループ会合で Ayman Shasly 及び Stefan Schwager共同議長が文書 (FCCC/CP/2014/2 及び Add.1、 及び FCCC/CP/2014/5 及び 8)を紹介した。

ボリビアは、  G-77/中国の立場から、適応基金の重要な作業について留意した。EUは、他の議題にも適応など資金的な側面があると指摘し、気候資金に関するコンタクトグループ会合で審議することを提案した。

12月13日(土)未明、COP 20議長の代理としてRosa Morales (ペルー)議長が主宰するコンタクトグループが行われた。Edward Davey (英国) 及び Edna Molewa (南アフリカ)が閣僚級の協議についてブリーフィングを行い、木曜日の関係国との協議を踏まえてテキスト草案を作成し、金曜夕方の追加協議の結果を受けて5つの決定書草案を作成したとの経緯を伝えた。土曜未明のコンタクトグループ はSCF報告書、GEF報告書及び指針、資金メカニズム第5次レビューについて取り上げた後、いったん休止し、土曜日の午前11時46分に再開となった。そこで、長期の気候資金やGCF報告書と指針についての議論が行われた。Morales議長は、閣僚協議の成果として出されたテキストについて言及し、それについて議論を行った後、長期気候資金、及びGCF報告書と指針に関する残りの決定書がコンタクトグループ会合での検討のためCOP 20に付託された。コンタクトグループ会合は午後2時8分に終了した。

長期の気候資金: 12月3日(水)、 COP 20 議長 Pulgar-Vidalは、 締約国に対して、長期気候資金に関する 2014年のインセッションワークショップ・サマリー (FCCC/CP/2014/3) について検討するよう招請し、今後のワークショップ実施に関する指針を出した。12月13日(土)のコンタクトグループ会合で、決定書草案についてこれまでに合意がまとまった文言を反映する形で些少な修正を行った後、COP 20での審議に向けて送付することが決定した。

12月13日(土)のCOP 閉幕プレナリーで、決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.13)で、 COPは、GCFへの誓約及びGEF第6次資金補充、後発開発途上国 (LDC)基金 (LDCF) 、特別気候変動基金 (SCCF)、 及び適応基金への貢献; 及び決定書 3/CP.19パラグラフ 10に盛り込まれた2014―2020年の期間に気候資金を増額するための最新の戦略とアプローチについて先進国締約国が現在までに提出した二ヶ年報告書以下を歓迎し、未だそれらを実施していない先進国にはそうするよう要請している。

また、COPは 特に:

•公的な気候資金の相当額を適応活動に振り向けるよう先進国に要請。

•締約国に対して、決定書 3/CP.19 に則り、気候資金の動員と効果的な配備を促進するために充実した環境と政策枠組みの強化を続行するよう要請。

•有意義な緩和行動及び実施に関する透明性という文脈において、途上国のニーズに取組むため2020年までに先進国が共同で年間1000億米ドルを動員するという目標に向けて、先進国がコミット(約束)すると認識。

•先進国に対して、2016-2020年の期間の気候資金を拡充する戦略とアプローチに関する二カ年レポートの次回更新の準備において、資金の流れに関する透明性と予測可能性を重視しつつ、経路に関する利用可能な定量的・定性的要素を向上させるよう要請。

•事務局に対して、戦略とアプローチに関する二カ年レポートの編纂・統合を行い、インセッション・ ワークショップについて連絡し、2020年までインセッション・ ワークショップを毎年開催して、毎年のCOP及び気候資金に関するハイレベル閣僚ダイアログで検討するため、ワークショップ報告書のサマリーを作成するよう要請。

•2015年、2016年のインセッション・ ワークショップは、適応資金、途上国支援のニーズ、強化された実現環境に関する協力や即応活動の支援について重点的に取組むものとすることを決定。

報告書 資金に関する常設委員会: SCF共同議長のStefan Schwager (スイス) 及び Diann Black-Layne (Antigua 及び Barbuda) が12月3日(水)、報告書(FCCC/CP/2014/5 及び Add.1)を紹介した。12月13日(土)、 コンタクトグループは、修正なしで決定書草案をCOP 20で検討するため送付することに合意した。土曜日のCOP 閉幕プレナリーで決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.10)で、COPは以下の点を歓迎している。SCF報告やSCFが実施する作業の透明性・開放性、2014年の二カ年評価及び関連レポートにも留意した「気候資金フロー」概要の無事完成、関連レポートに留意した「適応資金の動員に関する2014年SCFフォーラム」;、及び運用機関に対する指針案の要素の準備におけるSCF作業に対するTEC及び適応委員会の意見提供。

また、COPは、 特に

•2015年のSCF作業計画、COPに対するSCF報告書のパラグラフ 10に記された実施機関への指針提供に関する諸提案を承認。

•COP 23までにSCFの機能に関するレビューを実施することを決定。

•関連する技術機関に対して、2014年の気候資金に関する二カ年評価報告書に記載された諸提案を関連事項の審議の一貫で検討するよう要請。

•森林向けの資金関連の問題に特化した2015年の第3回SCFフォーラムに期待。

さらに、COPは、SCFに対して、以下を要請:

•財務情報に関する報告法の改善を勧告することを目指し、COP 21に対する年次報告書の中で二カ年の評価に関する知見と評価を検討。

•公的介入を通じた民間資金や代替資金を含む様々な資金源の動員に関する利用可能な情報を踏まえて、支援のMRVに関する作業の強化策をさらに模索

•COP 21に対する(SCF)報告書の中に2015年作業計画の実施面で成された進展に関する情報を記載。

•適応基金や条約下のその他の制度間の今後の制度的な連携のありかたに関する問題ならびにその他のCOP 決定書に記載された(SCFに対する)指針の検討。

COPへのGCF報告書及びGCFへの指針: GCF理事会の共同議長 Ayman Shasly (サウジアラビア) が12月3日(水)、報告書(FCCC/CP/2014/18)を紹介した。コンタクトグループは12月13日(土)、決定書草案について、適応・緩和の窓口の運用加速をGCF理事会に要請するパラグラフから民間部門の機関に関して記載された部分を削除するという修正を行った後、COP 20で検討するため、草案分を送付することで合意した。 12月13日(土)のCOP 閉幕プレナリーで決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.12)で、COPは、現在までに102億米ドルの動員につながった初期のタイムリーに成功したGCF資金動員プロセスにより、GCFが条約の途上国締約国の支援活動を開始し、気候の専門基金として最大規模になったことを歓迎。

 また、COPは、特に:

•GCFに対して、現在実施中の資金動員の取り組みは同基金の野心と釣り合う内容であることを担保するよう要請し、その他の先進国の貢献を求め、その他の各種資金源や初期の資金動員プロセスを通じた代替的な資金源を含む官民資金の投入を招請。

•GCF、暫定管財人、援助金の出資国に対して、2014年11月の誓約を行うセッションまでに誓約された出資分の50%が、完全に実行された合意/2015年4月30日までに事務局が受領した取り決めという形で反映された場合、GCFに関するコミットメントが有効になることに留意しつつ、完全に実行された出資の形式の誓約について確認するよう要請。

さらに、 COPは、GCF理事会に対して、以下を要請:

•適応・緩和の窓口の運用開始を加速し、キャパシティビルディング 及び 技術の開発・移転に向けた十分な資金を担保すること。

•国家主導のアプローチを強調し、大規模な資金を動員するための行動を迅速化し、民間部門を参画させる戦略的アプローチを策定することにより、民間ファシリティの運用開始を加速し、民間団体および民間団体と業務上関係のある経験を備えた公的機関が2015年に確実に認定されるようにし、LDCや小島嶼開発途上国 (SIDS) 、アフリカの国々などの中小企業を含め、途上国の地元で民間の活動を行う人々が参画するための行動の迅速化を図ること。

•2015年の作業計画の実施において、政府以外の資金や代替的資金源からの資金投入を受け入れるための政策や手続きに関する作業、GCFの投資やリスクを管理する枠組み、基金の機構全体で理事会レベルの投資先の内訳を決定するためのオプションも含めた初期の成果が出た分野の影響分析、目的達成に最適なプログラムやプロジェクトの選定方法を含めた基金の承認プロセス等に関する作業の完了。

•手続きの透明性のさらなる向上策を検討。

•制度の能力構築のための国家指定機関やフォーカルポイントが率先することによって、特に LDCやSIDS、アフリカ

諸国などをはじめとする途上国への緊急援助を提供することによって、初期の資金動員プロセスからのものも含め

実行に向けて適正な資金が提供されるよう確保しつつ、即応体制や準備支援に関する作業計画の実施を加速すること。

•政策やプログラムの優先順位を決定する際、条約に基づくその他の関連機関や国際機関の取り組みを通じて学んだ情報や教訓を検討すること。

•すべての利害関係者の参加をさらに強化すること。

•モニタリングや説明責任の枠組みの整備。

•REDD+関連の決定書の検討。

•COP会議の12週間前を期限とし年次報告書のタイムリーな提供。

•この決定書の実施で成された進展についてCOP 21へ報告。

また、COPは:

•GCFに対して、国レベルの政策及び事業計画の補完性や一貫性を強化するため、条約下の既存の基金及びその他の気候関連基金との連携強化を要請。

•GCFに対して、スタッフの選考については、地域性やジェンダーのバランスを考慮に入れつつ、オープンさと透明性を確保し、差別を排除して個人の能力を基準に行うよう要請。

•途上国に対して、基金に特権と免責条件を付与するため、GCF理事会で承認されたテンプレートをベースに  GCFと二国間協定を締結するよう要請。

•GCFに対して、第3者是正メカニズムに関する提言があるならば、その提言及びこれを受けて理事会が講じたすべての行動をCOPへのGCF年次報告書に盛り込むよう要請。

COPへのGEF報告書及びGEFに対する指針: 12月3日(水)、GEFのChizuru Aokiは、報告書 (FCCC/CP/2014/2 及び Add.1)を紹介した。 12月13日(土)、 コンタクトグループ は、軽微な修正を経た決定書草案をCOP 20で検討するため送付するに合意した。COP閉幕プレナリーで決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.11)で、 COPは以下[第5次資金補充の誓約を未だ実行していない国々はこれを出来るだけ速やかに行うとともに、GEF第6次資金補充を実施; これら基金への継続支援を呼びかけつつ、LDCF及びSCCF向けに成された誓約と貢献; GEFのジェンダー主流化政策]を歓迎。

また、COPは、 特に:

•気候変動の重点分野向けに利用可能な資金量がGEF6次資金補充期に減少した点とその結果としてLDCs、SIDS、アフリカ諸国を含めた一部の国々の配分金が減少した点に留意。

•協調融資に関するGEFの政策、及び実施について一部の締約国から持ち上がった懸念事項に留意。

•締約国に対してはGEFに対する指針策定において考慮する要素に関する意見や提案を毎年、事務局に提出するよう招請するとともに、SCFに対してはGEFへの指針案を作成する際にこれら提出物を検討しCOPの検討に付すよう要請。 

•GEF対して、特に、プロジェクトサイクル改善に関する作業の継続、オペレーションに関する全般的な透明性と開放性の改善、ならびに協調融資策に関するコミュニケーションの改善を奨励。

また、COPは、GEFに対して、以下を要請。

•GEFのポートフォリオ及び体制の両方の中でジェンダー主流化の確実な実施。

•さらなる手続き簡素化、及び条約12.1条 (実施に関する情報の連絡)に基づく義務履行のための非附属書I締約国による資金受け取りプロセスの効果効率の改善のため、実施機関との作業を継続。

•決定書で定められた指針の実施のため講じられた手段に関する情報をCOPへの年次報告書に記載。

資金メカニズム第5次レビュー: 12月3日(水)、 COP 20 議長 Pulgar-Vidalがこの項目 (FCCC/CP/2014/5 及び FCCC/CP/2013/INF.1)を紹介した。 12月13日(土)、 コンタクトグループはCOP 20での検討に付すため決定書草案を修正なしで送付することに合意し、COP閉会式で決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.9)で、 COPは、GCFの運用開始においてGCF理事会で成された進展を歓迎し、今もGCFが業務を開発中であるため、GEFに特化した資金メカニズム第5次レビューに留意。

また、COPは、 特に

•資金メカニズム第5次レビューに対してSCFが提供する専門家の意見を歓迎し、SCFがメカニズムに関する今後のレビューで同じ方法論や基準に基づいて進めるよう奨励

•資金メカニズムの実施機関に対して、今後の作業において、これらの提案に取組むよう奨励。

•GEFのパフォーマンスに関する全般的に前向きな評価について認識する一方で、LDCs 及び SIDSが未だGEF資金へのアクセスは難しいと感じていることについて留意。

•COPが資金メカニズム運用機関向けに提供する指針について、これらの運用機関の資金補充サイクルに関連する戦略や政策提言を策定する際に、重要な指針を確実に十分検討できるよう指針の提供時期について検討することを決定。

•決定書 8/CP.19 (資金メカニズム第5次レビュー)に添付されたガイドラインに記載された評価基準やその後の改正内容に則り、COP 22で、資金メカニズム第6次レビューを開始することを決定。

•SCFに対して、COP 23でのレビュー完了をめざし、2017年の資金メカニズム第6次レビューに専門家の意見提供するよう要請。

LDCFへの更なる指針: LDCFへの更なる指針に関するSBI 議題項目の欄に議論の内容をまとめる。

条約の附属書I締約国の報告及びレビュー: 附属書I締約国の報告及びレビューに関するSBI 議題項目の欄に議論の内容をまとめる。

条約の附属書I非締約国の報告: 非附属書I締約国の報告及びレビューに関するSBI 議題項目の欄に議論の内容をまとめる。

条約に基づくキャパシティビルディング:条約下のキャパシティビルディングSBI 議題項目の欄に議論の内容をまとめる。

条約48 及び 9の実施: 適応に関するブエノスアイレス作業計画の実施及び 対応措置 (決定書 1/CP.10):決定書 1/CP.10に関するSBI 議題項目の欄に議論の内容をまとめる。

LDCに関する問題: LDC関連の議論はSBI 議題項目の欄でまとめる。

ジェンダー 及び 気候変動: ジェンダー 及び 気候変動に関するSBI 議題項目の欄に議論内容をまとめる。

補助機関からCOPに付託されたその他の問題: IPCC5回評価報告書(AR5: IPCC AR5 に関するSBSTA 議題項目の欄に議論内容をまとめる。

先進国締約国のための国別インベントリのレビューを含む二カ年報告書 及び 国別報告書のレビューのためのガイドライン改訂に関する作業計画: 先進国締約国のための国別インベントリのレビューを含む二カ年報告書 及び 国別報告書のレビューのためのガイドライン改訂に関する作業計画に関するSBSTA 議題項目の欄に議論内容をまとめる。

国別適応計画 (NAP): NAPに関するSBI 議題項目の欄に議論内容をまとめる。

事務、資金、制度組織の問題: 2012-2013年二ヶ年監査済み財務報告書:事務、資金、制度組織の問題の議論についてはSBI議題項目の欄に総括する。

2014-2015年二ヶ年予算収支: 本件に関する議論は、事務、資金、制度組織の問題に関するSBI 議題項目の欄で総括する。

UNFCCCプロセスにおける意思決定: 12月3日(水)のSB 40で COP 20のTomasz Chruszczow (ポーランド) は本件に関する協議について信頼醸成のために重要な協議だったと報告し、公式の成果の必要性については共通見解が出されなかったと述べた。

COP 20 議長 Pulgar-Vidalは、コンタクトグループの設置を提案したが、サウジアラビア、 EU、 インド、 イラク、中国は、非公式協議の方が良いと主張し、ロシアがこれに反対を唱えた。ロシアは、パリ会議までの準備交渉として重要な転換点を迎えると指摘しながら決定書草案 (FCCC/CP/2014/CRP.1)を紹介した。 今後の方策について関係国による非公式協議が行われ、12月13日(土)に決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.4)で、 COPは、 特に 

•UNFCCCプロセスの意思決定に関する議論の継続を決定。

•議長に対して、COP 21の開催国フランスと協働し、SB 42と連動する形で、UNFCCCプロセスの意思決定に関する前向きなオープンエンド型非公式協議を開催し、COP 21に報告するよう要請。

•COP 20議題2(b) (手続きルールの採択) 及び 6(b) (条約7条及び 8条の改正案) の下の小項目を、UNFCCCプロセスの意思決定に関するこの小項目とは明確に別個のプロセスで検討することで合意。

•COP 21でも、この小項目の検討を継続することで合意。

その他の問題: 教育・啓蒙: ポーランドは、12月3日(水)のCOP 20で、教育・啓蒙に関する閣僚宣言に向けたポーランド・ペルー両政府による合同イニシアティブについて概要を示した。

メキシコ、 EUは、 ドミニカは、同イニシアティブを歓迎した。 COP 20議長のPulgar-Vidalが協議を開き、12月13日(土)に 決定書が採択された。.

社会で気候に関する教育を行うことの重要性を指摘し、 COP 19/CMP 9 議長 Marcin Korolec (ポーランド)は、COP 19の議長とCOP 20の議長が旗振り役となってこの閣僚宣言という“非常に素晴らしい成果を打ち出せた”と言及した。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.1/Rev.1)で、 COPは、条約6条(教育・訓練・啓発) 及び 議定書10条 (e) (教育・啓発プログラム)の重要性について再確認し、COPは、 特に

•教育、 訓練、 社会意識、参加、情報や知識へのアクセス、および国際協力が、条約の究極目標の実現や気候レジリエンスをもつ持続可能な開発の促進に不可欠の重要な役割を果たすと強調。

特に、気候変動やその影響に関する教育や啓蒙プログラムの開発や実施を促進・円滑化するためのCOP の責任を再確認。

•各国政府に対して、気候変動問題を取り入れた教育カリキュラムの開発と教育戦略の策定、ならびに各国の開発や気候変動戦略・政策において気候変動に関する啓蒙活動を盛り込むことを奨励。

•すべての締約国に対して、気候変動に関する教育・訓練・啓発、 参加、情報アクセスについての感心を高めるよう要請。

•気候変動に関する意識向上と教育向上を目指した補完的なイニシアティブを通じた協力や取り組みへの決意の表明。

•条約6条に関する「ドーハ作業計画」実施の取り組みを再確認。

京都議定書締約国会合

12月1日(月)、 CMP 10 議長 Manuel Pulgar-VidalがCMP 10を開会した。

組織上の問題: 議題 (FCCC/KP/CMP/2014/1)は微修正を経て採択された。

交代役員の選出については、CMP 10 議長 Pulgar-Vidal が候補者に関する協議を執り行うと報告し、作業構成について合意が成立した。

12月13日(土)、 CMP 10 副議長 Jorge Voto-Bernales (ペルー) は、COP 議長団のすべての議長団メンバーは京都議定書締約国の出身であるため交代役員の選出は必要ないと指摘した。また、CMPでは、AFB、 CDM EB 及び JISCの委員および交代委員を選出した。

12月12日(金)、バハマが同国の信任状が事務局に電子送信されていると述べ、その点が留意された上で、信任状に関する報告書(FCCC/CP/2014/9-FCCC/KP/CMP/2014/8)がCMPで採択された。

京都議定書ドーハ改正の批准状況: 12月3日(水)のCMPプレナリーで、この項目が初検討された。

UNFCCC 事務局長 Christiana Figueresは、現在までにドーハ改正の受諾書は19カ国から受け取っただけであり、批准にはあと125カ国分が必要だと強調し、UNFCCCに基づく唯一の法的拘束力を有する条項を継続させるため、批准に責任を有する締約国に対して改正プロセスをスピードアップするよう呼びかけた。

ガイアナ、パラオは、ドーハ改正の批准手続きを完了したと述べ、まもなく受諾書を送付すると宣言した。

ボリビアは、  G-77/中国の立場から、G-77/中国グループが附属書B締約国にはプレ2020年の緩和ギャップを解消するため、自らの約束について再検討し、約束の数値を引き上げるべく、あらゆる努力をするよう期待すると述べた。CMP 10 議長 Pulgar-Vidalは、批准プロセスの加速化について関係国との非公式協議を行うと発表した。

12月12日(金)の CMP 閉幕プレナリーで、 CMP 10 副議長 Voto-Bernalesは、 ツバルとナウルから2件の受諾書を新規に受け取ったことを発表し、締約国に批准手続きを急ぐよう要請した。

補助機関の報告書: SBSTA報告書: 12月12日(金)のCMP で、SBSTA 40 及び SBSTA 41報告書(FCCC/SBSTA/2014/2 及び Add.1、 及びFCCC/SBSTA/2014/L.20) 、 ならびにSBI 41 (FCCC/SBI/2014/L.25) 及び SBI 40報告書 (FCCC/SBI/2014/8 及び Add.1)が修正通り、採択された。

クリーン開発メカニズム(CDM)に関する問題: 12月3日(水)にこの項目 (FCCC/KP/CMP/2014/5)に関する最初の審議が行われた。CDM EB議長のHugh Sealy (バルバドス) は、締約国に対して、成果ベースの資金の強みを認識し、新たにCDMへの約束を行うよう呼びかけた。

ザンビアが、透明性、 説明責任、プロジェクト承認プロセス簡素化といった問題に取組んで期待する成果を達成するべく、CDMのオペレーションに関する改革を続行することを提案した。世界銀行は、CDMが効果的に成果ベースの気候資金の流れを生んでいると述べ、締約国に対して、CDMメカニズムを存続させるため近いうちにCDMを利用することを呼びかけた。セネガルは、CDM改革が特にアフリカ等の途上国にとって決定的に重要であるとし、これまでアフリカ諸国はCDMメカニズムの恩恵をほとんど受けていないと述べた。

CMP 10 議長 Pulgar-Vidal は、Jeffery Spooner (ジャマイカ) 及び Marko Berglund (フィンランド)が共同議長を務めるコンタクトグループの開催を提案し、 締約国も同意した。

12月3日(水)のコンタクトグループ会合で、 参加者は、特に、締約国や利害関係者にCDM利用を幅広く奨励; 緩和の有効なツールとしてのCDMの分析; 2020年以降のCDMの継続; 登録基準の標準化; 自主的な取り消しを認めるCDMの強化などが必要であると強調した。

環境NGOは、締約国に対して、CDMプロジェクトが未だ人権を十分に尊重できていないという問題に取組むよう要請した。企業・産業NGOは、モダリティーや手続きのレビューでの進展、標準化ベースラインの継続開発、 認定プロセス簡素化などを特に求めた。

12月8日(月)、この項目に関してCMP非公式協議が終日開催された。午後には、共同議長が作成した決定書草案についてのパラグラフごとの検討が続けられた。議論の焦点となったのは、 特に、EBと指定運営機関 (DOEs)との相互交流やDOEのCDMへの参加、ならびに方法論改正や方法論簡素化及びクレジット付与機関の調整などの作業を優先するようEBに対する要請事項である。

12月10日(水)午後のコンタクトグループで、決定書草案テキストの検討継続が決まったが、ベースライン及びモニタリングの方法論及び追加性; CDMプロジェクト活動に関する登録及び自主的な取り消しを含めた認証排出削減ユニット (CERs)発行プロセス等の項目では特に合意に至ることができず、夕方もコンタクトグループや非公式協議が続けられた。

12月12日(金)の閉幕プレナリー、 決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/CMP/2014/L.3)で、 CMPは、2013-2014年CDM EBの年次報告書を歓迎し、決定書附属書Iに記載された通り、CDM及びDOEによるセクター別の有効化審査 及び 検証機能の実施進捗状況に満足感を示している。また、CMPは、次のパラグラフ[ベースライン及びモニタリング方法論及び追加性; CDMプロジェクト活動の登録及びCERs発行; 地域、小地域ごとの分布状況; 及びCDMに関する作業のための資金など]について合意。また、CMPは、これらのパラグラフについて特に

•DOEによる有効化審査並びにあらゆる規模のプロジェクト活動や活動計画 (PoAs)に対する第1回CERs発行要請まで、EB承認に向けてモニタリング計画をいつでも提出できるように許可すると決定。

•EBに対して、自動的に追加性の資格を有するプロジェクト活動及びPoAの登録を簡素化するためのオプションをさらに分析し、CMP 11への報告を返すよう要請。

•EBに対して、あらゆる規模で同一プロジェクト活動またはPoAの有効化審査及び検証を同一のDOEが実施することを許可することによる影響や環境十全性を確保するための今後の担保条項などを分析し、CMP 11への報告を返すよう要請。

•EBに対して、有効化審査や検証、認証レポートにおける重大な欠陥に起因するCERs発行に係わる法的責任(負債)の影響を考慮に入れつつ、環境十全性の確保と両立した効果的な実施の円滑化及び取引関連コストの低減を実現させるための特徴を反映させるべく、PoAs管理規定の調整の検討ならびに適切な場合はその執行を要請。

•EBに対して、CDMの良識ある資金管理ならびに京都議定書の第2約束期間の準備期間終了までのCDMメカニズムの維持と整備における義務の履行能力を保証するよう要請。

共同実施(JI)に関する問題: 12月3日(水)、この項目 (FCCC/KP/CMP/2014/4)に関する最初の審議が行われた。

JI 監督委員会のPiotr議長(ポーランド) は、JIの活動は深刻な減少傾向にあると報告した上で、JI のようなメカニズムが野心的な緩和の実現に非常に重要なのだと強調し、締約国にはJIを保護するためのリマ決議を採択するよう要請した。 CMP 10 議長 Pulgar-Vidalは、Yaw Osafo (ガーナ) 及び Dimitar Nikov (フランス)が共同議長を務めるコンタクトグループ設置を提案し、 締約国も同意した。

12月8日(月)午後、CMP コンタクトグループが行われ、Nikov共同議長が、締約国からの意見書や提案を踏まえて修正された決定書草案テキストについて紹介し、締約国はパラグラフぐとに検討を行った。

集中的な議論が行われたトピックとしては、 特に、 京都議定書第2約束期間の約束履行について締約国を支援するためのJIメカニズムの継続を保証する必要性、JIとCDM間の相乗効果に関する技術文書の作成を事務局に要請するべきか否か、オフセットを超える緩和の統合や、緩和の導入と数量化に向けた透明性の高い基準の検討に向けたオプション等があった。

12月10日(水)午前のコンタクトグループで、決定書草案テキストについて、パラグラフごとの検討が行われ、JIガイドラインのレビューに関するSBIの議論に情報を提供できるような自主的な技術アプローチの統合、各国の規制事業やJISC向けの関連資金の影響などの評価; 及び合同認定に関するCDM EBとJISCとの連携などについて、特に意見交換が行われた。決定書草案は修正通り、CMP 採択に向けて送付することで締約国が合意した。

12月12日(金)の CMP 閉幕プレナリーで、 決定書が採択された。.

最終結果: 決定書 (FCCC/KP/CMP/2014/L.2)で、CMPは、特に、議定書6条の実施に関する指針について

•2006-2014年のJIの実績や2013-2014年のJISC 年次報告書、JIガイドラインのレビューに関するSBIの現行作業に留意 。

•JI参加者が直面している市況に対する懸念やドーハ改正に基づく約束の履行で締約国を支援する上でJIメカニズムの持続的な成果を担保する必要性を改めて表明。

•事務局に対して、SBI 42での検討に付すため、JIの経費節減と効率化の機会、ならびにCDMの経験に学ぶ教訓に関する技術ペーパーを作成するよう要請。

•2015年3月16日までに京都議定書の約束達成についてホスト国を支援できるような自主的な技術アプローチの事例を締約国が事務局あてに提出し、SBI 42で検討できるよう事務局が事例集を報告書の形にまとめるよう招請。

•JISCに対して、SBI 42での検討に付すため、JIガイドラインのレビューに関する詳しい提言書を提出するよう要請。

•JISCに対して、締約国が少なくとも京都議定書第2約束期間末までJIメカニズムを利用するために十分なインフラや能力を確保し、JI 管理計画を継続的に点検するよう要請。

遵守委員会の報告書: この項目 12月3日(水)に最初の審議が行われた。遵守委員会のRueanna Haynes議長 (トリニダード・トバゴ) が会期間の委員会の活動について最新状況を伝え、CMPが報告書 (FCCC/KP/CMP/2014/2) について留意した。

適応基金: AFB報告書: この項目 (FCCC/KP/CMP/2014/6) について、12月3日(水)に最初の審議が行われた。

AFB 議長 Mamadou Honadia (ブルキナファソ) が適応基金の活動について概要を報告し、基金のための適正で持続的かつ予測可能な資金動員策について指針を提供するよう締約国に要請した。

ザンビアが、多くの国は国家運営機関の認定プロセスにあるとし、簡素でもしっかりとした機関にするための必要条件を見直すよう求めた。ウルグアイは、これが適応資金のための唯一効果的な基金であるとし、新たなメカニズムの影になるようなことがあってはならないと主張した。

CMP 10 議長 Pulgar-Vidalは、Suzanty Sitorus (インドネシア) 及び Ana Fornells de Frutos (スペイン)が共同議長を務めるコンタクトグループ会合の開催を提案し、 締約国も同意した。

12月10日(水)、 締約国の提案に基づき共同議長がとりまとめたテキストをコンタクトグループ会合で検討した。

議論の焦点は、 特に:初期の資金拠出の目標に対応したプロセスを完了していない先進国にはできるだけ早期に実施するよう要請;  2014-2015年に年間8000万ドルの目標に達するよう資金を拠出するよう附属書I国に招請し、 CDMプロジェクト 活動からの収益に追加的な資金からの融資を拡充し、 第1回国家間割当量単位(AAUs)の移転及び排出削減単位(ERUs)の発行; 適応基金の常設管財人の選出のための入札プロセス; 及び即応体制に関する事業計画の追加支援を誰に直接要請するかといった問題だった。

決定書草はCMPへ送付され、12月12日(金)に採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/KP/CMP/2014/L.5)で、 CMPは、CERs市場価格の水準や適応基金からの資金拠出に対する影響などの懸念事項について留意しつつAFB報告書を歓迎。

また、CMPは、 特に、

•適応基金の管財人として世界銀行が提供する役務の契約条件に対する修正事項を採択。

•適応基金の信託基金に累計4億790万米ドルを受領したことに留意。

•2012年-2013年の誓約額が1億米ドルというAFBの初期の資金目標を超過達成したことに留意し、AFBの初期の資金目標に応答しながら未だプロセスを完了していない先進国にこれを実行するよう要請。

•2014年、2015年のAFB資金動員戦略目標を年間8000万米ドルと設定したことを歓迎し、附属書I締約国に対しては引続き目標達成を支援するための資金供給とともに追加資金源からの資金拡充を奨励。

•適応基金の第2回レビューに関する決定書に則り、気候資金への直接アクセスのためのAFB 準備事業計画への追加支援を招請。

•AFBに対して、今後のCMPへの報告書の中で、基金向けに利用可能な資金も含め、CERsの価格変動の影響に関してさらに明確な情報を提供し、事務局と管財人のための恒久的な制度調整の選択肢に関する作業の継続を要請。

適応基金第2回レビュー: 本件の議論は、適応基金第2回レビューに関するSBI 議題項目の欄に総括する。

京都議定書の約束に関する野心引上げについてのハイレベル閣僚ラウンドテーブルに関する報告: この項目 (FCCC/KP/CMP/2014/3)については、 12月3日(水)に最初の審議が行われた。

ボリビアは、 G-77/中国の立場から、中国、 キューバ、 南アフリカ、 エジプト、 インド、 イラク、サウジアラビアとともに、 コンタクトグループにおいて、SB 40で開催されたハイレベル閣僚級ラウンドテーブルに関するフォローアップ策について検討することを提案した。

中国は、ラウンドテーブルで野心引き上げの約束が一切出されなかったとし、信頼を築くためには野心引き上げが必須だと強調した。

オーストラリア、 ニュージーランド、EUは、現時点ではコンタクトグループに同意する準備が整っていないと述べた。

EUは、2015年の出来るだけ早い時期にドーハ改正への批准手続きを完了する予定だと述べた。

気候行動ネットワーク (CAN)は、環境NGOの立場から、ルールに基づく文書としての京都議定書の重要性を強調し、約束を後退させることがあってはならないと強く主張した。気候ジャスティス・ナウ!は、環境NGOの立場から、EUが未だドーハ改正に批准していないことは遺憾だと述べた。

CMP 10のPulgar-Vidal議長は、今後の進め方については非公式に協議すると述べ、12月6日(土)に非公式協議の中では本件に関してコンタクトグループを設置するか何も合意することが出来なかったことを報告した。

コンタクトグループ設置については、G-77/中国の立場のボリビアが支持を表明したが、オーストラリア、 スイス、 EU、ノルウェーが反対の意を示し、非公式協議が続けられた。

12月12日(金)の CMP 閉幕プレナリーで CMP 10 副議長 Voto Bernalesが、合意が成立しなかった為、この項目はCMP 11の暫定議題に盛り込まれることになると報告した。

附属書I国の報告及びレビュー: 国別報告書: 本件に関する議論は、附属書I国の国別報告書及び GHGインベントリ・データに関するSBI議題項目の欄に総括する。

京都議定書の第1約束期間に関する8条に基づく専門家レビュー・プロセスの完了日:  CMPは、SBI 40から勧告を受けた本件に関する決定書草案(FCCC/SBI/2014/8/Add.1)を検討し、 12月12日(金)の CMP 閉幕プレナリーで、決定書が採択された。

最終結果: 決定書 (FCCC/SBI/2014/8/Add.1)で、 CMPは、 特に

•京都議定書第1約束期間に関する8条に基づく昨年の専門家レビュー・プロセスは、2015年8月10日までに完了させるものとし、期日までに専門家レビュー・プロセスを完了していない場合はこれを続行し、第1約束期間に関する昨年の最後のインベントリ・レビューの公示日を完了日とすることを決定。

•事務局に対して、この期限を守るようレビュー・プロセスを迅速に行うよう要請。

•京都議定書第1約束期間の約束を達成するための付加期間の失効を受け、決定書 14/CMP.1で合意された標準電子様式表を用いて、決定書 13/CMP.1附属書パラグラフ 49に定められた情報を網羅した報告書を、第1約束期間の約束達成のための付加期間(以後、調整期間と記す)の失効から45日以内の現実的に実行可能な出来るだけ早い時期に提出することを決定。

•また、2015年9月30日以降、調整期間の完了月まで4週間ごとに、事務局が、第1約束期間に附属書Bの約束を担う各締約国のために、以下の情報について情報源を明記の上、電子媒体で提供することを決定。

•さらに、この情報の中にCDM登録簿の総所有高の合計数量を記載することを決定。

•未完のレビュー・プロセスに関する情報を事務局に提出することを決定。

京都議定書の附属書B締約国の年次編集及び算定: SBIの京都議定書に基づく締約国のための年次編集及び算定に関する議題項目の欄で議論内容を総括する。

京都議定書ドーハ改正(3.7-3)セクションGに関する文言の明確化、特に約束期間に先立つ最初の3年間の年間平均排出量の決定にしようされる情報: 京都議定書のドーハ改正(3.7-3)セクションGに関する文言の明確化についての議論はSBSTAの議題項目の欄で総括する。

京都議定書に基づくキャパシティビルディング: 京都議定書に基づくキャパシティビルディングに関するSBI 議題項目の欄で総括する。

京都議定書2.3条及び3.14条に関する問題: SBIの3.14条に関する議題項目の欄で議論を総括する。

補助機関からCMPへ付託されたその他の問題: 京都議定書のメカニズムに基づく認定の相乗効果: 12月12日(金)、 この決定書草案 (FCCC/SBI/2014/8/Add.1)、はSBI 40からCMPへ送付され、採択に向けた検討が行われた。

CDM EBとJISCに対して合同認定メカニズム設置の “検討” を要請し、第2パラグラフのメカニズムを“合同で構築・適用”するという役割を付与することには“論理的な矛盾”があると強調し、ブラジルは、第2パラグラフの削除と第1パラグラフの括弧書きの削除を求めたが、当初EUの反対に遭った。CMPは修正案の通り決定書草案を採択した。

事務、資金、制度組織の問題: 2012-2013年(二ヶ年)監査済み財務報告書:事務、資金、制度組織の問題に関するSBI 議題項目の欄で議論を総括する。

2014-2015年(二ヶ年)予算収支: 事務、資金、制度組織の問題に関するSBI 議題項目の欄で議論を総括する。

COP 20 及び cmp 10 合同ハイレベル・セグメント

ペルー Ollanta Humala 議長に代わり、 COP 20/CMP 10 議長 Manuel Pulgar-Vidal(ペルー環境相)が12月9日(火)、ハイレベル・セグメント開会の挨拶を行い、前向きな“リマの精神の萌芽”について指摘しつつ「このリマの精神を高揚させて世界が我々に期待する成果を実現しなければならない」と強調した。

UNFCCC 事務局長 Christiana Figueresは「インカ暦によると今は種蒔きの季節だが、それがもう時間切れになりそうだと科学暦が警告を発している」と述べ、「すべての人々に確固たる正義と繁栄の世界をもたらすべく、我々がここリマで種を蒔く時なのだ」と強調した。

第69回国連総会のSam Kutesa議長は「現状維持(BAU)という選択肢はない」とし、「今、行動を起こして“カーボン・ニュートラル”、“カーボン・レジリエント”な経済へと変革を遂げれば、未来の適応コストを軽減できるという知識が一縷の希望の光をもたらしている」と述べた。

また、国連のBan Ki-moon 事務総長は、「今は物事を捏ねくり回している時ではない。変革する時だ」と述べ、「すべての締約国が解決の一翼を担い、すべての社会が参加しなければならない」として、とりわけ2015年からの交渉の土台となるバランス良く整理されたテキスト案の作成や、INDCs の対象範囲についての共通理解の醸成を求め、締約国に気候資金の問題に取り組むよう呼びかけた。

その後も、ハイレベル・セグメントでは、各国政府の首脳や閣僚の他、首長級の政府代表による演説が続けられた。演説の内容については、下記サイトでウェブキャストが公開されている。http://unfccc6.meta-fusion.com/cop20/events

気候資金に関する閣僚級ラウンドテーブル :気候資金に関する閣僚級ラウンドテーブルが12月9日(火)開催された。閣僚による演説の内容は下記ウェブサイト参照のこと:http://enb.iisd.org/vol12/enb12616e.html

強化された行動のダーバン・プラットフォームに関する閣僚級ダイアログ: 強化された行動のダーバン・プラットフォームに関する閣僚級ダイアログは、12月10日(水)に開催された。閣僚による演説の内容は下記ウェブサイト参照のこと: http://enb.iisd.org/vol12/enb12617e.html

実施する補助機関

12月1日(月)、 SBI 議長 Amena Yauvoli (フィジー)が開会し、会議中に効率的なコンセンサス形成を目指すよう締約国に求めた。SBIプレナリー開催時の声明の内容は次のウェブサイト参照のこと: http://enb.iisd.org/vol12/enb12609e.html

組織上の問題: 非附属書I 国別報告書に記載する情報に関する項目は保留となったが、議題 (FCCC/SBI/2014/9) が採択された。また、SBIでは、COPから付託された通り、「非附属書I締約国の CGEメンバーシップ」に関する問題を「その他の問題」の項目の下で検討することで合意した。

また、作業構成については、提案通りの内容で合意が成された。

議長以外の委員の選出: 12月1日(月)のSBI開会プレナリーで、 SBI 議長 Yauvoliは、本件に関してはCheikh Ndiaye Sylla (セネガル)が進行役となり協議を継続すると発表した。12月5日(金)の閉幕プレナリー 第1部では、 SBI 議長 YauvoliはSBIの副議長と報告官に関する協議が未だ終了していないことを伝えた。

SBIは、SBIの副議長と報告官をCOPで選出するよう招請することで合意した。12月13日(土)、議長以外の委員はCOP 閉幕プレナリーで選出された。

独立評価報告書 (IAR) プロセスに基づく多国間評価作業部会: この項目 was taken up SBI開会プレナリーで 12月1日(月)、SBIのYauvoli議長は、今次SBI会期中に、先進国17カ国の経済全体の数値化された排出抑制・削減目標について、目標達成に向けた進捗度も含めて評価が行われる予定だと説明し、これによってSBIが条約の実施に関する中核として機能している証明になるだろうと述べた。

IARに基づく多国間評価作業部会の第1回が12月6日(土)と 12月8日(月)の二回に分けて行われた。SBI 42とSBI 43の会合で、第2回と第3回作業部会を開催し、残りの附属書I締約国の評価が行われる予定だ。

多国間評価作業部会の開会にあたり 、SBI 議長 Yauvoli は、カンクンでは、2つの新たなMRVプロセス―“先進国向けのIAR”と“途上国向けの国際協議分析(ICA) ”が 制定されたことに言及。締約国はそれぞれ自国の排出抑制・削減の数値目標の達成度について発表を行い、その後、質疑応答の時間がとられた。

多国間評価作業部会の発表や議論の概要は下記ウェブサイトに掲載: http://enb.iisd.org/vol12/enb12614e.html

http://enb.iisd.org/vol12/enb12615e.html

附属書I締約国の報告及びレビュー: この項目(FCCC/SBI/2014/INF.19) は12月1日(月)に最初の検討が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、3つの小項目[条約の附属書I締約国による第6回国別報告書、第1回二カ年報告書の編纂・統合; 京都議定書の締約国でもある附属書I締約国の第6回国別報告書に盛り込まれる補足情報の編纂・統合; 附属書I締約国の国別報告書の作成ガイドラインの改訂]について、Helen Plume (ニュージーランド) 及び Fatuma Mohamed Hussein (ケニア) が進行役を務める非公式協議で議論することを提案し、 締約国も同意した。

附属書I締約国による第6回国別報告書、第1回二カ年報告書の編纂・統合: この項目 (FCCC/SBI/2014/INF.20 及び Add.1-2) は12月1日(月)に最初の検討が行われた。12月5日(金)のSBI閉幕プレナリー第1部で、SBI 議長 Yauvoli から、本件及び小項目について合意に至らず、SBI 42の暫定議題に挙げられることになったとの報告があった。

京都議定書の締約国でもある附属書I締約国の第6回国別報告書に盛り込まれる補足情報の編纂・統合: この項目 (FCCC/SBI/2014/INF.21) は12月1日(月)に最初の検討が行われた。12月5日(金)のSBI閉幕プレナリー第1部でSBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.30)で、 SBIは、編纂・統合を歓迎し、その旨を留意した。

附属書I締約国の国別報告書の作成ガイドラインの改訂 Part II: 国別報告書に関するUNFCCC報告ガイドライン: この項目 (FCCC/TP/2014/5) は12月1日(月)に最初の検討が行われた。12月5日(金)のSBI閉幕プレナリーで、SBI 議長 Yauvoli は、この小項目に関して合意が成立せず、SBI 42の暫定議題となったと伝えられた。

1990-2012年の附属書I締約国の国別GHGインベントリ・データに関する報告書: この項目 (FCCC/SBI/2014/20) は12月1日(月)に最初の検討が行われ、SBIが報告書に留意した。

京都議定書の附属書B締約国の年次編纂・会計報告書: 12月1日(月)に、この項目 (FCCC/KP/CMP/2014/7 及び Add.1) が初めて検討され、SBIで報告書が留意された。

非附属書I締約国の報告:非附属書I締約国の国別報告書に盛り込まれる情報: この項目についての議論は、一時保留となった。

CGEの作業: この項目 (FCCC/SBI/2014/17-19 及び INF.15-16) は12月1日(月)に最初の検討が行われ、SBI 議長のYauvoliからHelen Plume (ニュージーランド) 及び Lilian Portillo (パラグアイ)が進行役を務める非公式協議で議論することが提案され、 締約国も同意した。12月2-3日に非公式協議が行われ、12月5日(金)のSBI閉幕プレナリーでSBIの結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.26)で、 SBIは、 特に:

•CGEの活動の実施に関する進展やCGE長期戦略 (2015-2018年) によって、地域や地方、国レベルで、実効性があり適性かつ持続的な技術援助の強化策についての戦略が策定されたことを歓迎。

•締約国に対して、出来るだけ早くUNFCCC専門家登録者名簿に関連資格を備えた技術専門家の候補を出すよう奨励し、CGEが2015年の出来るだけ早い時期に専門家の訓練ができるよう奨励。

•条約の附属書IIに記載された先進国締約国及びその他その立場にある先進国締約国に対して、CGEが作業計画にある活動を実施するための資金を供与するよう要請。

•多国間のプログラムや組織に対して、CGEと協力の上、非附属書I締約国が国別報告書及び二ヶ年更新報告書(BUR)を作成するため、適宜、技術支援を提供するよう招請。

資金と技術の支援供与: この項目 (FCCC/SBI/2014/INF.12 及び 22、 及び FCCC/CP/2014/2) は12月1日(月)初検討された。SBI 議長 Yauvoliは、Helen Plume 及び Lilian Portilloが進行役を務める非公式協議を行うことを提案し、締約国の賛同を得た。非公式協議は週内に3度開催された。

SBI 閉幕プレナリーで12月5日(金)、 SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.29)で、 SBIは、 特に:

•GEFに対して、非附属書I締約国による国別報告書の作成に係わるGEFの活動について、基金の資金拠出に関する承認日や支払日に関する情報も含め、資金供給についての正確かつ詳細で完全な情報をタイムリーに提供し続けるよう招請。

•GEFに対して、国別報告書ドラフトのおおよその完成日と事務局宛の国別報告書のおおよその提出日について、SBI 43で検討するために今後も情報提供を続けるよう招請。

•GEFに対して、BUR作成に関する活動に係わる融資の要請日や資金支払日ならびに事務局へのBUR概算提出日に関する情報も含め、正確かつ詳細で完全な情報をSBI 42の検討に付すためタイムリーに提供し続けるよう招請。

•最新の資金補充の下で行う非附属書I締約国による国別報告書及びBURの作成に利用可能な資金の拠出、ならびに気候変動の重点分野に利用可能な基金の総額に関して、GEFがCOPに提供する情報に留意。

•2014年12月4日までに非附属書I締約国の1カ国が初のBURを提出済みであり、2014年12月31日までに非附属書I国の7カ国が提出予定であることに留意。

•2014年12月1日現在までにGEF事務局が48カ国の非附属書I締約国からBUR作成のための融資要請を受けており、BUR完成を目的とするSIDSやLDCs向けの35件のプロジェクトについてGEF理事会が2014年10月に承認済みであることに留意。

•第1回BURが未提出の非附属書I締約国に対しては、該当する場合は、タイムリーに第1回BUR作成支援をGEFに要請するよう改めて表明。

•GEFの諸機関に対して、非附属書I締約国のBUR作成のためのプロジェクト提案書の作成及び提出を引き続き円滑に進めるよう奨励。

•GEFに対して、COP 21へのGEF報告書の中で、非附属書I締約国が国別報告書や複数のBUR報告書を作成する際の資金アクセスを円滑するために利用可能な手続きについての情報を提供するよう招請。

•グローバル・サポート・プログラム(GSP)の運用開始に関するGEFの進展について留意し、非附属書I締約国がGSPの下で利用可能な技術援助や支援の機会を活用できるよう奨励。

• 2014年12月4日現在までに、非附属書I締約国の147カ国から第1回国別報告書、 105カ国から第2回報告書、9カ国から第3回報告書、1カ国から第4回報告書、1カ国から第5回報告書が提出されたことに謝意をもって留意。さらに、2014年末までには、非附属書I国の20カ国から第2回報告書、11カ国から第3回報告書が提出予定であることにも留意。

各国の適切な緩和行動(NAMAS)の多様性のさらなる理解に向けた作業計画: この項目 (FCCC/SBI/2014/INF.11 及び 24)は 12月1日(月に初検討された。SBI 議長のYauvoliが、Ann Gann (シンガポール) 及び Dimitar Nikov (フランス) が進行役を務める非公式協議の開催を提案し、 締約国も合意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリー第1部で、SBI は結論書を採択した。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.36)で、 SBIは、NAMAの多様性に関する理解を深めるための作業計画の終了に留意。また、SBIは、 特に

•作業計画の期間中に実施された活動に留意。

•NAMAの多様性に関する理解を深めるための作業計画の下で共有された情報や経験について認識。

•測定・報告・検証が可能な具体的なNAMAsの準備及び実施の支援のための実施手段に関するニーズ、ならびに既に利用可能で実施された支援が存在することを認識。

•緩和行動とNAMA登録簿のMOI支援のマッチングが始まろうとしていることを認識。

•事務局に対して、NAMA登録簿の健全なる運営を担保するよう要請。

京都議定書のメカニズムに関する問題: CDMのモダリティー・手続きに関するレビュー: この項目は12月1日(月)に初検討された。SBI 議長 Yauvoliが、Jeffery Spooner (ジャマイカ)が進行役を務める非公式協議を提案し、 締約国も合意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで SBI結論書が採択された。SBI 41で進展が見られなかったことに失望感を示しつつ、 ナウルは、小島嶼国連合(AOSIS)の立場から、リマ会議の場でどのようにネットの緩和(正味の緩和)がCDMの中で実現しているのか保守的なベースラインやクレジット期間の短縮やクレジット取り消し等も含めて特定すべきだったとの見方を示し、SBI 42でもネットの緩和に関する作業を続けることを期待すると述べた。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.35)で、 SBIは、本件の審議をSBI 42でも継続させることで合意。

JIガイドラインのレビュー: この項目については12月1日(月)に初の検討が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Yaw Osafo (ガーナ) 及び Dimitar Nikov (フランス)が進行役を務める非公式協議を提案し、締約国も同意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択された。ナウルは、 AOSISの立場から、JIの環境十全性を改善する余地はあるとし、いかにJIが正味の大気改善を実現できるのか、SBI 42での議論に期待すると述べた。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.34)で、 SBIは、CMP 11で検討するための決定書草案の提起を目的とした決定書草案テキストを土台にして、SBI 42で本件に関する審議を継続することで合意。

JI ERUsの発行・移転・取得の継続手続き迅速化の方法: この項目 (FCCC/TP/2014/4)は、 12月1日(月)に初検討が行われた。SBI 議長 Yauvoli が、Yaw Osafo (ガーナ) 及び Dimitar Nikov (フランス) が進行役を務める非公式協議を提案し、 締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.33)で、SBI 42で本件に関する審議を継続することで合意。

CDM EB決定に対する控訴のための手続き、メカニズム、制度的アレンジ: この項目については、12月1日(月)に初の検討が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Yaw Osafo (ガーナ) 及び Kunihiko Shimada (日本) を進行役とする非公式協議を提案し、 締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、 SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.31)で、 SBIは、共同進行役のテキスト草案(FCCC/SBI/2012/33/Add.1)をベースにSBI 42でも審議を継続することで合意。

京都議定書の国際取引ログ管理者レポート:  SBI開会プレナリーで12月1日(月)、 SBIは報告書 (FCCC/SBI/2014/INF.18)に留意した。

LDCに関する問題: この項目 (FCCC/SBI/2014/13) は12月1日(月)に初の検討が行われた。 SBI 議長 Yauvoliは、 Collin Beck (ソロモン諸島)を進行役とする非公式協議を提案し、 締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、 SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.24)で、 SBIは、

•後発開発途上国(LDCs) 専門家グループ (LEG) 第26回会合報告書と国別適応計画 (NAP)Expoの成果を歓迎。

•2014-2015年の作業計画に基づくLEGの進展を認識するとともに、2014-2015年のLDCs向けNAPに関する地域別訓練ワークショップの立ち上げを歓迎。

•ベルギー、 カナダ、 フィンランド、 アイルランド、ノルウェーに対して、LEG向けの資金支援の提供に謝意を表明。

•LDCF向けに締約国が行った貢献に留意し、その他の締約国も貢献するよう奨励。

•国別適応行動計画 (NAPA) プロジェクトの実施に係わる融資のためLDCFへの提案書提出を歓迎。

•GEFに対して、LDCFのアクセス簡素化策を引き続き模索するよう招請。

•LEGの2014-2015年作業計画の実施における取組みについて、今後もSBIに情報を提供するようLEGに要請。

•LEG作業計画の実施支援を続行するよう、そうした立場にある締約国に対して招請。

適応委員会の報告書: この項目 (FCCC/SB/2014/2) について、12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Jimena Nieto Carrasco (コロンビア) 及び Makoto Kato (日本) を進行役とするSBI/SBSTA合同の非公式協議の開催を提案し、 締約国もこれに同意。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SB/2014/L.7)で、 SBIは、 特に:

•適応委員会の報告書および3カ年作業計画の実施に関する適応委員会の進展を歓迎。

•NAPに関する委員会のタスクフォースが実施した作業も含め、締約国に対する適応行動に関する技術支援や指針の提供に係わる適応委員会の作業継続に対して、謝意をもって留意。

•締約国や資金メカニズム運営機関、その他の適応に関連する機関に対して、適応委員会報告書第5章に盛り込まれた提案を検討するよう要請。

•締約国に対して、ジェンダー・バランス実現のニーズを考慮に入れつつ、気候変動への適応に関する多様な経験や知識を備えた専門家を適応委員会に推薦するよう奨励する意向を改めて表明。

•2016年以降の適応委員会の次期作業計画に関する検討の開始を歓迎。

国別適応計画(NAP): この項目 (FCCC/SBI/2014/13、 INF.14 及び 15、 FCCC/SB/2014/2 及び FCCC/CP/2014/2) については、12月1日(月)、初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoli は、Collin Beck (ソロモン諸島) 及び Tomasz Chruszczow (ポーランド)が進行役を務める非公式協議を提案し、締約国も同意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択された。また、COP 20での検討、採択を目指し、決定書草案を送付することとなった。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.42)で、 SBIは、 NAP策定のための初期のガイドライン導入に伴う経験など、締約国が提出した情報を歓迎し、NAPに関する決定書草案を勧告している。

決定書 (FCCC/SBI/2014/L.42/Add.1)で、 COPは、 特に:

•NAP策定のガイドラインの改訂は、現時点では不要だと決定。

•NAP策定・実施プロセスが、気候変動への適応力の構築やその影響に対する脆弱性の低減のための不可欠であると認識。

•NAPは特に国家主導、ジェンダー配慮、参加型、完全な透明性等のアプローチが重要なプロセスであると改めて表明。

•NAPは、継続的、反復的、長期的な性質をもつプロセスであると認識。

•NAPを策定・実施するための個々のプロセスに関する情報伝達の重要性とともに、同プロセスの成果や実績を認識。

•NAP策定・実施のプロセスに関する報告法改善の必要性について決定。

•LDC 締約国などの国々に対して、NAP文書を含めた成果物やNAPの策定・実施に関連する成果をNAPセントラル(現在開発中のオンラインツールで、NAPプロセス支援に関するインタラクティブなガイドラインやケーススタディ、関連情報を提供)に送付するよう招請。

•NAP策定・実施のプロセスに関する報告の改善法をSBI 42でさらに検討することを決定。

•適応委員会及びLEGに対して、NAP策定・実施のプロセスのための基金へのアクセスにおいて、途上国締約国をどのように支援することが最適なのか、資金メカニズム運営機関であるGCFと協力の上、検討し、SBI 42へその結果を報告するよう要請。

気候変動の影響に関する損失被害のためのワルシャワ国際メカニズム: この項目 (FCCC/SB/2014/4) について12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Beth Lavender (カナダ) 及び Alf Wills (南アフリカ) を進行役とするSBI/SBSTA合同の非公式協議の開催を提案し、 締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、 SBI 議長 Yauvoli は、本件については合意に至れず、SBI 42の暫定議題に挙げられると報告した。

しかし、損失被害のためのワルシャワ国際メカニズム執行委員会の構成について、 COP/CMP 議長 Pulgar-Vidalの監督の下、SBI 議長 Yauvoli 及び SBSTA 議長 Emmanuel Dumisani Dlamini (スワジランド) が共同で進行役を務める非公式協議の結果が出るまでの間、12月6日(土)のSBSTAで、合同結論書(FCCC/SB/2014/L.8)を採択することが出来た。COP 20/CMP 10 副議長 Jorge Voto-Bernales は12月13日(土)、非公式協議によって決定書草案 (FCCC/CP/2014/L.2)がまとまったが、執行委員会のメンバー構成に関して、特定の地域グループに属さない非附属書I 国の委員2名についてはさらなる協議が必要であるとし、締約国に会期間に協議を続けるよう促し、合意が形成された時点で非附属書I国に候補者を提出してもらうよう事務局に要請すると伝えた。なお、現行手続きに従って、執行委員会のメンバーはCOP20で選出されたと見なされる。締約国は、この手続き上の決定を今次会議報告書の中に盛り込むことで合意し、実質的に決定書を採択した。

最終結果: 決定書 (FCCC/CP/2014/L.2)で、COPは、特に:

•損失被害のためのワルシャワ国際メカニズム執行委員会の初期の2ヶ年作業計画を承認。

•執行委員会の初期の2ヶ年作業計画の策定に関する、透明性の高い包括的で参加型のプロセスの一環として、締約国やオブザーバー、その他の組織から提供された有益な意見について留意。

•COPの助言を受け、COPの責任の下、ワルシャワ国際メカニズムが役割を遂行する上で指導役を務める、ワルシャワ国際メカニズム執行委員会を設立することを再確認。

•さらに、SBSTA・SBIを通じて、COPに対して、執行委員会が毎年報告をし、適宜提言を行うことを再確認。

•執行委員会ついては、ジェンダー・バランスの目標を考慮に入れつつ、附属書I締約国からの委員10名、非附属書I締約国からの委員10名(アフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の地域から各2名、SIDS(小島嶼開発途上国)、後発開発途上国(LDC)から各1名、さらに追加で非附属書I国から2名)というの構成にすることを決定。

•気候変動の影響による損失被害に関する多様な経験や知識を備えた専門家を執行委員会のメンバーとして推薦するよう締約国に奨励。

•委員会メンバーについては、2年の任期で最大2期まで務める資格を有するものとし、最初はメンバー半数の任期を3年、残り半数は2年を任期とし、それ以降はCOPが2年任期のメンバーを選出し、後任が選出されるまでの間を務めるものと決定。

•さらに、執行委員会は、専門家グループや小委員会、パネル、テーマ別諮問グループ、タスクフォース、特別作業部会などを設置できるものとし、ワルシャワ国際メカニズムの実施において執行委員会の業務を支援するべく、適宜、諮問的な役割を担い、執行委員会への報告を行うものと決定。

•また、執行委員会はコンセンサスによって決議をとるものと決定。

•執行委員会は、委員メンバーの中から毎年、任期1年で附属書I締約国と非附属書I国から各1名ずつ、2名の共同議長を選出すると決定。

•また、執行委員会は、会合の数を適宜設定できる柔軟性をもたせながら、少なくとも年2回の会議を開催するものと決定。

•執行委員会は、COP 20による委員メンバー選出後、2015年3月までの現実的に出来るだけ早い時期に第1回会合を開催するものとし、第1回会合で手続き規則を採択し、作業計画の実行を開始するものと決定。

•また、執行委員会の会合には、オブザーバー代表者の地域バランスを図ることを促す目的で、執行委員会が他の決定を下さない限り、認可を受けたオブザーバー組織の参加が自由に認められると決定。

•さらに、執行委員会の決定及び成果は、執行委員会がそれ以外の判断を下さない限り、UNFCCCウェブサイト上に公表して利用できるものとすること、英語を業務の公用語とすること、事務局が利用できる資金に応じて執行委員会の作業を円滑にする支援を行うものと決定。

資金に関する問題: 適応基金第2回レビュ: この項目 (FCCC/TP/2014/7 及び FCCC/SBI/2014/MISC.4) について、12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Suzanty Sitorus (インドネシア) 及び Ana Fornells de Frutos (スペイン)が進行役を務める非公式協議の開催を提案し、 締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択され、CMP 10での検討に付すため決定書草案を送付することとなった。

最終結果: 決定書 (FCCC/SBI/2014/L.39)で、CMPは、特に:

•適応基金理事会 (AFB) 報告書及び適応基金の第2回レビューに関する技術文書に留意。

•AFB資金動員戦略の速やかなる実施の必要性を強調。

•AFBに対して、資金の予測可能性の問題に対応するため、資金の規模や、必要な資金の定期的な推計、プロジェクトの現状に関する継続的な点検について検討するよう奨励。

•AFBに対して、基金に定められた責務に則り、適応基金の収益源多角化を図るための対象を検討するよう要請。

•AFBに対して、AFBの即応事業計画の下、各国、各地域における適応基金実施機関の認定数を増やし、確実に各国で認定を受けた実施機関が増え、適応基金へのアクセスが促進され、適応基金のアクセスに関するモダリティーが向上するよう、途上国支援のターゲットを絞った制度強化戦略について検討するよう要請。

•AFBに対して、適応基金と条約下に設立された諸機関との業務上の連携を確立するための選択肢を検討するよう要請。

•AFB事務局と適応基金の管財人との暫定協定の期限を2017年6月まで延長することを決定。

•SBI 42に対して、適応基金の第3回レビューを開始し、CMP13でレビューの制度設計を定めることを目指して、CMP 12に報告するよう要請。

•AFBに対して、CMP 11へのAFB報告書の中に上記の付託事項に関する進捗状況の記載を盛り込むよう要請。

後発開発途上国(LDC) 基金に対する追加指針: この項目 (FCCC/SBI/2014/INF.17、 MISC.3、 及び FCCC/CP/2014/2) については、12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、 Kamel Djemouai (Algeria) 及び Herman Sips (オランダ) が進行役を務める非公式協議を提案し、 締約国も同意。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーでSBI結論書が採択され、COP 20の審議に向けて決定書草案が送付された。

最終結果: 決定書 (FCCC/SBI/2014/L.38)、 COP、 特に:

•LDCFの下、LDC締約国向けの資金配分及び支払いが増加したことを歓迎。

•LDCFに対する締約国に追加的な貢献に謝意をもって留意。

•先進国締約国及びその他のその立場にある締約国に対して、LDC作業計画の実施支援のためLDCFに対する自主的な貢献を継続するよう奨励。

•GEFに対して、LDC作業計画に記載された残りの活動支援の継続を招請。

•GEFに対して、次回の報告書で、GEF国家プロジェクト機関の試験的認定における教訓や進展を共有するよう要請。

•GEFに対して、LDC作業計画の残りの要素を実施するために講じられた具体的な行動に関する情報について、国家適応行動計画 (NAPA) 更新・実施に関する情報も含め、COP 21でGEFに対する適切な追加指針を決定することを目指して、COP年次報告書に盛り込むよう招請。

•GEFに対して、実施機関とのコミュニケーションを強化するよう要請し、NAPAを含むLDC作業計画のその他の要素のタイムリーな実施を促すため、各国とのコミュニケーションを強化するよう実施機関に奨励。

技術の開発・移転 及びTM 開催: TEC/CTCN合同年次報告書: この項目 (FCCC/SB/2014/3) は、12月1日(月)に初審議が行われた。SBI 議長 Yauvoli は、Elfriede More (オーストリア) 及び Carlos Fuller (ベリーズ) が進行役を務めるSBSTAとの合同非公式協議の開催を提案し、 締約国も同意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択され、COP 20の審議に向けて決定書草案が送付された。

最終結果: 決定書 (FCCC/SB/2014/L.5)で、 COPは、2014年の技術執行委員会 (TEC) 及び 気候技術センター・ネットワーク (CTCN) の作業を通じて、TECが効率的な業務遂行に向けて前進していることについて留意し、TEC及びCTCNが、両補助機関(SBs)を通じて各々の業務の活動実績について、合同年次報告書を作成し、今後もCOPに対する報告を続けることを決定。

TECの2014年の活動実績については、COPは、 特に:

•2014-2015年のTEC定期作業計画、及びその実施における進展を歓迎。

•TEC報告書に盛り込まれた気候技術への資金支援、適応技術、技術ニーズ評価に関する主要なメッセージについて認識。

•適応技術に関する作業を歓迎し、委員会による緩和技術に関する作業に期待。

•TECに対して、実現環境や障害に関する作業の継続を要請。

•TECに対して、2014-2015年のTEC定期作業計画の実施において、UNFCCC内外の組織との連携強化を続けるよう奨励。

•TECに対して、技術ニーズ評価、特に技術行動計画についての評価結果によって、最終的にどのような形で実施可能なプロジェクトに発展させられるのか指針を提供するよう求め、その初期的な知見をSB43に対する暫定報告書としてまとめるよう要請。

CTCNの2014年の活動実績については、COPは、 特に:

•途上国からの要望への対応や協同作業や情報アクセスの強化、ネットワークやパートナーシップ、キャパシティビルディングの強化などを含めた、CTCN作業計画の実施における進展に謝意をもって歓迎。

•CTCNの評価基準に関するCTCN諮問理事会による細目決定及び承認、ならびに国家指定機関からの要請に対するCTCNの優先順位決定基準を歓迎。

•CTCNに対して、要請に対する処理手続きの詳細を更に詰め、締約国や利害関係者に伝えるため、これらの活動内容をTEC/CTCN合同年次報告書に盛り込むよう奨励。

•GEFとCTCNとの間で現在行われている協議について留意し、CTCNに対して、今後の合同TEC/CTCN年次報告書の中に協議の内容を記載するよう要請。

技術移転に関するポズナニ戦略計画: この項目 (FCCC/CP/2014/2 及び Add.1、 及び FCCC/SB/2014/3) は12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、 Elfriede More 及び Carlos Fullerが進行役を務める非公式協議を提案し、 締約国も同意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.32)で、 SBIは、

•技術移転に関するポズナニ戦略計画の実施における進展について言及したGEF報告書を歓迎。

•GEFとCTCN諮問理事会との間の協議、ならびにCTCNの運用開始と活動に伴う気候技術センター及び気候技術ネットワークへの支援に係わるポズナニ戦略計画の要素の実施を調整する上で成された進展及び遂行に留意。

•ポズナニ戦略計画とCTCNの下で、GEFの支援を受けている地域の技術移転・資金センター間での協力分野について留意し、GEFに対して今後の進捗報告の一環で、この協力について報告するよう招請。

• 2014年8月にTECがポズナニ戦略計画の評価に関する審議を開始したことに留意。

•2015年に、タスクフォースが策定した本件に関する付託条件の指針に沿って、TECがポズナニ戦略計画の評価を実施することについて留意。

•TECに対して、本件に関する予備的な知見について、SBI 42で中間報告を行い、SBI 43を通じてCOPへ最終報告を提出するよう招請。

キャパシティビルディング: 条約下のキャパシティビルディング: この項目 (FCCC/SBI/2014/14) は12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Ulrika Raab (スウェーデン) 及び Bubu Jallow (ガンビア) を進行役に、京都議定書の下でのキャパシティビルディングに関する会合との非公式の連続協議開催を提案し、 締約国も同意。4回の会合を開いたが、COP 20の検討に付すための決定書テキストについて合意することが出来なかった。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.40)で、 SBIは、

•SBI 40で開催されたキャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラム第3回会合の総括報告書を歓迎。

•締約国に対して、2015年2月18日までに、条約下のキャパシティビルディングについて、その構成やテーマ別の論点を意見書として提出し、SBI 42で開催されるダーバン・フォーラム第4回会合で検討するよう招請。

•SBI 42で開始予定となっている、途上国のキャパシティビルディングの枠組みの実施に関する第3回包括レビューのための付託条件について、2015年2月18日までに意見書を提出するよう締約国に対して招請。

結論書には、COP 21の審議に向けて決定書草案を勧告することを目指し、本件に関する審議をSBI 42でも継続することでSBIが合意したと記載されている。

京都議定書下のキャパシティビルディング: この項目 (FCCC/SBI/2014/14) について12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Ulrika Raab及び Bubu Jallowを進行役に、条約の下でのキャパシティビルディングに関する会合との非公式な連続協議の開催を提案し、締約国も同意した。12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.41)で、SBIは、ダーバン・フォーラム第3回会合の総括報告書を歓迎。また、締約国に対しては、京都議定書の下でのキャパシティビルディングについて、その構成やテーマ別の論点を意見書として提出し、SBI 42で開催されるダーバン・フォーラム第4回会合で検討するよう招請。さらに、途上国のキャパシティビルディングの枠組みの実施に関する第3回包括レビューのための付託条件について、意見書を提出するよう締約国に対して招請している。結論書の中で、CMP 11の審議に向けて決定書草案を勧告することを目指し、本件に関する審議をSBI 42でも継続することでSBIが合意したと記載されている。

対応措置の実施の影響: フォーラム及び作業計画: 12月1日(月)のSBSTA/SBI開幕の全体会合で、この項目 (FCCC/SB/2014/INF.4 及び FCCC/TP/2014/12) についての初の検討が行われ、SBIのYauvoli議長とSBSTAのDlamin i議長を共同進行役とする非公式協議の開催が決まった。

12月2日(火)、SBSTA/SBIの両議長による合同コンタクトグループで、SBI 及び SBSTAの第40回会合に送付されたテキスト(FCCC/SB/2014/L.2) と技術文書 (FCCC/TP/2014/12)が検討された。特に、議論の焦点となったのは、対応措置に関するフォーラムの継続、G-77/中国から要望を受けた対応措置に関するメカニズム創設案である。

その後、本件は12月3日(水)の非公式協議で取り上げられ、Eduardo Calvo Buendía (エクアドル) 及び Delano Ruben Verwey (オランダ) が進行役となった12月4日(木)の合同コンタクトグループで、結論書草案と決定書草案の検討が行われた。 アフリカン・グループ、G-77/中国、アラブ・グループ、有志途上国連合 (LMDC)は、決定書草案に関する作業を開始することを支持した。

米国は、技術文書の検討を先にすべきだと提案した。オーストラリアは、早めにテキストに関する議論に移るべきだと述べた。EUは、共同議長のテキストに代替案が何も示されていなかったことに懸念を示した。

12月5日(金)の合同コンタクトグループで、 SBSTAのDlamini議長とSBI のYauvoli議長は、合意形成が出来なかったため、今後の進め方について協議する予定だと述べた。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、 SBIのYauvoli 議長は締約国が合意に至らなかったことを報告した。

本件については、COP 20/CMP 10のPulgar-Vidal議長の采配の下、12月8日(月)にSBSTA のDlamini議長による追加協議、COP 20/CMP 10の第2週目には両SB議長の協議が継続して実施されたが、最も難しい制度メカニズムの問題を含め、実質的な問題については何ら合意に達することが出来なかった。

最終結果: 12月12日(金)のCOP/CMP閉幕の全体会合で、決定書(FCCC/CP/2014/L.5)が採択され、SB 42の審議に向けて附属書に盛り込まれる決定書草案テキストが付託されることになった。

京都議定書3.14 (対応措置の実施) に関する問題: 12月5日(金)、SBI閉幕全体会合で、 SBI 議長 Yauvoliは、本件及び本件の小項目について合意に至らず、SBI 42の暫定議題に挙げられることになったと伝えた。

決定書 1/CP.10の実施に関する進展: 12月5日(金)のSBI閉幕プレナリー全体会合で、SBI 議長Yauvoli は、締約国の合意に至らなかったため小項目がSBI 42の暫定議題に挙げられることになったと報告した。

2013-2015年レビュー: この項目 (FCCC/SB/2014/1及び INF.3) について、12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoli は、Gertraud Wollansky (オーストリア) 及び Leon Charles (グレナダ)を共同議長とするコンタクトグループ開催を提案し、締約国も同意した。

12月2日(火)午前、合同コンタクトグループ会合で議論されたテーマは以下の通り:IPCCやIPCC以外のバランスの取れた情報の検討の必要を含めた、組織化された専門家ダイアログ (SED)に対する更なる意見; プロセスの完了時期やその成果の形式や内容、とりまとめの担当者(組織)等を含めたSEDの終結法; 2013-2015年レビューの完了及びADPの成果に対するSEDやレビューの成果の盛り込み方; COP 21へのSBSTA/SBIの最終報告など。

その後、共同議長により結論書草案が作成された。

コンタクトグループ会合の結果を受けて、12月3日(水)、両共同議長は締約国の意見を盛り込んだ非公式の結論書草案をノンペーパーで議論した。

12月5日(金)も締約国によるノンペーパーの検討が続けられ、採択に向けてSBI/SBSTA合同の結論書草案を送付することで締約国が合意した。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBIは、結論書を採択した。

最終結果: SBI/SBSTA合同結論書 (FCCC/SB/2014/L.9)の中で、 SBI/SBSTAは、 特に:

•IPCCのAR5統合報告書を歓迎し、それがIPCC各作業部会のAR5への貢献にに関する2013-2015年レビューに有用だったと認識。

•リマで2014年12月2-3日に開催されたSED-4第1回会合を歓迎し、2015年2月8-9日にスイス・ジュネーブで開催予定のSED-4再開会合への期待を表明。 

•SEDで検討するために利用可能な各国の情報に関する文書について留意。

•SED-4に関する総括報告書が2015年3月20日までに公表されるよう期待。

•SED共同進行役に対して、事務局の助力を得つつ、2015年4月3日までにSED会合に関する総括報告書の編集及び技術要約を盛り込んだ最終的な確定報告書を作成するよう要請。

•締約国に対して、2013-2015年レビューに関する何らかの情報または情報格差、条約の究極目標との関連で長期の世界目標の妥当性に対する見解や、条約下の約束の実施検討などを含めた長期の世界目標の達成に向けた全体的な進展度等について2015年5月1日までに事務局に情報を提出するよう招請。

4SED会合: SED-4第1回会合は、12月2日(木)午後に開催された。 COP 20/CMP 10 議長 Pulgar-Vidalは、COP 20にとってSEDが非常に重要な構成要素であるとし、2013-2015年レビューの結果を踏まえてCOP21が適切な行動を講じる必要性があることを考えると、SEDは科学と意思決定の歩み寄りの場になるると強調した。Andreas Fischlin共同進行役 (スイス)は、SED-4の目標は情報“の補足作業を完了し、とりまとめ作業を開始すること”だと述べた。 IPCC事務局のRenate ChristはIPCC議長のRajendra Pachauri代理で、AR5 SYRに関する入門的なプレゼンテーションを行った。

また、IPCC専門家により、世界の長期目標の妥当性:生態系や食糧生産の適応、 持続可能な経済開発等に対する許容できない悪影響の回避; 地球環境の限界(“プラネタリー・バウンダリー”)の中でのリスク管理、世界長期目標の進捗; 適応・緩和の倫理的、財政的な側面、といったテーマに関する発表が行われ、その後の質疑応答では、AR5がどのようにUNFCCC第2条(目的)の実施に貢献しているかという点に質問が集中した。

SED-4第2回 セッションでは12月3日(水)、国連環境計画 (UNEP)、 世界銀行、国際エネルギー機関 (IEA)、世界保健機構 (WHO)、世界食糧農業機関 (FAO) の専門家による発表が続けられた。特に、産業革命前の気温と比較して気温上昇が1.5 ° ~2 °C水準で進行した場合の人間の健康や食糧生産、その他の生態系サービスに及ぼす様々なリスク; 1.5 ° ~2 °C未満の気温上昇抑制目標と整合性のとれた経路が要請するエネルギーシステム脱炭素化の政策オプション; 排出量と適応のギャップを埋めるために有効だと判断された政策措置とその普及策等について集中的な議論が行われた。

ジェンダーと気候変動: この項目 (FCCC/CP/2014/7) については12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、Lilian Portillo (パラグアイ) 及び Kunihiko Shimada (日本) を進行役とする非公式協議を提案し、 締約国も同意した。

12月5日(金)のSBI閉幕プレナリーにおける非公式協議の後、テキストに2箇所の修正が入れられ、SBI結論書が採択された。また、決定書草案をCOP 20へ送付することが決まった。マラウィは、LDCの立場から、ジャマイカの支持を受け、決定書を“ジェンダーに関するリマ作業計画”という名称にすることを提唱した。ジャマイカは、 単なるジェンダー・バランスのみならず、ジェンダー平等を実現するという理念に沿って行動を起こすべきだと提案した。決定書について歓迎の意を示しつつ、 メキシコは、本件は最重要課題であると留意した。

最終結果: 決定書 (FCCC/SBI/2014/L.43/Rev.1)で特にCOPは以下を決定:

•締約国に対して、条約下の関連活動すべてにおける、ジェンダー・バランスの向上、気候政策の開発・実施におけるジェンダー意識の促進、ジェンダー-に対応した気候政策の実現を推奨することによって、決定書36/CP.7、1/CP.16 及び 23/CP.18の実施を強化すること。

•締約国からの代表者および条約下に設立された全ての機関に参加する女性の参加を改善するため、さらなる努力が求められること。

•条約下に設立された機関における女性の効果的な参加の指針とすることを目的とする、ジェンダー・バランスの促進、ジェンダーに対応した気候政策の実現に向けた2ヶ年作業計画 (ジェンダーに関するリマ作業計画) の策定。

•重点テーマ分野におけるジェンダー・バランスに関する現行作業の強化。

•ジェンダーに対応した気候政策の効果的な実施という観点から、“ジェンダーに対応した(gender-responsive)気候政策”という用語の意味を明確にし、その開発及び効果的な実施を改良すること。

また、COPは、事務局に対して以下を要請:ジェンダー配慮のアプローチを盛り込むという決議の実施に関して事務局は次回年次報告書に情報掲示; 緩和行動と技術の開発・移転ならびに適応とキャパシティビルディングに焦点をあてた、ジェンダー対応の気候政策に関するインセッション・ ワークショップの開催; SBI 44での検討に向けて、条約下の気候変動関連の活動とジェンダーの検討を一本化するための技術文書の作成やガイドラインや他のツールの開発。

政府間会合のアレンジ: この項目 (FCCC/SBI/2014/11 及び 12) について、12月1日(月)に初の審議が行われた。SBI 議長 Yauvoliは、非公式協議を円滑に行うことを提案した。

SBI 議長Yauvoliが座長を務めた12月2日(火)午後のコンタクトグループでは、今後のCOP/CMP、補助機関、ハイレベル・セグメントの会議の開催頻度や構成について、会議を隔年開催または毎年開催する場合の影響や、ホスト国と事務局の設置国での交互開催、COP議長やCMP議長の選出時期の調整等の問題を含めて、事務局が作成した文書(FCCC/SBI/2014/11) 及び(FCCC/SBI/2014/12)について、検討が行われた。

12月5日(金)のSBI 閉幕プレナリーで、SBI結論書が採択された。

最終結果: 結論書 (FCCC/SBI/2014/L.37)で、 SBIは、 特に:

•事務局に対して、会議の開催頻度や構成に関する様々な選択肢について、さらなる情報分析ならびにSBI 42で推奨される本件に関する情報の検討を要請。

•2015年以降の作業における実施の重要な役割を考慮に入れる必要性を認識し、COP/CMP会議の開催は一大事業であることに留意した上で、事務局設置国で開催した場合はすべての締約国がCOP/CMP議長を務める可能性が高まるとの見方にも留意し、同会議を開催する意味合いを検討すること。

•今後のCOP/CMP会議のハイレベル・セグメントの構成やハイレベル・セグメント閣僚級会合に代わる方式について検討することを提案。

•COP/CMP会議や補助機関(SBs)会合を隔年開催する場合やホスト国と事務局設置国で会議を交互開催する場合の予算的な影響(の算出)、事務局に関する本部協定への含意等、様々なシナリオに関する追加情報を提供するよう事務局に要請。

•ホスト国と事務局設置国で会議を交互開催する場合の議長選出のタイミング調整策に関する追加情報と分析を要請し、本件に関する情報をSBI42で検討することに合意。

事務管理、資金、組織・制度に関する問題:この議題項目(FCCC/SBI/2014/10, 16 and Add. 1-2, and INF.23)は、最初12月1日月曜日に審議された。SBI議長のYauvoliは、監査済み財務報告及び予算実績の両方の小項目に関し、SBI議長のYauvoliが関心のある締約国と協議した上でCOP及びCMPの決定書を作成することを提案、締約国もこれに同意した。12月5日金曜日のSBI閉会プレナリーにおいて、SBIは、両方の小項目について、COP20及びCMP10で審議される決定書草案をそれぞれに送致する2つの結論書を採択した。

最終成果:決定書(FCCC/SBI/2014/L.27 and L.28)において、COP及びCMPは、2012-2013年の2か年年度の監査済み財務報告書に関し、これに留意し、事務局長に対し、監査官の提案を実施するよう求めた。2013-2015年の2か年度の予算実績報告に関し、COP及びCMPは特に次を決定する:

•基幹予算にタイムリーな形で寄付をした締約国に対し感謝の意を表し、まだ寄付を行っていない締約国に対し、遅滞なく寄付をするよう求め、CMPは、さらに国際取引ログ(ITL)への寄付に対する感謝の意も表明すると共に、ITLへの寄付を行っていない締約国に対し、遅滞なく行うよう求める;

•UNFCCCプロセスへの参加のための信託基金、並びに補足活動に対する信託基金に対し締約国から受理した寄付金への感謝の意を表明し、参加のための信託基金に追加の寄付を行うよう締約国に求める;

•ドイツに対し、基幹予算に対する毎年の自主的な寄付、並びに事務局のホスト国政府としての特別な寄付金への感謝の意を再度表明する。

2016-2017年の二か年のプログラム予算に関し、COP及びCMPは特に:

•事務局長に対し、2016-2017年の2か年度のプログラム予算案を提出し、SB42の審議にかけるよう要請し、これに国連の第70回総会での決議に鑑み必要となることが明らかになった会議サービスに対する臨時予算も含めるよう要請する;

•SBI 42に対し、COP 21及びCMP 11で採択されるべきプログラム予算を提案するよう要請する;

•事務局長に対し、予算案に基づき各締約国に2016年の寄付提案額を伝える権限を委譲する。

その他の活動に関する報告:12月1日月曜日、SBIは、決定書1/CP.16のパラグラフ70に記載する活動の結果、及び結果ベースの支払い(FCCC/SBI/2014/INF.13)の結果、さらには条約第6条に関する第2回協議のサマリー報告書(FCCC/SBI/2014/15)の結果の情報を集める情報ハブに関する専門家会議報告書に留意した。

その他の問題:CGEのメンバーシップ:この項目は、12月1日月曜日に初めて議論された。SBI議長のYauvoliは、同議長が関心のある締約国と二者間協議を行うことを提案し、締約国もこれに同意した。

12月5日金曜日のSBI閉会プレナリーにおいて、SBI議長のYauvoliは、締約国はこの問題で合意に達することができなかったとし、この小項目はSBI 42の暫定議題に入れると報告した。

閉会プレナリー:12月5日金曜日のSBI閉会プレナリー第1部で、UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、SBIに対し、SBI 41での決議の事務管理上、資金上の影響について簡単に報告した。

SBI議長のYauvoliは、SBIは実質的な結論書及び議題項目を採択したと指摘し、午後10時26分、SBI閉会プレナリー第1部の閉会を宣言した。

12月8日月曜日、SBI議長のYauvoliは、SBI閉会プレナリー第2部を開会し、会議の閉会と会場報告書の議論を行った。SBIは、会合報告書(FCCC/SBI/2014/L.25)を採択した。

ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、本会合で実質的な結論書が採択されていないことに関する懸念を表明し、SBI 42では実質的な結論書の採択に向け努力するよう促した。同代表は、先進国に対し、先進国の緩和措置が途上国に与えるマイナスの影響について議論するよう求めた。

SBI議長のYauvoliは、午後5時55分、SBI 41を閉会した。

SBI閉会プレナリーにおけるステートメントの概要については次を参照:http://enb.iisd.org/vol12/enb12613e.html

科学及び技術上の助言に関する補助機関

12月1日月曜日、SBSTA議長のEmmanuel Dumisani Dlamini (スワジランド)は、会合を開会した。オープニングステートメントの概要については次を参照 :http://enb.iisd.org/vol12/enb12609e.html

組織上の問題:締約国は、議題書を採択し、会合の作業計画書で合意した。(FCCC/SBSTA/2014/3)

議長以外の役員の選出:12月1日月曜日、SBSTA議長のDlaminiは、SBSTA副議長及び報告官の指名についてCOP/CMP議長が協議を開催すると指摘した。12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは、SBSTA副議長及び報告官を選出するようCOPに求めることで合意した。

ナイロビ作業計画:本議題項目(FCCC/SBSTA/2014/4, INF.15 and MISC.8)は、12月1日月曜日に最初に議論された。UNEPは、UNEP知識イニシアティブへの注目を求め、このイニシアティブについて次のように発言した:小地域及び題目別の適応知識のニーズを優先し、これを仲介する;ナイロビ作業計画(NWP)のマンデートと合致する;UNEPの地球規模適応ネットワークの構造基盤及び資源に基づき構築する。

SBSTA議長のDlaminiは、Beth Lavender (カナダ)及びJuan Hoffmaister (ボリビア)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国も同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.23)において、SBSTAは、カンクン適応枠組の実施で生じる知識ニーズへの対応におけるNWPの役割を認識し、UNEPによる適応知識イニシアティブ及びそのアンデス小地域パイロットの開設を歓迎する。さらにSBSTAは、事務局は適応委員会の提案に応え、次を行うべきと結論する:

•2015年第3四半期において適応行動を計画し、優先し、実施するとの考えの下、回復力を築くための生活及び経済多角化推進に関する適応委員会の専門家会議を支援する;

•全てのレベルにおいて、適応計画及び行動に関する情報を提供するため、適応委員会が作成する既存のそして将来の関連知識作品の普及を図る;

•地方、先住民、及び伝統的な知識及び実践方法を適応に活用するため、既存の知識交換プラットフォームに基づき、優れた実践方法(グッドプラクティス)及びツールの集約、及び利用可能なデータ収集イニシアティブを公開し、SBSTA 44での審議にかける;

•異なるレベルでの実施方法及びネットワークの共同体の強化、さらには重要な会議及びイベントにおける優れた実践方法及びツールの共有を図るため、地域センター及びネットワークを含めるNWPの関連パートナー組織の参画を図る;

•NWPの下での関連知識製品に、性差別にセンシティブな手法及びツールを統合し、NAPsに、地方、先住民、そして伝統的な知識及び実践方法を統合することの重要性を考察する。

さらにSBSTAは、NAPsの策定及び実施プロセスを支援するNWPの下での関連活動について、SBSTA 44で検討し、推敲すると決定する。

適応委員会の報告:本議題項目(FCCC/SB/2014/2)は、12月1日月曜日に初めて議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Makoto Kato (日本)及びJimena Nieto Carrasco(コロンビア)を進行役とするSBI/SBSTA合同非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:SBI/SBSTAの議論及び結論書(FCCC/SB/2014/L.7)については、適応委員会報告に関するSBI議題項目の下でまとめられた。(14頁参照)

技術の開発及び移転、TMの実施:TEC及びCTCNの合同年次報告:本議題項目(FCCC/SB/2014/3)は、12月1日月曜日に初めて議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Carlos Fuller(ベリーズ)及びElfriede More(オーストリア)を進行役とするSBI/SBSTA合同非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:SBI/SBSTA合同結論書(FCCC/SB/2014/L.5)は、TEC及びCTCNの合同年次報告に関するSBI議題項目の下でまとめられた。(16頁参照)

REDD+のための手法論ガイダンス:本議題項目 (FCCC/SBSTA/2014/INF.13 and MISC.6 and 7)は、最初12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Stephen Cornelius(英国)及びRobert Bamfo(ガーナ)を共同議長とするコンタクトグループを提案し、締約国もこれに同意した。

12月2日火曜日、コンタクトグループは、セーフガードに対する更なるガイダンスの必要性について審議した。アフリカングループ、ガイアナ、熱帯雨林諸国連合(CfRN)、インド、フィジー、インドネシア、ブラジル、中国を含む多くのものは、セーフガードに関する追加ガイダンスは時期尚早であると強調した。EUは、米国及びノルウェーと共に、特定の決定書の表現に関し、共同議長が作業し、当該グループの審議にかけることを提案した。

非市場ベース・アプローチのための手法論ガイダンスに関し、ボリビアは、森林の持続可能な管理のための適応及び緩和を合わせたアプローチに関する改訂版提案書を提示した。(FCCC/SBSTA/2014/CRP.1).

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTA議長のDlaminiは、この問題では合意に達することができなかったとし、この議題項目はSBSTA 42の暫定議題書に記載されると報告した。

気候変動の影響に伴う損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズム:本議題項目(FCCC/SB/2014/4)は、最初に12月1日月曜日に審議された。SBSTA議長のDlaminiは、Beth Lavender(カナダ)及びAlf Wills(南アフリカ)を進行役とするSBI/SBSTA合同非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは、COP/CMP議長のPulgar-Vidalの委託を受け、SBI議長のYauvoli及びSBSTA議長のDlaminiを共同進行役として継続していた損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズム執行委員会の構成に関する非公式協議を待ち、SBI/SBSTA合同結論書(FCCC/SB/2014/L.8)を採択した。

SBI/SBSTAの合同の議論及び成果は、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムに関するSBI議題項目の下でまとめられた。(14頁参照)

科学とレビューに関係する問題:IPCCAR5本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、SBSTA議長のDlaminiがこの問題に関する非公式協議開催を提案、締約国もこれに同意した。IPCC事務局長のRenate Christは、AR5に関する最新情報を提供し、その重要な成果の一部を想起した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは、結論書を採択し、決定書草案をCOP 20の審議に付した。

最終成果:結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.27)において、SBSTAは、特に次を規定する:

•条約並びに京都議定書の締約国によるAR5の詳細な検討が重要であると認識し、このため全ての関連する議題項目にAR5の結論の情報が提供されることも重要と認識し、事務局に対し、SBSTA議長のガイダンスの下、締約国のいかなる要請にも対応し、関連議題項目の審議のため情報を提供するようIPCCに求める用意をすることを要請する;

•AR5では、途上国、特にアフリカ地域の途上国を含める情報のギャップを指摘しており、気候変動と砂漠化の問題のリンクなど、新しく登場した問題での情報のギャップも指摘していることに留意する;

•IPCC及び関連する国際的及び地域的な研究組織に対し、AR5で特定された情報のギャップを議論するための努力について、例えばSBSTA42での研究ダイアログの席などで、締約国に情報を提供するよう求めた。

決定書(FCCC/SBSTA/2014/L.27/Add.1)において、COPは特に:

•IPCCのAR5を歓迎し;

•AR5はこれまでで最も包括的かつ確固とした気候変動の評価報告を示すものであり、関連する問題に総合的、科学的、技術的、社会経済的な展望を与えると認識し;

•AR5がADPに科学的根拠を提供したことを認めると共にこれに感謝し;

•締約国に対し、全ての関連する議題項目での議論において、AR5の情報を活用するよう促し;

•IPCCに対し、気候変動の科学的、技術的、社会経済的な面に関し、関連する情報を締約国に提供し続けるよう求め、将来の製品及び評価サイクルを決定する際にはUNFCCCでの作業も考慮に入れるよう求め;

•IPCCの作業に対する支援継続を締約国に奨める。

研究及び組織的観測(RSO)本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。世界気象機関(WMO)は、気候サービスのための地球規模枠組(GFCS)の気候サービスに関する政府間理事会第2回会合の成果についてその概要を提供した。

地球気候観測システム(GCOS)及び地球観測衛星委員会は、それぞれの活動の進捗状況報告を提示した。

SBSTA議長のDlaminiは、Chris Moseki(南アフリカ)及びStefan Roesner(ドイツ)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2014/L.19)において、SBSTAは:

•IPCCのAR5統合報告書を歓迎し、IPCCの作業におけるRSOの重要性継続を指摘し、GCOSのスポンサーによるGCOSプログラムのレビューの成果及び提案などを記載するGCOS事務局の報告の重要性継続を指摘し;

•SBSTA 43に提出すべき進捗状況報告作成に向けたGCOSでの進捗状況、並びにSBSTA45に提出予定の新しい実施計画に関する進捗状況に留意し;

•締約国に対し、進捗状況報告のレビュー及び、海洋観測及び海洋酸性化に関係するものも含めた新しい実施計画の作成支援に積極的に参加するよう勧め;

•特に途上国の気候の変化に対する準備体制及び適応を支援すべく、組織的観測及び関係能力を強化する方法の明確化を図るワークショップを、IPCC及び事務局と協力し、2015年2月、ドイツのボンで開催するとのGCOS事務局の計画を歓迎し;

•地球観測衛星委員会(CEOS)及び静止気象衛星調整グループ(CGMS)に対し、条約の関連するニーズへの協調対応において、地球観測提供の宇宙組織での進捗状況に関し、最新情報を報告したことに感謝の意を表し、宇宙からの気候モニタリングのための組織を開発する努力を歓迎し;

•GFCSの実施に関する展開について、WMOが提供した情報に留意し、締約国に対し、国レベルの気候の変動性及び変化への対応を支援するため、GFCSが提供する機会を活用するよう奨励し、これには気候観測及びモニタリングの強化、国家適応計画プロセスの策定と実施に対する支援を含めることとした。

2013-2015年レビュー:本議題項目(FCCC/SB/2014/1 and INF.3)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Gertraude Wollansky (オーストリア)及びLeon Charles(グレナダ)を共同議長とするSBI/SBSTA合同コンタクトグループを提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SED共同進行役のAndreas Fischlin(スイス)は、SEDの第4回及び第5回会合について報告し、会議では地球温暖化を2℃以下で抑えるには長期の科学に基づくアプローチが求められることが実証されたと強調した。

最終成果:SBI/SBSTA合同結論書(FCCC/SB/2014/L.9)は、2013-2015年レビューに関するSBIの議題項目の下でまとめられた。(17頁参照)

SED4回会合:本議題項目は2013-2015年レビューに関するSBIの議題項目の下でまとめられた。

対応措置実施の影響:フォーラム、作業計画及び京都議定書2.3条に関係する問題:これらの議題項目(FCCC/SB/2014/INF.4 and FCCC/TP/2014/12)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、SBI議長のYauvoli及びSBSTA議長のDlaminiを共同議長とするSBI/SBSTA合同コンタクトグループを結成し、フォーラムと作業計画、そして京都議定書2.3条(悪影響)に関係する問題の両方を議論することを提案、締約国もこれに同意した。本議題項目に関する議論は、対応措置実施の影響に関する

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは、SBI閉会プレナリーで改定されたとおりの結論書を採択した。締約国は、本会合の第2週を通し、COP/CMP議長のPulgar-Vidalの委託を受け、SBSTA議長のDlamini及びSBI議長のYauvoliを共同議長とし、制度メカニズムなど保留された問題の協議を続けることで合意した。制度メカニズムに関しては合意に達することができず、この問題はSB 42においても議論を続ける予定。

最終成果:結論書(FCCC/SB/2014/L.6/Rev.1)は、フォーラム及び作業計画に関するSBI議題項目の下でまとめられた。

条約の下での手法論問題:先進国の国別インベントリ・レビューを含め、隔年報告書及び国別報告書のレビューのためのガイドライン改定に関する作業計画:本議題項目(FCCC/SBSTA/2014/INF.14, 19, 22 and 23)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Riitta Pipatti(フィンランド)及びSamuel Adeoye Adejuwon(ナイジェリア)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日の閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。COP20の第2週では、本議題項目に関し、SBSTA議長のDlaminiを進行役とする非公式協議が、COP 20議長のPulgar-Vidalガイダンスの下、続けられた。これらの非公式協議では、SBSTA結論書の附属書である決定書草案の議論を続けた、締約国は、SBSTA 41閉会までにこの草案について合意に達することができなかった。

12月12日金曜日のCOP閉会プレナリーで、締約国は、次の3件の決定書を採択した:「附属書I締約国によるGHGインベントリ、隔年報告書、及び国別報告書に関係し、条約の下で報告される情報の技術的レビューに関するガイドライン」;附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術的レビューを行うレビュー専門家に対する訓練プログラム;そして、附属書I締約国のGHGインベントリの技術的レビューを行うレビュー専門家の訓練プログラム。

最終成果:結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.28)において、SBSTAは特に:

•SBSTAはUNFCCC附属書Iのインベントリ・レビュー・ガイドラインに関する作業を進めたが、結論を出すことはできなかったとし、附属書Iに記載する決定書草案をCOP 20に回し、その審議にかけることで合意する;

•附属書I締約国の、隔年報告書と国別報告書の技術的レビュー、及びGHGインベントリの技術的レビューを行うレビュー専門家向けの訓練プログラム実施の重要性を認識し、事務局に対し、2015年以後のレビューに参加するレビュー専門家のための訓練プログラムにおいて、オンラインの訓練コースを利用可能にするよう要請した;

•SBSTAは、レビュー専門家向けの訓練プログラムに関する作業を進めたが、結論を出すことができなかったとし、附属書IIに記載する決定書草案をCOP 20の審議にかけるため、送致することで合意する;

•SBSTA44において、訓練プログラムの結果を評価し、GHGインベントリの技術的レビューのためのレビュー専門家に対する訓練プログラムの更なる開発及び強化に関し、COP22に提案を出すことで合意する。

附属書I締約国によるGHGインベントリ、隔年報告書、国別報告書に関係し、条約の下で報告される情報の技術的レビューのガイドラインに関する決定書(FCCC/CP/2014/L.7/Add.1)において、COPは特に:

•決定書23/CP.19で採択されたガイドラインに対し、「第III部:附属書I締約国のGHGインベントリの技術的レビューに対するUNFCCCガイドライン」を含めるために必要とされる変更を行い、これを改定すると決定し;

•さらに、附属書に記載するガイドラインを隔年報告書、国別報告書、GHGインベントリのレビューに用いることととし、これを直ちに有効にすると決定し;

•事務局に対し、附属書に記載するガイドラインの規定に則り、附属書I締約国のGHGインベントリの技術的レビューを調整するよう要請し;

•さらに、事務局に対し、データ比較の標準化セットを開発して実施するよう要請し、5年ごとに、これらのデータセットの評価を行うため、GHGインベントリの代表レビュアーの中から経験あるレビュー専門家のグループを選任するよう要請し;

•経験あるレビュー専門家グループは、記載される評価を用い、標準化されたデータ比較の追加を探求し、これまでのレビュー・サイクルで遂行されたデータ比較での経験を探求し、実施されたデータ比較の標準化セットが有用なままであるかどうかを検討し、GHGインベントリの代表レビュアーの次回会合で検討すると決定し;

•事務局に対し、「第III部」を採択するとの観点から、必要な場合は、レビュープロセスを支援する関連の情報技術ツールを改定するよう要請し、これらの改定には時間と労力が必要であり、改定の実施は2015-2016年のレビュー・サイクルで行う必要があると認識し;

•さらに、事務局に対し、最新のGHGインベントリ提出文書から、GHG排出源ごとの排出量及び吸収源ごとの除去量に関する情報及び動向をとりだしてまとめ、箇条書きにするよう要請し、この情報をUNFCCCのウェブサイト上で公表すると共に、独自の文書の形でもまとめるよう要請し、

•上記の文書のサマリーは、COP及びSBsでの審議のため、公表されることとし、このサマリーには、排出源ごとのGHG排出量及び吸収源ごとの吸収量における動向を含め、報告された打インベントリ情報が「附属書I締約国による国別報告書作成ガイドライン第I部」、年次の情報提出でのいかなる遅れに関する情報も含め、COPの関連する決定書の規定を順守しているかどうかの評価も含まれると決定し;

•附属書I締約国のGHGインベントリ提出を可能にする共通報告様式(CRF)レポーターのグレードアップ版について、附属書I締約国に提供するとされた期限が守られていないと認識し、附属書I締約国に対し、2015年では、4月15日以後のCRF表提出を認めるが、CRFレポーターの利用可能性の遅れに相応する以上の遅れは認めないと再度述べ;

•SBSTA 48に対し、2017年までのGHGインベントリの代表レビュアー会議における全ての関連の結論を考慮に入れた上で、デスクレビュー実施の経験を検討するよう要請する。

附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビューのためのレビュー専門家に対する訓練プログラムの決定書(FCCC/CP/2014/L.7/Add.2)において、COPは特に:

•事務局に対し、附属書Iに記載するとおり、訓練プログラムを開発し、実施するよう要請し;

•提供できる立場にある附属書I締約国に対し、訓練プログラム実施に対する資金援助を提供することを推奨し;

•事務局に対し、専門家レビューチームの構成に関するSBSTAへの年次報告の中に、訓練プログラムに関する情報、特に試験手順及び訓練生の選抜に関する情報を含めるよう要請する。

附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューを行うレビュー専門家に対する訓練プログラムに関する決定書(FCCC/CP/2014/L.7/Add.3)の中で、COPは特に:

•事務局に対し、附属書Iに記載するとおり、レビュー専門家に対する訓練プログラムを実施するよう要請し;

•提供できる立場にある附属書I締約国に対し、訓練プログラムの実施に対する資金援助を提供することを奨励し;

•事務局に対し、専門家レビューチームの構成に関するSBSTAへの年次報告の中に、訓練プログラムに関する情報、特に試験手順及び訓練生と指導員の選抜に関する情報を含めるよう要請する。

附属書I締約国による資金情報報告の手法論:本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Seyni Nafo (マリ)及びRoger Dungan (ニュージーランド)を共同議長とするコンタクトグループを提案し、締約国もこれに同意した。

12月2日火曜日、コンタクトグループは、「だれが報告作成手法について作業を行っているか、どのような期限に基づいているか」を明らかにする必要性について、議論した。特に次の点について議論した:比較可能性の必要性;透明性とのリンク;資金部門のUNFCCC用語に「翻訳する」ことの困難さ;気候資金の定義、対象範囲、スコープ。中国とブラジルは、COP 20に決定書を提案するとの観点から、資金情報報告の手法論を開発するというCOP 17からのマンデートの遵守が重要であると強調した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果: 結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.26)において、SBSTAは、COP20での審議にかける決定書草案を提案する。この決定書において、COPは特に:

•この問題に関する決定書をCOP 21に提案するとの観点において、SBSTAに与えられたマンデートの期限の1年延長を決定する;

•締約国並びにオブザーバー組織に対し、この問題に関する意見書を2015年3月25日までに事務局に提出するよう求める;

•事務局に対し、既存の国際的手法論を取りまとめ、締約国提出の情報を引用するテクニカルペーパーをSBSTA 42までに作成するよう要請する;

•事務局に対し、SB 42に合わせ合同会議期間中テクニカル・ワークショップの開催を計画するよう要請し、このワークショップはSBSTA、SBI及びSCF合同で開催されるものと決定する;

•SCFに対し、この合同会議期間中テクニカル・ワークショップの成果を考慮に入れ、隔年評価を超える支援のMRV、及び気候資金の流れの概要に関する作業の一環として、COP 21に対する年次報告にSCFの提案を記載するよう要請する;

•さらにSCFに対し、SBSTA 43に作業の最新情報を提出するよう要請する。

GHGsCO2換算を計算する共通の計算方式:本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Takeshi Enoki (日本)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTA議長のDlaminiは、この項目で合意に至らなかったとし、この項目はSBSTA 42の暫定議題に置くことになると述べた。

バンカー燃料からの排出量:本議題項目(FCCC/SBSTA/2014/MISC.9)は、初め、12月1日月曜日に議論された。国際民間航空機関(ICAO)は、国際民間航空輸送からのCO2排出量に対応する総合戦略策定作業の進捗状況について報告し、燃料効率を全体的に年2%改善し、この部門の正味のCO2排出量を2020年以後安定化させることで各国政府が合意していると強調した。

国際海事機関(IMO)は、船舶からの排出量に効果的に対応してきたとし、船舶輸送効率の安定的改善を実証するためのIMOの第3回GHG研究の承認を指摘した。

シンガポールと日本は、ICAO及びIMOにおける進捗状況を賞した。途上国グループに代わり発言したアルゼンチン、及び中国は、IMO及びICAOの下での気候変動に関する措置では、条約の原則及び条項、特に共通だが差異のある責任(CBDR)の原則を尊重すべきだと述べた。

SBSTA議長のDlaminiは、この議題に関する同議長の非公式協議開催を提案し、締約国も同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2014/ L.21)において、SBSTAは、IMO及びICAOにおいて進行中の作業に関し両組織から受理した情報並びに報告された進捗状況に留意し、締約国が表明した意見に留意し、ICAO及びIMOに対し、この項目に関する関連作業について今後のSBSTA会合においても報告を続けることを招請する。

京都議定書の下での手法論問題:決定書2/CMP.7から4/CMP.7及び1/CMP.8の実施の影響:本議題項目(FCCC/TP/2014/6)は、初め12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Anke Herold(ドイツ)及びMaesela Kekana (南アフリカ)を共同議長とするコンタクトグループを提案し、締約国もこれに同意した。

12月5日金曜日のコンタクトグループ会合において、ウクライナは、5つの附属書を有する1つの決定書を希望した。共同議長のHeroldは、2つの決定書という現在の方式はSBSTA40で合意されたものだと明言した。EUは、CRF3レポーターソフトウェアがタイムリーな形で利用できない場合、または適正に機能しない場合、割当量単位(AAUs)の報告期限が遅れる可能性があると認識するよう求めた。

結論書草案に関し、ロシアは、議定書5条、7条、8条(京都議定書の下での手法論問題)に関するSBSTA議題項目11(a)及び(b)の下での手法論問題、京都議定書ドーハ改定文書のセクションG(3.7ter条)の明確化との間のファイアウォールを嘆いた。

締約国は、一つの附属書I締約国が専門家レビューチーム(ERT)に関する規定を適用する場合、ERTはその情報をレビューすると「提案する(recommend)」のか、それとも「同意する(agree)」のか、議論した。SBSTA議長のDlaminiは、結論書で合意するよう締約国に忠告し、これ以上この議題項目の交渉時間を延長は認められないと述べた。締約国は、改定を行った上、この結論書草案をSBSTAプレナリーでの審議に回すことで合意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAは結論書を採択し、締約国は、保留された議題、特に経済移行国に関係する問題に関し、会議第2週を通して協議を続行、COP/CMP議長のPulgar-Vidalの権限の下、SBSTA議長のDlaminiがその共同議長を務めることで合意した。合意に至らず、この議題項目の審議はSBSTA42でも続けられる。

最終成果: 結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.29)において、SBSTAは特に:

•事務局に対し、CMPで採択されたとおり、京都議定書第2約束期間に関係する全ての報告、レビュー、計算の必要条件を利用者に優しい文書にとりまとめ、この文書を2015年5月までに利用可能にすることを要請する;

•SBSTA 42において、第2約束期間のQELROsを有しない条約附属書I締約国に対する計算、報告、レビューの必要条件を、議定書8条(ERTs)の下での年次レビューに参加する専門家レビューチーム(ERTs)のメンバーを対象とする訓練プログラムの更新と合わせ、審議することで合意する。;

•ドーハ改定文書の附属書Bに記載する表の第2コラムに約束を明記するが第3コラムには明記しない京都議定書附属書I締約国は、当該締約国の第2約束期間第1年の年次インベントリに対するERTのレビューの一環として、当該締約国の基本年に関係する情報をレビューするようERTに要請できることに留意する;

•そのような要請は、第2約束期間の第1年に関する年次レビューの一環として推敲されるべきと提案する;

•SBSTAは、この議題項目の作業を進展させたが、結論を出すことはできず、附属書を含める決定書草案をCMP 10の審議に回すと言明する。

京都議定書ドーハ改定文書セクションG (3.7ter)の明確化:本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Anke Herold及びMaesela Kekanaを共同議長とするコンタクトグループを提案し、締約国もこれに同意した。

12月5日金曜日のコンタクトグループ会合は、決定書草案のオプションについて審議した。締約国は、3.7ter条を、特に京都議定書の第1約束期間では約束を行わず、第2約束期間では約束を行っている締約国に適用するかどうか、適用する場合はどのように適用するかで合意できなかった。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーで、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.25)において、SBSTAは、SBSTA 42においても、附属書にある決定書草案文書の文章の要素を考慮に入れ、この議題項目の審議を継続することをCMPに推奨すると合意する。

京都議定書3.2条及び3.4条の下、さらにCDMの下での土地利用、土地利用変化、林業(LULUCF)本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Marcelo Rocha (ブラジル)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAは結論書を採択し、決定書草案をCMP10での審議に回した。

最終成果:結論書(FCCC/SBSTA/2014/ L.24)において、SBSTAは、SBSTA44においてもLULUCF活動の審議を続けることで合意し、CMPにおける決定書草案の審議を推奨する。

決定書(FCCC/SBSTA/2014/L.24/Add.1)において、CMPは:

•CDM理事会に対し、再植林を含むプロジェクト活動がCDMで適格となる場合には、これらのプロジェクト活動に対し、決定書5/CMP.1及び6/CMP.1に記載の手法論及び手順の適用可能性を評価するよう要請する;

•CDM理事会に対し、これら評価結果をCMP11に報告するよう要請する;

•SBSTAに対し、SBSTA 44においても、CDMの下での追加のLULUCF活動に関する審議を続けるよう要請する。

枯渇森林地の再植林をCDMの新規植林及び再植林プロジェクト活動に含めることの影響:本議題項目は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Heikki Granholm (フィンランド) 及びEduardo Sanhueza (チリ)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTA議長のDlaminiは、本議題項目については合意に至らず、この項目はSBSTA 42の暫定議題に加えられると述べた。

条約の下での市場及び非市場メカニズム:多様な手法の枠組:本議題項目 (FCCC/TP/2014/9)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Peer Stiansen (ノルウェー)及びMandy Rambharos (南アフリカ)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、 SBSTA議長のDlaminiは、本議題項目では何の合意にも至らなかったとし、この項目はSBSTA42の暫定議題に加えられると述べた。

非市場ベース・アプローチ:本議題項目 (FCCC/TP/2014/10)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Peer Stiansen及びMandy Rambharosを進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、 SBSTA議長のDlaminiは、この議題項目では合意に達しなかったとし、この項目はSBSTA 42の暫定議題に加えられると述べた。

新しい市場ベース・メカニズム:本議題項目 (FCCC/TP/2014/11)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Peer Stiansen及びMandy Rambharosを進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、 SBSTA議長のDlaminiは、この議題項目では合意に達しなかったとし、この項目はSBSTA 42の暫定議題に加えられると述べた。

先進締約国のQELROsの明確化に関する作業計画:本議題項目(FCCC/SBSTA/2014/INF.16 and FCCC/TP/2014/8)は、初め、12月1日月曜日に議論された。SBSTA議長のDlaminiは、Cristina Carreiras (ポルトガル)及びBrian Mantlana (南アフリカ)を進行役とする非公式協議を提案し、締約国もこれに同意した。

12月6日土曜日のSBSTA閉会プレナリーにおいて、SBSTAは結論書を採択した。

最終成果:結論書 (FCCC/SBSTA/2014/ L.22)において、SBSTAは、先進締約国のQELROsの明確化に関する作業計画を完結する。SBSTAは、QELROsの明確化における情報共有及び透明性の重要さを認識し、SBSTA 38以後、作業計画の下で推敲された活動は、締約国に情報共有の土台を提供し、先進締約国目標の透明性改善を推進したと指摘した。さらにSBSTAは、特に:

•先進締約国の間では、目標達成に向けた進捗状況を測る手法の数が限定されていることを認識し、先進締約国間では、対象となる部門及びガスについて、さらには地球温暖化係数の利用について、意見を集約することが重要であると認識する;

•先進締約国による追加情報の提供は目標の透明性を高め、先進締約国間の努力の比較可能性の議論推進に役立つことを認める;

•市場ベース・メカニズムの炭素クレジットの利用における透明性及びその報告作成の議論を認める;

•先進締約国目標の達成におけるLULUCFの役割を計算するには一つ以上の手法があると指摘し、努力の比較可能性に関しては、報告された情報の包括的、完全、一貫性のある対象範囲が手法の選択以上に重要であると認識した。

その他の活動に関する報告:12月1日月曜日、SBSTAは、「条約附属書I締約国の隔年報告書多予備国別報告書に関係し、条約の下で報告された情報のテクニカルレビューに関する年次報告書」(FCCC/SBSTA/2014/INF.21)、「条約附属書I締約国が報告するGHGインベントリ及び他の情報のテクニカルレビューに関する年次報告書」(FCCC/SBSTA/2014/INF.17)、及び「京都議定書の7.1条に基づく京都議定書の締約国でもある条約附属書I締約国が報告するGHGインベントリ及びその他の情報のテクニカルレビューに関する年次報告書」(FCCC/SBSTA/2014/INF.18)に留意する。

閉会プレナリー:12月6日土曜日の午後、UNFCCC事務局次長のRichard Kinleyは、SBSTAが採択した結論書が事務管理及び予算に与える影響について、締約国に情報を伝えた。

報告官のJurga Rabazauskaite-Survile (リトアニア)は、本会合の報告書(FCCC/SBSTA/2014/L.20)を提出し、SBSTAはこれを採択した。SBSTA議長のDlaminiは、午後5時3分、SBSTA 42を閉会した。

SBSTA閉会プレナリーにおけるステートメントのサマリーについては右記を参照: http://enb.iisd.org/vol12/enb12614e.html

強化された行動のためのダーバン・プラットフォームの特別作業部会

12月2日火曜日、ADP共同議長のKishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ) は、ADP2-7を開会し、参加者を歓迎、COP20は、新しい地球規模の気候合意の確固とした基礎を提供することが期待されていると述べ、「これはパリ会議成功のシグナルを世界に発信する(this will signal to the world a successful outcome in Paris)」と指摘した。同共同議長は、次の文書を提示した:交渉文書草案の要素に関する(ADP.2014.11non-paper);強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する単独の決定書草案(ADP.2014.12.DraftText)、これにはINDCs及びプレ2020年気候行動強化に関する情報を含める;緩和野心強化のためのオプション、行動、イニシアティブの緩和便益に関する情報をまとめたテクニカルペーパー更新版(FCCC/TP/2014/13 and Add. 1-4);本会合のための共同議長のシナリオノート(ADP.2014.10.InformalNote)。同共同議長は、役員の選出に関する協議が行われると、参加者に伝えた。

締約国は、ADP2議題書 (ADP/2013/AGENDA)、及び提案されている作業計画書の下で作業を継続すると合意した、この作業計画書には、異なる要素に関し、共同議長のいずれかを進行役とするコンタクトグループの同時並行会議での集中交渉、及び強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案の文章面の交渉が含まれる。開会プレナリーでのステートメントの概要については、右記を参照:  http://enb.iisd.org/vol12/enb12610e.html

組織上の問題:役員の選出:12月13日土曜日、ADPは満場の拍手を持って、Daniel Reifsnyder (米国)とAhmed Djoghlaf (アルジェリア)をADP共同議長に、Yang Liu (中国)をADP報告官に選出した。

ADP議題項目3:強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案:手順上のサマリー: 12月2日火曜日、ADP共同議長のArtur Runge-Metzger (EU)は、ADP 2-7に先立ち共同議長が発表した「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案」(ADP.2014.12.DraftText)を提起し、「立場表明は交渉ではない(positioning is not negotiating)」と締約国に想起し、違いの橋渡しを可能にするような正確かつ簡潔な提案を行うよう促した。

多数の開発途上国は、締約国の提案をスクリーンに映し出す直接交渉を求め、共同議長文書を改定する形で共通の立場に関する共同議長の解釈を前面に押し出すことに警告した。他のものは、共同議長文書に基づく作業を希望した。

ADP共同議長のRunge-Metzgerは、共同議長文書を「迅速に(swiftly)」議論し、「対立点(sticking points)」を特定するため、全ての締約国に意見を発表する時間を認めることを提案した。

12月3日水曜日、多数の途上国は、自国の提案をスクリーンに示すよう求め続けたが、米国は、「交渉の主な問題(the major issues in the negotiations)」を明らかにするため、文書の全体的な読み上げを続けるよう希望した。ツバルは、今後の進め方に関し合意に達するため、議長の友人グループを設置するよう提案し、締約国もこれに同意した。

議長の友人グループは、今後の進め方について合意するため、夕方に会合した。このグループは次の点で合意した:共同議長の文書草案(ADP.2014.12.DraftText)について第1回読み上げを行い、締約国には自国の提案をスクリーンに映し出す形で提起することを認める;特定のセクション及びパラグラフを議論する専門のコンタクトグループ会合を開催する;共同議長は、締約国の提案をまとめた統合文書を作成し、これを決定書草案の改定版に入れる。

12月4日木曜日、非公式の進捗状況報告会議が開催された。COP20/CMP10議長のManuel Pulgar-Vidalは、第1週を、「提案、説明、明確化」の週であったとし、第2週は12月11日木曜日の夕方までに「世界から期待されている成果(the outcome the world is expecting from us)」を実現するための「話し合い、柔軟性、建設(dialogue, flexibility and construction)」の1週間にするよう求めた。ADP共同議長のKumarsinghは、月曜日の朝までに、ADP共同議長の方で要素に関するノンペーパー、及びADP推進のための決定書草案について、第1週に締約国から受けたインプットに基づき改定版を作成し、利用できるようにすることを提案し、締約国もこれに同意した。

12月8日月曜日、ADP共同議長のRunge-Metzgerは、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案の改定版、この時点で「共同議長提案のCOP決定書草案」と呼ばれる文書を提起した。同共同議長は、この文書は次のとおりであると指摘した:締約国が提供したインプットに基づくものであり、ADPのウェブサイトにひとまとめで掲載された全ての締約国の意見を取り入れたと説明し;締約国が提起した「根幹の分野(core areas)」の統合を示し;「われわれのマンデート」の全ての面に対処している。多数の途上国は、改定された決定書草案の法律上の立場に懸念を示し、一部のものは、この文書はノンペーパーのままであると強調した。さらにこれら途上国は、この文書には自国の懸念が組み込まれていないと強調した。他の参加者は、改定された決定書草案に基づき作業する意思があると表明した。

共同議長のRunge-Metzgerは、この文書は何の法律上の立場もないことを締約国に保証し、これに法律上の立場を提供するのは締約国であると指摘した。同共同議長は、リマで行うべきことで締約国が合意した決定の議論に専念する時間をとるよう提案した。Runge-Metzger共同議長は、締約国に対し、「先週の合意通り」に進め、妥協点及び意見の一致点を見出すため、決定書草案のパラグラフごとの審議を行うよう促した。

12月8日月曜日の残された交渉時間及び12月9日火曜日と10日水曜日を通し、議題項目3に関するコンタクトグループは、共同議長提案のCOP決定書草案に関するパラグラフごとの交渉を継続し、締約国は、この文書の中において、多数の文章の代案を提案した。水曜日の夕方、文書草案は58頁に上った。中国は、決定書草案の序文からの読み上げ開始を提案し、他の締約国もこれにどうした。

12月11日木曜日、コンタクトグループは、短時間会合し、その後これを中断して、今後の進め方に関し交渉グループ間で協議できるようにした。コンタクトグループは、午後遅くにも短時間会合したが、締約国は、コンタクトグループを続けるか、それとも議長の友人方式とするかで意見が一致しなかった。夕方、COP/CMP合同の進捗状況報告プレナリーで、COP20/CMP10議長のPulgar-Vidalは、締約国に対し、合意に達するよう強く促し、ADP共同議長に対し、午後9時までに決定書草案の改定版を作成するよう求めた。夕方遅く、コンタクトグループは再開し、ADP共同議長のRunge-Metzgerは、7頁の「共同議長提案のCOP決定書草案」を提出した。同共同議長は、この文書草案の新しいバージョンは次のとおりであると説明した:「受けるかどうか勝手にではない(not a take it or leave it)」文書;妥協を提案する文書ではない;そうではなく、締約国の位置取りを組み込み、締約国の「交渉の余地(negotiation space)」を明らかにしようとする文書。コンタクトグループは、その後中断された。

12月12日金曜日、コンタクトグループは午前中に再開し、改定された決定書草案について審議した。COP20/CMP10議長のPulgar-Vidalは、締約国に対し、自分の「オフィスのドアは開かれている(open-door office)」として自分と協議するよう求め、プロセスの信頼、参画性、透明性を保持するのが自分の責任だと強調し、リマやパリでの会議を成功させるにはこれが必要だと指摘した。同議長は、共同議長の新しい文書はこれまでの「審議不能な文書(unworkable text)」から得られたものであり、方向性を示すよう求めるものだと説明した。同議長は、Tine Sundtoft大臣(ノルウェー)及びVivian Balakrishnan大臣(シンガポール)に対し、協議の進行役を務めるよう求めた。

コンタクトグループの文書に関する実質的な審議は、非公式の進捗状況報告プレナリーのため会議が中断された午後2時まで続けられた、この非公式プレナリーにおいて、COP20/CMP10議長のPulgar-Vidalは、ADPに対し、残されたスピーカーの発言を聴くよう指示し、同議長及び閣僚たちは、協議を続けると伝えた。コンタクトグループは、その後すぐに会議を再開し、全てのスピーカーの発言を聴き終えるまで続けられ、COP20/CMP10議長のさらなるガイダンスを得るまで会議を延期した。

この日の夜間中、二国間の閣僚協議及び交渉グループとの協議が行われた。コンタクトグループは、12月13日土曜日の午前2時18分に会議を再開した。COP20/CMP10議長のPulgar-Vidal及びADP共同議長のRunge-Metzgerは、コンタクトグループ及び非公式協議で提起された意見に基づき共同議長が提案する決定書草案 (FCCC/ADP/2014/L.5)を提出した。Runge-Metzger共同議長は、コンタクトグループの延期とADP閉会プレナリーの開催を提案した。

議場からは多数の意見発表が続けられ、この間に締約国及び締約国グループは、この文書を検討する会議時間の追加を要請、閣僚やCOP議長のどちらとも協議していないとして懸念を表明した。他のものは、早朝の時間を指摘し、提案された通り進めることでの合意を求めた。午前3時30分、ADPコンタクトグループは、締約国が文書について更なる検討を行えるよう会合を延期した。

ADPの閉会プレナリーは、土曜日の午前10時41分に開始された。締約国は、決定書草案を支持するもの、反対するもの、さまざまであった。ADP共同議長は、自身の権限の下、決定書草案を更なる審議のためCOP 20/CMP 10議長のPulgar-Vidalに提出した。午後1時31分、ADP 2-7が中断された後、Pulgar-Vidal議長は、文書に関する意見の一致点を見出すため締約国グループと協議すると発表した。

12月13日土曜日の午後11時37分に開催されたCOP20閉会プレナリーにおいて、ADP共同議長のKumarsinghは、ADPは決定書草案 (FCCC/ADP/2014/L.5)を検討することでその「集中審議(intensive work)」を終了したと伝えた。同共同議長は、締約国の意見を聴いたあと、共同議長は自身の権限で決定書草案を更なる審議のためCOP議長に回したと述べた。

その後、COP20/CMP10議長のPulgar-Vidalは、ダーバン・プラットフォームの更なる推進に関する決定書草案(FCCC/CP/2014/L.14)を含める「議長提案(Proposal by the President)」を提出し、これは全ての締約国の努力の産物であり、「これを持ってだれもが勝者になる(with it we all win)」と述べた。午後11時53分、同議長は、締約国に文書検討の時間を与えるため、1時間、会議を中断した。

12月14日日曜日の午前1時23分にCOP 20閉会プレナリーが再開された際、COP20議長のPulgar-Vidalは、この決定書草案は「我々を前進させるものだ(moves us forward)」と指摘し、 締約国に対し、「これを承認するという挑戦に立ち上げる(rise to the challenge of approving it)」よう要請した。 COPは、この決定書草案を採択し、これを「気候行動のためのリマ提案書(Lima Call for Climate Action)」と呼ぶことで合意した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、次の項目を含め、決定書に関する自分たちの理解について発言した:序文のパラグラフにおける損失と被害のためのワルシャワ・メカニズムへの言及及び決定書のパラグラフ2における「特に(inter alia)」と言う表現は、2015年合意は「損失と被害を適正に、効果的に、進化する形で対応する(properly, effectively and progressively address loss and damages)」するとの「明確な意思(a clear intention)」を表わす。

実質審議―第1回読み上げ:12月2日火曜日及び3日水曜日、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案の実質的な審議が開始され、全体の反応に焦点を当てた。

条約の下での議定書、別な法的制度もしくは法的効力を有する合意成果に関し、ロシアは、EU及びツバルと共に、条約17条(議定書)及び適用される手順規則への言及を含め、それにより文書提起の6カ月規則の順守を可能にすることを提案した。米国は、これは議定書にのみ適用されるが、ダーバン・プラットフォームで作成中の制度については、いくつかの可能性が認められていると指摘した。

ベネズエラは、緩和ベースの成果を求める締約国グループとBAPの全ての要素に基づくべきと感じる別なグループという「議場の象ー巨大な問題(the elephant in the room)」と取り組むことを提案した。

ADPの作業終了に関し、インドは、「可能な限り早期に(as early as possible)」の除去を提案した。ブラジルは、COP 21の後の追随決定書草案への言及追加を提案した。ケニアは、この段階で追随決定書に言及するいかなる表現にも反対した。

適応と緩和の等価に関し、オーストラリアとノルウェーは、緩和と適応の政治的等価達成に関する文章の削除を提案した。インドは、代わりに「全面的な法的等価(full legal parity)」への言及を提案した。ブラジルは、「緩和、適応、実施方法に関する運用条項間の等価(parity between the operational provisions regarding mitigation, adaptation and means of implementation (MOI))」を提案した。

中国は、特に次に関する文章を提案した、2015年合意の交渉文書においては緩和、適応、MOIの要素間でのバランスのとれた包括的な扱いを達成し、行動及び支援の透明性を達成すると決定する。

インドは、適応と緩和は同等の扱い及び資源を受けるべきだと強調する一方、「政治的等価(political parity)」に関する共通の理解を求めた。米国は「等価(parity)」というのは曖昧な表現であるとし、「適応の重要性強調(underscoring the importance of adaptation)」を提案した。

既存の行動及び約束の実施の実証に関し、オーストラリアは、この文章は序文で扱われるべきだと述べた。ノルウェーは、既存の行動及び約束の実施への言及は必要ないと述べた。ブラジルは、ドーハ改定文書及び2020年までの1千米ドルという資金目標への言及追加を提案した。

中国は、条約、京都議定書及びBAPに基づく合意成果の下での、既存の約束及び行動の全面的かつ効果的な実施、特に先進締約国による実施は2015年合意の採択に不可欠であると強調することを提案した。

2015年合意の要素とのリンクに関し、米国は、決定書1/CP.17 (ADPの設立)に規定する題目別分野のリスト作成における開放性を指摘し、2015年合意においてこれらの分野が取り扱われるとの確証を与えることになるなら、これらの分野は「作業要素(aspects of work)」であると述べた。

文章の特定セクションに関する集中審議は、12月4日木曜日に開始された。

パラグラフ1-6 (要素)に関し、カナダは、ADPでは「全ての要素(all elements)」ではなく「多様な題目(various topics)」を議論し、 適応と緩和の間の「政治的等価を達成する(achieving political parity)」を、「両者の極めて大きい重要性を高める(elevating their critical importance)」に置き換えることを提案した。

ニュージーランドは、ADPの作業は「異なる構成要素のパッケージ(a package of different components)」と言う成果を生むことを示す文章を主唱した。日本は、緩和が条約の究極の目的であることを明確にする必要性を強調した。

パキスタンと南アフリカは、決定書1/CP.17の全ての要素を「バランスのとれた形で(in a balanced manner)」扱うよう求めた。メキシコとサウジアラビアは、適応と緩和の等しい重要性を強調した。パキスタンとエジプトは、緩和と適応の「法的等価(legal parity)」を希望した。エクアドルは、緩和と適応の等価に言及する際は、形容詞を削除するよう求めた。

南アフリカは、INDCsと合意要素とのリンク、及び緩和と適応に対する支援のバランスに関係する「保証(assurances)」を扱うパラグラフを強化するよう求めた。

透明性の重要さに関し、エクアドルは、2015年合意の一部としてMRVメカニズムを採用するよう求めた。

パラグラフ 7-12 (INDCs)に関し、日本は、この文章ではまだINDCsに提示されるべき事前情報が明確になっていないと述べた。

南アフリカは、INDCsは国家が決定するが、その範囲は国際的に決定されるべきだとし、ブラジルその他と共に、その中に緩和、適応、MOIを含めるべきだと述べた。カナダと米国は、INDCsは緩和に関係すると強調した。ブラジル及びLDCsの立場で発言したツバルは、INDCsの範囲は条約2条(目的)に限定されるべきでないと指摘した。

オーストラリアは、INDCsには締約国がユニラテラルに行っている努力を反映すべきだと強調した。LDCsは、INDCsに緩和を含めることに関し、LDCs及びSIDSに対するその差し止め措置を挿入することを提案した。

ニュージーランドは、INDCsで報告する際、締約国は予想される排出面の成果、努力のレベル及び土地部門での計算手法について定量化すべきだと述べた。EUは、INDCの報告における透明性、定量化の可能性、比較可能性を求めた。

ボリビアは、途上国に対し、MOIの供与を強化することが重要だと強調した。ツバルはLDCsの立場で発言し、緩和行動に対する偏見に警告し、附属書I締約国のINDCs達成を目的とする途上国への附属書I締約国の支援に関するMRVについて、文章を追加するよう提案した。タイは、緩和と適応の等しい扱いを強調した。米国は、報告での必要条件は先進国及び途上国に等しく適用すべきだと述べた。

パラグラフ13-16 (INDCの伝達), に関し、アルゼンチン、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言したチリ、中国、インド、アラブグループの立場で発言したアルジェリア、南アフリカ、タンザニア、その他多くのものは、条約の原則及び条項の関連性を強調した。スイスは、附属書I諸国と非附属書I諸国で分けることに反対した。中国は、INDCsに関する情報は先進国の野心明確化を強め、途上国のINDCsの多様性、障壁、ニーズを反映すべきだと述べた。

ブラジルは、INDCsについて「法的な意味合いでの期待(an expectation of legal terms)」と解釈されるべきではない;自主決定には反対する;アフリカングループの立場で発言したスーダンと共に、公平性への言及を要求した。

スイスは、基礎となる想定条件及び努力、公平性への配慮に言及するよう求めた。マーシャル諸島は、COP 21での採択にかけるとの観点から、ADPにおいて計算上の想定条件や手法、土地利用、国際的な市場やクレジットの利用に関する規則を作成することを提案した。ボリビアは、市場のツール及び制度への言及に反対した。

タンザニアは、規範的なINDCs、及び途上国に対する他の全ての追加的報告作成要求に反対した。シンガポールは、提供される情報の明確さを強調した。

サウジアラビアは、INDCsにおける適応部分では早期かつ総合的な計画作成による最善の価値の成果達成に向けた努力、及び全てのレベルでの行動を強化すべきだと提案した。南アフリカは、次の項目に関し箇条書きで伝達するよう促した:2021-2025年及び2026-2030年での貢献のタイプ;適応計画、行動、コスト、投資に関する情報;MOIへの支援。チリはAILACの立場で発言し、締約国は 2020-2025 年の緩和に関する情報、2030年での貢献分の表示を提供し、これに野心、平等、公平性に関する情報も含めることを提案した。

パラグラフ17-22 (INDCsの事後の伝達及び支援)に関し、中国、インド、ベネズエラ、マレーシア、サウジアラビアを含める多くの締約国は、INDCsの事後伝達の議論に反対した。

EUは、2015年の第一4半期からINDCsを審議する国際的プロセスを設置し、緩和のINDCsにのみ関係させることを提案した。米国は、野心や明確さを促進するには事前の情報と協議期間が重要であると強調した。

南アフリカは、特に締約国の貢献分の集約効果に関するテクニカルペーパーを用いた、事務局によるINDCsの事前評価を求めた。マーシャル諸島は、INDCsをまとめ、統合し、緩和努力レベルの集約を記載するテクニカルペーパーを求めた。

日本と中国は、INDCsをUNFCCCのウェブサイト上に掲載して発表する単純なプロセスを求め、中国は、事務局によるINDCsの取りまとめに異議を唱えた。ロシアは、電子的手段の利用に警告した。

ヨルダンは、中国及びインドと共に、全ての事前レビュープロセスに反対した。ツバルはLDCsの立場で発言し、附属書I締約国によるMOI提供に関する報告を提案した。

ブラジルは、INDCsの審議は法的拘束力のあるプロセスではないが、各国相互の約束に関する理解を高める手段であると強調した。

パラグラフ23-38 (ワークストリーム2(プレ2020年野心)及びダイナミックなハイレベルの参加の土台作りに関する行動の強化、及び将来の作業に対する指針)に関し、EUは、ワークストリーム2の焦点は緩和のままとすべきだと強調し、米国及びスイスもこれを支持した。多数の途上国は、適応とMOIにも対応する必要があると強調した。中国は、ヨルダンと共に、行動強化への国際的な支援を増加する方法に焦点を当てることを提案した。オーストラリアは、多様な資源からの途上国支援を認めるよう求めた。

多数の締約国は、技術専門家会議(TEMs)は有用であるとし、その継続を支持した。ナウルはAOSISの立場で発言し、緩和野心のギャップが解消されるまでTEMsを改善し、延長することを強調し、そのアウトプットには次のものを含めるべきだと指摘した:最新のテクニカルペーパー;政策オプションのダイナミックでオンラインの「メニュー(menu)」;行動の共同便益、実施に対する障壁、それを克服するための戦略に焦点を当てる;政策決定者向けの統合。

同代表は、ヨルダン、エルサルバドル、中国と共に、TEMsは緩和及び適応(adaption?)の機会に焦点を当てるべきだと述べた。ノルウェーは、スイスと共に、化石燃料補助金改革など、緩和に焦点を当てるTEMsを支持し、コロンビアと共に、Global Commission on the Economy and Climate(経済都気候に関する世界委員会)の作業を認識するよう求めた。

日本は、ニュージーランドの支持を得て、技術移転情報センターTT:CLEAR及びCTCNを含める既存の制度との連携強化を提案した。ノルウェーは、TEMsの開催計画におけるTEC及びCTCNの役割を強調した。エルサルバドルは、適応委員会及び適応基金との密接なリンクを提案した。

AOSISは、TEMsの改善を視野に、2017年より早くない時期のTEMsのレビューを求めた。カナダは、「いずれかの時点(at some point)」でのレビューを支持した。スイスは2016年か2017年でのレビューを希望した。

ボリビア、インド、その他は、TEMの主題範囲拡大を提案し、ボリビアは、先住民や地方社会の実施方法及び技術知識システムに焦点を当てることを提案した。コロンビアはAILACの立場で発言し、先住民及び学術研究所の参画を求めた。

インド、サウジアラビア、アルゼンチンは、テクニカルペーパーを求めた。マリはアフリカングループの立場で発言し、閣僚たちに情報を提供するための政策決定者向けサマリー及び技術統合報告に結び付く作業を提案した。

多数の締約国は、ADPに対するハイレベルな参加を歓迎した。AOSISは、中国、LDCsの立場で発言したバングラデシュ、及びAILACと共に、毎年のハイレベルな参加を求めた。ブラジルは、具体的な政策を閣僚たちに提案できる場合、閣僚たちの参画は「控えめ(sparingly)」にすべきだと述べ、AOSIS及びEUと共に、TEMsのアウトプット改善に向け努力することに同意した。米国は、COPに合わせた、プレ2020年野心に関する閣僚たちの年次会議開催を求めた。ブラジル、ボリビア、パキスタン、インドは、国内小地域政府当局によるハイレベルイベントへの意見発表(contribution)に反対した。

強化された行動の効果的な実施に対する広範な行動者の参加について、スイスは非国家行動者の参加は、国レベルで行われる行われるべきだと述べた。タンザニアは、メキシコの支持を得て、国内小地域の組織及び地方当局は自国政府を通して行動するよう提案した。

メキシコは、バングラデシュと共に、地域及び地域内のTEMs開催を支持し、主催国となることを申し出たが、EU及び米国は反対した、ブラジルはこの考えを探求する意思を示した。スイスは、資金面の影響を指摘し、そのようなTEMsは他の会議と背中合わせで開催されるべきだと述べた。

LDCsは、途上国の技術専門家によるTEMs参加を可能にするための支援を求めた。

ブラジルは、緩和政策の健康面の共同便益を指摘することを提案し、オーストラリア、米国、スイスもこれを支持した。米国は、経済的な共同便益も加えることを提案した。エジプトは、「持続可能な開発及び貧困撲滅の概念における(in the context of sustainable development and poverty eradication)」共同便益を提案した。

附属書(INDCsに関する補足情報)に関し、スーダンはアフリカングループの立場で発言し、差異化のある、そして差異化なしの緩和、適応、MOIオプションの検討を提案した。コロンビアはAILACの立場で発言し、締約国が自国の貢献約束を公平なものと受け止める理由に関する情報も含めるよう求めた。

パナマはCfRNの立場で発言し、森林の役割を認識するよう要請し、バイオエネルギーに関する考察に言及することを求めた。アルゼンチンは、エジプトと共に、土地部門排出量を含めることへの懸念を表明し、農業は気候変動の主要な貢献部門ではないと指摘した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、排出削減目標を有する経済移行国及び途上国の報告の差異化を提案し、支援方法を強調した。

序文のパラグラフに関し、LDCsは、世界平均気温2℃上昇への言及を削除するよう要請したが、EUは反対した。

多数の途上国は、条約の原則及び条項への言及を支持したが、米国は反対した。米国は、附属書ベースの差異化というのは新しい合意の取る道ではないと述べ、日本と共に「二分方式の表現(bifurcated language)」に反対した。

中国は、パキスタン及びアルゼンチンと共に、BAPへの言及を要請し、アラブグループの立場で発言したアルジェリア及び他の諸国と共に、これまでのCOP決定書への言及も要請した。チリは、世代間の公平性への言及を求めた。

ヨルダン、インド、中国、ベネズエラは、排出量の削減、脆弱性の軽減、回復力の構築に関し、政策実施の影響を強化する上で国内小地域当局の仲介役としての役割に言及することに反対した。

サウジアラビアは、IPCC AR5 SYRに合わせ、効果的な適応及び緩和対応は多様な規模を横断する政策措置に依存すると認めることを提案した。

強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案の第1回読み上げは12月6日土曜日に終了した。

「共同議長提案のCOP決定書草案」初バージョン: 12月8日月曜日、締約国は、共同議長提案のCOP決定書草案の新しい初のバージョンの審議を始めた。G-77/中国の立場で発言したマレーシア、LMDCsの立場で発言したイラン、AOSISの立場で発言したナウルを含める少数のグループ及び参加者は次の点に対する懸念を表明した:文書がバランスをかいていること;文書を検討するだけの適切な時間がないこと;パリ合意の成果に予断を加える危険。

LDCsの立場で発言したツバルの提案の後、この文書全体が括弧書きとされた。

序文パラグラフに関し、ブラジル、米国、その他は、序文パラグラフに多数の文章が加えられたことに警告し、中身に焦点を当てるよう求めた。

次の項目への言及に関する締約国の意見は分かれた:条約の原則及び条項;過去の決定書;気温目標;科学のガイダンス;公平性、共通だが差異のある責任とそれぞれの能力(CBDRRC)、及び持続可能な開発の原則;緩和、適応、MOI、行動及び支援の透明性;損失と被害;条約の下の異なる締約国による「実行(undertakings)」の差異化;世界排出量バジェット。

ADP共同議長のKumarsinghは、締約国は3時間のコンタクトグループ会合では「一部の括弧書きの序文パラグラフ(some bracketed preambular paragraphs)」以上に進めないと指摘し、残された3日間の交渉期間の「カウントダウンが進んでいる(are counting down)」と強調した。

適応行動の強化及び規模拡大に関する序文のパラグラフに関し、スーダンはアフリカングループの立場で発言し、決定書1/CP.17 (ADP設置)の要素及び途上国の脆弱性への言及を加えるよう提案し、エジプトもこれを支持した。フィリピンは、極端な天候現象から回復する能力及び生物多様性の保全への言及を求めた。パキスタンは、水の安全保障への言及を求めた。

シンガポールは適応行動の「規模拡大(scaling-up)」の削除を提案したが、LDCsは反対し、EUは、これを「強化する(enhancing)」に置き換えることを提案した。多くのものが原案の表現を希望した。米国は、韓国、日本、ニュージーランドと共に、2015年合意にのみ言及する短縮した表現を提案した。

ブラジルは、シンガポール及び米国の支持を得て、持続可能な開発への言及をパラグラフに残すべきと述べた。ブラジルとインドも、食糧安全保障と貧困撲滅は残されるべき重要な要素であると述べ、中国と共に、貧困撲滅は途上国に関係すると特定するよう求めた。

条約の究極の目的は「多国間の規則ベースの体制強化(strengthening the multilateral, rules-based regime)」及び既存の約束の実施を要請しているとの序文パラグラフに関し、アフリカングループは、「条約の下での多国間の規則ベースの体制(multilateral, rules-based regime under the Convention)」を希望し、パキスタンはこれを支持したが、EUは反対した。

中国は「BAP及びドーハ改定文書に基づく合意成果(the agreed outcome pursuant to the BAP and the Doha Amendment)」を指摘する新しい序文パラグラフを提案したが、オーストラリアは反対した。

決定書1/CP.17の全要素に関するADPでの進展を歓迎する、パラグラフ1-7 (ADPの作業推進及び2015年合意の交渉文書推敲)に関し、サウジアラビアは他の諸国と共に共同議長文書を支持した。オーストラリアは、米国、ニュージーランド、日本、その他の支持を得て、決定書1/CP.17の全要素実施への言及削除を提案、ADPが「作業を進める(to advance its work)」ための進展という表現を希望した。米国は、オーストラリア、フィリピン、カナダ、EU、その他と共に、「決定書1/CP.17に基づく(pursuant to Decision 1/CP.17)」進展を提案したが、LDCsは反対した。

過去のCOP決定書に対応し交渉文書草案の要素について更なる推敲が為されたことを歓迎するとのパラグラフについて、LDCsは、決定書2/CP.19 (損失と被害のワルシャワ国際メカニズム)への言及を要請したが、米国、オーストラリア、EUが反対し、さらに決定書の「附属書Iに含まれる通り(as included in Annex I)」の要素の更なる推敲を要請したが、サウジアラビアとインドが反対した。

決定書草案文書の附属書Iに基づく交渉文書の作成に関するパラグラフについて、キューバは、LMDCsの立場で発言したマレーシアの支持を得て、ADPの作業を「感謝して認識し(acknowledging)」、「ADPは交渉文書草案の推敲作業を終了させるため、2015年もその作業を続けると決定する(deciding that the ADP continue its work in 2015 to finish the elaboration of the draft negotiating text)」ことを提案した。

オーストラリアは、附属書I「に基づき」を、「の検討を推進することで(by furthering the consideration of)」に置き換えることを提案し、スイス、日本、ノルウェー、ニュージーランドはこれを支持したが、LDCsは反対した、さらに、ADPが「全ての関係ある決定書」を作成することへの言及を含めることを提案し、LDCsはこれを支持したが、LMDCs及びブラジルは反対した。スイスとノルウェーは、最終成果の「構成(structure)」もしくは「内容(content)」に「予断を加えない(without prejudice to)」を追加するよう提案した。アフリカングループは、附属書I及び「締約国から受理した提出文書(submissions received from Parties)」から「引き出す(drawing on)」ことを提案した。

2015年5月までの交渉文書作成に関するパラグラフについて、EUは、条約17条(議定書)への言及保持を支持し、スイス及びマーシャル諸島もこれを支持したが、LMDCs及びカナダは反対した。LDCsは、「適切な場合は17条の要求に留意する(noting, as appropriate, the requirements of Article 17)」を提案した。LMDCsは、17条に焦点を当てることは「この段階ではとるべきでない立場に合わせる(align us with a position we should not take at this stage)」可能性があるとし、米国と共に、「関連する時間的な全ての要求条件に留意する(noting any relevant timing requirements)」を提案した。

カナダは、米国の支持を得て、ADPは交渉文書を作成「することとする(shall)」の代わりに「することを目指すべき(should aim to)」との決定を希望した。これはLDCsの反対を受けた、LDCsは、「タイミングの遅れ(slippage in timing)」を警告した。

ロシアは、ベラルーシの支持を得て、文書をUNFCCCの全て公用語に翻訳することへの言及追加を求めた。

2015年合意の範囲に関するパラグラフに関係し、LDCsは、AOSISの立場で発言したナウルの支持を得て、損失と被害は基本的な要素であると強調した。米国は、日本の支持を得て、損失と被害への言及排除を求め、これは決定書1/CP.17に記載される側面ではないと述べた。LMDCsは、決定書1/CP.17のパラグラフ5に記載する全ての要素を「バランスの取れた形で、全面的な法的等価を持って(in a balanced manner, with full legal parity)」扱うことへの言及追加を求めた。

ADPにおいて2015年合意文書を作成し、関連する決定書を推敲し、COP21による採択にかけ、その後のCOP会合では追加の決定書が必要であると明記するパラグラフに関し、EUは、共同議長の文書を歓迎した。LMDCsは、いかなるCOP決定書への言及にも反対した。南アフリカは、ADPは「可能な限り早期に(as early as possible)」そのマンデートを終了させる必要があることを強調し、COP 21での採択に向け決定書を推敲することに反対した。

パラグラフ 7-23 (INDCs及びその伝達)、決定書草案の附属書 II (締約国のINDCsに関する補足情報)に関し、米国は、締約国に対し、COP 21より相当期間前にINDCsを通知するよう求め、その意思がある締約国は2015年の第一四半期までに通知するよう求める新しいパラグラフを提案し、マーシャル諸島はこれを支持したが、LDCsは反対した。   ブラジルは南アフリカと共に、このパラグラフの追加は2015年第一四半期までに自国のINDCsを通知する用意がない締約国に対し、2015年5月31日まで、もしくはその後の可能な限り早期に通知するよう求めるパラグラフの削除により異なってくると述べた。締約国は、INDCs通知の時間枠に関し長時間の議論を行った。シンガポールは、ブラジル、中国、エジプト、その他多くのものと共に、「2015年5月31日まで(by 31 May 2015)」を削除するよう要請したが、スイス、LDCs、カナダ、米国、その他は反対した。スイスは、「COP21よりかなり前に(well before COP 21)」を希望し、トルコと共に、COP21の「前(before)」とする表現に同意した。アフリカングループは、LMDCsの立場で発言し中国、及び他のものと共に、「2015年第一四半期までに、及びその後可能な限り早期に行うよう努力する(by the first quarter of 2015 and endeavor to do so as soon as possible thereafter)」との表現を希望したが、EU及びその他の者は反対した。

INDCsの作成について途上国に提供されるべき支援、及びそのような支援を更に強化する必要性を認めたパラグラフに関し、アフリカングループは、「一部の途上国(some developing countries)」を希望したが、米国は反対した。米国は、「引き続いてのニーズ(continuing need)」を提案した。LDCsは、一部の途上国は未だに支援を受けていないと指摘し、「一層、強化されるべき(to be further enhanced)」の削除を要請した。

LMDCsは、先進国、資金メカニズムの運用組織、その他支援する立場にある全ての組織が強化された支援を提供する必要性について強調することを提案した。

INDCsの緩和部分の通知に関するパラグラフにおいて、ノルウェーは次を提案した:全ての者の無条件の努力への言及を追加し、支援の供与により可能になる途上国の努力の強化に関する言及は保持する;LDCs及びSIDSの特殊事情を認識する、この後者の提案についてはLDCsが一部改定の上、支持した。サウジアラビアは、「定量化可能な緩和部分(a quantifiable mitigation component)」を括弧書きにすることを提案し、トルコと共に「進化する(evolving)」国情への言及に反対した。ロシアは、「行動(actions)」及び「約束(commitments)」の意味を明確にするよう要請した。EUは、「約束(commitments)」のみにするよう主張した。

締約国は自国のINDCsにおいてユニラテラルに行うことの可能な努力について考察するとのパラグラフに関し、締約国はINDCsの条件性を議論した。ノルウェーは、このパラグラフの削除を提案し、この問題は他の箇所に記述されていると述べたが、メキシコは削除に反対した。スイスは、米国の支持を得て、「ユニラテラル(unilateral)」を、「無条件(unconditional)」に置き換えることを希望した。さらにスイスは、能力の低い締約国は支援の提供を条件として強化される努力について通知することも可能と規定するよう提案した。

EUは、日本の支持を得て、締約国が「ユニラテラルに行う(make unilaterally)」ではなく「行う(undertake)」ことができる努力への言及を希望した。ブラジルは、定量化もしくは定性化手法論を使用する可能性を指摘し、「途上国は、支援の供与により異なる強化された努力の範囲を明確にすることができる(developing countries may also clarify the extent to which enhanced efforts are dependent upon the provision of support)」を支持した。

スーダンはアフリカングループの立場で発言し、途上国の実施が支援レベルにより異なる程度について言い換えることを希望し、中国及びチリもこれを支持したが、米国は反対した。チリは、「気候変動の影響に最も脆弱な諸国(countries most vulnerable to climate change impacts)」への言及追加を提案した。米国は、締約国の緩和貢献では無条件と言う要素が必要だと強調し、 LDCsには固有の抑制要素があると認識したが、他のいかなるグループへの言及にも反対した。LDCsは、EUの支持を得て、文書草案(INDCsの緩和部分の通知)のパラグラフ11(a)への言及を提案した。

特に気候変動に最も脆弱な諸国における野心的な緩和及び適応行動を支援するためのMOIの毎年の数量化約束について先進国は、2019年に検討を開始するとのパラグラフについて、参加者は長時間、議論した。日本は、このパラグラフの削除を提案したが、アフリカングループ及びメキシコはこれに反対し、INDCsの範囲については合意ができていないと強調した。

インドはLMDCsの立場で発言し、アラブグループの立場で発言したサウジアラビアと共に、次を提案した:「2019年以後、MOIの量的な考察を検討すべき(starting in 2019, should consider quantitative considerations of MOI)」を「附属書IIの下での情報を2015年第一四半期までに提供することとする(shall provide, by the first quarter of 2015, information under annex II)」に置き換え、途上国によるINDCsのタイムリーな作成のためのMOIの提供に言及する。

 LDCsは、「支援に関するINDCを通知することとする(shall communicate their INDCs on support)」を希望した。

LMDCsは、先進国は途上国のポスト2020年の強化された行動の実施に対し、ポスト2020年の期間において公的資金源からの毎年の量的拠出に関する情報も提供することとすると規定するパラグラフの追加を提案した。

日本は、オーストラリア、ニュージーランド、カナダと共に、特定の量的な資金約束を含めることに反対し、オーストラリアは、「量的目標ではなく可能にする環境、民間部門の参画推進(enabling environments, and not quantitative targets, motivate private sector engagement)」を提案した。ブラジルは、新しい合意に民間部門の参画を含めることは気候資金の確保にはならないと指摘した。

LDCsは、ブラジル、中国、アラブグループ、アフリカングループ、LMDCsと共に、途上国によるINDCsの提出は支援次第であると強調した。

ブラジルは、AILACの立場で発言したチリの支持を得て、先進国はそのINDCsにおいて、国情に配慮した上で、資金援助目標、及び技術開発都移転のための政策措置を通知する「ものとする(shall)」ことを提案した。

さらに同代表は、途上国はそのINDCsにおいて、連帯、共通する持続可能な開発目標、及び国情に基づき、「MOIに関係する南-南協力イニシアティブ(South-South cooperation initiatives related to MOI)」を通知することが推奨されるとの文章も提案した。

EUは、気候資金を論じる「正しい場所(he right place)」はINDCsに関する決定書より、むしろ要素文書の方であると指摘した。

EU、スイス、米国は、2015年合意においては全ての締約国による多様な行動を論じる必要があると強調し、先進国のみに適用される表現に反対した。

LDCsは、カンクン合意に基づくGCFの資本化を指摘し、マレーシアと共に、2020年以後の資金貢献プロセスの必要性を強調した。

INDCsの通知に関するパラグラフについて、ボリビアは、世界の排出バジェットに合わせて、締約国の努力の公平性及び平等を定める枠組を求めた。ボリビアは、そのような改定が無い場合には、パラグラフ15-23 (INDCsの事前情報及びレビュー)を削除するよう促したが、EU及びフィリピンは反対した。EUは、INDCsは国家が決定するものであると指摘し、多国間で定められる規則ベースの手法を求めた。トルコは、緩和への焦点を指摘し、適応とMOIを含める全ての構成要素をINDCsに含めるよう求めた。

パラグラフ 24-36 (ワークストリーム2(プレ2020年野心)に関係する問題)に関し、ブラジルは、決定書1/CP.19のパラグラフ4(プレ2020年野心の強化)の概念に基づく、「自主的な排出削減活動の社会的経済的価値を認識し、これらを変換可能な資金価値のユニットと考える必要性を認識する(recognizing the social and economic value of voluntary emission reduction activities and the need to consider them as units of convertible financial value)」という新しいパラグラフを提案した。同代表は、これには次の意図があると説明した:自主的及び協調的行動に対しポジティブなインセンティブを作る;「新しい議論の基準(new standard of discussion)」を推進する;関係する資金制度を策定するために必要な政治的認識を提供する;ワークストリーム1 (2015年合意)の下での作業と関係づけない。

EU及びAILACの立場で発言したコロンビアは、この提案は有用だが、後日分析されるべきだと述べた。ニュージーランドは、この認識が意味するものは何かを質問した。LMDCsの立場で発言した中国及びEUは、このパラグラフの位置からすると、ワークストリーム2が自主的な活動のみに焦点を当てることを示唆する可能性があると指摘した。

京都議定書の全ての締約国に対し、ドーハ改定文書の批准と実施を促すパラグラフについて、ベラルーシは、改定文書を批准する「可能性(possibility)」を検討し、「その実施を阻む可能性がある全ての既存の曖昧な表現を明確にする(clarify all existing ambiguities that might hamper its implementation)」よう、締約国に「求める(calling upon)」との表現を提案した。EUは、まず最初に、議定書5条、7条、8条(議定書の下での手法論問題)を取り巻く問題が解決されるべきだと述べた。

ニュージーランド、米国、オーストラリア、EUは、「強化されたプレ2020年気候行動の実施加速化に関するフォーラム(Forum on Accelerated implementation of Enhanced pre-2020 Climate Action)」についてのパラグラフの削除を提案した。

決定書1/CP.19のパラグラフ3及び4 (BAPの実施及びプレ2020年野心の強化)の実施進展状況をレビューするフォーラムを、SB 42、SB 44、及びSB 46に合わせ、開催することに関し、南アフリカは、SB 43、SB 45、及びSB 47に合わせての開催を希望した。バングラデシュはLDCsの立場で発言し、COPに合わせての開催に反対した。LMDCsは、「2015年のADPの各会合に合わせる(in conjunction with each session of the ADP in 2015)」ことを希望した。ブラジルは、プレ2020年の野心を「増強する(increased)」に足るだけの時間がない可能性があると述べた。

LMDCsは、加速化した実施「メカニズム」の開始を提案し、これはADPを通しプレ2020年野心の更なる強化を図る方法を提案すると述べた。

プレ2020年緩和野心を加速化するため、緩和野心の実施状況の理解を強化することに関し、LMDCsは、次の項目を推進するとの文章を提案した:条約及び京都議定書の下での先進国のQELROsを2020年までに1990年比40%減まで高める;そのような目標に伴う条件性の排除。

2015-2020年の期間から詳細な技術検証プロセスを行い、緩和野心を強化することに関するADP作業計画の下で、活動を加速化するとのパラグラフについて、カナダは、2015-2017年からの技術検証を希望した。LMDCsは、「先進国がリーダーシップをとる適応作業計画(workplan on adaptation with the leadership of developed countries)」への言及を要請した。

EUは、IPCC AR5に合わせ、世界の平均気温上昇を2℃もしくは1.5℃で抑えることへの言及追加を提案した。ナウルはAOSISの立場で発言し、2°Cに反対した。

アフリカングループは、LMDCsの支持を得て、2015-2017年では、ADP共同議長の任命する附属書I及び非附属書I締約国代表が技術検証プロセスの進行役を務めることを提案した。AOSISは、ADPの2017年での打ち切りを認めるようなADP作業計画のレビューに反対した。

LMDCs及びアフリカングループは、高い緩和ポテンシャルに加え、高い適応ポテンシャルを有する行動の機会を特定するよう求めたが、AOSISは反対した、さらに先進国と途上国で緩和機会を差異化するとの文章を求めたが、オーストラリアは反対した。

ボリビアは、世界排出量バジェットに関する情報交換への言及追加を提案したが、オーストラリアは反対した。南アフリカは、条約外のイニシアティブ及び行動者のための報告ガイドライン作成を提案したが、オーストラリアは反対した。

2015-2017年に、一連の会合期間中TEMs開催を計画するよう要請するパラグラフに関し、AOSISは、多数の締約国の支持を受け、「高い緩和ポテンシャルのある分野では2015-2020年の期間中少なくとも年2回(at least twice a year during the period 2015-2020 in areas with high mitigation potential)」このプロセスを開催するよう求めた。ブラジルは、「分野(areas)」に「オプション及び制度(options and instruments)」を追加するよう提案した。

 LMDCsは、政策オプションの特定に関するパラグラフにおいて、先進国での実施と、途上国での実施に対する障壁克服支援との差異化を提案したが、EUは反対した。

専門家の参加に関し、アフリカングループは、オブザーバー組織への言及を求めた。米国は、REDD+のワルシャワ枠組への言及を除去するよう要請し、これは条約の下での組織ではないと述べ、ノルウェーとカナダはこれを支持したが、CfRNの立場で発言したパナマは反対した。

サウジアラビアは、TEMsで対応措置のマイナスの影響も特定するよう提案したが、EUは反対した。

LMDCsは、TEMsはADPの下に留めるべきと強調するよう求めた。EUは、ADPがパリ会議以降も継続するとは「想像(imagine)」していないと述べた。

AOSISは、TEMsの実施を評価し、COP 23において、その効果を高めるための提案を行うとする追加パラグラフを提案した。米国は、2016年でのTEMsのレビューを求めた。LMDCsは2015年を希望した。

事務局に対し、行動の緩和便益に関するテクニカルペーパーを更新し、協力及び行動加速化のための緩和の機会やオプションに関し題目別分野での統合文書を作成するよう要請するパラグラフについて、ブラジルは、「緩和ポテンシャル、機会、オプション及び手段(mitigation potential, opportunities, options and instruments)」への言及を提案した。コロンビアはAILACの立場で発言し、この統合文書は「サマリーにとりまとめ、毎年のハイレベルフォーラムに提出する(compiled into a summary and presented at the annual high-level forum)」ことを要請した。AOSISは、このサマリーを「政策オプションのウェブべースメニュー(web-based menu on policy options)」で普及させるよう提案した。

「共同議長が提案するCOP決定書草案(Draft COP decision proposed by the Co-chairs)」の初版の第1回読み上げは、12月10日水曜日に終了した。

「共同議長が提案するCOP決定書草案」の第2版:参加者は、「共同議長が提案するCOP決定書草案」の第2版の審議を12月12日金曜日に開始した。

一般意見表明の中で、ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、序文のパラグラフにおいて、条約の原則と条項、特にCBDRRCに明確に言及することを求め、AILACの立場で発言したグアテマラ、LDCsの立場で発言したツバル、LMDCsの立場で発言したマレーシア、及びエジプトの支持を得た。さらに同代表は、開発途上国及び先進国を附属書I締約国及び非附属書I締約国と称し、両者の差異化がされていないことへの深い懸念を表明した。同代表は、MOIの問題、特に資金に関するそれは、過度に一般的であり、画一性を暗示するとしてこれを嘆き、中国と共に、先進国から途上国への支援責任に特に言及するよう求めた。さらに同代表は、適応及び損失と被害の間の明確な差異化、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムの強化も求めた。アラブグループの立場で発言したアルジェリア、及びコンゴ民主共和国は、条約の原則及び条項への言及を求めた。

インドは、多国間の規則ベースシステムの強化及び既存の約束での努力という問題が文章に書かれていないと嘆いた。INDCsの事前情報に関し、トリニダードトバゴは、文書から「公平な(equitable)」という表現の削除を提案した。ブラジルは、特に:この文書は最大公約数のものだと称し;野心、資金、差異化、そして後退なしという明確な考えの欠如を嘆き;文書に暗示される自主決定による差異化の概念に反対した。

マレーシアはLMDCsの立場で発言し、改定後の文章での欠損を嘆き、次の文章を提案した、「先進締約国は、野心的な緩和及び適応行動のためのMOI、特に気候変動の悪影響に特別な脆弱性を有する締約国のそれに対する毎年の量的貢献を検討すべきであり、これを2019年から開始する(developed country parties, starting in 2019, should consider annual quantitative contributions on MOI to support ambitious mitigation and adaptation action, in particular for parties particularly vulnerable to the adverse effects of climate change)」。

ナウルはAOSISの立場で発言し、世界の気温目標への言及を求めた。パナマはCfRNの立場で発言し、REDD+のためのワルシャワ枠組への言及を求めた。ボリビアは、市場ベースメカニズム及びワルシャワ枠組への言及に反対した。マリはアフリカングループの立場で発言し、次の新しいパラグラフを要請した:TEMsの準備に対する締約国の所有権の放棄を議論する;先進国に対し、2020年まで、毎年1千億米ドルを動員するためのロードマップを示すよう要請する;先進国に対し、その資金INDCsの中に、ポスト2020年の資金払い込みの時間枠及び期間を含めるよう促す;透明性を確保するため、先進国の通知(communication)を公表する。バングラデシュは、交渉文書草案の要素を決定書の附属書に記載すべきと述べた。アラブ首長国連合は、意見対立のないパラグラフの議論に焦点を当てるよう求めた。

条約から指針を受け、条約の目的を想起し、全ての関連するCOP決定書を想起するとの序文パラグラフに関し、インドは、最初の文章は「締約国の信頼を閉ざす(shutters parties’ confidence)」ものだと述べた。インドは、中国、ブラジル、フィジー、LMDCs、コンゴ民主共和国、タイ、ベネズエラと共に、この作業は条約の下でのCBDR原則及び条項から「指針を受ける(guided by)」だけではなく、それらに「則った(in accordance with)」ものだと明記するよう求めた。同代表は、適正な転換を含める経済社会問題の考察に関する追加パラグラフを提案した。

トリニダードトバゴは、気温を産業革命前の水準より2℃もしくは1.5℃の上昇で抑えるという長期世界目標への言及を求めた。スーダンはアフリカングループの立場で発言し、事前情報及びポスト2020年のアレンジを条約の下のものとするよう求め、これは「譲れない一線(red line)」だと強調した。同代表は、序文パラグラフで「条約の原則と条項(principles and provisions of Convention)」を想起し、「保証を与える(to provide assurance)」ことを提案した。エクアドルは、決定書の中の長期資金の重要性を強調した。ニカラグアとベトナムは、序文において、決定書は条約の下でのものと言及するよう求めた。フィジーとタイは、条約の原則への言及を要請した。

2015年合意の範囲に関するパラグラフの運用パラグラフについて、ナウルはAOSISの立場で発言し、メキシコ、バングラデシュ、コンゴ民主共和国の支持を得て、新しい合意における独立した要素としての損失と被害を強調した。米国とカナダはこれに反対し、米国は、多数の国が保証を求めていることから、このパラグラフの残りの部分については受け入れる用意があると述べた。

オーストラリアは、ワルシャワでの「損失と被害に関する厳しい論争の妥協(hard fought compromise on loss and damages)」の結果として到達した新しい合意という状況に鑑み、議論を再開することに警告した。同代表は、損失と被害への言及を削除し、要素への言及の後に「全ての関連する制度アレンジへの言及(reference to any associated institutional arrangement)」を加えるよう提案した。ロシアとスイスも損失と被害への言及に反対した。

ニカラグア、ソロモン諸島、ガーナ、フィジーは、適応とは別な要素として損失と被害を入れるよう求めた。

フィリピンは、ナイジェリアと共に、損失と被害は極めて重要であると強調し、適応の一部として取り上げられるのではなく、文書の中で独立して扱うべきと述べた。

南アフリカは、 2°C及び1.5°C目標への言及を求めると共に、必要な適応レベルは緩和レベルに依存するとの認識に言及するよう求めた。

全ての締約国に適用される条約の下での議定書、別な法的制度もしくは法的効力を有する合意成果のため、交渉文書を2015年5月より前に利用可能にするとの観点から、附属書I記載の交渉文書草案の要素に関しADPで集中審議を行うとのパラグラフについて、ベネズエラは、ニカラグアと共に、要素文書を附属書に入れることに反対した。同代表は、アラブグループの立場で発言したアルジェリアと共に、新しい合意の法的形式の絞り込みに警告した。米国は附属書を歓迎した。マレーシアはLMDCsの立場で発言し、附属書が2015年の交渉の基礎を形成することに対し、懸念を表明した。同代表は、共同議長に対し、リマで達成された進展を保持するため、このことを会合報告書の中に記載するよう提案した。

INDCs関係決定書記載のアレンジは、INDCsの法的特性または2015年合意の内容に予断を加えるものではないと指摘するパラグラフに関し、スーダンはアフリカングループの立場で発言し、パリ合意の法的形式及び内容の両方に予断を加えるべきでないと強調した。

先進国及びそれを行える立場にある他の諸国による支援提供を記載するパラグラフについて、グアテマラはAILACの立場で発言し、ポスト2020年の実施方法が保証されていないと嘆いた。サウジアラビアとアラブ首長国連合は、信頼を構築し、2020年までの資金の規模拡大を一層明確する必要があると強調した。マーシャル諸島は、多くの途上国は先進国による資金の規模拡大がリマパッケージのカギとみていると述べた。サウジアラビアは、このパラグラフに反対し、この問題を議論するスピンオフグループを提案した。

中国、ブラジル、パキスタン、LMDCsの立場で発言したマレーシア、アフリカングループの立場で発言したスーダン、南アフリカ、ニカラグア、ベネズエラ、イラン、ナイジェリア、キューバは、「それを行う立場にある他の締約国(other parties in a position to do so)」への言及削除を求めた。ニュージーランドと日本は、このパラグラフを支持し、その改定に反対した。メキシコは、「それを行う立場(in a position to do so)」を差異化の問題とは解釈せず、貢献をする「自国のような国(countries like ours)」に対し「門戸を開放する(opening the doors)」ものだとし、締約国に対し、「門戸を開放し続ける(keep those doors open)」方法を見出すよう促した。

EUは、懸念が指摘されたことから、このパラグラフの削除を提案した。米国は、来年、この問題を議論することを提案した。コンゴ民主共和国は、これは資金に関する交渉結果に予断を加えるものだと述べた。

エジプトは、ブラジルの支持を得て、途上国における緩和、適応及びMOIに関する行動強化を可能にし、これを支援するため、途上国向けの資金の規模拡大、新規及び追加的で予測可能、適切かつアクセス改善なものに関する合意の重要性を指摘する追加パラグラフを提案した。

INDCsの範囲など、INDCsの通知に関する3つの代案を示したパラグラフについて、アルジェリアはアラブグループの立場で発言し、その削除を提案した。インド、ボリビア、ニカラグア、ベラルーシ、キューバ、ベトナム、イラン、ロシアは、「COPは、締約国に対し、条約の目的達成のため自国のINDCsを事務局に通知することを招請すると繰り返すという最初の代案を希望した。

オーストラリア、カナダ、スイスは、COPは次のようにするとの第2の代案を支持した:条約の目的達成に向け自国のINDCsを事務局に通知するようにとの各締約国に対する招請を繰り返し、各締約国のINDCsは当該締約国が現在行っているものから進んだものを示すことで合意する。サウジアラビアは、緩和と適応が同じ法的「水準(level)」とされるのでれば、支持すると指摘した。ニュージーランドは、第2の代案は出発点として支持できると述べ、適応への言及追加の提案も検討できるとし、そのような言及は「貢献(contributions)」を定義づけるものでもなければ、強制的なものでもないと指摘した。日本は、適応を議論することにはオープンだが、MOIについてはそうではないと述べた。

中国は、第1の代案と第2の代案の両方を支持すると述べた。コンゴ民主共和国は、第1の代案を希望したが、適応と資金への貢献に言及するなら、第2の代案についても議論する用意があると述べた。

メキシコ、フィリピン、アフリカングループの立場で発言したスーダン、ナイジェリア、南アフリカ、マラウィ、ソロモン諸島、バングラデシュ、ドミニカ共和国、韓国、フィジーは、締約国のINDCsには緩和貢献を含めるが、適応及びMOIの貢献も含めることができるとし、各締約国のINDCsは当該締約国が現在行っているものを超える進化を表すとする、第3の代案を支持した。

ナイジェリアは、次の文章の追加を提案した:「附属書Iが提出したINDCsは、IPCC AR5に則り、世界の排出量における当該締約国の合計割合に等しいGHG排出削減をもたらすだけの野心を持つものであるべき、それがパリで採択される合意の発効の条件となる(INDCs submitted by Annex I should be ambitious enough in accordance with IPCC AR5 to result in emission reductions of GHGs equivalent to their total share of global emissions and be made a condition for entry into force of the agreement to be adapted in Paris)。ブラジルは、アフリカングループの提案を希望した。

米国は、第3の代案を希望したが、第2の代案も検討する意思があるとし、締約国のINDCsは現在行われていることを超える進化を示すとの文案を強く支持した。

パナマはCfRNの立場で発言し、LMDCsと共に、第2または第3の代案を希望したが、CBDRが認識されることを条件とした。EUは、自主ベースでINDCsに適応を含める可能性など、一定のトレードオフをする用意があると表明した。スイスは、量的な緩和情報及び計算に関する情報を伴う無条件のINDCsなど、他の重要な要素が取り込まれるなら、INDCsにおける適応を考慮できると述べた。

INDCsにおいて提供されるべき情報に関する3つの代案を示したパラグラフについて、ツバルはLDCsの立場で発言し、支援に関する文章の部分を引用する(referencing)よう求めた。同代表は、インド及びボリビアと共に、MOI支援は先進国から途上国に提供されると、附属書に明記する必要があると強調した。

インド、中国、ボリビア、ニカラグア、ベトナム、ベラルーシ、イラン、アラブグループの立場で発言したアルジェリアは、全ての締約国は自国のINDCsを事務局に通知する場合、そのINDCsの明確性、透明性、理解を推進するために必要とされる情報も提供すると、COPが決定するとした第1の代案を希望した。

中国は、締約国が通知する情報は条約12条(実施に関係する情報の通知)及び条約の下での関連する報告関連決定書に基づくべきだと付け加えることを提案した。

オーストラリアは、このパラグラフの重要性を強調し、フィリピン、韓国、スイスと共に、第2の代案を支持した、その中で、参照基準(適切な場合は基準年を含める)、実施の時間枠そして/または期間、範囲と対象範囲、予想される努力レベル、当該締約国がそのINDCsを衡平かつ公正、野心的で条約の目的と一致すると考える理由に関する情報を提供することとするとCOPは決定する。

オーストラリアは、「全ての想定条件及び手法論(any assumptions and methodologies)」への言及を含めるよう提案した。ニュージーランドは、日本の支持を得て、想定条件、手法論、土地利用の計算手法、市場メカニズムの利用への言及追加を求めた。

米国は、想定条件及び手法論の引用では「衡平(fair)」ではなく「公平な(equitable)」とし、締約国のINDCsはそれぞれの国情に照らし、最善の努力を示すとの言及を追加した第2の代案について議論する意思があると表明した。

スーダンはアフリカングループの立場で発言し、第2の代案も検討可能だが、全ての要素を対象とし、求められる緩和情報での等価を確立するため、MOIのタイプ及び量への言及を強めるよう要請した。

フィリピンは、メキシコ及びガーナの支持を得て、人権、特に先住民や女性の人権を反映させるよう求めた。

メキシコ、南アフリカ、ドミニカ共和国、フィジー、トリニダードトバゴは、第3の代案を支持した、これは全ての締約国は、参照基準(適切な場合は基準年または他の参照数値を含める)、実施の時間枠及び期間、範囲と対象範囲、予想される量的な成果、全ての想定条件、手法論、土地利用の計算方法と予想される市場メカニズムの利用、国家適応計画プロセスの遂行、さらに当てはまる場合は、途上国での野心的な緩和及び適応行動へのMOI支援の提供、この場合、気候変動の悪影響に特に脆弱な締約国に特別な配慮をする、さらに、締約国が自国のINDCsを衡平で公正、野心的で条約の目的と合致すると考える理由に関する情報を提供するものとする、とCOPは決定し、さらに締約国は、適切な場合、附属書IIに記載する情報を自国のINDCsを通知する際に提供するものとするとCOPは決定する。

ブラジルは、「手法論、土地利用の計算方法(methodologies, land-use accounting approaches)」を「人為的なGHG排出源を確立し、計算する手法論、及び適切な場合(methodological approaches for establishing and accounting for anthropogenic GHG emissions by sources, and as appropriate)」に置き換えることを提案した。

先進国、資金メカニズムの運用機関、及び行える立場にある全ての組織に対し、INDCsの作成及び通知に対する支援の提供を求めるパラグラフに関し、タンザニアは、締約国に求められるものと運用機関に求められるものとを分けるよう求めた。

ダイアログの可能性、INDCsの集約効果の評価など、INDCsの通知の後、事務局が行う行動に関係する3つの代案を示したパラグラフについて、インド、中国、ブラジル、ニカラグア、キューバ、ベラルーシ、サウジアラビア、ベトナム、ボリビアは、第1の代案を希望した、この代案は、事務局に対し、通知されたINDCsをオンラインで公表するよう求めている。LMDCsは、他の代案の表現についても議論する意思があると表明した。

ニュージーランド、日本、カナダ、アラブ首長国連合、韓国は、第2の代案を支持した、この代案では事務局に対し、特に次を要請する:通知されたINDCsの明解さ、透明性、理解を推進する目的を持って、2015年6月のADP会合とCOP21の間の期間にダイアログ開催を計画し、ダイアログに先立ち、締約国が2015年6月30日より前に通知してきたINDCsの集約効果に関するテクニカルペーパーを作成する。米国は第2の代案を議論する意思があるとし、このダイアログをADPの全会合で行うよう要請した。

EUは、LDCsの立場で発言したツバルの支持を得て、INDCsの通知のフォロープロセスが必要だと強調し、トリニダードトバゴと共に、第3の代案を希望すると指摘した、この第3の代案では事務局に対し次を要請する:通知されたとおりのINDCsをオンラインで公表する;2回の会合期間内ダイアログ開催を計画する;ダイアログに先立ち、 2015年5月31日までに締約国が通知してきたINDCsの集約効果に関するテクニカルペーパーを作成する。メキシコ、フィジー、ドミニカ共和国、スイスは、第3の代案を支持し、南アフリカは、LULUCF及びREDD+に関する既存の手法論の供与を取りまとめ、これに関するワークショップへの言及を追加するよう求めた。

京都議定書の締約国に対し、同議定書のドーハ改定文書を批准し、実施するよう推奨するとのパラグラフに関し、キューバとベトナムは、「推奨する(encouraging)」ではなく「促す(urging)」とするよう求めたが、ベラルーシとウクライナは反対した。

プレ2020年緩和野心の強化に関し、実施評価のフォーラムもしくはメカニズムの可能性を含める3つの代案を示したパラグラフについて、EUは、米国、カナダ、インド、オーストラリア、ニュージーランド、イラン、アラブグループの立場で発言したアルジェリア、ベラルーシ、日本、スイスは、第1の代案を希望した、この代案では、COPは、決定書1/CP.13 (バリ行動計画)に基づく合意成果を構成する決定書の全面的実施を加速化し、全ての締約国が条約の下で最も高い可能性を有する緩和効果を確保するため、プレ2020年の期間における野心を強化するとの決定書1/CP.19のパラグラフ3及び4に規定するCOPの決意を再度記述するとしている。

EU、カナダ、米国は、INDCsに資金を入れることについて、この問題はリマでは解決されないと指摘し、異議を唱えたが、 LDCsの立場で発言したツバルはそれに反対した。LDCsは、INDCsの作成に対する資金だけでなく、その実施に対する資金についても明示する必要があると強調し;緩和INDCsの作成ではLDCsの特別な事情に言及するよう求めた。メキシコは、資金援助及び技術支援の必要性を強調した。

インドは、交渉文書草案の要素は条約の下にあることを示すよう求めた。

メキシコ、中国、マーシャル諸島、キューバ、フィジー、ベトナム、CfRNの立場で発言したパナマ、ボリビア、サウジアラビア、ドミニカ共和国は、第3の代案を支持した、この代案では、COPは、SB 42、44、46に合わせて会合を開催し、決定書1/CP.19、パラグラフ3及び4の実施の進捗状況を評価する加速化実施メカニズムを開始するとしている。

アラブ首長国連合は、第2の代案を希望した、この中でCOPは、SB 42に合わせ、決定書1/CP.19、パラグラフ3及び4の実施の進捗状況を評価するフォーラムを開催するとしている。コンゴ民主共和国は、ハイブリッドオプションを求め、 2015年だけでなく、2016年及び2017年にもフォーラムを開催するよう希望した。ブラジルは、成果主義手法に従うことを強調した。

2015-2020年において、高い緩和ポテンシャルを有する機会に関し技術検証を続けるための事務局による行動を示したパラグラフに関し、イランは、これは緩和だけでなく、全ての要素を対象とすべきだと述べた。サウジアラビアは、TEMsは2016年までに終わらせる必要がある、それでなければ適応を含める必要があると述べた。ドミニカ共和国とボリビアは、専門家として女性や若者も含めるよう求めた。ボリビアは、TEMsにおける先住民の有意な参加を強調し、生態系の持続可能な管理に関する新しい題目分野、さらに適応で議論される追加分野を検討するよう求めた。

附属書II (INDCsの補足情報)に関し、ツバルはLDCsの立場で発言し、インド、ボリビア、中国と共に、MOI支援は先進国が途上国に提供すべきものと附属書に明記する必要があると指摘した。中国とボリビアは、附属書IIの「その他(other)」という副題の下での「衡平性と野心(fairness and ambition)」への言及に反対した、この附属書IIは衡平性や野心に関する指標、及びその適用に関する指標を論じるもの。エジプト、キューバ、フィジー、ベトナム、アフリカングループの立場で発言したスーダンは、この附属書IIに反対した。ロシアは、附属書の詳細さに警告した。ブラジルは特に:この文書は最大公約数であると評し;野心や資金、差異化に欠けると嘆き、さらにマーシャル諸島と共に、後退しないとの明確な考えが示されていないとして嘆き;暗示されている自主的な差異化に反対した。

ベネズエラは、差異化を反映させる必要があると強調した。イランは、附属書はCBDRに言及しておらず、資金の期限やMOIにも言及していないとしてこの附属書の削除を提案した。アルジェリアはアラブグループの立場で発言し、適応資金への言及の必要性を強調し、衡平性指標に対し留保することを表明した。LMDCsは、これを運用パラグラフで捕捉することを希望した。

ADP議題項目3:要素:本議題項目は、初め、12月2日火曜日に議論され、12月6日土曜日まで議論が続けられた。12月2日、ADP共同議長のRunge-Metzgerは、共同議長がADP 2-7の前に発行した「交渉文書草案の要素(Elements for a draft negotiating text)」に関するノンペーパー(ADP.2014.11.NonPaper)を提示した。

12月6日土曜日、この要素文書の全てのセクションの第1回読み上げが終了した。12月8日月曜日、ADP共同議長のArtur Runge-Metzgerは、改訂版を提出した、これには表題に対する次のとおりの脚注が含まれた:「交渉文書草案のこれらの要素は現在進行中の作業を反映する。これは提示された提案での意見の集約を意味するものでもなければ、2015年の交渉経路における新しい提案の登場を妨げるものでもない(These elements for a draft negotiating text reflect work in progress. They neither indicate convergence on the proposals presented nor do they preclude new proposals from emerging in the course of the negotiations in 2015)」。多数の途上国は、この新しい文書の法的立場について質問し、これはノンペーパーのままであるとし、この文書には自分たちの懸念が反映されていないと強調した。ADP共同議長のRunge-Metzgerは、この文書の法的立場の決定は締約国次第であると述べた。この要素文書は、ADP 2-7では更なる審議が行われなかったが、「気候行動のリマ宣言(Lima Call for Climate Action)」の附属書に含まれ、ADP 2-8での審議にかけられる。

下記にまとめる8つの要素について実質的な交渉が行われた:適応;緩和;キャパシティビルディング;技術;協力と支援;行動及び支援の透明性;約束/貢献に関係する時間枠とプロセス。

資金:ニカラグアは、多数の途上国と共に、「条約及び過去の決定書に遥かに及ばない(a far cry from the Convention and previous decisions)」としてこの文書に反対した。

差異化に関し、スーダンはアフリカングループの立場で発言し、LMDCsの立場で発言したエクアドル、G-77/中国の立場で発言したボリビアと共に、この文書は多様な行動を通して気候資金を動員するよう「全ての(all)」締約国に提案しているとして、反対した。アフリカングループは、条約の下での先進国及び途上国の差異化を想起し、さらに資金を提供する先進国の責任を想起した。

LMDCsは、「それを行う立場にある締約国(parties in a position to do so)」による資金供与への言及削除を求めたが、日本は反対した。インドと中国は、先進国及び条約の附属書IIに記載する諸国のみに言及するよう求めた。

LMDCsは、結果ベースの適応資金への言及に反対した。メキシコは、「結果ベース(results-based)」というのは資金へのアクセスの前提条件ではないと明言し、緩和と適応の両方の資金を優先すると強調した。インドネシアは、合意全体で条約の原則順守を確保する必要があると強調した。スイスは、次の項目を2015年合意に盛り込むことを提案した:気候資金動員は「全ての締約国(all parties)」ではなく「各締約国(each party)」とする;資金源の目的に関する何らかの文章;適用される原則、たとえば結果ベース、途上国の投資認識、進化する能力及び責任を反映など。

ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、条約の下での義務の実施におけるギャップに注目し、支援の強化を求めた。コロンビアは、条約の実施における先進国のリーダーシップへの言及を強調した。

中国とインドは、次を示唆する文章の削除を求めた:「締約国は、変化する現実及び将来の開発やニーズに対し、ダイナミックに適応できる形で、資金源を動員し、これを供与する(parties mobilize and provide financial resources in a manner which is capable of adapting dynamically to changing realities and future developments and needs)」。

EUは、「進化する責任と能力(evolving responsibilities and capabilities)」というのは途上国における繁栄度の高まりやGHG排出量の伸びを捉えるものだと明言し、一部の国は、現在、EUの一部の加盟国よりも富裕になっていると指摘した。

政策シグナル及び可能にする環境について、米国は、次の文章を含めるよう求めた:締約国に対し、効果のある可能にする環境作りを勧める;高炭素の投資に対する公的インセンティブを排除する;気候資金が全方向に流れることを認識する。同代表は、気候資金動員への言及は「長期の気温限度目標以下に留まる手段であるとして(as a means to stay below the long-term temperature limit)」、その削除を提案し、さらに適応に対する「適切かつ予測可能な(adequate and predictable)」資金供与への言及削除も提案したが、アフリカングループはこれに反対した。

マラウィはLDCsの立場で発言し、「政府による政策シグナルを奨励する(encouraging policy signals by governments)」との文章は気候資金の供与を示すものではないとして嘆いた。ニュージーランドは、「正しい(right)」政策及び可能にする環境は気候資金の効果のあるフローの前提条件であると説明した。

資金源に関し、ノルウェー、スイス、カナダ、米国は、多様な資金源を強調するよう提案した。韓国は、運用ガイドラインの重要性を強調し、これには次のものが含まれると述べた:適応と緩和に同等の基軸を置くバランスの取れた資金アプローチ;官民両部門からの資金を動員する実際的な手法;異なる金融機関同士のシナジー構築。

資金規模に関し、エジプトは、パラグアイと共に、適切で予測可能な資金は主に公的資金源からであるべきだと強調した。アルジェリアは、「適応のための適切で予測可能な資金(adequate and predictable funding for adaptation)」は「追加的(additional)」でもあるとするよう提案した。EUと日本は、資金を「適切で予測可能(adequate and predictable)」と特定するのは問題だと考えたが、エクアドルはこれに反対した。

エジプトは、資金規模の明確化を求め、資金の予測可能性を確保するための数量目標を支持した。ノルウェー、EU、スイス、日本は、適応及び緩和目標を反映する野心に沿い、量的支援を約束する事前プロセスに反対し、EUはこれを「超えてはならない一線(a red line)」であると示唆した。コロンビアは、新しい合意では予測可能性を確保する必要があると強調した。

日本は、資金源動員の「規則的な規模拡大(regularly scaled up)」を示唆する文章の削除を提案した。EUは、規則的な「規模拡大(upscaling)」ではなく「更新(updating)」とすることを希望した。

南アフリカは、次を特定することを提案した:既存の資金メカニズム及びMRVシステムを新しい合意の中でどのように位置づけるか;気温上昇を「我々の目標(our goal)」以下に抑制するために必要な資源規模;誰がどのように貢献するか;資金源。

中国は、南-南協力は締約国の約束ではないことを認めるよう求め、インド及びアルジェリアと共に、資金の動員及び供与は政府開発援助「と協調して(in coordination with)」ではなく「追加的(additional to)」に強化することを提案した。

12月4日木曜日、スーダンはアフリカングループの立場で発言し、G-77/中国の立場で発言したボリビア、及びサウジアラビア、モルディブ、インド、南アフリカ、エクアドル、ザンビア、パキスタン、アルゼンチン、その他の支持を得て、ADPの下での気候資金に関する要素草案を記載する会議室ペーパー(CRP)を提起し、これを共同議長のノンペーパーの代わりに議論の土台とするよう要請した。

ニュージーランドは、スイスと共に、共同議長のノンペーパーの審議を終了させるよう求め、これはCRPの大半の要素を網羅していると指摘した。米国は、共同議長のノンペーパーに関してこれまで2日間作業が行われ、既に進展も達成されたと強調した。

G-77/中国は、共同議長のノンペーパーとは異なるCRPの法的な立場を強調した。ADP共同議長のRunge-Metzgerは、今後の進め方について非公式に協議するよう締約国に求めた。この問題は会合期間中、これ以上議論されることがなかった。

適応:米国、メキシコ、韓国、ノルウェー、カナダ、スイス、EU、ザンビア、日本、その他は、特に次に関しコメントをした:適応の長期かつ世界的な側面;約束(commitments)と貢献(contributions);モニタリングと評価;情報、知識、学習事項の共有;制度アレンジ。

LMDCsの立場で発言したサウジアラビア、及びザンビア、南アフリカ、その他は、差異化を論じる必要性を強調した。スイスは適応に関する差異化は必要ないとし、約束は大きな負担なしに適応行動の準備をしやすくする意図があると指摘した。オーストラリアとニュージーランドは「二分方式(bifurcated)」のアプローチに反対した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、「貢献(contributions)」または「約束(commitments)」への言及に警告した。米国は、「行動(actions)」への言及を提案した。ブラジルは、カンクン適応枠組及びナイロビ作業計画の下で行われてきた作業を認めるべきだと述べた。LMDCsは、「約束(commitments)」及び「行動(actions)」と言う用語を希望した。インドは、貢献の決定は国家主導であるべきだと強調した。

韓国は、全てのものに適用可能なだけの一般性を持ち、実地の行動を刺激するに十分なほど特定される世界適応目標を支持した。ノルウェーは、世界適応目標なしのオプションも反映するよう要請した。日本は、適応に関する量的目標に疑念を呈した。米国、ノルウェー、カナダ、EUは、国家適応計画プロセスの範囲拡大を支持した。

ニュージーランドは、適応に関する世界目標に反対した。LDCsは長期目標を支持し、適応行動は緩和及び世界気温限度に依存すると指摘した。ガーナはアフリカングループの立場で発言し、適応目標の範囲は量的と質的の両方のものであるべきだと述べた。米国は、「全世界的な個別約束(universal individual commitments)」は各締約国において国家計画策定プロセスに含まれる強化された適応行動を実施することを意味すると明言した。

メキシコは、適応と緩和の相互リンク、集約された約束の更新と強化、各国の約束、適応資金を新しい「議定書(protocol)」に反映すべきだと述べた。同代表は、COP決定書ではモニタリングと評価を扱うべきだと述べ、ノルウェーと共に、制度アレンジも扱うべきだと述べた。適応は測定も数値化もできないと強調したカナダ、ニュージーランド、オーストラリアは、長期的な気温限度と、支援および適応の必要性とのリンク付けを支持しなかった。

オーストラリアとニュージーランドは、緩和野心、適応ニーズ、世界気温目標、資金の相互リンク付けも支持しなかった。LMDCsの立場で発言したサウジアラビア、及びアルゼンチンは、適応をMOIに結び付ける必要があると強調した。

制度アレンジに関し、米国、カナダ、日本、その他は、適応のための新しい制度アレンジは不要だと考えた。スイスは、新しい合意の中で損失と被害を独立して扱うことに反対した。

LDCsは、次の設置を提案した:能力を欠き、最善の適応技術へのアクセスがないものを支援する情報センター;国際的な適応専門家の名簿;そして東チモールと共に、地域適応センター(を提案)。

MRVに関し、ナウルはAOSISの立場で発言し、約束の通知に関する国別報告書及び隔年更新報告書への言及を支持し、既存の報告法性に則り構築する必要があると強調した。チリはAILACの立場で発言し、いずれの国にも負担をかけず、南北及び南-南の協力を推進する既存の報告手段を希望した。

LDCsは、適応のニーズに合わせ支援レベルを確保するMRVメカニズムを希望した。LMDCsと南アフリカは、途上国に追加負担をかけることに警告した。中国とイランは、適応の実施における知識のギャップを強調した。

損失と被害に関し、AOSIS、LDCs、AILAC、アフリカングループ、その他は、これを新しい合意の中の独立した要素にすべきだと強調したが、オーストラリアは反対した。ニュージーランドは、決定書2/CP.19 (損失と被害のワルシャワ国際メカニズム)のいかなる再解釈にも反対した。

LDCsは、気候変動移転調整ユニット、及び発生に時間のかかる現象(slow-onset events)に対応するメカニズム、これに補償体制を含めることを提案した。LMDCsは、執行委員会の成果がでるまでは損失と被害を議論するのは時期尚早だと述べた。

緩和:差異化に関し、ケニアはアフリカングループの立場で発言し、平等(equity)、CBDR、先進国の緩和義務、特定の国及び地域の開発優先性に対する言及が全体的に欠けていると嘆いた。インド、アルゼンチン、ベネズエラ、ヨルダン、キューバ、ボリビアは、 CBDR、条約の原則と条項、もしくは条約の第4条(約束)への言及を求めた。日本、ニュージーランド、米国、オーストラリア、スイス、カナダは、附属書に基づく、または先進国と途上国の区分に基づく、約束の二分方式に反対した。

EUは、この文書では全ての締約国が最終的にはQELROsをとると記載すべきだと述べた。米国は、この文書の中に、締約国の変化する経済動向及び排出動向を反映させるため、条約の附属書を更新するオプションを記載するよう求めた。

アラブ首長国連合は、「早期行動者(early movers)」の行動を認めるよう提案した。

サウジアラビアはLMDCsの立場で発言し、CBDRの評価、附属書の更新あるいは差異化の排除に関する他の締約国のコメントは「不法(illegal)」であるとし、将来合意をそのような基礎の上に構築することはできないと強調した。中国は、ブラジルを支持し、新しい概念の導入に反対し、条約の原則及び条項から離れることは進展を困難にすると述べた。

長期の世界的側面に関し、ナウルはAOSISの立場で発言し、このセクションの要素について科学に基づき定期的にレビューすることを提案した。サウジアラビアは、たとえばカンクン会議でのものなど合意された用語の利用を提案し、特に持続可能な開発や途上国の脆弱性への言及を含めるよう提案した。中国は、緩和、適応、MOI全体の側面同士のリンクを反映させるよう求めた。

南アフリカは、長期目標は科学が求めるものと一致させるべきだと強調し、ツバルはLDCsの立場で発言し、気温上昇を1.5℃以下で保持するという目標にすべきだと述べた。ニュージーランドは、最新の科学に合わせ「2100年までに正味ゼロのCO2排出量(net zero CO2 emissions by 2100)」を提案した。EUは、2°C目標の明示を求めた。

アルジェリアはアラブグループの立場で発言し、締約国に対し、決定書1/CP.16 (カンクン合意)は途上国におけるGHG排出量のピーク達成には長期の時間枠が必要と認めていることを想起した。

緩和の貢献又は約束に関し、サウジアラビアは、小セクションの題に「行動(actions)」を含めるべきだと述べた。中国は、先進国と途上国の強化された緩和行動を差異化するような小セクションの構成を提案した。チリはAILACなどの立場で発言し、「後退なし(no backsliding)」の原則を支持した。ノルウェーは、算定及び周期性の要素を緩和セクションの一部にすべきだと述べた。

EUは、全ての締約国は無条件の約束を提出すべきだとし、最も脆弱なものは支援を条件とする行動について提出してもよいと述べた。米国は、オーストラリアと共に、各国は自国の約束達成のために行う予定の行動のスケジュールを保持し、実施及び約束強化の改定に関し、定期的に報告すべきだと述べた。

ボリビアは、各国の歴史的責任、エコ・フットプリント、開発や能力の状況に基づき、全ての締約国間で分割する指標化世界炭素バジェットを基礎にする約束を求めたが、オーストラリアとニュージーランドは反対した。ブラジルは、炭素バジェット化を基礎とする合意は予知が難しいと述べた。

パナマはCfRNの立場で発言し、世界炭素バジェットは各国の推計値の情報を得るべきだと述べた。ウクライナは、世界炭素バジェットの審議に反対し、長期排出削減に対するボトムアップ手法を希望した。

LDCsは、二つの附属書を提案した、一つはQELROsを行う締約国のためのもの、もう一つは他の形式の約束を行う締約国のためのものである。

韓国は、市場メカニズムへの言及を支持した。メキシコは、CBDRRCに則った「約束(commitments)」を希望し、貢献を位置付けるメカニズムとしてスケジュール化を支持した。エチオピアは、途上国のMOIを強調した。

EUは、10年の約束期間サイクルを提案し、米国の支持を得て、レビュー及び改定を5年間のサイクルとするよう求めた。EUは、この点は文書の中でさらに詳細をつめるべきだと述べた。ロシアは、立法議員は自分が同意しているものが何かを明確に理解することを求めるものであり、約束期間の中間でのレビュープロセスは批准を課題の大きいものにする可能性があると警告した。

対応措置に関し、LDCs、ベネズエラ、アルゼンチン、エジプト、アラブ首長国連合は、メカニズム、制度、常設フォーラムをさまざまな形で支持したが、ニュージーランド、日本、カナダは反対した。ウクライナは、新しい合意なし、もしくはこれに代わる常設フォーラムのオプションを希望した。

サウジアラビアは、新しい合意がこの問題を適切に扱わない場合、自国はその合意を支持しないと述べた。

協力と支援:中国とサウジアラビアは、 実施のための協力及び支援の議論は決定書1/CP.17 (ADP設置)のマンデートではないと述べた。ADP共同議長のRunge-Metzgerは、この題目は締約国の便利が良いようにつけただけだと説明した。

多数の締約国は、協力と支援に関するセクションと他の要素に関するセクションとの統合を支持した。アラブグループの立場で発言したアルジェリア、及び中国は、市場アプローチと非市場アプローチ及び新しい市場ベースメカニズムに関するセクションはSBsでの議論に予断を与える可能性があると述べた。

オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、その他は、行える立場にある締約国は全て新しい合意の実施に対する支援を供与すべきだと述べた。EUとスイスは、MOIの目的の説明を支持した。日本は、支援を提供する締約国及び支援を受ける締約国は、民間資金を動員するため共に努力すべきだと述べた。

差異化に関し、シンガポールは、「進化する責任(evolving responsibilities)」及び「行える立場にある締約国(parties in a position to do so)」と言う表現に懸念を表明し、条約の書き換えに警告した。アラブグループは、「進化する(evolving)」CBDRRCへの言及に反対した。中国は、先進国のみが途上国に支援を提供する責任を有すると述べ、新しい原則の導入に警告した。

制度アレンジに関し、アラブグループは、中国と共に、国内小地域、国内、及び地域の排出量取引スキームへの言及削除を求めた。オーストラリア、EU、ニュージーランド、スイス、米国、カナダ、日本、その他は、このサブセクションに関し留保すると表明した。パナマは、協力アレンジの算定及び順守機能への言及が重要だと強調した。

行動及び支援の透明性:南アフリカは、メキシコの支持を得て、2015年に透明性規則を議論するプロセスの設置を提案し、南アフリカと共に、これをリマ会合のADP結論書に反映すべきだと述べた。

MRVの範囲に関し、アルゼンチンは、LDCsの立場で発言したツバルと共に、緩和に対する偏見に警告した。LDCsは、緩和と支援の等価を高めるよう求めた。ニュージーランドと日本は、提供され受け取った支援の透明性への言及を促した。スイスは、適応報告の必要性を強調した。

ブラジルは、透明性は算定可能性の代替とはなりえないとし、緩和だけでなく適応及びMOIともリンクしていると述べた。トルコは、貢献の範囲は締約国の裁量のままであるべきだと述べた。

MRV枠組に関し、アフリカングループは、現在の枠組からの後退に警告した。アフリカングループ、南アフリカ、AILACの立場で発言したチリ、CfRNの立場で発言したパナマ、AOSISの立場で発言したナウル、ブラジル、メキシコは、既存のMRV枠組に則り構築するよう求め、一部のものは時間と共に進化可能とすることを提案した。ナウルはAOSISの立場で発言し、この枠組は1.5℃または2℃の世界目標に向けた進展状況を測り、全ての国の参加を促進すべきだと述べた。アフリカングループは、途上国への追加負担に警告した。

アルゼンチン、LDCs、アフリカングループ、サウジアラビア、LMDCsの立場で発言した中国は、差異化を強調し、多数のものは、MRVに対する既存の「2トラック(two-track)」方式の保持を求めた。ブラジルは、差異化を反映する透明性枠組を求めた。エクアドルは、CBDRへの言及を要請した。

ノルウェーは、全世界性を強調し、スイスと共に、締約国の能力の違いに応じた柔軟性を強調した。オーストラリア、日本、米国は、全てのものに適用可能な単独の透明性システムを求めた。米国は、このシステムは努力を検証できるようにすべきだと述べ、これには締約国の状況に基づく、多重規定や脱退規定を含めることも可能だと述べた。

トルコは、反対し、全ての締約国に適用可能な共通のMRV規定を有する共通枠組とし、その共通のMRV規定を適用する水準や深さに関し、途上国に柔軟性を付すよう求めた。

規則と法性に関し、EUは、ニュージーランドと共に、新しい合意にはハイレベルなMRV及び算定原則を盛り込み、COP決定書で詳細を規定するガイドライン及び法性を付けることを提案した。

アルゼンチンは、SBSTAでのLULUCFの議論に予断を加えると警告し、市場のほか多様なアプローチにも言及するよう求めた。ヨルダンは、市場メカニズムへの言及に異論を唱えた。アフリカングループは、市場とLULUCFに関する先進国のMRV枠組とのギャップを強調した。

南アフリカは、LULUCFの算定方式の重要性を強調し、条約の下で詳細な規則を取りまとめるよう求めた。AILACは、市場、土地利用及び林業部門の規則作成では強力な表現を採用するよう求めた。CfRNは、REDD+及び沿岸の生態系への言及を求めた。

AOSIS及びAILACは、気候資金の明確な定義付けを求め、AILACは、これは二重計算の回避に役立つと強調した。

LMDCsは、特に次に関する文章を求めた:先進国による支援に対するMRVの共通手法論;MOI支援のレビュー強化;途上国におけるMRV関連能力に対するGCFの下での資金供与チャンネル。

技術:約束に関し、アフリカングループの立場で発言したスワジランド、及びアルゼンチン、中国は、先進国と途上国の差異化された義務を求めた。スワジランドはアフリカングループの立場で発言し、約束は先進国から途上国へと責任を転嫁するものであるべきではないとし、公的支援以上に民間の支援を推奨すべきでないと述べた。中国は、先進国は途上国における技術ニーズの評価実施に向け、支援を提供する必要があると強調した。

制度アレンジに関し、アフリカングループの立場で発言したスワジランド、及びサウジアラビア、南アフリカ、アルジェリア、アルゼンチンは、TEC及びCTCNに制度アレンジを置くことを希望した。中国は、技術メカニズム(TM)の強化に向けたガイダンスの追加を求め、そのようなガイダンスはTEC及びCTCNでのこのメカニズムの定着を助けると指摘した。

イラン、アルゼンチン、アルジェリアは、条約の原則と条項の下で技術移転を進めるべきだと述べた。米国は、技術開発及び技術移転を推進し強化する協力行動には、既存の技術メカニズム及び資金メカニズムを含めるべきだと述べた。ウクライナは、技術の開発及び移転に経済移行国を含めるよう要請した。

キャパシティビルディング:カナダと日本は、キャパシティビルディングは「国家主導(country-driven)」であるべきで、「需要主導(demand-driven)」であってはならないと述べた。タンザニアは、LDCsの立場で発言したツバルと共に、資金源及び技術資源を吸収する各国政府の能力強化を促し、「明確で予想可能な目標及び成果(clear and predictable targets and outcomes)」への言及に反対した。

約束(commitments)に関し、南アフリカとインドは、途上国にキャパシティビルディング支援を提供するという先進国の義務を強調した。エチオピアは、途上国におけるキャパシティビルディングのニーズにおける「目に立つ(glaring)」違いを強調し、キャパシティビルディングの約束を求めたが、米国は反対した。

アルジェリアはアラブグループの立場で発言し、キャパシティを提供できる途上国は自主的に提供できると強調した。アルゼンチンは、締約国は自国のキャパシティのギャップを明らかにすべきだと述べた。米国は、行える立場にある締約国は全て、能力の低い他国を支援するよう招請されるべきだと述べた。

制度アレンジに関し、南アフリカ、中国、インド、イラン、タンザニア、LDCsの立場で発言したツバル、その他は、国際的なキャパシティビルディングのメカニズムの設置を支持したが、カナダ、日本、EU、米国、その他は反対した。インドは、民間資本の動員は不可欠な要素の一つとはなりえないと指摘した。

アルゼンチンは、民間資金は公的資金を補うものであるべきだと述べた。中国は、キャパシティビルディングの支援における民間部門の役割可能性への言及という「根底を変える行為(board-shifting behaviors)」に警告した。キャパシティ開発は途上国だけでなく全ての締約国に適用すべきだと述べたEUは、条約及び京都議定書の下でのキャパシティビルディングを扱う既存のメカニズム及び制度の改善と強化を求めた。

約束/貢献に関係する時間枠及びプロセス:中国は、合意のタイミングの重要性を強調し、これには合意実施の開始及び終了の正確な日付、約束に関係する時間枠が含まれると述べた。

約束/貢献に関し、トルコは、「貢献(contributions)」を希望した。南アフリカは、法的特性を有する約束を希望した。チリはAILACの立場で発言し、「貢献(contributions)」は5年ごとに通知されるべきだとし、その後5年間の貢献の暗示、及びさらにそのあとの5年間についても暗示すべきだと述べた。

期間の長さの重要性を指摘したスイスは、ノルウェーと共に、全ての締約国が同時に約束を通知すべきだと強調した。トルコは、10年間と言う期間、及び中間でのレビューを希望した。

事前の検討に関し、AILACは確固としたプロセスを求めた。スイスは、集約約束の事前考察を促した。トルコは、このプロセスは規範的であってはならないと述べた。ノルウェーは、約束は一度附属書もしくはスケジュールで規定されるなら、法的拘束力のある義務となるべきだと述べた。

形式化及び最終決定に関し、AILACは、貢献は文書に明記されるべきだと述べ、後退に警告した。トルコ、及びLDCsの立場で発言したツバルは、貢献は自主的に改定できると述べた。LDCsは、次の二つの附属書を求めた:QELROs;排出制限約束及び戦略。オーストラリアは、締約国は例外的な形で約束/貢献を調整することを認められるべきだと述べた。

実施の戦略的レビューに関し、AILACは、5年サイクルを支持し、スイス、トルコ、韓国と共に、これを全ての締約国に適用可能とすべきだと述べたが、中国は反対した。ノルウェーは、レビューは実現できていない機会を利用すべきだと述べた。

閉会プレナリー:12月13日土曜日、COP 20議長のManuel Pulgar-Vidalは、パリでの成功の基礎を築くことに「我々は極めて近づいている(we are very close)」と指摘し、締約国が共に努力し前進するために必要なバランスを見出すと希望し、信頼していると述べた。

ADP共同議長のArtur Runge-Metzgerは、会合の目的はこの2週間の厳しい作業、参加、進展の「結果(results)」を反映させた決定書草案 (FCCC/ADP/2014/L.5)を採択することであったと指摘した。

シンガポールは、金曜日の閣僚協議について報告し、進展の緊急性及び次の5つの分野における信頼の必要性について感覚を共有していると強調した:

•リマの成果を条約の下のものとする必要がある

•INDCsの範囲をバランスさせる必要性、これには緩和を含めるが、それに限定されない

•先進国のこれまでの約束を後退させることなしに、資金援助を利用可能にする必要がある

•野心規模は気温上昇を2°または1.5°C以下で抑えられるものとする必要がある

•リマの成果は、パリ合意の法的形式に予断を加えてはならず、先進国と途上国の間のファイアウォールに影響するものであってもならない。

環境十全性グループの立場で発言したスイス、及びEU、ベリーズ、AILACの立場で発言したチリ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、ベラルーシ、ロシア、トルコは、共同議長文書を支持した。

マーシャル諸島は、INDCsはどれだけ長期目標に向かう道筋にあるかが表現されていないとしたが、前進する意思はあると強調し、この文書のCOP採択に向けた送致を提案した。

米国は締約国に対し、「今、前進する(make progress now)」よう促し、リマ会議の失敗はパリ会議、さらにはUNFCCCの将来をリスクにさらすと述べた。同代表は、次のような合意を待望した:これまで以上に野心的である;持続するように作られる;真に全締約国に適用される;各国の国情に照らし合わせたCBDRRCの意味で完全に差異化される;規則ベースの算定可能性に基づき構築される;資金援助に対する約束を包含する。

アフリカングループの立場で発言したスーダン、LMDCsの立場で発言したマレーシア、及びサウジアラビア、アルゼンチン、インド、ウガンダ、パラグアイ、パキスタン、その他はこの文書に反対した。

アフリカングループは、次の重要性を強調した:条約の原則;差異化の概念、暗示的もしくは明確にこれを損なうことへの警告;アフリカの優先策としての適応及びMOI;これらの要素を緩和及び透明性と共に、衡平かつバランスのとれた形で扱う。ナイジェリアは、「ギャップは少しずつ解消されている(the gap is closing little by little)」と指摘し、締約国に対し、アフリカングループが提起した問題を議論するよう求めた。

コンゴ民主共和国は、この文書は「現状では受け入れられない(unacceptable as it stands)」とし、扱われていない分野を明らかにした、この中には次のものが含まれた:要素間の等価;差異化;緩和を「超える(beyond)」INDCsの範囲;ワークストリーム2 (プレ2020年野心)。

LMDCsは、この文書の次の箇所への失望感を表明した:INDCs及び提出されるべき情報においてCBDR及び差異化を認識していない;「行える立場にある締約国(parties in a position to do so)」の導入;資金の扱いが適切でない;緩和中心である;パリ合意に予断を与えている。エジプトは、ADP文書は「家を分断した(divided the house)」と指摘し、差異化の問題などの対応でLMDCsを支持した。

エルサルバドルは、文書の中でCBDRを論じる「もう一度の最後の努力(one final effort)」を求めた。オマーンは、脆弱な国家の懸念を反映する決定書草案の改定を要請した。南アフリカは、ブラジル、南アフリカ、インド、中国(BASIC)の立場で発言し、異なる要素同士のバランス、差異化、及びINDCsの評価プロセスを論じるためさらなる時間を求めた。

ベネズエラは、この文章はリマ会議で必要とされた目的を達成していないと述べ、条約の原則の再交渉に警告した。

ツバルはLDCsの立場で発言し、この文章は損失と被害のような一部の「重要な器官(vital organs)」の移植を可能にする「手術(a surgery)」が必要だと述べた。ウガンダ、パラグアイ、ソロモン諸島は、損失と被害は決定書及び将来合意に不可欠な部分でなければならないと強調した。

クック諸島は、決定書草案への支持を表明した。フィリピンは、損失と被害及び人権に関する同代表の提案を附属書に付すよう求め、決定書草案の採択を支持した。

シンガポール、中国、キューバ、ニカラグアは、議長に対し、リマでの意見の一致点を発見するため助力することを促した。アルジェリアはアラブグループの立場で発言し、COP議長による新しい文書の提案を求めた。

バングラデシュは、共同議長に対し、文書採択の前に締約国が表明した特定の懸念事項を反映させるよう求めた。セネガルは、よりバランスの取れた文書を求めた。

ADP共同議長は、決定書草案での意見の一致が無かったと指摘し、自身の権限において、この決定書草案をCOP議長に送致した。ADP共同議長のRunge-Metzgerは、一部のものは分裂を口にしているが、共同議長の意見では、締約国は気候変動との戦いで連帯している、ただ前に進む方法の受け止め方が異なると指摘した。

ADP報告官のAnna Serzyskoは、この会合の報告書を提出し、締約国はこれを採択した。(FCCC/ADP/2014/L.4)

締約国は、ADP共同議長のRunge-MetzgerとKumarsinghの難しい作業を認め、起立して拍手喝さいを送った。

Pulgar-Vidal議長は、ADP共同議長に感謝し、可能な解決策を議論し、COP閉会プレナリーに文書を提出するため、締約国と協議すると発表した。ADP共同議長のRunge-Metzgerは、午後1時31分、ADPの第2回会合を中断した。

COP 20 / CMP 10閉会プレナリー

COP 20閉会プレナリー:12月12日金曜日、午前中、COP 20閉会プレナリーは、合意項目採択のため会合した。閉会プレナリーは午後1時18分、中断された。

12月13日土曜日、閉会プレナリーは、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズム及び資金関連問題を話し合うため、午後5時20分に再開した。この閉会プレナリーは午後5時50分に中断された。午後11時37分、閉会プレナリーは、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書草案(FCCC/CP/2014/L.14)を提起するため、短時間再開された。この会合は、締約国による文書のレビューのため、午後11時53分に中断された。

12月14日日曜日、閉会プレナリーは再開され、 午前1時23分、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム推進に関する決定書を「気候行動のリマ宣言(Lima Call for Climate Action)」と名称を変えて採択した。

締約国及び市民社会は、その後、COP/CMP合同閉会ステートメントを提出した。気候行動のリマ宣言に関し、インドは、「条約の下で(under the Convention)」及びCBDRに明確に言及したことの重要性を強調し、「違いは常に存在する(there will always be differences)」と指摘し、「意見対立のある問題を最後まで残さないよう(not leaving contentious issues to the end)」求めた。

この文書は「極めて困難な問題の微妙なバランスをとっている(manages to strike a delicate balance between very difficult issues)」と指摘した南アフリカは、BASICの立場で発言し、この成果は2015年の作業に確固とした基礎を与えると述べた。

リマ会合で達成された作業はパリでの2015年合意の採択に不可欠であると強調したボリビアは、G-77/中国の立場で発言し、この合意では緩和、適応、MOI、及び行動と支援の要素をバランスの取れる形で、さらにそれぞれに等しい重きを置く形で扱うべきだと述べた。同代表は、2015年合意の5つの重要問題を紹介した:条約の原則及び条項、特に平等とCBDRRC、及びこの合意が条約の下のものであること;先進国と途上国の差異化を含める、条約との一貫性;適応及び損失と被害;先進国によるMOIの提供;持続可能な開発及び貧困撲滅達成との一貫性。

EUは、「相当な柔軟性(considerable flexibility)」を追求したと指摘し、他の締約国による柔軟性も認め、GCFの初期資本化、及び気候行動のリマ宣言は、パリでの野心的な合意に向け、良い方向性を打ち出せたと指摘した。

リマ会議の決定書は2015年の交渉の舞台を整えたと述べたメキシコは、環境十全性グループの立場で発言し:GCF及び長気候資金に対するガイダンス決定書に焦点を当て;市場メカニズム及び京都議定書の実施では更なる作業が残されていると指摘し;多国間評価の第1回会合開催への感謝を表明し、独立した評価報告書及び国際協議分析は透明性を高め、それぞれの国内プロセスの理解を深める上で重要なプロセスであると指摘した。

オーストラリア、AOSISの立場で発言したナウル、LDCsの立場で発言したネパールなど、多数の国は、COP議長、ペルー国民及びADP共同議長に対し、会議の成功への感謝を表明した。

次のCOP 21議長であるフランスのLaurent Fabius大臣は、Pulgar-Vidal大臣に祝賀の意を表し、「大胆さや聞く耳、妥協の精神を持って偉大なCOP議長の前例を作った(setting an example of a great COP president with ambition, a listening ear and a spirit of compromise)」とし、「コペンハーゲンの亡霊を鎮めた(putting to rest the haunting ghost of Copenhagen)」と述べた。

ブラジルは、2015年に確固とした野心的な合意を行うにはINDCsの特性や範囲、これをパリ合意にどう組み込むか、そして後退の防止など、議論を続ける必要があると強調した。

「尊重される多国間外交というラテンアメリカ式(Latin American style of respectful multilateral diplomacy)」が見られたと指摘したベネズエラは、米州ボリビア同盟(ALBA)の立場で発言し、COP 20を称賛し、ホスト国としてのペルーの他、G-77/中国の議長としてのボリビア、社会的プレCOPを開催したベネズエラを指摘した。

中国は、COP 20/CMP 10議長のPulgar-Vidalの指導力に対し、感謝の意を表し、パリ会議の成功を確保するため締約国は2015年に野心や自信、柔軟性を発揮するとの確信を表明した。パナマはCfRNの立場で発言し、成果にREDD+を盛り込んだことへの感謝を表した。

米国は、COP 20/CMP 10議長のPulgar-Vidalの「指導力、献身、寛容な精神(leadership, commitment and generous spirit)」に感謝し、締約国は次を行う必要があると強調した:「パリ会議よりかなり前に(well before Paris)」、明確で透明性があり、理解可能な形で、INDCsを提示する;リマ会議の結果出てきた「審議文書(working document)」に基づき、2015年合意の要素作成で前進する。

途上国の連帯を強調したマレーシアは、LMDCsの立場で発言し、「文書で失われていたバランスを取り戻すため難しい努力をした(we worked hard to recapture a lost balance in the text)」と述べた。同代表は、透明で参加性のある多国間の交渉プロセスを「回復した(restored)」「リマの精神(the spirit of Lima)」を賞賛した。チリはAILACの立場で発言し、低炭素な成長に向けた集約約束を求めた。

この成果は人々や惑星を失望させる一連の決定の一つに過ぎないと嘆いたClimate Justice Now!は、ENGOsの立場で発言し、世界炭素バジェットに収まる、そしてCBDRに基づく、気候目標を求めた。同代表は次のように宣言した:「我々は種であり、抵抗の森林に育っていく(we are seeds and we are growing into a forest of resistance)」。

先住民グループは、パリの2015年合意には、全ての気候変動関連の決定書において、先住民の権利を含む人権を全面的に尊重するというカンクン会議のマンデートを満たせる、運用可能な表現を含めるべきだと述べ、GCFなど専用の基金の資金に対する先住民の直接アクセスを求め、GCFでの有効オブザーバーの立場を求めた。

「パリの扉は今、開かれた(the door to Paris is now open)」と指摘した地方政府及び地方当局グループは、INDCsの作成に地方政府が参画する必要があると述べた。

女性及び性別問題グループは、人権や性の平等、将来世代の権利を守る、法的拘束力のある、野心的で変化可能な2015年合意を求めた。

若者グループは、太平洋若者グループに代わり発言し、太平洋諸島の存続を助けるよう締約国に嘆願し、強力かつ効果的な損失と被害の措置は「交渉されるものではない(non-negotiable)」と強調した。

事務局は、COP 20での決議が予算に与える影響について報告した。COPは、会合報告書 (FCCC/CP/2014/L.3)及びペルーとリマの市民に対し会議を主催したことへの感謝の意を表す決定書(FCCC/CP/2014/L.6-FCCC/KP/CMP/2014/L.4)を採択した。COP 20副議長のVoto-Bernalesは、2014年12月14日日曜日の午前3時4分、会議閉会の槌を打った。

CMP 10閉会プレナリー:12月12日金曜日、リマ気候変動会議の閉会日の午前中、COP 20の閉会プレナリー第1部に続いて、合意成果の採択を目的とするCMP 10の閉会プレナリーが開催された。この閉会プレナリーは、その後、午後1時18分に中断された。

12月13日土曜日、午後5時50分、この閉会プレナリーは再開され、役員の選出について審議し、午後5時53分に中断された。12月14日日曜日、午前3時4分、会合閉会のための閉会プレナリーが再開された。事務局は、CMP 10における決議が予算に与える影響について報告した。CMPは、会合報告書(FCCC/KP/CMP/2014/L.1)を採択し、ペルー及びリマの市民に対し会議主催への感謝の意を表する決議(FCCC/CP/2014/L.6-FCCC/KP/CMP/2014/L.4)に留意した。CMP 10副議長のVoto-Bernalesは、2014年12月14日日曜日、午前3時7分、会合閉会の槌を打った。

気候行動のリマ宣言

決定書である気候行動のリマ宣言(FCCC/CP/2014/L.14)において、COPは:

•ADPの作業は条約の下であり、その原則を指針とすると改めて記述し;

•条約の目的を想起し;

•COPの関連する決定書、特に決定書1/CP.17、2/CP.18、及び1/CP.19を想起し;

•COP 21において採択されるべき、条約の下での議定書、別な法的制度、または法的効力を有する合意成果により適応行動を強化するとの決意を再確認し;

•決定書2/CP.19及びX/CP.20を想起し、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムの実施に向け、ペルーのリマ会議で得られた進展を歓迎し;

•2020年までの世界の年間GHGs排出量における各締約国の緩和プレッジを集約した効果と、世界の平均気温を産業革命前の水準より2℃または1.5℃以下で保持する可能性が高い機会と合致する集約排出経路との間には、極めて大きなギャップがあることに対し、深刻な懸念とともに留意する。

ADPの作業の進展及び2015年合意の交渉文書推敲に関するパラグラフにおいて、COPは:

•決定書1/CP.17、パラグラフ2に記述する作業を可能な限り早期に終了させ、COP 21において全ての締約国に適用可能な条約の下での議定書、別な法的制度、もしくは法的効力を有する合意成果の採択を図ることを確認し;

•全ての締約国に適用可能な条約の下での議定書、別な法的制度、もしくは法的効力を有する合意成果は、特に緩和、適応、MOI、及び行動と支援の透明性をバランスのとれた形で論じると決定し;

•2015年において、各国の異なる国情に照らし合わせ、CBDRRCの原則を反映する野心的な合意に達するとの約束を強調し;

•先進締約国に対し、開発途上締約国における野心的な緩和及び適応の行動、特に気候変動の悪影響に特別な脆弱性を有する締約国におけるこれらの行動のため、強化された資金援助を供与し、動員するよう促し、他の締約国による補足的な支援を認める;

•リマ会議においては、本決定書の附属書に記載する交渉文書草案について、次のように記載する脚注を含め、その要素の推敲で行われた進展を認識する:「この交渉文書草案のための要素は進行中の作業を反映する。これらは提示された提案における意見の集約を示すものではなく、2015年の交渉過程において新しい提案が登場するのを阻むものでもない(These elements for a draft negotiating text reflect work in progress. They neither indicate convergence on the proposals presented nor do they preclude new proposals from emerging in the course of the negotiations in 2015)」;

•2015年5月以前に、全ての締約国に適用される条約の下での議定書、他の法的制度、もしくは法的効力を有する合意成果のための交渉文書が利用できるようにするとの観点において、ADPはその作業を強化すると決定し;

•事務局に対し、条約の条項及び適用される手順規則に則り、上述の交渉文書を締約国に通知すると同時に、これらの通知では、その成果が全ての締約国に適用される条約の下での議定書、別な法的制度、もしくは法的効力を有する合意成果に予断を与えないと指摘することを要請する。

INDCs及びその通知に関するパラグラフにおいて、COPは:

•本決定書においてINDCsに関係し規定されたアレンジは、締約国のINDCsの法的特性及び内容、または全ての締約国に適用される条約の下での議定書、別な法的制度、もしくは法的効力を有する合意成果の内容に、予断を与えないと指摘し;

•各締約国に対し、条約の目的達成に向け自国のINDCを事務局に通知するようにとの招請を再度述べ;

•条約の目的達成に向けた各締約国のINDCは、現在、当該締約国が行っているものを超える前進を示すことで合意し;

•さらに、LDCs及びSIDSは、そのINDCsの内容において、特殊事情を反映し、低GHG排出開発に向けた戦略、計画、行動に関する情報の通知をしてもよいとすることで合意し;

•全ての締約国に対し、適応計画の遂行に関する通知を検討する、またはそのINDCsに適応要素を含めることを検討するよう求め;

•全ての締約国に対し、COP 21の相当程度前に(行う用意がある締約国は2015年の第一四半期までに)、自国のINDCsを、その明確さ、透明性、理解を推進する形で、通知するようにとの招請を再度述べ;

•締約国が自国のINDCsを通知する際に提供すべき情報には、適切な場合は、特に、次の項目を含めることで合意し:比較基準点(適切な場合は基準年を含める)に関する量的な情報、実施のための時間枠そして/または期間、範囲及び対象範囲、計画策定プロセス、想定条件及び手法論、これには人為的GHG排出量、及び適切な場合は除去量を推計し算定するためのものも含める、さらに、当該締約国がその国情に照らし当該INDCsを衡平かつ野心的と考える理由、及びそれが条約の目的達成にどのように貢献するか;

•先進締約国、資金メカニズムの運用機関、及び行える立場にある他の全ての組織に対し、INDCsの作成及び通知に対する支援が必要な可能性がある締約国に対し、そのような支援提供の提案を再度述べ;

•事務局に対し、通知されたとおりのINDCsをUNFCCCウェブサイトに掲載し、2015年10月1日までに締約国が通知したINDCsの集約効果に関し、2015年11月1日までに統合報告書を作成するよう要請する。

ワークストリーム2(プレ2020年野心)に関する強化された行動及び将来の作業に対する指針、及びダイナミックでハイレベルな参画の基礎に対する指針のパラグラフの中で、COPは、全ての京都議定書締約国に対し、京都議定書のドーハ改定文書を批准し、実施することを推奨し、決定書1/CP.13に則った合意成果を構成する決定書の全面的な実施を加速化し、全ての締約国において条約の下で最も可能性が高い緩和努力を確保するため、プレ2020年の野心を強化するという決定書1/CP.19 (BAP)のパラグラフ3及び4規定の決意を改めて述べる。

さらにCOPは、事務局に対し一連の会合期間中TEMs開催を要請し、2015-2020年の期間における、高い緩和ポテンシャルの機会に関する技術検証を継続すると決定する、これには適応、健康、持続可能な開発の共同便益を有するものも含める、このTEMsは:

•締約国による政策オプション、実施方法、技術の特定を推進し、国家が決定する開発優先策に則りこれらの実施計画策定を推進する;

•TEC、CTCN、キャパシティビルディングに関するダーバン・フォーラム、CDM EB、及び資金メカニズムの関連活動に基づき構築し、これを活用し、これらの間の協調及びシナジーの一層の強化を図る;

•行動可能な政策オプションに注目し、焦点を当てるため、過去のTEMsに基づき構築する;

•当該国が指名する、締約国、関連の国際機関、市民社会、先住民、女性、若者、学術研究所、民間部門、国内小地域の当局の専門家が有効な形で参加するための有意かつ定常的な機会を提供する;

•政策オプション及び強化された緩和行動の実施加速化を支援する、これには国際協力によるものも含める;

•TEMs開催に先立つ少なくとも2カ月前に、議論される題目、議題、関連資料を発表し、全ての締約国の参画強化を推進する。

さらにCOPは、事務局に対し、TEMsの後、行動の緩和便益、及び緩和野心強化のイニシアティブ及びオプションに関するテクニカルペーパーを更新するよう要請する、この場合、締約国及びオブザーバー組織が提出した文書、及びTEMsにおける議論で得られた情報をとりまとめ、多国間の協力によるものも含めた全レベルでの政策オプションの実施に関する他の関連情報を引用するとともに、政策立案者向けサマリーを公表することも含めこれらの情報の普及を図るよう要請する。

COPは追加的に:

•ADPに対し、TEMsの定期的な評価を含め、技術検証プロセスの一層の推進に関し、COP 21に提案するよう要請する;

•COP議長が2014年12月11日に開催したリマ気候行動ハイレベル会議を歓迎し、事務局長及びCOP議長に対し、気候行動の実施強化に関するハイレベルイベントを毎年開催するよう奨励し;

•事務局が遂行する活動が予算に与える影響の推計に留意する。

リマ気候変動会議の簡易分析

「レンガ一つずつ、私の市民たちよ、レンガ一つずつだ」

– ローマ皇帝ハドリアンが言ったとされる言葉

ペルーに到着した参加者は、明白な楽観的精神で迎えられた。COP20/CMP10議長のManuel Pulgar-Vidalは、リマ気候変動会議に先立つ開会スピーチの中で、世界は多数の「良いサイン(good signal)」を受けていると指摘し、国連事務総長の気候サミット、緑の気候基金(GCF)の初期資金募集結果、EUや米国そして中国など主要な温室効果ガス排出国数カ国による「歴史的な」発表、さらにはIPCC第5次評価報告書で得られたモーメンタムを挙げた。

UNFCCC事務局長Christiana Figueresの言う「前例のない楽観主義と達成感」の精神は、ADP共同議長のKishan Kumarsinghの言うパリで採択される新しい合意構築に向け「確固とした土台(solid foundation)」を提供することを目指し、数件の重要かつ実現可能な課題で作業を前進させることが期待された。

10月のADP会議でのスピーチで、Pulgar-Vidal議長は、リマ会議において自身が希望する成果を指摘し、これには次のものが含まれると述べた:新しい合意の要素に関する明確かつ組織化された実現可能な文書;締約国が自主決定する約束草案(INDCs)の一部として2015年に提出すべき情報の定義付け;プレ2020年の期間に関する具体的な計画、これには既存の義務の遵守を確保する行動、最大の緩和ポテンシャルを持つ政策オプションの実施を含める。         さらに同議長は、プロセスにとっても、締約国同士の間でも、確信と信頼が重要であると強調した。多くのものがこれまでの気候変動会議で学んだとおり、確信と信頼なしに将来のための土台を構築することはできない。

この簡易分析は、リマで実現が期待されていた成果のうち、どれだけのものが実現したかを評価し、新しい気候合意に向けた「リマ気候行動提案書(Lima Call for Climate Action)」の意味合い、リマ会議はパリ会議における野心的かつ世界的な気候合意作成に向け確固とした土台を敷くことに成功したかどうか、その土台に各国は「余裕(room)」を見いだせるかどうかを評価する。

レンガを敷く

熱心な進行役そして目立たない推進役、ペルーの議長職は、リマ会議の時間の効果的な管理を確保するため、努力を惜しまなかった。公式交渉会議の大半は、午後6時という期限を超えることは稀であり、補助機関は前例にないほど早く作業を終え、参加者は、袖をまくりあげて新しい合意のビルディングブロックやINDCsの決定書草案、プレ2020年気候行動の強化に関する議論に就くことができた。

締約国は、交渉文書草案の要素を記載する共同議長のノンペーパーに関し6日間以上の時間をかけて意見交換をし、多様な提案を行った、これらの提案は全て、12月8日月曜日の朝早くにUNFCCCのウェブサイトに掲載された文書改定案に反映されたが、それまでの間にこの文書は23頁から33頁に膨れ上がった。一部のものは、オプションの数の増大を懸念する一方、交渉プロセスは明らかに締約国主導であると指摘、交渉文書草案に明解さや組織だてが加わっておらず、今後の作業を複雑にさせる可能性があると指摘した。

結局、参加者は、この文書をダーバン・プラットフォームの更なる推進に関するCOP決定書の附属書とすることで合意し、交渉文書草案の要素は「進行中の作業(work in progress)」を反映するものであり、「提示された提案での意見の集約を示すものではなく、2015年の交渉経路において登場する新たな提案を排除するものでもない(neither indicate convergence on the proposals presented, nor do they preclude new proposals from emerging in the course of negotiations in 2015)」との断り書きを脚注に入れることとした。この断り書きは、要素文書をCOP決定書の附属書とすることはパリ合意の法的形式や構造あるいは内容を先取りする可能性があり、このため2015年の議論で一部のオプションが排除される一方で、他のオプションに固定する可能性を示すような、いかなる表現の「形式化(formalizing)」にも反対するという多数の途上国の提起した懸念に対応した断り書きである。要素に関する実質的進展が限定的であったため、2015年2月のジュネーブでのADP交渉会議に圧力がかかるのは間違いない、この会議では交渉文書草案を作成し、それをこの年の後半での締約国による検討に付すことが期待されている。

「分断された」家屋の壁を動かす

交渉文書草案の要素に関する議論、さらにはダーバン・プラットフォームの推進に関する決定書草案の議論は、両方とも、その底辺に数件の広範な政治問題を抱えていた。これらの政治問題には、差異化の問題、将来合意における条約とその原則及び条項の役割の問題を含み、一方には緩和と適応の法的等価、他方には緩和と資金その他の支援手段の問題を抱えていた。多数の参加者は、これらの問題に関しADPは明らかに「分断された家屋(divided house)」であったと指摘し、一部のものは締約国間の信頼が散逸したとさえ感じた。

パリ合意に差異化をどのように反映させるかという問題は、ADPの交渉に沁みわたっていった。例えば、大半の途上国、特にLMDCsは、条約の下での締約国の義務に則り、差異化を2015年合意とINDCsの両方に入れるべきとし、CBDRと平等の原則を反映すべきと主張した。他方、米国は、CBDR及びそれぞれの国情に沿った各国の能力に則った差異化を主唱した。さらにLMDCsは、自国のINDCsの作成や実施に向けた途上国支援の提供、及びGCF、GEF、技術メカニズム及び適応基金に対する追加の資金供与について、「可能な立場にある締約国(Parties in a position to do so)」とする表現の採用に強く反対し、このような表現は条約に基づく二分方式を乱すものであり、附属書I締約国と非附属書I締約国の間の壁を崩壊させる効果を持つと論じた。

関連問題、具体的には2015年合意の異なる構成要素間の法的等価の問題でも、熱の入った議論の的となった。途上国は、INDCsに対する「緩和中心(mitigation-centric)」方式に繰り返し警告し、適応及び実施手段をバランスの取れる形で反映させ、資金供与を中心に据えるよう求めた。AOSIS及びLDCsにとり特に重要であったことは、損失と被害を要素文書だけでなくADPの決定書でも将来合意のもう一つの要素として記載することであった。

締約国が意見の一致を達成できなかったことから、ADPの下での交渉継続、閣僚協議、COP議長による協議という3分式手法が採択されるに至った。会議が終了するはずであった金曜日午後6時を何十時間も過ぎた土曜日の夜遅くまで、COP議長による交渉グループとの協議が続けられ、その後「リマ気候行動提案書(Lima Call for Climate Action)」がまとめられた。この成果文書は、おそらくは差異化の壁を変えるものである。ADPの作業は「条約の下で、その原則を指針とすべき(shall be under the Convention and guided by its principles)」であり、新しい合意は緩和だけでなく、適応、資金、技術開発と移転、キャパシティビルディング、行動と支援の透明性を「バランスのとれた形で対応すべき(shall address in a balanced manner)」とはいえ、2015年に野心的合意に達するとのADPの約束は、「異なる国情に照らし合わせ(in light of different national circumstances)」各国の能力やCBDRを反映するとされる。このような表現は、差異化の主観的解釈に扉を開けるようである。さらに一部のものは、「ダイナミック(dynamic)」とか「進化する(evolving)」といった異論の多い用語が用いられないまでも、歴史的責任を反映するというCBDRの解釈を軌道修正するのではと疑った。しかし等価の問題については、最終文書で、将来合意及び締約国のINDCsにおいても、支援供与においても、またこの支援供与との関係においても、適応に重要な役割を持たせ、途上国に一定の保証を与えている。

リマ気候行動提案書は、その序文の中で損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムについて言及する。COPによる決定書採択の後、ツバルはLDCsの立場で発言してステートメントを発表、これを会議報告書に記録するよう要請した。同代表は、ワルシャワ国際メカニズムに関する序文の文章は「特に」INDCsの構成要素を記載する有効パラグラフとの関連において、新しい合意は「適正に、効果的に、進化する形で(properly, effectively and progressively)」損失と被害に対処するとの「明確な意図(clear intention)」を示すとLDCsは理解していることを強調した。法的には十分とはいえ、このような宣言は、各締約国の立場や合意文書の解釈を改めて記述し、それぞれの関連性や注目度を保持する。

交渉で、途上国は、要素文書に関する懸念と同様、ダーバン・プラットフォーム推進に関するCOP20決定書に関しても、これがパリ会議の成果に予断を加える可能性について新たな懸念を表明した。この点、リマ気候行動提案書は、この決定書に規定するINDCs関連のアレンジは締約国のINDCsの「法的性質や内容に予断を加えることがなく(are without prejudice to the legal nature and content)」、また将来合意の内容についても予断を加えないと明確に記述する。

壁を崩す?

COP20に対する一般の期待感は、INDCsの範囲を明確にし、その明確さや透明性、理解を進める上で必要とされる情報を規定し、これにより新たな合意の基幹要素としてのINDCsを強化することであった。しかし、締約国は、情報関連の要求事項や範囲、伝達に関するINDCs関連の文章に対する期待感で意見が分かれた。リマ会議は、このような期待感をある程度満たしたとはいえ、多くの締約国やオブザーバーは、この決定書には重大な欠陥があると感じている。

リマ気候行動提案書は、量的な情報、時間枠、対象範囲、手法上の想定条件、衡平性や野心の主観的評価を記述しており、「締約国が約束を取りまとめる際に提供する情報(information that Parties will provide when putting forward their contributions)」を特定するという、ワルシャワ会議からのマンデートの実現に成功した。しかしこの文書に、INDCsにはこれらの多様な側面を「適当な場合は特に含める可能性がある(may include, as appropriate, inter alia)」と記述したことから、全締約国から伝達されるべき情報の共通のタイプに関する最低限の水準を設定できておらず、このため、約束を横断する比較可能性や、約束の意味のある集約の展望を大きく弱体化せしめた。

意見が対立した主要分野は、INDCsの範囲に関係する問題であった。この議論の中心は、INDCsは「条約2条に規定する条約の目的達成(at achieving the objective of the Convention as set out in its Article 2)」を目指すべきと規定したワルシャワ会議の決定をどう解釈するかであった。先進国は、これは緩和をINDCsの唯一の構成要素にするものだと解釈したが、途上国は、適応及び実施手段を含める必要があると主張し、途上国が実施手段のニーズに関する情報を提供する一方で、先進国は途上国による強化された行動の前提条件であるの資金供与について、情報を提供することを主張した。これら二つの見解の妥協点としてリマ気候行動提案書では、締約国に対し、自国のINDCsに適応要素を「含めることを検討する(consider including)」よう求めており、これは緩和と合わせ適応行動を強化する必要があるとの広範な合意を反映したものである。さらに締約国は、LDCs及びSIDSに対し、低排出開発経路に向けた「戦略、計画、行動(strategies, plans and actions)」の提示を認め、これら諸国の特別な事情を認識することで合意した。その一方、他の全ての国に対しては、それ以上のことを行うことが暗黙のうちに期待されている。この後者の問題は、この文書に組み込まれた柔軟性の別な一例であり、締約国に対し、自国のINDCsに強力かつ量的な緩和構成要素を入れるよう明確に要求するものではないと解釈される。さらにINDCsの範囲に関し、締約国は、資金や他の実施手段に関するいかなる表現でも合意できず、途上国を失望させた。このため2015年に更なる信頼を築くための基本分野として資金関連問題が残される形となった。

締約国の意見が対立した別な問題は、INDCsの伝達方法であり、可能な事前審議やレビューがどのようなものになるかであった。多くの途上国は、リマ会議では伝達プロセスにのみ焦点を当てるべきと主張した。米国を含む一部の参加者は、「協議(consultative)」プロセスまたは期間を希望した。EUやAOSISなどの他の参加者は、最新の気候科学そして危険な気候変動の回避に必要とみなされるものと照らし合わせてINDCsの集約的効果を評価する、強力なレビューを要求した。リマ会議の成果の中で最も弱い環であると、一部のものが評した決定書文書は、事務局に対し、伝達されたINDCsをUNFCCCのウェブサイトに掲載し、2015年11月1日までにその集約効果に関する統合報告書を作成するよう要請するだけにとどまった。このことは、2015年の各国の約束については、いかなる種類の事前レビューも行われないことを意味する。さらに、2015年12月のパリでのCOP21までに、INDCsの可能な引き上げ調整を行うため、締約国に残された時間が1か月を切ることになる。LMDCsなど一部のものは、自国のINDCsのレビューに強く反対し、その結果、この成果文書は多くのものを失望させるものとなった。しかし、一部の幻滅感を抱いたオブザーバーは、内容はともかく、この決定書は世界的な気候行動に強力な影響を与えるものではないと感じており、どちらにしても各国の約束の野心度を決める主要要素はUNFCCCのプロセスの枠外であると指摘する。

天井を高くする

プレ2020年の野心(ADPのワークストリーム2)強化に関し各国共通の目的を見出す場として技術専門家会議(TEMs)が登場した。パリ会議以後、ワークストリーム2の下での作業をどう進めるかという重要な疑問点に関し、実施の規模拡大に関わる技術的であまり政治的でない議論の場を構築してきたTEMsは、非国家の行動者の参加も可能であり、「UNFCCCの煉瓦の壁を崩す(bringing down the brick wall of the UNFCCC)」ことを可能し、適正な媒体になるとして、広範な意見が一致した。リマの成果は、TEMsの目的、組織、フォローアップに関するガイダンスを提供し、TEMsでの経験を踏まえてこれを発展させ、条約の下での主要な制度やメカニズムの更なる参画を求める明確なプロセスを規定する。しかし、特に途上国への実施手段提供に関するバリ行動計画の実施どう確保するか、条約の下での全ての締約国による緩和努力強化をどう確保するについては、依然、意見が分かれている。この結果、最終文書には、これらの分野での進捗状況を評価する「実施加速化メカニズム(Accelerated Implementation Mechanism)」の提案は記載されなかった、このメカニズムは、現在のところ十分に発揮されていない先進国のプレ2020年の指導力は気候変動への対応及び2015年合意の成立確保の両面において、不可欠であるとする途上国の確信から出てきたアイデアである。

長期資金に関するCOPの議論について、途上国側は、2020年まで及びそれ以降の期間においても年間1千億米ドルという先進国の気候資金の規模拡大に関する量的な里程標など、更なる保証を得たいとしていたが、失望させられる結果となった。しかし、GCFの初期資本動員が目標の100億米ドルに達し、リマ会議の終了時には附属書I と非附属書Iの両方の約束で合計102億米ドルを集めたことは、否定しようのない成功であった。先進国は、この事実は約束の証明であり、それなりに認められるべきと評したが、途上国は、GCFの資本化は会議第2週に計画された気候資金に関する第1回隔年閣僚協議や気候資金の規模拡大に関する先進国の隔年の文書提出と共に、いずれも不十分であると感じた。一部のものは、GCFのプレッジを祝う前に、これがこの基金の資源に変換されるかどうか、どのように変換されるかをまず見極める必要があると指摘した。

SBI 41の一環として計画された先進国の緩和目標の多国間評価第1回会議でも、同じような見解の相違がみられた。附属書I諸国は、このイベントは「単なる報告を超える(going beyond simple reporting)」イベントであり、透明性を高め、信頼を構築するものとして祝したが、一部の途上国は、このプロセスではSBIで審議される実質的結論書など、明確な「フォローアップ(follow-up)」の形のさらなる強化が必要であるとの感を持った。このような意見の違いにも拘わらず、オープンな意見交換、透明性のある意見交換で特徴づけられる前向きな「リマの精神(Lima Spirit)」が会議期間を通して持続したこともあり、これらの発展は、プレ2020年野心の「天井を高く(raising the ceiling)」し、困難な一年を控え、確信や信頼感の一部の再構築に成功した可能性がある。

建設可能

多くのものは、会議前の数か月間の政治イベントで生じたモーメンタムがリマ会議での信頼の雰囲気つくりに貢献することを期待した。そのようなイベントには、GCFの初期資本化、EUの2030年緩和目標の発表、そして特に、米国と中国二国間のそれぞれの2025年及び2030年の緩和目標発表、さらには米国とインドによるHFCsの段階廃止を含めた気候変動の協力拡大が含まれた。しかし、このような外部の政治行事からの時間が短すぎ、これを各国の交渉面の立場における重要な転換に至らすだけのハイレベルなシグナルに変えるだけの時間がなかったことが、早々に明らかになった。とはいえ、一部のものは、より喫緊の影響の兆候を見極められたと考えている。例えば、リマ気候行動提案書の決定書において、「異なる国情に鑑み(in light of different national circumstances)」、各国の能力及びCBDRを規定するとしたことは、米国と中国の11月の共同声明をほぼ言葉通りに引用したものである。各締約国がこれらの政治的行事について考察するだけの時間を経た2月に開催されるADP会合で、各国が交渉上の立場の更なる転換をしてくるかどうかは、そのときにならないとわからない。

締約国は、異なる期待感と大きく分かれた見解を持ってペルーに到着したが、それにも拘らず、大半のものは結局、このリマ会議において、南アフリカ環境問題大臣のEdna Molewaの言葉を借りれば、「大きく異なる問題の間の微妙なバランス(delicate balance between very difficult issues)」をとり、パリ会議に向けた作業の「確固とした土台(a solid foundation)」を敷くことができた。

しかしそれは本当だろうか?リマ会議の二つの重要な成果であるダーバン・プラットフォーム推進の決定書とその附属書における交渉文書草案の要素記載は、このプロセスを前進させるのに役立つ可能性があり、このプロセスでの共通の達成感や確信を築く可能性がある。しかし、差異化や資金など、重要な政治的問題は未解決のまま残され、多くの締約国はこのリマ会議の成果を絶対的な成功と宣言する気にはなれないようである。

2015年という年は、リマ気候変動会議の真の意味合いを決定づける年になる。多くのものは、前向きな「リマの精神(Lima Spirit)」がパリ会合までの期間、持続できるかどうか疑問に感じている。おそらくもっと重要と思われるのは、このリマの成果によりパリ会議で全ての締約国が共に住むことのできる「家(house)」を築けるかどうかという疑問であろう、しかもこのプロセスで交渉をしない当事者が一つあることを念頭に置かなければならない、それは「自然」という当事者である。

今後の会議予定

IRENA総会第5回会合:International Renewable Energy Agency(国際再生可能エネルギー機関)総会の第5回会合では作業計画、予算、報告書の採択、加盟申請書、同機関の活動改定の可能性について議論し、決定を行う。 日付:2015年1月17-18日  場所:アラブ首長国連合、アブダビ  連絡先:IRENA事務局  電話:+971-2-417-9000  emailinfo@irena.org   wwwhttp://www.irena.org

ADP 2-8ADP第2回会合第8部は2月に開催される。  日付:2015年2月8-13日 場所:スイス、ジュネーブ  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  emailsecretariat@unfccc.int  wwwhttp://www.unfccc.int

気候変動に関する政府間パネル第41回会合:この会合は2月に開催され、特にIPCCの今後の作業及びAR5の学習事項について議論する。 日付:2015年2月24-27日  場所:ケニア、ナイロビ  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208  ファクシミリ:+41-22-730-8025  emailipcc-sec@wmo.int  wwwhttp://www.ipcc.ch

JISCの第36回会合:UNFCCC京都議定書の下の共同実施監督委員会(JISC)の第36回会合は3月に開催されると見られる。  日付:2015年3月12-13日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  emailsecretariat@unfccc.int  wwwhttp://www.unfccc.int

2015年国連防災世界会議:国連防災世界会議は、日本国が主催し、国連国際防災戦略が計画して開催され、ポスト2015年の防災枠組での合意が期待される。  日付:2015年3月14-18日  場所:日本、仙台市  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+41-22-91-78861  ファクシミリ:+41-22-73-39531  emailwcdrr2015@un.org  wwwhttp://www.wcdrr.org

2015年北極評議会閣僚会議:北極評議会閣僚会議には、北極圏の諸国及び先住民の常任参加組織の上層代表が集まり、今後2年間の同評議会の目的を設定する。2015年閣僚会議は、カナダの議長職の終了と米国の議長職の始まりであり、米国の議長職は2015-2017年を任期とする。2015年4月の会議に先立ち、2015年4月23日、カナダのオタワでは、カナダの議長職任期中の実績を紹介するイベントが行われる。 日付:2015年4月24-25日  場所:カナダ、Iqaluit  連絡先:北極評議会事務局  電話:+47-77-75-01-40  emailacs@arctic-council.org  wwwhttp://www.arctic-council.org

42UNFCCC補助機関会合:UNFCCCの補助機関の第42回会合、及びADPの第2回会合第9部は、2015年6月に開催の予定である。  日付:2015年6月3-14日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  emailsecretariat@unfccc.int  wwwhttp://www.unfccc.int 

気候変動に関するハイレベルイベント:UN国連総会議長は、このハイレベルイベントを開催する、その目的は2015年にUNFCCCの下で世界合意を達成する努力に対し、モーメンタムを得て、勢いを付けることである。  日付:2015年6月29日  場所:ニューヨーク、国連本部  連絡先:国連総会議長室  wwwhttp://www.un.org/pga/calendar/

ADP 2-10ADPの第2回会合第10部は2015年後半の開催が期待される。  日付:後日発表  場所:後日発表  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  emailsecretariat@unfccc.int  wwwhttp://www.unfccc.int

UNFCCC COP 21:UNFCCCの第21回COP及び関連する会議は2015年に開催される。  日付: 2015年11月30日-12月11日  場所:フランス、パリ  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228 815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  emailsecretariat@unfccc.int  wwwhttp://www.unfccc.int

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Alice Bisiaux, LL.M., Mari Luomi, Ph.D., Annalisa Savaresi, Ph.D., and Anna Schulz. The Digital Editor is Brad Vincelette. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMATE) and the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for coverage of this meeting has been provided by the Kingdom of Saudi Arabia Ministry of Petroleum and Mineral Resources and Aramco. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin,including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA.

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