Daily report for 24 October 2014

金曜日、ADP議題項目 3のコンタクトグループは、ワークストリーム2 (プレ2020年 野心)及びワークストリーム1 (2015年合意)について議論し、適応、キャパシティビルディング、技術、透明性に焦点を当てた。

ADP議題項目 3のコンタクトグループ

ワークストリーム 2ADP共同議長のKishan Kumarsinghは、提出文書に対する締約国の反応を求め、AOSIS及びLMDCsの文書に焦点を当てた。スイス、米国、LDCsの立場で発言したバングラデシュ、そしてニュージーランドは、共同議長の文書草案を議論の土台として利用することを支持した。南アフリカ、オーストラリア、カナダは、この会議で表明された意見を考慮に入れた共同議長による文書草案改定版の作成を支持した。

タンザニアは、草案文書に適応を含めること、実施手段 (MOI)を更に強調することが必要だと強調した。多数の参加者が、ワークストリーム 2 作業計画の継続を支持した。

AOSISの提案に関し、ナウルはAOSISの立場で発言し、この提出文書はポスト2015年の技術プロセス拡大に焦点を当てるものであり、この中には次のものが含まれると説明した:先行通知及び相互作用の増大による効果的かつ高効率なTEMs;TEMs後のペーパーの定期的な更新;TEMsで議論された要素について実施経験を有する全てのレベルの組織に文書提出を招請;ワークストリーム2への閣僚の参加。

LMDCsの提案に関し、中国はLMDCsの立場で発言し、ワークストリーム2に関する当該会議室ペーパー(CRP)に焦点を当て、特に次の項目を求めた:京都議定書ドーハ改定案の即時かつ早期の批准;排出量を2030年までに1990年比で40%削減するという附属書I 締約国による2014年の無条件の約束;適応枠組み支援での附属書II 締約国の約束;対応措置問題への対応約束;GCFの急速かつ実質的な資本化;資金約束のMRV;SBSTA42におけるTEC及びCTCNの運用法性の議論。

ノルウェー、カナダ、オーストラリア、日本、ニュージーランドは、LMDCsのCRPはワルシャワマンデートの枠を超えるものだと述べ、オーストラリアは、バリ行動計画の実施は別なところで議論されると述べた。カナダは、このCRPは締約国全体の排出削減能力を大きく制限するものだと付言した。

EU及びLDCsは、2015年以後もTEMsを行う必要性では意見が一致してきたと指摘した。ブラジルは、2015年合意の議論の一環として、あるいは別な交渉経路として、2020年以後まで延長したワークストリーム2の議論を提案した。

スイス、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランドは、TEMsは全締約国の緩和野心引き上げに焦点を当てるべきだと述べた。米国は、TEMsをこれまで以上に具体的で成果に則ったものとし、TEMsの前後でも情報を入手可能にすることを提案した。カナダは、TEMsの効果を高め、国内の地方当局の参加を得ようとする努力は歓迎するが、ウェブベースの情報提供ポータルが管理不能になる可能性があると警告した。オーストラリアは、資金源の利用可能性確保を強調した。南アフリカは、TEMsの成果のみに則った行動をとる野心メカニズムを支持した。AILACは、締約国がNAMA支援情報を交換するための新しい場の設置を提案し、さらに緩和行動を仲介する新しいメカニズムを提案したが、ニュージーランドは反対した。

ノルウェーと日本は、TEMsにおけるTEC及びCTCNの一層の参画を求め、ニュージーランドは、この両組織によるTEMsの管理とTEMの成果のコミュニケーションを提案した。AOSIS及びEUは、UNFCCCの全ての会議でTEMsを開催する必要はないと述べ、 AOSISは、量ではなく質がカギになると指摘した。

コスタリカはAILACの立場で発言し、既存の政策データベースのレビューに関するTEMsを提案し、さらにオーストラリアの支持を受けてTEMsは実施に焦点を当てるべきだと述べた。ノルウェーは、ニュージーランドと共に、これまでのTEMsの題目を再度取り上げるよう求め、炭素価格の問題及び化石燃料補助金の除去に関する会合の追加開催を求めた。AOSISは、輸送や地方および先住民の知識に関するTEMsを提案した。ボリビアは、技術や先住民及び地方共同体の知識システム及び実施方法に関するTEMを求めた。日本は、技術に注目し続けるよう求めた。

スイス及びノルウェーは、閣僚の参加は慣例ではなくプロセスに付加価値を与えるものであるべきだと述べた。米国は、TEMsでの閣僚の参加も含め、閣僚の参加というものの「戦略的活用」を求めた。ニュージーランド及びベネズエラは、閣僚に注目される疑問点の情報を提供するよう提案した。AOSISは、閣僚間相互の議論を高めるよう求めた。ブラジル及びAOSISは、「閣僚たちの疲労感」について警告した。

その他の要素:共同議長のKumarsinghは、キャパシティビルディング、技術、透明性に関する議論を提起した。

キャパシティビルディング:SBI議長のAmena Yauvoli (フィジー)は、SBIのキャパシティビルディング活動について報告した。共同議長のKumarsinghは、締約国に対し、既存のアレンジで十分かどうか、不十分な場合はどの要素が必要か、どの制度メカニズムであればギャップをなくせるかに焦点を絞るよう求めた。

多くの参加者は、キャパシティビルディングは新しい合意に不可欠な要素であり、各国のニーズをベースにすべきだということで合意した。オーストラリア、ニュージーランド、EU、カナダ、スイス、米国は、既存のキャパシティビルディング枠組で十分だと述べた。ニュージーランドは、キャパシティビルディングのニーズが時間と共に変わってくることを認めた。スイスは、COP決定書を通した既存の制度に則り築くことを提案した。

中国はG-77/中国の立場で発言し、条約の下でのキャパシティビルディング委員会の設置を提案し、南アフリカの支持を得た、南アフリカは、キャパシティビルディングのニーズを組織だって評価するよう求めた。

イランはLMDCsの立場で発言し、GCFの資金供与を受け、キャパシティビルディングの国際メカニズムを設置すること、さらに途上国のキャパシティビルディングのため適切かつ予測可能な資金及び技術を提供すると先進国が約束することを求めた。ツバルはLDCsの立場で発言し、キャパシティビルディング・インスティテュートを提案し、キャパシティビルディング向けのGCF資金確保を提案した。

EUは、キャパシティビルディングを議論する適切な場はキャパシティビルディングに関するダーバンフォーラムだと述べ、新しい組織やメカニズムの設置に反対した。ベリーズは、ダーバンフォーラムを強化しキャパシティ面のニーズを明らかにし、これに対応するよう提案し、国内に存在する能力及び地方及び先住民の専門知識に対する支援を強調した。LMDCsは、ADPにおいてのキャパシティビルディング問題の議論は条約の原則に一致させるべきだと述べた。

技術:共同議長のKumarsinghは、TECで進行中の作業に留意し、締約国に対し、制度アレンジの考察を求め、たとえば2015年合意において制度アレンジをどう規定し、強化するか、この合意またはCOP決定書に反映させるべきことは何か、検討することを求めた。

EU、オーストラリア、日本、カナダ、米国は、既存の技術メカニズムの継続利用を強調した。日本は、民間部門の技術移転のインセンティブになるような推進手法を求めた。

オーストラリア、米国、日本は、2015年合意に知的財産権(IPRs)の規定を含めることに反対した。ツバルはLDCsの立場で発言し、一部の技術のIPRを無償化するスキームの探求を提案した。中国はG-77/中国の立場で発言し、合意における技術移転の法性は条約の原則に則るものにすべきだと述べた。同代表は、技術移転は先進国からの効果的な支援や資金援助次第であると付言した。バングラデシュは、技術移転の支援におけるGCFの役割を強調した。

行動及び支援の透明性:共同議長のKumarsinghは、行動支援の透明性の必要性では広範な意見の一致があると指摘した。同共同議長は、締約国に対し、次の項目を行うよう求めた:2015年合意に含まれるべき主要要素の議論;2015年合意の目的達成のため既存のMRV枠組みをどのように修正できるか、その方法の説明;それぞれの提案の推敲。

EU、ニュージーランド、カナダ、ノルウェー、オーストラリア、スイス、米国、日本は、MRVシステムは全ての国に適用可能であり、各国の国情に応じ多少の柔軟性を備えるべきだと述べた。スイスは、共通のMRV体制はCOP決定書で運用可能になると付言した。EU、オーストラリア、ニュージーランドは、土地部門及び市場の規則を統治する重要原則を求め、AILACの立場で発言したチリの支持を受け、二重計算を避ける必要があると強調した。米国は、気候資金の効果を強調するよう求めた。

オーストラリアは、新しい合意では「目的にあった」透明性システムにすることを求め、そのようなシステムの基本的なビルディングブロックはパリ会議で合意されるべきで、その詳細な法性はパリ会議後に推敲されるべきだと強調した。

ノルウェー は、締約国の差異のある約束という提案は差異のある報告を求めるものだと強調し、特に次の項目に関する2015年合意の共通原則を提案した:IPCCの手法論に則った排出量報告の規則;共通の計算方式;GHGインベントリの検証;入手可能な最善の知識に基づいたLULUCF排出量に関する共通枠組;炭素クレジットの健全性のための規則と原則。

AILAC及びバングラデシュは、現在のMRVシステムに基づく構築を強調し、AILACは、多様な状況及び能力を考慮した京都議定書の規則を指摘し、MRVを遵守メカニズム開始のきっかけとすることを提案した。

サウジアラビアはLMDCsの立場で発言し、合意の透明性については条約及びその原則を指針とすべきであり、先進国と途上国で差異化すべきだと述べた。同代表は、先進国が途上国に提供する支援のMRVを求めた。中国は、共同議長のぺーパーにある通り遵守と透明性を共に議論することに反対した。

南アフリカは、「透明性は法的効力に代わるものではない」と強調し、詳細なMRVシステムは既に実施されているとして、ブラジルの支持を得て、新しい規則の必要性は疑問であるとし、支援のMRV手法の強化を求め、ブラジルと共に、INDCsにMOIを含めてMRVを支える手段として用いることを求めた。

マーシャル諸島は、INDCsの明確性や比較可能性を推進するINDCs共通規則を求め、特に次の点に焦点を当てた: 最新のIPCCの手法論;土地部門からの排出量の明確化;炭素基準;支援のMRV。

適応:スイスのFranz Perrezは、適応に関する非公式協議について報告し、既存の約束を推進し強化する必要性では意見が一致してきたと強調した。同代表は、多数の参加者が、既存の制度のギャップを埋めるよう求めており、今後2015年合意のニーズに合わせ調整すべきだと指摘した。

廊下にて

前夜、EU評議会において、GHG排出量を2030年までに1990年比で40%削減するとの拘束力のある目標での合意が成立したことは、ボンの会議場の廊下にも新風を吹き込んだ。この発表は多くの欧州諸国の交渉担当者の交渉に弾みをつけたが、他のものは適応に関する非公式協議での明確化を歓迎した。「このプロセスは実際に締約国の提案を探求することを認めている」と、ある参加者は述べ、「何が机上にあるか、正確なところを知った今こそ、実際に前進を開始できるのだ」と付言した。

他のものは、緩和の議論を会議の最終日まで持ち越すという決定はこの重要問題について十分な審議時間を持たずに会議が終了することを意味するのではないかと懸念した。INDCsでも焦燥感が出てきており、ある参加者は、一部の締約国が「不可能なことを要求」しているが、これは交渉プロセスを脱線させる危険があるとして懸念した。一部のものが指摘したとおり、資金に関する非公式協議が設置される一方で、多数の問題に関する忌憚のない論議は開始されておらず、この日のもやもやとした雰囲気は一層深まったようだ。

ENBのサマリーおよび分析:ボン気候変動会議のEarth Negotiations Bulletinのサマリーと分析は2014年10月28日に下記URLに掲載される:https://enb.iisd.org/climate/adp/adp2-6/

(IGES-GISPRI仮訳)

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Alice Bisiaux, LLM, Mari Luomi, Ph.D., Annalisa Savaresi, Ph.D., and Anna Schulz. The Digital Editor is Brad Vincelette. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMATE) and the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for coverage of this meeting has been provided by the Kingdom of Saudi Arabia Ministry of Petroleum and Mineral Resources and Aramco. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA. The ENB team at the Bonn Climate Change Conference - October 2014 can be contacted by e-mail at <alice@iisd.org>.

Participants

Tags