Daily report for 9 May 2017

Bonn Climate Change Conference - May 2017

ボン気候変動会議は9日(火)も続けられ、午前中はAPAコンタクトグループやSBIプレナリーが開催。また、コンタクトグループや非公式協議の他 “宿題”とされた各種イベントが終日開催されていた。

SBSTA

NWP: Julio Cardano (チリ)が共同進行役を務めた。各国の代表はNWPの進捗状況について検討した。事務局は、人類の健康や居住、生態系ベースの適応に関する作業の概要を示した。作業の価値と作業の協調的な性質については幅広い合意がみられた。Cordano(原文ママ)共同進行役は、NWPがどのようにパリ協定の実施にフィットするのか検討するよう示唆した。いくつかの国がこの議論を来年のレビューまで延期するよう提案した。非公式協議が続けられる。

資金源の会計処理手順 (パリ協定97): コンタクトグループのRafael da Soler共同議長(ブラジル)がテクニカルペーパー(FCCC/TP/2017/1)や共同議長のリフレクション・ノート等のインプットが利用できると指摘した。

多くの国がこれらのインプットは作業の良い叩き台になると述べた。フィリピンはG-77/中国の立場から、資金の追加性や途上国のニーズ特定を含む今後の分野を示した。一部の途上国グループは透明性に関するAPAの議論との連携が重要だと強調した。スイスは、ノルウェー、EU、ベリーズ(AOSISの立場)の支持を得て、テクニカルペーパーで行ったようにクラスター毎に議論を構成することを提案した。非公式協議が続けられる。

パリ協定 第6:ワークショップが一日を通して行われた。午前中は、第6条4項のメカニズムをめぐる諸問題に関して締約国による意見交換が行われた。NDCsの意味合いについては、セクター、ガス、タイムフレームの観点からNDCsのスコープが排出削減量の会計処理にどのように影響するか検討した。各国の数値目標に向けた取り組みや歪んだインセンティブの防止、NDCのタイムフレーム設定に合わせた活動報告、条件づけの有無による数値目標の区別等を多くの国が奨励した。また、追加性の決定やベースラインの設定にNDCsがいかに影響するのか注目が集まる中、京都議定書の追加性とは異なる理解を促す意見もあった。多くの締約国は、ベースライン比で全ての活動に関する追跡調査を行い、野心の引き上げに関する評価を行うことを提案した。

メカニズムへの各種経験の融合については、指定国家機関(DNA)の役割強化が提案された。現行メカニズムからの移行プロジェクト、クレジット及びルールについては、新ルールに対する現行プロジェクトの適格性チェックの利用や認証排出削減量(CER)が有効となる条件等を中心に議論が行われた。

SBI

開会ステートメント: EUは、MA及びFSV、技術メカニズムのレビュー、対応策フォーラムの改善、PCCB会合等について強調するとともに、すべての締約国による貢献を促しつつUNFCCC予算の透明性と効率性を担保するよう求めた。

マリはアフリカグループの立場から、ベネズエラはALBAの立場から、2020年までの作業とパリ協定の実施準備を鑑み事務局の資金増強が重要だと強調した。

エチオピアは、LDCsの立場から、LEG向け資金の追加、LDCs基金の補充、GCF基金へのアクセス強化を求めた。

韓国はEIGの立場から、IARとICAがパリ協定の透明性枠組に対する教訓を与え、予算に関する未決問題を解決するよう求めた。

モルディブは、AOSISの立場から、締約国のNDCsに関する公開登録簿のアクセス可能な情報が提供されるべきだと強調し、適応報告書とNDC登録簿をリンクさせるよう提案した。

サウジアラビアは、アラブグループの立場から、緩和策は途上国の経済多角化と支援の測定・報告・検証 (MRV)に貢献するべきだと強調した。

コンゴ民主共和国は、CfRNの立場から、REDD+や適応、損失被害に対する財政支援の拡大を求めた。

WOMEN AND GENDERは(女性とジェンダー)は、総合的なジェンダー行動計画に向けた具体的な方策とジェンダーに対応した気候資金を求めた。

YOUNGOs(若者代表NGO)は、透明性を求めるとともに、PCCBやダーバン・フォーラム、ACEダイアログの場で若者の声を聞いてもらいたいと要請した。

CAN(気候行動ネットワーク)は、NDC実施の資金拡充を各国に要請した。

The PHILIPPINE MOVEMENT FOR CLIMATE JUSTICE(気候の正義のためのフィリピン・ムーブメント)は、締約国以外のステークホルダーの関与という観点から利益相反問題に対応する必要があると強調した。

FARMERS(農業関連団体)は、気候の変化は増えゆく人口に対する農業従事者の食料供給力を脅かすものだと改めて強調した。

先住民団体は、NDCs及びNAPsの実施に先住民を参入させるよう要請した。

地方政府・地方自治体の団体(LGMA)は、ワークショップについて、国家以外のステークホルダーを参加させ、「グローバルな気候行動のためのマラケシュ・パートナーシップ」との補完性を確認している点で歓迎すると述べた。

国際評価レビュー (IAR)の手続手順の改正: 非公式協議はHelen Plume (ニュージーランド)が共同共同進行役を務めた。2つの途上国がIARの対象に支援を含めてスコープを拡大することを提案した。さまざまな先進国は、IARの手続手順の改正は不要だとし、パリ協定の透明性枠組の策定に集中すべきだと主張した。一方、ある途上国は、改正が必要だとしながらも時期の設定が必要だと主張した。共同進行役が結論書草案を配布予定。

キャパシティビルディング: 非公式協議で共同共同進行役Bubu Jallow (ガンビア)が、経済移行国 (EIT)各国のキャパシティビルディング枠組の実施に関して、支援の種類や成果、学んだ教訓、現在のギャップと生じつつあるギャップ、パリ協定やその他の関連条項との関連性等について振り返り、プレゼンテーションを行うよう求めた。ある経済移行国のプレゼンの後、締約国間の議論が行われた。

SBI 46で提出された各国の意見書や議論、書面のインプットを踏まえ、EITs向け及び途上国向けのキャパシティビルディング枠組の実施に関する第4回レビューに関する文書案の作成が共同進行役に託され、それらを次回の非公式会合で検討することとなった。

SBI/SBSTA

対応策: Peter Govindasamy共同議長(シンガポール)は、改善フォーラムの議論の技術的側面の詳細を練ることがTEGの役割であることを想起した。

経済多角化に関するプレゼンテーションの中で、EUは影響評価を含むEUの政策プロセスの概要を示し、モルディブは運輸政策と炭素税に敏感な観光業依存の同国の困難さを指摘した。国連開発計画 (UNDP)は、コモディティ―に依存する資源国におけるUNDPの作業概要を示した。南アフリカは、対応策の影響評価を行う能力に幅広い開きが見られるとし、経済多角化はアフリカに不可欠の優先課題であり、必ずしも気候への配慮が動機となるものではないと指摘した。シンガポールは、評価のための堅牢な方法論が必要だと強調した。

LTGG次回定期点検及び全体的な達成度の範囲:Leon Charles (グレナダ)が共同議長を務めた。多くの国が、現在進行中の2018年促進ダイアログとグローバルストックテイクの手順に関する議論に言及し、本項目に関する審議をSB 48まで延期する案に賛同した。他方、本項目に関する議論はグローバルストックテイクに関する交渉に先行するものであり、今次会合で行うべきだとの意見もあった。結論書草案を配布予定。

APA

コンタクトグループで、APAのJo Tyndall共同議長が、要素の確定後に詳細な文言づくりの作業を行うという段階的なアプローチを提案した。ブラジルは、横断的な問題とプレースホルダ―について議論する非公式協議グループ間の合同会合を実施することを提案した。MOIとパリ協定に関する大半の項目がSBSTAとSBIに割り当てられていることを念頭に、中国は、確実にバランスが取れたアプローチを採るために「非公式ノート」の中でもこれらの議論の結果を残すよう求めた。

決定書1/CP.21緩和セクションに関する追加指針: 締約国は会期前ラウンドテーブルについて振り返りを行った。各国が定めるという性質を維持しつつNDCs全体の効果について理解を促す追加指針や、将来のNDCの種別に対する柔軟性の保護、緩和の下で議論すべき問題と透明性の項目の分別等が必要であるとの指摘が示された。また、CBDRを反映するための方策についても多様な意見が出された。共同進行役は締約国が最初に取り上げたいトピックについて意見を募った。

透明性枠組の手順・手続・ガイドライン(MPGs): Andrew Rakestraw (米国)が共同進行役を務めた。重要論点に関する議論が行われる中、実質的な議論に移るべきだと多くの国が示唆した。途上国の柔軟性を認める2組のMPGsについては、様々な途上国から支持されたが、先進国は一組のMPGsを求めた。一部の途上国は、全ての意見が十分に反映されていないとして、2017年のワークショップ報告書に対する留保を表明した。いくつかの国が、文言交渉の叩き台として報告書を使うのではなく、議論を導くために報告書の構成を使うよう提案した。本会合の成果を見出しと小見出しをつけたMPGsのアウトラインとする案が数多く出された。

また、人為起源の排出源からの排出量と吸収源除去量の国別インベントリ報告書に関する議論が始まった。ごく非公式な非公式会合が5月10日に行われる。

さらなる問題: 適応基金:非公式協議でBueno Asesora共同進行役 (アルゼンチン)が、基本的な問題として、ガバナンスや制度的アレンジならびに対処すべき適応基金の運用手順、パリ協定のための同基金のセーフガード条項等に関する項目を挙げた。

また、今後の道筋に関する意見交換も行われた。途上国は、適応基金はすでに有効に役割を果たしているとし、パリ協定に対して基金をいかに役立てるかという議論に集中し、できるだけ速やかに決定書草案の作成作業に着手すべきだと強調した。運用手順については、途上国のためのダイレクトアクセスが不可欠だと強調した。

いくつかの先進国は、より深い議論を行い、基金の比較優位を評価する必要があると指摘し、共同進行役のリフレクション・ノートを支持した。

いくつかの先進国からは以下の論点に関する議論に集中すべきだとの要請があり、多くの賛同の声があがった。論点は以下の通り:気候資金の枠内における今後の適応基金の役割や適応基金の資金源および整合性、適応基金が今後も京都議定書に対する役割を果たすべきか否か、その場合どのようにパリ協定に対する役割を果たすのか、暫定的な取り決め、適応基金に対する指針の提供元、パリ協定の非締約国を考慮する適格性等。議論は継続。

適応基金以外の問題:共同議長の非公式ノートに盛り込まれたパリ協定作業計画の下で取り上げられていない追加9項目に正式な位置づけがなされていない点を念頭に、Sarah Baashan共同議長は、共同議長リフレクション・ノートからの課題を振り返りつつ、現在実施されている作業の有無とその所在、準備作業の必要性の有無とその所在、この作業の期限等の各項目について検討するよう各国に促した。

また、パリ協定に対する役割を果たすための対応策フォーラム実現のための進展と手続き上のステップならびに途上国の適応努力を認識する手順といった問題に関する意見交換も行われた。現在行われている対応策に関する改善フォーラムの議論の範囲を非公式にSBI/SBSTA両議長が明示させるよう共同議長に依頼した。適応努力の認識問題に関する議論の進め方について、残りの問題に関する議論と併せて非公式協議の中で続けられる。

廊下にて

二日目の交渉のスピードは加速し、三つの補助機関の下で各国は技術的な交渉に入った。あるベテラン政府代表は“時計仕掛け”のように進められるアジェンダに関する長時間作業の後、“中身の交渉に移行”したことを歓迎した。

火曜日は2018年促進ダイアログの手順に関するCOP 22及び23議長による非公式協議の幕開けにもあたり、様々な国の代表が今回の重要な節目に意見する機会を得たことを歓迎した。それでも、「我々はパリ協定の緩和目標の達成に向けた軌道に乗っていない」との結論が出ることが目に見えるようだと失望感を露わにした一交渉官は、 “求められる政治機運を注入するのに十分な活力”がダイアログに備わっているのか疑問符をつけた。ダイアログとレビューと透明性に関する他のプロセスとの適切な連携を築くことがダイアログの成功に必須だと別の参加者も述べていたが、そうした声は雨後の筍のように出現する複数の交渉グループの中でも響いていた。

パリ協定作業計画が全機関の作業に広がるなか、自己完結に向けた予定調和をなくし、様々なテーマをきちんと関連づけることこそが成功の秘訣となるのかもしれない。

以上

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