Report of main proceedings for 8 June 2015

ボン気候変動会議は、6月8日(月)も議論が続けられた。午前にADPコンタクトグループ会合で、議論の中間見直しと決定書 1/CP.21 (パリ決定書パッケージ)の草案について意見交換が行われた。午後には、「時間枠」、「キャパシティビルディング」、「技術」、夕方には「時間枠」、「透明性」と「 序文」 に関する促進グループ(facilitated group)の議論が行われた。

SBI コンタクトグループは午前に開催され、SBI及びSBSTAの非公式協議は終日開催された。また、キャパシティビルディングに関する ダーバン・フォーラム第4回会合の第二部が午前中に開催。ジェンダー(性差)に対応した気候政策に関するインセッションワークショップも午前に行われ、緩和行動や技術開発・移転について集中的に論議された。

ADP

コンタクトグループ: 中間見直し: ADP 共同議長のAhmed Djoghlaf は、促進グループでの作業続行を発表し、複数のグループ間の整合性は締約国の要望の整合性にかかっていると指摘した。

一週目の交渉のなかで信頼が培われたことを多くの締約国が歓迎していたが、交渉ペースの遅さに対する懸念が持ち上がり、EUと米国より、ほとんどの編集作業は事務局側が行えたのではないかと強調した。

スーダンは、アフリカン・グループの立場で、促進グループ間の整合性の促進を含めた作業方式の明瞭化と追加的ガイダンスの必要性や、重要テーマやコンセプトの特定、締約国主導プロセス等の必要性を強調した。

EU、南アフリカ(G-77/中国)、韓国(EIG)等、多くの締約国は、ADP共同議長が簡潔で整合性あるテキストを作成し、効果的な交渉を実現するための明確なオプションを示すよう提案した。

サウジアラビアは、アラブ・グループの立場で、「とりまとめ文書」を早い段階で作成し、これを今次会議の閉幕までに検討しておくことが重要であると強調した。アラブ首長国連邦 (UAE) は、ADP 共同議長が作成する「とりまとめ文書」について、すべてのオプションを残し、様々なポジションを変更することなく、次回ADP会合の交渉のたたき台とすべきであると述べた。

モルディブ、AOSISの立場で、今後の会合のために明確な道標をつくることを呼びかけた。多くの締約国が、パリ会議までの交渉日数が少なくなってきていることを指摘した。アンゴラ(LDCs)は交渉の即時開始を要請し、米国はエジプトとともに次回ADP会合の交渉日数を増やすことを提案した。

チリ(AILAC)、米国、EUが、合意または決定書に盛り込む要素の特定に関する議論を開始する案を支持する一方で、マレーシア(LMDCs)は時期尚早だと反論した。ツバルは、COP 決定書として文書の項目を“格下げ”することへの警戒感を表明したが、ノルウェーが反対意見を示した。

決定書のテキストを特定するための基準については、AILAC、米国、EUが、タイミング、詳細や柔軟性のレベルについて言及した。ニュージーランドは、合意には耐久性と普遍性のある要素を盛り込むべきだと述べた。

タンザニアは、 合意の中核としてすべての要素を盛り込むべきだと主張した。 スイスは、決定書の文章の要素を特定することは進化の途にあるプロセスだと述べ、UAEは、 ADP共同議長がテキストの改訂版の中で提案される位置に関する注釈を付けるよう提案した。

決定書 1/CP.21の構成:決定書には、2015年合意の採択;暫定協定; INDCsの認識; 2015年合意の実施に関する指針; 2015-2020年の期間の作業計画; 予算・事務管理事項を盛り込むべきだといくつかの締約国が述べた。ノルウェーはさらにMRVとアカウンティング(会計)の制度も入れるべきだと述べた。

G-77/中国は、ワークストリーム 2 (プレ2020年の野心)に関する決定書草案に関する前進を強調した。LDCs諸国は、中国、インドとともに、ワークストリーム 2の作業は技術的な検証から具体的な実施に向けて“ギアチェンジ”しなければならないと強調した。

アンブレラ・グループの数カ国が、ワークストリーム 2の要素に関して提出した自国の意見書について言及し、米国は国家以外の主体の役割は「進化する要素」であるとの認識を示した。

ADPのDjoghlaf共同議長は、締約国の要請を受けて簡略に整理された文書の作成法を議論するべく事務局と共同進行役と会合を行った後、共同議長が内容を報告すると述べた。

促進グループ(Facilitated Groups: 時間枠: 共同進行役 Roberto Dondisch は、セクションを明確にするための技術的な提案として2つのオプションを紹介した。1つ目のオプションは、テキストの大部分に係わるもので、優先課題; 約束/貢献/行動のスコープ; 約束期間/時間枠; コミュニケーション(連絡); レビュー; 事前検討/透明性・明瞭性のさらなる推進/協議プロセス/期間; 更新、という見出しをつけるというもの。

 2つ目のオプションは、南アフリカの代替案を含めたものだ。

EUは、韓国の支持を受け、科学の文脈における実施の戦略的レビュー; NDCs提出に係わる提出コミュニケーションと約束; 気温目標に関する総量的な意味でのNDCsを獲得するための事前プロセス; NDCsの公式化といった、緩和のサイクルにおける順序について概要を述べた。

コロンビアは、AILACの立場から、順序について、コミュニケーション; 事前評価; 公式化; レビュー; 約束/貢献の更新であると概要を述べた。マーシャル諸島は、スコープと性質; 約束期間と時間枠;準備と更新のプロセス; 記入;戦略 レビューに関するセクションを提案した。 

EU、オーストラリア、米国は、5カ年サイクルの明確化を強調した。ツバルは、LDCsの立場で、緩和と実施手段に向けたパラレルなサイクルを求めた。米国は、適応および緩和のサイクルは異なるだろうと述べた。中国は、ブラジル、サウジアラビアとともに、“緩和中心”のアプローチに反対した。

EUは、緩和のセクションで緩和サイクルについて取り上げ、適応と資金のサイクルはそれらのセクションで検討することを提案したが、LDCがこれに反対した。 ブラジルとニュージーランドは、テキストの移動に対して警戒を示した。

約束期間/時間枠については、いくつかの締約国がパラグラフ 162 と 166が合意の継続期間に言及している一方で、パラグラフ 167 (オプション 2) は、約束の継続期間を取り上げていると指摘した。

インド、中国は、まず合意の継続期間に焦点を当てることを要求した。

ニュージーランドは、「合意の継続期間」に関するパラグラフを「合意の発効」に関するセクションに移すことを提案した。コロンビアは、「継続性」と「時間枠」という小見出しをつける案を支持した。

コミュニケーションについては、ツバルが、コミュニケーション間のリンク、事前 レビュー、最終的なコミュニケーションという順序にすべきだと述べた。ブラジルは、NDCsのコミュニケーションと更新の間の違いについて指摘した。オーストラリアは、最初と最後のコミュニケーションとの間で約束を維持することを巡る諸問題について強調した。

マーシャル諸島は、初回のコミュニケーションのサイクルについてはCOP 決定書で定め、それ以降のコミュニケーションのサイクルについては合意の中で定めることができるはずだとの考えを示したが、ノルウェーが意義を唱え、詳細なタイムラインや事前情報はCOP決定書に盛り込めると主張した。

キャパシティビルディング: 共同進行役のArtur Runge-Metzgerがキャパシティビルディングのメカニズム創設の根拠を中心テーマとする会合の進行役を務めた。また、議論では、キャパシティビルディングの実施枠組みに関する第3回包括レビューやキャパシティビルディングのニーズへの対応におけるCTCNの今後の役割などを含め、SBIでの関連作業との関係性についても検証が行われた。

締約国は、キャパシティビルディング のためのニーズをパリ合意の中核要素に据えるということで合意した。

中国(G-77/中国)、リベリア(LDCs)、スワジランド(アフリカン・グループ)が、多くの途上国とともに、キャパシティビルディングに関する機関またはセンターの設置を求め、その目的は、更に体系的で包括的なキャパシティビルディング向けの方策の実行、活動の実施におけるギャップの分析や支援、実施のモニタリング、さまざまな活動との間の一貫性や相乗効果の向上、資金の機会のPR、気候に対するレジリエンス構築におけるLDCs支援、国家主導の行動に対する支援を挙げた。

米国は、世界で行われる全てのキャパシティビルディングを一機関がどうやって調整するのか質問を投げかけ、支援のMRVに関するこれまでの議論を思う起こせば、キャパシティビルディング支援の測定がいかに困難か分かると述べた。EUは、なぜ既存の諸機関がキャパシティビルディングを実現していないのかという原因究明を行い、既存の諸機関の連携強化策やダーバン・フォーラムの強化策を模索するよう求めた。オーストラリアは、各国のニーズを明確に示すため、気候変動に関するキャパシティビルディングの国家計画づくりを提案した。

技術: 共同進行役のTosi Mpanu Mpanuが会合の議事進行を行った。中国は、技術の開発・移転のための世界目標に関する中国提案について、UAEの支持を受け、提案の野心目標によって生じるプロセスが重要であると主張し、それによりUNFCCCの目的達成を助け、支援の提供と技術のニーズとの間の乖離を検証することができるのだと強調した。米国、EUは、中国提案への懸念を表明した。日本は、民間セクターにインセンティブを与える方がもっと効果が上がる主張して、締約国に対して新たな義務を課すことに釘を刺した。中国は、この提案は目標達成に必要となる技術を予断するものではないと述べた上で、技術の供給側に焦点をあてるよう求めた。

南アフリカは、 アフリカン・グループの立場から、技術の開発・移転の枠組みに関する同国の提案について述べた。オーストラリアは、“重複”を回避すべきだと主張し、これから時間の経過とともに変化していく内容について詳細を“がっちり固定”することに警戒感を示した。UAE、アルゼンチンは、現行の様々な取り決めを許可することが重要であると主張した。アフリカン・グループは、枠組み提案は技術メカニズムを導く戦略となると説明した。インドは、知的所有権によって生まれる障害への対応を求めた。

補助機関

キャパシティビルディングに関する第4回ダーバン・フォーラム: 共同進行役 のAma Essel (ガーナ)が6月3日(水)に開催された第1部に関する情報や意見の提供を歓迎しつつ、第4回フォーラム第2部を開会し、EUは、キャパシティビルディングに関するUNFCCC諸機関の連携強化を議論する余地を残すよう求めた。スワジランドが、 アフリカン・グループの立場から、フォーラムでもっと議論する時間をとるよう求めた。

メキシコ、ガーナ、インドネシア、ガボン、ブラジル、ベトナム、チリ、エチオピアは、それぞれの政府代表がINDCs準備における経験について述べ、技術プロセス; INDC策定のための制度的、政策的な基盤づくり; INDC準備と実施のためのキャパシティビルディング; 調整および財政的な課題; 透明性および情報の質の向上に向けた多数の利害関係者による協議; INDCsにおける短寿命気候汚染物質; 気候変動を国家開発戦略の中心に位置づける等の体験を紹介した。

また、長期にわたる緩和に関する立案能力の維持と構築、幅広い気候変動のガバナンスのためのINDCsのキャパシティビルディングに関する共同便益について質問が挙がった。

ジェンダー対応した気候政策に関するワークショップ: Veronica Nonhlanhla Gundu (ジンバブエ)がワークショップ第1部の議事進行を行い、緩和や技術の開発・移転に関する集中的な議論が行われた。

また、パネリストによる発表も行われ、公共交通やREDD+、気候資金、再生可能エネルギーの分野も含め、ジェンダー(性差)に対応した気候政策の定義や事例に関するプレゼンテーションがあった。また、モザンビークの太陽光発電の設置・修理、スーダンのREDD+プロジェクトへの参画、エクアドルの森林管理などにおける女性の役割などについて焦点をあてた事例研究について議論が行われた。その他にも、ジョージアのエネルギー分野、西アフリカの緩和事業のNAMA 等におけるジェンダーの主流化についての報告発表があった。

議論の中で、女性のための教育訓練やキャパシティビルディング、 ジェンダーの予算化・本流化に関する自国の経験を数名の出席者が紹介した。今後の作業については、ジェンダー関連用語の用語集編纂; 成果の測定; ジェンダー問題と緩和や技術の問題を統合するための方法論に関する指針の策定等を求める声があがった。

廊下にて

大詰めを迎える交渉に参加するべく、6月8日(月)のボン世界会議センターには新たに大勢の政府代表が詰めかけた。概ね参加者の意見は、新合意のテキストに関する交渉開始が必要との点で一致した。

午前のADP中間見直し会合では、交渉ペースを上げるための策を多くの国が模索しており、参加者の中に危機感が広がっているように思われた。ADP共同議長による「とりまとめ文書」の作成を要望する意見の一方で、パリ会議までの交渉日数を増やすよう要望する意見もあった。

純粋に締約国主導のアプローチの限界を認識し、文章のスリム化を共同議長に託すのは参加者にとって“健全”なことだと見る参加者もあった。

また、あるオブザーバーの「変わった部分は殆どない」」というコメントに見られるように、午後からの促進グループの議論の中で、現実に目覚めるような場面があった。時間枠グループで共同進行役が作成した新たな“ツール” や他のグループ会合の議論を“適正レベル”に保っている締約国に感謝する声が多かったものの、中身の問題が浮上した途端、根深いポジション対立が改めて浮き彫りになったと嘆く声も聞かれた。

(IGES-GISPRI仮訳)

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