Daily report for 29 November 2012
木曜日、参加者は一日を通して条約および議定書の各組織のコンタクトグループ会合および非公式協議に集った。
コンタクトグループおよび非公式協議
COP:資金に関するコンタクトグループ:この会議では、Kamel Djemouai (アルジェリア)とGregory Andrews (オーストラリア)が共同議長を務めた。共同議長のDjemouaiは、今会合中はバランスのとれた形で作業するとし、この議題項目での小項目を全て同等に扱うことを目指すと説明した。また、同共同議長は、各小項目に関する決定書草案の範囲を明確にするよう締約国に求めた。
長期資金:日本は長期資金に関する作業プログラムのワークショップ報告書に言及し、国際海上輸送および航空輸送を長期世界気候資金の資金源とみなすのは不適切ではないかと発言した。また、同代表は、中国と共に、国際航空輸送および海上輸送からの歳入を気候資金に使えるようにするオプションを検討する目的で、UNFCCC事務局やICAO、IMOで構成されるハイレベル専門家グループを設置することに反対した。
フィリピンは、ワークショップ報告書にはこれまでの議論に関する理解に基づき共同議長が作成した提案が盛り込まれていると指摘した。さらに同代表は、気候変動向け資金の構成について、共通の理解があるわけではないとの観測を示した。
EUは、この報告書は「広範囲を網羅している」と評し、気候資金の目的に単独で対応できる資金源はないと認識することが重要だと指摘した。また、同代表は、資金源の動員や展開を効果的に繰り広げるため、技術的作業を続けることが有用で、バンカー燃料からの歳入の議論は重要な要素であり、包括的な炭素価格政策も必要だと付け加えた。
ケニアとウガンダは、気候資金の明確な定義付けを求めた。バングラデシュは、気候資金と政府開発援助との差異化がなされていないと強調した。
サウジアラビアは、提案されている国際課税方法は途上国にマイナスの影響を与えるとの観測を示し、市場ベースメカニズムとWTO規則は一致しないと指摘した。
バルバドスはAOSISの立場で発言し、コロンビアと共に、チリ、ペルー、コスタリカ、グアテマラの立場も代弁して発言し、その他の国と共に、短期、中期、長期の気候資金動員オプションや資金源に焦点を当て、気候資金の規模を拡大し募るための政治プロセスの必要性、条約下のプロセスのさらなる組織化や強化を行うという議長提案の支持を表明した。米国とニュージーランドは、コペンハーゲンおよびカンクンで早期開始資金に向けた約束が達成されているとして、現段階での政治プロセスに価値があるかどうか疑問を呈した。締約国は、草案文書作成のため、土曜日までに提案を提出することで合意した。
常任委員会報告書:フィリピンは、AWG-LCAの下での関連議論に注目し、COPコンタクトグループとAWG-LCA間の合同会議開催を提案した。EUは、SBIとの相互リンクを議論する必要があることに注目し、議論の重複を避ける必要があると強調した。締約国は、草案文書作成のため、金曜日までに提案を提出することで合意した。
GCF報告書およびガイダンス:フィリピンはG-77/中国の立場で発言し、同基金で何をするのか、プロジェクトに対する資金供与の検討方法といった問題に関し、GCFにガイダンスを提供することを支持した。締約国は金曜日までにこの問題に関する提案を提出することで合意した。
GCFとCOP間のアレンジ:締約国は、どの組織がGCFとCOP間のアレンジの草案作成を担当すべきかで意見が分かれた。米国と日本は、アレンジの主要要素については既に合意がなされており、GCFはCOPのガイダンスの下で運用する独自の法的権限を有し、このためアレンジの草案を作成する能力があると述べた。バルバドスはAOSISの立場で発言し、GCFの統治手法に関する問題の議論が再燃することに警戒感を示した。また、同代表は、COPとGCF理事会の両方の代表が参加するアレンジ作成プロセスを提案した。南アフリカは、GCF統治手法にはドーハ会合でアレンジの議論の結論を出すだけの要素が既に含まれていると述べた。サウジアラビアは、ケニアおよびザンビアの支持を受け、LDCsの立場で発言し、両者の「間のアレンジ」は両者が同等であることを意味するものではないとし、GCFが自身で信頼関係を構築することへの懸念を表明し、常任委員会はこの課題に取り組むべきだと提案した。コロンビアは、ペルー、グアテマラの立場も代弁して発言し、COPの代表が常任委員会やGCF理事会を通じてアレンジ草案を作成し、COP 19までに作業を終了させることを提案した。EUは、協力的な形でのアレンジ作成を支持し、関連組織の審議にかけて、COP 19の承認を受けるため、草案を提出するよう提案した。締約国は、金曜日までに提案を提出することで合意した。
CMP:CDM:このコンタクトグループの共同議長は、Kunihiko Shimada (日本)とGiza Gaspar Martins (アンゴラ)が務めた。共同議長のShimadaは、審議にかける問題のリストを共同議長が作成したことを伝え、次の項目に関連して分けたと述べた:一般的な問題とガバナンス;手法論と追加性;登録と発行;地域配分。さらに同共同議長は、締約国に対し、このリストに関しコメントし、そして/またはリストに追加するよう求めた。締約国は、リストに付け加えるものとして次の項目などを指摘した:適応基金のための徴収分一部配分制度を全ての柔軟性メカニズムに拡大すること;アフリカに地域協力センターを創設し、そのセンターのマンデートを定めること;CDM行動プログラムの手法論、手順、ガイドラインを改善すること;2013年のCDM作業計画を予測すること;CDMの下での炭素回収貯留(CCS)に関する問題について更なる審議を推奨すること。
共同議長のShimadaは、提案を提出するよう全ての締約国に求め、既に提案を提出した締約国に対し、その提案を議論する方法について書面で提案を提出するよう求めた。両共同議長は、締約国の審議にかけるため、これらのコメントや提案をベースに文書草案を作成する。非公式協議が続けられる。
ADP:ワークストリーム2のラウンドテーブル;野心のギャップを解消する方法:締約国は、次の点に焦点を当てた:条約において、プレッジに追加的かつ補足的な国際的行動や国家行動を強化・奨励・支援する方法;野心のギャップを解消すべく大幅な排出削減を実現できる可能性がある国際協力イニシアティブとは何か、そしてこれを支援しその規模を拡大する方法。
ナウルはAOSISの立場で発言し、排出量を可能な限り早期に削減する最も費用効果の高い方法を明らかにするため、2013年までの包括的なロードマップを作成するよう求めた。ガンビアはLDCsの立場で発言し、緩和ポテンシャルが高いオプションを特定し、優先する必要があると強調した。
米国は、排出削減機会に関する意見を聴くため、民間部門その他を招請する必要があると強調し、持続可能性および排出削減を促進するため、ビジネスに対しインセンティブを提供するよう提案し、金銭は「われわれがすることの根幹(at the heart of what we do)」であると指摘した。
ウガンダはアフリカングループの立場で発言し、遵守と報告作成に関する更なる議論を求め、締約国に対し、それぞれのプレッジ範囲を引き上げるよう推奨した。チリは、全てのものに開発の機会を創設する必要があると強調し、CBDR原則の動的な解釈を推奨した。EUは、既にある緩和行動に追加的である現実の緩和行動に焦点を当てるよう強調した。また、同代表は、補足的な国際協力イニシアティブの透明性を求めた。
ボリビアは、数値および包括的な行動に関し、セクター別の参加は明確さに欠けており、国際セクター別約束は主権問題を引き起こしかねないとして懸念を表明した。
中国は、ADPはダーバンパッケージの一部に過ぎず、AWG-KPやAWG-LCAの成果も含まれていると強調した。マーシャル諸島は、ただ単に既存の緩和努力を列挙するのにとどまらず、緩和ポテンシャルや特定の実施障壁を明らかにするよう締約国に求めた。南アフリカは、プレッジに補足的な追加行動は条約の原則や環境十全性に則る限り、全て認められると述べた。
フィリピンは、補足行動が条約や議定書の下で義務付けられている行動にとってかわるわけではないと強調した。インドネシアは、二国間、国家、国内の緩和努力に関する共通の算定システムが必要だと強調した。ウガンダは、善意や政治約束がない中で、ADPの下で有意な成果が上げられるかどうか、疑問視した。
AWG-KP:数値/文章:午後の非公式協議で、締約国は、第2約束期間において柔軟性メカニズムに参加できる適格性に焦点を当てた。締約国は、それぞれの文章案を提出し、続いてこれら文章案にコメントをし、この問題の明確化を求めた。非公式協議が続けられる。
第2約束期間の関連問題:午後の非公式協議では、京都議定書3.9条に基づく議定書改定に関するCMP決定書草案を含む新しい文書草案が提出された。締約国は、この文書に関しパラグラフごとに議論した。協議が続けられる。
AWG-LCA:適応:非公式協議で、AWG-LCA議長のTayebは、この文書は締約国の意見や提出文書並びにボンおよびバンコクでのグループの作業を基にまとめたものだと説明した。
多数の途上国が、適応に関するAWG-LCA文書に記載される提案の一部を歓迎したが、経済多角化に関する作業計画など、これまでに提案されてこなかった要素に注目し、このような提案は対応措置に関するフォーラムなどで行われている議論と重複する可能性があるとして懸念を表明した。
多数の締約国が、バリ行動計画の採択以降、適応問題で進展があったことを認め、これには制度やプロセスの設置が含まれると述べた。一部の途上国は、バリ・マンデートの下で保留されている要素を指摘した。これには次のものが含まれる:国レベルの制度や地域センター;適応と条約の下での他の制度とのリンク付け;実施方法。ある先進国は、適応の関連性を認めた決定書の議論を終わらせるよう努力することを提案した。
ある途上国は、AWG-LCA議長文書がどういう立場にあるか疑問を呈した。また、同代表は、締約国主導のプロセスであるべきことを想起し、関心のあるものは決定書案に関する非公式議論に参加するよう求めた。議論が続けられる。
SBI/SBSTA:対応措置フォーラム:このフォーラムの共同議長は、Richard Muyungi (タンザニア)とTomasz Chruszczow (ポーランド)が務めた。締約国は、条約及び議定書の下での対応措置に関する決定書の実施に焦点を当てて議論した。多様な意見が表明され、この中には、決定書、特に決定書 1/CP.10(適応と対応措置に関するブエノスアイレス作業プログラム)の全ての要素をレビューする必要性に関する意見が含まれた。米国は、オーストラリアとEUの支持を受け、適応などの問題は他の組織で議論されているとして決定書1/CP.10の議論を「終了させる(closing)」よう提案した。サウジアラビアは、アラブ首長国連邦と共に、対応措置の運用上の必要条件では十分な進展がみられていないと主張し、決定書の関連事項ごとのレビューを提案した。アルゼンチンはG-77/中国の立場で発言し、議定書3条14項(悪影響)の実施でのギャップに言及した。EUは、悪影響に関する報告作成は「学習プロセス」であると述べ、国別報告書は最近改善されていると指摘した。
SBSTA:REDD+:非公式協議において、共同議長は、国家森林監視システムおよびMRVの法性に関し、可能性ある決定書草案に盛り込む要素について、ノンペーパーを提出した。このノンペーパーには、締約国提出文書や締約国の意見、このグループのこれまでの議論結果などをまとめた文章が盛り込まれた。締約国はノンペーパーの各要素に関し議論した。議論が続けられる。
廊下にて
「合意がようやくまとめられるころには自分は何歳になっているだろう」と、ある若い参加者は嘆き、議論がいつまでもゆっくりとしか進まないことを省みていた。「交渉では、緊急性の感覚というものがまるでみられない」と、この参加者は付け加えた。しかし、特にAWG-LCAの下での対応措置の議論では明らかな緊張関係が見られた。熟練の交渉担当者は、「古傷がまた新たにうずきだした(old wounds are now being reopened)」とコメントし、別なものは、「われわれの間の距離は大きく離れたままだ(the distance between us remains quite expansive)」と指摘した。バリ・マンデートで義務付けられた問題について、すでに対応できているかどうか、締約国同士の見解は両極に分かれており、多数の途上国がこれらの要素を決定書に盛り込むべきだと強調した。しかしある先進締約国は、「既に決定されたものを想起するためだけの決定書について議論するのはあまり有用ではない」と指摘した。
他方、「若者の日(Youth Day)」を祝って多数の若者向けイベントが開催され、多数のものが、「蝸牛のようなのろのろペース」の進展では、自分たちが受け継ぐべき世界はどうなるのかと考え、「進展に対し参加者に感謝する」ためのデモは時期尚早ではないかと首をひねった。