Daily report for 4 December 2012

火曜日午後、COP 18 及び CMP 8ハイレベル・セグメントの開会式が開催された。 午前、午後、夕方には、COP、 CMP、 ADP、 AWG-LCA、AWG-KPのコンタクトグループと非公式協議が行われた。

COP 18・CMP 8 ハイレベル・セグメント開会式

COP 18 及び CMP 8のハイレベル・セグメントが午後から開催された。

UNFCCCのFigueres事務局長は、ドーハで担保する必要があるものとして、京都議定書改正に関する合意、気候資金に関する明確な道筋、世界規模の長期目標の効果的なレビュー、増大しつつある排出ギャップへの速やかな対応、さらに科学に対応し、衡平な制度として全ての国に適用可能な長期的な枠組みに向けた確固たる基礎を挙げた。

COP 18/CMP 8 のAl-Attiyah議長は、気候変動は現代の最も緊急課題の一つであると強調した上で、バランスのとれたパッケージを担保するため締約国の相互理解に向かって協働するよう要請した。

国連総会のプレジデントVuk Jeremićは、国連のあらゆる加盟国にとって気候変動対策は“国益の中核”となるはずだと述べ、第67回国連総会の再開会議において、気候変動、グリーン・エネルギー、水の持続可能性に関する、ハイレベルなテーマの討議を行う予定であるとして、スケジュールの概要を示した。

パンギムン国連事務総長は、これは間違いなく危機であると強調し、ドーハに期待する5つの成果として、京都議定書の下で批准可能な第2約束期間の採択、長期気候資金での進展、途上国の緩和と適応を支援する制度の完備に向けた作業、強制力をもつ法的文書に関する交渉の継続、緩和に関する現在の誓約と2°C目標達成に必要なレベルとの間のギャップについて取組む決意を見せること、があると述べた。

クウェートのH.H. Sabah IV Al-Ahmad Al-Jaber Al-Sabah首長は、会議に閣僚級レベルが多数参加していることは気候変動が切迫した問題であるとの国際社会の認識を映すものだと述べ、長期協力に先鞭をつけるような決定を行うためにも、バリ行動計画とその中の全ての要素の効果的な実施の担保、京都議定書の第2約束期間の採択、途上国には新たな約束を義務付けないこと、途上国の自主的な活動に対する先進国の資金と技術移転による支援等を求めた。

カタールのH.H. Sheikh Hamad Bin Khalifa Al-Thani首長は、相互依存のコンセプトの具現化、柔軟性のある解決策での現実的かつ効果的な合意成立、国家やコミュニティーのエネルギーに対するニーズと温室効果ガスの排出削減との均衡点を模索するよう求めた。

その後もハイレベル・セグメントでは各国首長や政府首脳や首相、副首相級のステートメント発表が続いた。下記サイトでステートメントのウェブサイトが視聴可能。

http://unfccc.int/meetings/doha_nov_2012/meeting/6815/php/view/webcasts.php

ADP

ワークストリーム 2 に関する円卓会合: 午前のADPワークストリーム 2に関する円卓会議では、ナウルが、AOSISの立場から、“2020年までの緩和の野心の強化”のテキスト草案を紹介し、2013年までの詳細なADP作業計画について規定していると強調した。同テキストは、特に、速やかに現在の緩和ギャップを埋める必要があると強調し、2013年中に幾つかのテーマについて複数のワークショップを開催するよう提案している。また、締約国に対しては、 2020年までの緩和の野心の強化策、そうした施策の定量化、GHG削減ポテンシャル、実施の障害、及び実施に必要な資金・ 技術・キャパシティビルディングに関する案を提出するよう要請している。

いくつかの締約国はAOSISテキストが今後の議論を進める上で役に立つと歓迎した。ドミニカは、作業を計画する上で具体的すぎる内容は柔軟性を犠牲にすることになるとしながらも、曖昧すぎる内容は“我々の作業の指針にならない” と述べ、野心と実施手段の相互関係について言及した。

ウガンダは、適応と実施手段の議論に専念するよう求めた。ブラジルは、AOSIS テキストを支持しながらも、細かい部分を詰めすぎるのは非効率につながると釘を刺し、 実施手段が途上国と先進国の双方に重要なのだとした上で、地方のイニシアティブの“莫大な潜在力”を強調し、ADPの作業に他の利害関係者も参加するよう奨励した。

ノルウェーは、前向きなダイナミズムの継続、経験の共有、前提条件のより良い理解、さらに多くの締約国の参加、REDD+やHFC 、ブラックカーボンの緩和ポテンシャルの検討、及び、有害な化石燃料補助金の撤廃などを奨励した。ニュージーランドは、“あなたがやるべき、やらなければダメだ、その義務があると責任追及するような環境”が野心の妨げになっていると指摘した。

マーシャル諸島は、数値目標や誓約を基にして緩和ポテンシャルを検討するよう要請し、テーマ別アプローチの方が国際協力のイニシアティブより遙かに大きな緩和 ポテンシャルがあると強調した。

非公式協議: 円卓会議の後、AOSIS案や、今年締約国から寄せられた様々な意見を反映することを目指して作成されたADP共同議長のテキスト修正案について午前と夕方、ADPの非公式協議が行われた。いくつかの締約国が、今後の作業やテーマに係わる部分の具体性が欠如しているとして、共同議長テキストはもっと強化できるだろうと述べ、国際協力イニシアティブや誓約の引き上げ、附属書I国がリーダーシップを発揮する義務、適応や実施手段、及びバリ行動計画の幅広い要素を含む諸問題について言及するよう要請した。多くの締約国が、多様なテーマについて締約国からの意見書を求める案を支持した。一方、テーマ別討議は否定しないながらも、野心を引き上げるためのセクターアプローチに対しては、一部の締約国から不快感が示された。

非公式協議が夕方遅くまで続けられた。

AWG-KP

数値/テキスト 午前の数値/テキストAWG-KP スピンオフ・グループ で、途上国グループは、CMP 8において、附属書I国が既に誓約した目標の上限値に整合したQELROを引き受け、議定書の第2約束期間に野心をさらに引き上げる提案を、附属書I締約国に対して紹介した。この提案は、附属書I締約国が第2約束期間のために合意したQELROが2017年までに確実に全体の排出量を90年比で少なくとも33%削減するよう義務付けるもの。また、2020年までに附属書I国全体の排出量を90年比で45%以上削減するようにするため、各締約国が遅くとも2014年までに自国のQELROを再検討するためのプロセスを定めている。この提案について意見交換がなされ、これを議論の基礎として活用することに多くの締約国から支持が表明された。また、一部の国からは最近提起された他の2案についても検討することに支持が示された。また、この提案に盛り込まれた年数や数値に対しては、多くの先進国から懸念が表明された。

また、柔軟性メカニズムからの収益問題についても議論がなされた。途上国からは、2014年12月31日以降に登録されたCDMプロジェクトでは、発行された認証排出削減量(CER)の5%に収益率を引き上げるよう提案された。この基準で作業することへの賛同も示されたが、多くの締約国がさらに明確にするよう要望が出された。

水曜日にとりまとめが期待されているAWG-KP議長の修正テキストに意見を入れていくためには更に議論が必要であるとして、3つの提案と議長テキストを土台としつつ、テキストについての“ごくごく非公式なバージョン(informal informals)”で作業を行い、妥協点を模索するということで締約国の合意がなされた。

AWG-LCA

合意の成果:  適応、 技術、 キャパシティビルディング、及び対応措置などの問題に関する作業で最新情報を提供するべく、夕方からAWG-LCA 非公式協議が開催された。また、大臣の2者協議で資金問題が取り上げられることが報告された。また、非公式交渉のスケジュールやスピンオフ・グループへ先送りすることが合意できなかった問題について議論するために発足させた非公式グループの性質などの手続き上の問題についても検討された。とりわけEITについて議論する非公式協議が夜まで続けられた。

廊下にて

火曜日は、ハイレベル・セグメントの開会式にメディアの注目が集まった。この年次会合は、各国の政府高官が国内での温暖化の取組みの進展状況やUNFCCCに寄せる期待などについて意見を表明する場となっている。また、参加者にとっては、政治レベルでの決着が必要な“難問”を提起する重要な機会でもある。

メディアのスポットライトから離れたところで、5つの機関全てで、ふんだんに協議が続けられ、多くの交渉官は、交渉時間がギリギリになってくると感じていた。ある政府代表は、「大方の交渉がパラレルで行われ、舞台裏の非公式折衝(informal-informals)も多く行われる段階に至った。特にAWG-LCAでのことだが、事態の全容を把握するのが難しい。」  と述べた。

“全体像”を明示してほしいという声は他でも聞かれた。CANは、午後の記者会見で、AWG-LCA完了は単に「電灯を消して、その場を離れればいい」という話ではなく、交渉トラックは全て関連しており、バリ行動計画に基づく“根本的な問題”が解決されなければならないと強調した。また、CANは、資金を根本的な問題の一つと捉え、“国際航空・海運部門への課税と、金融取引税による革新的な資金原のある、2020年に向けての信頼できる道筋”を求めた。

こうした中期資金の呼びかけを予期したかのように、ポスト2012年の資金として、英国がEUで最初に資金の誓約をし、それが総額22億ユーロであるとの観測が駆け巡った。ツイッター経由でニュースを知った一部のオブザーバー等、一部の出席者はこの一報を歓迎し、他の国もこれに追随するよう求めた。

AWG-KPとAWG-LCAの終了を前に、その解決が重要だと多くが認識している市場メカニズム問題が浮上した。Nicholas Sternが議長を務め、UNFCCCに基づく市場メカニズムの役割について、閣僚及び他のハイレベルな政府代表がランチタイムの対談に集まった。

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