Daily report for 22 October 2014

ADP議題項目3のコンタクトグループは、ワークストリーム1 (2015年合意)を議論し、資金及びINDCsに焦点を当てる。CO2以外のGHGsに関する行動のTEMは、この日の午前と午後に開催された。

AD議題項目3のコンタクトグループ

資金:共同議長のArtur Runge-Metzgerは、参加者に対し「自分たちの立場に固執」せず、共通の土台を見出すよう求めた。ノルウェーは、プロジェクトベース手法から離れるとの提案は自国のREDD+の経験に基づいたものであり、準備体制を構築し能力を向上させる段階手法を伴うと説明した。ツバルはLDCsの立場で発言し、準備体制構築手法を支持した。

スイス、カナダ、米国、オーストラリアは、ポスト2020年期間における短期の数量目標に反対した。スイスは、全ての国が気候変動政策への資源提供を約束することを提案し、米国及びLDCsと共に、必要なところへ支援を提供できる国は全て、支援を提供するよう求めた。

中国、イラン、LDCs、エクアドルは、量的約束を求め、2020年までに毎年1000億米ドルと言う約束を起点にするよう提案、イランと共に、ポスト2020年の資金規模拡大のためのロードマップを提案した。マラウィも、量的約束を支持した。

コロンビアは、自国の提案の目的は次のとおりであると説明した:地球規模の変更可能な目標;各締約国の約束リストを付した短期の量的目標;量的目標の規模拡大を目的とする動的かつインタラクティブなプロセス、このプロセスでは各国の予算サイクルに配慮するとともに、各国のニーズや能力の変化にも対応する。

米国は、次の必要性を強調した:民間部門の投資を動員するために公的資金を使う;可能な環境を強化する;高カーボンの投資制限を奨励し、全ての資金の流れについて気候チェックを行う。

スイスは、必要な場合、資金メカニズムを評価しこれを修正するというCOPマンデートを提案した。日本は、既存の制度は十分機能していると強調した。ガイアナは、現行の資金メカニズムの活用を支持した。

チリ、LDCs、トルコ、パラオは、2015年合意ではGCFを基盤にするよう求めた。ガンビア、ガーナ、米国、パラオ、マラウィは、GCF資金の50%を適応向けに保持することを歓迎し、合意におけるバランスの継続を支持した。ガーナは、資金への直接のアクセスを強調した。ベリーズはカリブ共同体(CARICOM)の立場で発言し、「車輪を新しく発明する」よりも、既存の制度活用をと強調した。

アルジェリア、中国、イラン、インドは、公的資金源を強調し、中国、イラン、エクアドル、パラオ、タンザニアは、民間部門の資金は補助的なものにすべきだと述べた。スイスは、多様な資金源が重要だと指摘した。チリとCARICOMは、気候資金の定義付けを求めた。

日本、カナダ、米国は、民間部門の投資及び低炭素成長を可能にすることを強調し、EU及び米国は、民間資金で公的資金を置き換えるわけではないと明言した。オーストラリアは、民間資金を誘致できない諸国を支援する目的での公的資金の活用、最小の能力と大きな脆弱性を有する国への資金供与優先を強調した。

ガイアナ、エクアドル、コンゴ民主共和国、エジプトは、気候資金と海外開発援助とを区別した。エクアドルは、石油輸出に対する「エコ税(eco tax)」を提案した。LDCs、EU、米国は、2015年合意で南ー南協力を検討するよう提案したが、インドは反対した。

EUは、気候資金の影響と結果の検討を支持した。コロンビアとLDCsは気候資金の事前評価と事後レビューを支持した。ボリビアは、気候資金の市場ベース手法に反対した。

ADP共同議長は、マレーシアのGary William Theseiraと米国のChristo Artusioが引き続き調整役を務める資金に関する非公式会議の開催を提案した。

INDCs共同議長のKishan Kumarsinghは、INDCs文書案について、特に明確さ、透明性、共通の理解に注目して検討し、INDCsにおける適応の役割と資金との差異を議論するよう締約国に要請した。

差異化に関し、LMDCsの立場で発言したアルゼンチン、アフリカングループの立場で発言したスーダン、そして中国は、附属書I、附属書II、非附属書I締約国それぞれで異なる差異化された情報をINDCsに記載するよう提案した。LDCsの立場で発言したツバル、そしてケニアは、特に最も脆弱な諸国に対する情報の差異化を強調した。ニュージーランド、オーストラリア、カナダは、「二面方式(bifurcated approach)」に反対し、INDCsは既に各国が決めることになっていると指摘した。EUは、約束のタイプや形式の差異化は能力ベースにすべきだと解説した。

INDCsの範囲に関し、サウジアラビアとメキシコは、 INDCsにおける適応への対応を求め、マーシャル諸島、モンゴル、アフリカングループ、AILACの立場で発言したコスタリカ、そしてケニアは、MOIも強調した。LDCsは、INDCsは緩和に焦点を当てるべきだと述べたが、2015年合意では適応とMOIへの対応方法について、何らかのシグナルを出す必要があると指摘した。

ニュージーランド、カナダ、ロシア、ノルウェーは、INDCsは緩和のみにすべきだと述べた。ノルウェーは、国際支援が必要な野心的行動を行うとのINDCsを途上国が提出する場合、MOIのニーズを含めることが関連性をもつ可能性があると付言した。

提供されるべき情報に関し、バングラデシュは、INDCsは単純で比較可能であるべきだと述べた。マーシャル諸島は、明確で、透明性があり、容易に理解できるINDCsを求めた。EUは、次に関するものも含め、野心を明確にするため、情報の必要条件を強化するよう提案した;LULUCF;市場メカニズム;ビジネスアズユージャル・ベースラインの計算手法。

INDCsのレビューに関し、ニュージーランド、オーストラリア、ロシアは、事務局によるINDCsの評価に反対し、ニュージーランドは、簡単かつ実用的なレビュープロセスを求めた。

EUは、事務局に対し、INDCsからの情報をペーパーにまとめるよう求め、締約国間の議論を可能にするほか、INDCsの分析を行った外部組織の参画を得るワークショップの開催を提案した。LDCs、ロシア、EUは、「脅迫的でない(non-threatening)」、容易なレビュープロセスを支持した。ノルウェーは、事前プロセスを支持した。AILACは、事前プロセスは緩和とMOIを対象とするが、適応は対象としないと明言した。

多くのものが、2015年ではINDCsを可能な限り前倒しにするよう提案したが、他のものは、「ワルシャワ期限」の遵守を希望した。

CO2以外のGHGsに関する行動のTEM

コロンビアのMarta Pizanoが、このTEMの進行役を務めた。

メタン排出量:Global Methane InitiativeのHenry Ferlandは、自主的パートナーシップを提起し、費用効果の高い緩和ポテンシャルとメタン排出削減という共同便益をもたらすと強調した。

オプション、障壁、機会に関する締約国の見解:オーストラリアのLachlan Groveは、3件の国家メタン削減政策を提出した。

行動実施に関する専門家パネル:国連食糧農業機関のCarolyn Opioは、生産性向上と適応を結び付けるケニアの小規模家畜業プロジェクトで得た学習事項を提供した。

国際固形廃棄物協会(International Solid Waste Association)のGary Crawfordは、都市の廃棄物から発生する短命の気候汚染物質(SLCPs)への対応を目的とする気候及びクリーンな大気連合(CCAC)地方政府固形廃棄物イニシアティブについて、プレゼンテーションを行った。

世界銀行のBianca Sylvesterは、メタンと気候変動緩和のための同銀行のパイロット競売部(Pilot Auction Facility)について説明し、これは当初1200件のメタン削減プロジェクトを目指し、資本目標は1億米ドルであったと述べた。

議論:参加者は次の項目について議論した:認証排出削減単位(CER)価格の低さ;バイオメタンの生産;ニュージーランドにおける家畜からのメタン排出削減及びコメ農業でのメタン排出削減。

亜酸化窒素(一酸化二窒素:N2O)の排出量:IPCC AR5 WGIIIの代表執筆者であるFrancesco Tubielloは、人為的GHG排出量の約7%がN2Oガスであり、作物や家畜からの排出量がその75%を占めると述べた。同氏は、供給側と需要側のオプションの組み合わせで2030年までに農業部門での大幅な排出削減を実現できると強調した。

オプション、障壁、機会に関する締約国の見解:ブラジル環境省のJosé Miguezは、長寿命のGHGs削減での障壁として、技術コストの高さとCER価格の低さを強調した。

ケニアの環境自然資源大臣のOmedi Moses Juraは、ケニアの国家気候変動行動計画の概要を説明し、野心的な大気の質規制法が可決されたと強調した。

行動実施に関する専門家パネル:世界銀行のRama Reddyは、農業部門のN2O削減における障壁は広範な資源利用効率の問題と結びついていると述べた。

国際肥料産業協会のVolker Andersenは、肥料生産でのN2O排出削減を目的とした地域市場メカニズムの成功例を紹介した。

SolvayのPhilippe Chaveauは、アジピン酸の生産での排出削減に関する自主行動及び炭素市場の役割について論じた。

議論:参加者は次の問題を議論した:カーボン価格面でのシグナルの必要性; N2O 緩和の共同便益;肥料補助金。

フッ素系ガス: CCACのHelena Molin Valdésは、同連合はSLCPsを初めて共通の課題として扱った組織であると説明し、今後10年間にCO2換算で20億トン以下のハイドロフルオロカーボン (HFC)の排を阻止が可能であると指摘した。

各国の経験及び国際機関を代表する専門家パネル:中国の国家発展改革委員会のLiu Yangは、行動計画及び2015年目標など、HFCsの段階廃止に向けた国内努力についてプレゼンテーションを行った。

欧州委員会のArno Kaschlは、EUのフッ素系ガス政策について説明し、多数の小部門で効率的かつ低コストなHFCs代替品が利用可能になっていると強調した。

オゾン事務局のMegumi Sekiは、モントリオール議定書(MP)の下でのHFCの現在の議論について、概要を説明した。オゾン事務局のLambert Kuijpersは、代替品に関するMPの技術及び経済評価パネルの2013年及び2014年タスクフォース報告書について説明した。

MP実施のための多国間基金のEduardo Ganemは、産業プロセスの転換、技術移転、税関職員の訓練における同基金の途上国支援について説明した。

国連産業開発機関のStephan Sicarsは、ハイドロフルオロカーボンからの転換について各国政府、産業、技術者に提供している支援を説明した。

ビジネス部門代表の専門家パネル:Norsk HydroのJostein Søreideは、パーフルオロカーボンの排出削減における同社の経験を披露し、プロセスコントロールが高効率と低排出量に結び付いたと結論付けた。

Alliance for Responsible Atmospheric PolicyのStephen Van Marenは、HFCの段階廃止には、世界共通の手法が求められると述べた。

日本冷凍空調工業会のKazuhiro Satoは、日本の新しいフッ化炭素規制の概要を説明した。

議論:参加者は次の点について議論した: HFCs削減で「削減曲線に先んじて(ahead of the curve)」行動する必要性;規制の重要性;HFCの段階削減はUNFCCCで議論すべきか、それともMPで議論すべきか; HFCs代替品のコスト;高温地域でのHFCs代用品の欠如。

今後の進め方:参加者は、次の方法などでプレ2020年緩和を強化する方法について議論した:CCAC加盟国を増やす;TEC及びCTCNなど、UNFCCCの既存の制度を活用し、TEMで提起された問題をフォローし、フッ化ガスに関する技術的助言を提供する;政府間組織及び二国間協力合意に対し、CO2以外のガスへも対応するよう奨励する。

廊下にて

ADPと言う列車がゆっくりと動き出す中、共同議長の推奨するインタラクティブな手法は、資金に関するコンタクトグループの議論で断続的な進展をもたらした。多数の参加者は、従来通りの立場を繰り返すことに終始したが、一部のものは、米国が「驚くほど前向きな」立場をとったことへの感謝を表明、準備体制への支援に関するノルウェーの提案にも感謝した。

しかし他のものは、締約国はダーバン会議以後、どれだけ実質的に動いたか疑問であるとし、なかでも、INDCの議論の冒頭は一部のものに言わせると「士気をなくさせる(demoralizing)」ものであった。INDCsに関する各国の立場は、高度に両極化しており、楽観的な参加者は「少なくとも文書の審議をしている」と指摘したが、別なものはINDCsのプロセスを見通せる希望があるかどうか、疑問だとした。

CO2以外のガスに関するTEMも、いつも通りの雰囲気であり、技術や行動本位のプレゼンテーションと平行して、HFCsの段階廃止をUNFCCCの下で議論するのか、それともモントリオール議定書の下で議論するのかという昔からのジレンマが再燃した、これはUNFCCCのプロセスと実地行動が二つの異なる道を歩み続けている場合が多いことを思い起こさせる。

(IGES-GISPRI仮訳)

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