Daily report for 9 February 2015

月曜日の午前と午後、議題項目3(決定書1/CP.17の全要素の実施)に関するADPコンタクトグループ会議が開催された。

ADPコンタクトグループ

ADP共同議長のReifsnyderは、締約国に対し、まだ議論されていないセクションに限定して、新しい文章を提案するよう求め、改定された文章に締約国の意見が反映されているかどうかを確認する機会が与えられると強調した。

適応:損失と被害:セクションEに関し、AILACの立場で発言したチリ、メキシコ、ドミニカ共和国は、世界適応目標を盛り込むことを提案した。南アフリカは、量的及び質的の両面を含める世界適応目標を提案した。

ガーナはアフリカングループの立場で発言し、適応行動の事前評価及び適応ニーズに合わせた資金を求めた。EUは、全締約国が気候変動への適応を約束し、気候回復力のある開発を達成するため、協力することを提案した。カナダは、全締約国が気候変動の悪影響に適応し、「その世界的及び越境効果」を認識するよう提案した。スイスは、ベストプラクティスを共有する必要があると強調した。ブラジルは、締約国に対し、各国が決定する貢献(INDCs―約束草案)に適応要素を含めるよう推奨し、途上国に対しては、脆弱性の評価及びMOIニーズを含めることを推奨した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、適応行動は経済の多角化に貢献すべきだと述べた。

ノルウェーは、伝統知識や先住民の知識など利用可能な最善の科学知識を締約国の適応努力の基礎として活用することを強調した。モルディブはAOSISの立場で発言し、適応委員会は新しい議定書の下での適応を指導する組織になるべきだと強調した。韓国は、二重の努力を回避する必要があると強調した。ツバルはLDCsの立場で発言し、地域適応センターを提案、金融機関に対し、適応に関する国際情報センター及びレジストリに情報を提供するよう推奨した。EUは、適応行動支援において、国家組織や地域組織、及び国際機関とのシナジーを高めるよう提案した。中国は、適応に関する既存のアレンジを統合するメカニズムの設置を提案した。

AILACの立場で発言したチリ、メキシコ、ドミニカ共和国は、各国が次の項目に配慮して適応約束を決定することを提案した:行動の動的特性;悪い適応;途上国への追加負担回避;既存のツールに基づく構築;人権の向上;科学及び伝統知識に根ざした適応。アフリカングループは、ボリビアと共に、伝統知識を強調した。同代表は、性別に配慮した文章を求めた。エジプトは、約束、貢献、行動を各国主導で性別に配慮したものにし、女性や子供など脆弱なグループに焦点を当てることを提案した。ドミニカ共和国は、性別に配慮し、コミュニティーに根ざした適応を強調した。

モニタリング及び評価に関し、AILACの立場で発言したメキシコ及びドミニカ共和国は、算定方法に関する締約国主導のプロセスを開始するよう提案した。日本は、全締約国が共通の報告方式を用いて自国の適応行動を報告することを提案した。

損失と被害に関し、セントルシアはAOSISの立場で発言し、LDCsと共に、損失と被害に関する文章を新しいセクションに移動させるよう提案した。サウジアラビアはLMDCsの立場で発言し、損失と被害は分けて論じるべきことに賛成した。同代表は、損失と被害執行委員会(Loss and Damage Executive Committee)の第1回会合において、補償体制を設置することを提案した。

セントルシアはAOSISの立場で発言し、損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズムを推敲する文章を提出、特に次の点を提案した:このメカニズムの運用の法性及び手順の更なる開発;条約の下での既存の組織及び専門家グループ、さらには条約の外の関連組織及び専門家組織の参画;国際法の下での関連手順の考察。

LDCsは、緩やかに発生する現象の影響を受ける諸国のための補償スキームを求め、人口の移動及び移住を扱う気候変動移住調整部門(facility)を提案した。AILACの立場で発言したメキシコ及びドミニカ共和国は、各国及び各コミュニティーの両方が資金援助及び技術援助を利用できるようにすることを提案した。

資金:セクションGに関し、ボリビアはG-77/中国の立場で発言し、アフリカングループの立場で発言したエジプトの支持を得て、特に次の項目で取りまとめた合意を手配することを提案した:資源規模;評価とレビュー;資金源。G-77/中国は、条約の資金メカニズムを京都議定書の資金供与組織と共に2015年合意に適用することとし、GCFをその主要な運用機関とするよう提案した。同代表は、予測可能な資源及び定期的な資金募集でGCFを強化することを求めた。

アフリカングループは、量的な資金目標と気温目標との明確なリンクづけを求めた。中国は、先進国からの公的資金及び漸進的な資金規模拡大を伴う明確なロードマップを求めた。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、資金供与は主に公的なものとし、これに無償ベースの資金供与を含めるよう求めた。資源規模に関し、エジプトは、国内総生産の割合に基づく先進国の資金貢献を提案した。

EUは、全締約国が個別かつ集団で気候資金を動員し、先進国が主導することを提案した。日本は、附属書II締約国に対する資金供与要求の限度設定に反対した。オーストラリアは附属書諸国への言及を「行える立場にある全ての締約国」という表現に置き換えるよう提案し、多様な資金源の資金動員を推奨した。

ノルウェーは、野心的な緩和行動を最大限のものとし、インセンティブを提供することを提案、これには検証された結果に基づいた支払いも含めることを提案した。米国は、受益国による資金の流れの報告を強化する必要があると強調した。同代表は、化石燃料の補助金に注目、高炭素な投資の段階的解消が重要だと強調した。ニュージーランドは、気候資金と投資で有効な成果が得られることを確保する必要があると強調した。

LDCsは、適応資金の半分をSIDS及びLDCsに割り当てるよう提案した。同代表は、次を提案した:損失と被害に対する資金窓口;GCFの資金募集サイクル;資金援助の定期的レビューと規模拡大;適応資金のためのICAO/IMOでの徴収;新たな資金源。パナマはCfRNの立場で発言し、REDD+の資金窓口と損失と被害の資金窓口を分けるよう提案した。

スイスは、共通の透明性窓口を提案、これを時間の経過と共に進化させ、全締約国に適用可能とし、資金の提供、利用、影響を包括することを提案した。エクアドルはLMDCsの立場で発言し、先進国は自国による資金貢献に関する情報を提出し、途上国はそのニーズに関する情報を提出すべきだと述べた。

チリはAILACの立場で発言し、全ての投資が低排出となり、緩和目標の観点からみて、気候影響に回復力を有するものにするための新しい指針を提案した。ボリビアは、「気候回復力を有し持続可能な開発のメカニズム」の設置を提案した。キリバスは、最も脆弱な諸国を支援するための迅速(fast-track)行動の特別メカニズムが必要であると認識することを求めた。

G-77/中国は、先進国及び附属書II締約国に対し、途上国のニーズに合わせた資金の提供を求め、条約4条及びCBDRへの言及を求めた。同代表は次の点を強調した:適応と緩和の均等な配分;途上国間の衡平な分配;支援のMRV。REDD+に関し、同代表は、森林の総合的で持続可能な管理のための結果ベースの行動に対する代替手法を強調した。

技術:セクションHに関し、ブラジルは、締約国の国別貢献(national contributions)に技術要素を含めることを提案した。エジプトは、GCFの技術資金供与の効果及び適切性の評価を提案した。インドは、途上国が環境に優しい技術へアクセスするための全コストに相当する資金をGCFから割り当てることを提案した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、途上国のINDCsの効果的な実施と技術とのリンクづけを求めた。中国は、長期的な技術目標を提案し、先進国が「移転の用意がある(ready for transfer)」技術のリストを作成し、定期的に評価することを提案した。

スーダンはアフリカングループの立場で発言し、技術のニーズ評価、研究開発と可能にする環境整備を検討する技術枠組を提案した。ボリビアは、先住民及び地方共同体から出てきた技術を強調した。

キャパシティビルディング:多数の途上国締約国は、気候変動行動の強化は先進国が提供するMOI次第であると強調した。

モルディブはAOSISの立場で発言し、国際的なキャパシティビルディング・メカニズムを設置し、それを構成するものを協調センターとして、次を行うことを提案した:情報のとりまとめ;ギャップやトレンドの分析;ツールや手法論の作成;特定されたニーズと利用可能な支援とのマッチング;UNFCCCの組織及び他の関連組織との調整と協力。

LMDCsの立場で発言したエジプト、及びインドネシアは、キャパシティビルディング・メカニズムは経験の共有や学習及びベストプラクティスに基づくものにすべきだと強調した。サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、途上国締約国から提供される支援はいずれも、途上国締約国のINDCsの特性、範囲もしくは内容を妨げるものであってはならないと強調した。

行動及び支援の透明性:ニュージーランドは、緩和に関する全ての文章をまとめることを提案した。EUは、緩和に関する算定規則を緩和セクションに移すよう提案した。同代表は、MRVに関する共通の手法論、算定方式及びガイドラインを求め、さらに土地利用に関しては一貫性のある形で報告するよう求めた。日本は、適応のモニタリング及び評価への言及削除を提案した。

ヨルダンはLMDCsの立場で発言し、資金レジストリ、及び共通の様式を用いた資金報告作成を求めた。中国は、先進国のMOIに関する情報を技術レビュープロセスで検証し、続いて多国間評価プロセスを経て、遵守結果を含める結論を出すことを提案した。同代表は、途上国は受けた支援レベルに合致する気候行動を報告し、その情報は「技術分析」にかけ、その後、各国の主権を尊重する不干渉で不懲罰のプロセスに基づき、締約国間の意見共有を進めることを提案した。

スイスは、環境十全性を守り、協力制度で生じる国際的に移転可能な緩和成果の二重計算を回避するため、共通の算定方式と追跡システムを提案した。

廊下にて

月曜日、ADPコンタクトグループは、交渉文書草案に追加された新しい文案の検討作業を続けた。議論は午後5時半に終了、4つの新しいセクションを論じることができたが、5つのセクションが残された。一部のものは、合意された作業モード保持を頻繁に想起して、手元の課題に焦点を当て続けさせる共同議長の努力に感謝の意を表明した。

改定された緩和セクションが4頁から12頁に増えたことから、最終文書の長さも憶測の的となった。このため一部のものは、この会議終了時には文書が相当大きく膨らむ可能性があると懸念した。さらに一部のものは、締約国が交渉の後半の段階でも文章の追加を実際に控えるかどうか、疑問視した。

夕方、多数の参加者は、INDCsの支援に関するブリーフィングのため、会議室に留まった。このブリーフィングは、数件のプレゼンテーションと締約国によるINDCプロセスに関する意見交換で構成された。多数の途上国は、緩和だけでなく全てのINDC要素に対する総合的な支援が重要だと強調した。先進国は、フランスの新しいINDC支援ファシリティーなど多様な支援活動に焦点を当てた。

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