Daily report for 4 June 2015

6月4日木曜日もボン気候変動会議は継続、ADPコンタクトグループでは、交渉グループ及び進捗グループの作業進展状況が示された。午後、緩和、 適応、及び損失と被害に関する進捗グループ会合が開催され、夕方にはワークストリーム2 (プレ2020年野心)及びキャパシティビルディングに関する進捗グループが会合した。

午前と午後、国際的評価及びレビュープロセスの多国間評価第2回作業部会会合が開催された。

SBI及びSBSTAでは、一日を通し、多数の非公式協議が開催された。SBSTAの研究ダイアログ第7回会議及び長期資金に関する会合期間中ワークショップは、午後に開催された。長期資金に関するワークショップの概要については、下記参照: http://enb.iisd.org/climate/sb42/enbots/4jun.html#event1.

ADP

コンタクトグループ:進捗状況報告:ADP共同議長のAhmed Djoghlafは、この会合の開会を宣言した。SBSTA議長のLidia Wojtal及びSBI報告官のSidat Yaffa (ガンビア)は、ADPに関連するSBSTA及びSBIの議題項目に関し、最新情報を示した。

共同議長のDjoghlafは、議論の進行の遅さ、進捗グループの作業方法が明解でないこと、グループ間の調整をする時間が限られていることに対する締約国の懸念を指摘した。同共同議長は、諸国グループ及び進捗グループの進行役との協議で、「メカニズム」自体はうまくいっており、進展も見られたことが指摘されたと述べた。

同共同議長は、進捗グループでの作業を継続し、ADP自体の作業の迅速化を図ることを提案、ただし序文や定義及び最終条項など、後日の段階での議論が必要な問題は除くとし、「易しいところから始めて複雑な問題」に移る形で文書のスリム化、オプションのグループ分け、概念の明確化、COP決定書で議論すべきパラグラフの特定を行うことを提案した。

同共同議長は、ジュネーブ文書は唯一つの公式文書であり続けるとし、他の文書はノンパーパーとして発表されると再度発言、COP決定書の文章への「項目の移転」がある場合も、それでその項目の重要性が損なわれるわけではないと述べた。

ADP共同議長のDan Reifsnyderは、ADP共同議長はジュネーブ文書のスラッシュ(/)及び括弧書きの使い方に関し、ガイダンスを示すと指摘した。マレーシアはLMDCsの立場で発言し、そのようなガイダンスの必要性を強調した。

これまでに達成された進捗状況に関し、大半の締約国は、前向きな雰囲気を歓迎する一方、作業のペースを速める必要があると強調した。

G-77/中国の立場で発言した南アフリカ、及びエジプトは、それぞれの議題項目の進捗ペースには差があり、このためプロセスをアンバランスにする可能性があると指摘した。スイスはEIGの立場で発言し、議論のペースの違いは認識すべきだが、懸念すべきでないと述べた。

ボンでの残りの会合時間に関し、G-77/中国、LMDCs及びブラジルは、クロスカッティングイシューの議論を提案、さらにアンブレラグループの立場で発言したオーストラリア、LDCsの立場で発言したアンゴラと共に、ワークストリーム2の議論を提案した。

アンブレラグループ、EIG、EUは、締約国が次の項目を行うよう提案した: 「議題の梱包を解く」;文書を再構成する;自国の提案について説明する。ブラジルは、事務局におけるジュネーブ文書記載項目のグループ化を提案した。

LMDCsは、イラン及びEUの支持を得て、緩和、適応、MOIなどの重要分野について議論し、主要要素の優先度づけ、順番だてを行うことを提案した。

アンブレラグループ、EU、ブラジル、LDCsは、決定書文書に入れる要素を特定するよう提案したが、LMDCsは反対した。

ボンで結果を出せるものに関し、EU、及びアフリカングループの立場で発言したスーダンは、文書のスリム化を求めた。

LMDCsは、スリム化したパラグラフをジュネーブ文書に取り入れるよう提案したが、EIGsは反対した。ブラジルは、ジュネーブ文書の中でスリム化されていない箇所は全て、作業文書に入れることを提案した。インドは、ジュネーブ文書の中の取りまとめられた部分で構成される「作業文書1(working document 1)」をADPの次回会合の議論の土台とすることを提案した。

G-77/中国、EU、LMDCsは、ワークストリーム2に関する決定書草案が必要だと強調した。

締約国は、進捗グループを提案通りに継続し、6月8日月曜日に別な進捗状況報告を計画することで合意した。

進捗グループ:適応及び損失と被害:午後、参加者は、事務局の提案を基に、ジュネーブ文書のパラグラフのスリム化を続け、制度アレンジの更なる強化に関するパラグラフ65.3、オプションa、小オプションi及びiiの文章をまとめることで合意した。

共同進行役のAndrea Guerreroは、文章のスリム化に関し、項目のクラスター化手法論を提案、次の項目のコラムを有する表を提示した:題目;パラグラフ;文章。同共同進行役は、題目のコラムから議論することを提案した。

締約国は、この手法で議論し、決定書で扱うべき項目を示すコラムを追加した。EU、G-77/中国の立場で発言したボリビア、そして米国は、題目について提案した。

多数の締約国は、他の進捗グループが同じ方法で行っていないのなら、この手法で作業を進めることには躊躇すると述べた。共同進行役のGuerreroは、緩和に関する進捗グループでも同じ手法が用いられているとして、参加者の不安を払しょくした。

参加者は、クラスター化が可能な題目についての議論を続けた。この議論に基づき、事務局は、表の題目に関する暫定的なリストを表示した。

その後、締約国は、クラスター化の作業モードについて議論した。

この表では、一部の締約国の見解は取り残されるか、締約国の立場として受け止められるのではないかとの懸念に対し、共同進行役のGuerreroは、この表は進捗状況を追跡するための内部ツールであると強調し、参加者に配布されることを確認した。

締約国は、この表に基づき作業をし、土曜日の再度の会合の前に、題目に関するそれぞれの意見を提出することで合意した。

緩和:共同進行役のFranz Perrezは、この会合の進行役を務めた。締約国は、パラグラフ24及び49に関係し、パラグラフ39の「梱包を解く(unpack)」とするオーストラリアの提案を 検討した、このパラグラフには次の原則が含まれる:会計(accounting);土地利用;市場の利用と市場の制度アレンジ。

EUは、一般会計原則に関するEU案を提示し、土地利用部門との重複を指摘した。ケニアはアフリカングループの立場で発言し、会計を議論することに反対し、これは透明性の下に置く方が良いと提案した。

ブラジルは、会計と市場の問題をまとめる(クラスター化)することに警告し、会計を透明性及び遵守と関係づけることを提案した。パラグラフ39に関し、同代表は、次の3つの展望を示した:市場は国際取引を含る、COPで確立された基準で評価される;京都議定書メカニズム、 CDM、EU排出量取引システム(EU ETS)における現在の経験に則るべき;特に土地利用部門において非市場メカニズムを確立すべき。

チリはAILACの立場で発言し、市場の利用における小項目を後の段階に「持っていく(shuffled)」ことを提案した。サウジアラビアとベネズエラは、この段階で市場を議論することに反対した。ボリビアは、非市場ベース手法を含めるよう求めた。

セントルシアはAOSISの立場で発言し、市場は緩和に関係するというよりも透明性のセクションに関係すると指摘し、次のクラスター化の可能性を認めた:市場メカニズムの目的とその利用原則;市場移転の会計;更なる規則の推敲;推計手法の一貫した使用、調整、共通の計算方式。

AOSISは、次の項目同士のリンクを指摘した、市場の利用、遵守システム、正味の利益、さらに、ツバル及びブラジルと共に、環境十全性を確保するための適格性規則。

数カ国の締約国は、合意における一般原則を議論し、詳細は決定書に回すよう提案し、一部のものは、別な場でも市場メカニズム及びアレンジに関する詳細な議論があると指摘した。締約国は、次の会合では、緩和約束/貢献/行動の作成に関するパラグラフ21に焦点を当てるところから始めることで合意した。

補助機関

多国間評価及びレビュー(SBI)午前中、SBI議長のAmena Yauvoliはこの会合の開会を宣言した。

オーストラリアは、エネルギー関連の措置及び直接行動計画に関するプレゼンテーションを行った、これには25.5億オーストラリアドルの排出削減基金及びセーフガード・メカニズムが含まれた。

オーストラリアは、質問に応え、当初の緩和契約オークションではビジネス側から積極的な反応があったと指摘し、セーフガード・メカニズムの目的は、追加緩和を得ることではなく、むしろ大規模施設からの排出量を取り込むことであると説明した。

ベルギーは、EUの2020年気候・エネルギー・パッケージの内容に基づき、EU ETSの対象である部門の排出量を2005年比で15%削減するとの自国の目標を提示した。

同代表は、質問に応え、埋立地のメタン排出量を回収することで、廃棄物部門での大幅な達成を得たと述べた。

ブルガリアは、自国では緩和、再生可能エネルギー、エネルギー効率化に関する法律を施行したと述べた。同代表は、質問に応え、ブルガリアの排出量が1988-2011年に減少した原因は、主に、市場経済への移行時期におけるGDPの減少によるものだと説明した。

カナダは、2005年比で17%の排出削減という自国全体の目標を達成すべく行っている行動の概要を説明した。

同代表は、質問に応え、実施措置の影響の多くは同国の報告書では推定されていないとし、これは各州の政策と国としての政策との相互作用によりそれぞれの効果の計算が複雑になっているためだと述べた。

午後、チェコ共和国は、石炭利用量の低下、原子力及び再生可能エネルギーの割合の増加で、自国のエネルギー部門の排出量は下降していると述べた。同代表は、国内の再生可能エネルギー政策に関する質問に対し、FiTスキーム、再生可能ビートへの投資支援、バイオ燃料のマンデートに言及した。

エストニアは、自国では経済成長と排出量の増加が乖離していると強調し、ドーハ改定文書を批准したことを強調した。同代表は、緩和努力では運輸部門に焦点を当てると述べた。1990-1993年の急激な排出量の低下及び伐採率について質問があった。

ドイツは、1990年比で40%の排出削減という自国の2020年目標、80-85%削減という2050年目標を指摘した。次の点について質問があった:ドイツの目標とEUの目標の違い;FiT政策;廃棄物部門及び輸送(shipping)部門の排出量。

ギリシャは、排出削減の原因に関する質問に応え、自国の排出量が低下したのは、経済不況が原因である、しかし、非効率的な火力発電所の閉鎖及び再生可能エネルギーの割合増加などの政策措置で2020年にはCO2換算で合計40 Mtの緩和効果が期待されると指摘した。

ハンガリーは、次の点を指摘した:一人当たりのCO2排出量は低下している;気候変動に関する一般の意識は高まっている;第二次国家気候変動戦略が近く採択される。2020年の排出予測、緩和目標達成の目的で用いられる金融制度について質問があった。

アイスランドは、次の点を強調した:電力及び熱のミックスにおける再生可能エネルギーの割合は100%近く;自国の排出量における産業プロセスの割合の高さ;漁業、輸送、新規植林及び菜食性における緩和機会。同代表は、重工業政策に関する質問に応え、これらの部門はEU ETS及びフルオロカーボン規制の対象であると強調した。

アイルランドは、2001年以後、一人当たりGDPの排出量が急激に減少していると指摘し、非ETS排出量の45%は既に効率的である農業部門からのものであり、これが大きな課題だと強調した。輸送部門の緩和措置や戦略について質問があった。

日本は、2011年の地震が自国のエネルギー部門排出量に与えた影響を強調し、2020年の確固とした目標は自国の原子力発電所の再稼働の行方にかかっていると指摘した。日本に関しては、次のような質問が出た:日本の二国間クレジット制度のクレジットの共有、会計規則、国際的な検証。

廊下にて

ボン世界会議センターは、晴れ上がった木曜日を迎え、多数のものは、午前中のADP進捗状況報告で、「易しいものから難しいものへと」動くことで合意したことで、慎重ながら楽観的な見方を示した。しかし、午後、一部のものは、クラスター化した題目リストに基づき交渉文書の議論をするという新しく採用された手法で、プロセスが大きく前進するものかどうか、首をかしげていた。

あるベテランの参加者は、3日間で文書を5%削減したに過ぎないという難しい作業についてコメントし、「雰囲気は良いのだが、ペースは遅すぎる」と感じだと述べた。多数の参加者は、ジュネーブ文書は「慎重に取り扱う必要がある」と認識する一方、交渉に残された日数が減っていくことへの不安感を残しつつ、さわやかな夏の夕暮れの戸外に出てきた。

(IGES-GISPRI仮訳)

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