Summary report, 11 April 2016
43rd Session of the IPCC (IPCC-43)
IPCC第43回総会は、2016年4月11-13日、ケニア・ナイロビで開催され、117カ国から264名が参加した。
IPCCの議題項目は次の通り:IPCCプログラム・予算;報告書;利害相反方針(Conflict of Interest :COI)を含む手続き事項; 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC)やその他の国際機関に関する問題; 特別報告書(SRs) や戦略計画を含むIPCC第6次評価報告書 (AR6)の成果物;国別温室効果ガス(GHG)インベントリに関する方法論の更新; 気候分析のためのデータ及びシナリオ支援に関するタスクグループ (TGICA)の今後; AR6に関するコミュニケーション; IPCCライブラリーファシリティ; IPCC奨学金プログラム; 情報アクセスや会合へのアクセスに対する要望について検討するための決定経路。
IPCCの決定事項は次の4項目: IPCCプログラム・予算; AR6に関するコミュニケーション; 特別報告書; 及び戦略プラン。IPCCパネルは、3つの特別報告書(①産業革命前から1.5°Cの地球温暖化が進む影響やこれに関連する世界のGHG排出経路、②気候変動、砂漠化、土地劣化、持続可能な土地管理、食糧安全保障、陸域生態系のGHGフラックス、③気候変動・海洋・氷圏)を作成することで合意。また、IPCCパネルは、次回の評価サイクルの一環として、都市に関する特別報告書を作成することでも合意した。
IPCCの簡単な歴史
IPCCは、人為的気候変動、その影響可能性、適応オプション及び緩和オプションを理解することに関連性のある、科学的、技術的、社会経済的情報を、総合的、客観的、開放的、かつ透明性のある形で評価することを目的とし、1988年に世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)が設立した。IPCCは、政府間の科学的組織であり、195か国が加盟する。それ自体が新しく研究を行うことはなく、気候関連データをモニタリングすることもない。その代り、公表され、ピアレビューされた科学技術文献に基づき、知識の評価を行う。IPCC報告書は、政策関連性を目指すが、政策規範的ではない。
IPCCには次の3つの作業部会(WGs)がある:作業部会I(WGI)は、気候変動の自然科学的根拠を論じる;作業部会II(WGII)は、気候変動の影響、適応、脆弱性を論じる;作業部会III(WGIII)は、GHG排出量の制限及び気候変動緩和のためのオプションを論じる。各WGは、2名の共同議長及び6名の副議長を有する、ただし第5次評価報告サイクルではWGIIIの共同議長は例外的に3名であった。各共同議長は、作業部会によるパネル委託マンデートの順守を指導し、その課題実施においてはテクニカルサポートユニット(TSUs)の支援を受ける。
さらにIPCCは、IPCC国別GHGインベントリ・プログラムを監督する国別GHGインベントリに関するタスクフォースを有し、これも他と同じくTSUの支援を受ける。このプログラムは、国別GHG排出量及び除去量を計算し、報告を行うため、国際的に合意された手法論及びソフトウェアを開発し、精緻化し、これらのUNFCCC締約国での利用奨励を目指す。
パネルは、一つの評価サイクルの全期間を担当する議長団を選出する、その期間は5年から7年であり、1件のIPCC評価報告書が作成される。議長団は、全ての地域を代表する気候変動の専門家で構成され、IPCC議長を支援して、IPCCの業務計画を作成し、調整を図り、モニタリングする。現在、議長団は、34名のメンバーで構成されているが、これはIPCC-42で行われた選挙において、IPCC-41の決議に基づき31名から増員されたためである、この議長団には、IPCC議長と副議長、各WGの共同議長と副議長、TFI共同議長とその議長団が含まれる。2011年、IPCCは、会議間隙中の業務を支援し、WGs間の調整を図る目的で、執行委員会(ExComm)を設立した。ExCommは、IPCC議長、IPCC副議長、各WG及びTFIの共同議長、ならびにIPCC事務局長と4つのTSUsの長を含める諮問メンバーで構成される。IPCC事務局は、スイス・ジュネーブに置かれ、WMOがそのホスト組織となっている。
IPCCの成果物:IPCCは、その発足以来、一連の評価報告書、特別報告書(SRs)、テクニカル・ペーパーを作成、気候変動に関する科学的情報を国際社会に提供し、専門家及び政府による徹底したレビュー(査読)を受けてきた。
IPCC第1次評価報告書は1990年に完成、第2次評価報告書は1995年、第3次評価報告書は2001年、第4次評価報告書(AR4)は2007年、第5次評価報告書(AR5)は2014年に、それぞれ完成した。現在、評価報告書は、作業部会ごとに1部の3部構成となっている。各作業部会の評価報告書は、政策決定者向けサマリー(SPM)、テクニカルサマリー、及びその基となる評価報告書本文で構成される。各報告書の全てのセクションは、徹底した査読プロセスを経る、これには次の3段階がある:1回目は専門家による査読;2回目は専門家及び政府による査読;3回目は政府の査読である。その後、各SPMは、担当のWGにおいて、行ごとの承認を受ける。続いて、評価報告書全体を対象とする統合報告書(SYR)が作成され、3つの作業部会報告書で最も高い関連性のある項目をまとめる、その後、パネルは、SYRのSPMについて、行ごとの承認を行う。
IPCCはこれらの総合評価報告書に加え、気候変動に関係する特定問題に注目した特別報告書、手法論報告書、テクニカル・ペーパーを作成する。これまでのところ、特別報告書(SRs)には次のものが含まれる:土地利用・土地利用変化・森林(LULUCF) (2000年);二酸化炭素回収・貯留(2005年);再生可能エネルギー資源と気候変動の緩和(SREN) (2011年);気候変動の適応推進を目的とする極端な現象及び災害のリスク管理(SREX) (2011年)。作成されたテクニカル・ペーパーには、気候変動と水(2008年)に関するものがある。
これに加えて、IPCCは、各国のGHGs報告書作成を支援するため、手法論報告書及びガイドラインも作成した。グッド・プラクティス・ガイダンス報告書は、2000年と2003年にパネルの承認を受け、国別GHGインベントリに関するIPCCガイドラインの最新版(2006年IPCCガイドライン)は、2006年に承認された。さらにIPCCは、2006年国別GHGインベントリ・ガイドラインに対する2013年補足文書(湿地に関する補足文書)も採択、京都議定書から派生する補足手法及びグッド・プラクティス・ガイダンスの2013年改訂版(KP補足文書)も採択した。
「人為的気候変動に関する多くの知識を構築し、普及し、そのような変化に対応するために必要な基礎を築く」というIPCCの業務及び努力に関し、IPCCは、2007年12月、米国のアル・ゴア前副大統領と共同で、ノーベル平和賞を授与された。
インターアカデミーカウンシル(IAC)のレビュー:AR4の不正確さに関するIPCCへの公的な批判、及び批判に対するパネルの対応への批判に応じ、国連事務総長のBan Ki-moon及びIPCC議長のRajendra Pachauri(インド)は、IACに対し、IPCCのプロセス及び手順に関する第三者レビューを行い、IPCCの強化、及びその報告書の質を確保するため、提案を行うよう要請した。
IACは、2010年8月の報告書において、レビュー結果を提示し、特に次の項目に関し提案を行った:IPCCの管理組織構造;危機対応計画など、コミュニケーション戦略;参加者選抜基準、及び評価されるべき科学・技術情報のタイプなどでの透明性;各WGによる不確実性の定義の首尾一貫性。
IPCC-32:この会合(2010年10月11-14日、韓国・釜山)では、IACレビューの提案が議論された。パネルは、この問題に関し多数の決議を採択、これには、灰色文献及び不確実性の扱い、これまでの報告書における誤謬を議論するプロセスなどが含まれた。さらなる検討が必要な提案に関し、パネルは、プロセスと手順、コミュニケーション、COI政策、ガバナンスと管理に関するタスクグループを設立した。
IPCC-33:この会合(2011年5月10-13日、アラブ首長国連邦・アブダビ)では、主にIACレビューに対するフォローアップ行動に焦点が当てられた。パネルは、ExCommを設立、COI政策を採択し、IPCC報告書の手順では数か所を変更した。
IPCC-34:この会議(2011年11月18-19日、ウガンダ・カンパラ)では、IPCC報告書の作成、査読、受理、採択、承認、刊行の改定手続き書が採択されたほか、COI政策の実施手順及び情報公開様式も採択された。
IPCC-35:この会合(2012年6月6-9日、スイス・ジュネーブ)では、IPCC事務局及びTSUsの機能を承認、コミュニケーション戦略を承認し、IACレビューの提案に関するパネルの審議を終了した。
WGI-12及びIPCC-36:この会議(2013年9月23-26日、スウェーデン・ストックホルム)において、WGIは、そのAR5報告書を最終決定した:「気候変動2013年:自然科学的根拠」。その後、パネルは、WGI SPMを承認、テクニカルサマリー及び付属書を含む報告書本文を受理した。
IPCC-37:この会合(2013年10月14-17日、ジョージア・Batumi)において、パネルは、IPCCの将来作業に関するタスクグループの設置を決定した。さらに、2つの手法論報告書、湿地に関する補足文書及びKP補足文書を検討し、これらを採択した。IPCCは、IPCCの将来計画に関し、初期段階の議論を行った。
WGII-10及びIPCC-38:この会議(2014年3月25-29日、日本・横浜)では、AR5のWGII報告書を最終決定した:「気候変動2014年:影響、適応、脆弱性」。その後パネルは、WGII SPMを承認するため会合し、テクニカルサマリー及び付属書を含める報告書を受理した。
WGIII-12及びIPCC-39:この会議(2014年4月7-12日、ドイツ・ベルリン)では、AR5のWGIII報告書を最終決定した:「気候変動2014年:気候変動の緩和」。その後、パネルはWGIII SPMを承認、テクニカルサマリー及び付属書を含める報告書を受理した。さらにパネルは、特にCOP及びIPCCの将来作業について議論した。
IPCC-40:この会議(2014年10月27日-11月1日、デンマーク・コペンハーゲン)は、IPCCの3つのWGsの結論を統合するSYRについてレビューし、最終決定した。さらにパネルは、SYRのSPMについて行ごとに承認し、長文のSYRについては、セクションごとに採択した。
IPCC-41:この会議(2015年2月24-27日、ケニア・ナイロビ)では、TGFの提案に関するものなど、IPCCの将来作業について議論し、IPCC議長団及びTFI議長団(TFB)の人数、組織構造、構成を決定した。パネルは、次に関する決定も採択した:IPCCの成果物、その発行タイミング、有用性;IPCCの組織構造;IPCC事務局及びIPCC TSUsのそれぞれの役割;調整役代表執筆者、代表執筆者の選抜及び支援のためのオプション;執筆プロセス、査読プロセスの改善。IPCC議長Pachauriの辞任を受け、Ismail El Gizouli(スーダン)が、IPCC-42で新議長が選出されるまでのIPCC議長代行に任命された。
IPCC-42:この会議(2015年10月5-8日、クロアチア・Dubrovnik)では、IPCC議長、IPCC副議長、WG及びTFB共同議長、WGs副議長とTFBのメンバーを含めるIPCC議長団メンバーならびにTFBを選出した。パネルは、Hoesung Lee (韓国)を第6次評価サイクルのIPCC議長に選出した。
IPCC-43報告書
4月11日(月)、ケニアの環境自然資源地域開発省の首席事務局長であるCharles Sunkuliは、内閣府局長のJudi Wakhunguの代理として開会のスピーチをした。同局長は、気候系に関する最新の偏見のない評価であるAR5を作成したとしてIPCCを祝し、このAR5は、パリ協定に関するUNFCCC交渉に科学的根拠を提供する役割を果たしたと述べた。同局長は、ケニアは気候変動に脆弱であると指摘し、気候変動を国内開発計画の本流に据えようとする同国政府の努力に焦点を当てた。
UNEP専務理事であるAchim Steinerは、現在の立場では最後となるIPCCへのメッセージの中で、ケニアは気候変動の緩和に関する最前線で開拓者の役割を果たしたとして、これを称賛した。同専務理事は、IPCCの役割決定では、今後の数年が重要だと強調し、パリ協定、特に産業革命前より1.5℃の温暖化、2℃の温暖化で抑えるために必要な急激な転換を議論するといった、パネルのこれからの課題を指摘した。同専務理事は、IPCCにおけるUNEP及びWMOの包括的な役割を指摘し、2つの国連機関が費用を出しあい一つの事務局を持つというのは、IPCCの特異な資産であることを認識するよう求め、同時に、IPCCの独立性及び健全性は、最も重要な強みであることには疑う余地がないと強調した。
WMOのDavid Carlsonは、「画期的なものだが脆弱でもある」パリ協定を称賛し、IPCCの作業はパリ協定の成否に重要な役割を果たすとみられると指摘した。同氏は、WMOとUNEPは常に同調しているわけではないが、IPCCの支援は両者の固い約束であると述べた。同氏は、ほんの1週間前、マウナロアで407.3 ppmという一日としては最高レベルの二酸化炭素濃度が計測されたと強調、多様な計測値は、考えられてきたよりも早い時期での、深刻な地球温暖化の到来を示していると強調し、温暖化の急速な進展は、Coupled Model Intercomparison Project Phase 6 (CMIP6)モデル(アンサンブル・モデル相互比較プロジェクト第6フェーズ)など、モデル構築に課題を課すことになり、SRs及び他の成果物の作成を複雑なものにすると述べた。
UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、ビデオメッセージの中で、IPCC-43の出席者に対し、「パリ協定という眼鏡を通して、答えを探す」よう求め、産業革命前水準比で1.5℃の地球温暖化、及びこれに関係するGHG排出経路に関するSR(1.5°C SR)というUNFCCCの要請に前向きに回答するよう促した。同事務局長は、IPCCは我々の惑星を健全な方向へ導くために必要な科学的理解を高め続けていくと確信していると表明した。
IPCC議長のHoesung Leeは、AR6サイクルを開始し、評価すべき重要な新しい資料を指摘し、1.5℃SRなど、IPCCがパリ協定を支援できる方法を指摘し、定期的なグルーバル・ストックテイクに情報を伝えていくことへの熱意を共有した。同議長は、今後の作業に関し、解決策や効果的なコミュニケーション、政策決定者向けの地域関連情報に焦点を当てることを推奨した。
議題書の採択:月曜日午前中、IPCC議長のLeeは、本会合の議題書(IPCC-XLIII/Doc.1及びAdd.1)を提起した。英国は、IPCC事務局長任命に関する最新情報を議題書に追加するよう求めた。パネルは、暫定議題書を改定されたとおり、採択した。
第42回総会報告書案の承認:月曜日、IPCC議長のLeeとIPCC事務局長代行のMannava Sivakumarは、IPCC-42報告書案(IPCC-XLIII/Doc.12)を提出した。パネルは、ベルギー提案の編集上の変更を行い、この報告書を採択した。
IPCCプログラム及び予算
この議題項目(IPCC-XLIII/Doc.2)は、初めに月曜日に審議された。ニュージーランドとモルディブを共同議長とする資金タスクチーム(FiTT)は、会合期間中、会合し、水曜日のパネルの審議にかける決定書改定案(IPCC-XLIII/CRP.6)を提出した。
IPCC事務局長代行のSivakumarは、この議題項目を提起し、次の項目に関し説明した:IPCC-42で承認された2016年予算と比べた調整;2017年予算の変更;現在想定されている2018年予算;2019年予算の見通し(IPCC-XLIII/Doc.2);可能な資金源及びAR6サイクルにおける資金的ニーズ(IPCC-XLIII/INF.1、INF.2 Rev.1、INF.2 Rev.1 Add.1)。
IPCC事務局長代行のSivakumarは、2004年から2015年にかけてIPCC信託基金への寄付金額が継続的に減少しており、最近では総額自体が減少していると指摘し、この傾向が続くなら、2017年までに貯蓄額は消滅すると指摘し、資金源動員が緊急に必要であると強調した。
議論の中で、米国、カナダ、ドイツ、日本、スイス、ノルウェー、ベルギー、その他は、この状況に対する懸念を表明し、WMO及びUNEPの長、IPCC議長のLeeが率先して努力し、高度な目標を定めたアウトリーチ活動を実行するよう求めた。
UNEPは、UNEPの支援について再度指摘し、コストや費用節減のための、臨時の、そしてその他の寄付などにより、近く追加約束が出てくると指摘した。同代表は、少数の加盟国に注目するのではなく、寄付者の範囲を広げることが重要だと強調した。
カナダは、1国またはそれ以上の国が、信託基金に寄付するのではなく、SRに資金を提供できるかどうか、
議論するよう求めた。日本は、収入源の多様化を探求するという事務局の提案を歓迎したが、IPCCの中立性、独立性が重要であると強調した。
EUは、オブザーバーとしての立場から、EUの寄付は条件付きのものであると指摘し、信託基金ではなく、各プロジェクトに向けられると指摘した。同代表は、EUは資金を適切とみなされるものに用いるというIPCCの独立性を尊重することを保証するとし、オプションや改善策を議論するにやぶさかでないと表明した。同代表は、たとえば基金やチャリティーなど、パネルの十全性に影響を与えないような他の資金源についても検討するよう求めた。ブラジルは、民間の資金源の利用について警告し、一部の慈善団体の資金は活動によっては有用だが、基幹予算はパネルのみが主導すべきだと述べた。
マリは、IPCCの作業支援では、緑の気候基金によるものなど、UNFCCCを通して資金調達を探るよう提案した。
サウジアラビアは、IPCCは常に何とかしてきたではないかと指摘し、今回もそうなると確信すると表明したが、同時に、適切な計画策定の必要性を強調した。
4月13日(水)、FiTT共同議長のHelen Plumeは、同グループでの議論について報告し、改定文書(IPCC-XLIII/CRP.6)を提出した。パネルは、この決定書に多少の変更を加えて採択した。
成果:決定書において、IPCCは、FiTTの提案に基づき、下記を行った:
- 2016年改定予算案の多様な項目ごとの修正を承認した;
- IPCC-42において留意された予算案と比較して修正を加えた2017年改定予算案に留意した;
- 附属書6及び附属書7で提案される通りの、2018年及び2019年暫定予算に留意した;
- WMO及びUNEPのIPCC信託基金に対する寄付、並びにそれぞれ1名の事務局職の人件費拠出に対し、両組織への感謝の意を表し、WMOに対し、事務局のホスト組織となっていることに感謝し、UNFCCCのIPCC信託基金への寄付に対し感謝した;
- 途上国を含める各国政府のIPCC信託基金に対する多額の寄付に感謝の意を表明するとともに、特にTSUs、データセンター、会議場、アウトリーチ活動など多数のIPCC活動への各国政府の支援に対し、格別の感謝を表した。
さらにパネルは、次を行った:IPCC信託基金に対する寄付の件数及び寄付額水準の低下に対する懸念を指摘した;議長及び事務局に対し、IPCC副議長の支援を受け、この低下傾向を逆転する努力の一つとして、資源動員キャンペーンを開始するよう要請した;議長及び事務局に対し、多様な資金源の最高指導者を宛先とする全メンバーへの書簡を作成し、WMO事務総長及びUNEP専務理事の署名を得るよう要請した;事務局に対し、資金動員努力の成果をIPCC-44に報告するよう要請した。
加えて、パネルは、各国が2016年も多額の寄付を維持するよう要請し、可能な立場にある政府に対し、IPCC信託基金への寄付額水準を引き上げるよう求め、まだ寄付を行っていない国の政府に対し、寄付を行うよう求めた。
オブザーバー組織の承認
月曜日、IPCC事務局長代行のSivakumarは、本議題項目(IPCC-XLIII/Doc.4)を提起し、事務局はIPCC-42以後、4件の新規申請を受理しており、この中には既にUNFCCC及びUNEPの認可を受けた組織が3件含まれると指摘した:経済協力機構;米国のエール大学;英国のロンドン大学である。4件目は、Future Earth Internationalであり、既にUNFCCC、UNEPもしくはWMOの認可を受けていない組織に対し求められる追加文書を提出済みである。IPCC事務局長代行のSivakumarは、事務局はこの4件全ての申請承認を推奨、続いて議長団もその第50回会合において承認を推奨したと述べた。事務局は、中国新竹市のIndustrial Technology Research Institute (ITRI)について、オブザーバーの地位の再申請を提案した、これはこの組織が別な名称でUNFCCCの認可を受けていることが判明したためである。
米国は、この議題項目の結論を出す前に「事実が提示されたとおりかどうか確認する」ため、追加審議を行う時間を要求した。パネルはこの項目の審議に戻らなかった。
報告書
コミュニケーション及びアウトリーチ活動:4月12日(火)、IPCC事務局のJonathan Lynnは、この件の報告書(IPCC-XLIII/INF.5)を提出し、UNFCCC第21回締約国会議(COP 21)に至るまでの野心的なコミュニケーション活動の実施を指摘した。同氏は、強力なアウトリーチを維持するため、高額の支援を継続するよう求め、UNFCCC COP 21におけるIPCCの存在感の強さを強調した。同氏は、コミュニケーションに関する極めて有用な専門家会合に注目し、この会議の提案は今後数カ月のうちに議論されることになると述べた。パネルはこの報告書に留意した。
TSUs設置状況:火曜日、WGI共同議長のValérie Masson-Delmotteは、WGI TSU設立に関する進捗状況を報告し、フランス政府の支援に感謝した。同共同議長は、予算は年130万ユーロ、パリ・サクレー大学(University of Paris-Saclay)がホスト組織になると述べた。
WGII共同議長のHans-Otto Pörtner は、WGIIのTSUに関する予算交渉の最終決定は近いと指摘し、このTSUは、ドイツのポツダムにあるアルフレッド・ウェゲナー海洋極地研究所ヘルムホルツセンター(Alfred Wegener Institute Helmholtz Centre for Polar and Marine Research)がホスト組織となり、南アフリカでも運用されると述べた。
WGIII共同議長のJim Skeaは、WGIIIのTSUは、インペリアル・カレッジ・ロンドンの環境政策センター(Center for Environmental Policy, Imperial College, London)及びインド経営大学院・アーメダバード校(Indian Institute of Management, Ahmedabad)をホスト組織とすると指摘した。同共同議長は、契約交渉は理想的なものよりは遅れているが、英国の予算サイクルのために必要な遅れであると述べた。
TFI共同議長のKiyoto Tanabeは、TSUは引続き、日本の神奈川にある地球環境戦略研究機関(IGES)を本拠とすると述べた。
サウジアラビアは、TSUsにおいて途上国が十分に代表されていること、特に報告書において各地域の問題が確実に取り上げられているかどうかの確認が重要だと強調した。
TGICA:専門家会合:火曜日、事務局は、2016年1月26-27日にスイスのジュネーブで開催されたTGICA専門家会合の報告書(IPCC-XLIII/INF.10 Rev.1)を提出した。事務局は、この会議ではIPCCのニーズに関係したTGICAの将来の役割について、一連の重要な点及び提案が作成されたことに注目した。事務局は、大半の参加者はTGICA及びIPCCデータ流通センター(DDC)の継続を提案したと指摘した。
パネルはこの報告書に留意した。
TFI:TFI第27回会合:火曜日、TFI共同議長のTanabeは、2015年11月16-18日に日本の葉山で開催されたTFI会合の報告書(IPCC-XLIII/INF.11)を提出した。同共同議長は、この会議ではTFIの新しく選出されたメンバーにTFIに慣れてもらったほか、将来活動について議論したと述べた。同共同議長は、この会議ではIPCCインベントリ・ソフトウェア及びIPCCインベントリ・ガイドラインについても議論したと指摘した。同共同議長は、戦略計画で提案されている新規の手法論報告書の作成は2006年IPCCガイドラインを改定するのではなく、さらなる精緻化を図るべきとする同会議の提案を想起した。
パネルはこの報告書に留意した。
IPCC排出係数データベース(Emission Factor Database (EFDB))第13回編集理事会会合:火曜日、TFI共同議長のEduardo Calvo Buendíaは、日本の葉山で2015年11月18-20日に開催されたこの会合の報告書(IPCC-XLIII/INF.13)を提出した。同共同議長は、この会議では新規の、そして残されていたデータの提案を評価し、EFDBの改善方法について議論したと述べた。同共同議長は、専門家が提出し、TSUsが取りまとめ、参加者が提出した613件の新規及び残余のデータのうち367件の排出係数に関するデータが受理され、この会議の成果として、データベースに組み込まれたと指摘した。
パネルはこの報告書に留意した。
EFDB収集及びソフトウェア・ユーザーのフィードバック収集を目的とする専門家会議:火曜日、TFI共同議長のBuendíaは、日本の神戸で2015年11月25-28日開催されたこの会議の報告書(IPCC-XLIII/INF.12)を提出した。同共同議長は、この会議の目的はインベントリ・コンパイラーによる2006年IPCCガイドライン及びIPCCインベントリ・ソフトウェアの利用を支援することだと指摘した。米国は、TFBに対し、パリ協定の目的達成のため、キャパシティビルディングに関するUNFCCCとの建設的な作業を奨励した。TFI共同議長のBuendíaは、TFIは既にUNFCCCとキャパシティビルディング支援協定を締結していると保証した。
パネルはこの報告書に留意した。
コミュニケーション専門家会合:火曜日、IPCC 事務局のJonathan Lynnは、2016年2月9-10日にノルウェーのオスロで開催されたこの会議の報告書(IPCC-XLIII/INF.6)を提出した。同氏は、議論されたのはAR5サイクルにおけるコミュニケーション及びアウトリーチ活動での学習事項とAR6への提言であると指摘した。
スイスは、「stakeholder(利害関係者)」という用語の意味を明確にするよう求めた。IPCC副事務局長のCarlos Martin-Novellaは、「利害関係者」とは、内部構成員ではなくアウトリーチ関係に用いられているとし、「利害関係者」はIPCCコミュニケーション戦略で定義されていると強調した。
パネルはこの報告書に留意した。
手続き上の問題
IPCC COI政策のレビュー:この項目(IPCC-XLIII/Doc.3)は、初め、火曜日に審議された。議論の後、事務局は、パネルの審議用の改定文書(IPCC-XLIII/CRP.3)を提出した。
IPCC COI委員会議長のYouba Sokonaは、COI政策は運用可能となっており、3年間うまく機能してきたと報告した。しかし同議長は、情報公開用の様式では提供される情報量が少ないとの懸念が常時あり、それがCOI委員会による、利益相反の可能性評価に課題をもたらしており、次のマンデートを有する小委員会設立の提案を招いていると述べた:COI情報公開様式の改定;全てのCOI情報公開様式の提出に職歴書(curriculum vitae (CV))貼付を求めるよう、規則の適用範囲を拡大する;COI委員会の人数を削減する、または構成を変更することの是非を検討する;COI問題に関し助言を行う専門家諮問グループ(Expert Advisory Group for Advice on COI Issues (EAG))が、COIプロセスで果たす役割、またはその参加を維持するか、変更するか、その場合の利点及び欠点を検討する;WGsのCOIプロセスを維持するか、それとも変更が必要かどうか、そして/または望ましいかどうかを検討する。
議論の中で、米国、スイス、ドイツ、英国、マリは、小委員会の設立を支持した。米国は、CVs貼付要請の拡大、及び3万スイスフランの諮問サービス予算の必要性について、明確にするよう求めた。マリは、これまでのCOI政策の実績を評価するためのアセスメントを要請した。COI委員会委員長のSokonaは、同委員会はこのような提案の全てを検討すると示唆した。
サウジアラビアも小委員会設立を支持したが、その決定を行う前に、CV添付要請に関するマンデートの要点、及び委員会の構成について、更なる審議を行うよう要請し、議長団に対し、次回会合でこれらの項目の更なる精緻化を図ることを提案した。
水曜日、IPCC COI委員会委員長のSokonaは、提案書(IPCC-XLIII/CRP.3)について説明した。サウジアラビアは、EAGの役割、及びWGsのCOIプロセスの維持または変更の必要性/望ましいかどうかに関する2件の提案を削除するよう要請した。米国は、結果に予断を加えないため、「人数削減(downsizing)」という表現を「委員会構成変更の評価(evaluating changing the composition of the Committee)」に変更するよう提案した。
更なる改定の後、パネルは、改定通りの文書を採択した。
成果:当該文書は、これまでのAR6 COI委員会の実施の概要、及び機能の評価を記載する。この文書は、COI政策及びその実施アレンジをレビューし、特定問題や懸念の解決策を提案し、IPCC-44での審議及び決議にかけることをマンデートとする小委員会の設立を推奨する。
この小委員会のマンデートには次を含める:
- 完全で、関連性のある情報の提供を勧め、確実にすることを目的とするCOI情報公開様式の改定;
- IPCC規則の適用範囲を拡大し、COI情報公開様式提出時のCV添付要請の有用性を考慮;
- COI委員会の構成を変更することの利点及び欠点の考察、またはその作業や会議への全面的かつ有効な参加を続けることを確保するための他の措置の利点及び欠点の考察
将来のIPCC議長団の人数、構成、組織構造:この項目(IPCC-XLIII/INF.14)は、火曜日に審議された。IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、IPCC-41において、将来の議長団の人数、組織構造及び構成を決定する手法及び基準に関してはIPCC-43で審議を開始することが合意されていると指摘した。同副事務局長は、パネルの方で、事務局に対し、文書に記載される情報の更なる分析を行い、提案をパネルに提出するよう要請することを提案した。同副事務局長は、IPCCの規則の一つは、5年ごとの規則の再検討であると指摘し、事務局からパネルへの提案提出を、2018年以前に終了するはずのレビューに合わせて行うことを提案した。パネルは、この提案に同意した。
UNFCCC及び他の国際機関に関係する問題
UNFCCC COP 21のフォロー:この項目(IPCC-XLIII/INF.4) は、火曜日に審議された。IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、UNFCCCのCOP 21、京都議定書第11回締約国会合、科学的技術的助言に関する補助機関第43回会合の数件の決定書では、IPCCが明示及び暗示されていたと指摘し、事務局は、関連条項を抽出し、IPCC作業及び作成文書プログラムにグループ化したと説明した。同副事務局長は、IPCC議長団はパネルに対し、AR6サイクルの計画策定においてはこれらのUNFCCCの成果を考慮に入れることを推奨したと述べた。
全球気候観測システム(GCOS)は、同機関では適応及びUNFCCC支援方法に関するものも記載する気候観測システム現況報告書に続き、現在、実施計画を作成中であり、2016年6月、7月には公表され、COP 22に提出される予定であると発表した。同代表は、全ての締約国がこの作業に貢献することを奨励した。
パネルは議長団の提案に同意した。
第6次評価報告書 (AR6)
特別報告書:この項目(IPCC-XLIII/Doc.8、INF.7、INF.8、Add.1、INF.9、INF.19)は、最初、月曜日のプレナリーで審議された。火曜日の更なる議論の後、IPCC副議長のKo Barrett及びYouba Sokonaを共同議長とするコンタクトグループが結成された。このコンタクトグループは、火曜日の午後と夜、及び水曜日1日中会合し、水曜日午後のプレナリーに、決定書草案文書(IPCC-XLIII/CRP.4)を提出した。
この議題項目を提起するにあたり、IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、特別報告書の主題として31件の提案が受理され、これらを9つのクラスターにまとめたと説明した。同副事務局長は、WG共同議長はパネルに対し次のように提案したと報告した:1.5°C SR作成というUNFCCC COPの要請を受諾;クラスターA(土地利用)、B(海洋及び氷雪圏)、F(1.5°C案を含める排出経路)、I(都市)の中から1件またはそれ以上の追加SRsを作成することで合意;WGsに対し、AR6スコーピング作業中に提出された主題の審議を要請;AR6における地域要素向上オプションの審議。
SRsの議論では次の項目に焦点が当てられた:AR6サイクル中に実施可能な形で作成できるSRsの件数;主題の選択;地域要素の扱い方。
SRsの件数:報告書の作成件数は、結局のところ、主題及びクラスターに関する意見交換により動かされた。しかし、時間的、資金的、人材面の制約は広く認識され、長時間議論された。
IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、2件のSRsの取りまとめを可能にするタイムラインを提示し、2件のSRs作成完了は実施可能だが、3件を完了させるには、他の活動とかなり重複させる必要があると指摘した。WGIII共同議長のSkeaは、3件の報告書作成は一定の条件下では「必ずしも不可能ではない(not necessarily impossible)」と述べた、その条件とは:地域別の章を作成しない;詳細なタイムラインがある;WGsは他の組織の職員及びTSUによる支援を見込む。
WGIII共同議長のSkea及び数名の参加者も、SRの作業負担が重ければAR6が圧縮された不適切なものになる可能性があり、さもなければ提供したいSRsの質や詳細さに影響するリスクがあるとして、懸念を表明した。数名の参加者は、3件のSRsをこのサイクルの間に完成させる現実性は疑わしいとし、AR5では2件のSRsが刊行されたが、その最初のSRのスコーピングは、サイクル開始前に終了していたと指摘した。
WGI共同議長のMasson-Delmotte及びWGII共同議長のPörtnerは、人材能力の意味では、執筆者がかなり重複すると予想され、第3の報告書作成はかなり挑戦的だと指摘した。一部の国は、3件の報告書作成を支持し、IPCCプロセスへの参加に熱意を持つ若い途上国出身執筆者が多数いることを指摘した。
資金源に関し、チリは、「資金はいつも見つけられるものだ」とコメントした。南アフリカは、SRの主題が資金の提供を促してきたと指摘し、パネルがこれらの主題のSRs作成ではなく、AR6への統合を選択するなら、資金が直ちに提供されない可能性があると警告した。
参加者は、主題が決定されるまでは、2件の報告書作成かそれとも3件かで意見が分かれていた。
提案されたSRの主題:1.5℃のSR作成では、広範な意見の一致があり、他の3つのクラスター(土地利用、海洋と雪氷圏、都市)については、それぞれ強力な支持者グループが主唱していた。
WGI共同議長のMasson-Delmotteは、1.5℃のSRに対するWGIの強い関心を指摘し、さらに地域的側面の議論にも関心があり、別な報告書にする可能性もあると指摘した。
WGII共同議長のPörtnerは、海洋についてはWGIIで扱うことを希望すると述べ、過去最大の珊瑚の白化現象など、最近の影響を強調した。WGII共同議長のDebra Robertsは、都市には分野横断の特性があり、都市化及び都市からの排出量の現在の動向から、都市の主題を主唱した。
ニュージーランドは、多数の支持を得て、一部の事例では広範な主題を提案しているが、これは詳細な調査を可能にするSRの価値を薄める危険があると警告した。SRsに選ばれなかった主題について、参加者及びIPCC議長のLeeは、AR6で詳細を議論することになると強調した。
1.5°C SRを含める排出経路クラスターに関し、UNFCCC COP 21の要請優先では全体的に強い支持が見られた。セントルシアは、セントクリストファー・ネイビスとともに、1.5℃のSRを排出経路に関する他のSR提案と組み合わせることへの懸念を表明し、これはCOPの特別要請より広範なものになると述べた。
サウジアラビアは、1.5℃のSR作成の決定のいかなるものにも、持続可能な開発、貧困撲滅及びパリ協定第2条(目的)への明確な言及を含めるよう求めた。
セントルシア、ノルウェー、ドイツ、英国、セントクリストファー・ネイビス、スペイン、米国、ニュージーランド、日本、フランス、ソロモン諸島、ハンガリー、チリ、EU、その他は、サウジアラビアの提案に反対し、表現を簡単にし、内容についてはスコーピング・プロセスに委ねるよう促した。ブラジルは、持続可能な開発及び貧困撲滅努力への言及への抵抗に驚きを表明した。
米国、ノルウェー、カナダは、IPCCはUNFCCCの交渉とは異なる形で運営されてきた歴史があり、問題を克服し、解決策を探ることに焦点を当てる学際的な組織に留まっておくべきだと強調した。
サウジアラビアは、パネルはUNFCCCの要請を「パリ協定の考えの下(in the context of the Paris Agreement)」で受け入れ、「気候変動の脅威、持続可能な開発、貧困撲滅努力に対する地球規模の対応を強化するとの考えにおいて(in the context of strengthening the global response to the threat of climate change, sustainable development, and efforts to eradicate poverty)」この主題のSRの作成を決定するという妥協的な表現に同意した。その後、パネルのメンバーは、1.5℃報告書の作成実行で合意した。
土地利用クラスターに関し、オーストラリア、日本、オーストリア、セネガル、チャド、カナダ、シンガポール、イラン、インドネシア、ノルウェー、ロシア、ベネズエラ、その他は、この分野のSRを支持した。ハンガリー、ルクセンブルグ、モーリシャスも、3件目のSRを行える場合はこのオプションを支持すると述べた。
土地利用SRの具体的な表現については、広範な議論が行われた。サウジアラビア、イラン、ヨルダン、ブラジルは、砂漠化及び土地の劣化に特に焦点を当てることを強調した。ソロモン諸島は、このSRにおいてピート土壌の劣化や火災を取り扱うよう提案し、スイスは、山岳部の調査を支持した。ノルウェー、英国、ハンガリー、チリ、オーストリア、その他は、森林への言及を求めたが、ブラジルは反対した。ロシアは、土地管理システムへの言及を提案し、サウジアラビアとともに、マイナスの排出量への言及を提案した。
ニュージーランド及びベネズエラを進行役とする草案作成グループは、土地利用クラスターの焦点を次のように推敲し直した「気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食糧安全保障(climate change, desertification, land degradation, sustainable land management and food security)」。参加者は、これに「及び陸域生態系のGHGフラックス(and GHG fluxes in terrestrial ecosystems)」を追加し、このSRの作成を支持した。
海洋及び雪氷圏のクラスターに関し、多数のものは、この主題への関心を表明した。モナコは、強力な支持を表明し、資金の提供を申し出た。フランスは、海洋のSRに沿岸部の都市、インフラ、海面上昇、食糧安全保障などの側面も含めるよう求めた。メンバーは、「気候変動と海洋及び雪氷圏(climate change and oceans and the cryosphere)」との主題を決定し、このSRの作成を支持した。
都市に関し、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ、ハンガリー、パキスタン、デンマーク、その他は、この分野でのSRに対する関心を表明した。ノルウェーは、そのような報告書はIPCCにとり革新的な作業になり、新たな読者、利害関係者に達せられる可能性があると指摘した。英国は、この主題は、SRにクロスカッティングな取扱いを提供するという利点があると付言した。
全ての主題に対する支持の継続及びSRsを3件以下に制限する必要性を認識した上で、米国、セントルシア、ソロモン諸島、モルディブ、セントクリストファー・ネイビス、ルクセンブルグ、インドネシア、メキシコ、EU、ドイツ、ベネズエラは、AR6サイクルにおける土地利用及び海洋・雪氷圏のSR作成を支持、AR6で都市を強調し、AR7サイクルにおいて都市のSR作成を打ち出すことを支持した。南アフリカは、この妥協案は支持できるが、都市に関するSRがAR7の一部として作成されることを、特に決定書に盛り込むよう要請した。セントルシアは、AR7以前の関連文献の作成を推進するため、都市と気候変動に関する重要会議を開催するよう提案した。AR6における都市問題の取扱い改善に加え、南アフリカ及びセントルシアの提案は同意可能であることが確認された。
AR6において地域の側面を扱うとのオプションに関して短時間の議論が行われ、その後、参加者は、AR6においては地域の側面が大きな役割を持つが、SRには指定しないことで合意した。この問題に関する更なる議論は、下記の戦略計画の項にまとめられた。
コンタクトグループにおいて達成された理解(IPCC-XLIII/CRP.4)に基づき、パネルは、改定された決定書を採択した。
採択の後、ブラジルは、途上国メンバーの参加を強化するとの観点から、1.5℃のSR作成のホスト国となることを申し出た。ドイツ、フランス、セントルシア、英国、ノルウェー、米国は、この提案は慎重に審議する必要があると指摘し、SRsの作成はWGs次第であると強調した。
ベルギーは、議長団の方で、SRsを含めるIPCC成果物のそれぞれの適切な分量を定める方法を議論することを提案し、時間がたつにつれ長さが「膨らむ(inflation)」と指摘、ルクセンブルグ、チリ、スーダン、モルディブ、エジプト、サウジアラビア、ノルウェーもこれを支持した。
成果:決定書において、パネルは下記を決定した:
- IPCC-XLIII/Doc.8に記載するSR作成案に含まれる主題は全て重要であり、一連のAR6の作成文書で取り上げられるべきである;
- パリ協定の内容に基づき、産業革命前の水準比で1.5℃以上の地球温暖化の影響、及びこれに関係する地球規模GHG排出経路に関する特別報告書を2018年に提供するようにとのUNFCCCの招請を受け入れ、気候変動の脅威、持続可能な開発、貧困撲滅努力に対する地球規模の対応強化の考えの下、この主題に関するSRを作成すると決定する;
- 気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食糧安全保障、及び陸域生態系のGHGフラックスに関するSRを作成する。そのスコーピング・プロセスでは、適応及び緩和の両方の課題及び機会を議論する可能性がある。
- 気候変動と海洋及び雪氷圏に関するSRを作成する;
- AR6スコーピング・プロセスにおいては、気候変動が都市に与える影響の評価、及びその固有の適応及び緩和の機会の導入を強化し、地域問題の扱いでは、さらに人間の居住、都市地域などに焦点を当てる章で、都市実務者の参加を強化するなど、都市に関する考察を強化する;
- AR7サイクルでは、気候変動と都市に関するSRの作成を含める予定;
- 学術界、都市実務者、関連の科学組織及び機関との協力作業を検討し、気候変動と都市の主題に関する科学報告書及びピアレビューされた文献の作成を推進すべく、AR6サイクルの早い時期に気候変動と都市に関する国際的な科学会議を企画する;
- AR6のスコーピング・プロセスにおいては、地域問題の扱いを議論し、強化するための手順を検討する。
戦略計画:この項目には、AR6のタイムラインの主要な戦略的考察及びAR7作成の考察の概要を紹介するAR6-戦略計画とAR6-情報文書(IPCC-XLIII/Doc.9、INF.19)が含まれ、月曜日に第1回の審議が行われた。議論の後、パネルは、意見の一致が出てきつつあることを考慮し、事務局において決定書草案を作成することで合意した。事務局は、水曜日、パネルの審議にかける決定書草案改定版(IPCC-XLIII/CRP.5)を提出した。
戦略計画に関する議論では、IPCC副事務局長のMartin-Novellaが説明した項目に焦点が当てられた、これには次のものが含まれた:AR6評価サイクルにおいて、特別報告書(SR)を1件、2件、またはそれ以上作成するかどうか;AR6評価サイクル中に手法論報告書を作成すべきかどうか;地域の評価をAR6の本文に統合すべきか、独自の追加文書に含めるべきか、それとも両方を行うべきか;AR6評価サイクルの全体の長さ、及びWGI、WGII、WGIIIの報告書の考察とSYRの間に6カ月の間隔がとれるようSYRの考察期限を延長するのは適切かどうか;必要な場合、専門家査読、政府査読、政府/専門家査読を6週間に短縮することを許可する。同副事務局長は、パネルに対し、AR7作成のオプションについて、予備的な考察を進めるよう求めた。SRsに関係する議論は、上記SRsに関する議題小項目でも論じられている。
WGI共同議長のMasson-Delmotte及びPanmao Zhai、WGII共同議長のPörtner及びRoberts、WGIII共同議長のPriyadarshi ShuklaとSkeaは、IPCC副事務局長Martin-Novellaの戦略計画文書提出に応じて、考察分野に関するWG共同議長及び副議長間の協議結果を明らかにした。
IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、AR6サイクルを2022年以後まで延長するか、政府によるアウトプットの査読期間を調整するかを決定する必要があり、他の問題においても決定する必要があると指摘した。
地域の評価をAR6本文に組み込むか、独立した別冊とするか、両方を作成するかどうかに関し、WGII共同議長のPörtnerは、WG共同議長の提案について説明し、AR6においては地域の側面を強化する必要があると指摘、これをクロスカッティングイシューとして扱い、地域問題専門の報告書を4冊目として提出することを提案した。
多数の参加者は、3冊のWG報告書と同時に、地域の側面を専門に扱う4冊目を、WGs共同で作成するとのWG共同議長の提案を歓迎する一方、地域の側面を最善の形で統合的に扱うことの重要性、及び更なる審議の必要性を強調した。マダガスカル、ロシア、ブラジル、ベネズエラは、地域の側面を別冊にしないことを希望した。
AR6サイクルの延長に関し、延長しても2022年を超えないとする方向で意見の一致が見られた。カナダは、多数の支持を得て、科学者が報告書の実質的な内容について作業する時間を追加するため、AR6のスコーピング・プロセスを前倒しして、可能な限り早期に開催するよう求めた。同代表は、専門家が最善の貢献を行える分野で、最も効率の良い形で用いられることを確保するため、WGsを横断するスコーピングを取り入れるよう提案し、参加者もこれに同意した。
米国、サウジアラビア、日本、キューバ、中国、その他は、AR6サイクルにおいて、専門家査読及び政府査読の期間を8週間から6週間に短縮することに反対した。IPCCの評価サイクルを、UNFCCCプロセス、特に2023年及びその後5年おきとなるグルーバル・ストックテイクに合わせることに関しては広範な支持が見られた。米国、ノルウェーは、AR6サイクル終了前の早期のAR7の選挙を支持した。ノルウェーは、IPCC議長については議長団の選挙とは別に、より早い時期で選挙するよう求めた。
水曜日、IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、改定された決定書草案を提出した、この文書はSRs、GHGインベントリの手法論報告書、AR6及びSYRのタイムラインを記載する。
ノルウェー、英国、ハンガリーは、3件全てのSRsとAR6のタイムラインをどのように調整するかを示す、詳細なタイムテーブル改定版を作成するよう要請した。
米国は、IPCC-44を12月から10月に早め、1.5℃のSR作成を可能な限り早く開始できるようにすることを提案した。
サウジアラビアは、土地利用に関するSRの概要はIPCC-45で検討すると特定することを提案した。
カナダは、決定書草案には、IPCC評価サイクルとUNFCCCプロセスとを同調させること、政府及び専門家の査読期間を短縮しないこと、1.5℃のSRに関するものなど、意見の一致が見られた項目の大半が捉えられていないとして、懸念を表明した。米国は、事務局による改定文書作成を提案した。時間的な制約があり、パネルは、口頭で改定された決定書を採択することで合意し、IPCC事務局は、後日、これらの改定を実行することが期待される。
成果:口頭で改定された決定書において、IPCCは下記を決定した:
- 2016年10月のIPCC-44において、1.5°C SRの概要を審議し、この主題のSR草案の承認についてはIPCC-48においてパネルが審議する;
- 土地利用に関するSRの概要はIPCC-45で審議される;
- 土地利用に関するSRの草案はAR6サイクルの可能な限り早い時期に議論される;
- 海洋及び雪氷圏に関するSRの草案は、AR6サイクルの可能な限り早い時期に議論される;
- GHGインベントリに関する手法論報告書の概要は、2016年10月のIPCC-44において議論される;
- GHGインベントリに関する手法論報告書の草案は、IPCC-49のパネルのプレナリー会合において議論される;
- AR6の概要は、IPCC-46のパネルのプレナリー会合において議論される;
- AR6のSYRの承認は2022年の可能な限り早い時期に議論される;
- 事務局に対し、AR7サイクルにおけるIPCCの作業を、パリ協定の下でのグルーバル・ストックテイクの必要性と合わせるため、提案を作成し、これらの提案を2018年より遅くない時期にパネルのプレナリー会合での審議に向け、提出するよう要請する;
- WG共同議長に対し、3件のSRs及びAR6作成のタイムテーブル案を可能な限り早期に作成するよう要請する、ただしこのタイムテーブルは、規範的というより情報提供の意味合いを持つものとする。
決定書の正確な改定、特に土地利用に関するSRの概要に関係する表現、さらにタイムテーブル案の要請に関する表現は、IPCC事務局の方で発行することになる。
国別GHGインベントリに関する手法論の更新
この項目(IPCC-XLIII/Doc.6, Corr.1)は、月曜日に審議された。
TFI共同議長のTanabeは、TFBはその第26回会議において、調査及び2回の専門家会議の結論に基づき、2006年IPCCガイドラインは十全な技術的根拠を提供し続けており、本質的改定は必要でないとの結論に至ったと報告した。しかし、同共同議長は、そのような科学的有効性を保持するには、豊富な新しい科学知識及び経験上の知識を考慮し、このガイドラインを最新のものに更新してギャップを埋めていく、詳しい推敲を行う必要があると述べた。
同共同議長は、パリ協定の下で締約国がこのガイドラインを利用するには、可能な限り早期に精緻化する必要がある、手法論報告書のみが2006年IPCCガイドラインと同じ法的根拠を有するのだと強調し、TFBは次を行うための1件もしくはそれ以上の手法論報告書作成を提案したと述べた:GHGsの排出源及び吸収源のための補足的手法論を提供する;排出係数及びその他のパラメターのデフォルト値を最新のものにする;2006年IPCCガイドラインの明確化そして/または精緻化を提供する。同共同議長は、手法論報告書のスコーピング会議を開催し、それに続いてIPCC-44において報告書に関し決定することを提案した。
日本、英国、アルゼンチン、ドイツは、一連の手法論報告書ではなく、単独の手法論報告書の作成を支持したが、ノルウェーは反対した。IPCC議長のLeeは、ドイツの発言に応じ、報告書の数に関する決定はスコーピング会議後に決められることを確認した。パネルは、提出された報告書を採択した。
TGICAの将来
この項目(IPCC-XLIII/INF.10、Corr.1, INFs 15-17、INF.18、Add.1)は、火曜日に審議された。
TGICA共同議長のTimothy Carterは、TGICAの将来に関する専門家会議の主要メッセージの概要を説明した、これには次に関する意見の一致も含まれた:TGICA及びDDCを継続する;IPCC内のニーズを優先する;気候変動関連の問題に関する外部の情報ニーズの増大を認識する;TGICAのDDC資源強化を図る。
TGICA共同議長のCarterは、議論及び決定のオプションも提示した、特に:TGICAマンデートの追加及び改定を承認する;TGICA共同議長を任命し、メンバーを選出する、これには交代手順も含める; CMIP6のデータ、データレジストリ、さらには地域気候ダウンスケール実験協力(Coordinated Regional Climate Downscaling Experiment)など、地域のデータを含め、TGICAの資源調達を強化する。同共同議長は、現在のマンデートは全ての活動を実施するには十分であるが、必要性や求められる資源に基づき、活動に優先順位をつけるマンデートを付すのが有用であろうと述べた。
議論の中で、フィンランドは、特に地域の報告の観点から、新しいタイプのデータ・アプローチが必要になる可能性があると指摘した。同代表は、現在のマンデートは優先順位を付ける限りはうまくいく可能性があると述べ、根本の問題は資源の利用可能性であると指摘した。
オーストラリアは、データの管理と整理はIPCCの最も重要な業務の一つであると強調した。カナダは、他のTGICA活動以上にDDCの作業を保持または強化することを支持した。
ドイツは、TGICAのマンデート達成に必要な追加資源は、利用可能でないと強調した。同代表は、英国及びフランスとともに、DDCの作業を優先し、TGICAのマンデートは拡大せず、DDC作業の調整ではWG TSUsを活用することを求めた。
米国は、AR6サイクルでは、TSUsにおいてTGICAに対する本質的な支援がないこと、予算が期待されないことから、TGICAを存続可能にする方法を見出すのは難しいと強調した。同代表は、データの整理を行う外部組織の活動を規定するマッピング手法を提案した。
TGICA共同議長のBruce Hewitsonは、WG共同議長はDDC監督に慎重であると明言し、これは共同議長がそれぞれのTSUsは既に負担過剰と感じているためであると述べた。TGICAの機能を外部組織に受託することに関し、同共同議長は、これらの組織の多くはIPCCの独立性や客観性に欠けていると述べた。米国は、これに留意し、監督継続は重要であり、独立性及び客観性は保持されるべきだと強調したが、この分野での外部組織の業務を評価することも必要だと指摘した。
IPCC議長のLeeは、資源の利用ではDDCの作業を優先すべきであり、DDCの監督はWG TSUsが扱う方が良い可能性があると議論を取りまとめた。
議論の後、パネルは、TGICA共同議長及び事務局がTGICAビジョン文書及び決定書草案を改定し、議長団のレビューにかけ、続いてパネルの審議にかけることで合意した。
AR6のコミュニケーション
この項目(IPCC-XLIII/INF.6 and Doc.5)は、初め、火曜日のプレナリーに提起された。議論の後、事務局は決定書草案(IPCC-XLIII/CRP.2)を改定、これを水曜日の審議に提起した。
IPCC事務局のJonathan Lynnは、コミュニケーション専門家会議の成果を指摘し、この会議ではコミュニケーション戦略の改定など多数の提案が出てきたと述べた。同氏は、事務局がこの作業を行い、IPCC-44に報告することを提案した。同氏は、IPCC報告書を政策関連性のあるものにするため、スコーピング・プロセスに政策決定者及び利害関係者の参加を求め、その専門性を活かすとともに、IPCC報告書に何を求めているかを理解しておく必要があると指摘した。
議論の焦点は次のとおり:コミュニケーションに関係する一般的な問題;コミュニケーションに関する専門家会議を追加開催するかどうか、開催する場合はその時期;AR6成果文書に貢献してもらうためのコミュニケーション及びデータ・ビジュアリゼーション専門家の参画;プレ・スコーピング会議を通した参画など、AR6スコーピングへの利害関係者の参画;コミュニケーション能力に基づく執筆者の選抜。
議論の中で、メンバーは、コミュニケーションの重要性については意見が一致したが、多数のものは、一部の活動実施に対する資金の利用可能性に懸念を表明した。スイスは、極めて特殊な要素に焦点を当てる決定書ではなく、指針原則を含める明確なビジョンを推敲するよう求めた。
ドイツは、追加の専門家会議開催に反対し、初期の代表執筆者会議にコミュニケーション・スペシャリストの出席を求めることを希望した。WGIII共同議長のSkeaは、提案されている2016年というタイミングは早すぎると述べ、英国とともに2018年に行うべきだとし、それであれば執筆者チームが参加できると強調した。ノルウェーは、2017年より早い時期に開催すべきでないと述べ、代表執筆者会議はWGごとに分けられており、代表執筆者会議に合わせて専門家会議を開催するのは煩雑な作業になると指摘した。
ドイツは、コミュニケーション専門家及びデータ・ビジュアリゼーション専門家の参画は、SPMを中心にすべきだと提案した。
プレ・スコーピング会議に関し、WGI共同議長のMasson-Delmotteは、スコーピングを遅らせる可能性があるとして懸念を表明した。米国はプレ・スコーピング会議に反対した。
ベルギーは、可能な限り早期に政策決定者及び利害関係者が参加するスコーピング会議開催を求めた。
コミュニケーション能力に基づく執筆者の選抜に関し、WGI共同議長のMasson-Delmotteは、執筆者チームはコミュニケーション能力よりも専門知識及び地域代表性に基づき選ばれるべきだと述べ、執筆者のコミュニケーション教習を提案した。ノルウェーは、コミュニケーション能力は執筆者選抜の一要素として考慮することが可能であると述べた。
水曜日、Lynn氏は、改定されたコミュニケーション戦略(IPCC-XLIII/CRP.2)を提示し、これは規範性の薄い表現を用いており、特に、コミュニケーションは執筆者選抜作業で考慮される一要素だが、必要条件ではないと表現していることを指摘した。
決定書を含める文書は、多少の改定を加えた上で採択された。
成果:決定書において、パネルは、特に次を決定する:
- 各WG議長団に対し、またはSYRの場合はIPCC議長に対し、スコーピング会議開催準備では次を行うよう要請する:スコーピング・プロセスにおける利害関係者グループからのインプット増大を目指し、スコーピング・プロセスへの政府及び広範な利害関係者の参画を得る;政府及びオブザーバー組織の支援を受け、インプットを提供可能な読者及び利害関係者を特定する;利害関係者がスコーピング・プロセスに貢献できるよう、多様なオプションを検討する、たとえば文書提出の要請、もしくは他のプレ・スコーピングでのコンタクトによるものなど;議長団に対し、AR6のスコーピング・プロセスを明確にし、IPCC-44での審議に向け可能なプロセスを提案するよう招請する;
- 各WG共同議長に対し、またはSYRの場合はIPCC議長に対し、SPM作成の場合は次を行うよう要請する:SPMについては、極めてとりかかりやすいエグゼキュティブサマリーまたは筋書き(storyline)から開始し、最も政策関連性の高いメッセージに焦点を当て、ヘッドラインとなる文章を含める;スコーピング・プロセスにおいて、利害関係者と、SPMの長さや構成、内容について協議する;
- WG議長団に対し、またはSYRの場合はIPCC議長に対し、次を推奨する:報告書、特にSPM及び全ての「良くある質問(FAQs)」作成では、その初期段階から、広範な分野の適切なコミュニケーション・スペシャリストの執筆プロセス参加を求める;執筆プロセスの早い段階において、たとえば代表執筆者会議において、執筆者に対し、科学文献に関する教習やグッド・プラクティス・ガイダンスを提供し、適切な場合、資金が利用できれば、WGsまたは事務局から可能性あるスペシャリストを招く;資金が利用可能なら、執筆者チームの選抜において、コミュニケーション能力を考慮する;資金が利用可能なら、SPM、全てのFAQs、報告書にアクセスするための他の方法に関し、その明確性や読みやすさを向上するため、TSUsの作業における、科学論文執筆者やグラフィックデザイナー、データビジュアリストなど、コミュニケーション・スペシャリストのチーム結成を検討する;
- 事務局長に対し、AR6の執筆者選抜時に、当該執筆者が最も効果的・効率的に集合できる場所及び日程において、気候変動コミュニケーションの科学に関する専門家会議を開催するよう要請する、この会議は、コミュニケーション科学の理解を深め、IPCCのメッセージの影響可能性を理解してもらうため、コミュニケーション科学研究者及びIPCC執筆者が一堂に会するもので、特にコミュニケーションのリスク及び不確実性における疑問点に焦点を当てる;
- 事務局長に対し、コミュニケーション行動チームと協議し、AR5に関わるコミュニケーション及びアウトリーチの経験の観点から、さらにはコミュニケーション専門家会議の提案に則り、コミュニケーション戦略及びその実施計画を更新し、これらの提案をIPCC-44に提出するよう要請する。
IPCCライブラリー
この項目(IPCC-XLIII/Doc.13)は、最初、火曜日に提起された。IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、執筆者が発行文献に自由にアクセスできるようなシステムを設置し、管理するというUNEPの申し出を指摘した。同副事務局長は、これには約10万7千米ドルの一回限りの費用が含まれると説明した。
UNEPは、質問に応え、このプログラムには費用の繰り返しの発生は含まれないと強調した。同代表は、UNEPでは既に地球環境アウトルックなど自分たちの別なプロセスのため、発行資料へのアクセスを整理しており、このため、既に主要な出版社との協議を開始したとし、結果として24万冊のジャーナルへの無料アクセスが提供されると指摘した。
米国は、これは極めて重要なサービスであると指摘した。同代表は、UNFCCCにおいて途上国の研究者に発行文献へのアクセスを提供する場を設立するというUNFCCCの下でのプラットフォームなど他の機会にも活用できないか、尋ねた。
UNEPは、この予算はワークフローやプラットフォームを作るための一回限りの費用であると明言し、重要な専門家協会の特定記事の公開には、追加予算が必要になる可能性があると指摘した。UNEPは、少数のジャーナル、特に専門家組織が運営しているジャーナルでは、毎年、一定額の費用が発生する可能性があると述べた。
WGI共同議長のMasson-Delmotteは、可能な限り早期に、そして最初のSR作成に間にあうように資料を利用可能にするよう要請した。
WGII副議長のTaha Zatariは、これは良い機会であり、灰色文献及び英語以外の言語の文献にもアクセスを拡大すべきだと強調した。UNEPは、英語以外の言語の文献を含められる既存のプラットフォームを有していると強調した。TFI共同議長のBuendíaは、TFIが利用した技術文献をUNEPの図書館に入れるよう要請した。
パネルは、UNEPに対し、IPCCライブラリーファシリティ設置を招請し、これに伴う費用の支払いを許可した。
IPCC奨学金プログラム
この項目(IPCC-XLIII/Doc.7)は、火曜日に議論された。IPCC事務局長代行のSivakumarは、奨学金プログラムの第3回募集(2015年-2017年)では10名の学生に奨学金を授与したほか、第2回募集の2名分を延長したと説明した。科学理事会議長のKo Barrettは、IPCC奨学金プログラムの科学理事会は、プログラム及びプログラム信託基金のこれまでの実態を調査しており、近く、パネルに提案する予定であると説明した。
IPCC議長のLeeは、ベルギーの質問に応え、レビューの結果、IPCC-44において、プログラム信託理事会に関する提案を提出することになると説明した。パネルは、科学理事会の文書及び口頭での報告に留意し、奨学金プログラムに対する理事の貢献に感謝し、これ以上の義務や責任から解放した。
情報または会議へのアクセスに関する要求の考察に関する決定経路
この項目(IPCC-XLIII/Doc.11)は、初め、火曜日に提起された。事務局は、水曜日、パネルによる審議のための決定経路改定版(IPCC-XLIII/CRP.1)を提出した。
IPCC副事務局長のMartin-Novellaは、研究者が刊行物または情報へのアクセスを要請する、あるいは会議へのアクセスを要請するという二つの異なるシナリオに焦点を当てた:情報へのアクセスの要請について、同副事務局長は、関連情報のほぼ全てのものが公開されていると強調した。同副事務局長は、例外となる情報は極めて限定的だとし、たとえば機密の報告書草案、さらには「国際関係を危険にさらす(jeopardize international relations)」可能性がある情報に関する国連の指針が適用されるという、極めて稀な場合だと指摘した。
会議へのアクセス要請に関し、同副事務局長は、提案されている手順アプローチの場合、アクセスを提供するかどうかの決定はアクセス要請がなされた組織(例、パネル、WGsなど)が行うと説明した。米国は、意思決定の権限はExComm(執行委員会)に与えられるべきだと述べ、サウジアラビアは当初はこれに反対した。サウジアラビアは、妥協案として、決定権限は議長団に委ねることも可能とするよう提案し、パネルはこれを受け入れた。
議論の中で、米国は、カナダとともに、この政策は学術研究者のみに適用するよう求め、他の種類の要請を受理した場合はその時点で政策の改定を検討できると付言した。スイスは、学術界を超えた広範な利害関係者がこのプロセスに関心を持っていると指摘し、このプロセスに関わる個人の個人的な評判を保護する方法を検討するよう提案し、上訴プロセスが必要になる可能性を指摘した。
水曜日、副事務局長のMartin-Novellaは、文書の改定版(IPCC-XLIII/CRP.1)を提出した、新しい文書では「研究者(researchers)」に明確に言及し、申請の必要条件及びプロセスを特に明示していると指摘した。
パネルは当該文書を採択した。
成果:パネルは、情報または会議へのアクセスに関する研究者からの要請を考察する決定経路について合意した。この決定経路にはIPCCの非公開資料に対するアクセスの要請、IPCC会議へのアクセス要請の手順が含まれる。当該経路は、要請の際に提示すべき文書、会議参加に関する研究者の必要条件、公開とプライバシー、提案の審議、承認、終了の手順を示す。
その他の問題
IPCC事務局長代行のSivakumarは、新しいIPCC事務局長任命に関するWMO事務総長Petteri Taalasのステートメントを読み上げた。同事務局長代行は、Abdallah Mokssit (モロッコ)にこの地位の提供を申し出て、同氏は受諾したとし、この任命は近く最終決定されることが期待されると発表した。多数の参加者がMokssitの任命を祝した。
スイスはロシアの支持を得て、全体を網羅するインターネット・コミュニケーション技術戦略の作成を提案した。フランスは、まず議長団がこれについて検討することを提案した。
IPCC-44の場所と日付
パネルは、IPCC-44を10月後半にスイスのジュネーブ、または会議施設の利用可能性次第でオーストリアのウィーンで開催することで合意した。
会合の閉会
IPCC議長のLee は、1.5℃に関するSR作成というUNFCCCの要請の受諾、この他の極めて重要な問題に関する2件のSRs作成を含め、この会議の成果を歓迎した。同議長は、コミュニケーション及び予算に関し良い決定がなされたことに注目し、TGICAに関する建設的な議論を指摘した。
IPCC-43は、4月13日(水)午後6時5分、閉会の槌が打たれた。
IPCC-43簡易分析
パリ協定以降のIPCC
パリ協定の採択からようやく4カ月、まったく新たなビューロー(議長団)が職務に就いて僅か6カ月。IPCC第43回総会は、ケニア・ナイロビで開催された。今次総会は、2022年完成予定のIPCC第6次評価報告書 (AR6)サイクル(作成期間)の初回会合である。
通常ならば評価報告書の対象範囲を検討するスコーピングのプロセスの進め方の議論に集中する単純な会合になるのだが、今回のパリ協定採択に伴い、急きょ総会の題目が増えて、より緊急性を帯びた総会になった。パリ決定書の中でIPCCについて明示的に言及された内容、IPCCの業務やIPCCの報告書スケジュールなどに間接的に関連し、潜在的な影響を及ぼしうる内容をカバーして、IPCC事務局が作成した文書は6頁に及んだ。
UNFCCCからの要請の検討に加え、IPCCには、AR6における地域的な側面の取扱いの改善・強化ならびに各国がGHGインベントリを作成・UNFCCCに報告する際に依拠する方法論ガイダンスの精緻化への真摯な取組み等、独自のプランがあった。
今回のナイロビ総会でパリ協定の実施を支援する必要があることは明白であり、第5次評価報告書(AR5) やIPCCの報告書の改善が重要だと認識することには躊躇もあった。他方、IPCCへの信頼を損ねることなく、IPCCの各種プロセスや手続きに則りつつ、何事も余裕をもって対処していくことは至難の業であることに疑いようがない。
本稿では、主にIPCCにおけるUNFCCCへの対応や連携、今後の課題などを中心に、IPCC第43回総会とそこでの決定事項について簡単に分析する。
UNFCCCへの対応: 特別報告書
パリ協定の主要な成果の一つに、今世紀における世界の気温上昇幅を産業革命以前より2℃を十分に下回る水準で維持し、さらには気温上昇を1.5°C以内に抑制するべく取り組むことを目指す目標がある。
この成果について、UNFCCCのCOPは、“産業革命以前の水準から1.5°Cの気温上昇に係る影響や関連する温室効果ガス(GHG)の排出経路について、2018年に特別報告書を作成すること”をIPCC に対して明示的に招請している。
COPの要請に対して、前向きにIPCCが対応することを疑う者は少ない。両者に参加する加盟国は共通しており、「それはすなわち自分たちの問題」であるという意識は会合での発言にみられる通りだ。しかし、同じ理由で、決定に関する交渉再開に向けた試みもあるのではないかとの懸念もあった。特別報告書を作成してほしいという要請を単に受諾することが求められる現時点でパネルは辛うじて交渉の蒸し返しを回避した一方で、報告書の主眼と中身について決定しなければならない2016年9月に予定されるスコーピング会合はさらに複雑化するだろう。2℃目標、いわんや1.5°C目標(あまりに困難と想定されるために科学文献の数はかなり乏しい)を維持することがいかに大変か、否定する者は誰もいないが、発展途上にある多くの小さな島国や海抜の低い国々にとっては、1.5°Cの気温上昇による影響が死活問題であることは次第に明らかになっており、この閾値以下に上昇を抑えることのメリットも確実になってきている。
パネルでは、1.5°Cに関する特別報告書に加えて、その他の特別報告書に関する提案をさらに30件も検討しなければならなかったが、最優先だと特定されたテーマは以下の4つ(土地利用、海洋・雪氷圏、都市、UNFCCCの1.5°C案を含む排出経路)に分類された。各テーマはそれぞれ重要だが全てをやることは不可能であるため、いくつの特別報告書を作成するかという問題をパネルで真っ先に決定した。IPCC副議長 Ko Barrettの総括にあったように、“テーマが全部で3つ以上になると厳しいが、2つ以下だと意欲不足ではないか”との考えをめぐって参加者の意見は分かれた。
結局、野心的に行く方針を定め、今回の評価サイクルにおいては、2つの特別報告書(土地利用及び海洋・雪氷圏)の追加作成をパネル決定した。なお、パリ協定の中では、“ocean” (海洋)という語は前文に些か一つ言及されただけだった点は記しておくべきだろう。すなわち、「気候変動のあらゆる局面で決定的に重要な役割を担っているのにもかかわらず、政策決定者の気候変動に関する認識の中で海洋について深刻な見過ごしをしている。」との記述だけであった。土地利用については、「炭素回収・貯留(CCS)付きバイオエネルギー由来の負の排出量(negative emissions)が各種モデルに沿った2℃目標達成のカギとなる」とAR5で記載されながらも、その実現性や影響についての知見は皆無に等しいという実情は、さらに重点的に情報を求める声につながった。
UNFCCCとの連携: 戦略計画
パリ協定による影響が感じられたのは、1.5°C目標に関する特別報告書作成の決定に留まらず、戦略計画に関するパネル決定 -〔特にパリ協定第14条に定められたグローバル・ストックテイクに向けて2023年の作成期限を目指してAR6をタイムリーに作成する必要性と、2023年以降パリ協定によるグローバル・ストックテイクの5年周期とIPCCの評価サイクルと連動させる必要性に関する決定〕- にあった。
この連携に示唆されるのは、AR7以降、評価サイクルが7年毎から5年毎へと短縮される可能性だ。これは前回の評価サイクル終了までに選挙やスコーピングを実施するといった作業方式の変更やその他の調整が生じることを意味する。したがって、情報量がはるかに増えるとしても、IPCCの評価報告書をより迅速に公表し、かつ簡潔にすることが期待されるのだ。
IPCC体制の煩雑化や資金の減少という現実を踏まえると、今後の変化への対応に独創的な思考や様々な選択肢の模索が求められるだろう。しかし同時に、過去数年IPCCに求められてきた、より柔軟で即応性のある組織への変革が促されることにもなるだろう。
AR6の改善
地域別の評価報告書を強化する重要性は長年指摘されていた。しかし、最重要の緩和と適応を行う自治体レベルに軸を移して、気候変動への解決策を実行することが喫緊の課題になるのに伴い、それは急務となった。また、地域別評価報告書には、対象地域の文献及び執筆者の両面から、途上国や代表者が少ない地域出身の科学者の幅広い参加が必要になるため、パネルにとって特に重要であり、パネルの根源的な願望の一つでもあった。
地域別評価報告書には3つの作業部会(WG)全体を横断する統一的な知見が求められる。これらのラインとともに、既にWGでは多くの特別報告書に関する提案を検討しなければならず、その対処法について共通見解を提示しなければならなかったため、AR6チームは有利なスタートを切ったといえる。パネルにとって、WGの統合は常に主要課題の一つだが、同時に重要な財産でもある。特別報告書の作成に必要な学術横断的な作業、とりわけ3つのWG全てが貢献すべき1.5°C問題に関する作業は、統合報告書の作成までずっと続く協同作業を円滑にしてくれるものと期待したい。
今後の試練
気候変動に関する新たな情報の量と幅は拡大し続けていて、気候変動への対処策とともに、緊急課題である緩和と適応に関する意思決定に向けた情報となるような形で新情報を公表するよう求める圧力も高まっている。その結果、新ビューロー及びAR6サイクルの関係者全員がすぐにでも全力を投球する必要がある。この点はIPCC-43で既に明白であり、6名のWG共同議長からは今後の特別報告書になりそうなテーマについて合同で作成した長い文書が、そして事務局からはAR6と今後に向けた戦略計画に関する詳細なスケジュール表やロードマップが提示された。
世界気象機関(WMO)のDavid Carlsonによる冒頭のプレゼンテーションでは、CO2濃度の記録更新や“劇的に高い”数値となった1月の世界のメタン排出量、北極海氷面積の減少傾向等の観測結果が示され、この先の危険や苦難が予想されることを参加者全員に思い起こさせた。IPCCでは、新たに特別報告書(SRs)3本と方法論報告書1本が業務に加わるとともに、地域別レポートの強化への取組みや評価サイクルの短縮化への意向も示された。憂慮深まる気候科学と対峙して任務を全うする上で、 IPCCに意欲が欠如しているとは批判できまい。
この点で、IPCC-43で意見がまとまったことは注目に値する。1.5°Cに関する報告書や2023年以降のUNFCCCストックテイクのプロセスとの連携が必要だという点について、表立っ今後の会議予定 て反対意見は一切出なかった。そうした見通しには憂鬱な財務報告も影響を及ぼすようには見えなかったし、解決策や資金はきっと見つかると考える参加者の信頼感を示している。目下の心配は、どうすればパネルの信頼性と品位を傷つけることなく、全てを実現できるかという点に尽きるのである。
今後の会議予定
パリ協定ハイレベル署名式典:国連事務総長は、パリ協定寄託者として、同協定を署名のため公開する当日に国連本部で署名式典を開催する。 日付:2016年4月22日 場所:ニューヨークの国連本部 連絡先:国連事務総長執務室 www:http://www.un.org/sustaiable development/climatechange/
2015年専門家会合からの特定問題をフォローアップするIPCCインベントリ・ガイドラインの技術評価のためのTFI専門家会合:IPCC TFIは、オーストラリアのワランゴングでこの問題に関する会議を開催する。 日付:2016年4月25-26日 場所:オーストラリア、ワランゴング 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int www: http://www.ipcc.ch
IPCCインベントリ・ガイドライン - 部門横断問題の技術評価のTFI専門家会合:TFIは、この会議で部門横断問題を議論する。 日付:2016年4月27-29日 場所:オーストラリア、ワランゴング 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int www:http://www.ipcc.ch
生命の惑星シンポジウム:欧州宇宙機関(ESA)は、特に次の目的でこのイベントを企画している:ESAの地球観測(EO)戦略の進展状況及び実施計画、及びESAのEOプログラムの社会的課題や科学、経済との関連性についてプレゼンテーションを行う;科学者、研究者、利用者が、ESAのEO及び第三者のミッションのデータに基づき、最新の成果をプレゼンテーションし、意見交換を行う国際フォーラムを開催する;EOの用途の開発をレビューする;気候変動イニシアティブを含めるESAの探求プログラムに関し報告する。 日付:2016年5月9-13日 場所:チェコ共和国、プラハ 連絡先:ESA Living Planet Symposium Secretariat 電話:+39-06-94180912 ファクシミリ:+39-06-94180902 電子メール:LPS@esa.int www:http://lps16.esa.int/
第44回UNFCCC補助機関会合:実施のための補助機関の第44回会合(SBI 44)、及び科学的技術的助言のための補助機関の第44回会合(SBSTA 44)、並びにパリ協定特別作業部会の第1回会合(APA 1)が開催される。 日付:2016年5月16-26日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:UNFCCC 事務局 電話:+49-228 815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール:secretariat@unfccc.int www:http://www.unfccc.int
世界人道サミット:第1回の世界人道サミット(WHS)は、国連事務総長Ban Ki-moonのイニシアティブであり、国連人道問題調整事務所(OCHA)が運営する。各国政府、人道関連組織、人道危機の影響を受けた人々、民間部門などの新しいパートナーが一堂に会し、気候変動のような直近の課題に対する解決策を提案し、将来も適合し続ける人道的な行動の保持に関する議題を設定する。 日付:2016年5月23-24日 場所:トルコ、イスタンブール 連絡先:WHS事務局 電子メール:info@whsummit.org www:https://www.worldhumanitariansummit.org/
UNFCCC第6条に関する第4回ダイアログ:Action for Climate Empowerment (ACE:気候行動エンパワーメント)の企画による、UNFCCC第6条に関する第4回ダイアログは、SBI 44に合わせ、2日間開催され、一般人の参加、啓発、情報に対する公的なアクセス、これらの問題に関する国際協力に焦点を当てる。 日付:2016年18-19日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:ACE/UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール:secretariat@unfccc.int www:www.unfccc.int/ace
地球環境ファシリティー(GEF)第50回評議会会合:GEF評議会は、年2回会合し、次の分野の新規プロジェクトで地球規模の環境便益をもたらすものを承認する:GEFの注目分野である生物多様性、気候変動の緩和、化学品及び廃棄物、国際的な水資源、土地の劣化、持続可能な森林管理;持続可能な都市に関するGEFの統合手法プログラムの中では、商品チェーンからの森林伐採の排除、及びサブサハラ・アフリカ地域の食糧安全保障における持続可能性及び回復力。6月9日、同評議会は、同じ場所で後発開発途上国基金(LDCF)及び特別気候変動基金(SCCF)の第20回会合を開催する。 日付:2016年6月6-9日 場所:米国、ワシントンDC 連絡先:GEF事務局 電話:+1-202-473-0508 ファクシミリ:+1-202-522-3240 電子メール:secretariat@thegef.org www:https://www.thegef.org/gef/council_meetings/50th/docs
アジア・クリーンエネルギー・フォーラム:2006年以降開催されているアジア・クリーンエネルギー・フォーラムは、アジア地域における気候及びエネルギー安全保障を支援する政策、技術、資金のベストプラクティスに関する情報交換を行う場を求める。 日付:2016年6圧6-10日 場所:フィリピン、マニラ 連絡先:Asian Development Bank(アジア開発銀行) 電話:+63-2-632-4444 ファクシミリ:+63-2-636-2444 電子メール:cleanenergy@adb.org www:http://www.asiacleanenergyforum.org/
2016年第5回アジア太平洋気候変動適応フォーラム:アジア太平洋適応ネットワーク(APAN)は、国連開発計画、アジア開発銀行、地球水パートナーシップ、UNEP、その他のパートナーとともに、このイベントを開催する、主題は「適応を開発の本流に(Mainstreaming Adaptation into Development)」、食糧安全保障及び適応資金調達に焦点を当てる。 日付:2016年10月17-19日 場所:スリランカ、コロンボ 連絡先:APAN 電子メール:info@asiapacificadapt.net www:www.asiapacificadapt.net
HABITAT III:国連人間居住計画第3回会議(HABITAT III)は、持続可能な都市開発の政治約束を再確認し、これまでの進捗状況及び達成事項を評価し、貧困問題に取り組み、新しい課題及び発生しつつある課題を明らかにして解決することを目指す。この会議では、行動本位の成果文書の作成、及びNew Urban Agenda(新しい都市の議題)の確立が期待される。 日付:2016年10月17-20日 場所:エクアドル、キト 連絡先:UN-Habitat 電話:+1-917-367-4355 電子メール:Habitat3secretariat@un.org www: https://www.habitat3.org/
IPCC-44:IPCCの第44回会合は、10月に開催される。 日付:2016年10月(日付は後日発表される) 場所:スイス、ジュネーブ、またはオーストリア、ウィーン、後日発表予定 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730- 8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 電子メール:IPCC-Sec@wmo.int www:http://www.ipcc.ch
UNFCCC COP 22:COP 22において、締約国は、特に、パリ協定発効に向けた準備作業を開始する目的で会合する予定。 日付:2016年11月7-18日 場所:モロッコ、マラケシュ 連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000 ファクシミリ:+49-228-815-1999 電子メール:secretariat@unfccc.int www:http://unfccc.int/
他の会合について、右記を参照:http://climate-l.iisd.org/
(IGES-GISPRI仮訳)