Summary report, 1 May 2017
Bonn Climate Change Conference - May 2017
ボン気候変動会議は5月8日-5月18日の日程で開催された。同会議は、実施に関する補助機関第46回会合 (SBI 46)、科学的・技術的助言に関する補助機関 第46回会合(SBSTA 46)及びパリ協定第1回特別作業部会第3部 (APA 1-3) で構成され、2000名を超える政府関係者、1800名の国連およびNGO関係者、70名の報道関係者を含む約3900名が参加した。
APAでは、実質的な各議題項目の下で行われた休会期間や事前会合での作業概要をまとめた結論書が採択された。
SBIでは、以下の項目に関する結論書が採択された。パリ協定第4条12項で定められた公開登録簿(各国が決定した貢献(NDC)登録簿)及び7条12項 (適応報告書); 後発発展途上国 (LDCs)に関する問題; 各国の適応計画; パリ協定の支援に係る技術メカニズム定期評価の範囲・手順; 資金に関する常設委員会の役割に関するレビュー;適応基金第3回レビュー; キャパシティビルディングに関する問題;政府間会合の調整; 各種の事務及び財政問題。
SBSTAでは、以下の項目に関する結論書が採択された。ナイロビ作業計画; パリ協定の技術枠組; 農業; 研究および系統的観測; UNFCCC及び京都議定書の各種方法論に関する問題; パリ協定第6条 (協力的アプローチ) に関する問題; パリ協定 第9条7項の公的介入を通じて供与・動員された資金源の会計手順; その他の国際機関との協力。
SBI/SBSTAでは、締約国会議 (COP)決定書を含めた対応措置やUNFCCCの長期数値目標の次回定期レビューの範囲や目標達成に向けた進捗状況に関する合同結論書が採択された。
3つの補助機関では、バランスの取れた方法による技術的な議論を通じて、パリ協定を運用するための取り組みを推進するべく、多くの作業が費やされた。今回の作業は段階的な積み上げ方式で行われたが、2017年11月の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第23回締約国会議(COP 23)に相当な作業量を残すこととなった。
UNFCCC 及び 京都議定書のこれまでの経緯
気候変動に対する国際政治の対応は、1992年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。UNFCCCは、気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため、大気中の温室効果ガス(GHGs)の濃度安定化を目指して、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在197の締約国を有する。1997年12月、日本の京都で開催された第3回締約国会議(COP 3)に参加した各国の政府代表は、先進工業国及び市場経済移行国に排出削減目標の達成を義務付けるUNFCCCの議定書に合意。UNFCCCの下で「附属書Ⅰ国」と呼ばれる国々が、2008-2012年(第一約束期間)に6種の温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年と比較して全体で平均5%削減し、国ごとに異なる個別目標を担うことを約束し、合意が成立した。京都議定書は2005年2月16日に発効し、現在192の締約国を有する。
2015年12月、フランス・パリで開催されたCOP 21では、緩和と適応ならびに実施手段について全ての国が国ごとに定めた貢献量(NDCs)を提出し、“グローバルストックテイク”と呼ばれる仕組みを通じて5年毎に全体の進捗状況の点検(レビュー)を行うことを定めた「パリ協定」が採択された。パリ協定は2016年11月4日に発効。2017年5月7日現在、協定に署名した195カ国のうち146カ国が批准した。
2005-2009年の長期交渉:カナダ・モントリオールで2005年に開催された京都議定書の第1回締約国会合(CMP 1)では議定書第3条9項に則り京都議定書の下で附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の設立を決定し、第一約束期間が終了する少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討することをその役割と定めた。
2007年12月、インドネシア・バリで開催されたCOP 13及び CMP 3では、長期的な問題に関するバリ・ロードマップの合意に至った。COP 13は「バリ行動計画」(BAP)を採択するとともに、「条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会」(AWG-LCA)を設立し、緩和、適応、資金、技術、キャパシティビルディング、長期協力行動の共有ビジョンを中心に討議することを役割付けた。また、AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。さらに、2つの交渉トラックが結論を出す交渉期限については、2009年のコペンハーゲン会議と定められた。
コペンハーゲン:2009年12月の国連気候変動会議は、デンマーク・コペンハーゲンで開催された。世間の耳目を集めた同会議は透明性の問題やプロセスをめぐる論争が目立った。長丁場の議論の末、各国の政府代表は「コペンハーゲン・アコード」に「留意する(take note)」ことで合意し、2010年のCOP 16及びCMP 6まで各交渉グループの期限を延長することで合意した。2010年には140を超える締約国がこの合意への支持を表明し、80カ国以上が緩和に関する数値目標または行動に関する情報を提出した。
カンクン:メキシコ・カンクンで開催された2010年12月の国連気候変動会議で「カンクン合意」が採択され、2013年-2015年のレビュー期間に世界の長期目標の妥当性について検討することでも合意した。また、カンクン合意によって、緑の気候基金 (GCF)やカンクン適応枠組、適応委員会、技術メカニズム(技術執行委員会(TEC)と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)含む)等、新たな制度やプロセスがいくつか創設された。
ダーバン: 2011年11月28日-12月11日、国連気候変動会議が南アフリカ・ダーバンで開催された。ダーバン会議では「強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会」(ADP)の発足について合意し、「条約の下で全ての締約国に適用可能な議定書・法的文書・もしくは法的効力を有する合意成果の形成」をその目的とし、2020年の発効を目指し、2015年中にADPの交渉を完了させることが定められた。さらに、2℃目標との関連で、2020年までの野心ギャップを埋める行動を模索するという役割もADPに課された。
ドーハ: カタール・ドーハで2012年11月26日-12月8日に開催された国連気候変動会議は、その成果として「ドーハ気候ゲートウェイ」と称する決定書のパッケージをまとめた。この一連の決定書には京都議定書の第二約束期間(2013-2020年)を定めるための議定書の改正事項やAWG-KPやAWG-LCAの作業完了、BAPの交渉終了についての合意も盛り込まれた。
ワルシャワ: 2013年11月11日-23日、国連気候変動会議はポーランド・ワルシャワで開催され、「各国の約束草案」(INDCs)の作成に向けた国内準備の開始や強化を締約国に要請するADP決定書が採択された。また、気候変動の影響に係る「損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズム(WIM)」や途上国における森林減少や森林劣化による排出量の削減ならびに森林保全や持続的な森林管理、森林炭素吸収源の強化をめざす「ワルシャワREDD+枠組」の設立を定める決定書が採択された。
リマ:2014年12月1-14日、国連気候変動会議はペルー・リマで開催された。COP 20は「気候行動のためのリマ声明 (Lima Call for 気候 Action)」を採択。プレ2020年の野心の強化に取り組む一方、2015年合意の交渉原案文の要素やINDCsの提出や合成のプロセス等の細目詰め作業を行い、2015年合意交渉のさらなる進展を図った。さらに、WIMの運用推進や「ジェンダーに関するリマ作業計画」の策定を目的とする計19件の決定書が採択され、「教育や啓発に関するリマ閣僚宣言」が採択された。
パリ: 2015年11月29日から12月13日にかけてフランス・パリで開催されたパリ気候変動会議は、気候変動に関するパリ協定の採択という成果を上げた。パリ協定は、各締約国が達成を目指すNDCsを継続的に報告することを定めた。2025年までという期間をNDCに盛り込んだ締約国に対しては2020年までに新たなNDCの通達、2030年までという期間を盛り込んだ締約国に対しては貢献に関する連絡や更新を行うことが要請された。また、2023年以降、グローバルストックテイクの中で緩和、適応、実施手段に関する集団的な取り組みの進捗を5年毎に点検することになった。
マラケシュ:モロッコ・マラケシュで2016年11月7日-18日に開催された国連気候変動会議では、パリ協定第1回締約国会合(CMA1)も開催された。同会議では、パリ協定に基づく合意を含めた作業計画に関する決定書を含む35件の決定書が採択され、2018年までの作業完了やパリ協定向けに機能する適応基金、キャパシティビルディングに関するパリ委員会の委託条件、協定第9条5項(先進国の隔年資金報告書)に則り提出された情報を特定するプロセス開始等について合意が成立した。また、COP 22では、5カ年のWIM作業計画の承認や技術メカニズムの強化、ジェンダーに関するリマ作業計画の継続・強化等を含め、条約の実施に関連する決定書が採択された。
各種会合に関するレポート
APA、SBI、SBSTAの開幕プレナリーが5月8日(月)に行われた。本レポートはそれぞれの議題に沿って行われた三機関の議論をとりまとめるものである。
補助機関の会合と連動し、COPからの宿題として託された数々のイベントも開催された。
地域コミュニティと先住民のプラットフォーム運営に関するマルチステークホルダー・ダイアログ: SBSTA 議長 Carlos Fuller (ベリーズ)は18日のSBSTA閉会プレナリーで、5月16-17日に開催された同イベントの今後のステップについて報告した。
5月16日(火)議事総括:http://enb.iisd.org/気候/sb46/enbots/16may.html
5月17日(水)議事総括: http://enb.iisd.org/vol12/enb12700e.html.
パリ協定9条5項に則って締約国が提供した情報の特定プロセス: 5月16日(火)に開催されたこの宿題イベントの総括:http://enb.iisd.org/vol12/enb12699e.html
キャパシティビルディングに関するパリ委員会:キャパシティビルディングに関するパリ委員会 (PCCB)は5月11日(木)-13日(土)に開催。
11日(木)議事総括:http://enb.iisd.org/vol12/enb12695e.html
13日(土)の議事総括: http://enb.iisd.org/vol12/enb12697e.html
また、13日のPCCBで第1回PCCB会合の成果が採択された。
PCCBの成果: 5月11日(木)-13日(土)に開催された第1回PCCB会合(http://unfccc.int/cooperation_and_support/capacity_building/items/10260.php)での主な合意内容:
- PCCB作業手順・手続: 手続規則及び作業手順の採択(PCCB/2017/1/3)及びPCCBの活動における全員の完全参加を確保するための事務局による技術的な解決策模索
- 2016-2020年のキャパシティビルディング作業計画の実施: PCCBの2017-2019年繰越作業計画の採択、キャパシティビルディングに関するウェブポータル作成に関する意見提出のため事務局による提案書作成及び関係者への意見募集、その他構成機関と連携するPCCB委員指名
- 2017年のPCCB重点分野/テーマ: 関連情報筋が特定したキャパシティビルディングのニーズに関する評価の実施及び関連情報筋が特定したその他の構成機関が実施する年次テーマに関する作業、ワーキンググループ設立および年次テーマに沿った意見提出の呼びかけ
- 2018年のPCCB重点分野/テーマ:パリ協定との関連におけるNDCs実施に向けたキャパシティビルディング活動ならびにPCCB会合に招待された代表者に関する2017年の重点分野/テーマの継続
- COPに提出するPCCB年次技術進捗報告書: 報告書の概要および2017年8月の報告書完成期限。
パリ協定に関する特別作業部会
開会ステートメント: エクアドルは、G-77/中国の立場から、パリ協定のすべての要素間の推進及びバランス維持の重要性やCOP 23までに文言交渉へ移行する必要性、パリ協定に基づき強化された行動の実現に向けた重要手段としてのNDCs等について主張した。
欧州共同体 (EU) は、APAワークショップやラウンドテーブルは専門的な理解を進める上で有効なことが示されていると述べた上で、概念に関する議論を離れ、すべての問題に関する文章案の要素に関する議論をCOP 23に残すよう求めた。
オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場から、パリ協定の役割を果たすために必要な議論の具体化がようやく進んでいるとの見方を示した。
スイスは、環境十全性グループ(EIG)の立場から、専門的な議論を行うことが2018年に文言ベースの議論を下支えするために不可欠だと強調した。
イランは、 同志途上国グループ (LMDCs)の立場から、透明性や包摂性、UNFCCCの諸原則や諸規定との整合性を図る必要があるとし、2020年以降の期間における実施手段 (MOI)が重要であると主張した。
エチオピアは、後発発展途上国 (LDCs)の立場から、いくつかの決定書が採択されるのはCOP 23となる可能性があると示唆して、非公式ノートやリフレクションノート作成を求めた。また、支援に関する議論よりは進んでいるとしながらも、排出量に関する報告についての議論に偏りが見られると述べた。
中国は、ブラジル、南アフリカ、インド、中国で構成される地域グループ (BASIC) の立場から、できるだけ早く文言交渉を開始するよう求め、各国が決定するという貢献の特徴と途上国のための柔軟性を要請した。
ボリヴィアは、我らアメリカ人民のためのボリバル同盟(ALBA) の立場から、パリ協定の再交渉入りを回避し、 衡平性や共通するが差異のある責任 (CBDR).といったUNFCCCの諸原則を反映する必要があると強調した。
グアテマラは、独立中南米カリビアン諸国連合 (AILAC) の立場から、パリ協定の締約国になるということは、協定の成功や野心、進歩に向けて取り組む責任を意味すると述べた。
サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、透明性はすべての局面、特にMOIに適用されるべきであるとし、緩和の取り組みにおける差異化の必要や行動と支援をリンクさせる必要などについて強調した。強調した。
モルディブは、小島嶼国連合 (AOSIS) の立場から、資金に関する新たな数値目標に関する作業の開始や適応基金に関する決定書採択、損失被害の定義づくり、COP 23までに2018年促進ダイアログの設計を行うよう求めた。
マリは、アフリカグループの立場から、議題項目間のつながりを強調し、交渉の進展を助けるために共同議長の非規範的なノートを作るよう求めた。
コンゴ民主共和国は、熱帯雨林諸国連合(CfRN) の立場から、REDD+の制度は国際移転された緩和成果(ITMOs)に関するAPAの作業に貴重な教訓を有していると示唆した。
労働組合のNGOsは、個々のNDCsについて公正な移行のためのステップを組み込むよう締約国に要請した。
女性とジェンダーに関するNGOは、ジェンダーの専門家を参画させるプロセスを求めた。
青年NGOs (YOUNGOs)は、適応と透明性を重視するよう要請し、気候行動ネットワーク (CAN)とともに、市民社会の参加を拡大するよう求めた。
コーポレート・アカウンタビリティー・インターナショナル(Corporate Accountability 国際的な)は、締約国が提出した意見から行動・支援が前進しているという兆しが見られないことは遺憾だと述べた。 先住民団体は、“オフセットは隠れた排出量”だと述べ、グローバルストックテイク (GST)に効果的に先住民を参加させるよう求めた。
組織上の問題: APA 1の議題 (FCCC/APA/2017/1)で作業を継続し、1つのコンタクトグループによる非公式協議を通じて作業を行うことで締約国が合意した。
役員選出: Sarah Baashan共同議長(サウジアラビア)は、5月12日が役員指名の期限であると指摘し、本件を閉会プレナリーで再検討することとした。5月18日、Collin Beck (ソロモン諸島)は、議長や各地域グループや小島嶼途上国(SIDS)の調整役らとの協議により、APAの共同議長Jo Tyndall (ニュージーランド) 及びSarah Baashan (サウジアラビア)をもう一年任期延長し、2017年11月に再任するよう勧告することになったと述べた。
決定書 1/CP.21 (パリの成果)緩和セクションに関する追加指針: パラグラフ26 (NDCs)に記されたNDCsの特徴; パラグラフ28に記されたNDCsの明瞭性、透明性、理解を促進する情報; パラグラフ 31に記された締約国のNDCsの会計処理(NDCs向けの会計処理指針): Gertraud Wollansky (オーストリア) 及び Sin Liang Cheah (シンガポール)が本項目に関する協議の共同進行役を務め、上記3つの小項目を合わせて検討した。
締約国は、NDCs全体の効果に関する理解促進のための追加指針ならびに各国が決定するという特徴の保持、NDCの将来のタイプに関する柔軟性維持、緩和と透明性の両項目の下で議論する諸問題の区別等が必要であると主張した。NDCの種類の多さを指摘し、いくつかの締約国は最低限の調整を行うことから始めることを提案した。多くの締約国は決定書 1/CP.21パラグラフ27のリストに挙げられたように締約国がNDCsの報告として提供した情報に係る要素を用いる案を支持した。
締約国は、指針を適用するのは第1回または第2回以降のNDCsとするかという問題や透明性枠組との関連について合意する必要があることを確認した。
半ば数値化された貢献と数値化されていない貢献について検討し、どのようにGSTへのインプットとして活用するか審議することをある締約国が要請した。
この指針は時間の経過に伴い新たな情報や方法論が利用できるようになるという進化を見越したものにするべきだと一部の国が主張した。
報告に対するキャパシティビルディングの制約をさまざまな国が強調した。また、多くの途上国が柔軟性の重要性を強調し、先進国と途上国向けに区別を行う指針を求めた。
指針の対象範囲については、先進国の数カ国・グループが本項目は緩和に限定されるものだと論じ、途上国グループが反対した。
ある締約国が土地利用に関する単独の指針に警戒感を示した。二、三の締約国が第6条 (協力的アプローチ)に関するSBSTAの審議と合同で議論を進めることを提案したが、ある締約国の反対に遭った。
共同進行役が準備した非公式ノート草案を議論するためごく非公式に非公式会合が行われた。
協定7条10項、7条11項に記載されたNDCS構成要素としてのものを含む、適応報告書に係る追加指針: この項目はBeth Lavender (カナダ) とNicolas Zambrano Sanchez (エクアドル)が共同進行役を務める非公式協議で取り上げられた。
共同進行役が提案する今後の成果に関する“骨組” 〔目的; 要素; 手段; 柔軟性; リンケージ〕をめぐる議論が行われた。
目的と要素に関連するテーマについては、多くの選択肢が締約国から提起され、その中の2案を中心に議論が進められた。目的と要素は明らかに関連しており、目的が要素選びの指針となる一方で多くの要素が複数の目的の一因となっているとの指摘があった。要素については、各国の事情; 影響・脆弱性・リスク評価; 計画・優先順位・行動; 途上国の努力と進捗; 適応支援のニーズ; モニタリング及び評価;先進国の支援といった内容を含むさまざまな提案が出された。また、要素だけの共通リストにすると、選択的な要素を補足した共通リストを作るかという議論が行われたが、共同議長は意見収斂に向けて順調に進捗したと述べた。
手段については、作業の重複や報告の追加的な負担を避けるために現行のガイドラインが使用可能か模索する案が一部締約国から支持された。
リンケージについては、多くの締約国が、既存の情報伝達手段(コミュニケーション)とGSTや透明性枠組を含めたパリ協定の一部との関連性を認めた。柔軟性については、報告の要素を共通化するか最低限にするべきかという点で締約国の意見が分かれた。一部の締約国は、自主的な報告制度においては、報告要素が共通か最低限のものとするかは “意味をなさない”と主張した。他方で、最小限の要素でも共通化されていなければ、GSTのようなプロセスに適切な報告を伝達できなくなるとと示唆した。
5月17日(水)、共同進行役は非公式ノート修正版を発行した。
行動と支援の透明性枠組のための手順・手続・ガイドライン: 非公式協議では、Xiang Gao (中国) とAndrew Rakestraw (米国)が共同進行役を務めた。
共同進行役のツールに記されているように進行役のツールから議論は始まって、以下の項目〔手順・手続・ガイドライン(MPGs)の重要検討事項; GHGs排出源と吸収源除去量による人為的排出量に関する国別インベントリ報告書; パリ協定第4条 (緩和)に基づくNDCsの実施・達成における進捗状況の追跡に必要な情報;パリ協定第7条 (適応)に基づく気候変動の影響及び適応に適宜関連する情報;パリ協定9条11項 (MOI) に基づき提供される資金や技術移転、キャパシティビルディングの支援に関する情報; 技術専門家レビュー; 進捗に関する促進的多国間の検討〕について議論した。また、APA 1-3以降の次のステップについても議論が行われた。
NDCsの実施・達成における進捗状況の追跡に必要な情報については、多くの締約国が重複を防止するよう求めた。また、異なるNDCsの種類に共通する要素と個別の要素を明確にすべきだとの主張もいくつか見られた。 一部の締約国は土地利用セクターの貢献を明記することに対する懸念を示し、本項目は会計処理に関する情報の中で扱う方がいいと主張した。他方、差異化を反映させるべきだとの意見もあり、途上国が実施する上での障害や障害を克服するために必要なMOIに関する情報を提供することを示唆する案もあった。
技術専門家レビューについては、レビューのインプット及びアウトプット、報告すべき具体的な情報の種類に係るアプローチを明記するよう求めた。
進捗に関する促進的な多国間審議については、プロセス改善のため過去の経験を役立て、今後のイベントを含め作業のステップや作業構成の大枠を決めるべきだとの提案が出された。
資金や技術移転ならびにキャパシティビルディング支援に関する情報については、報告の明瞭性と整合性が作業の重複を減らし、GSTを促進するという見方で多くの締約国が一致した。技術移転とキャパシティビルディング支援に関する情報はもっと定性的だとの指摘もあった。多くの途上国は、運用上の目的と原則を盛り込むとともに“支援を提供する他の国々”という記載は削除し、先進国による支援提供は自主性(任意)に依るものではないと明確にするよう求めた。一部からは気候資金の定義と行動強化に向けた資金のニーズを確認するため途上国を支援するプロセスが支持された。また、動員と支援のトラッキングに関する具体的な情報の特徴を引用した。気候変動の影響と適応に関する情報については、多くの先進国が指摘したのは、パリ協定で締約国は適応行動を報告“しなければならない”(“shall” report)と定められていることで、MPGsで細かく柔軟性の内容を詰める必要はないという考え方だ。さまざまな先進国は共同進行役のツールに記された損失被害に関する文言削除を要請したが、途上国側が反対した。その他に取り上げられた問題は、途上国に対する過度の負担防止と適応行動の有効性と持続可能性などであった。
資金、技術移転、キャパシティビルディング支援に関する情報については、多くの途上国が様々な課題を指摘し、ニーズに関する情報のギャップの特定や支援のトラッキングの他、技術移転の支援とキャパシティビルディングの支援とのもつれ解消等が問題であると述べた。また、目的の下に諸原則を追加することや、取引コストに関する情報の記載、 “開発”及び技術移転の支援の明記、支援の“活用、効果、成果”に関する報告情報の記載防止、 “行動に関する現状(ステータス)”や 支援のニーズに関する“前提条件”といった一部から新しいアイディアと目される内容記載の防止等が提案された。
多くの途上国は、と主張した。行動の強化には支援の強化が必要であるとし、気候資金を定義し、アクセス可能性を明確にするべきだと要求した。パリ協定の追加条項については、具体的に記載する案を支持する向きもあったが、反対もあった。なお、SBSTAの手順に関して現在進行中の作業については、APAの作業に役立つインプットになると多くが指摘していた。
APA 1-3以降の次のステップに関する議論では、締約国は〔共同進行役の非公式ノートに記された見出し及び小見出しに焦点をあてるターゲットを絞った各国からの意見書提出; 2017年3月のワークショップの不足分から学ぶ会合と会合の間に開催するワークショップ;ワークショップに投入する意見〕に幅広い支援を表明した。また、会合前ワークショップでは提出された意見書に網羅された問題を集中的に取り上げ、これらの意見書が非網羅リストに盛り込まれた横断的問題をどのように扱うかという専門的な議論を行うと明言することで各国の合意が得られた。
共同進行役は5月17日(水)、非公式協議の議論に関する省察を盛り込んだ非公式ノートを公表した。
グローバルストックテイクに関する問題: 非公式協議はXolisa Ngwadla (南アフリカ) と Ilze Prūse (ラトビア)が共同進行役を務めた。協議で取り上げられた問題は、リンケージ及びコンテキスト、アウトプット/成果、手順及びインプット等。会合中に議論を踏まえて作成された5つのバージョンの非公式ノートが共同進行役から回覧された。
リンケージ及びコンテキストについては、一部の途上国が損失被害の支援とのつながりを強調し、対応措置の影響に関するコメントも寄せられた。 さまざまな途上国は、GSTにおける衡平性の運用を求め、先進国がどのように主導しているのか検証するよう要請した。一部の先進国は現実的な方法で衡平性を定義するのは困難だと強調した。その他、野心のサイクルと最良の利用可能な科学の関連に関する言及があった。
今後のアウトプット/成果については、多くの締約国がパリ協定はGSTの成果の概要を記していると指摘した。また、GSTについては、国際協力の強化と実施に関する優良事例や障害、障害克服のチャンスを特定するよう多数が求めていた。また、GSTの手順に関する議論はアウトプットの特定を可能にするとの指摘もあった。さらに、2013-2015年レビューに関する構成化された専門家ダイアログ(SED)の経験、特にアウトプットとして提起する情報をいかに抽出するか学ぶよう求める声があがった。
GSTの手順については、GSTに技術や政治の局面を含めることで締約国の意見は概ね一致した。ある途上国グループを除き、全ての締約国はGSTを一つのプロセスとみなすことで同意した。多数から提案されたのは、 GSTの特徴として、情報収集及び情報とりまとめ、情報の検討、成果とりまとめ等の局面である。また、GSTの技術局面の完全性を維持する必要があるとの意見も出された。CMAがGSTを監督すべきだとの意見が多くあり、技術局面の成果を検討する合同コンタクトグループの設立も一部から提案された。
さまざまな途上国が、衡平性をGSTのワークストリームの一部に加えるよう提案した。 一方、先進国側は、衡平性はGSTの役割にまたがる横断的な課題であるとして反論した。さらに、争点となったのは、損失被害やGSTのタイムフレームであり、2020年にもGSTを開始するとの提案やGSTを2023年までに制限する案、非締約国が関与することの是非と方法など幅広い提案に関するものであった。また、“アウトプット”や“ワークストリーム”等のようにパリ協定に記されていない用語を用いることに対しては、ある途上国グループが懸念を表明した。
インプットについて締約国の合意が成立したのは、決定書 1/CP.21パラグラフ99 (GSTインプット情報)がインプットに関する非網羅リスト作成の基礎となるという考え方、適応・緩和・ MOIに関するインプットのバランスは確保されなければならない点、気候変動に関する政府間パネル (IPCC)は最良の利用可能な科学の根拠となるという点である。いくつかの先進国がパリ協定第2条1項にある“資金フロー”という言及はMOIよりも幅広いと指摘し、さまざまな途上国が損失被害に関するインプットを求める一方、先進国の一部は損失被害の情報を入れる根拠について疑問を呈した。また、IPCCとIPCC以外の情報源についてバランスを図る必要があるとの意見が出されたが、IPCCが最良の利用可能な科学であるとして、これを否定する意見も出された。
さらに、今後の方針についても意見が分かれ、衡平性に関する意見書の提出や2013-2015年レビューの教訓に関するテクニカルペーパー、意見の一致や相違がみられる分野についてまとめた共同進行役のノンペーパー、会合と会合の間に開催予定の見出しに関するラウンドテーブル等の案については意見が対立した。共同進行役は、進行役が作成する非公式ノートの中で、見出しについては各国の合意を反映しておらず見出しに関する意見提出を要請すると記したノートを提出することを提案した。
実施促進・遵守促進のための効果的な委員会運営のための手順・手続: この項目はPeter Horne (オーストラリア) 及びJanine Felson (ベリーズ)が共同進行役を務めた。非公式協議では、委員会のスコープや権能、トリガー、各国の状況、リンケージ等が取り上げられた。
権能については、数多くの締約国が“実施の促進する”及び “遵守の促進”が明確な役割であるとの見方を示した。 また、委員会の活動が協定の全条項をカバーするものなのか法的拘束力のある条項に限定するのかという問題についても集中的な議論が行われた。さらに、パリ協定の条項の法的拘束力の有無により違いが出る結果と共通する結果についても議論があった。
トリガーについては、ある途上国グループが独立したトリガーだけを支持したが、2つの途上国グループをはじめとする他の国々が追加的なトリガーが必要だと主張した。事務局の中立性や情報収集の役目を指摘して事務局のトリガーに反対する声があがったが、それは事務局トリガーが必要な理由であるとの反論があった。CMAトリガーにいくつかの支持もあがった。いくつかの途上国は、不履行の際の“早期警告”や声明文を発行することに反対した。
各国の能力や国情については、途上国が差異化に対応するための手順が必要だと主張した。数々の先進国と一途上国は、どのような柔軟性を保証するのかケースバイケースで委員会が判断することは可能だと述べた。さまざまな途上国が遵守メカニズムとMOIを関連づけるよう求めた。さまざまな先進国の支持を受け、ある途上国グループが、歪んだインセンティブを設けないよう釘を刺した。
リンケージについては、透明性枠組が、目的の源または自動的なトリガーになるのか、あるいは他のトリガーのインプットになりうると多数が発言した。第6条4項 (メカニズム)とのリンケージを主張する国もあったが、反対もあった。CMAの役割については、様々に異なる意見が表明されたが、専門的な委員会レベルで作業を続けるべきだとの意見も二、三の途上国から出された。
パリ協定の実施に関する更なる問題:適応基金に関する問題は、パリ作業計画に関するその他の問題と別個に取り上げられた。
適応基金: この小項目に関する非公式協議はBueno Asesora (アルゼンチン) 及び Pieter Terpstra (オランダ)が共同進行役を務めた。共同進行役の指針となる論点〔ガバナンス及び制度的アレンジならびに対応が必要な適応基金の運用手順、パリ協定に役立つ基金のセーフガードに関する諸問題〕が締約国による議論のスタートを切った。
運用手順については、多くの途上国が途上国向けのダイレクトアクセスが不可欠だと主張した。数々の先進国は基金の比較優位について評価する必要があると指摘した。多くの 一部の先進国の要請を受けて以下の問題に関する集中討議を行うことが多数の同意を得た。〔気候資金の枠内における適応基金の今後の役割;適応基金の資金源と整合性; 適応基金が今後も京都議定書に役務を果たすか否か、その場合はパリ協定にも役務を果たすのか; 暫定的な調整事項;適応基金に対する指針提供元;パリ協定非締約国を考慮した場合の適格性等〕
適応基金がパリ協定に役務を果たす場合の選択肢については、長時間にわたる議論が行われた。基金の制度的な親元を明確にする方がいいとの意見が出た。事務局の法務チームは、基金がパリ協定に役務を果たすために必要な法的な閾値に関する締約国の疑問に回答し、これは補足性の問題次第となり、同列ではなきにせよCMA及びCMPの決定を受けると述べた。ガバナンス、調整事項や手順に関する.決定書については、基金がどの法律や合意文書に依拠するかという問題になると説明した。
一部の途上国は、1つの選択肢として、基金がパリ協定に役務を果たし、基金の理事会をCMAの監督下に置き、基金の収益源や信託権及び適格性に係る諸問題に関する作業を理事会に託すことをCMP決議とすることで締約国が合意するという案を検討した。ある締約国グループは、今後の道筋として、次回のCMPで基金をCMA監督下への移行を決定、次回のCMAで基金がパリ協定に役務を果たすと決定、既存のセーフガードを適用しつつ必要な修正を加えて基金のルールを準用する等を提案したが、ある締約国の反対を受けた。
今後の道筋については、途上国がすでに進行している“グランドファザリング”プロジェクトについての対処法など、移行問題について対処する必要があると指摘した。また、至急、決定書草案づくりに着手する必要があると主張した。ある締約国は適応基金に関する2006年のCMP決定書(決定書5/CMP.2)にスポットを当てたが、事務局がUNFCCCウェブサイトに関連するCMP決定書リストを掲載することが締約国の合意を受けた。
5月16日(火)、共同進行役はれまでの議論や2つの付属文書(①指針となる論点を踏まえた選択肢と締約国が特定した要素、②基金がパリ協定に役務を果たすための調整事項に関する問題についての非公式協議についてUNFCCC法務部が作成した資料)共同進行役のリフレクションノートを盛り込んだ非公式ノートを作成した。
適応基金以外のさらなる問題: APA共同議長が非公式協議の進行役を務めた。共同議長の非公式ノートに盛り込まれたパリ協定作業計画で取り上げられていない9つの追加的問題を列挙したリストの公式に位置づけられていないことを念頭に、Baashan共同議長は、現時点で作業が行われているか否か、どこで行われているか、準備作業が必要か否か、またどこで必要か、今回の作業の期限等、共同議長のリフレクションノートをチェックして各問題を検討するよう各国に要請した。また、パリ協定に役務を果たすため対応措置フォーラムを実施するための進展と手続き上のステップや途上国の適応努力を認識するための手順に関する意見交換が行われた。対応措置フォーラムの改善について現在進行中の議論の範囲については、共同議長がSBI/SBSTA議長から非公式に回答を求めることとなった。
資金メカニズムの運用主体に対する隔年の情報提供と指針提供のための手順が検討された。一部の締約国は、情報について議論する義務はあるが、手順について同様に行うという義務はないと論じた。また、パリ協定で明示的に定められた役務を超えることへの反対意見も出された。指針については多くの締約国が指針を準用するための既存の条項について言及した。
LDC基金 (LDCF) 及び特別気候変動基金 (SCCF) に対するCMAの初期の指針ならびに既存のNDCsの調整に関するCMAの指針に関する議論も行われた。
パリ協定締約国がLDCF及びSSCFを通じた支援の供与を開始する際は地球環境ファシリティー(GEF) に指針を出し、両機関を管理すると指摘し、多くの締約国がどちらの項目も優先課題ではないとの見解を示した。NDCsを調整する指針については、多くの締約国 が細かな関連事項の大半をすでにNDCsで網羅していると伝達する指針について言及した。
新たな資金数値目標を加盟国全体で設定するプロセスについては、多くの途上国が、CMAは交渉方式や交渉手順を特定する議論を行う任務を有すると提案した。ある締約国は、この項目を“できるだけ早期に”取り上げるよう要請したが、CMAの議題に入れることへに賛成しつつCMA 1での審議に反対する意見も出された。また、SBIで本件を審議することに反対する意見も出された。
非公式ノート草案を紹介し、Baashan共同議長は、草案には中でも4つの問題に関する今後のステップについての提案が盛り込まれていると言及。すなわち、パリ協定に役務を果たすための対応措置フォーラム、途上国の適応努力の認識、GCF及びGEFに対する (初期の) CMA指針、 そしてLDCF及びSSCFに関する提案だと述べた。様々な問題に関する共通理解の“伝え方”について一締約国から質問が出され、Baashan共同議長は、非公式ノートやAPA結論書が選択肢となりうると答えた。資金に関する常設委員会 (SCF)が指針草案をCMA 2で作成することを目指し、CMA 1-3で指針を作成するという指令を出すという案については、ある途上国グループが先に指針を準備することを提案した。新たな資金数値目標を加盟国全体で設定するプロセスについては、本件が“指令を受けた案件”と位置づけ、パリの成果に関する他の関連パラグラフの中で言及することで多くの締約国が合意したが、一部の途上国やグループが作業の早期開始の選択肢に関してもっと適切な文言を提案すると述べた。
ある締約国は、対応措置フォーラムがどのようにAPAに報告するのか手続きを明確にするよう求めたが、その他の国々が反対した。
適応努力の認識については、CMAに対する適応委員会やLEGに関する提言を盛り込んだ決定書草案を作成するのか議論した。
APAコンタクトグループ: 17日(水)、18日(木)に行われたコンタクトグループでは、APA結論書草案と今後の道筋の議論が中心となった。
結論書については、数々の途上国グループが、議題項目のバランスが必要だと強調し、2020年以前と以降の問題、行動と支援についてもバランスを図る必要があると主張した。 南アフリカは、アフリカグループの立場から、イランは、LMDCsの立場から、“あまり熟していない問題”に関する作業を優先する案を支持した。
数々の国が、結論書で適応基金に関する議論をどのように反映させるかという問題に注目した。エチオピアは、LDCsの立場から、また、アフリカグループ及び米国は、結論書草案は進捗を把握していないと主張。 モルディブは、AOSISの立場から、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイに代わって、「パリ協定に役務を果たす適応基金のガバナンスや運用手順に関する詳細なダイアログが必要だ」と主張した。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場から、「COP 23で、対応措置フォーラムや適応努力の認識に関するCMA 1での決定書草案に係る手続きの明確化に対応する」と記載するパラグラフを入れることに反対した。米国は、これらの指示は明確であると強調した。
今後の作業については、意見書提出やテクニカルペーパーの必要性、ラウンドテーブル開催の是非やその回数とテーマ、ならびにワークショップ開催の是非と開催時期を会合中か会合前、会合間ワークショップとすべきか等の問題で締約国の意見が分かれた。
今後のテクニカルな作業について、各国の代表は長時間の議論を行った。オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場から、GSTと遵守に関する意見書提出を求める案を支持した。LMDCsは、透明性に関する会合前ラウンドテーブル開催案を支持したが、緩和 とGSTに関するラウンドテーブルの開催には反対し、GSTに特化した意見書提出を求めるよう要請した。 EUは、透明性に関する2日間のワークショップを提案した。スイスは、EIG、の立場から、緩和に関する会合前ラウンドテーブル開催案、透明性に関する2日間のワークショップ、 適応に関する情報伝達(コミュニケーション)及びGSTに関して意見書提出を求める案を支持し、遵守に関するラウンドテーブルの必要性については“確信できていない”と述べた。LDCsは、全ての議題項目に関するラウンドテーブルに関する情報は適宜、意見書とテクニカルペーパーで連絡するとの案を支持した。AOSISは、適応に関する情報伝達(コミュニケーション)、GST、遵守に関する会合中ラウンドテーブルに特化した意見書提出案を支持した。グアテマラは、AILACの立場から、GSTについて意見が一致、相違する分野の概要を示した意見書提出案を支持した。アフリカグループは、GSTに関するラウンドテーブルを求めた。ブラジルは、アルゼンチン及びウルグアイも代表し、緩和、適応 情報伝達(コミュニケーション)、遵守に関して、ラウンドテーブルを開催する案を支持した。
午後からは、ラウンドテーブルについて、EIGが、アフリカ グループ、LDCs、EU、及びノルウェーの支持を受け、緩和に関する1日のラウンドテーブル、透明性に関する2日間のラウンドテーブルを提案した。また、アルゼンチンは、ブラジル、ウルグアイに代わり、1日の適応の情報伝達に関するラウンドテーブル開催を主張した。アフリカ グループは、AOSIS及びAILACの支持を受け、透明性に関する1日のラウンドテーブルでは支援の透明性だけを取り上げるべきだと主張した。オーストラリアとニュージーランドは、今後の議論が必要な分野の1つに過ぎない「支援」について丸々1日の討議を行うことに疑問を投げかけた。
中国は、透明性に関する1日のワークショップについて、支援と適応に関する議論の2部制にすることを提案したが、“NDCs”に関するラウンドテーブル開催には反対した。一方、適応に関する情報伝達(コミュニケーション)を議論するラウンドテーブル開催は支持した。その他の締約国は、改めてラウンドテーブル開催を支持した。
Baashan共同議長は、透明性に関する2日間のワークショップを開催し、1日を支援の透明性、技術専門家レビュー、促進的な多国間審議にあて、もう1日を緩和や適応を含めた行動の透明性にあてることを提案した。さらに、GSTに関しては1日のラウンドテーブルを開催し、緩和と遵守に関しては会合中に2つパラレルでラウンドテーブルを開催することを提案した。
アフリカグループは、技術専門家レビュー及び促進的な多国間審議は支援の透明性とリンクしていると明記するよう求めた。LMDCsは、技術専門家レビュー及び促進的な多国間審議という記載を削除することを提案した。共同議長は結論書草案を修正するためコンタクトグループをいったん中断すると述べた。
Tyndall 共同議長は18日(木)、結論書草案 (FCCC/AP A/2017/L.2)を紹介し、本文書には3つの選択肢が示されたと述べた。すなわち、会合前または会合中の作業案、APA議題項目 3-7 及びAPA 議題項目 8 (さらなる問題)の下での進捗の認識に関する意見書提出、APA 1-4での作業継続に関する合意に関する選択肢が草案に盛り込まれた。
その後、議事進行上の問題についてLDCsから指摘があり、 “L文書”はコンタクトグループの同意なく発行することは出来ず、3つの選択肢について全ての締約国が諮問を受けていなかった点や、アフリカグループからの提案が言及されたが、APAは文中の最初の選択肢だけについて議論することで合意した。
オーストラリアは、GSTに関するラウンドテーブルが共同進行役の非公式ノートではなく各国が提出した意見を考慮して開催するのか質問した。LDCsは、米国の支持を受け、非公式ノートと各国の意見書の両方を使うのか質問した。
LMDCsは、GSTに関する今後の作業について各国に意見書提出を要請するパラグラフの中の“反映された締約国の意見ならびに非公式ノートを考慮する”という文言を “適宜、留意する”と変更すべきだと要請した。
APAのTyndall 共同議長が結論書の修正案をまとめて発表した後、口頭で修正された箇所がそのまま結論書として採択された。
閉会プレナリー: 5月18日(木)、APAは結論書 (FCCC/APA/2017/L.2)を採択した。
Baashan共同議長は、APAの作業の結果、事務的、予算的にどのような影響が生じるか報告するよう事務局に要請した。また、事務局は、APA再開会合と連動して3回の事前ラウンドテーブルを開催する場合、追加で€385,000が必要だと述べ、各国には資金拠出を求めた。 Baashan共同議長は、事務局からの報告によって追加的な資金拠出が無ければラウンドテーブルを開催するかとは不可能であることが分かると述べた。
その後、APAは報告書(FCCC/APA/2017/L.1)を採択した。
APAプレナリーでは、先月、突然他界された故インド環境大臣Anil Madhav Daveを悼んで黙祷がささげられた。
エクアドルは、G-77/中国の立場から、緩和と透明性枠組に関する会合中ラウンドテーブルならびに意見書提出の機会に期待すると述べ、合意された通り適応基金はパリ協定に役務を果たすものであり、さらに手続き問題に対処し、新たに資金に関する数値目標を締約国全体で設定しなければならないと強く主張した。
EUは、 行動・支援の透明性ならびに適応基金については素晴らしい進捗があったとした上で、 GSTに関する理解は異なっていることを指摘し、締約国以外のステークホルダーが適切に参加することを支持した。
オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場から、グループとして、適応の情報伝達(コミュニケーション)について今後詳細を定めることを期待していると述べ、緩和行動の透明性は個々の目標と全体での目標を理解するために重要だとした上で、GSTは全体の野心を推進する上で中核になると述べた。
また、APAコンタクトグループの下で政治的な議論が技術的な進捗を脅かすことがないよう求め、スイスは、EIGの立場から、様々な関連あるグループの専門家が交渉に参加できるよう会合を夕方開催することを求めた。
モルディブはAOSISの立場から、進捗状況はテーマによって“まだら模様”であるとし、危機感をもって失われた時間を埋めなければならないと述べた。
イランは、LMDCsの立場から、パリ協定を履行するため現在審議中の各種協定の中に歴史的責任と個々の能力を反映させる必要があるとして、さらなる信頼醸成を求めた。
サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、パリ協定のさまざまな要素のバランスを維持する必要があると主張し、APAの下で追加的な論点に関する交渉を完了すべきだと述べた。また、適応に関する情報伝達(コミュニケーション)と透明性枠組、GST、ならびに MOI、キャパシティビルディング、技術移転と対応措置の間の相互関連性について強調した。
グアテマラは、AILACの立場から、GSTに関する作業の更なる進展や、科学が要請する排出削減の経路を実現するために非常に重要だとの観点から2018年促進ダイアログが必要であると強調し、行動の透明性と支援の透明性が各国の信頼の柱となると強く主張した。
ボリヴィアは、ALBAの立場から、複数の議題項目間のバランスの必要性、ならびに緩和、適応、MOI、キャパシティビルディングが柱になるとの考えを示した。また、国ごとに異なる個々の能力を認識し、パリ協定への署名に後ろ向きな締約国とそれが可能ではない締約国とを区別し、後者には罰則を加えないようにするべきだと主張した。
Baashan共同議長は“時計がカチコチと時を刻んでいる”ことを念押しした上で、午後9時20分、APA 1-3を一時中断した。
APA結論書: 本結論書 (FCCC/APA/2017/L.2)で、APAは、特に、個別の議題項目に関する今後の作業について、意見書提出の重点分野では各非公式グループの交渉でそれぞれ独自の力学が働いていることを映して項目によって異なる用語が使われていることに留意した。また、APAは、交渉が進むにつれて、APA議題の全項目に関する文案づくりと草案の要素確定を容易にするため一貫性のある用語を採用することで合意。
下記の個別議題項目について言及したラウンドテーブルについては、APAは締約国とオブザーバー国家だけにラウンドテーブルを開放し、締約国が合意した場合は各議題項目に専任の共同進行役がAPA 1-3で、個々の責任の下、APA共同議長の指針や非公式ノートを関連ラウンドテーブルで示された意見を反映させつつ作成し、その後で共同議長のノートを締約国に速やかに提供することで合意した。:
議題項目3 (緩和)については、APAは、2017年10月15日までに、適宜、省略・再解釈・予断を加えることなく各国が意見書で表明した意見を元に、合意点、相違点、選択肢についてまとめたノンペーパーを共同進行役が作成するよう要請し、共同進行役のノンペーパーについて考慮に入れつつ、事務局は2017年11月6日(月)にラウンドテーブルを開催するよう要請した。
議題項目 4 (適応の情報伝達(コミュニケーション)に関するAPAの決定:
- 2017年9月15日までに、要素と概要の“骨組”に関する提案を集中的な意見書提出を要請。
- 事務局に対しては、 2017年10月1日までに、NDCsの適応関連の情報や国別適応計画 (NAPs)ならびに最近の国別報告書をまとめたテクニカルペーパーを作成するよう要請。
- 共同進行役に対しては、2017年10月15日までに、これら提出文書をノンペーパーの形にまとめるよう要請。
- 事務局に対しては、締約国から提出された意見書を考慮に入れつつ、2017年11月4日にラウンドテーブルを開催するよう要請。
議題項目 5 (透明性枠組)については、APAは、締約国に対し、2017年9月30日までに、 共同進行役が作成した非公式ノートの添付文書に入った“見出しと小見出し”を考慮に入れて集中的な意見書を提出するよう要請するとともに、適切な場合には“見出しと小見出し”の下で具体的な運用上の詳細を詰め、締約国が提出した意見書に網羅された問題を集中的に扱い、パリ協定第13条特にパラグラフ 2-4に列挙された横断的課題が各国の意見書の中で検討されているかという問題について専門的な議論を含めるため、2017年11月4-5日に会合前ラウンドテーブルを開催するよう事務局に要請した。
APAは、2017年11月4日のラウンドテーブルで供与された支援の透明性や、支援の透明性に焦点を当てつつ進捗に関する技術専門家レビュー及び促進的な多国間審議を行い、2017年11月5日には緩和・適応に関連して行動の透明性について審議することで合意。
議題項目 6 (GST) については、APAは、2017年9月30日までに締約国が非公式ノートに反映された各国の見解に適宜留意しつつGSTにインプットする情報源やGSTの手順策定を特定するための文章概要の要素に関して集中的な意見書を提出するよう要請し、事務局に対しては共同進行役の非公式ノートを考慮に入れつつ2017年11月5日(日)に会合前ラウンドテーブルを開催するよう要請している。
議題項目 7 (遵守)については、APAは、非公式ノートの添付文書に提案されている通り、締約国は2017年9月15日までに集中的な意見書を提出すべきだと提案し、事務局には共同進行役の非公式ノートを考慮しつつ、2017年11月6日(月)にラウンドテーブルを開催するよう要請している。
議題項目 8 (さらなる問題)については、APAは、事務局が情報をとりまとめ、2017年9月15日までに適応基金のガバナンスや制度的調整事項、セーフガード条項や運用手順について触れた適応基金に関する過去の決定書の全リストをUNFCCCウェブサイトに掲示するよう要請。さらに、APA は、以下の項目〔対応措置フォーラムをパリ協定に活用できるようにするための進捗状況と手続き上のステップ、途上国締約国の適応努力を認識する手順に係る手続き上のステップ〕に関する決定書草案を審議し、CMA 1で採択するための手続き上のステップに関する締約国間の意見交換の内容について留意している。
さらに、対応措置に関しては、APAは、 SBSTA及びSBIの交渉時に本件を提起するよう締約国に要請した。補助機関で現在作成している決定書草案に第19条 (制度的調整)に則り対応措置フォーラムはパリ協定に役務を提供すると決定し、CMA 1の手続きに関するステップを完了させるための条項が盛り込まれるとの締約国の理解が表明されたため、APAは本件について議題項目8の下で追加審議を行う必要はないとすることで合意した。
途上国の締約国による適応努力の認識については、APAは、COP 23に於いて、 CMA 1での採択を目指して審議する決定書草案に係る手続きを明確にする必要性に対応することを提案。 本件について、APAは、 COP 23で手続きを明確にし、題項目8の下で追加審議を行う必要はないとの見解で合意した。
APAは、共同議長が発行する非公式ノートに含まれた残りの追加的な問題についての審議をAPA 1-4でも継続することで合意した。
さらなるAPAの決定事項:
- 締約国に対しては、SBI及びSBSTAで関連事項の審議が進められていることを念頭に置きつつ、一貫したバランスと調整のとれた方法で、2017年10月15日までにAPA 1-4以降の期間の作業の進め方に関する考えをまとめて提出するよう要請。
- 意見書提出が呼びかけられたAPA議題の全項目については、締約国はAPA議題のいかなる局面に関する意見の提出も制限されるものではなく、締約国とオブザーバーに対しては、APA各会合前にAPAのあらゆる作業に関する情報提供や提案提出を早めに行うよう要請。
- 今次会合の成果の概要を示した上で、締約国が将来的に提起するあらゆる選択肢や提案に対する予断を持たず各締約国が示した意見やアイディアを踏まえて今後の道筋に関する選択肢の案を記したリフレクションノートを公表するAPA共同議長の意向に留意。
実施に関する補助機関
緩和・適応に関するSBI及びSBSTA合同の技術専門家会合 (TEMs) がいくつか開催された。 緩和TEMsでは都市環境や土地利用が重点的に取り上げられた。 (同イベント情報: http://unfccc.int/resource/ climateaction 2020/media/1303/TEMS_March_ Agenda. pdf). 適応TEMsでは“気候変動の適応と持続可能な開発目標、防災に関する仙台枠組との統合”が重点テーマとなった。(同イベント情報: http://tep-a.org/)
開会ステートメント: 5月8日(月)、エクアドルは、G-77/中国の立場から、を求めた。: NAPsに関する議論の中でMOI、適応基金の持続可能性と予測可能性を検討し、国家以外の主体の役割を定義するよう求めた。
オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場から、隔年更新報告書の提出に留意し、今後のさらなる提出に期待を寄せつつ、多国間評価への幅広い参加を奨励した。
EUは、特に多国間評価や促進的な意見交換、技術メカニズムの再検討、対応措置フォーラム改善、PCCB会合について強調した上で、透明性と効率性を担保するUNFCCC予算を求め、全ての締約国による資金貢献を呼びかけた。
マリ(アフリカグループ)、ベネズエラ(ALBA)は、2020年までの作業やパリ協定の実施準備を考慮した事務局のリソース強化が重要であると強調した。
エチオピアは、LDCsの立場から、LDC専門家グループ (LEG)への追加資金、LDCF資金補充、GCFへのアクセス強化を求めた。
韓国は、EIGの立場から、国際評価レビュー (IAR) 及び国際諮問分析(ICA)がパリ協定の透明性枠組に関する教訓を提供するとともに、懸案となっている予算問題を解決するよう求めた。
モルディブは、AOSISの立場から、締約国のNDCsについてアクセスしやすい情報を提供するべく公開登録簿が必要だと主張し、適応報告登録簿とNDC登録簿を関連させるよう提案した。
サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、緩和措置を途上国の経済多角化のために貢献させ、支援の測定・報告・検証 (MRV)を実施しなければならないと主張した。
コンゴ民主共和国は、CfRNの立場から、REDD+、適応、損失被害に対する資金支援の増額を求めた。
女性とジェンダー団体は、包括的なジェンダー行動計画を策定し、性差に対応した気候資金づくりのための具体的なステップを求めた。
青年NGOsは、PCCB、ダーバン・フォーラム、気候エンパワーメント・ダイアログ向けの行動の透明性を求めるとともに、若年層の声を聞いてもらいたいと要請した。
CANは、締約国に対し、NDC実施のための資金拡大を締約国に要請した。
The Philippine Movement for Climate Justice(気候正義のためのフィリピン・ムーブメント)は、国以外の利害関係者の参加という観点から利益相反問題への対応が必要だと主張した。
農業団体は、変化する気候が人口増に対応するための農家の食料提供力を脅かしていると主張した。
先住民は、NDCs 及び NAPsの実施に先住民を参加させるよう要請した。
地方自治体や当局は、世界の気候行動に向けたマラケシュ・パートナーシップとの補完性を特定するための国家以外の利害関係者向けワークショップを歓迎した。
組織事項: SBI 議長のTomasz Chruszczow (ポーランド)が暫定議題(FCCC/SBI/2017/1) と作業構成を紹介し、“資金及び技術の支援”ではなく“ 資金と技術の支援の提供”と題された議題項目が入った議題が採択された。 同議題の名称と非附属書I国からの国別報告書に盛り込まれて保留とされた情報に関する議題項目とともに議題が採択された。
多国間評価:多国間評価は12日(金)と 13日(土)に開催され、ベラルーシ、カナダ、キプロス、フランス、ギリシヤ、アイルランド、アイスランド、日本、カザフスタン、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロヴェニア、スペイン、米国に対する評価が行われた。これらの発表に関する情報: http://unfccc.int/focus/mitigation/the_multilateral_assessment_process_under_the_iar/items/10090.php.
促進的な意見交換: 促進的な意見交換会は5月15日(月)に行われた。インド、インドネシア、イスラエル、マレーシア、モーリタニア、モンテネグロ、モロッコ、モルドヴァ共和国、タイ、ウルグアイが隔年更新報告書を提出した。本件に関する情報: http://unfccc.int/national_reports/non-annex_i_parties/ica/facilitative_sharing_of_views/items/10247.php.
その他の“宿題イベント”: SBIに託された全イベント情報: http://unfccc.int/meetings/bonn_may_2017/session/10078/php/view/workshops.php
イベントの多くは各議題項目の下で参照。
附属書I国の報告: 第2回隔年報告書の提出状況とレビュー: 5月8日(月)SBIプレナリーで本小項目(FCCC/SBI/2017/INF.1)は最初に取り上げられた。SBIは第2回隔年報告書の提出状況とレビュー状況に留意した。
第2回隔年報告書の編纂・統合: 5月8日(月)SBIプレナリーで本小項目は最初に取り上げられ、その後はHelen Plume (ニュージーランド) 及び Stephen M. King’uyu (ケニア)が共同進行役を務める非公式協議で議論の場を移した。 5月18日(木)の閉会プレナリーで、SBIは、まったく合意に至らなかったことに留意し、手続き規則案ルール16の適用を決定。本件はSBI 47で取り上げることになった。
国別報告書作成ガイドラインの改定:この小項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。その後はSBI議長主導の協議で議論された。5月18日木曜日、SBIプレナリーは結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.15)において、SBIは、SBI 50(2019年6月)においてこの問題の審議を継続することで合意した。
IARのモダリティ及び手順の改定:この小項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。その後、Helen Plume(ニュージーランド)及びM. King’uyu(ケニア)を共同進行役とする非公式協議で議論された。SBIは、IAR第1回及び第2回レビューを歓迎した。SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.13)において、SBIは、SBI 50(2019年6月)においてこの項目の審議を継続することで合意した。
非附属書I報告書作成:国別報告書記載情報:SBIは、5月8日月曜日のプレナリーでこの項目を保留すると決定した。
資金支援及び技術援助の提供:5月8日月曜日、SBI開会プレナリーでこの小項目が審議された。その後、Helen Plume(ニュージーランド)及びM. King’uyu(ケニア)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
5月18日木曜日、SBI議長のChruszczowは、この議題項目に関し、努力にもかかわらず、今回の会合で結論をだせなかったと報告した。
フィリピンはG-77/中国の立場で発言し、条約の下での義務遵守に必要な資金源へのアクセスに関し、開発途上国数か国が深刻な懸念を表明したとして、SBIはこのことに留意すると結論書に追加するよう提案した。米国とオーストラリアは、結論書の改定に反対した。
イランは、GEF事務局に対し、一部の開発途上国の支援要請に対応していない理由を示すよう質問することを提案した。エジプトは、G-77/中国の意見に呼応し、自分たちの改定案は「事実を述べたもの(statement of fact)」との見方を示した。サウジアラビアは、開発途上国の報告義務順守には資金援助が重要であると強調した。
締約国は、最終的に、議事録にG-77/中国の提案する文章を引用しないこと、締約国の意見発表は反映させることで合意し、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.17)において、SBIは、SBI 47でこの項目の審議を継続することで合意した。
隔年更新報告書のサマリー報告書:5月8日月曜日、SBIは、UNFCCCウェブサイトに掲載された隔年更新報告書の技術分析に関するサマリー報告書、特に2016年10月1日から2017年3月10日の期間に最終決定されたサマリー報告書に留意した。
パリ協定4.12条(NDCレジストリ)規定の公開レジストリの運用及び利用に関するモダリティ及び手順の策定:この項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。SBIは、この議題を、Madeleine Diouf-Sarr(セネガル)及びGertraud Wollansky(オーストリア)を共同進行役とする非公式協議に送ることで合意した。
非公式協議では、NDCレジストリのモダリティの要素、手順、機能、設計要素の識別に焦点があてられた。締約国は、利用しやすさ、公開アクセス、安全性、検索可能性を強調した。
多数のものは、暫定NDCレジストリの改善方法の議論を提案し、一部のものは、レジストリは時間の経過とともに進化可能であり、今後のNDCsなど、多様な文書に対応可能なものにすべきだと述べた。追加の国内情報を提出するかどうかでは意見が分かれ、ある国は、情報はレジストリが決定する形ではなく、国家が決定する形で伝えられるべきだと指摘した。多数の締約国は、国内窓口による文書提出、国名や提出ファイル、言語、提出年月日など、ソート可能なコラムを用いる設計とすることを支持した。
締約国は、特に次の項目に関する文書提出の招請を支持した:安全性及びアクセス可能性を強化する方法;レジストリの言語、レジストリの中の言語;暫定レジストリにおける学習事項及び利用者ガイド;2つのレジストリのリンクまたは橋かけ。
締約国は、SBI 46の第1週において共同進行役作成の結論書草案を議論し、これを反映させるパラグラフについて意見交換を行い、言葉の選択、及び言語関係のアクセス可能性など追加要素の可能性について、数件の提案を行った。ある開発途上国グループは、APA議題項目3(緩和)での作業との重複を避けるとするパラグラフを提案したが、ある先進国グループは反対した。
5月18日木曜日のプレナリーで、SBIは結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.6)において、SBIは:
- SBI議題項目6(協定7.12条(適応報告書)の公開レジストリ)における作業とのリンクに関するものなど、本項目に関するSBI 46での締約国の意見交換に留意する;
- 現在のNDCs暫定レジストリの運用状況に関する事務局提供の情報、及びSBI議題項目6の公開レジストリに関しSBI 46で締約国が表明した意見に留意する、後者には次のものが含まれる:NDCsのアップロード作業は国内窓口にのみ認める;アカウントの安全性及びアクセス可能性を確保する;以前に報告されたNDCsを保持し、締約国に対し利用者ガイドを提供し、継続運用のための支援を提供する;これらの要素に基づき、モダリティ及び手順を作成すべきことで合意する。
- 締約国及びオブザーバーに対し、特に次の項目に関する文書の2017年9月21日までの提出を招請する:NDCs暫定レジストリの利用で得られた学習事項;公開レジストリの機能、構成、設計要素;安全性、アクセス可能性、利用しやすさ、利用者支援を強化する方法;SBI議題項目6に関する作業とリンクする可能性;
- SBI 47における本項目の審議継続で合意する。
(パリ)協定7.12条(適応報告レジストリ)に規定する公開レジストリの運用及び利用のモダリティ並びに手順の策定:本項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。SBIは、この項目をGertraud Wollansky(オーストリア)及びMadeleine Diouf-Sarr(セネガル)が共同進行役を務める非公式議論に送ることで合意した。
非公式協議において、共同進行役のDiouf-Sarrは、締約国に対し、レジストリの数、及びAPAでの議論とのリンクに関する議論を延期するよう提案し、適応報告書レジストリの運用に焦点を当てるよう求めた。各国は、利用しやすさ、公開のアクセス可能性、利用者にとっての安全保障、事務局によるレジストリ維持を支持した。多数のものは、柔軟性の必要性及び適応報告書のビーヒクルを主催する他のポータルとのリンクに注目するよう求めた。多数のものは、モダリティはAPA議題項目4(適応報告書)の結果に予断を加えるものであってはならないと指摘した。
締約国は、共同進行役が作成した文書草案に関する第1週の議論を盛り込んだパラグラフについて意見交換を行い、言葉の選択及び可能な新要素、たとえばレジストリの単純性、及び利用しやすさに関し、提案をした。多様な開発途上国は、事務局に対し、締約国及びオブザーバーの文書提出の後ではなく、その前に情報ノートを作成するよう要請することを提案した。
5月18日木曜日のプレナリーで、SBIは結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.8)において、SBIは:
- SBI議題項目5(公開レジストリ、協定4.12条(NDCs))の作業とのリンク、適応計画作成に関する事務局のウェブページ管理など、本項目に関し、締約国がSBI 46で交換した意見に留意する;
- 単純性、利用しやすさ、アカウントの安全保障、アクセス可能性、レジストリ開発に必要な支援など、レジストリの技術設計及び機能性に関し、締約国が表明した意見に留意し、これらの要素を考慮しモダリティ及び手順を開発すべきことで合意する;
- レジストリの技術設計、及び適応報告書提出の多様な手段を対応可能なレジストリの設計に関し、締約国が表明した意見に留意する;
- 締約国及びオブザーバーに対し、SBI議題項目5の作業とのリンク付けの可能性など、この項目に関する意見を、2017年9月21日までに文書で提出するよう招請する;
- SBI 47において本項目の審議を継続することで合意する。
クリーン開発メカニズムのモダリティ及び手順のレビュー:この項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われ、その後、Karoliina Anttonen(フィンランド)及びYaw Osafo(ガーナ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
この項目と協定第6条(協力手法)の議論との相互リンク及び議論の順序に関し、締約国の意見は分かれた。
SBIプレナリーは、この項目に関する結論書の採択に至らず、この項目はSBI 47の暫定議題書に含まれる予定。
LDCs関係問題:この項目(FCCC/SBI/2017/6)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われ、その後、Pepetua Latasi(ツバル)及びJens Fugl(デンマーク)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2016/L.2)において、SBIは:
- LEGの2年ローリングプラン(周期的見直し計画(FCCC/SBI/2017/6, 附属書I)を歓迎する;
- NAP万博の価値を強調し、当初2017年4月11-13日に計画されていたNAP万博の延期に対し懸念を表明する;
- LDCFに対する新たな資金供与を歓迎し、さらに23件のプロジェクト案が技術的にはGEFの承認を受けたものの資源供与を待機している状態であると指摘し、追加の資金供与を促す;
- 持続可能な開発目標とNAPsとの統合に関するLEGのガイダンスを歓迎する;
- LEGに対し、GCFの準備装備支援計画へのアクセスを、NAPsの地域訓練ワークショップ及びNAP万博の議題に入れるよう求める;
- LDC作業計画を更新し、SBI 48の審議にかける必要があるかどうか、締約国の意見を求める。
国別適応計画:この問題は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われ、その後、Pepetua Latasi(ツバル)及びJens Fugl(デンマーク)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
共同進行役のLatasiは、結論書草案を提起し、締約国はこれに同意し、その後、SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.3)において、SBIは、他の関連する議題項目での審議の動きに配慮し、この問題の審議をSBI 49(2018年12月)まで延期した。
パリ協定の支援に関係する技術メカニズムの定期評価の範囲及びモダリティ:この項目(FCCC/SBI/2017/INF.2)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起され、その後、Elfriede-Anna More(オーストリア)及びWashington Zhakata(ジンバブエ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
定期評価のモダリティに関する議論において、締約国は、次のようなプロセスを提案した:費用効果があり、結果本位のもの;技術枠組に合わせる;技術メカニズムの改善のみを目的とする;利害関係者の参画を得る。その範囲に関し、締約国は、この評価の目的はパリ協定の実施を強化することであるとし、評価のインプットに受益国の経験を含めるよう提案した。評価をCMAの権限下で行うべきか、それともCOPの権限下で行うべきかでは意見が分かれた。
SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.4)において、SBIは特に:
- 事務局に対し、条約及び京都議定書の下での多様な制度の中で、定期評価に関連するレビューを実施した経験や学習事項、最善の実施方法に関するテクニカル・ペーパーを、SBI 47までに作成するよう要請する、これには該当するレビューのリストも含める;
- SBI 46における締約国の協議、並びに事務局作成のテクニカル・ペーパーに記載される情報を考慮し、定期評価の範囲及びモダリティの推敲を継続することで合意する。
気候資金関連の問題:資金常任委員会の機能のレビュー:この項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起され、その後、Delphine Eyraud(フランス)及びFestus Luboyera(ウガンダ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
レビューに関する議論の中で、数か国の先進国は、締約国の提出文書は事務局のテクニカル・ペーパーへのインプットと考えられるべきと主唱した。SCFの活動に対するSCFの機能はどのような構成になるかでは意見が分かれ、ある締約国は、SCFの作業実施方法での効率改善及び優先度に焦点を当てることを希望した。他のものは、パリ協定の透明性枠組の観点から支援のMRVに焦点を当てる必要があると強調した。
SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.7)において、SBIは、SCFの全機能を強化し続ける必要があると強調する、これには特に次の分野のものを含める:隔年評価の質;SCFが提供するアウトプット及び提案の普及及び活用、これにはSCFフォーラムの結果も含める;SCF会議及びモダリティ作成作業でのメンバーの参加。
適応基金の第3回レビュー:この項目は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起され、その後、Herman Sips(オランダ)及びPatience Damptey(ガーナ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.9)において、SBIは特に:
- 適応基金が果たしてきた役割、果たし続ける役割の重要性を認識し、さらに開発途上締約国における具体的な適応プロジェクト、プログラム、準備体制の整備に向けた支援の必要性に応え、重大な貢献を可能にする特異な特性を認識する;
- 第3回レビューの成果は、パリ協定において役割を果たす適応基金に関するAPAの交渉に予断を与えるものではないが、締約国が情報を得た決定を行えるよう、関連情報を提供すると認識する。
キャパシティビルディング関係問題:条約の下でのキャパシティビルディング、及び議定書の下でのキャパシティビルディング:これらの小項目(FCCC/SBI/2017/2及び付録1、3、INF.5)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。SBIは、両小項目を、Marzena Chodor(ポーランド)及びBubu Jallow(ガンビア)を共同進行役とする非公式協議で議論することで合意した。
5月10日水曜日、キャパシティビルディングに関するダーバン・プラットフォームの第6回会合が開催された。プレゼンテーション及び分科会の報告を下記に掲載する: http://unfccc.int/cooperation_and_support/capacity_building/items/10133.php
非公式協議において、共同進行役のJallowは、経済移行国(EIT)向けのキャパシティビルディング枠組の実施に関する各国のプレゼンテーションを招請し、次の項目を考慮するよう要請した:受理した支援のタイプ;結果;学習事項;現在のギャップ及び新しく登場しつつあるギャップ;パリ協定及び他の関連条項との関連性。EITの1国がプレゼンテーションを行い、その後、締約国間の議論が行われた。
締約国は、共同進行役に対し、提出文書や会合期間中の締約国間の議論及び文書によるインプットに基づき、EITs向けキャパシティビルディング枠組の実施に関する第4回レビューの文書草案、並びに開発途上国におけるキャパシティビルディング枠組の実施に関する文書草案を作成するよう委託した。
EITsでのキャパシティビルディング枠組の実施における第4回レビューに関する結論書草案が提示された後、締約国は、意見交換を行った。共同進行役のChodorは、第1回PCCB会議の成果に関する最新情報を報告し、2017年8月には技術的な進捗状況報告を提示する予定であると指摘し、これは開発途上国向け枠組の議論にも情報を提供できると述べた。締約国は、文書草案が未提出の開発途上国向けキャパシティビルディング枠組に関し、更なる審議を行うことで合意した。
その後の非公式協議で、締約国は、結論書草案及び決定書に関し意見交換を行った。共同進行役の提案する文章には、特に次のパラグラフが記載されていたが、締約国は合意に至らなかった:事務局の統合報告書(FCCC/SBI/2017/3)を歓迎する;キャパシティビルディング努力は開発途上国にても実施されているが、ギャップやニーズ、制約条件が残っていることに留意する;EITsでのキャパシティビルディング枠組実施の第4回レビューを終了し、決定書草案を提案する。締約国は、SBI 47での審議継続を決定する手順上の結論書草案で合意した。
SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.11及び12)において、SBIは、SBI 47における両小項目の審議を継続することで合意する。
対応措置:このSBI/SBSTA合同の議題項目は、5月8日月曜日、SBI及びSBSTAのプレナリーで提起された。その後、SBI及びSBSTAの議長の指導の下、共同進行役であるAndrei Marcu(パナマ)及びNatalya Kushko(ウクライナ)の支援を得て、SBI/SBSTA合同のコンタクトグループで議論された。
対応措置に関する特別技術専門家グループ(TEG)は、5月9日火曜日に会合し、経済多角化に焦点を当て、5月10日水曜日の会合では、労働力の適正な移行に焦点を当てた。共同議長のPeter Govindasamy(シンガポール)及びAlexandria Rantino(オーストラリア)は、サマリー報告書を作成し、コンタクトグループに送った。
フォーラム及び作業計画の改善:共同進行役のMarcu及びKushkoは、非公式な議論を主導した。5月13日土曜日、事務局は、労働力の適正な移行、並びに適切な仕事や質の高い雇用の創設に関するテクニカル・ペーパーを提出した。(FCCC/TP/2016/7)多数の開発途上国は、TEGの作業に対する感謝の意を表し、TEGの継続、並びに正式なTEG報告書の作成を主唱した。多数の先進国は、これに反対し、会合期間中にも改善フォーラムのマンデートを達成するに足るだけの時間があり、報告としては共同議長のサマリーだけで十分だと論じた。5月17日水曜日、コンタクトグループは、共同進行役の提案書草案で合意し、SBIは、 5月18日木曜日のプレナリーでこれらの文書を採択した。
SBI/SBSTA結論書:結論書(FCCC/SB/2017/L.2)において、SBI及びSBSTAは、TEGの作業を感謝の念と共に歓迎し、TEG共同議長に対し、TEGサマリーに則り、TEGの議論に関する詳細報告書を作成し、SBI 47及びSBSTA 47の審議に委ねるよう要請した。SBI及びSBSTAは、締約国及びオブザーバーに対し、持続可能な開発の観点から見た、経済多角化及び経済転換に関係する側面について、並びに適正な労働力の移行及び適切な仕事や質の高い雇用の創出に関し、それぞれの意見を2017年9月30日までに提出するよう要請する、これらは、SB 47で開催されるキャパシティビルディングの機会を含めるモデル化ツールの必要可能性に関するフォーラム内の議論に情報を提供するほか、SB 48における経済モデル化ツールの利用に関するフォーラム内の訓練ワークショップにも情報を提供する。
パリ協定の下でのモダリティ、作業計画、機能:Andrei Marcu(パナマ)及びNatalya Kushko(ウクライナ)を共同進行役とする非公式協議が行われた。多数の開発途上国は、作業計画に実際に参加するにはもっと時間が必要であると強調し、会合前のイベント開催及び作業計画ごとの更なる事例研究を提案した。多数の先進国は、これに反対し、会合期間中の作業を希望した。5月17日水曜日、コンタクトグループは、共同進行役の提案書草案を採択してSBI及びSBSTAに送り、いずれも5月18日木曜日に採択された。
SBI/SBSTA結論書:結論書(FCCC/SB/2017/L.3)において、SBI及びSBSTAは特に:
- CMA 1における審議及び採択を目指し、本議題小項目の下で作成された提案書に対し、決定書1/CP.21のパラグラフ33及び34(対応措置)に則り、このフォーラムがパリ協定においても役割を果たせるようにするために必要な手順をとるという表現を入れることで合意する;
- 事務局に対し、SB 47の前に、対応措置実施の影響に関するフォーラムのパリ協定におけるモダリティ、作業計画及び機能の要素に焦点を当てる会合前ワークショップを開催するよう要請する;
- SBI議長及びSBSTA議長に対し、会合前会議の後、SB 45で両議長が作成したリフレクション・ノートを改定するよう求める。
京都議定書3.14条に関係する問題:決定書1/CP.10(適応及び対応措置に関するブエノスアイレス作業計画)の実施における進捗状況:これらの項目は上記2件の議題項目と合わせて審議される。
条約の下での長期世界目標の次回定期レビューの範囲及び、その達成に向けた進捗状況:この項目は、5月8日月曜日のSBI及びSBSTAの開会プレナリーで第1回の審議が行われ、その後、Leon Charles(グレナダ)及びFrank McGovern(アイルランド)を共同議長とするコンタクトグループで議論された。
多数の国は、2018年促進ダイアログ及びGSTのモダリティに関する議論が現在進行中であると指摘し、この項目の審議をSB 48まで延期することを支持した。他のものは、この項目の議論はGSTに関する交渉に先行し、情報を提供すべきであり、このため本会合で行うべきだと論じた。さらにこれらの締約国は、2018年の補助機関の議題項目は、既に極めて多忙なものになっていると指摘した。非公式な非公式会議で一定の議論がなされた後、締約国は、この項目の審議を2019年まで延期することで合意した。
5月18日木曜日のプレナリーで、SBSTA及びSBIは、結論書及び決定書草案を採択した。
SBI/SBSTA結論書:最終結論書(FCCC/SB/2017/L.1及びAdd.1)において、SBSTA及びSBIは、長期世界目標の将来のレビューはIPCC評価報告書の採択の後、もしくは少なくとも7年ごとに行われるべきとのCOPの決定を想起する。両機関は、GST、2018年促進ダイアログ、及び技術検証プロセスでの関連の作業を指摘し、パリ作業計画はCOP 24までに終了するよう作業を加速化するとのCOPのマンデートを想起する。
次回の定期レビューを効果的かつ効率的な形で行い、作業の重複を避け、関連の作業成果を考慮に入れることを確保するため、SBSTA及びSBIは、COP 23決定書草案を提案することで合意する。COP決定書では、COPは、条約の下での長期世界目標の次回定期レビューの範囲及びその達成に向けた全体的な進捗状況に関するSBSTA及びSBIの提案に留意し、この範囲に関する審議はSB 50(2019年6月)に再開すべきと決定し、それによりSBI及びSBSTAは2018年に開催されるGST及び促進ダイアログでの関連の作業、並びに技術検証プロセスを考慮に入れる提案書を、COP 25(2019年11月)での審議に送ることとする。
政府間会合のアレンジ:この項目(FCCC/SBI/2017/5及びINF.3)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで第1回の審議が行われた。次期COP 23/CMP 13議長のNazhat Shameem Khanは、COP 23/CMP 13の準備状況に関する最新情報を報告した。その後、SBIは、この項目をCollin Beck(ソロモン諸島)を議長とするコンタクトグループに送ることで合意した。5月9日火曜日、非締約国利害関係者の参画を一層強化する機会に関する会合期間中ワークショップが開催され、その内容は下記のurlにまとめられた: http://enb.iisd.org/vol12/enb12693e.html
コンタクトグループにおいて、締約国は、非締約国利害関係者の参加強化に関し、意見交換を行った。多数のものは、5月9日火曜日のワークショップ、及びこれに関する事務局の報告書(FCCC/SBI/2017/INF.7)を称賛した。非締約国の利害関係者の参加及びこれら関係者間の差異化の提案が議論の中心となった。
コンタクトグループでは、全ての締約国が、包含性及び透明性を支持したが、政策または参加基準の必要性では意見が分かれた。米国は、提案されている利害相反政策(conflict of interest policy)を「概念の誤用(conceptual misapplication)」と称した。サウジアラビアは、このプロセスには社会的経済的利害を含める必要があると強調した。ノルウェーは、オーストラリアの支持を得て、「差異化された参加(differentiated engagement)」に反対し、基準の定義づけの困難さを指摘した。カナダは、全ての利害関係者グループを横断する包含性を求めた。日本は、パリ協定の実施には全ての利害関係者の参加が必要だと述べた。エクアドル、中国、キューバ、そしてLDCsの立場で発言したウガンダは、この問題に関する文書提出を求めた。セネガルはアフリカングループの立場で発言し、これに同意するとともにし、全てのものが参加すべきだが、規則は必要だと指摘した。
コンタクトグループにおいて、エクアドル、ロシア、米国などの締約国は、非締約国利害関係者の参加促進に向けた既存の実施方法を強化するよう事務局に求める代替パラグラフに関し、異なる意見を表明した。エクアドルは、「十全性、正当性、評判(integrity, legitimacy and reputation)」への言及を支持したが、他のものは反対し、米国はこのような用語は定義が合意されていないと指摘した。今後の進め方に関し、エクアドルは文書提出を支持し、米国とEUは留保を表明した。締約国は、エクアドルの提案する言及は含めないこととし、文書提出は求め、SBI 48における進捗状況の調査を求めるとする2つのパラグラフで合意した。
5月18日木曜日のプレナリーで、SBIは結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.10)において、SBIは特に:
- 事務局に対し、COP 23/CMP 13の暫定議題書に含める可能性がある要素に関し、締約国が表明した見解に留意するよう要請する;
- SBSTA、SBI、APAに対し、11月15日水曜日の正午までにそれぞれの作業を終了させ、それにより、特に11月15日の午後にハイレベルセグメントを開始できるようにするよう推奨する;
- 気候変動の行動を強化すことのる重要性、及びCOP 23において義務付けられている気候行動強化に関するハイレベルイベント開催の重要性を強調する;
- 座長を務める役員に対し、時間の管理を改善し、組織を横断する問題の審議での一貫性及び協調を高めるため、補助機関の合同プレナリーを開催し、各国の声明を聴取することを検討するよう奨励する;
- UNFCCCプロセスの包含性及び透明性の原則は圧倒的重要性を有すると強調し、非締約国利害関係者の有効参加の価値、さらには実質的な問題の協議におけるこれらのものの貢献の価値を強調する;
- 座長を務める補助機関及び構成組織の役員、将来の議長職及び事務局に対し、非締約国利害関係者の有効参加における開放性、透明性、包含性を一層強化する機会を明らかにし、会合期間中ワークショップで表明された意見及び提案を反映させ、多数の活動を実施するよう求める;
- 締約国及び非締約国利害関係者に対し、非締約国利害関係者の参加をさらに強化できる方法を検討するとの観点から、1月31日までに意見書を提出するよう求め、非締約国利害関係者の参加に関する多数のSBI結論書の実施進捗状況のSBI 48での審議で合意する;
- 事務局が行うべき活動が予算に与える影響の推計金額に留意し、資源の利用可能性を条件にこれらの行動を実施するよう要請する。
事務管理上、資金上、制度上の問題:2018年-2019年のプログラム予算及び他の資金面及び予算面の問題:これらの項目(FCCC/SBI/2017/4, Add.1-2)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起された。事務局は、報告書(FCCC/SBI/2017/INF.4)を提出し、補助活動信託基金における資金の柔軟性を高めるためのオプション及び未払いの寄付金に対応する方法について提案した。
UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、2018年から2019年のプログラム予算案を提出し、これは現在の事務局の業務と予想される今後の業務の橋渡しであると指摘した。同事務局長は、締約国から(事務局予算の)ゼロ成長を要請されており、そのオプションを予算案に盛り込んだと指摘し、さらに事務局は特にCMA、APA、2018年促進ダイアログへの対応で、(予算の)7.9%増のオプションを要請すると報告した。
この問題に関するコンタクトグループの共同進行役は、Georg Børsting(ノルウェー)及びTosi Mpanu-Mpanu(コンゴ民主共和国)が務め、第2週ではAmena Yauvoli(フィジー)が助力した。Laurence Mortier(スイス)を進行役とするスピンオフグループが設立されて国際取引ログ(ITL)の予算案を審議し、さらに2018年から2019年の料金徴収方法を審議した。
コンタクトグループでは、明確性に議論が集中した。一部の締約国は、ゼロ成長予算を7.9%増予算と比較し、赤字の可能性を評価するため、ゼロ成長予算の詳細を示すよう求めた。ある締約国は、これをさらに進め、追加要素を計算するたたき台として、前年度の予算を用いるよう求めた。一部の締約国は、作業プログラムの実質的な内容に相対的な優先順位をつけるのは不適切との意見を表明した。
5月18日木曜日、SBIプレナリーは、ITLに関する結論書草案を採択し、プログラム予算に関する結論書草案を、COP 23及びCMP 13での審議にかける決定書草案と共に採択した。
SBI結論書:ITLに関する結論書(FCCC/SBI/2017/L.14)において、SBIは、国際取引ログの予算、及び2018年から2019年の2か年の料金徴収方法に関する決定書草案を、CMP 13の審議及び採択に向け提案する。
プログラム予算に関する結論書(FCCC/SBI/2017/L.18)において、SBIは、COP 23の審議及び採択に向けた2018年から2019年の2年間プログラム予算に関する決定書草案(FCCC/SBI/2017/L.18/Add.1)を提案し、CMA 1-2に対し、COPがいったん採択した決定書に留意するよう求める。さらに2018年から2019年の2か年のプログラム予算に関する決定書草案のうち、京都議定書に適用されるもの(FCCC/SBI/2017/L.18/Add.2)を、CMP 13の審議及び採択にかけるよう提案する。
さらにSBIは特に:
- COP 23において、2018年から2019年の2年間基幹プログラム予算€56,889,092を承認するよう推奨する;
- 事務局長に対し、締約国に2018年の貢献額を通知し、該当する締約国に国内レジストリの年間ITL接続利用料及びITL管理者の関係活動関連の年間料金を通知する権限を委譲する;
- 事務局に対し、文書FCCC/SBI/2017/4/Add.1及びFCCC/SBI/2017/INF.8、さらには締約国から受理したインプット及び意見表明に基づく予算配分を付した作業計画改定文書を作成し、SBI 47の審議にかけるよう要請する;
- 事務局に対し、資金源の利用可能性を条件に、SBI 47に接する時期に技術ワークショップを開催し、UNFCCCウェブサイトで入手可能な情報を考慮に入れ、予算プロセスの効率及び透明性を高める方法を議論するよう要請する;
- SBI議長に対し、事務局にプログラム予算執行へのガイダンスを提供するとの観点で、技術ワークショップの成果を報告し、SBI 47での審議にかけるよう要請する;
- 事務局に対し、SBI 48での審議に向け、技術ワークショップの成果に関する報告書を作成するよう要請する。
事務局の機能及び運営の継続レビュー:この項目(FCCC/SBI/2017/INF.6)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起され、その後、SBI議長が進行役を務める非公式協議で議論された。5月18日木曜日、SBIプレナリーは、結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.16)において、SBIは特に;
- 事務局長及びその次長を選任するプロセスの全面的な透明性を確保するにあたり締約国が表明した意見に感謝をもって留意する;
- 事務局長を補佐するレベルの事務局次長の最近の選任は、国連の原則及び実施方法に則り行われたと指摘する。
本部協定の実施:この項目(FCCC/SBI/2017/INF.6)は、5月8日月曜日のSBIプレナリーで提起された。SBI議長は、関心ある締約国と協議し結論書草案を作成、5月18日木曜日、SBIプレナリーは結論書を採択した。
SBI結論書:結論書(FCCC/SBI/2017/L.5)において、SBIは特に:
- 会議場及び事務室などの問題、及び会議参加者へのサービス及び情報の強化などの問題に関する、ホスト国政府、事務局、及び他の関係する利害関係者の間の組織だった協力を歓迎する;
- 事務局に対し、本部協定の実施面について、UNFCCCウェブサイト上で締約国に最新情報を提供し続けるよう要請し、 ホスト国政府及び事務局長に対し、進捗状況をSBI 50に報告するよう求める。
閉会プレナリー:フィジーの首相でCOP 23/COP 13の次期議長でもあるFrank Bainimaramaは、COP 23に向けた自身のビジョンを披露した:UNFCCCの作業進展を図り、決定的な行動に対する多国間の意見の一致を保持する;パリ協定を保持し、その進展を図る;2018年の促進ダイアログの設計及びプロセスでの進展を確保する;適応資金へのアクセスを強化し、一層の回復力を構築する;持続可能な農業を推進する;気候解決策を促進するため全ての行動者の「大いなる連携(grand coalition)」を進める。SBIは、報告書(FCCC/SBI/2017/L.1)を改定もコメントもすることなく採択した。SBI議長のChruszczowは、締約国の閉会ステートメントは、APA閉会プレナリーでのAPAステートメントと合わせて披露することを提案し、午後7時37分、会合閉会の槌を打った。
科学的・技術的助言のための補助機関
開会ステートメント:5月8日月曜日、エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、プレ2020年行動を強化し、パリで達成された「全ての問題の微妙なバランス(delicate balance of all issues)」を尊重する必要があると強調した。
メキシコはEIGの立場で発言し、パリ協定第6条(協力的手法)に関する交渉の重要性を強調し、ナイロビ作業計画(NWP)を強化すべきと強調した。
EUは、パリ協定の目標への対応では、技術及び技術枠組がクロスカッティングな役割を果たすことに注目し、官民両部門の関与が重要と強調した。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、この会合では協力的手法の下での進捗状況検討制度に焦点を当てるべきと強調し、対応措置に関する更なる議論をすべきと強調した。
モルディブはAOSISの立場で発言し、損失と被害への効果ある対応、適応及び緩和の野心引き上げ、市場における環境十全性保持の必要性を強調した。
サウジアラビアはアラブ・グループの立場で発言し、適応と緩和の問題をバランスのとれた形で交渉し、2018年までに「パッケージ」の達成を確実にすることを強調した。
エチオピアはLDCsの立場で発言し、農業及び透明性枠組に関する進展を期待した。
マリはアフリカン・グループの立場で発言し、農業に対する気候変動の影響への対応で合意するよう求めた。対応措置に関し、同代表は、ポスト2018年フォーラムの活動を定義づける必要があると述べた。
グアテマラはAILACの立場で発言し、協力的手法はNDCsの達成を推進する追加資金源となる可能性があることなどを強調した。
キューバはALBAの立場で発言し、技術枠組は「行動枠組」を導引すべきと発言し、協力的手法を資金供与義務の回避に用いてはならないと述べた。
コンゴ民主共和国はCfRNの立場で発言し、森林に関する行動実施の規則、ガイドライン、手順を示す決定書の完全なセットを求めた。
イランはLMDCsの立場で発言し、長期世界目標の定期レビューの範囲を包括的なものにし、パリ協定の下での対応措置フォーラムについて努力するよう求めた。
Women and Gender(女性及び性別グループ)は、市場メカニズムに農業及び土地利用を含めるとの提案に懸念を表明した。
YOUNGOs(若者グループ)は、農業に更なる焦点を当てるよう促し、作物ベースのバイオ燃料は「偽の解決策(fake solution)」だと評した。
CAN(気候行動ネットワーク)は、資金及び航空輸送排出量について、詳細な計算システムを確立することが重要だと強調した。
Climate Justice Now! (CJN!)は、有限のカーボン・バジェットにはオフセットの余地はないと述べた。
組織上の問題:SBSTA議長のCarlos Fuller(ベリーズ)は、暫定議題書(FCCC/SBSTA/2017/1)を提起した。サウジアラビアは、適切な場合は、他の組織と合同での会合開催を提案した。SBSTA 46は、議題書及び作業構成書を採択した。
議長以外の役員の選出:議長のFullerは、SBSTA副議長の候補者指名がなかったと指摘し、副議長のTibor Schaffhauser(ハンガリー)が後継者選出まで引き続き副議長を務めると述べた。5月18日木曜日、議長のFullerは、東欧グループからのAnnela Anger-Kraavi(エストニア)の候補指名を指摘した。
ナイロビ作業計画:この項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われた。Beth Lavender(カナダ)及びJulio Cordano(チリ)は、非公式協議の共同進行役を務めた。締約国は、窓口フォーラム(Focal Point Forum)の改善方法について意見交換を行った。事務局は、フォーラムの役割は意見交換を行動提案に発展させようとして企画されたものだと指摘した。同代表は、議論の時間不足、専門家の参加不能といった課題に注目した。一部の締約国は、将来のフォーラムに大きく注目する必要があると指摘したが、ある窓口担当者は、焦点を絞った会合ではその分野の作業をしていない窓口は離れていく可能性があると述べた。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.7)において、SBSTAは:
- NWPパートナー組織及び他の関連組織に対し、気候変動の影響、脆弱性、適応に対応する関連行動を実施するよう求め、特に次を考慮に入れるよう求める:第10回窓口フォーラムの参加者と協議し作成された人間の健康及び適応に関する統合報告書;生態系並びに水資源などの分野での対応の計画、実施、評価の統合報告書;NWP活動実施の進捗状況報告書。
- 次の観点において、窓口フォーラムを改善すべきことで合意する:専門家及び専門組織の参加を高める;NWPパートナー組織、締約国及び他の関連組織の間で情報を共有し、正式な意見交換を行うインタラクティブな場を提供する;NWPパートナー組織、締約国、他の利害関係者の間の協力及びパートナーシップを促進する;パリ協定の実施を支援するため、NWPの将来活動に情報を提供する;
- 事務局に対し、窓口フォーラムを補うイベントを共催するよう要請する;
- 事務局に対し、第11回窓口フォーラムにおいて、過疎地居住を含める農村部及び沿岸部の居住に注目するよう要請する;
- 締約国及び関連組織に対し、NWPの効果を一層高めるための意見を提出し、SBSTA 48で審議するよう求める。
技術開発及び移転:パリ協定10.4条の下での技術枠組:この項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで提起され、続いてElfriede-Anna More(オーストリア)及びWashington Zhakata(ジンバブエ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。
締約国は次の項目を議論した:技術枠組で可能性ある原則及び構成;技術メカニズムの機能、これには技術メカニズム強化の必要性を含める;技術枠組の更新での柔軟性;当枠組と他のパリ協定プロセスとの相互リンク、及び技術メカニズムと資金メカニズムの相互リンク;技術枠組を技術メカニズムの定期評価に合わせる。さらに締約国は、次の点を推敲した:技術枠組の当初の主要テーマ;主要要素のクロスカッティングな特性;技術枠組の実施支援で各制度がどのような協力をできるか、その方法。
技術枠組の原則に関し、締約国の意見は分かれた。一部の締約国は、原則の推敲は将来会合でも続けられるべき重要な作業との意見を披露した。締約国数か国は、一般的な特質のみに言及するよう希望した。他の締約国は、原則への言及に反対し、一部の先進国は「指針となる価値観(guiding values)」への言及を提案したが、他の締約国は反対した。
当初の主要テーマに関し、締約国は次の点を検討した:イノベーション;実施;可能にする環境及びキャパシティビルディング;協調及び利害関係者の参加;支援。一部の締約国は、技術移転の障壁を議論する必要があると提案した。別な締約国は、可能にする環境はマラケシュで合意した原則の一つであると想起した。
枠組の構成に関し、開発途上国数か国は、次の点を強調するよう求めた:技術開発及び移転の促進;野心引き上げを目的とする新規の機能、もしくは機能の更新;技術サイクルの各段階で利害関係者が果たせる役割。一部の締約国は、枠組構成の一部として技術サイクルの考えを採用することに懸念を表明したが、他のものは、これは技術受け入れ水準の動きをとらえる優れた手法であるとして歓迎した。
多数の開発途上国は、技術メカニズムの役割「強化(enhanced)」の必要性を明確にすることを強調したが、他のものは反対した。ある締約国は、研究開発、実証及び展開、普及及び移転に関するオプションのリストアップは「時期尚早(premature)」であるとの意見を表明した。締約国数か国は、技術枠組の将来の更新に情報を提供するため、定期評価と合わせることを明言するよう求めた。
一部の締約国は、資金メカニズムとのリンクを求めた。他の者は、活動を特定し、資金及び技術の流れを明らかにするよう求めた。締約国は、TEC及びCTCNの作業をこの枠組にどのように合わせるか、両組織からのインプットを要請するよう提案した。あるグループは、この枠組はNDCの実施及び転換を支援すべきと強調した。
利害関係者の参加に関し、締約国は、技術枠組は技術メカニズムを強化すべきであり、関連の利害関係者の参画を強めるべきことで合意した。
5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.10)において、SBSTAは特に:
• 技術枠組の原則は一貫性があり参加性が高く、結果本位の手法、転換を可能にする手法及び透明性を持ち、パリ協定の実施において技術メカニズムの指針となるべきとすることで合意する;
• 技術枠組は、SBSTA 45で合意された当初の主要テーマ並びに技術サイクルを考慮に入れ、技術メカニズムを強化すべきであり、さらにパリ協定で想定されている転換的な変遷を達成するための利害関係者それぞれの役割に則り、その参加を強化すべきと指摘する;
• 技術枠組で可能な題目として、特に次のものを含めることで合意する:目的、原則及び主要テーマ、さらにSBSTA 45及び今回会合における進捗状況を考慮に入れ、SBSTA 47においてもこの問題の審議を継続することで合意する;
• TEC及びCTCNに対し、パリ協定の実施に関連する活動で実施されたものの情報、または現在実施されているものに関する情報を、SBSTA 47に提供するよう求める、この場合、主要なテーマやそれと技術サイクルとの関係を考慮に入れるほか、TEC及びCTCNが資源の利用可能性を条件にそれぞれのマンデート及び機能の範囲内で個別にまたは合同で行うパリ協定実施のための追加活動も考慮に入れるものとする。
農業:この項目は、5月8日月曜日のプレナリーで第1回の審議を行い、Emmanuel Dlamini(スワジランド)及びHeikki Granholm(フィンランド)を共同進行役とする非公式協議に送られた。
非公式な非公式協議において、締約国は、ある開発途上締約国グループが提起した提案について議論し、共同進行役に対し、非公式のノンペーパーを作成するよう要請した。
非公式協議において、締約国は、これまでのワークショップのレビューで前向きな進展があったことを歓迎した。農業関係及び今後検討されるべき問題を検討するプロセスの概要を示し、実施機関への助言、SBSTAの作業、事務局その他の作業を記載する共同進行役のノンペーパーを、今後の交渉の土台とすることを、全ての締約国が支持した。開発途上国は、実施に向け動く必要があると強調し、ノンペーパーに実施機関への助言を検討すべき問題として記載したことを歓迎し、一部のものは、UNFCCCの組織及びプロセスのマンデートを尊重する必要があると指摘した。先進国は、実質的な審議があったこと、及び前進がみられたことを歓迎した。
5月18日木曜日、SBSTAは結論書草案を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.12)において、SBSTAは、作業が続けられていると指摘し、過去5回の会合期間中ワークショップで豊富な意見交換が行われたことを歓迎し、SBSTA 47においても、SBSTA 46での締約国の議論及び進捗状況を考慮し、この議題項目の審議を継続することで合意する。
科学及びレビュー:研究及び組織観測:この問題は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われ、続いてAnn Gordon(ベリーズ)及びChristiane Textor(ドイツ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。特に焦点があてられたのは、近く予定されているIPCC特別報告書への言及、性別の側面、先住民及び伝統知識への考慮に言及するパラグラフであった。締約国は、IPCC報告書のタイトル全体ではなく、短縮形のタイトルに言及することで合意したが、ある締約国は反対した。さらに締約国は、「性別(gender)」の側面ではなく「人類(the human)」に言及するという妥協的な表現で合意したが、上記と同じ締約国は反対した。
5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.3)において、SBSTAは:
- 2016年5月に開催された研究ダイアログの第8回会議に関するSBSTA議長の統合報告書を歓迎する;
- 第9回研究ダイアログ会議に関する締約国の意見及び情報ノートを指摘する;
- 第9回研究ダイアログ会議及びポスター会議を歓迎し、SBSTA議長に対し、この会議に関する統合報告書を作成するよう要請する;
- 「1.5℃の地球温暖化(Global Warming of 1.5 °C)」、「変化する地球の海洋及び雪氷圏(Oceans and Cryosphere in a Changing Climate)」、「気候変動と土地(Climate Change and Land)」に関するIPCC特別報告書、及び「国別温室効果ガス・インベントリの2006年IPCCガイドラインの2019年精査版(2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories)」を含めるIPCCの作業を歓迎する;
- 気候変動に対する世界的対応強化を支援する科学者社会の努力及びIPCCの作業の重要性を指摘する;
- 締約国は、SBSTA 48及びその後に開催される研究ダイアログで可能な題目について、2018年2月2日までにそれぞれの意見を提出するよう求められる、この場合、2018年促進ダイアログ向けの準備作業に関するCOP 22議長及びCOP 23議長の協議の報告、特に科学情報に関係する側面を考慮に入れる。
長期世界目標の次回定期レビューの範囲:この項目は、SBIの下で取りまとめられる。
対応措置:この項目は、SBIの下で取りまとめられる。12頁参照。
条約の下での手法論問題:附属書I締約国の年間インベントリに関するUNFCCC報告ガイドラインの改定:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われ、議長は関心のある締約国と協議した。5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2017/L.2)において、SBSTAは:IPCCの湿地に関する2013年補足文書の利用での締約国の経験に関する締約国の情報提出を歓迎する;一部の締約国は、伐採木材製品に関する報告書作成に関する意見書の提出を選択したと指摘し、締約国に対し、そのような報告書作成での各国の意見及び経験を提出するよう求める;「国別温室効果ガス・インベントリの2006年IPCCガイドラインに対する2019年精査版(2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories)の手法論報告書を作成するというIPCCの計画を歓迎する。
附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューを行うレビュー専門家に対する訓練プログラム:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで議論され、議長は関心のある締約国と協議を行った。5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2017/L.8)において、SBSTAは:附属書I締約国のGHGインベントリの技術レビューの質、及び一貫性への貢献と訓練プログラムの関連性を認識する;事務局は訓練プログラムのコースの範囲及び焦点に関する締約国及び専門家からの積極的なフィードバックを受理したと指摘する;現時点では訓練教材の更なる作成及び改善を行う必要はないことで合意する。SBSTAは、SBSTA 50(2019年6月)において、訓練プログラムの結果を評価し、COP 25(2019年11月)に提案することで合意し、現在行われているプログラムの実施を2020年まで延長することでも合意する。
附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビューを行うレビュー専門家の訓練プログラム:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで議論され、Walter Oyhantcabal(ウルグアイ)及びHarry Vreuls(オランダ)を進行役とする非公式協議でも議論された。5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2017/L.4)において、SBSTAは:附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビューにおける質、及び一貫性への貢献と訓練プログラムの関連性を認識し、訓練プログラムの実施期間は2016年で終了したと指摘する;事務局に対し、決定書24/CP.19及び9/CP.21に基づき、さらに附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術レビュー実施で得られた経験を考慮し、2018年の第7回国別報告書及び第3回隔年報告書の開始前に、訓練プログラムの資料を強化するよう要請する。さらにSBSTAは、事務局に対し、訓練コースの利用者インターフェースを強化し、より利用しやすくするよう要請し、訓練プログラムに関する決定書草案(FCCC/SBSTA/2017/L.4/Add.1)及び2017年から2020年の期間の実施に関する決定書草案を提案し、COP 23での審議及び採択にかけるよう要請する。さらにSBSTAは、SBSTA 50(2019年6月)において、訓練プログラム実施の更なる延長が必要かどうか検討することで合意する。
GHGデータ・インターフェース:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで審議され、Takeshi Enoki(日本)を進行役とする非公式協議でも議論された。5月18日木曜日、SBSTAはプレナリーにおいて、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2017/L.14)において、SBSTAは:GHGデータ・インテ―フェースについては、改定ガイドラインで義務付けられた技術的な変更が現在行われており、その完成までは、前のバージョンのモジュール掲載を続ける必要があると指摘する;この変更を終了させるための資金が不足していることを、懸念と共に指摘する。SBSTAは、次のステップを決定するとの観点から、この小項目の審議をSBSTA 50(2019年6月)でも継続することで合意する。
共通の計算方法:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで議論され、議長は関心のある締約国と協議した。5月26日木曜日、SBSTAプレナリーは、結論書草案を採択した。締約国は、合意に達しなかったことから、暫定的なUNFCCC手順規則草案の規則16項に則り、SBSTA 47でこの問題の審議を行う。
バンカー燃料:この小項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで議論され、議長は関心のある締約国と協議した。5月18日木曜日、SBSTAはプレナリーで、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2016/L.6)において、SBSTAは:国際民間航空機関(ICAO)の事務局から受理した情報及び結果報告に留意する;国際海事機関(IMO)が現在行っている作業に関し、情報をSBSTA 47に提出する計画であるとの同機関事務局から受理した情報に留意する;両機関に対し、関連する問題で行われている作業に関し、報告を続けるよう要請する。
京都議定書の下での手法論問題:土地利用、土地利用変化、森林(LULUCF):この項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われ、その後、SBSTA議長が関心のある締約国との協議を行った。
5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.9)において、SBSTAは、この小項目の審議をSBSTA 48においても続行し、CMP 14決定書草案を提案し、LULUCFによる排出源からの人為的排出量及び吸収源での除去量の計算に関する作業プログラムの成果に関し、CMP 14に報告することで合意する。
クリーン開発メカニズム (CDM)プロジェクト活動における新規植林及び再植林としての枯渇林の土地への再植林:この項目は、5月8日月曜日のSBSTA プレナリーで第1回の審議が行われ、続いてSBSTA議長が関心のある締約国と協議を行った。
5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.5)において、SBSTAは、SBSTA 50(2019年6月)において、この議題小項目の審議を継続し、CMP 15(2019年11月)での審議及び採択に向けこの問題に関する結論書草案を提案することで合意する。
パリ協定第6条に関係する問題:この項目は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われ、その後Kelley Kizzier(EU)及びHugh Sealy(モルディブ)を共同進行役とする非公式協議で議論された。締約国は、この項目及び小項目に関する非公式会合はオブザーバーに非公開とすることで合意した。
共同進行役は、3つの小項目ごとに要素のとりまとめリストをノンペーパーとして集約し、締約国の提出文書及び今回の会合で表明された意見を反映させることを提案、締約国も同意した。SBSTA 46において、締約国は、これらのリストの2つの箇条書きについて議論した、この最終的な「2.1バージョン」はUNFCCCウェブサイトで閲覧可能。
今後の進め方に関し、締約国は、次の項目などで多様な意見を交換した:事務局またはSBSTA議長に対し、新たな一連の提出文書に基づく統合報告書の作成を求める;提出文書の作成ならびにラウンドテーブルにおけるオブザーバーの参加。統合報告書に関し、多数の締約国及びグループは、その価値を強調、特に少人数の参加者がその価値を強調した。多数の締約国及びグループは、これに反対し、各締約国の意見の議論が尽きない中、締約国の意見を集約するのは「時期尚早」であると指摘した。
オブザーバー(の参加)に関し、多数の締約国及びグループは、このプロセスにおけるオブザーバー参加の価値を強調した、特にオブザーバーによる技術的インプット提供の可能性を強調したが、少数の開発途上締約国及び一つの締約国は反対し、オブザーバーのインプットにより締約国の意見が一層分裂する可能性があると指摘した。
6.2条に規定する協力手法に関するガイダンス:非公式協議において、締約国は、可能な要素に関する意見交換を行った、これには次のものが含まれた:ITMOsの定量化方法を含めるITMOsの定義づけ;ITMOsの運用及び管理を目的とする技術的ツール及びインフラ;確固とした算定規則の採用により環境十全性を確保する方法;成果の比較可能性。
参加者は、ITMOsをNDCsにどのように適用するか、さらには適用範囲に上限をつけるべきかどうか、多様な意見を交わした。締約国数か国は、全体に係わる原則として、追加性、比較可能性、補足性、国家による決定を指摘した。締約国は、収入の一部の提供先に適応を含めるかどうかで意見が分かれ、一部の締約国は、適応基金を収入の一部の提供先と指定することに反対した。さらに締約国は、国家による監視に対する、多国間の監視の範囲、並びに6.4条(メカニズム)及びNDCsガイダンスとのリンクについても議論した。
SBSTAプレナリーは、5月18日、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/L.15)において、SBSTAは:
- 5月9日に開催されたラウンドテーブルに留意する;
- UNFCCCウェブサイトに掲載されている、要素の非公式リストを含める非公式情報ノートに留意する;
- 締約国に対し、ガイダンスの内容に関するそれぞれの意見を10月2日までに提出するよう求める;
- 事務局に対し、SBSTA 47に合わせラウンドテーブルを開催するよう要請する;
- ラウンドテーブルに関係する共同進行役に対し、ラウンドテーブルの議論において締約国が表明した意見を記載する非公式文書を作成するよう要請する。
6.4条に規定するメカニズムの規則、モダリティ、手順:多数の締約国は、6.2条(ITMOs)とは異なり、緩和で成果を挙げ、持続可能な開発を支援するには、中央集権的なガバナンス、制度アレンジ、及びメカニズムの監視が必要であると強調したが、一部の締約国はこれに不同意であった。締約国はさらに次の項目を議論した:パリ協定の原則及びその目的との適合を確保する;CMAの役割及びこれを支える制度アレンジ;収入の一部及び適応基金を含めるその提供先;対応する調整及び二重計算を適用するかどうか、適用する場合はその方法; 全体的な緩和を確保する手法論。
このメカニズムが持続可能な開発を推進できる方法に関し、ある締約国は、持続可能な開発目標とのリンクを明記するよう提案したが、一部のものは、これは各国の固有の権利であるとし、多国間で合意されたガイダンスに反対した。
議定書メカニズムを取り巻く過渡期の問題に関し、締約国は次の項目について意見交換を行った:CDM及び共同実施のパイプラインに残されているプロジェクトの扱い方、多数の締約国は、この小項目で合意されたガイダンスとの適合性を確保するため、適格性を確認することを提案したが、他の者は反対した;手法論及び追加性の定義づけなど、CDM及び共同実施での制度アレンジの継承;民間部門に対し強力なシグナルを送る最善の方法。
SBSTAは、5月18日のプレナリーで、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/L.16)において、SBSTAは:
- 5月9日に開催されたラウンドテーブルに留意する;
- UNFCCCウェブサイトに掲載される要素の非公式リストを記載した非公式情報ノートに留意する;
- 締約国に対し、ガイダンスの内容に関する意見を10月2日までに提出するよう求める;
- 事務局に対し、SBSTA 47に合わせラウンドテーブルを開催するよう要請する;
- ラウンドテーブルに関係する共同進行役に対し、ラウンドテーブルの議論で締約国が表明した意見を記載する非公式文書を作成するよう要請する。
6.8条に記載する非市場手法の枠組の下での作業プログラム:非公式協議において、締約国は、次の項目などに関する意見交換を行った:非市場手法(NMAs)の原則として非商品化を含める必要性;既存の組織に則り作成し、UNFCCC及び他の多国間フォーラムとの作業の重複を回避する;作業計画の範囲。
締約国数か国は、政策及び戦略などNMAsの例を記載するよう求めたが、共同進行役のHugh Sealy(モルディブ)は、現段階では他のオプションの可能性を残すべく、NMAsのリストアップは避けるよう促した。
NMAsの枠組の機能に関し、ある締約国は、枠組の推敲が必要と強調し、ある締約国グループは、NMAsは市場手法(6.2条及び6.4条)の社会的、経済的影響にも対応すべきと述べた。
全てのNMAsにおいて、パリ協定に記載する3つの目的の全てを満たす必要があるかどうか、締約国の意見は分かれた。
SBSTAプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/L.17)において、SBSTAは:
- 5月9日に開催されたラウンドテーブルに留意する;
- UNFCCCウェブサイトに掲載される非公式要素リストを記載する非公式情報ノートに留意する;
- 締約国に対し、ガイダンスの内容に関する意見を10月2日までに提出するよう求める;
- 事務局に対し、SBSTA 47に合わせラウンドテーブルを開催するよう要請する;
- ラウンドテーブルに関係する共同進行役に対し、ラウンドテーブルの議論で締約国が表明した意見を記載する非公式文書を作成するよう要請する。
協定9.7条に基づき、公的干渉で提供され動員された資金源の計算モダリティ:この項目(FCCC/TP/2017/1)は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われ、SBSTAは、Outi Honkatukia(フィンランド)及びRafael da Soler(ブラジル)を共同議長とするコンタクトグループの設置で合意した。
コンタクトグループでは、テクニカル・ペーパー及び共同議長のリフレクション・ノートなど、利用可能なインプットは良い議論のたたき台になると多数の国が述べた。フィリピンはG-77/中国の立場で発言し、資金の追加性及び開発途上国のニーズを明らかにすることを追加分野として指摘した。一部の開発途上国グループは、透明性に関するAPAでの議論との調整が重要であると強調した。スイスは、テクニカル・ペーパーの場合と同様、クラスター中心で議論を構成するよう提案し、ノルウェー、EU及びAOSISの立場で発言したベリーズもこれを支持した。
公的干渉で動員された支援に関し、開発途上国数か国は、報告書作成モダリティを議論する前に定義づけを行うべきと論じた。一部のものは、支援枠組で動員された投資も気候資金の計算に入れるべきかどうか疑問を呈したが、一部の先進国は、入れるべきと論じた。あるグループは、投入された投資の全額が一つの資金供与者に起因するものであってはならないと論じた。他の者は、因果関係の明確化、多国間開発銀行の支援に帰するもの、及び二重計算などの課題を指摘した。
締約国は、共同議長の非公式ノートについて意見交換を行い、特に次の要請を記載する文章の改定で合意した:目的のセクションにおいて、透明性枠組に言及する;次の3つの項目を更なる審議項目に移す、締約国を横断する報告書作成手法の調整、損失と被害、9.5条(開発途上国に対する支援の隔年報告書)。後者の2項目に関し、一部の先進国は、これはSBSTAのマンデートを超えていると指摘し、一部の開発途上国グループは、これに不同意であった。その後、コンタクトグループは会合を開催し、結論書草案で合意し、共同議長の非公式ノートをUNFCCCウェブサイトに掲載することで合意した。
5月18日木曜日、SBSTAプレナリーは結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/SBSTA/2017/L.13)において、SBSTAは:
- この項目(FCCC/TP/2017/1)に関し事務局が作成したテクニカル・ペーパー、及びコンタクトグループ共同議長の非公式ノートに記載するとおり、この項目の作業で進展があったことを歓迎する;
- SBSTA議長に対し、APA共同議長との協議を継続し、本項目においてSBSTAが作成した計算モダリティを透明性枠組のMPGsにタイムリーに取り入れ、一貫性及び協調を確保するよう要請する;
- SBSTA 47においてもこの問題に関する作業を進め、コンタクトグループ共同議長の非公式ノートを考慮するほか、2016年隔年評価及び気候資金の流れの概要に関するSCFの提案に則り構築することで合意する。
他の国際機関との協力:この項目(FCCC/SBSTA/2017/INF.2)は、5月8日月曜日のSBSTAプレナリーで第1回の審議が行われた。その後SBI議長と関心ある締約国との間の協議で議論された。SBIプレナリーは、5月18日木曜日、結論書を採択した。
SBSTA結論書:結論書(FCCC/ SBSTA/2017/L.11)において、SBSTAは、他の国際機関との協力活動に関する事務局のサマリーに留意する。
閉会プレナリー:事務局は、締約国に対し、SBSTA結論書に記載する活動が予算に与える影響についてブリーフィングした。その後締約国は、会合報告書(FCCC/SBSTA/2017/L.1)を採択した。
多数の締約国及びグループは、第6条(協力的手法)の交渉へのオブザーバーの参加に関し、締約国の抵抗があったことに対する懸念を口にした。
先住民グループは、森林をオフセットに使うことに反対し、水力発電及び風力発電プロジェクトを検討する際は、先住民の自由な事前同意を得るなど、先住民の権利を尊重するよう求めた。
研究機関及び独立非政府組織は特に次の項目を歓迎した:パリ協定の実施には全ての分野からのインプットが必要との認識;専門家から締約国への情報の流れを強化する目的での文書提出プロセスの開放。
女性及び性別問題グループは、女性は「ユニークな」知識を保有しているとし、技術枠組の利害関係者に女性を含めるよう促した。
YOUNGOsは、気候変動の影響を最も受けるものに更なる注目をするよう促し、進捗を速めるため締約国の柔軟性を求めた。
CANは、農業に関するSBI/SBSTA合同の作業プログラムを求めた。
CJN!は、市民団体の機会が「縮小している」と嘆き、より開かれたものにするよう促した。
エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、包括的で一貫性がありバランスのとれた進捗が必要だと強調した。同代表は、第6条、対応措置、農業での進捗状況を歓迎した。
EUは、本会合における建設的な技術的議論で進展が成されたと強調した、特に、技術枠組の原則、農業、第6条での進捗を挙げ、全ての締約国による妥協の微妙なバランスの結果であると強調した。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、第6条の進捗速度に懸念を表明し、農業での進展を歓迎した。
メキシコはEIGの立場で発言し、次を求めた:促進ダイアログ及びGSTにおけるIPCC及び科学者社会の強力な役割;オブザーバーの参加を得た上での第6条に関する技術問題の実質的な進展。
サウジアラビアはアラブ・グループの立場で発言し、パリの成果で緩和と適応のバランスがとれたことは、維持する必要があると述べ、知的所有権が技術移転の障壁であってはならないと述べた。
モルディブはAOSISの立場で発言し、サイクロンの時期が最近早まっていることを想起し、研究ダイアログでの進展を歓迎し、第6条に関する進捗状況の展開を指摘し、市場メカニズムは野心達成を助けるが、環境十全性を損なうことがあってはならないと指摘した。
グアテマラはAILACの立場で発言し、ICAOの国際航空輸送におけるカーボン・オフセット及び削減スキームなど、他の協定との協調及び一貫性を求め、ワークショップ、またはコンタクトグループの形でのダイアログを提案した。
キューバはALBAの立場で発言し、6.8条(非市場手法)の下での革新的手法を求め、この項目の下で市場ベース手法を「再度打ち出す(reinventing)」ことに警告した。
マリはアフリカン・グループの立場で発言し、公的干渉で供与され、動員される資金源の計算モダリティに関する実質審議を開始する必要があると強調し、農業での進捗状況を歓迎した。
エチオピアはLDCsの立場で発言し、排出量のピーク達成までに3年間しか残っていないと指摘し、行動をとるのを待つ場合のコスト増を強調し、パリ協定の実施に向けた資金ニーズが満たされていないと嘆いた。
コンゴ民主共和国はCfRNの立場で発言し、ICAOとIMOはUNFCCCのガイダンスに従うべきであり、気候変動体制に合わせるべきと強調した。
インドネシアは、実施への「扉を開く」農業に関するCOP決定書を求めた。
エクアドルは、UNFCCCの作業に「恒久的」貢献を行うことは、先住民にとり重要であると述べた。
閉会にあたり、SBSTA議長のFullerは、全てのものへの感謝の念を表明し、新しい SBSTA副議長を歓迎し、午後7時54分、閉会の槌を打った。
会議の簡易分析
我々は、進化すること、一歩前進、何千もの一歩前進をして近づいていくことに集中すべきだ ー ネイル・アームストロング、初めて月に降り立った人間
毎年、年半ばに行われる気候会議では、議論は技術や詳細に注目するのが通常だが、今回、ボンに到着した参加者は、これまでになく熱のこもった交渉を期待していた。多くの者の心に影を落としていたのは、パリ協定の進展に関する米国の参加の不確実性であった。しかし会議の冒頭では「elephant in the room(無用の長物)」であった米国代表団は、直後に問題外となった、これは米国の政権が決定を先延ばししたためで、交渉担当者は「ビジネス・アズ・ユージャル」モードに落ち着くことができた。
ボンの会議は、モロッコのマラケシュで開催されたUNFCCCの第22回締約国会議(COP 22) の後の最初の公式なUNFCCC会議であり、このCOP 22では、パリ協定の「規則書(rulebook)」、すなわち今後10年間にパリ協定をどのように実施していくかという運用マニュアルの採択の期限を2018年と設定された。この規則書採択の期限を控え、パリ協定の骨格に肉付けする上で必要とされる技術的作業が、ボン会議の中心となった。常設補助機関の「ルーティン(routine)」の作業への注目は、パリ協定特別作業部会(APA)に移り、最も脚光を浴びることとなった。2つの常設補助機関では、ポスト2020年体制構築の努力に相当な時間を費やす羽目となった。
この分析では、パリの成果を運用可能にするため、ボンで達成された進捗状況を測るべく3つの尺度を用いた、具体的には:規則書に関する文章の交渉に移行したかどうか;パリの成果の要素が、一貫性のある形で進められたかどうか;気候行動の根拠が強化され、拡大されたかどうか。さらにこの分析では、2017年11月に予定されるフィジーを議長国とするCOP 23に参加者が戻る際、今回の会議で持ち帰ったものがどう影響するかも検討する。
文章の要素に向けた一歩前進
パリの規則書に関する作業を進めるため、APA共同議長は、参加者に対し「特定の文章要素を作成し、可能な場合は文案も作成する」ことに焦点を当て、「次の段階へ移る」とする課題を示した。締約国は、事前会合における相当量のインプットを携えてボンに到着したが、このインプットには100を超える提出文書、及び透明性や適応報告書及び緩和に関する会合前イベントが含まれた。このような相当量の「技術的な荷物」を持ち込み、さらに2週間にわたり締約国が前向きな精神を持ち続けたにも関わらず、APA共同議長の期待に十分応えられなかったと多くのものが感じた。
パリの成果の詳細に関する議論に入ると、パリ会議までの時期に締約国の間に存在していた基本的な姿勢の違いが再度浮かび上がってきた。APA議題項目の大半では、このような姿勢の違いが文章の交渉への移行を妨げたが、他の項目では、締約国は政治的な違いはともかく、技術面に焦点を当てることができた。
先進国と開発途上国の差異化に関する疑問が根幹にあることから、実施の推進と遵守の促進を目的とする委員会のモダリティ作成、及び緩和及び透明性に関するガイダンスの作成では、二元式手法の採用を求める声が聴かれた。パリ協定のモダリティでも差異化処遇の導入を希望するものと、国家が決定するという国家決定貢献分(NDCs)の特性から十分な差異化は既になされていると論じる他のものとの間の意見対立は、2018年の採択が期待される規則書に関する決定書の「骨格(skeletons)」での合意を妨げた。しかし、あるベテランのオブザーバーが指摘したとおり、参加者は、ボンで「何かを解決する(resolve things)」ことは期待しておらず、共同進行役の非公式ノートに記載されたとおり、全てのAPA議題項目で豊富な議論を行ったことは、異論はあろうが、問題を整理できたという利点があった。
締約国は、多数の問題で技術的な議論を行うことができた、これらの問題では、技術的または法律的な側面に焦点を当てる一方で政治的な陥穽に入り込むのを避けられる「安全地帯(safe area)」を浮き彫りにすることで合意した。NDCsの公開レジストリ及び適応報告書の公開レジストリの2件に関する議論では、一つのレジストリを設置するか2つのレジストリにするかで意見が両極に分かれた。ボンでは、締約国は、レジストリ利用者向けの特性及びアクセス可能性といった技術面に焦点を当てることを得たが、議論は平凡でだらだらとしているようであり、あるオブザーバーは、これで交渉時間の最善の活用といえるのかと、疑問を口にした。
資金に関する透明性の議論では有用な意見交換が行われた。多数の開発途上国は、APAでは透明性枠組支援への関心が不適切だと感じたが、他の多くのものは、SBSTAの下で開催された事前の資金情報及び事後の資金情報(それぞれパリ協定9.5条及び9.7条)に関する議論、及び会合期間中のCOP特別ラウンドテーブルは、議論を進める上で有用であったと感じた。
ボンで進捗が見られた別な分野は、農業部門の議論であった。ここでもSBSTAは、議論に緩和を含めるかどうかという意見対立しがちな議論ではなく、実質的な農業活動に焦点を当てたことから、締約国は、将来の交渉の範囲を定めることができた。
さらにAPAで明確な進捗が見られた問題には、補助機関の議題にまだ明確には含まれていない問題、いわゆる「孤児になっている問題(orphan issues)」のオプション明確化もあった。たとえば、パリ協定においても役割を果たす適応基金についての法的な必要条件、関係する制度アレンジ及びモダリティ、暫定措置に関するUNFCCC法律問題チームからのインプットは、同基金がパリ協定でも役割を果たす「べき(should)」かどうかの問題を超えるところまで議論を進展させただけでなく、この問題は一部の開発途上国が当初希望していた以上の時間を費やす必要があることを明確にした。
一貫性を確保することで一歩近づくことを得た
36頁に及ぶパリ協定とこれに伴う決定書は、極めて複雑で慎重にバランスを取った結果の文書であり、条約の下の補助機関及び構成組織に多くの課題を課し、委託を行っている。パリ成果文書の要素の間には複雑な相互リンクが存在することから、どれか一つの問題での遅れはプロセス全体を中断するリスクがあるのではと、締約国は危惧していた。このことは、協調や議論の順序建ての重要性を示している。このため、ボンでの進展達成を別なやり方は、この「パッケージ(package)」の要素について、締約国が一貫性のある形で議論を進めることができたかどうか、リンクに対応し、パリで成された政治的妥協に手を付けずに保持できたかどうかであった。
補助機関の議長及び共同議長は、それぞれの議題項目での協調を確保するため、目に見える努力をした、この中には会合前の会議開催や合同の非公式プレナリーの開催、関係する問題に関し会議を開催し、そのスケジュールの重なりを回避するようAPA共同進行役に提案することなどが含まれた。
さらに締約国は、多様な議題項目を多様な方法で順序立てしようとした、たとえば、SBSTAの下での長期世界目標のレビューの範囲の審議を2019年まで延期し、APAの下でのグローバル・ストックテイクのモダリティ及び2018年促進ダイアログを完了できるようにした。同じような順序立ての理由から、クリーン開発メカニズム及びキャパシティビルディング枠組のレビューに関するモダリティのSBIでの議論、及び国別適応計画に関する議論は、2017年11月、場合によっては2018年12月まで延期された。
課題の複雑さに鑑み、一貫性のある形で進展を図る必要があることには異論は出なかった。しかし、ボンでは一部の締約国がバランスのとれた進展を要求、これは、パリ会議に至るまで存在した別な意見対立の線、具体的には行動と支援のバランスという意見対立の線の再浮上を示していた。ボン会合の期間中、多様な開発途上国は、緩和には他の問題より「広い時間帯(bandwidth)」が割り当てられていると繰り返し論じた。これらの懸念は、最終日には最高潮に達し、締約国は、COP 23の前に開催されるラウンドテーブルの限定的な時間枠では、どのAPA議題を優先するか、特に行動及び支援の透明性を同等に扱う、透明性に関するラウンドテーブルの必要性にについて、長時間議論した。
しかし多くのものは、パリ協定の規則書の要素はUNFCCCの世界にとり「新しい議題(newcomers)」であることから、より多くの時間を割く必要があると認識した。その要素の一つはグローバル・ストックテイクであり、もう一つはパリ協定第6条の下での協力手法のいくつかの要素である。参考になるような長年の議事という利点がないことから、参加者は、この2つの問題にかなりの時間を費やして意見交換を行ったが、その意見は大きく分かれることが多かった。第6条に関し、多くのものは、更なる交渉構成の議題項目の下で議論しただけでなく、会合期間中ラウンドテーブルを含めると36時間もの議論をしながら、議論内容を捕捉する方法でさえ合意できず、焦燥感を抱いた。
さらにグローバル・ストックテイクの議題の下でも合意がなく、嘆くものが多かったが、一部のものは、ボン会議は「最初のストックテイク(initial stocktake)」と呼ぶものもいる2018年促進ダイアログを、事実上開始したと指摘した。このダイアログに関しモロッコのCOP 22議長及びフィジーの次期COP 23議長がボンで開催した協議について、その開放性と前向きな精神に力を得たベテランのオブザーバーの一人は、この協議は2020年以後のパートナーシップの信頼構築を推進するものであってほしいとの希望を表明した。.
より多くの人数で何千もの一歩前進を
会議の成功は、パリ協定の将来の実施にどれだけ貢献するかでも測ることができる、規則書の手法決定の課題は、異論はあろうが、プレ2020年の行動を強化し、野心のギャップをなくし、気候行動に参加する行動者の範囲を世界的に拡大する課題であり、これをどれだけ超えられたかでも、会議の成功を測ることができる。ボンでは、この課題に向けた努力の多くが、公式交渉の外、義務化イベントで行われた。キャパシティビルディングに関するパリ委員会の第1回会合は、開発途上国のプレ2020年行動支援において積極的な一歩を踏み出そうと企画された。このイベントは、多数のものが極めて建設的であったと評したほか、同委員会は共同議長を選出し、2017-2019年のローリング作業計画で合意し、UNFCCC体制下での役割の定義づけを開始した。オブザーバーたちは、この委員会会合の開放性と参加性を称賛した。
緩和及び適応に関する技術専門家会議(TEMs)は、パリ会議の成果であるプレ2020年行動の要素の土台を築くものであり、会合期間中、7日間にわたり開催された。緩和及び適応の両方の会議を企画するにあたっては、多様な部門の利害関係者を集め、イベント自体をインタラクティブなものにすることに、特に注意が払われた。しかし、一部のものはTEMsと公式の交渉プロセスとの連携、さらには広範な世界気候行動アジェンダやそのハイレベル・チャンピオンの作業との連携を強化するには、更なる努力の余地が依然、残されていると感じた。
非締約国の利害関係者の参加も、パリ会議の成果の実施を可能にする上で極めて重要な要素である。今回のボン会議では、この点でも二つの形で進展があった。第1は、パリで設立された地域社会及び先住民フォーラムの運用開始に関する議論の先駆けとして、多様な利害関係者のダイアログが開催され、評判は良かった。第2に、SBIでの議論では、非締約国利害関係者の参加に特化した会合期間中ワークショップなど、参加を強化する具体的な方法を探究した。利益相反政策や参加基準などで、異なる利害関係者グループ同士を「区別(differentiate)」するかどうかの問題は、SBI 44において一つの開発途上国グループから初めて提案されたもので、この問題は意見対立を誘導し続けていた。条約の目的と利益が相反する可能性がある利害関係者の懸念が認識されたが、過半数の締約国は、ある締約国が提案した文章、これらの目的の「十全性(integrity)」の「セーフガード(safeguarding)」という表現は透明性及び開放性を伝える正しいメッセージにならないという点で意見が一致した。全てのものを一つの部屋に集めるよう主唱する一人の参加者が指摘した通り、「解決策の一端を担わないものこそ、問題の一因である」。多数のものは、この項目に関し、UNFCCCの執行役員、COP議長職、及び事務局に対し、非締約国利害関係者の参加を強化する数件の課題に取り組むよう求めるSBI結論書を歓迎した。
進捗状況に注目し続ける
ではボン会議は実績を残せたのか? 多数のものは、2018年のCOP 24で採択すべき決定書の骨格に関しオプション計画作業を開始したことから、段階的に過ぎないとはいえ、進展できたと感じた。さらにこの会議は、パリ作業プログラムの全ての要素で、一貫した形での進展がなされているかどうかでも、締約国に一定の確証を与えることができた。ある締約国が示唆した通り、「意義のある前進の方が、迅速な前進よりも重要である」が、気候変動への取り組みの緊急性を強調するものは、進み方の遅さに失望していた。
ボンを離れるにあたり、多くのものは、共同議長及び共同進行役が作成した多数の非公式ノートと、全てのAPA項目に関する焦点を絞った文書の提出を求めたこと、そして5回にわたる会合前及び会合期間中のAPAラウンドテーブルと合わせれば、COP 23では締約国は文章面の交渉に向け一層の転換を図れるのではと希望した。さらに一部のものは、APA共同議長の任期の1年延長で締約国が合意したことから、同じAPA共同議長の指導を得て、「転換COP(transition COP)」の成功に必要な継続性が得られると述べた。
しかし一部のものは、この会議に向かう際に自身の頭をよぎった問題、すなわちパリ協定への米国の参加問題に立ち返り、それがCOP 23に与える影響はもとより、この体制自体の将来にどういう影響を与えるか、懸念を表明した。ある楽観的な参加者は、たとえそうなっても、パリ協定を突き動かしたモーメンタムは強力で、いかなる一国でも止められないと述べた。
今後の会議日程
第52回GEFカウンシル:第52回GEFカウンシル会議は、2017年5月23-25日に開催される。この会議の前の5月22日には、GEF-CSO協議も開催される。カウンシルは、会議最終日に、LDCF及びSCCFのカウンシルとしての会議を開催する予定。 日付:2017年5月22-25日 場所:米国、ワシントンD.C. 連絡先:GEF事務局 電話:+1-202-473-0508 ファクシミリ:+1-202-522-3240/3245 eメール:secretariat@thegef.org www: https://www.thegef.org/council-meetings
第3回欧州気候変動適応会議:2017年欧州気候変動適応会議(ECCA)は、「Our Climate Ready Future(我々の気候対応型の未来)」というテーマで開催される。この会議には、ビジネス、産業、NGOs、地方政府、地域社会の代表が集まり、指導的立場の研究者及び政策決定者と知識やアイデア、経験を共有する。木曜日及び金曜日には、一連の画期的な適応プロジェクトや文化的スポットを紹介する各地への視察旅行も計画されている。ECCA 2017は、次の3つのEUの資金を得たプロジェクトが欧州委員会向けに企画したもの: IMPRESSIONS、Helix、RISES-AM。 日付:2017年6月5-9日 場所:英国スコットランド、グラスゴー 連絡先:ECCA 2017 www:http://ecca2017.eu/conference/
第8回持続可能な開発のためのエネルギーに関する国際フォーラム:このフォーラムは、「持続可能なエネルギーの課題に対応する(Meeting the Challenge of Sustainable Energy)」という主題の下、閣僚会議及びそれに続くハイレベル・プレナリー会合と並行し、ワークショップ及び視察旅行を組む。このフォーラムは、カザフスタン政府及び国連地域委員会が開催する。 日付:2017年6月11-14日 場所:カザフスタン、アスタナ 連絡先:Forum organizers(フォーラム組織) 電話:+7-7172-794978, 790172 eメール:org@energyministerial.kz www:http://energyministerial.kz
FCPF第16回カーボンファンド会議:森林カーボン・パートナーシップ・ファシリティ(FCPF)は、第16回カーボンファンド会議を開催し、排出削減計画のアイデア・ノート(ER-PINs)を審議し、資金供与の決定及びポートフォリオの管理で合意し、他の資金供与プログラムとのリンクを議論する。FCPFは、REDD+に焦点を当てる各国政府、ビジネス、市民組織、先住民の世界的パートナーシップ。 日付:2017年6月19-22日 場所:フランス、パリ www:http://www.forestcarbonpartinership.org
第9回アフリカ・カーボン・フォーラム(ACF 2017):アフリカ・カーボン・フォーラム(ACF)は、次に示すナイロビ枠組パートナーが開催する:UNFCCC;国連環境計画及びUNEP DTUパートナーシップ;国際排出量取引協会(International Emissions Trading Association);世界銀行グループ;アフリカ開発銀行。AFC 2017は、ナイロビ枠組からの全般的な委託を受け、アフリカの政策決定者及び実務者に次のことを行う機会と場を提供する:気候変動政策、炭素市場、資金に関係する最新の展開を議論する;NDCs及び他の戦略の見地から、革新的な解決策の知識を共有する;地域及び世界的な気候変動イニシアティブでの協力の可能性を探る。 日付:2017年6月28-30日 場所:ベニン、Cotonou www:http://www.africacarbonforum.com/
G20サミット:20の国家及び政府首脳並びに国際機関指導者の首脳会議は、G20議長国であるドイツのモットー「相互に関係する世界の構築(Shaping an interconnected world)」の下で会合する。議長国の主な関心は、SDGsを含める持続可能な開発のための2030年アジェンダ、及び気候変動に関するパリ協定の実現に向け、進展を図ることである。 日付:2017年7月7-8日 場所:ドイツ、ハンブルグツ www:https://www.g20.org/Webs/G20/EN/Home/home_node.html
モントリオール議定書OEWG 39:オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書の締約国のオープンエンド作業部会第39回会合、この会合に先立ち、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)の代替物質で地球温暖化係数の低いものの利用に関連する安全基準のワークショップを7月10日に開催、モントリオール議定書の非遵守手続きの下での実施委員会第58回会合は7月9日に開催される。 日付:2017年7月11-14日 場所:タイ、バンコク 連絡先:オゾン事務局 電話:+254-20-762-3851 ファクシミリ: +254-20-762-0335 eメール:ozoneinfo@unep.org www:http://conf.montreal-protocol.org/SitePages/Home.aspx
第46回IPCC総会:IPCC-46は、特にAR6スコーピング会議の成果を議論するため会合する、これにはAR6作業部会報告書の概要、プログラム予算が含まれる。第54回IPCC議長団会合は、IPCC-46の前に開催される。 日付:2017年9月6-10日 場所:カナダ、モントリオール 連絡先:IPCC事務局 電話:+41-22-730-8208/54/84 ファクシミリ:+41-22-730-8025/13 eメール:IPCC-Sec@wmo.int www:http://www.ipcc.ch
第30回適応基金理事会:適応基金は、開発途上国の脆弱な地域社会における気候変動への適応を支援するプロジェクト及びプログラムに資金を拠出する。 同基金はUNFCCCの京都議定書の下で設立された。 日付:2017年10月10-13日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:適応基金理事会事務局 電話:+1-202-458-7347 ファクシミリ:+1-202-522-3240 www:https://www.adaptationfund.org/events/30th-adaptationfund-board-meeting/?instance_id=4
UNFCCC COP 23:COP 23はフィジーの企画で、ドイツ、ボンのUNFCCC事務局本部において開催される。COP及びCMPが会合するほか、SBI、SBSTA、APAも会合する。 日付:2017年11月6-17日 場所:ドイツ、ボン 連絡先:UNFCCC事務局 電話: +49-228-815-1000 ファクシミリ: +49-228-815-1999 eメール:secretariat@unfccc.int www:http://unfccc.int/meetings/unfccc_calendar/items/2655.php?year=2017
他の会合については、右記を参照:http://sdg.iisd.org/