Daily report for 4 September 2018
Bangkok Climate Change Conference - September 2018
火曜日、バンコク気候変動会議は、開会式典で開始され、続いて、科学的技術的助言のための補助機関(SBSTA)、実施に関する補助機関(SBI)、パリ協定特別作業部会(APA)の下で、交渉グループが設立された。午後、APAコンタクトグループが会合したほか、SBSTA、SBI、APAの下で非公式協議及びコンタクトグループが行われた。
開会式典
COP 23議長のFrank Bainimaramaは、バンコクでの追加会合が必要であったのは、進捗の欠如を示していると強調し、締約国に対し、パリ協定の全面的な実施を確保するため、決定書パッケージで合意するよう求めた。
次期COP 24議長のMichał Kurtykaは、参加者に対し、政府は社会と足並みをそろえていることを明示するよう求め、カトヴィチェで何の交渉がなされるか、明確に理解した上でバンコクを離れるよう促した。
タイの自然資源環境省大臣のSurasak Karnjanaratは、バンコクの参加者を歓迎し、「気候変動は、今、取り組むべき脅威である」と強調した。
国連事務次長のAmina J. Mohammedは、ビデオメッセージの中で、世界中で前例のない極端な天候現象が続いていることでも明らかなように、気候変動は対応努力より速いベースで進行していると警告した。
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)のKaveh Zahediは、地域内の気候行動を促進するためのUNFCCCとの協力関係に焦点を当てた。
UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、パリ協定実施ガイドラインの最終決定に向け進捗を図るよう促した。
SBSTA開会
SBSTA議長のPaul Watkinson (フランス)が会合を開会した。同議長は、進捗にはむらがあり不十分であると指摘、全ての項目で比較可能な進捗を確保するため、SBI議長及びAPA議長と協力することを約束した。同議長は、参加者に対し、この会議でSBSTAの項目のうち少なくとも1項目、あるいは2項目について、文書を繰り返し検討してほしいとの希望を表明した。
組織上の問題:SBSTA 48-2は議題書(FCCC/SBSTA/2018/5)を採択、作業構成で合意した。
次の項目はコンタクトグループでの議論に委ねられた:
- 協定の下での対応措置に関するフォーラムのモダリティ、作業計画、機能―SBIと合同の協議;
- 協定第6条(市場及び非市場手法)に関係する問題;
- 協定9,7条の下、公的干渉により供与される資金源の計算
次の横目は非公式協議に委任:
- 適応委員会の報告、SBIと合同の協議;
- 協定10.4条の下の技術枠組
終わりに、議長のWatkinsonは、次の二つの課題を指摘した:PAWPの全項目に関する文書草案を協力して作成する;利用可能な時間が限られている。
SBI開会
SBI議長のEmmanuel Dlamini (eSwatini)がこの会合を開会した。同議長は、文書草案を携えてバンコクを離れることが重要だと指摘し、主要問題において可能な進捗方法を明らかにするため、各グループや代表団首脳と会合する予定であると述べた。
組織上の問題:SBI 48-2は、議題書(FCCC/SBI/2018/10)を採択、作業構成で合意した。
協定4.12条(NDC登録簿)に言及する公開登録簿:議長のDlaminiは、NDC登録簿及び協定7.12条(適応報告書)に言及する公開登録簿と合同で議論する会合の開催を提案した。サウジアラビア、インド、有志途上国(LMDCs)の立場で発言したイランは、この提案を支持した。スイスは、そのような議論が有用かどうか疑問視し、これに反対した。議長は協議を続ける予定。
次の項目は非公式協議に委任された:
- NDCsの共通時間枠;
- NDC登録簿;
- 適応報告登録簿;
- 適応委員会の報告、後発開発途上国(LDCs)に関係する問題と共に、SBSTAと合同で考察;
- 技術メカニズムの定期的な評価を行う範囲及びモダリティ;
- 協定9.5条 (先進国の隔年の事前資金報告書)に基づき締約国が提供する情報
APA開会
組織上の問題:APA共同議長のSarah Baashan (サウジアラビア)が、会合を開会した。締約国は、APA 1議題書 (FCCC/APA/2018/1)及び既存の作業構成書 (FCCC/APA/2016/2)に基づく作業続行で合意した。共同議長のBaashanは、APA共同議長が締約国及び各グループとの二者間協議を開催する予定と述べ、COP 24でのPAWPの成果のフォーマットなど、共通の関心事に関しては、SBSTA及びSBIの議長も加わる可能性があると述べた。
SBI、SBSTA、APA合同プレナリー
開会ステートメントは発表されなかった:締約国及びオブザーバーは、ステートメントを発表する代わりに、UNFCCCのウェブサイトに掲載することで合意した。
コンタクトグループ及び非公式協議
APAコンタクトグループ:APA共同議長のTyndallは、作業構成の概要を説明し、APA、SBSTA、SBI議長職が作成した合同リフレクション・ノートに焦点を当て、時間を最大限活用する必要があると強調した。参加者は、全ての実質的なAPA項目を非公式協議に回すことで合意した。締約国のステートメントは、UNFCCCウェブサイトに掲載される。
協定9.7条の下、公的な干渉で供与される資金源の計算:この議論では、Delphine Eyraud (フランス)及びSeyni Nafo (マリ)が共同議長を務めた。締約国は、ある開発途上国グループの提出文書及び数か国の先進国が提出した別な文書について議論した。締約国は、共同議長に対し、決定書作成に向けた進捗を図るため、この2つの提出文書を「ハイブリッド・テキスト」にまとめることを委任した。数か国の締約国は、共同議長に対し、決定書草案文書をAPA項目の5 (透明性枠組)の下でのプレースホールダーにはめ込む方法に留意するよう促した。別な締約国のグループは、文書を透明性枠組と合体さえる議論への違和感を表明する一方で、提出文書を組み合わせる努力は支持すると述べた。
第6条 (市場及び非市場手法)に関係する問題:共同議長のKelley Kizzier (アイルランド)及びHugh Sealy (バルバドス)は、締約国に対し、カトヴィチェの決定書に不可欠と共同議長が考える5月8日の非公式ノートに記載する要素と、カトヴィチェ以後も更なる議論の対象となりうる要素とを区別するよう求めた。
多数の締約国及びグループは、6.2条 (協力的手法)で「不可欠な」ものとしては、次の問題などがあると指摘した:
参加要件:
- NDCsの範囲及び対応する調整事項についての規則;
- 国際的に移転される緩和成果(ITMOs)の定義づけ;
- 環境十全性を確保するための規則
多数のものは、6.4条 (メカニズム)の下、監督機関がCOP 24後に作業を開始できるよう、手順を十分推敲することを求めた。
さらに参加者は、特に次の項目の重要性を指摘した:
- 移行期のアレンジ;
- 持続可能な開発の定義づけ;
- 収入の一部に関する規則、及びベースラインと全体の緩和に関する規則
多数のものは、6.8条 (非市場手法)の作業計画を2019年に開始すべきとした。
共同議長は、本項目の3つの小項目に関し、非公式ノートの改訂版を公表し、水曜日の審議にかけ、今週末までに更なる改訂版を公表する予定。
NDCsの共通時間枠:共同進行役のMarianne Karlsen (ノルウェー)は、共同進行が議論の指針となるペーパーを作成すると提案し、締約国も同意した。ある開発途上国は、この項目の交渉をCOP 24で終わらせる必要はないと指摘したが、別な国は、COP 24の決定書では共通時間枠の導入で合意でき、詳細はその後の交渉で整備できると提案した。一部の国は、このノートは、次の問題などを考察していると指摘した:
- 共通時間枠と、NDC及びグローバル・ストックテイクのサイクルとのリンク;
- 時間枠の長さに関するオプション;
- 共通時間枠が開始する期日;
- 共通時間枠と共通の実施タイムフレームとの区別
水曜日も非公式協議が続けられる。
協定7.12条 (適応報告)に言及する公開登録簿:共同進行役のPeer Stiansen (ノルウェー)は、合意された交渉のたたき台の作成を委任されていると想起し、意見を求めた。2つのグループは、NDC登録簿の議論と合同で会議うるよう促した。共同進行役のStiansenは、SBI議長が協議を行っていることを想起した。一部の国は、NDCsが適応報告書のビーヒクルであるなら、登録簿同士はリンクしていると指摘したが、他のものは、適応報告書にはNDCs、国別適応計画(NAPs)、国別報告書など、多数のビーヒクルがあるという「特異な(unique)」課題を指摘した。非公式協議が続けられる。
適応報告書に関係する追加ガイダンス:共同進行役のJulio Cordano (チリ)は、共同議長のツールに関する一般の意見を求め、明確なオプションの特定を目指すと強調した。全ての締約国は、今後の交渉の土台としてこのツールを支持すると表明した。締約国は、決定書草案についてコメントし、文書をスリム化する、あるいは構成する方法について説明するツールのセクションに焦点を当てた。序文に関し、あるグループは、一部の文章を原則のセクションか目的のセクションに動かすよう提案したが、他の国は、削除可能な項目を提案した。夕方も非公式協議が続けられた。
実施を推進し遵守を促進するための委員会:Janine Coye-Felson (ベリーズ)及びChristina Voigt (ノルウェー)が進行役を務める非公式協議において、参加者は、APA共同議長のツールを更なる作業のベースとして歓迎し、その内容について、一般的な考えを披露した。多数のものは、特定の問題については、カトヴィチェで合意に達するのではなく、手順規則の策定について委員会自体での決定に委ねることを支持したが、どの部分を先延ばしすべきかでは、意見が一致しなかった。ツールを簡素化するため、「プロセス」に関する要素を、別々の表題の下ではなく、各オプションの下でまとめて、委員会の作業を開始しやすくするとの提案があり、数名のものがこれを支持した。非公式協議が続けられる予定。
適応基金以外の更なる問題:締約国は、APA共同議長のツール、及び本会合で議題項目を議論する順序について議論した。協定9.5条 (先進国の隔年事前資金報告)に関するツールのオプションで、CMAに対し提案を行う;もしくは行わないと規定するかどうかでは、意見が分かれた。多数の開発途上国グループは、決定書の必要性を強調したが、数か国の先進国は、この問題はSBIで十分議論されていると指摘した。ある開発途上国グループは、提案しないためのオプションを括弧でくくるよう提案し、別なものの支持を得た。締約国は、議論を続ける方法でも意見が異なった。非公式協議が続けられる。
廊下にて
参加者は、バンコク気候会議の初日、パリ協定作業計画(PAWP)の進捗はこれまでのところ不十分であり、一様ではないとの指摘を受け、叱責される事態に見舞われた。ある参加者によると、議長団は、ポーランドでの議論に向け可能な限り準備のできた決定書草案を作成するため、多数の文書草案について2回の繰り返し審議を終わらせるよう締約国に求め、「更なる圧力をかけてきた」。このような勧告が肝に銘じたのか、SBSTA、SBI、APAは、スムーズに作業を開始した。APAで提供されたツールは非公式協議で「膨れ上がる可能性がある」と、当初は懸念されていたが、締約国は、衝動を抑え、オプション特定の作業に参加し、文章のスリム化または決定書草案への移動について、その方法を提案した。これまでのところ、全ての締約国がツールは更なる交渉のベースになれると合意しており、このことは、多くのものにとり「早々の勝利(an early win)」であった。とはいえ、COP 24までに残された会議日数は6日間にすぎず、APA共同議長に反対できるものは少数であり、参加者は、12月のマンデート達成に向け、このバンコクではPAWPを「食べて、寝て、夢見る」しかないのである。