Daily report for 21 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は金曜日も続けられた。締約国は、技術的交渉における広範な問題を議論した。緩和に関する題目別専門家会議も続けられ、参加者は他の2つのイベントにもお集まった:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の国別温室効果ガス(GHG)インベントリ用の2019年精緻版に関する特別イベント、及び地方社会及び先住民プラットフォームに関する作業のパートナーシップ構築ダイアログである。
SBI
共通時間枠:George Wamukoya (ケニア)及びGrégoire Baribeau (カナダ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、共同進行役に対し、非公式ノートを「きれいに整える(clean up)」ようにとのマンデートを与えなかった。2つのグループは、現在のノートで作業することを希望したが、他のものは、6つのオプションの間には繰り返しがあると指摘した。一部の締約国は、非公式ノートは2031年を括弧書きにしているが、COP 24では、2031年を共通時間枠の開始年度にすることで合意したと指摘した。ある締約国は、新しいオプションの一つは次のような曖昧さを持って解釈される可能性があると指摘した:締約項は共通時間枠の開始年を選択、もしくはNDCの提出を選択することができる。提案したグループは、同グループが提案したオプションは時間枠の選択のみを認めるものだと明言した。次回の協議では、結論書草案を議論する予定。
気候変動の影響に伴う損失と損害位のワルシャワ国際メカニズム(WIM)の2019年レビューの委任条件(ToR):非公式において、締約国は、メカニズムの長期ビジョン及び共同進行役の要素ペーパーに関数コメントを発表した。
長期ビジョンに関し、多数のものは、On the long-term vision, many agreed the ToRではこれまでの決定書、特に決定書3/CP.18(損失と損害に対するアプローチ)、及び決定書2/CP.19(WIM)に示された当該ビジョンに関する締約国の共通の理解を明記すべきことで合意した。多数のものは、長期ビジョンはWIMを強化する方法の決定を助けるはずだということで合意したが、具体的な方法では意見が分かれた。
あるグループは、開発途上国の実施方法へのアクセスを及び実施方法自体を提供することが重要であり、これにより最も脆弱なものは気候変動の悪影響に対応可能になることを確保すると強調した。ある締約項は、過去を顧みるレビューを行った後、長期ビジョンを議論するよう提案した。
多数のものは、要素ペーパーを歓迎した。一部のグループは、レビューの範囲として、過去及び未来の両方を見据えた手法を含める必要があると強調した。他のものは、未来の要素はレビューの内容に適合しないと述べ、グローバルストックテイクに対する言及の誤った挿入に対し警告した。ある締約国は、ギャップ及びニーズのいかなるリストにも反対を表明し、締約国に対し、優先策及び利用可能な資源に焦点を当て、このような優先策にWIMが最も多くの付加価値を与える場合に注目するよう求めた。
少数のグループは、より広範な文章を希望し、パリ協定だけでなく条約にも言及し、選ばれたパラグラフよりも決定書自体を完成させることに言及するよう希望した。あるグループは、レビューにおいては、締約項及び関連の組織からのインプット及び提出文書を考慮すべきというこれまでの合意を指摘した。
レビューする対象に関し、少数のグループは、実施方法を含め、行動及び支援の強化に関しWIMがその機能を実現できたかどうかに注目するとの自分たちのグループの提案を再度述べた。議論は夜まで続けられた。
技術移転に関するポズナニ戦略プログラム:Stella Gama (マラウィ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、改定された結論書草案について議論した。
次の項目などで意見が分かれた:地球環境ファシリティ(GEF)に対し、地域センター及び気候技術センター・ネットワーク(CTCN)との協力関係を強化する。一部のものは、GEFはもはや地域センターに積極的に関わっていないとの見方を示したが、他のものは、地域センター改善に対しガイダンスを提供するというGEFの役割を指摘した。締約国は、COPがGEFに対し、技術執行委員会(TEC)報告書に記載するポズナニ戦略計画の最新の評価に関する関連の提案を検討するよう求めるとの提案について、審議を続けた。
ジェンダー:Penda Kante Thiam (セネガル)及びColin O’Hehir (アイルランド)が非公式会議の共同進行役を務めた。締約国は、結論書草案で合意し、非公式ノートを検討した。キャパシティ・ビルディングの優先分野の下で「学習事項(learning)」への言及を続けるかどうか、及びUNFCCCへの女性参加者の出席に対する資金援助制度化という表現をいれるかどうかで意見が分かれた。議論が続けられる予定。
SBSTA
科学に関係する問題:研究及び組織的観測:共同進行役のChristiane Textor (ドイツ)は、最新の結論書草案を提出した。一部の締約国は、2018年の世界の気候の状況及び温室効果ガス速報に関するWMOステートメントを「懸念を持って」指摘することを支持し、ある締約国は内部協議用に更なる時間を求めた。
研究に関し、多数の締約国は、研究ダイアログを歓迎すると提案した。多数の締約国は、次の二つを歓迎すると提案したが、一人は反対した:国別GHGインベントリのIPCCガイドラインの2019年精緻版、及び今後公表されるIPCC報告書。共同進行役は将来の文書草案でのオプションを考察する。
GHGデータ・インターフェース:共同進行役のTakeshi Enoki (日本)及びClifford Mahlung (ジャマイカ)は、結論書草案を提出、この草案には、非附属書I締約国が報告するGHGデータの増加を指摘するとのオプション、もしくは上記を指摘すると同時に事務局に対しGHGデータ・インターフェースにおいて非附属書I諸国の提出分も含め、最新のGHGデータを掲示するよう要請するとのオプションが含まれた。
協議の後、一つのグループは「参加する用意ができていない(not ready to engage)」として、更なる時間を求めた。議論が続けられる。
気候変動に関する政府間パネルの1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書:共同進行役のAnnela Anger-Kraavi (エストニア)は、これまでの議論を捉えた非公式文書を検討すると同時に更なる協議をし、いかなる結論書にも予断を加えないことを提案した。ある締約国は、議事の手順の問題を指摘、この文書は割当時間外で合意されたと主張した。数名のものは、共同進行役のアプローチを支持すると表明した。SBSTA議長のWilkinson (フランス)は、この問題は「残念な誤解(unfortunate misunderstanding.)」であったことを明らかにした。共同進行役は、SBSTA議長の助言を受け、非公式ノートをUNFCCCのウェブサイトから外した。
パリ協定の下での手法論問題:NDCsの実施及び達成に向けた進捗状況を追跡するために必要な情報を記載する共通箇条書きフォーマット(CTFs):締約国は、GHGの予測を示すCTFに焦点を当てた。ある開発途上国グループは、隔年報告書の現在の表形式は修正する必要があると強調した。別な開発途上国グループは、この情報の提供は柔軟性を条件とすると述べ、歴史的ベースラインに関する情報収集での問題を指摘した。ある開発途上国は、先進国と開発途上国それぞれの2つの表を提案し、柔軟性が提供されている場合には、各国間で時系列やガス及び比較が変更される可能性があると指摘した。一部の先進国は、予測データと主要なパラメーター及び想定条件に関するデータとのリンクを指摘した。サマリーの構成に焦点を当てる協議が続けられる予定。
資金、技術開発及び移転、キャパシティ・ビルディングへの支援に関するDTFs:Seyni Nafo (マリ)を共同進行役とする非公式協議で、多数の先進国及び開発途上国は、必要な支援及び受理した支援に関する情報はレビューの対象ではなく、相当程度の柔軟性が組み込まれていると強調したが、2.3の先進国は、報告書における比較可能性を求めた。数か国の開発途上国は、現在の表フォーマットを利用する上での困難を伝えた。一部のものは、予想される時間枠及び予想される手段など報告が難しい情報を特定した。共同進行役は、審議用の表の草案を作成する。
第6条:非公式協議において、締約国は第6条(非市場手法)に関する意見交換を行った。多数の締約国は、カトヴィチェで作成された議長職文書の構成を支持した。他のものは、SBSTAのバージョンを希望する一方で、議長職文書も詳細が盛り込まれるなら、それで作業する意思があると表明した、あるグループは、キャパシティ・ビルディング及び技術移転の機会に明確に焦点を当てることを提案した。一部の締約国は、資格を有する活動の識別を支持したが、他のものは範囲に関するいかなる制限も避けるよう促した。
その後、締約国は、国際的に移動可能な緩和成果(ITMOs)の定義づけの議論を再開した。排出回避を含めるかどうかで意見が分かれ、反対意見のものは、環境十全性へのリスクについて懸念を表明した。他のものは、適切なセーフガードがあれば排出回避を含める意思があると表明した。ある締約国は、異なる計算方式の換算方法に対応し、環境十全性を確保する方法を明らかにできる作業計画を求めた。あるグループは、緩和成果を挙げることではなく緩和成果の移動に焦点を当てるよう提案した。
ITMOsに関する第6.2条の監視、NDCの計算及び遵守の報告、レビュー、記録、追跡、順序付けなど、ガバナンスの問題に関し、多数の締約国は、カトヴィチェ文書に基づき作業を行う意思があると表明、「不安定なバランス(precarious balance)」を指摘した。
午後、多数の締約国は、今後の進め方の基礎としてカトヴィチェ文書に則り作り上げることを支持した。締約国は、 ITMOsに関する当初の報告が果たす役割、これらと隔年透明性報告書(BTRs)がどう関係しているかについて意見交換を行った。あるグループは、BTRsに加え、毎年の情報を記載する年次報告書の作成を提案した。
多数の締約国は、第6.2条の監視を支持した。締約国は、必要とされるITMOsの追跡の種類について異なる意見を保持した。一部のものは、リアルタイムの追跡を提案したが、他のものは反対し、一部のものは、ITMOsは「量(amounts)」の問題で「ユニット(units)」の問題ではないと指摘した。2つのグループは、NDCsに必要条件を課すようなシステムは回避するよう促した。しかし、他のものは、一国のNDCはその国の第6条の条項に対する約束方法を決定すべきものだと指摘した。あるグループは、第15条(遵守)とのリンクを提案したが、別なグループは反対した。
ベースライン及び追加性に関し、歴史的なベースラインとビジネスアズユージャルのベースラインで意見が分かれた。あるグループは、監督委員会に対しLDCs及びSIDSへの追加性要求を免除するよう求めることを提案した。数か国の締約国は、次を提案した:手法論作成に規範的なアプローチを行うのは避ける;NDCsを反映するベースライン;排出削減の達成方法が現在の国内政策を補うものであること。あるグループは、第6.4条活動を原因とする正味のリーケージ及び不確実性を考慮に入れるよう促した。次の項目などに関する議論が続けられる:第6.2条と第6.4条のリンク;第6.4c条と第6.5条(二重計算);セーフガード。
SBSTA/SBI
条約の下での長期世界目標(LTGG)の次回定期レビューの範囲、及び目標達成に向けた全体的な進捗状況の次回定期レビューの範囲:共同進行役のMakoda Yoshino (日本)は、議論のオプションを含める結論書草案を提出した。
LTGGの適切性に関し、目標の方式変更を含め、全ての可能な成果を検討するか、それとも目標の意味への理解を高めるレビューをするかで、意見が分かれた。一部の締約国は、定期レビューの終了を支持すると再度表明したが、他のものは反対した。
LTGGに無得た全体の進捗状況の評価に関し、完全なレビューを追求するか、それともグローバルストックテイクの対象となっていないレビュー分野のみとするかで意見が分かれた。一部のものは、定期レビューとストックテイクにおける重複の可能性への懸念を再度表明したが、あるものは、両方のプロセスの「完全な統合(fully integrated)」を提案した。共同進行役は、妥協案を作成する非公式な非公式協議を提案した。
対応措置:Delano Verwey (オランダ)及びXolisa Ngwadla (南アフリカ)を共同議長とする午前中のコンタクトグループ会合で、オーストラリア及び米国は、経済多角化を行ったそれぞれの経験及び学習事項のリストを提示した。
午後、締約国は、共同進行役が提出した作業計画の表を検討した、この表の表題の行は次のとおり:活動;テーマ/クラスター;責任;モダリティ;アウトプット、さらに2019-2025年の数件の列が含まれた。
数か国の締約国は、表のスリム化を求め、一部のものは115もの活動をリストが予算に与える影響を警告した。他のものは、この提案は過去に使われたモデルに基づいているとして嘆いた。他のものは、これは活動同士のシナジーを見出す良い始点になるとの意見を述べた。議論が続けられる予定。
廊下にて
金曜日、議論が再開される中、ドイツの石炭地帯の中心にある近くのAachenで16か国の若者がデモを行ったとのニュースが入った。一部のものにとっては、この若者のエネルギーこそ交渉の席に欠けているもののように感じ、追い詰められた一人は、交渉を「活気がない(sluggish)」と評した。透明性及び第6条の交渉が「ノンストップ」で会議から会議へと動く中、他のものは、特に共通時間枠などの問題で進展が始まるのはいつになるか疑問を呈した。ある参加者は、ボンにおいて問題を取り上げるのはあと1回だけだが、「あとどれだけのオプションが必要なのか(How many more options do we need?)」と疑問に思っていた。