Daily report for 24 June 2019
Bonn Climate Change Conference - June 2019
ボン気候変動会議は、月曜日も続けられた。広範な問題に関する交渉が続けられた。長期資金に関するワークショップ、多国間評価、第7回気候エンパワーメント行動(ACE) ダイアログが開催された。
SBI
技術移転に関するポズナニ戦略プログラム:Stella Gama (マラウィ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、改定された結論書草案に関する締約国主導の協議について報告した。ポズナニ戦略プログラムの最新の評価に関する技術執行委員会(TEC)の報告書について、記載された関連の提案を検討するようGEFに推奨するとのパラグラフに関し、締約項の意見は分かれた。ある開発途上国グループは、この項目はSBI 51で再度審議するとの手順上の結論書を提案したが、他のものは反対した。
気候変動の影響に伴う損失と損害のワルシャワ国際メカニズム(WIM)の2019年レビューの委任条件(ToR):締約国は、共同進行役の要素ペーパーを称賛した。多数のものが、レビューではWIMがいかにして次を行ったかを検討すべきだと提案した:機能を発揮し、WIMの構成がいかに機能発揮を可能にしたか;行動及び支援に取り組んだか;パリ協定第8条(損失と損害)の実施を推進したか;関連する決定書及び提案に対応したか;条約の内外で行われた関係の作業と協力し、WIM自体の努力を推進したか。
あるグループは、範囲から「利用可能性(usability)」及び「行動の可能性(actionability)」への言及を削除するよう提案した。あるグループは、最も脆弱な諸国のニーズへの言及を期待したが、別なグループは、レビューではジェンダー、脆弱な地域社会、先住民といった全体にかかる原則を考慮すべきだと述べた。 あるグループは、レビューはWIMの設立時ではなく前回のレビューから始めることを希望した。
影響に関し、一部のグループは、1.5°Cの地球温暖化に関するIPCC特別報告書の引用を求めた。
午後、締約国はそれぞれの異なる意見を再度述べた。2つのグループは、レビュー範囲の内容についてパリ協定第8条のみを「取り出す(singling out)」ことに警告した。別なものは、ToRのより多くのセクションでの第8条への言及を希望した。このグループは、 WIMの「実績(performance)」に的を絞ったレビューを希望し、この内容においてWIMの「機能(functions)」への言及削除を提案した。他のグループは同意せず、決定書2/CP.19 (WIM)の規定どおり、機能への言及拡大を求めた。あるグループは、レビューではWIMを強化する方法に焦点を当てなければならないと強調した。
政府間会合のアレンジ:参加者は、進行役のUna May Gordon (ジャマイカ)の文書草案支持を表明した。ある締約国グループは、非締約国利害関係者の利益相反を緩和する枠組を提案した。他の締約国は、次の項目などに対する懸念を指摘した:会合の頻度への言及;オブザーバーの参画の価値への言及;将来の議題の草案作成への言及;草案文書の繰り返し箇所のスリム化。あるものは、承認されたオブザーバー組織に対し「自主的な支援(voluntarily support)」を行うよう締約国に求めるとの条項に反対したが、別なものは、開発途上国の非締約国利害関係者への支援に、UNFCCCの基金を用いる可能性を提起した。あるグループは、他の支持を得て、若者の参加に特に言及する表現を求めた。進行役のGordonは、意見を反映させる新しい草案を作成する。議論は続けられる。
SBSTA
パリ協定:の下での手法論問題:共同議長のHelen Plume (ニュージーランド)及びXiang Gao (中国)は、議題小項目の協議結果を報告した、これには次が含まれた:共通の報告表形式(CRTs);進捗状況を追跡する共通の箇条書きフォーマット (CTFs);支援のCTFs;隔年透明性報告書(BTR)、国別インベントリ文書、技術専門家レビュー(TER)報告書の概要。共同進行役のJae Hyuk Jung (韓国)は、TERの専門家に対する運連プログラムについて報告した。
共同議長のPlumeは、可能性ある結論書草案(複数)を提出した。締約国は、次の項目などについて意見を表明した:モダリティ、手順、ガイドライン(MPGs)をする柔軟性の議論;締約国提出文書に関する事務局作成の統合ペーパー、これについてシンガポールはG-77/中国の立場で発言し、他のものと共に、懸念を表明した;事務局作成のテクニカル・ペーパー;「後退なし(no backsliding)」の原則の尊重。共同議長は、締約国の意見を反映させるべく結論書草案を更新する。議論は続けられる。
NDCsの実施及び達成に向けた進捗状況の追跡に必要とされる情報の共通箇条書きフォーマット(CTFs):Helen Plume (ニュージーランド)及びXiang Gao (中国)が共同進行役を務めた。多数のものは、指標は定量的または定性的に自己決定され、説明文と表の両方のフォーマットで捉えることで合意した。ある締約国グループは、進捗の追跡に必要な指標と共に、指標の決定に必要な手法論も含めることを提案した。サマリーの構成に関し、一部のものは、NDC目標を再度記述する、それと共にNDC目標が達成されたかどうかの判断も示すことを提案した。共同進行役が非公式ノートを作成する。
支援のCTFs:Delphine Eyraud (フランス)を共同進行役とする非公式協議では、技術開発及び移転、キャパシティ・ビルディングのため提供され、受理された支援に焦点が当てられた。各国は、現行のアレンジの下で報告された締約国の経験を聴く必要があると強調した。数か国は、技術開発及び移転、並びにキャパシティ・ビルディングの報告と、提供され受理された資金支援に関する報告との結びつきを強調した。締約国は、二重計算または報告の重複を避ける方法について提案した。共同進行役は、審議用に暫定の表を含める非公式ノートを作成する。
第6条:締約国は対応措置に関する議論を再開した。多数のグループ及び締約国は、対応措置はパリ協定に「不可欠な(integral)」特性を持つと強調し、第6条が対応措置に関する作業にどのように情報を提供するのか、検討を促した。
算定方法の問題に関し、一部の締約国及びグループは、共通の算定システムを主唱、一部のものは集中登録簿を求め、メニュー方式に警鐘を鳴らした。締約国は、ITMOs及び第6.4条活動、さらにはNDCの範囲に関し、異なる意見を保持した。一部の締約国は、第6条の活動をNDCの範囲に制限することと、範囲外の行動も認めることとの妥協の可能性を指摘し、NDCsの進展に向けた明確なインセンティブを付して、NDCsの外からの移転を認めることを提案した。単独年/多数年の算定に関し、締約国は、リアルタイムの算定を希望すると表明したが、他のものは、BTRsとの整合性を求めた。
移転に関し、一部の締約国及びグループは、新しいアレンジを特定し、それにより移転プロセスを可能にする必要があると表明したが、一部の締約国は、パリ協定の環境十全性を保全することが重要だと強調した。他のものは、京都議定書ユニットを不適格とするなら、民間部門の信頼を損なうと懸念した。一部のものは、京都議定書活動を監督委員会の認可の対象とし、迅速な登録を可能にするよう提案した。締約国は、未解決問題のリストに関する意見交換を終了した。
次のステップに関し、多数の締約国は、単独年/多数年算定方式の問題など、問題の更なる明確化を図るテクニカル・ペーパーの作成を提案した。他のものはこれに反対した。共同進行役は、6月24日の夕方に、草案文書の新しいバージョンを発行すると述べた。
コンタクトグループのセッティングで、SBSTA議長のWatkinson (フランス)は、このコンタクトグループ会合の目的はこれまでの進捗状況を省み、今後の進め方を明らかにすることだと述べた。多数の締約国は、この会合での意見交換を歓迎した。ある締約国グループは、他の支持を得て、文書の新しいバージョンが発表されるまでは、次のステップを識別できないと述べた。ある締約国グループは、相応の調整に関するテクニカル・ペーパーの作成、または更なる意見交換を目的とするワークショップの開催を提案したが、一部は反対した。共同進行役は、文書の新しいバージョンを発表する予定であり、非公式協議での議論が続けられる。
SBSTA/SBI
対応措置:共同進行役の改訂したペーパーを検討する中、締約国は、4つ全ての機能において、作業計画活動のバランスを改善するよう求めた。あるグループは、ニーズ及び資金に関する活動への言及に反対した。別なものは、これに異論を唱え、ニーズの評価は対応措置を行うのに必要な支援を明らかにすると強調し、特定の部門及び懸念のある政策問題に対処しなければならないと想起した。 これらの締約国は、経済多角化のガイドライン策定は支持しないとし、規範性を警告した。あるグループは活動のタイムラインへの言及が有用であると述べた。
農業に関するコロニビア共同作業:非公式協議で、 締約国は、結論書草案の要素を明らかにした。構成組織及び資金メカニズムの運用機関の参加に関し、少数の開発途上国グループは、更なる実施をこれらの機関のマンデートとするCOP 25決定書を求めた。一部の先進国は、COP 25の決定書に反対し、構成組織は既にワークショップへの参加を続けるマンデートを有しているとし、決定書はCOP 26までマンデートとされないと指摘した。あるグループは、FAOの行った作業を認めるよう提案したが、開発途上国は、FAOはオブザーバーであると指摘した。会合期間外ワークショップに関し、開発途上国は、専門家の参加や議論される題目のバランスをとるよう求めた。締約国は非公式な非公式協議に参加する。
条約の下での長期世界目標(LTGG)の次回レビューの範囲及び目標達成に向けた全体的な進捗状況の次回定期レビューの範囲:共同進行役のLeon Charles (グレナダ)及びMadoka Yoshino (日本)は、結論書草案の改訂版を提出した。あるグループは、第2回定期レビューではLTGGの「理解の向上(enhance understanding)」を追求することで合意するなどを提案する新しい妥協案を提示した。他のグループは、この提案は自分たちのグループの以前の提案を網羅していることを確認した。ある締約国は、この提案を草案作成の土台として用いるよう提案したが、この提案は「一歩後退(step backward)」と考える多数のものが反対した。他の締約国は、SB 51まで審議を延期し、手順上の結論書草案の提出を進めるよう提案した。ある締約国は、他の支持を得て、追加の会合を要請した。議論が続けられる。
長期資金に関するワークショップ
このワークショップは次に焦点を当てた:地球平均気温の上昇を2℃以下、1.5℃以下に抑えるとの概念における資金援助及び技術支援の提供;資金供与者及び受理者の観点からみた気候資金の効果性強化;資金の予測可能性向上の確保。スピーカー及びパネリストは、次の必要性を強調した:2025年までに世界の低炭素投資が化石燃料投資を上回り、1.5℃目標を達成すべく低炭素資本の顕著な規模拡大を図る;気候資金と気候科学者社会との協調関係を高める;持続可能な開発目標(SDGs)とアジスアベバ行動アジェンダとのシナジーを図ると同時に、エネルギー転換と合致する行動はSDGs達成のコストを増加もしくは削減する可能性があることを認識する。
次の題目に関する分科会が開催された:資金援助及び技術支援の提供;資金の動員、入金、アクセス;隔年の提出戦略及びアプローチ;気候資金の効果性。
廊下にて
月曜日は、熱波の到来を告げ、参加者は、期限が迫る中、会場の中でも同様な熱気の高まりを感じていた。
一部の議題の結論書がCOP 25の端に向けふらつく中、皮肉屋の参加者は、非公式協議の追加は不可避なことを遅らせるだけではないかと疑った。しかし、他のものは、第6条の問題には、本来、政治的な選択が関わっており、それは「真に技術的な(truly technical)」作業を始める前に、COPで決めておかなければならない問題だとの見解を示した。別な参加者は、締約国が文書草案に反応を示す火曜日を、「何がおきるかの予兆(coming sign of things to come)」とみなした。
他方、WIMレビューでは、一部のものが、意見はゆっくりとまとまる方向にあるとの希望を見出していた。ある参加者は、そこでの進捗を報告し、 締約国は、「この会合においてWIMの長期ビジョン、あるいはそのレビューの定義づけを期待していないと明言した(clearly stated from the beginning that they did not expect a definition of the WIM’s long-term vision from this meeting—or the review).」と説明した。この参加者は、その代り「これまでの決定書に記載される我々皆の理解に基づき作業することができる(we can work on the basis of our collective understanding inscribed in our past decisions)」と説明した。