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アース・ネゴシエーション・ブレティン (地球交渉速報)

第26巻第11号 - 2015年3月16日(月)


国連世界防災会議 ハイライト

2015年3月15日(日) | 日本、仙台

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仙台(日本)からのIISD/ENB会議の報道については、下記のリンクをご参照ください: http://enb.iisd.org/isdr/wcdr3/


第三回国連防災会議(WCDRR)の2日目(日)が開催され、2つの閣僚級ラウンドテーブル、複数のワーキングセッション、および全体会合におけるポスト2015年防災枠組の本文について討議が実施された。 各国代表は終日に渡り、全般的な意見交換を行った。この他に、本会議開催地および近接会場で、2015年版の国連防災白書の発表を含む、各種防災コミュニティによる関連イベントが開催された。

主要委員会

午前中の主要委員会(Main Committee)では、国際的な協力に関する非公式のセッションが開催された。各国の代表の意見は 「予測可能な追加の」財源が必要であるという点で相違が生じ、多くの開発途上国は、その表現の文脈は記述的であり、財源については言及されていないと主張した。多くの先進国は、財源に関する取り組みがなされるべきであると強調し、異議を唱えた。一部の先進国は相互合意条件(MAT)に基づく技術移管の提供を支持し、一方で、一部の先進国が相互合意条件は技術移管の制約条件となるとの立場からこれに異議を表明した。国際協力の観点における財政と技術移管の議論は「さらなる非公式の」場に議論を移すことなった。

各国の代表はさらに、共通だが差異ある責任(CBDR)について取り上げた。議論の中心は、どの程度まで、気候変動がさらなる防災行動を必要としうるのかであった。一部の先進国はCBDR(共通だが差異ある責任)の原則は防災の文脈で想起すべきではないと主張した。開発途上国はCBDR(共通だが差異ある責任) は持続可能な開発および国際法における中心的な柱であるとした。合意は形成されず、本件は「さらなる非公式の場の議論」に移された。

続いて各国の代表は、とりわけ「説明責任」、「他国統治下の」国家における防災、そして国際社会規範に関連した用語について議論した。特別な状況を認め、SIDSに表記されていた括弧を削除することで合意がなされた。

午後の主要委員会では、Wayne McCook氏(ジャマイカ)の進行により、世界防災の目指す7つの目標について非公式の議論を継続した。ある国が2030年までに災害犠牲者を減少させるため、 定量的で具体的な目標設定の重要性を繰り返し主張した反面で、他の国は定性的な表現を主張した。「一人当たりの」という用語が懸案となり、一部の国は開発途上国の国民におけるさらなる負担を課すものであると言及し、一方で一部の国は各国と世界共通の目標間での矛盾が発生する可能性について言及した。協議の結果、各国の代表は「2005年-2015年と比較した100,000人あたりの全世界平均死亡率を2020-2030年までに引き下げることを目指し、実質的に2030年までに世界の災害犠牲者を減少させる 」という表現で合意した。

開発途上国が防災支援を実施できるよう支援する国際協力に関する目標の可能性について、 主要委員会は予備的な「回数を設定しないさらなる非公式な」会議において議論を継続することを決定し、一時休止となった。進行役のMcCook氏は各国の取組みとそれらに対する支援が必要であるという認識がなされたことで、ある程度の進歩は見られたと、この日の終わりに述べた。McCook氏は回数を設定しないさらなる議論のための追加時間を求めた

主要委員会は非公式の会議を夕方に再度開催し、序文と国際協力について議論を継続することを決定した。

全体の意見交換

各国の代表はこの日の会議期間中に公式声明を発表した。パキスタンは災害リスクに関する国連信託基金の設立の提案を評価し、関連する国の「脆弱性リスト」に基づいて技術面、財政面の支援が提供されるべきであると助言した。フィリピンは現在のアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)の議長としてのフィリピンの立場が、さらなる防災の主流化と民間企業との運営アジェンダを前進させる機会を得られているとした。スウェーデンは、森林、湿地、マングローブ林やサンゴ礁等の生態系は、人間に環境と気候の回復力の基盤を与えている観点にかんがみ、それらの保護の強化を求めた。ニュージーランドは2011年のクライストチャーチにおける地震の経験から、国民意識、強靭なビジネスの回復力そして高い水準の保険加入率が復興に貢献したと言及した。

多くの各国代表がそれぞれの防災活動を強調し、2015年が複数の防災枠組の最終化における重要な年になるべきであることを言及した。

閣僚級ラウンドテーブル

災害復興 ―より良い復興:トルコのNuman Kurtulmuş 副首相が午前中に行われた本会議の議長を勤めた。副首相は始めにトルコにおける自然災害の経験と、進行中のシリアの危機に対する人道的支援について述べた。多くの国が、「より良い復興(BBB)」は施設の復旧だけではなく、社会的、経済的、そして文化的な要素の復旧も含めるものであると強調した。マレーシアは伝統的な知識を強調し、中国は「人に基づくアプローチ」の重要性を述べた。アイスランドとニュージーランドは保険部門との連携の重要性を強調し、フランスは災害後の「より良い復興」よりも事前の強靭な構築が効果的であると述べた。マダガスカルは地域内および南南協力がさらなる「より良い復興」につながると述べた。マラウイは「悲劇を成功に変える」には幅広い開発計画に基づく復興プログラムの連携が必要であると強調し、多くの参加国の同調を得た。グレナダは災害前と災害後の計画の必要性を述べ、災害後の計画は、短期、中期、そして長期の復興目標が必要であるとした。タイは2004年のインド洋における津波の後のタイにおける災害管理法令強化と、地域に基づいた救済と復興プログラムを推奨した。多くの参加者は包括的なアプローチの必要性を強調し、国際協力を通じた予測的な資金機構を含む「より良い復興」を舵取りするための適切な組織的な取組みの整備の重要性を述べた。

ポスト2015年防災枠組をサポートする国際協力:インドの内務省のRajnath Singh大臣が午後に行われた本会議の議長を務めた。

多くの発言者が防災実行策の要求事項を満たすための国際協力について要求した一方で、一部の開発途上国は財政的と技術的な支援を求めた。その要求はまた民間部門や市民団体を含めたあらゆる関係者を防災に関する議論に含めることを求めた 。ブータン、ラオス、スロベニア、クック諸島、そしてペルー等の国が、国内そして地域的な防災戦略の実行に必要とされる特定の国際的な協力に関する事例を紹介した。

日本は、非物的援助、物的援助およびグローバルと地域協力のために使用される2015年から2018年の40億ドルの自国の防災取組みへの貢献を改めて述べた。

スペイン、世界銀行そして多くの参加者が、新しいポスト2015年防災枠組に気候変動に関する検討が含められる必要性を強調した。ブラジルは、貧困や不平等が災害の根本的原因であると特定し、それら根本的原因への対策がポスト2015年防災枠組に含まれるべきであると提案した。スロベニアとクック諸島は兵庫行動枠組(HFA)を、向上した国際協力を通じて強化することを求め、新しい枠組は不要であると述べた。

多面的なプロセスに関連し、フィジーは、財政、ポスト2015年開発アジェンダ、防災そして気候変動においての一貫性のある議論を求め、英国は「防災に関する財政統合」として開発資金(FfD)プロセスを活用することを提案した。

ワーキングセッション

国家と地方レベルでのガバナンスと計画策定:経済協力開発機構(OECD)のRolf Alter氏が、変質する災害リスク・ガバナンスとそこに対する投資機会について検討する、本セッションを進行した。

日本の赤沢亮正内閣府副大臣が物理インフラといった「ハード面」だけでなく人材育成に関する「ソフト面」の投資の重要性を強調した。

インドのP.K. Mishra首相首席補佐官は住宅開発の増加は、 建築基準やインセンティブによる防災への組み込み、そして「リスク情報を活用した」プロジェクト計画を行う機会であるとした。

ブラジリア大学のChristiana Freitas氏は実践的な防災強化のためには、説明責任の仕組みと法律と規範の機構を強化して「法典上の」法律とその実効性のギャップに取り組むべきと提案した。

他のパネリストはレバノン、トルコ、太平洋域における経験を述べた。

国際的なリスクの流れ:マレーシアの国連常駐調整官のMichelle Gyles-McDonnough氏がセッションを進行した。UNISDRのAndrew Maskrey氏、コロンビア国立大学のOmar Dario Cardona教授とともに、Gyles-McDonnough氏は2015年版国連防災白書 (GAR 2015)を紹介した。白書には、災害管理は過去数十年で大きな進歩を遂げたものの、災害リスクへの対処に関する進歩はほどんとみられていないと述べられていた。また、気候変動によってもたらされている世界的な災害リスクも増加しているとしている。リスクの新たなパラダイムに立ち向かうために、開発プロセスの中核として、災害リスク管理を再解釈することが白書では提案されていた。パネリストは経済的コストだけでなく、人命にも焦点を合わせるべきであるとし、災害時に最も影響を受けることになる地域社会にとって関係する入手容易な世界的なリスク調査の重要性を主張した。

災害リスク削減の意思決定における科学技術の適用国立自然災害観測センター(Centro Nacional de Monitoramento e Alertas de Desastres Naturais)のCarlos Nobre氏がセッションを進行した。セッションの冒頭で、ポスト2015年防災枠組における化学技術の明確な役割が述べられた。

Margareta Wahlström 氏の代理としてUNISDRのJerry Velasqez氏は科学が防災枠組が必要とする費用対効果分析を支持すべきであると強調し、UNISDRの科学技術諮問グループのDennis Wenger氏を紹介した。Wenger氏は2015年の報告書「Science Is Used For Disaster Risk Reduction(防災における科学の利用)」における調査結果の概要説明を行った。

UNESCOのFlavia Schlegelがセッションの司会として、パネリストが日本、アフリカ諸国、南北アメリカ、アラブ諸国とEU諸国における科学技術の発展について概要説明を行った。科学技術メジャーグループの代理として、国際科学会議(ICSU)のGordon McBean氏が、効果的な成果を政策立案者に届けるため、科学コミュニティ間の調整を改善するというメジャーグループの役割を述べた。

流行病のリスク削減:世界保健機関(WHO)のBruce Aylward氏がセッションを進行した。Aylward氏は気候変動、都市化、森林伐採等の世界的な動向によって、伝染病や流行病に関する新たな課題とリスクについて概説した。パネリストは特に近年のエボラ熱、SARS、H1N1およびHIV/AIDSの大規模流行に焦点を合わせて、タイ、スウェーデン、リベリアにおける伝染病、流行病および関連する災害リスクの対応に関する経験を紹介した。世界的および国内における伝染病や流行病のリスク管理の改善に対する戦略を議論するなかで、パネリストは以下が重要であると確認した:横断的調整、コミュニティ単位のアプローチ、国際保健規則(IHR)の推進、そして強化した国際的な情報と成功事例の共有である。Aylward氏は近年のエボラ熱の大規模流行は「世界の伝染病対策が不十分であること」を示すもので、ポスト2015年防災枠組の中で注意を要する中心分野であると締めくくった。

非公式な廊下での対話 会議の2日目では、各国の代表は、防災枠組に関連し、防災における金融、技術移管そしてCBDRといった多くの論争問題に取り組む姿勢を見せた。国際協力のための一般的な懸案事項を議論するうえで、おなじみの譲れない一線が示された。開発途上国は政府開発援助の一貫としての追加金融を好み、先進国は、追加財源は国内も含むあらゆる財源から来るべきであると主張した。ある代表団は「もしこの議論が国内プロセスについてのものだけならば、ここに来る必要はなく、自国で防災のための資金に関する国内協議プロセスを行った」と述べ、拍手で迎えられた。多くの国は、議論をより非公式なセッションに移すことに賛同し、現在の冷えきった交渉状況を打開するための率直な対話を希望した 。