Daily report for 8 May 2017

Bonn Climate Change Conference - May 2017

ボン気候変動会議は、5月8日月曜日に開会した。SBSTA 46、SBI 46、APA 1-3は、開会プレナリーを開いた。午後、パリ協定第6条(協力的手法)に関する円卓会議、都市環境及び土地利用に焦点を当てる緩和技術専門家会議(TEM)、及びコンタクトグループ並びに非公式協議が開催された。

SBSTA

議長のCarlos Fuller(ベリーズ)が会合の開会を宣言した。

組織上の問題:Fuller議長は、暫定議題書(FCCC/SBSTA/2017/1)を提起した。サウジアラビアは、適切な場合、他の組織との合同会合開催を提案した。SBSTA 46は、議題書及び作業構成書を採択した。

議長以外の役員の選出:Fuller議長は、SBSTA副議長の候補者指名を受理していないと指摘し、後任選出まで現副議長のTibor Schaffhauser(ハンガリー)が職務を続けると述べた。

開会ステートメント:エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、プレ2020年の行動を強化する必要性及びパリで達成された「全ての行動の微妙なバランス(delicate balance of all issues)」を尊重する必要性を強調した。

メキシコは環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、パリ協定第6条に関する交渉の重要性、及びナイロビ作業計画(NWP)を強化すべきと強調した。

EUは、パリ協定の目標の議論における技術及び技術枠組のクロスカッティングな役割、及び民間部門と公共部門の両方の参画の重要性に注目した。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、この会合では協力手法の下でのアレンジの推進、及び対応措置に関する更なる議論に焦点を当てるべきだと強調した。

モルディブは小島嶼国連合(AOSIS)の立場で発言し、損失と被害に効果的に対応する必要性、適応及び緩和の野心を高める必要性、及び市場において環境十全性を維持する必要性を強調した。

サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、適応及び緩和の問題をバランスのとれた形で交渉すること、及び2018年までに「パッケージ」達成を確保するよう強調した。

エチオピアは後発開発途上国(LDCs)の立場で発言し、農業及び透明性枠組での進展を期待した。

マリはアフリカングループの立場で発言し、農業に対する気候変動の影響の議論で合意するよう求めた。対応措置に関し、同代表は、ポスト2018フォーラムの活動を定義づけする必要があると述べた。

グアテマラは独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場で発言し、NDCsの達成を推進するための追加の資金源を提供するものとして、協力手法などを強調した。

キューバは米州ボリバル同盟(ALBA)の立場で発言し、技術枠組は「行動枠組(action framework)」に結びつけるべきであり、協力手法を資金供与義務の回避に用いることはできないと述べた。

コンゴ民主共和国は熱帯雨林諸国連合(CfRN)の立場で発言し、森林に関する行動実施の規則を定める決定書、ガイドライン、手順書の完全なセットを求めた。

イランは有志途上国(LMDCs)の立場で発言し、長期世界目標(LTGG)の定期的レビューの範囲を包括的なものにすること、及びパリ協定の下での対応措置フォーラムでの議論を求めた。

WOMEN AND GENDER(女性及び性別問題グループ)は、市場メカニズムに農業及び土地利用を含めるとの提案に対し、懸念を表明した。

YOUNGOs(若者グループ)は、農業に更なる焦点を当てるよう促し、作物ベースのバイオ燃料を「偽装解決策(fake solution)」と称した。

気候行動ネットワーク(CAN)は、資金及び航空輸送排出量に関する詳細な算定システム確立の重要性を強調した。

気候正義ナウ(CJN!)は、限定されたカーボン・バジェットをオフセットする余裕はないと述べた。

科学及びレビューに関する問題:研究及び組織的観測:議長のFullerは、研究ダイアログ第9回会議に向け非公式ノートが作成され、概要報告書はSBSTA 47の前にウェブサイトで閲覧可能になる予定であると述べた。

バンカー燃料:シンガポール、日本、EU、アルゼンチン、チリは、国際海事機関(IMO)及び国際民間航空機関(ICAO)による作業を歓迎し、チリは、パリ協定の規則書との一貫性を求めた。アルゼンチン及び中国は、ICAO及びIMOにおける作業に、共通するが差異のある責任の原則(CBDR)を反映させるよう求め、中国は、地域的な行動及びユニラテラルな行動に対し警告した。

サウジアラビアは、ロシアの支持を得て、SBSTA 45での場合と同様、ICAO及びIMOから受理した情報に留意する結論書の作成を提案した。日本は、ロシアの支持を得て、ICAO及びIMOに対し、バンカー燃料の排出量に対応し続けるよう求めることを提案した。

議長のFullerは、締約国と協議する。

次の項目は、コンタクトグループでの議論に回された:

  • 科学及びレビューに関係する問題;LTGGの次回定期レビューの範囲及びその達成に向けた全体的な進捗状況;及び科学と組織的な観測;
  • 対応措置実施の影響;フォーラム及び作業計画の改善;議定書2.3条に関係する問題:
  • (パリ)協定9.7条に則った公的な干渉により供与された並びに動員された資金源の計算方法

次の項目は非公式協議に回された:

  • 対応措置実施の影響に関するフォーラムに関するパリ協定の下でのモダリティ、作業計画及び機能
  • NWP;
  • 協定10.4条の下での技術枠組;
  • 農業:
  • 条約の下での手法論問題;附属書I締約国の隔年報告書及び国別報告書の技術的レビューに関するレビュー専門家の訓練プログラム;GHGデータ・インターフェース;
  • パリ協定6条に関係する問題の全ての小項目。

議長は、次の項目に関し協議を行う:

  • 条約の下での手法論問題;附属書I締約国の年次インベントリに関するUNFCCC報告ガイドラインの改定;附属書I締約のGHGインベントリの技術レビューを行うレビュー専門家訓練プログラム;GHGsの二酸化炭素換算量を計算する共通の計算方式;
  • 議定書の下での手法論問題の両方の小項目、
  • 及び他の国際組織との協力。

農業:Emmanuel Dlamini(スワジランド)が非公式協議の共同進行役を務めた。多数の開発途上国は、食糧安全保障及び飢餓撲滅が「もっとも高い優先度(paramount priority)」を持つと指摘し、これらの問題は適応及び脆弱性の観点から議論されるべきと指摘した。一部の開発途上国による妥協文案作成の提案を受け、先進国数か国は、例えばワークショップ報告書に基づき助言を提供するといった小さなステップから始めることを提案した。締約国は、次回会合の前に、今後の進め方に関し非公式に協議する。

パリ協定10.4条の下での技術枠組:Elfriede Anna More(オーストリア)が共同進行役を務める非公式協議では、パリ協定の文章を用いるよう主唱するものと、この枠組は条約においても役割を果たすべきと提案するものとで意見が分かれた。一部の締約国は、資金メカニズムとのリンク付を求めた。他のものは、技術移転に対する衝撃も扱う必要があると提案した。別なものは、マラケシュで合意された原則の一つである可能にする環境を想起した。この枠組の構成に関する議論が続けられる。

パリ協定第6条の円卓会議(ラウンドテーブル):SBSTA議長のFullerは、この会合の目的は技術面の問題を審議することで交渉の進展を図ることだと指摘した。共同進行役のHugh Sealy(モルディブ)は、共同進行役は議論のとりまとめを口頭で報告すると述べた。

非市場手法の識別及び可能にすることに関し、締約国は、この枠組における適切な手法を、及びその一層の進展を可能にする方法について、議論した。締約国は、次のものを含める特性を強調した:結果の取引不可及び移転不可、特に商品化の回避;共有プラットフォーム;努力の認識を含める可能性がある国際的な側面;各国の内情に沿うボトムアップ及び地方分権化の特性;技術専門家会議のようなフォーマットの適用可能性。

この枠組の運用開始について、締約国は、その調整機能、必要な組織構造、透明性枠組とのリンク付について意見交換を行った。締約国は、実施を推進し、キャパシティ・ビルディングを促進し、異なる行動者と制度アレンジのオプションとの結びつき構築におけるこの枠組の役割を指摘した。

SBI

議長のThomasz Chruszczow(ポーランド)は、この会合を開会した。

組織上の問題: 議長のChruszczowは、暫定議題書(FCCC/SBI/2017/1)及び作業構成書を提起した。参加者は、議題書について「資金援助及び技術支援(Financial and technical support)」の議題項目を「資金援助及び技術支援の供与(Provision of financial and technical support)」に置き換え、非附属書I締約国の国別報告書に記載する情報に関する項目を保留とした上で、この議題書を採択した。

開会ステートメント:エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、次を求めた:実施手段(MOI)の検討を目的とする国別適応計画(NAPs)の議論;適応基金の資金源の持続可能性及び予測可能性;非国家行動者の役割の定義づけ。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、多国間評価,への広範な参加を奨励し、隔年更新報告書(BURs)の提出を指摘し、追加の提出を待望すると述べた。

議長のChruszczowは、開会ステートメントを終了させるため、このプレナリーを5月9日火曜日まで中断した。

多国間評価:意見交換の推進:SBIは、これらのプロセスに関する背景情報の利用可能性に関し、提供された情報に留意した。

他の義務付けイベント:SBIは、SBI 46において開催される義務付けイベントに関し提供された情報に留意した。

附属書I締約国からの報告及びレビュー:事務局は、アフリカ地域のGHGインベントリに関しIPCCガイドラインを利用するための訓練ワークショップについて報告し、2017年6月の中南米・カリブ海地域向けのワークショップも近く開催されると指摘した。非公式協議が続けられる。

LDCs関連問題:LEGは、2016年11月以後の当グループの活動について報告した。非公式協議が続けられる。

非附属書I締約国の報告:非附属書I締約国BURsの技術分析に関するサマリー報告書:SBIは、UNFCCCウェブサイトに掲載されたサマリー報告書に留意した。

政府間会合のアレンジ:次回COP 23の議長であるNazhat Shameem Khanは、COP 23に向けた準備状況の最新情報を示し、SB 46で次期議長が計画している協議の席などで、締約国から次期会合に対する期待についてインプットをもらえれば、歓迎すると述べた。ソロモン諸島のCollin Beckは、この項目に関するコンタクトグループの議長を務める。

事務管理上、資金上、制度上の問題:20182019年の2年間プログラム予算:UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、2018-2019年の2か年プログラム予算案を提出し、この予算案は現在の事務局の作業と今後予想される作業との橋渡しをするものであると指摘した。同事務局長は、締約国が(予算)の増額ゼロを要請していること、このオプションが草案に含まれていることを指摘し、事務局の要求するオプションは9.7%増でCMA、APA、2018年促進ダイアログに対応するためであると報告した。コンタクトグループ会合が開催される。スピンオフグループが設立され、国際取引ログで提案されている予算額を検討するほか、2018-2019年の料金徴収方法論を議論する。

その他の資金及び予算上の問題:事務局は、未払い寄付金に対応する方法、及び補足活動のための信託基金における資金運用の柔軟性について報告した。事務局の報告(FCCC/SBI/2017/INF.4)への不満を述べたサウジアラビアは、2018-2019年の2か年プログラム予算に関する小項目を議論するコンタクトグループの会合開催を提案した。SBIは、この報告書に留意し、これをコンタクトグループでの議論に回した。

事務局機能及び運営の継続レビュー:SBI議長は、関心ある締約国と協議する予定。

本部契約の実施:事務局長のEspinosaは、事務局とホスト国との関係の進展状況について簡単に報告した、この中には国連大学キャンパス内のボン施設の拡張計画も含まれた。SBI議長は、この問題に関する結論書案を作成する。

下記の項目は非公式協議に回された:

  • パリ協定4.12条に規定する公開登録簿(public registry)の運営と利用に関するモダリティ及び手順の作成;
  • パリ協定7.12条に規定する公開登録簿(public registry)の運営と利用に関するモダリティ及び手順の作成;
  • CDMのモダリティ及び手順の再検討;
  • NAPs;
  • 技術の開発及び移転;パリ協定の実施支援に関係する技術メカニズムの定期評価の対象範囲及びモダリティ;
  • 気候資金に関係する問題の2件の小項目。

次の問題を議論するSBI/SBSTA合同コンタクトグループが結成された:

  • LTGGの次回的レビューの対象範囲及びその達成に向けた全体的な進捗状況の定期レビューの対象範囲;
  • 対応措置実施の影響;対応措置の実施の影響に関するフォーラムのパリ協定の下でのモダリティ、作業計画、及び機能;京都議定書3.14条関係の問題;決定書1/CP.10(適応と対応措置に関するブエノスアイレス作業プログラム)の実施における進捗状況

緩和に関するTEM:都市環境及び土地利用

都市化拡大の影響、森林からの排出量、土地利用部門などの問題、特に次の必要性の問題が提起された:相当な人数の利害関係者による気候行動への参加;先住民の権利の認識;国連の交渉と年の現実との橋渡し;食肉及び乳製品の消費削減;国内小地域及び各国間の協力の拡大。

APA

APA共同議長のSarah Baashan(サウジアラビア)が開会を宣言した。

組織上の問題:締約国は、APA 1議題書(FCCC/APA/2017/1)での審議継続、及び非公式協議のみで審議する単一のコンタクトグループでの作業継続で合意した。

役員の選出:共同議長のBaashanは、候補者指名の締切日は5月12日であるとし、この問題は閉会プレナリーで再度議論すると指摘した。

開会ステートメント:エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、次の点を強調した:パリ協定の全ての要素での進展を図り、バランスを維持することの重要性;COP 23までに文章面の交渉に移る必要性;パリ協定の下での行動強化を実現する重要な手段としてのNDCs。

EUは、APAワークショップ及びラウンド手―ブルは技術面の理解を進める上で有用であることが証明されたと述べた。同代表は、概念の議論を離れ、全ての問題に関する文章案の要素を持ってCOP 23を立ち去れるようにすることを提案した。

オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、議論はいま具体的なものになり、同代表の考えでは、これはパリ協定の義務を満たす上で必要なことであるとの見方を示した。

スイスはEIGの立場で発言し、テクニカル・モードは2018年の文章ベースの議論を支える基盤であると強調した。

イランはLMDCsの立場で発言し、透明性、参加性、条約の原則及び条項との一致の必要性を強調し、ポスト2020年の起案におけるMOIの重要性を強調した。

エチオピアはLDCsの立場で発言し、非公式ノート及びリフレクション・ノートの作成を提案し、一部の決定書をCOP 23で議論するよう提案した。同代表は、排出量の報告の議論は進んでおり、支援の議論とバランスしていないと指摘した。

中国は、ブラジル、南アフリカ、インド、中国のBASICグループの立場で発言し、文章に関する交渉を可能な限り早期に開始し、差異化、貢献は各国が決定するという特性、及び開発途上国に対する柔軟性を反映させるよう求めた。

ボリビアはALBAの立場で発言し、パリ協定の再交渉を避ける必要性、公平性及びCBDRという条約の原則を反映させる必要性を強調した。

グアテマラはAILACの立場で発言し、パリ協定の締約国であることはその成功、野心、進展に向け努力する責任を意味すると発言した。

サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、透明性は全ての側面、特にMOIに、適用されるべきと強調し、緩和においては差異化を行う必要があり、行動と支援をリンク付ける必要性があると強調した。

モルディブはAOSISの立場で発言し、次を求めた:新しい資金額目標に関する作業の開始;適応基金に関する決議;損失と被害の定義づけ;2018年促進ダイアログの策定をCOP 23までに終了。

マリはアフリカングループの立場で発言し、議題項目間のリンクを強調し、交渉を進めるため、非規範的な共同議長ノートを求めた。

コンゴ民主共和国はCfRNの立場で発言し、REDD+制度は緩和成果の国際移動(ITMOs)に関するAPAの作業にとり有用な教訓を提供する可能性があると述べた。

TRADE UNION NGOs (TUNGOs:労働組合NGOs)は、締約国に対し、それぞれのNDCsに正当な移行措置を盛り込むよう求めた。

WOMEN AND GENDERは、性差別問題専門家の参加するプロセスを求めた。

YOUNGOsは、適応と透明性に焦点を当てるよう促し、CANと共に、より多くの市民団体の参加を求めた。

CORPORATE ACCOUNTABILITY INTERNATIONAL(企業の国際責任)は、締約国の提出文書では行動と支援の進展の兆候が見られないと嘆いた。INDIGENOUS PEOPLES(先住民グループ)は、「オフセットは隠れた排出量である(offsets are hidden emissions)」と述べ、グローバル・ストックテイクにおける先住民の有効参加を求めた。

廊下にて

SBI、SBSTA、APAの3つの組織における交渉を開始するため、参加者が集まる中、多くのものは、3つの全面的な議題というのはいつものことであると考えていた。マラケシュにおいてパリ協定作業計画が締約国に明示されたことで、3つの組織はスムーズに会議を始めることができ、午後には数件の協議及び義務化イベントを始めることができた。

では何かこれまでと違いがあっただろうか?多くの参加者は、米国のUNFCCCプロセスへの参加にまつわる不確実性が雰囲気にどう影響するか考えずにはいられなかった。ある諸国グループのものは、プレナリーでこの懸念について発言し、「われわれは困難な時を生きている」と懸念し、パリ協定を批准する全ての国が約束するものを果たしていくという我々全体のそして個人の決意が試されているのかもしれないと述べた。法律に詳しいオブザーバーの中には、米国の国名が、通常締約国の国名表示に使われる黒色ではなく白色であることに疑念を表明するものもいた。

しかし多くのものは、「ビジネスアズユージャル」で会議を進めようと決意し、ある大国は「非難の押しつけあいを避ける」よう他国に求めた。パリ協定作業計画の締切日が2018年に迫る中、緊急性の感覚は大半の締約国に広まり、参加し続けること、前進することの必要性が強調された。

以上

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