Summary report, 27–30 October 2025
63rd Session of the IPCC (IPCC-63)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、基本的作業での実質的進展を図るべく、第63回プレナリーを開催した。一部では成果を挙げたが、長時間で困難な議論でも、結果が出せない問題もあった。
パネルの優先議題は、第7次評価報告書(AR7)の作業計画での合意であったが、3つの作業部会報告書を含める主要報告書の発表を、パリ協定の2028年グローバル・ストックテイクに間に合わせるべきとの意見がある一方で、報告書を承認する前に、十分な政府査読の時間を確保するべきとの意見もあり、両者の対立が続いた。また各国とも、参加性の強化、特に途上国の執筆者及び政府代表の参加性強化の必要性を主張した。しかし、今回も意見の一致には至らず、2026年も議論を続けることで合意した。
パネルは、二酸化炭素(CO2)除去技術、二酸化炭素回収利用及び貯留に関する手法論報告書のスコーピングについて、議論を続けた。この報告書の第1部から第5部のスコーピングでは意見が一致したが、第6部では、水系からのCO2の直接除去を含めるかどうかでは、その技術の効果性、規模拡大の可能性、合法性、環境への影響などで、懸念表明が相次いだ。結局、国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース、及び3つの作業部会が、アルカリ性強化及び海洋による直接吸収に関する専門家会合を開催するとの合意を得て、この報告書の概要に関し、妥協するに至った。
このほか、次の議題項目が議論された:予算問題、進捗報告書、利益相反委員会報告書、気候変動枠組条約(UNFCCC)及び生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)に関する問題、オブザーバー組織の承認。さらに、地域の気候情報に関する専門家会議の招集、及び新たなインタラクティブ世界地図でも合意した。
IPCC-63は、2025年10月27日から30日、ペルーのリマで開催、89の加盟国の代表や国際機関及び市民団体の代表など、約300名が出席した。
IPCCの簡略史
IPCCは、1988年、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)が設立、人為的な気候変動、その影響可能性への理解を深め、適応及び緩和のオプションを探るため、科学的、技術的、社会経済的な情報を、包括的、客観的、及び透明性のある形で、評価することを目的とする政府間の科学的組織であり、195か国が加盟している。IPCCは、新たな研究は行わず、気候データをモニタリングすることはない、むしろ、世界中から数百名の科学者が集まり、国際的に発表された数千件の科学論文を基に、気候変動に関する知識の実態を評価し、気候変動の推進要素、その影響と将来的なリスク、適応及び緩和によるリスクの軽減方法などの包括的なサマリーを提供する組織である。IPCCの報告書は政策関連性を持つが、政策規範的ではない。これらの報告書は、国際的な気候変動交渉に重要な情報を提供し、各国政府をあらゆるレベルで支援することを目的とする。
IPCCは、次の3つの作業部会(WGs)を有する:
- WGIは、気候変動の自然科学的な根拠を論ずる;
- WGIIは、気候変動の影響、適応、脆弱性を論ずる;
- WGIIIは、温室効果ガス(GHG)排出量の削減、及び気候変動の緩和に関するオプションを論じる。
各WGは、2名の共同議長及び7名の副議長を有するが、WGIIのみは、8名の副議長を有する。
共同議長らは、テクニカル・サポート・ユニット(TSUs)の助力を得て、WGsのマンデート達成を指導する。IPCCはこのほか、国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース(TFI)を有し、TSUの助力を得て、IPCC国別GHGインベントリ・プログラムを監督する。このプログラムは、各国のGHG排出量及び除去量の計算及び報告のため、国際的に合意された手法論及びソフトウェアを開発し、改良し、その利用を推進することを目的とする。
IPCCは、一つの評価サイクルにおいて、一つの評価報告書を作成するほか、特別報告書、手法論報告書、技術報告書の作成を行い、当該評価サイクルの期間を任期とする議長団を選出する。この議長団は、全地域を代表する気候変動の専門家で構成され、IPCCの議長と副議長ら、WGの共同議長らと副議長ら、そしてTFIの共同議長らで構成される。IPCCは、スイスのジュネーブに、WMOをホストとする常設の事務局を置く。
IPCCは、2007年、米国の前副大統領のAl Goreとともに、ノーベル平和賞を受賞、人為的な気候変動に関する知識の普及、及び気候変動への対応に必要な基礎を築いたことを賞された。
IPCCの刊行物
IPCCは、設立以来、包括評価報告書、特別報告書を世に送り出してきた。
これまでに第1次から第6次まで、6冊の包括評価報告書を、1990年、1995年、2001年、2007年、2014年、2023年に完成させた。各評価報告書は、3つのWGs報告書と1つの統合報告書で構成される。各WG報告書は、包括評価報告書(報告書本文)、テクニカル・サマリー(TS)、政策立案者向けサマリー(SPM)で構成される。いずれの報告書も専門家及び各国政府による3段階の査読、専門家による第1次査読、専門家と政府による第2次査読、及び政府による第3次査読を受ける。査読終了後、IPCCプレナリーにおいて、各WGはSPMの行ごとの承認を行い、パネルの採択を受ける。
3つのWG報告書が受理され、そのSPMが承認された後、3つのWG報告書及び同じ評価サイクル内の他の報告書の主要な結論をまとめた統合報告書が作成される。その後、パネルは、この統合報告書のSPMを行ごとに承認する。
IPCCは、気候変動に関する特別報告書も作成した。第6次評価報告書(AR6)のサイクルでは、下記の3件の特別報告書が作成された:
- 1.5℃の地球温暖化(SR1.5)、2018年のIPCC-48で承認;
- 陸上生態系における気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、温室効果ガス・フラックス(SRCCL)、2019年8月のIPCC-50で承認;
- 変動する気候における海洋及び氷雪圏(SROCC)、2019年9月のIPCC-51で承認。
このほか、IPCCは、GHG排出量の国別報告書作成用のガイドラインとなる手法論報告書、グッドプラクティス・ガイダンス報告書(2000年と2003年に承認)、国別GHGインベントリのガイドライン(2006年承認)を作成、国別GHGインベントリの2006年版ガイドラインの精緻版(2019年精緻版)は、2019年5月のIPCC-49で採択された。
第6次評価サイクル
第6次評価サイクルは、2015年のIPCC-42における議長団の選出から始まり、2016年のIPCC-43では、3件の特別報告書(SRCCL、SROCC、及びCOP-21での招請に対応するSR1.5)、並びに2019年精緻版を、サイクル期間中に作成することで合意した。さらに、第7次評価サイクルでの気候変動と都市に関する特別報告書の作成でも合意した。
IPCC-44から47(2016年-2018年)では、3つの特別報告書の概要、及び2019年精緻版の概要を採択したほか、AR6の3つのWG報告書の各章概要でも合意した。このほか、短寿命気候強制力(SLCFs)を考慮するかどうか議論し、ジェンダーに関するタスクグループを設置、パリ協定のグローバルストックテイク(GST)に合わせたIPCCの作業構成に関するタスクグループの委託条件案を作成した。
2018年10月のIPCC-48では、SR1.5及びそのTSを受理し、そのSPMを承認、地球の平均気温を1.5℃の上昇で抑えることは可能だが、社会のあらゆる側面で、前例のない移行が必要であると結論付けた。
2019年、IPCC-49では、2019年精緻版の概要の章を採択し、本文を承認、同年のIPCC-50では、SRCCLとそのTSを受理し、そのSPMを承認、IPCC-51において、SROCCとそのTSを受理し、そのSPMを承認した。このほか、ジェンダーに関するタスクグループの委任条件の決定書を採択、SLCFsに関する手法論報告書をAR7サイクルで完成させるとの決定書も採択した。
2020年2月、COVID-19のパンデミックによる閉鎖の直前、IPCC-52は、AR6統合報告書の概要―序章、現状と傾向、長期の気候及び将来の開発、近未来の気候変動への対応―を採択した。このほか、IPCCジェンダー政策及び実施計画も採択し、ジェンダー行動チームを設立した。
IPCC-54は、COVID-19のパンデミックのため、バーチャル方式で、2021年8月に開催され、AR6のWGI報告書(気候変動2021年:自然科学ベース)を受理し、そのSPMを承認した。IPCC-55は、2022年2月にバーチャル方式で開催され、WGII報告書(気候変動2022年:影響、適応、脆弱性)を受理し、そのSPMを承認した。2022年3月から4月にバーチャルで開催されたIPCC-56では、WGIII報告書(気候変動2022年:気候変動の緩和)を受理し、そのSPMを承認した。第6次評価報告書の統合報告書の作成は、大きく遅れたことから、その採択は、IPCC-58まで延期された。IPCC-57では、IPCC議長団の人数、組織構造、及び構成などを議論したほか、ジェンダー平等及び内部の運営における公平性を強化する行動などを議論した。
2023年3月、IPCC-58は、第6次評価報告書の統合報告書を採択し、そのSPMを承認した。これで第6次評価サイクルは終了した。
第7次評価サイクル
2023年7月、IPCC-59は、新しい指導者を選出、議長にJim Skea (英国)が就任した。
2024年1月のIPCC-60では、将来の作業計画に関する重要な決定を行ったが、第7次サイクルのタイムラインでは意見が一致せず、戦略計画スケジュールの審議は今後の会議に回すことで合意した。
IPCC-61では、気候変動と都市に関する特別報告書の概要、及びSLCFの手法論報告書の概要で合意した。戦略計画スケジュールでは合意に至らなかった。IPCC-62では、3つの作業部会報告書の概要で合意、AR7の執筆者指名プロセスを開始する決定書でも合意したが、AR7作業計画では、合意に至らなかった。
IPCC-63報告書
2025年10月27日、IPCCのJim Skea議長及びAbdalah Mokssit事務局長は、IPCC第63回プレナリーの開会を宣言、ペルーのHugo de Zela外務大臣は、緊急性の感覚と責任を持って行動するよう求め、ペルーや中南米、グローバル・サウスの科学者が参加することの意義を強調した。
ペルーの自然資源戦略開発省次官のRaquel Hilianova Soto Torresは、中南米の経済における気候変動の影響を論じ、確固とした科学的な根拠を与えるというIPCCの重要な役割に注目した。
国連環境計画の気候変動部門理事であるMartin Krauseは、サイエンス及び政策立案を高める上でのUNEPの役割を強調し、決定的な行動に変えてゆくことが緊急に求められていると指摘、第2回GSTに対するIPCCの貢献を熱望すると述べた。
WMO事務局長のCeleste Sauloは、第7次評価報告書(AR7)のタイムラインでの合意を促し、第2回のGSTに間に合わせる必要があると強調した。
UNFCCC事務局長のSimon Stiellは、IPCCの作業は2028年のGSTや次の国家決定貢献及び国別行動計画の策定に、情報を提供する上で不可欠であると指摘し、サイエンスは気候行動の基礎であり続けなければならないと述べた。
議長のSkeaは、第7次評価サイクルでは、執筆者の選抜、及び参加性向上での努力で進展があったと指摘し、作業計画の決定が優先課題であると強調し、作業継続のため、多年度にわたる資金の確保を求めた。
議長のSkeaは、IPCC-63の開会を正式に宣言したが、その後の審議は非公開で行われた。パネルは、議題書(IPCC-LXIII/Doc. 1, Rev. 1)を改訂することなく採択した。
第61回プレナリー及び第62回プレナリーの報告書草案の承認
議長のSkeaは、木曜日、IPCC-61及び62の会議報告書を提示した。
第61回会合の報告書草案:議長のSkeaは、IPCC-61報告書草案(IPCC-LXIII/Doc. 3)の承認を求めた。
報告書に一般の支持を示す「量的要素(quantifiers)」が含まれていることに関し、サウジアラビアは、承認できないと述べた。フランスは、量的要素は正しく使われていないと指摘し、報告書の構造に異議を唱え、だれがどの意見を表明しているかがわからないと述べた。
ドイツは、フランスとベルギーの支持を得て、特定の国のステートメントを明確にするよう提案、チリは、これに同意し、どのメンバーか明らかにすることで、透明性を確保するよう求めた。サウジアラビアは、会議報告書において、加盟国の名称を挙げることに反対した。
アルゼンチンは、自国の意見発表が記載されていないと指摘し、IPBESとIPCCの協力に対する「一般的な支持」という表現に異議を唱えた。
議長のSkeaは、この報告書の審議をIPCC-64まで延期することを提案し、パネルも同意した。
最終決定:決定書(IPCC-LXIII-8)において、パネルはIPCC-61の報告書草案の承認をIPCC-64まで延期することとした。
第62回会合の報告書草案:フランスは、ベルギーの支持を得て、報告書におけるエラー、及び明確さに欠ける点を指摘し、現状では、報告書草案(IPCC-LXIII/Doc.9)を受け入れられないと述べた。
議長のSkeaは、報告書のスタイルと草案つくりについて、事務局と協議することを提案、パネルは、この報告書の審議をIPCC-64まで延期することで合意した。
最終決定:決定書(IPCC-LXIII-9)において、パネルは、IPCC-62報告書草案の承認をIPCC-64まで延期することとした。
IPCC信託基金プログラム及び予算
2025年度、2026年度、2027年度、2028年度の予算:月曜日、事務局は、IPCC信託基金プログラム及び2025年から2028年の予算(IPCC-LXIII/Doc. 2, Rev. 1)を提示、歳入と歳出に関し、2025年は170万スイスフランの赤字であったが、TSUsのホスト、データ流通センター、会議、ワークショップ、事務局で各種の寄付があったことを認めた。
フランス、ノルウェー、トルコ、英国、インド、ガーナ、イタリア、ルクセンブルグ、ドイツ、中国は、各種の寄付を行ったが、2025年のリストに入っていないと指摘した。日本は、将来の予算の推計では、実際の歳出額を計上し、正確さを図るよう促した。
スイスは、現実的で期間限定の予算策定を促し、2025年と2026年の間にWMOの事務管理支援額が3倍になっている理由を質問した。
議長のSkeaは、資金タスクチーム(FiTT)は今週いっぱい会議を続けると述べた。
木曜日の午後、Patricia Nying’uro (ケニア)及びAlannah Pentony (オーストラリア)は、FiTTの共同議長として、IPCC信託基金及び2025年、2026年、2027年、2028年の予算に関する決定書を提示した。
サウジアラビアは、決定書草案のパラグラフの4と5で、予算の予測に留意するとあるのは、タイムラインの審議に予断を加えるものだとして、2つのパラグラフの削除を要請した。
ドイツは、この要請は、IPCC資金手順のパラグラフ11に沿うものかどうか質問し、事務局に対し、法務官と協議するよう求めた。
議長のSkeaは、パラグラフの4と5を削除する一方、関連の注釈を付けることを提案、ドイツは、ノルウェーの支持を得て、法務官との協議を重ねて要請した。
インドは、タイムライン問題は不確実だとして、予算の予測は時期尚早だと主張、予算の提示に「留意する」ことを提案した。デンマークは、決定書草案はIPCC-62での合意を反映したものだとし、文章の変更に反対した。
ロシアは、2027年度及び2028年度の予算は次回の会合で審議する必要があると指摘するよう求めた。
サウジアラビアは、ロシアの提案を支持し、アルカリ化に関する専門家会合案が、2026年の予算に盛り込まれているかどうか質問した。
アンティグア・バービューダは、マイクロマネージメントの懸念を指摘、作業計画での大幅な妥協を指摘、提案された決定書の採択を希望した。
アルカリ化に関する専門家会議開催の提案に関し、議長のSkeaは、会議の日付も参加者の人数も決まっておらす、この会議に関する予算を立てる前に、IPCC-64で議論する必要があると明言、2026年度予算はその時に調整可能だと指摘した。さらに、パネルは2か年予算とするべきだが、資金手順の一端であれば意見の一致は必要ないとのIPCC法務官の助言を共有した。
サウジアラビアは、ロシアの支持を得て、法務官の助言を受け入れると述べる一方、これらの予算への留意はAR7の作業計画の議論に予断を加えるものではないとの文章の追加を要請した。
議長のSkeaは、指摘の点を考慮に入れることに同意した。
イタリアは、英国の支持を得て、原案は過去の決定書と合致していると指摘、原則や手順の解釈変更及びマイクロマネージングに警告した。
議長のSkeaは、FiTT共同議長らとの協議の後、サウジアラビアの要請通りの注釈を加えることを提案した。
ネパールは、これは前例になるのかどうかを質問し、英国は、注釈をつけることの影響を質問した。
ロシアは、この注釈はタイムラインの決定書に関係するもので、広く予算に関係するものではないとのサウジアラビアの要請を想起した。
オーストラリアは英国の疑問点に呼応し、注釈を脚注の形で入れる、もしくは会議報告書に入れることを提案した。
チリは、前例に関するネパールのコメントに呼応し、IPCCの手順規則の順守が重要だと強調した。
インドは、活動や決定書への言及を提案した。
サウジアラビアは、作業計画の承認がないことは新しい前例であると指摘した。
ノルウェーは、予断を加えるとの表現は「よくない(awkward)」と指摘、アイルランドは、追加の文章は明々白々なことを記述していると述べたが、双方とも、さらなる追加がない限り、この文章を受け入れると述べた。
デンマークは、決定書原案の保持を希望した。
ルクセンブルグは、法務官は意見の一致は必要ないと言っていることを想起、文章の追加なしを希望するが、妥協の精神で、改定に同意すると述べた。
クック諸島は、バヌアツとともに、改定に反対し、手順規則の順守を促し、サウジアラビアの懸念は付属書に記載済みだと指摘した。
カナダは、AR7のタイムラインへの言及追加に反対した。
議長のSkeaは、この議題の議論を中断、FiTT共同議長らによる新しい提案策定を可能にすると述べた。
この議題の議論は木曜日の夕方に再開、FiTT共同議長らは、将来活動の承認に予断を与えないと明記する脚注の追加を提案した。
パネルは決定書改定案で合意した。
最終決定:決定書(IPCC-LXIII-5)において、パネルは、特に:
- 附属書1記載の2025年予算改定版を承認する;
- 附属書2記載の2026年予算案を承認する;
- 附属書3記載の2027年予算予測に留意する;
- 附属書4記載の2028年想定予算に留意する;
- IPCC信託基金の現金残高の大幅減額、及びIPCC信託基金の年次の自主的な寄付額の減少加速を懸念とともに指摘し、加盟国に対し、IPCC信託基金への自主的寄付を招請し、可能なら増額するよう求める;
- WMO事務管理サービスに関し、IPCC信託基金から30万CHFを追加歳出するとのWMOの提案を指摘するとともに、IPCC信託基金の財政状況の悪化を懸念し、このため、WMOの提案に関する決議は、IPCC-65まで延長すると決定する;
- 標準コストを用いたIPCC信託基金予算の作成を継続すると決定する;
- 事務局に対し、予算書について詳細な説明をするよう要請する;
- 事務局に対し、当該年の前半6か月の暫定歳出表、及び当該年の後半6か月の歳出予測を提示するよう要請する;
- 事務局に対し、主要な活動の情報、及びコミュニケーション予算の対象となるコストの情報を提供するよう要請する;
- 決定書IPCC-LX-10のパラグラフ27は、事務局に対し、戦略的人事計画の策定を要請していると想起し、その進捗状況に留意し、それをIPCC-65の審議とレビューにかけるよう要請する;
- FiTTに対し、FiTT関連の決定書などを議論する非公式な会議をバーチャル方式で開催するよう要請する;
- 第6次評価サイクルにおける科学的査読の遅れを指摘し、事務局に対し、第6次評価サイクルの科学的査読への最適な費用歳出を図るよう要請し、さらに事務局に対し、第7次評価報告書に関連する刊行物では、その完成後、1年以内に科学的査読と翻訳を終わらせるよう要請する;
- 決定書IPCC-XLVII-4のパラグラフ2を想起し、事務局に対し、IPCC-61でのプレナリー前会議の報告書を、IPCC-64に提出するよう要請する。
2024年収支表の監査:事務局は、2024年度収支表の監査結果を記載する情報文書(IPCC-LXIII/INF.4)を提出、外務監査役は「クリーンな監査報告書」を発行したと説明した。パネルはこの報告書に留意した。
オブザーバー組織の承認
水曜日夜、IPCC事務局の法務官、Jennifer Lew Schneiderは、オブザーバー組織の承認文書(IPCC-LXIII/Doc.5)を、ビデオメッセージで報告し、Minamata Convention on Mercury(水銀に関する水俣条約)のほか、20件の組織がオブザーバーの地位の承認を申請したと指摘、さらにIPCCオブザーバー組織のレビュー結果を説明、事務局は、オブザーバー組織の情報をレビューし、正確なものにし続けることを確認した。
ケニアは、ナイロビに本部を置くアフリカ科学財団(Science for Africa Foundation)の略称の間違いを指摘、議長のSkeaは修正すると述べた。
最終決定:決定書(IPCC-LXIII-3)において、パネルは:
- IPCCオブザーバー組織のレビュー結果に留意する;
- IPCCのオブザーバー組織承認の方針及びプロセスに基づき、20件の申請組織にIPCCオブザーバーの地位を与える。
IPCC 第7次評価報告書(AR7)の作業計画
月曜日、議長のSkeaは、IPCC-62の議論結果、及び各作業部会(WG)の作業計画を記載する、IPCC第7次評価報告書の作業計画(IPCC-LXIII/Doc. 10)に関する審議を開始した。
IPCC事務局次長のErmira Fidaは、IPCC-62では3つのWG報告書の概要で合意し、執筆者の選出などの作業を開始すること、作業計画の審議はIPCC-63まで延期することで合意したと想起した。議長のSkeaは、各WGの作業計画全体でも合意する必要があると付言した。
IPCC副議長のLadislaus Chang’aは、IPCC-62では意見の集約に向け、議論が進んだと強調し、IPCC-63でも同様に議論を進めるよう求めた。
WGI共同議長のRobert Vautardは、AR7執筆者や科学者は、スケジュールの不確実性に悩まされていると指摘し、提案されているスケジュールはAR6のタイムラインに基づいていると指摘、次の会合での承認が計画されていると述べた:WGIは、2028年5月;WGIIは、2028年6月;WGIIIは、2028年7月。
WGIII共同議長のJoy Pereiraは、短期間に承認作業を連続するなら、執筆者らは十分な評価作業の時間を取れないとコメント、他方、タイムラインを延ばせば、参加性を損なう可能性があると述べた。
アンティグア・バービューダは、提案された作業計画を支持、6年半というサイクルの年数は、AR5及びAR6とも一致していると指摘、IPCCの信頼性及び効果性では、参加性を高めることが不可欠だと述べた。
ネパールは、提示された作業計画の支持を促し、2028年前半での3つのWG報告書完成を希望した。
コモロ諸島は、参加性が重要だと強調し、少人数の代表団でも会議に参加できるようタイムリーな議論を求めた。
アイルランド及びジャマイカは、作業計画を支持、ジャマイカは、計画策定には作業計画での合意が重要だとし、細かな点の交渉に反対した。チリは、提案されている作業計画はAR7プロセスの十全性を保証すると述べた。
インドは、長いタイムラインは代表性の薄い地域の参加意欲を削ぐという主張に疑問を呈した。ケニアは、タイムラインを縮めることは開発途上国出身の執筆者に不利であると述べた。
サウジアラビアは、参加性の確保を呼びかけ、執筆者に圧力をかけないよう求めた。ロシアは、インド、サウジアラビア、ケニアとの連帯を表明、提案されたタイムラインは圧縮されており、報告書の客観性にマイナスの影響を与える可能性があると述べた。
韓国は、キャパシティビルディングの提供や灰色文献の活用など、参加性に関する少数の対策を提案、フランスとともに、IPCC-63での作業計画の承認を求めた。
南アフリカは、「高度に圧縮され、過剰負担気味の」タイムラインを支持するのは、課題が大きいと警告した。中国は、タイムラインに懸念を示し、執筆者が有意の寄稿を行うには、時間が必要だと述べ、政府査読の調整には組織構成上の問題があると報告した。リビアは、提案されているタイムラインは開発途上国に課題を突き付けると述べた。アルジェリアは、執筆者及び各国政府が最善の状況で報告書の評価を行えるよう、十分な時間をとるよう求めた。
トルコは、提案された作業計画を支持した。バヌアツは、報告書が遅れれば、重要な国際会議の前に重要な科学情報を得られなくなると強調した。
ベルギーは、作業計画の未決は執筆者チームに対し不公平であり、文献の締め切り日を不確実にすると述べた。
スイスは、提案されたスケジュールを支持、これは参加性及び科学関連性を守ると述べ、IPCC-64では参加性のためのタスクフォースを設置するよう提案した。
ペルーは、地域間のバランス、及びジェンダー・バランスを強化し、IPCC-63で作業計画を決定するよう求めた。
バハマは、提案されたとおりの作業計画を支持すると約束した。
ガンビアは、AR7を2028年GSTに合わせる必要があると強調した。オーストラリアは、AR7から2028年GSTへのフィードイン確保を主張、IPCCの報告書があれば国内の気候科学能力が限定されている国でも、国際会議に参加できるようになると述べた。
グレナダ及びアンティグア・バービューダは、提案されている作業計画はAR6のそれとさほど変わらないとコメントした。ノルウェーは、作業計画案はIPCCの原則に沿うものだとし、小島嶼開発途上国(SIDS)の請願に配慮するよう促した。
ブルンジは、各国の協議時間及びデータ収集時間を延長する必要があると述べ、スウェーデンは、タイムラインを延長すれば、より多くの文献を評価することになり、執筆者にプレッシャーをかけると述べ、フランスとともに、参加性改善のための作業が進行中だと指摘した。
The Friends World Committee for Consultation (FWCC:世界フレンズ奉仕団)は、全てのものに持続可能な未来を与えるための時間が急速に失われていると強調した。
議長のSkeaは、評価サイクルの開始早々にこれだけの意見対立があるのは前例がないと指摘した。Winston Chowは、WG共同議長らの立場で発言し、参加者による参加性強化のための努力に感謝し、スケジュール案はバランスが良いとし、タイムラインの延長は参加性を損なうだろうと述べた。
インドは、タイムライン変更案に対応してもらっていないと嘆き、次を述べた:GSTはIPCCの枠外である;IPCCには、GSTの締切日に間に合わせるというルールはない;AR6は、この点で意見が一致しなかった。インドは、文献の締め切り日を保持すると一方で、タイムラインに柔軟性を持たせるよう提案した。
議長のSkeaは、この作業計画は共同議長らの提案であるが、議長団の支持を得たものではないと明言した。
モナコは、IPCCに対する外部からの要求の高まりなど、変化に対応するよう促した。
議長のSkeaは、ブラジル及びデンマークを共同進行役とするコンタクトグループを設置、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収利用貯留に関する手法論報告書のコンタクトグループと並行して作業を進めるよう求めた。
火曜日夜、WGI共同議長のXiaoye Zhang及びWGII共同議長のBart Van den Hurkは、コンタクトグループでの審議結果に配慮した、タイムラインの改定案を提示した。主な変更点は:専門家と政府の査読期間を延長し、WGIIとWGIIIのスケジュールの重複に対応する;最終的な政府の配布・査読と承認の間に十分な期間を置く;WG報告書承認会合には、それぞれ2か月の間隙を持たせる。
ケニア、ロシア、ガーナ、サウジアラビア、インドは、水曜日の朝まで、この議題の議論を遅らせるよう要請した。
水曜日、WGIII共同議長のJoy Pereiraは、改定案を再度提出した。
チリ、アンティグア・バービューダ、ペルー、ウルグアイ、コロンビア、マレーシア、コスタリカ、ニュージーランド、トルコ、オーストリア、ラトビアは、改定されたタイムラインは受け入れ可能だと述べた。
ネパールは、タイムラインは統合性、品質、参加性を確保するものだと強調し、プレナリーの時間超過は、後発開発途上国の参加性を損なうとして、懸念を表明した。
サウジアラビア及びインドは、改定されたタイムラインは査読作業の連続及び重複という懸念に対応していないと警告し、AR7のタイムラインを延長し、2029年の報告書完成を提案した。ケニアは、特に、最大数の章を有するWGII報告書に対する期間圧縮に懸念を表明した。
パラオは、議論の進捗と参加性は両立可能だとし、AR7は2028年に予定される重要な議論に情報を提供できるよう、タイムリーに作成するべきだと述べ、タイムラインの改定案は合理的な妥協案だと述べた。ベリーズは、タイムラインの原案を希望するが、改定案を受け入れる意思があると述べた。
中国は、タイムラインの改定案は開発途上国にプレッシャーをかける可能性があると指摘した。ロシアは、IPCCの作業をUNFCCCに合わせることは、パネルの作業に影響を及ぼし、世界にネガティブなサインを送ることになると述べた。
南アフリカは、タイムライン改定案が参加性や頑健性、品質などに悪い影響を与えると懸念を表明した。ガーナは、締約国会議(COP)の会合との重複、主要な国際会議との重なり、そして各国の祝日を避ける必要があると強調した。
スイスは、妥協の精神で、タイムライン改定案を支持すると表明した。英国は、タイムラインの合意に長時間をかけていることを嘆き、タイムライン改定案を支持すると表明した。
スウェーデンは、タイムラインの延長は資源が限られた諸国に害を及ぼすと述べた。
ジャマイカは、タイムライン改定案で妥協するよう求めた。
バヌアツは、SIDSの参加の課題が増大すると強調し、タイムライン改定案による妥協を支持した。
アイルランドは、IPCCとUNFCCCの特別な関係を指摘し、タイムライン改定案は受け入れ可能だと述べた。
サントメ・プリンシペは、パネルに対し、ハリケーン・メリッサの犠牲者へ黙とうするよう求めたのち、AR7サイクルの長期化は自国政府には負担であると強調し、タイムライン改定案を支持した。ナウルは、自国と国民にとり、IPCCの作業は極めて重要であると強調し、タイムライン改定案の検討を求めた。クック諸島は、気候変動の影響増大を指摘、タイムライン改定案は妥協案として優れているとし、これ以上IPCCの報告書を待つ余裕はないと述べた。ニュージーランドは、タイムライン改定案での合意を促した。
インド、チュニジア、モロッコ、ヨルダン、ベネズエラ、トルクメニスタン、リビア、アルジェリア、ジンバブエは、タイムラインの圧縮は開発途上国の意味のある参加を妨げると強調した。
韓国は、2028年までにAR7を完成させることが重要だと強調し、GSTに間に合わせなければ各国の政策策定作業が損なわれると述べた。さらに、AR1からAR5までは、4年から6年のサイクルで作成されたと指摘した。オーストラリアは、これまでのサイクルでは、WGs間やUNFCCCとの作業の重複があったのかどうかを質問した。
ハンガリーは、共同議長らを信頼するよう促し、タイムライン改定案が執筆者らに与える影響について、情報を求めた。
ベルギーは、バヌアツや他の少人数代表団がこのタイムラインを受け入れていると指摘した。
フランスは、タイムラインの延長はどの執筆者に有利なのか、執筆者らに与える影響を明らかにするよう求めた。英国、フィンランド、トルコは、執筆者らのための妥協案の便益や実施可能性に関する共同議長らの反応を求めた。
イタリアは、妥協案はIPCCの原則に沿うものだとし、全ての政府専門家が貢献できるようピアー同士の支援と協調を並行して行うよう提案した。
ハイチは、ジャマイカ及び他のSIDSとともに、タイムライン妥協案の速やかな採択を希望した。
フィンランドは、小国であり、資源も限られているが、共同議長らの妥協案を支持すると述べた。
ルクセンブルグは、カナダの支持を得て、次のように述べた:このタイムラインは、AR6のそれよりも、IPCCの規則及び手順に沿っている;延長は執筆者の参加性を削減する:このサイクルのさらなる延長には反対する。
ガンビアは、タイムラインの延長は、気候の野心を弱め、開発途上国への資金供与を減額し、IPCCは信用、合法性、関連性を失うことになると警告した。
デンマークは、多少の重複は参加性や統合性、品質を高めると述べた。アイスランドは、タイムラインの妥協案はAR7のGSTとの関連性を保つと述べた。
グレナダは、タイムライン改定案は、妥協の産物だと述べる一方、大多数の国が支持していると指摘、科学的な十全性、作業量の実施可能性、参加性を確保すると述べた。
ロシアは、GSTでは完成したWG報告書の成果を活用するか、またはGSTを延期するよう提案、サウジアラビアとともに、科学が政治を指導するべきだと述べた。サウジアラビアは、サイクルも短縮が、品質や包括性に役立つのかどうかを質問した。
副議長のChang’aは、議論すべき問題を取りまとめた、これには次が含まれた:査読作業の連続;WG報告書の重複;UNFCCCとの重複;査読機関の短さ。
コンタクトグループは午後に会合し、議長のSkeaは、水曜日の夜、AR7作業計画の議論を再開した。コンタクトグループ共同進行役のPedro Ivo Ferraz da Silva (ブラジル)は、コンタクトグループ共同進行役らは、プレナリーでの質問及びコメントに対応したとし、AR6の報告書作成タイムラインとの統計上の比較を提示した。
議長のSkeaは、IPCC-63はAR7を前に進めるための最悪のオプションである、年毎の前進をとるしかないと警告した。ネパールは、これはIPCCの正当性を損なうと述べた。
議長のSkeaは、アイデアを出すよう求めた。副議長のChang’aは、意見の一致を得るための橋渡し案を求め、コンタクトグループでの作業継続を提案、インドと南アフリカもこれを支持した。
ケニアは、サウジアラビアの支持を得て、議論を支援するための作業計画案のビジュアル化で合意したと述べた。
ルクセンブルグ、ニュージーランド、英国、アンティグア・バービューダは、プロセスのマイクロマネージングに反対し、ネパール、チリ、トルコとともに、コンタクトグループではなく、プレナリーでの議論継続を希望した。英国、ルクセンブルグ、チリは、プレナリーを継続すると同時に、二国間での議論を行うよう提案した。
インドは、前進しようとするなら、コンタクトグループで議論するしかないと述べた。
カナダは、ルクセンブルグ、アンティグア・バービューダ、ネパール、英国、ニュージーランドの支持を得て、マイクロマネージメントへの懸念を表明し、タイムラインの新しいビジュアルが必要だと述べた。ロシアは、追加のビジュアルを要求することはマイクロマネージメントではないと述べた。
共同進行役のFerraz da Silva及びTina Christensen (デンマーク)は、コンタクトグループは、各国の立場への理解を深めることができたが、それ以外、目立った進展はなかったと指摘した。
水曜日の夜遅く、WGI共同議長のVautardは、都市に関する特別報告書のタイムライン、及び各WGの報告書のタイムラインを、ビジュアルで表示した。同共同議長は、WGII及びWGIIIの第1稿草案の査読時期が重なっていることを指摘、これは執筆者が両方を一度に見れるようにするためだと述べた。
ケニアは、査読時期の重なりを懸念し、サウジアラビアは、この重なりのほか、連続しての査読も懸念し、コンタクトグループでの議論を求めた。南アフリカは、タイムラインで提案されている作業間隔は不十分であると述べた。アルジェリアは、この重なりに反対し、作業計画の見直しを求めた。
インドは、ビジュアル化により、UNFCCC会合との会期の重なりなどの懸念事項が明らかになったと述べた。ロシアは、UNFCCC会議や各国の祝日との重なりを懸念した。
アンティグア・バービューダは、ハイチ、ノルウェー、ドイツの支持を得て、ビジュアル化はパネルの手順上のマイクロマネージメントを招くと警告し、作業イベントとのオーバーラップ回避は実施できないと述べ、議論を進めるよりも遅らせることを目的とした意見発表への懸念を表明した。ノルウェーは、改定されたタイムラインを支持した。
ネパール、グレナダ、サモアは、さらなるマイクロマネージメントに反対し、提案された作業計画を支持した。英国は、作業計画を支持した。
中国は、提案された作業計画には不満がある、このサイクルは2029年後半まで続けるべきだと述べた。
スイスは、WGs IIとIIIのオーバーラップは意図したものだと強調し、ビジュアル化は議論を進めていないとして、他のオプションを求めた。
ロシアは、共通の最大公約数を探すのはマイクロマネージメントだと強調し、2029年12月までに統合報告書を実現する計画を考えると述べた。
ケニアは、ビジュアル化により混乱が生じているとして、焦燥感を表明し、議論の継続を求めた。
ハイチは、IPCC-64でのこの問題の議論を求めた。
スウェーデンは、妥協でタイムラインが延長されたことを想起し、これ以上の延長は受け入れがたいと述べた。オーストラリアは、タイムラインでは多くの国が妥協していると強調した。
サウジアラビアは、参加性や公平性が重要だと強調した。
議長のSkeaは、作業部会の前共同議長としては、査読作業の多少の重複や連続がなぜ問題になるのかがわからないと述べた。同議長は、次を指摘した:IPCCの作業統治原則のパラグラフ15項は、パネル、WGs、タスクフォースの会合予定は、他の関連する国際会議と、可能な限り調整すると規定している;SYRのスコープは決定されていないが、2029年末「に(in)」ではなく、「までに(by)」に提示するとされている;時間範囲を用いることで、妥協の基礎が提供される。
木曜日朝、議長のSkeaは、タイムラインでの意見の一致が可能などうかを探るハドルを開催し、その共同進行役を副議長のChang’aが務めることを提案した。副議長のChang’aは、ハドルでは、意見の一致に達する手段として、時間範囲アプローチを検討しようとの意思が表明されたと報告した。コンタクトグループが再招集された。
木曜日夜、共同進行役のChristensenは、コンタクトグループでは今後の進め方で合意に達せなかったと報告した。議長のSkeaは、WGsに対し2026年の活動遂行を続け、残りの作業計画については、将来の会合で決定することを提案した。パネルは、この提案に同意した。
ネパールは、議長や共同進行役の努力に感謝する一方で、タイムラインが決められなかったことへの焦燥感を表明した。
最終決定: 決定書(IPCC-LXIII-7)において、パネルは:
作業部会に対し、2026年に、第2回筆頭執筆者会議を招集し、第3回作業部会Iの筆頭執筆者会議を開催するなど、決定書IPCC-LXIII-5に規定する2026年予算に示されたとおりの作業を継続するよう招請する;
AR7に対する作業部会貢献報告書の作成にかかわる作業計画の審議を、将来の会合まで延期する。
二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収利用貯留に関する手法論報告書のスコーピング
月曜日、TFI共同議長のTakeshi Enokiは、二酸化炭素除去(CDR)技術、二酸化炭素回収利用貯留(CCUS)に関する手法論報告書(MR-CDR)の概要及び作業計画に関する文書 (IPCC-LXIII/Doc.8)を提示した。同共同議長は、IPCC-63では目次に焦点を当てて議論するとし、特に提案されている7巻(水系からのCO2の直接除去)に注目すると述べた。同共同議長は、これに関する懸念に対応する2つのオプションがIPCC-62から送られてきたと想起し、2027年までに報告書を作成するとのマンデートに合わせ、作業計画及び予算が改定されたと強調した。
パラオ、ベルギー、フランス、スイス、オーストリア、ドイツ、アンティグア・バービューダは、第7巻を含めることに反対し、海洋のCDRの効果性、規模拡大性、合法性、環境への影響への懸念が表明されていると指摘した。1-6巻の概要を採択し、他の巻は後日追加する可能性が提案された。
サウジアラビアは、海洋ベースの技術を含め、専門家が認識しているCDR及びCCUSの技術は全て、検討するべきだと強調し、これらの技術を全て含める8概要で合意するよう求めた。
中国は、IPCC-63での概要の審議終了を求めた。
ブラジルは、熱帯の条件での適切なカーボン行動、耐久性のある生物ベースの材料が長期の炭素貯留庫として果たす役割、CCSを伴うバイオエネルギーなど、改善が必要な分野を特定したが、IPCC-62で意見が一致した分野について、議論を進めることに同意した。スペイン及びデンマークも、IPCC-62で残された部分から、交渉を再開することを支持した。
議長のSkeaは、事務局と協議の上、手法論報告書の概要は、TFI提案の1-6巻の範囲を考慮して、コンタクトグループで作成し、IPCC-62で議論することを提案した。同議長は、対象となる技術の決定が重要だと強調した。パネルは、Merve Güreş (トルコ)及びChris Derksen (カナダ)を共同進行役とするコンタクトグループの設置で合意した。
コンタクトグループでの議論の後、木曜日の午後、議長のSkeaは、意見対立のあった7巻を除いた、MR-CDRの概要の改定案を提示、アルカリ化と海洋による直接吸収に関する専門家会議を、TFI及び3つの作業部会の共同開催で行うコミットメントを含める決定書草案も提示した。パネルは、この決定書を採択した。
ベルギーは、決定書を歓迎、海洋CDRを含めるのは誤ったシグナルを発信すると発言、議長及び議長団に対し、IPCCには手法論を超えるとのマンデーとはない事実を考えるよう要請した。
最終決定:決定書(IPCC-LXIII-6)において、パネルは下記で合意する:
- 「国別温室効果ガス・インベントリのための、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収・利用・貯留に関する、2027年IPCC手法論報告書(追加ガイダンス)」と題する手法論報告書を作成する;
- 手法論報告書の作成に関する委任条件;
- 手法論報告書作成の予算は、IPCC信託基金プログラム及び予算に関する決定書IPCC-LXIII-5に記載される通りとする;
- アルカリ化強化及び海洋による直接吸収に関する専門家会議を、TFI及び3つのIPCC作業部会の共催で開催する;
- 第8次評価サイクルにおいて、「国別温室効果ガス・インベントリのための、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収・利用・貯留に関する、2027年IPCC手法論報告書(追加ガイダンス)」に対し、必要な場合は、更新及び追加を行う;
その他の活動に関する問題
対面式、バーチャル、ハイブリッド方式での会議の開催による、資金への影響及び旅行関連のGHG排出量の推計:事務局は、この問題の報告書(IPCC-LXIII/Doc. 6)を提示、これは、一部の筆頭執筆者会議、議長団の会議、アウトリーチイベントを、対面式、ハイブリッド方式、及びバーチャルで行った場合という、3つに分類し、会議開催のコスト及びGHG排出量を比較したと説明した。コスト及びGHG排出量は、対面式では高くなり、バーチャルではゼロになると推定されたが、事務局は、バーチャル会議でも多少の費用がかかると指摘し、今後の進め方に関するガイダンスを求めた。
サウジアラビアは、この報告書では、開発途上国による対面式の参加の重要性を認識していないとし、会議参加での接続性の問題、その他の問題があると指摘した。
ノルウェー、スイス、ドイツ、ルクセンブルグ、スウェーデン、アンティグア・バービューダ、ウクライナ、オーストラリア、ベルギーは、IPCCのGHG排出量での透明性が重要だと強調した。ノルウェーは、IPCCのティア2の排出量に関する情報提供のため、事務局のさらなる作業を支持した。ルクセンブルグは、各会議の開催に伴う排出量を記録するよう求めた。
ハンガリー、日本、ハイチ、オランダは、一部の対面式会議の重要性に注目した。スイスは、異なる会議はその目的も異なると指摘、事務局に対し、両方のサイクル及び議題項目に対応する、異なるフォーマットおよびオプションを検討するよう求めた。
多数のものが、全ての参加者が公平に参加することの重要性を指摘した。トルコ、ニュージーランド、ケニア、ウクライナ、ウガンダ、ジンバブエ、アルジェリア、ハイチ、タンザニア、その他は、接続性や時差の問題などの障壁を指摘した。ガーナは、バーチャル方式と対面式の効果性の比較は行っているかどうかを尋ね、参加性の重要性を強調した。
アンティグア・バービューダは、バーチャル方式、ハイブリッド式、対面式の会議の価値、特に開発途上国にとっての価値を、慎重に評価するよう求めた。
トルコ、ペルー、インドは、対面式の会議を希望した。
南アフリカは、対面式の会議の方が、皆、集中できるようだと述べ、AR6でのバーチャル会議は、きわめて要求の厳しいものであったとし、バーチャル会議は、参加性及び代表性に影響すると述べた。
スウェーデンは、ハイブリッド式の会議には、より多くの参加者が参加すると指摘した。
韓国は、構造的な問題は持続する可能性が高いと指摘、ハイブリッド式の会議は、透明性も参加性も高める可能性があると述べた。
オーストラリアは、バーチャル方式の会議は、参加性に影響する便益もあれば、コストの問題もあると述べ、バーチャル方式なら病気の人も参加できると指摘した。
IPCC副議長のDiana Ürge-Vorsatzは、時差が大きな課題だと述べ、会議の期間中、徹夜で作業する人の健康への影響を指摘した。同副議長は、障碍者や介護者にとってのバーチャル会議の利点を指摘し、一部の執筆者は、カーボンフットプリントを最小限にしようと、飛行機の利用を控えていると指摘した。同副議長は、ハイブリッド方式の会議が参加性を高めるのは間違いないと強調した。
議長のSkeaは、この問題の議論を将来会合に回すことを提案、報告書に記載された分析結果に留意するよう招請した。
サウジアラビアは、開発途上国にとっての対面式の参加の重要性を認める文章の追加を提案した。オランダは、手順上の理由で、この追加に反対した。
議長のSkeaは、正式な結論書を出すことなく、議論を終了することを提案、異論は出なかった。
開発途上国及び経済移行国による、パネル会合への参加、特に承認会合への参加を高めるため、信託基金からの追加支援を延長した場合の、コストへの影響:事務局は、この項目の文書(IPCC-LXIII/Doc. 7)を提示した。これは開発途上国及び経済移行国に対する信託基金からの追加支援によるコストへの影響を探求する決定書IPCC-LX-10に基づいている。事務局は、次の2つのシナリオを提示した:一つは、このサイクルでの7回の承認会合について、支援を1名から2名に広げる;二つ目は、このサイクルの9回のIPCC会合全てに対する支援に拡大する。
チリ、ケニア、南アフリカ、ブルンジ、ブラジル、ペルー、ベネズエラ、ガーナ、コモロ諸島、サウジアラビア、アルジェリア、インド、グレナダ、アンティグア・バービューダ、ガンビア、モロッコ、バハマ、ウガンダ、チュニジア、コスタリカ、タンザニアは、シナリオ2を希望した。
チリは、この問題をAR7のタイムラインの議論の中で、検討するよう求めた。
ケニアは、IPCC-63での、2つのコンタクトグループによる平行しての会議は、全ての会合に2名の参加を可能にする必要性を示していると述べた。
南アフリカは、国レベルでの支援の必要性を指摘した。
ドイツは、ベルギー、カナダ、その他の支持を得て、承認会合への2名の参加を支援する(シナリオ1)よう求め、FiTTに対し、このための信託基金の資金開放を考えるよう要請した。
英国は、承認会合には専門家の参加も必要だと述べた。
ルクセンブルグ及びスイスは、自国からは1名しか参加していないと指摘、全てのIPCC会合に出席するための追加コストへの支援方法を質問した。スイスは、連続しての会議開催、並行しての会合、ハイブリッド方式及びバーチャル方式の会議の回数増加など、効率向上措置への支援拡大を促した。
韓国は、WGIII TSU、専門家会合、及び執筆者会合への支援優先、さらにはハイブリッド方式の会合を増やすよう希望した。ベルギー、ペルー、アンティグア・バービューダ、バハマは、IPCC会合が予定時間を超えた場合でも、意思決定には全員の参加を確保する必要があると強調した。
事務局長のMokssitは、支援を受ける参加者の人数増加の影響を指摘、事務局の作業量及び会議室の数に影響すると指摘した。
議長のSkeaは、事務局が、資金能力や作業量を考慮した決定書を作成すると述べた。
水曜日の夜、事務局は、この問題の議論を、第7次評価サイクルの最初の承認会合までの将来会合に回すことを提案した。
ケニアは、この決定書は承認会合以外の会合出席に対する支援拡大の可能性を除外しているのではないかと質問し、次に議論する会合の時期を特定するよう要請した。
事務局長のMokssitは、IPCC-65までに議論すると改定する決定書を提案、トーゴの要請に応え、資金動員については、随時連絡すると述べた。
議長のSkeaは、承認会合以外の会合出席支援に関する議論に予断を加えるものではないと述べた。
バハマは、改定に同意した。
ケニアは、IPCC-65を選んだ理由を尋ねた。
議長のSkeaは、改定された決定書は、第64回会合でのこの項目の議論に予断を加えるものではないと明言した。
トルコは、「将来のプレナリー会合」に言及する必要はないと述べたが、議長のSkeaは、これを外すと意味がなくなると述べた。パネルはこの決定書を採択した。
最終決定: 決定書(IPCC-LXIII-4)において、パネルは、文書IPCC-LXIII/Doc.7、及び本会合で表明された意見に留意し、この項目の議論を、IPCC-65までの将来会合に回すと決定した。
IPCC利益相反委員会の報告書
火曜日、IPCC副議長のChang’aは、3つの作業部会及びTFIの年次報告書を、IPCC利益相反委員会(COI)がレビューしたが、利益相反と特定されたものはなかったと報告した。同副議長は、表彰を受けた1名の議長団メンバーについて、利益相反の可能性が指摘されたが、利益相反と受け止められないような対策をとるよう、受賞者に助言したと述べた。
スイスは、ドイツ、ケニア、ベルギー、チリ、トルコ、ハンガリー、ネパールの支持を得て、将来の評価サイクルにおいては、候補者指名の前に、候補者にCOI公開書式を記入してもらうよう提案した。
ドイツは、ベルギーの支持を得て、COI委員会に対し、その委任条件にあるように、書面の報告書をタイムリーにパネルに提出するよう要請した。英国は、候補指名前にCOI様式を提出することが、資金に与える影響及び意思決定に与える影響について、さらなる情報を要請した。
議長のSkeaは、スイスの提案する変更には、COI 政策の変更に関するパネルの決議が必要だとし、この項目について、IPCC-64での議論を提案した。副議長のChang’aは、COI委員会は報告書のタイムリーな提出に向け努力すると述べ、議論先送りの議長提案に同意した。
スイスは、次のパネルの会合までに、オプション付きの文書を入手したいと述べた。
議長のSkeaは、COI書式提出の問題を、次回の議長団会議の議題とするよう提案した。インドは、反対し、広範な議論の前に、議長団による文書草案を作成するのは、時期尚早だと述べた。
副議長のChang’aは、COI制作に関連するセクションの解釈について議論する可能性を指摘した。議長のSkeaは、次回会合でこの議題を扱うのであれば、文書が作成されると指摘した。
パネルは、この口頭での報告に留意した。
進捗状況報告
IPCC議長及び副議長:議長のSkeaは、IPCC議長及び副議長の報告書(IPCC-LXIII/INF. 8)を提示、開発途上国出身の執筆者の文献にアクセスを確保できたと指摘した。議長のSkeaは、多様な知識体系及び評価方法に関するワークショップが、2026年2月、英国のレディング大学で開催されると報告した。
副議長のChang’aは、COI委員会及びIPCC奨学金プログラムの作業について、多様な利害関係者がアウトリーチに参画したと指摘した。
副議長のÜrge-Vorsatzは、9月に開催された、ジェンダー、多様性、衡平性、参加性(GDEI)に関する専門家会議に注目、WMOとカナダの共催で、合計114名が、対面式及びオンラインで参加したと述べた。同副議長は、会議報告書は、IPCC-64に提出されると指摘、このワークショップでは、特に、IPCCにおけるGDEIの解釈、科学への参加性、IPCCの作業における参加性及び衡平性向上の方法、他の国連機関のベストプラクティスなどが議論されたと述べた。
フィンランドは、議長のSkeaによる2025年初頭のフィンランド訪問に感謝し、緊急性と解決策の存在を指摘した議長のメッセージは、フィンランド国内に十分伝わったと述べた。
ロシアは、各作業部会に選任された自国出身の執筆者がそれぞれ1名であることへの失望感を表明し、これは差別であり受け入れられないと述べた。
アンティグア・バービューダは、IPCC-62での会合時間の延長で、少人数での決定書採択になったことへの懸念を表明し、IPCC-63の決定書には、SIDSを含める全てのメンバーの意見が反映されるべきだと述べた。
アゼルバイジャンは、自国の地域の和解科学者や気候活動家が参加するアウトリーチ会議の回数増加を求めた。
南アフリカは、ジェンダーのアンバランスに対応し、地方コミュニティの代表を増やすよう、努力することを求めた。
ネパールは、事務局に対し、IPCC会議への参加で、LDCsが直面するロジスティック上の課題に対応してほしいと要請した。
スイスは、小規模出版社へのアクセス拡大計画について、質問し、さらに、IPBESの協力への感謝を述べた。
副議長らは、執筆者の選出での参加性を高め、若者の参画を進めるには、ジェンダー・バランスに配慮し、多様性に富んだ候補者の選出が必要であり、さらに、IPCC奨学金プログラムへの資金支援を強化する必要があると強調した。議長のSkeaは、IPCC-62でのIPBESの参加に注目し、大規模出版社であれば、より多くの出版にアクセスできると指摘した。パネルは、この報告書に留意した。
事務局:IPCC事務局長のMokssitは、2025年2月から9月での事務局の活動について報告(IPCC-LXIII/INF. 10)した。特に次の項目に焦点を当てた:会議開催の準備;アウトリーチ;候補者選出プロセス;文書化;法的な合意;事務局設計の新しいデジタル・ツール;開発途上国資金貢献者へのアウトリーチなど、資源動員努力。同事務局長は、歳出が歳入を大きく上回っていること、及びAR7タイムラインがないことを課題として挙げた。
ベルギーは、事務局に対し、右記を奨励した:文書はIPCC会合の4週間前に出す;会合報告書は、会合終了直後に出す;会合の日付及び場所は、早期に明らかにする。
事務局長のMokssitは、ベルギーの質問に答え、事務局は人事に関する第3者のコンサルタントを選出するプロセスにあると述べた。
参加者は、事務局の報告書に留意した。
WGI:WGI共同議長のXiaoye Zhang及びRobert Vautardは、作業部会I (WGI)の進捗状況報告書(IPCC-LXIII/INF. 11)を提出、参加性の高い執筆者の選出、及び2025年12月の第1回合同筆頭執筆者会議(LAM-1)開催の準備に努力しているほか、地球系の高影響現象、転換点とその影響結果に関する作業部会横断の専門家会議を、世界気候研究プログラム(WCRP)と共催で開催する計画でも努力していると強調した。
フランスは、合同LAM-1及び専門家会議を開催すると述べ、日本は、専門家会議を支援すると表明した。
韓国及びインドは、専門家会議の承認手順への懸念を表明し、IPCC-62の決定書では、この議論はIPCC-63で行うとなっていたと指摘、ワークショップに関する情報が、各国の窓口と共有されていないと述べた。
ブルンジ及びグレナダは、WGIに対し、参加性改善の努力を続けるよう求めた。
WGI共同議長のVautardは、専門家会合はIPCCに資金面で影響しないとし、今回の開催のタイミングは、合同LAM-1へのフィードインを可能にするためだと説明した。
議長のSkeaは、会合のスコープはIPCC-62より狭められており、WCRPの範囲内だと明言した。
パネルはこの報告書に留意した。
WGII:WGII共同議長のBart van den Hurkは、WGIIの進捗状況報告書(IPCC-LXIII/INF. 6)を提示し、多様性及び参加性の改善に努めていると指摘した。気候変動と都市に関する特別報告書について、WGII共同議長のWinston Chowは、1320名を超える申請者の中から、6名の各章担当科学者が選任されたと述べた。同共同議長は、LAM-1及びLAM-2の成果を報告、LAM-3は2026年1月に開催されると発表した。
AR7に関し、同共同議長は、WGII執筆者の選任プロセスについて報告し、調整役筆頭執筆者(CLAs)、筆頭執筆者(LAs)、及び査読編集者(REs)として、91か国から249名の専門家が選ばれたと述べた。
共同議長のVan den Hurkは、科学運営委員会(Scientific Steering Committee)の設置を報告、メンバーには3つの作業部会議長団のものが含まれると述べ、さらに、データに関するIPCCタスクグループ(TG-Data)のメンバー選出に関するWG横断プロセスについては、その概要を説明した。
共同議長のvan den Hurkは、執筆者の選任での地域内バランス及び透明性を高めるとのケニアの意見に賛成した。同共同議長は、科学的なプレゼンテーションをするIPCCの代表は、その科学面の役割を保持するべきで、特定の立場の主唱者になるべきではないというインドの意見に同意した。
同共同議長は、気候活動ネットワーク・インターナショナルの質問に応え、WGIIは、気候変動への適応に関するテクニカルガイドラインを作成すると述べた。
WGIII:WGIII共同議長のKatherine Calvinは、WGIII進捗状況報告書 (IPCC-LXIII/INF. 9)を提示し、この部会では、1200名を超える応募者の中から、222名の専門家を選んだと述べた。同共同議長は、選ばれた執筆者のうち、52%は開発途上国出身、40%は女性、59%はIPCCには新規となる執筆者だと指摘した。
アンティグア・バービューダは、参加性改善におけるWGIII共同議長の努力を称賛した。
北マケドニアは、専門家の選任では、地域内バランスを確保する必要があると述べ、ラトビア及びウクライナの支持を得て、欧州南東部という小地域は十分代表されていないと指摘した。
日本は、3つの作業部会全ての共同議長及びTSUsの尽力を称賛し、さらに、科学雑誌へのアクセスを強化したIPCC議長の努力も称賛した。
ウクライナは、リビアの支持を得て、「グローバル・サウス」及び「グローバル・ノース」というのは、ウクライナを含める、多数の国を除外しているとして、懸念を表明し、より正確な用語を求めた。
ブラジルは、執筆者の選任におけるジェンダー・バランス達成に向けた進展を認識し、地方コミュニティの貢献が重要だと強調、科学ジャーナルの記事へのアクセス向上の努力に感謝する一方、ジャーナルの出版社は少数であり、その大半は、グローバル・ノースの出版社であると指摘した。
スイスは、候補者は選任後ではなく、指名された段階で、COI公開用の書式を完成させることを提案した。
オーストラリアは、先住民が参加しない中で、先住民の知識が評価される状況は避ける必要があると強調した。
チリは、全ての決定書は科学に基づくものであるべきだと述べた。
グレナダは、ジェンダー・バランスを改善し、新しい執筆者が参加できる余地を作ることで、IPCCの報告書の質を高めることができると述べた。
FWCCは、先住民及び地方コミュニティの参加は、レジリエンスを高めると強調した。
議長のSkeaは、執筆者の選任プロセスは極めて困難であったとし、利益相反及び地域内バランスの問題は、IPCCの手順書で初めて対応できると指摘した。
パネルは、進捗報告書に留意した。
TFI:TFI共同議長のTakeshi Enokiは、関連情報記載の文書(IPCC-LXIII/INF.1)を提示し、関連する手法論報告書を作成するための活動に焦点を当て、IPCCガイドライン、インベントリ手法、及び実践方法に関する情報の普及促進の活動にも注目した。
日本は、IPCCインベントリ・ソフトウェアの導入進展に感謝を表明した。
ノルウェーは、TFI共同議長及び関連するWGの共同議長に対し、WG横断の協力強化を奨励した。
トーゴは、TFIに対し、特にLDCs向けの啓発及びキャパシティビルディング会議の回数増加を要請した。
共同議長のEnokiは、年次会議において、多様な地域に、インベントリ・ソフトウェアおよび排出要素データベース(EFDB)に関するフィードバックを行う機会を、提供していると強調した。議長のSkeaは、執筆者チームの協調の度合いを高め、多様性を進展させたとして、WGs及びTFIの共同議長らを祝した。
パネルは、この報告書に留意した。
TG-Data:IPCC事務局のMxolisi Shongweは、気候変動の評価のためのデータ支援に関するタスクグループ(TG-Data)のメンバー選出についての文書(IPCC-LXIII/INF. 5)を提示し、195名の候補者の中から、最終的には20名がTG-Dataのメンバーに選出されたと指摘した。
パネルは、この報告書に留意した。
ジェンダー行動チーム:副議長のÜrge-Vorsatzは、IPCC-62以後のジェンダー行動チーム(GAT)の活動に関し報告した。(IPCC-LXIII/Inf.12) 同副議長は、Gender, Diversity, Equity, and Inclusivity(ジェンダー・多様性・衡平性・参加性)に関する専門家会議(GDEI)は、IPCCの作業に携わる全ての行動者への推奨事項、及び会議や基準(metrics)に関するクロスカッティングな提案を作成したと報告した。同副議長は、GATに関し、次のように述べた:DEIトレーナーを確保する;ジェンダー及びインターセクショナリティの統計をレビューし、DEIを執筆者及び専門家の選任に取り入れるよう努力している;ジェンダーへの配慮に関する法的なガイダンスをレビューしている;より広範な多様性(diversity)データを要請している;遵守プロセスに関する文書を作成し、現在、レビューにかけている。
パネルは、この報告書に留意した。
IPCC奨学金プログラム:IPCC奨学金プログラム理事会の議長であるJean-Pascal van Yperseleは、文書(IPCC-LXIII/INF. 7, Rev. 1)を提示し、奨学金の第8回交付には、177名の応募申請を受理したと強調した。奨学金信託基金の状況については、2025年は資金を授与していないと指摘した。
ケニアは、タンザニア、南アフリカ、ガーナ、ジンバブエの支持を得て、2025年の資金寄付の欠如を懸念し、IPCCの指導者に対し、資金動員を支援するよう求めた。
アゼルバイジャンは、資金動員努力について、基金または民間企業に働きかけることを提案した。議長のVan Yperseleは、2つの財団(foundations)とパートナーシップを組んでいるため、来年も奨学金の支給を行う予定であると明言し、民間部門の参画があっても、IPCCの独立性を妨げるものではないと述べた。WGI副議長のEdvin Aldrianは、奨学金プログラムへの感謝を表明した。
パネルは、この報告書に留意した。
コミュニケーション及びアウトリーチ活動:IPCCのコミュニケーション及びメディア関係の長であるAndrej Mahecicは、IPCC-62以後のコミュニケーション及びアウトリーチ活動について報告した。(IPCC-LXIII/INF.2) Mahecicは、主要な国際フォーラムでの作業、さらには、一般の参画を進め、AR7の作成を支援する影響力の大きい活動に焦点を当てた、この中には、執筆者を務める専門家の候補指名の呼びかけ強化が含まれる。同氏は、IPCCのソーシャルメディア参加について説明し、IPCC-62以後、IPCCのウェブサイトには220万人の利用者があったと指摘した。
パネルは、この報告書に留意した。
UNFCCCと他の国際機関との関係
この議題項目は、火曜日に議論された。UNFCCC事務局のAnnett Moehnerは、IPCCと協力したUNFCCCの活動及びこの他のIPCCの作業に関連する活動に関する報告書(IPCC-LXIII/INF. 13)を提示した。パネルはこのUNFCCC報告書に留意した。
IPBES事務局長のLuthando Dzibaは、現在IPBESが行っているIPCC関連の作業に関する報告書 (IPCC-LXIII/INF. 3)を提示した、この報告書には、2026年後半での生物多様性及び気候変動に関するワークショップ共催の呼びかけが含まれた。
ベルギー及びノルウェーは、このワークショップの共催を検討するよう勧めた。スイスは、このワークショップのホスト国となる予定。ルクセンブルグ、ブラジル、フランス、トルコ、日本、南アフリカは、IPBESとIPCCの協調関係を支持した。ニュージーランド及びオーストラリアは、IPBESとの協調は、先住民及び地方の知識共有の可能性を提供すると強調した。
インド及びサウジアラビアは、二つの組織の協調では、プロセスや手法論、及びマンデートの違いを認識するべきだと警告した。アルゼンチンは、IPBESとの協調による財政面への影響を懸念した。
議長のSkeaは、IPBESのワークショップ共催への招請については、IPCC議長団の次回の会合に提起すると述べた。
パネルは、IPBES報告書に留意した。
第7次評価サイクルにおける専門家会合及びワークショップの提案
議長のSkeaは、火曜日、この議題項目の議論を開始した。WGI共同議長のVautard及びWGII共同議長のVan den Hurkは、地域的な気候情報及び地図に関する専門家会合を、2026年4月から6月の間に開催することを提案した。(IPCC-LXIII/Doc.4) 共同議長らは、この会合の目的はAR7 WGI及びWGIIのインタラクティブな地図について、コンセプト設計段階から、技術的な実施への移行を支援することだと説明し、ジェンダー、地域、専門性のバランスを考えた60名の専門家の参加を提案し、ホスト国は未定であると述べた。
ポルトガルは、これらのツールのアップグレードを称賛した。
日本は、この専門家会議は執筆者チームにおける、地図関係の知識面のギャップを埋める機会になると強調し、費用効果性を考え、バーチャル方式の会議を希望した。
チリは、専門家会議の時期について、WGI及びWGII LAM-2の会議と重なるとして、別なタイミングの可能性を質問した。
デンマークは、専門家会議開催の提案を支持し、同様な地図は多数存在するとし、会議参加者を選ぶ際は、既存の専門性を考慮する必要があると指摘した。
イタリアは、地図の作成では根拠の適切性が重要だとし、この点を専門家会議で評価するよう提案した。
スイスは、この会議に参加する専門家は可能な限り広範囲から選ぶよう提案し、WGs間の協調を歓迎した。
韓国は、提案を歓迎したが、第7次評価サイクルでの専門家会議の開催について、中長期的な予定を明らかにするよう求め、科学的コミュニケーションに関する専門家会議は、信託基金予算に入っているが、その実施は毎年先延ばしにされてきたと指摘した。
ガーナは、この専門家会議は証拠に基づく意思決定を強めると指摘、たとえば気候脆弱性及び他の極端な現象に備える意思決定を助けると述べた。
サモアは、この提案を歓迎し、AR7は地域関連性を持つ情報を提供するべきだとし、特にSIDSに関する情報提供を求めた。
共同議長のVautard及びVan den Hurkは、参加者を選ぶ際は、その代表性を考慮し、専門性が関連する外部専門家の参加も認める可能性があると述べた。両共同議長は、LAM-2とのタイミングについて議論することはよいが、場所の提案も議論する必要があると指摘した。
パネルは、専門家会議の提案について、予算上の合意を条件に、承認した。
最終決定: 決定書(IPCC-LXIII-2)において、パネルは、地域的な気候情報及び地図に関する専門家会合開催の提案を記載する文書IPCC-LXIII/Doc.4の承認を決定した。
IPCC第64回会合の場所及び日付
木曜日、事務局長のMokssitは、IPCC-64は2026年3月24-27日に、タイのバンコックで開催すると発表した。
会合の閉会
議長のSkeaは、閉会の辞の中で、MR-CDR%での合意、2026年の活動での合意など、IPCC-63でのプラスの側面に注目するよう求めた。カリブ海を襲ったカテゴリー5のハリケーンについては悲嘆した。IPCC-63は、代名詞や脚注を議論したことから、同議長は、科学者としては地球規模の課題ではなく、枝葉の議論に終始することに、焦燥感を覚えると述べた。同議長は、この会議の開催に尽力した人々への感謝を表明した。
事務局長のMokssitは、ホスト国のペルー、会議のアシスタントやボランティア、会議を支えた人たちへの感謝の意を表した。
多数の参加者は、会議開催に貢献した人々への感謝を表明する一方、AR7 のタイムラインが決まらなかったことは遺憾であると述べた。
ドイツは、議長に対し、IPCC-64では、参加性など、他の議題項目を優先するよう求めた。
フランスは、MR-CDRの決定書で合意したことは、妥協の可能性を証明すると述べ、IPCC-63が予定通りに終了したことは、タイムラインが守れることの証だと述べた。
ベルギーは、AR7タイムラインの欠如は、執筆者や外部の人間に悪いシグナルを送ると述べ、これを乗り越えて前進しようと提案した。
ノルウェーは、プロセスを守った議長及び共同議長らに感謝し、今後も、その作業を信頼していると述べた。
中国は、最近の会合で直面した困難を解決するには、科学が最も重要だと述べた。
インドは、参加者に対し、タイムラインでの意見の違いを克服するため、何かアイデアがあれば、IPCC-64までに、共同議長に提出することを提案した。
デンマークは、完全にノーマルなタイムラインが拒否されたことに失望したと述べ、IPCC-64で決定することで、3つのWG報告書をGSTに間に合わせようと促した。
スイスは、オブザーバーの声を取り入れるよう促し、IPCC評価報告書の遅れは、その政策関連性を薄めることになると述べ、参加性とタイムリーな作業を求めた。
アンティグア・バービューダは、IPCC-63は科学と乖離していると警告し、作業計画での意見の一致がなかったことを懸念した。
英国は、スケジュールに関するTSUsの作業に感謝し、IPCC-64での合意達成に向け、この作業計画の検討を進めるよう求めた。
サウジアラビアは、リヤドのLAM-2にWGIIの筆頭執筆者らを迎えることを待望していると述べ、執筆者らは、査読のオーバーラップや連続作業をせずに済むだけの時間的余裕が必要だと述べた。
スウェーデンは、タイムラインで合意できなかったことは極めて遺憾だと述べた。
バヌアツは、タイムラインの件は、世界に害をなすとし、将来会合は解決策中心のアプローチをとるよう求めた。
ネパールは、作業計画の遅れを懸念し、これはAR7にリスクをもたらすと述べた。
ニュージーランドは、提案されたタイムラインは、スケジュールを圧縮するものではないと強調した。
ハンガリーは、気候変動はIPCCのタイムライン承認を待ってはくれないと強調した。
ガーナは、IPCC-64での作業計画合意を期待した。
ケニアは、IPCCをGSTプロセスに合わせようとするのが、大きな障害になっているとし、先進国の野心的な気候行動を期待すると強調した。
南アフリカは、タイムラインに関し、具体的な提案をしてきたが、聞いてはくれないようだと述べた。
グレナダは、手法論報告書での進展に感謝し、IPCCの作業での参加性向上及びジェンダー・バランスの向上にも感謝した。
ブラジルは、手法論報告書の承認を称賛し、タイムラインについては、パネルは意見の違いを乗り越えられるとの確信を表明した。
カナダは、IPCCは気候科学の要石だとし、パネルに対し、妥協案を探るよう求めた。
アイスランドは、手法論報告書の概要での合意は共通点を見いだせることの証であると強調した。
モナコは、参加性の重要性、及びジェンダー尊重の重要性を強調した。
トルコは、オープンで互いを尊重するダイアログができたことは、メンバーの科学知識共有及びIPCCプロセスへの献身を示すものだと強調した。
オーストラリアは、IPCC-63で多種多様な意見を聞けたことに感謝し、SIDSは会議の参加だけでなく、気候変動の影響でも最大の課題に直面していると強調した。
ベリーズは、タイムラインでの合意できなかったことを嘆き、これがIPCCプロセスの健全性に与える影響を懸念した。
アルジェリアは、将来の作業を楽観視していると述べた。アイルランドは、IPCC-63では大きな進展があったとし、次回会合でのタイムラインの合意を熱望した。
ロシアは、将来は妥協する意思が示されることを希望し、柔軟性がなく、作業計画で合意できなかったと述べた。
EUは、気候変動は利用可能な科学に基づく国際協力によってこそ対応可能であると強調した。
FWCCは、IPCCには主導する勇気を見出してほしいと述べた。
議長のSkeaは、この会合の実績に焦点を当て、手法論報告書概要での合意及びインタラクティブな地図に関する専門家会議開催での合意を挙げ、今後もパネルの作業は進められると述べた。同議長は、意見の一致に至ろうとしたパネルの努力に感謝し、午後7時53分、会合閉会の槌を打った。
IPCC-63の簡易分析
強大なハリケーン「Melissa」が、ジャマイカやハイチ、キューバ、バハマを襲う中、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、科学ではなく、評価報告書完成のタイムラインという、枝葉末節の議論に終始した。パネルの作業計画及び手順上の問題での深い亀裂は、第7次評価サイクルの最初の2年間を、議論停止の状態に追い込んだ。第7次評価報告書(AR7)自体の作業は、進められているが、多数の参加者は、今後のパネルの作業の行方に懸念を抱いている。
IPCCの第63回会合の簡易分析は、これらの懸念を記載するほか、主要な成果を考察する。
「問題は、時間があると考えていることだ」
この会議の主要な目的は、IPCCの第7次評価報告書(AR7)の作業計画で合意に達することであった。2年前に第7次評価サイクルに入ったが、この問題の議論に長時間を費やしても、合意に達することができなかった。この作業計画には、3つの作業部会報告書のタイムラインが含まれており、多くの参加者は、これらを2028年の第2回パリ協定グローバルストックテイク(GST)に間に合わせたいと希望した。GSTは、適応、緩和、資金に関する各国の政策に統合可能な技術情報を提供することが期待されている。
パネルの大多数のメンバーは、GSTの予定に合わせる「標準の」タイムラインを希望し、気候変動の科学の現状、その社会的経済的影響、及び可能性ある対応戦略に関する、包括的な評価と査読を行うというIPCCのマンデートを指摘した。IPCC-63及びこれまでのパネルの会合においても、多数の政府、特に小島嶼開発途上国(SIDS)は、IPCCの科学的な知見は自国の政策決定にとり極めて重要であると強調し、これらの報告書のタイムリーな完成を求めた。さらに、気候の影響は世界各地で強大化しており、IPCCからのインプットが緊急に求められると指摘した。
しかし、少数ではあるが、報告書を承認する前に、十分な査読をする時間が欲しいと求める国の数も増えている。これら諸国の多くは、開発途上国など、IPCCの報告書を査読する能力が限定されていることに、懸念を表明した。IPCCは、GSTや他の国際プロセスに合わせるとのプレッシャーを受けるべきでないことも強調した。
この意見対立の両方の側とも、IPCCの作業における参加性向上の必要性を説いていることは注目である。タイムライン延長を希望するものは、全ての国の政府が有効に参加することが不可欠であると主張し、他の多くのものは、タイムラインを延長すれば、執筆者の参加の障壁になる可能性があると論じた。会合閉会まで議論したが、意見は一致せず、この問題は、IPCC-64での議論に委ねられた。
タイムラインでの論争というのは、IPCCの歴史でも前例がない。これまでは、タイムラインを含める作業計画で、すんなり合意してきた。今回のタイムラインの討論は、IPCC議長団のマイクロマネージメントが原因ではないかと、多数のIPCC-63の参加者は、懸念している。ある意味で、パネル内の緊張感の高まりを反映している可能性があり、ルーティンの作業の承認できないのは、IPCC内部の信頼感が崩れてきている証拠ではないかと、懸念する声が高まっている。
カリブ海諸国を襲ったハリケーン・メリッサのことは、参加者の頭から離れず、IPCC議長のJim Skeaは、カテゴリー5のハリケーンで被害を受けたものがいる中で、IPCCは、細かい点にこだわりすぎていると、焦燥感を口にするものもいた。アンティグア・バービューダからの参加者は、「IPCCは科学から離れて、政治論争をしている。我々のコミュニティは、IPCCに依存しているのに」 と述べた。
厳しい勝利で、成功を歓迎
作業計画では意見の一致を見いだせなかったが、次に重要な「二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収利用貯留に関する手法論報告書(MR-CDR)」では、意見の一致に至った。前回のIPCC-62では、この報告書のタイトル、委任条件、第1巻から第5巻の内容、及第6巻の一部では、おおよその合意ができていた。IPCC-63では、水系からの「二酸化炭素の直接除去」に関する第7巻の提案が議論された。特に海洋でのCDR技術を入れるかどうか、入れる場合はどれをいれるか、どのように入れるかが議論された。海洋の技術には、淡水化プラント、または排水処理プラントという閉鎖されたシステム内でのCDRが含まれるほか、水系のアルカリ化強化という開放されたシステムのものも含まれる。この後者については、海洋でこの技術を利用した場合と、沿岸地帯に限定して利用した場合の影響が、研究されている。
CC-63では、二酸化炭素除去技術のうち、環境上安全かどうかが証明されていない技術についても、影響測定及び評価の手法論を、策定するべきかどうかで、意見が大きく分かれた。環境上安全な技術のみを評価するべきとの意見もあれば、そのような判断をするのは、国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース(TFI)の責任ではないと論じるものもいた。IPCCは技術面でも中立であるべきと主張するものもいた。
結局、アルカリ化の強化及び海洋による直接吸収に関する専門家会議を開催が決定されたことから、MR-CDRの概要は合意された。しかし、海洋でのアルカリ化強化については、研究が進んでいることから、専門家会議開催の提案だけで、手法論策定という緊急な必要性に十分対応できるのか、疑問が残る。
将来を見据えて
IPCC‐61から63の経験を踏まえ、IPCC-64は、手順問題での長時間の議論という「新しい日常」に備える必要があるかもしれない。各国がそれぞれの立場に固執していることから、妥協は困難であり、IPCCの根本的で緊急の課題である科学的な問題から、議論が乖離していく可能性がある。
とはいえ、作業自体は進められており、執筆者の専任は終了し、合同の筆頭執筆者会議は、2025年12月に開催される予定である。今後は、各国政府が、執筆者という独立した立場の科学者をどれだけ支援していけるかが問題となる可能性がある。