Summary report, 24–27 March 2026
64th Session of the IPCC (IPCC-64)
緊急な気候変動行動が求められる中、地方、国、地域、世界の政策立案者に、最善の科学的識見及びデータを提供するという、IPCC第7次評価サイクル(AR7)の作業の重要性は、かつてないほど高まっており、その基本決定を行うIPCC会合も、重要性を増している。
今回の第64回IPCC総会(IPCC-64)は、事務的な会合ではあるが、第7次評価サイクルの会合において、過去にも繰り返されてきた意見対立が再燃した。AR7作成のタイムテーブルで合意することの重要性では、意見が一致したが、合意には至らず、IPCCの統括原則及び手順、事務局の進捗状況への反応、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)にとの関わり合いなど、他の議題にも影響を及ぼした。
AR7のタイムラインは、今回の会合の議題に入っていなかったため、出席を断念したメンバーもいたほか、交渉権なしで参加したものもいた。パネルは、次回のIPCC-65でのタイムライン決定を目指し、議論の進め方を検討した。IPCC-65では、次の予算の承認が予定されており、この会合でのタイムラインの決定が極めて重要であった。
IPCC-64では、タイムラインを議論することとなったが、これ以外にも、5年ごとのレビューが義務付けられているIPCCの統括原則及び手順のレビューも行われた。このレビューでは、強化を求める声が挙がり、結局、将来の適切な会合で再度審議することとなった。
さらに、現在のIPCC信託基金の状況も議題に上り、国連環境計画(UNEP)のInger Andersen専務理事は、会合でのスピーチの中で、歳出が歳入を上回っていると指摘、このままの状況が続けば、信託基金は、枯渇すると述べた。IPCCが評価サイクルで最も多忙かつ困難な時期に突入する中、このような信託基金の現状は、憂慮されるべきである。これまでのような意見対立の状況が続けば、深夜の会合開催、会合期間の延長など、さらに費用が嵩むことになる。
金曜日の朝、2016年からIPCCの事務局長を務めてきたAbdalah Mokssit氏の引退が近いことが発表され、IPCC副理事のErmira Fidaは、事務局に代わり、Mokssit事務局長への感謝を表明、同氏のリーダーシップで、「IPCCの存在が形成され、その作業方法が定まり、何が可能かも明らかになった」と述べた。世界気象機関(WMO)の事務局次長のKo Barrettは、Mokssit事務局長は知識と知恵を併せ持った方だと賞賛し、各国政府代表や議長団メンバー、オブザーバーなど、多数のものは、Mokssit事務局長への感謝を述べ、将来の幸福を願った。
IPCC-64は、2026年3月24-27日、タイのバンコックで開催され、106か国の代表や、国際機関及び民間団体の代表など、約330名が参加した。
IPCCの簡略史
IPCCは、1988年、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)が設立、人為的な気候変動の理解を進め、その影響可能性、適応及び緩和のオプションを、包括的、客観的、透明性のある形で評価することを目的とする。IPCCは政府間の科学機関であり、195の加盟国を擁する。新規の研究は行わず、気候データをモニタリングすることもない、世界中の研究者が数百名集まり、国際的に公表された数千件の科学論文をベースに、気候変動の状況を評価し、気候変動の推進要素とその影響や将来起こりうるリスク、そのリスクを削減できる適応及び緩和オプションに関する包括的なサマリーを作成する。IPCCの報告書は、政策関連性を目指すが、政策規範性は意図しない。国際的な気候変動交渉に重要なインプットを提供し、各国政府の全てのレベルをサポートする。
IPCCには次の3つの作業部会(WGs)がある:
- WGIは、気候変動の自然科学的根拠を扱う;
- WGIIは、気候変動の影響、適応、脆弱性を論ずる;
- WGIIIは、温室効果ガス(GHG)排出量を削減し、気候変動を緩和するオプションを取り上げる。
各作業部会には、2名の共同議長、及び7名の副議長が任じられるが、WGIIのみは、8名の副議長が任じられる。
共同議長は、技術支援ユニット(TSUs)の支援を受け、担当の作業部会でのマンデートの遵守を指導する。上記の作業部会のほか、IPCCは、国別温室効果ガス・インベントリに関するタスクフォース(TFI)を有し、作業部会と同じく、TSUの支援を受け、IPCC国別GHGインベントリ・プログラムを監督する。このプログラムの目的は、国別GHG排出量及び除去量の計算並びに報告作成を目的とする、国際的に合意された手法論及びソフトウェアを開発し、精緻化することであり、さらに、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国に対し、これら手法論及びソフトウェアの利用を奨励することである。
IPCCは、一つの評価サイクルの期間において、評価報告書及び特別報告書、手法論報告書、並びにテクニカル・ペーパーを作成し、発行する。一つの評価サイクルごとに議長団を選出するが、この議長団は、全ての地域を代表する気候変動の専門家で構成され、1名のIPCC議長と複数の副議長、複数のTFIの共同議長が任命される。IPCCは、スイスのジュネーブに、WMOが主催する常設の事務局を有する。
2007年、IPCCは米国の元副大統領のAl Goreと共に、ノーベル平和賞を受賞、「人為的な気候変動に関する知識を構築し、普及し、気候変動への対処に必要な基礎を築いた」ことを称賛された。
IPCCの刊行物
IPCCは設立以来、一連の包括評価報告書及び特別報告書を作成し、気候変動に関する科学情報を国際社会に広めてきた。
IPCCは、これまでに合計6冊の包括評価報告書を作成し、それぞれ、1990年、1995年、2001年、2007年、2014年、2023年に発表した。包括評価報告書は、3つの作業部会の報告書、及び主要結論をまとめた統合報告書の4部で構成される。各作業部会報告書は、包括評価報告書、テクニカル・サマリー(TS)及び政策策定者向けサマリー(SPM)で構成される。いずれの報告書も、3段階の徹底的な査読プロセス(専門家による第1回の査読、専門家と政府による第2回査読、政府による第3回査読)を経て完成し、その後、担当の作業部会によるSPMの行ごとの承認が行われ、パネルがこれを採択する。
3つの作業部会報告書が受理され、それぞれのSPMが承認された後、3つの作業部会報告書及び当該評価サイクルで作成された他の報告書の主要結論を統合した統合報告書が作成される。その後、パネルは、統合報告書のSPMに関する行ごとの承認を行う。
IPCCは、第6次評価サイクルにおいて、次の3つの特別報告書を作成した:
- 1.5℃の温暖化(SR1.5)、2018年のIPCC-48で承認;
- 気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障、陸上生態系における温室効果ガス・フラックス(SRCCL)、2019年8月のIPCC-50で承認;
- 変化する気候における海洋及び氷雪圏(SROCC)、2019年9月のIPCC-51で承認。
このほか、IPCCは、各国におけるGHG排出量報告書の作成に寄与するべく、各種手法論報告書を作成している。グッド・プラクティス・ガイダンス報告書は、2000年及び2003年に承認された。2006年には、国別GHGインベントリに関するIPCCガイドラインが承認された。その後、この2006年ガイドラインを精緻化した2019年精緻化バージョンが、2019年5月のIPCC-49で採択された。
第7次評価サイクル
2023年7月、IPCC-59は、新たな指導部を選出、議長にはJim Skea (英国)が就任、第7次評価サイクルでの作業を指導する。
2024年1月、IPCC-60では、第7次評価サイクルの期間中に作成する報告書、及びその作成スケジュールなど、今後の作業計画を議論したが、意見の一致に至らず、戦略計画スケジュールなどの議論を次回の会議に持ち越すことで合意した。
IPCC-61では、気候変動と都市に関する特別報告書の概要で合意、短寿命気候強制力のインベントリに関する手法論報告書の概要でも合意した。戦略計画スケジュールの議論は、再度、次回会合に持ち越した。
IPCC-62では、第7次評価報告書の各作業部会報告書に関する概要で合意したほか、AR7の執筆者の候補指名プロセスを開始する決定書で合意したが、各作業部会の報告書作成のタイムラインなど、AR7の作業計画では意見が一致しなかった。
IPCC-63では、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収利用貯留に関する手法論報告書の概要で合意したが、作業計画では合意に至らなかった。
IPCC-64報告書
IPCCの第64回総会は、2026年3月24日、タイのバンコックで開始され、タイの天然資源環境省のRaweewan Bhuridej大臣は、IPCCの報告書はグローバル、地域、国、地方の各レベルでの政策決定者に政策の根拠となる情報を提供し、気候変動の原因、影響、リスクへの理解を深めていると指摘した。同大臣は、気候変動から生命や生活を守るための政策策定には、科学知識が不可欠であるとし、IPCCへの資金供与の重要性を強調した。さらに、IPCCの提供する科学知識は、UNFCCCのグローバルストックテイクなど、パリ協定目標達成に向けた国際的な進捗状況の評価にも有用であると述べた。
IPCCのJim Skea議長は、第7次評価サイクルで終了済みの作業について説明し、特に、次を指摘した:全執筆者の選任;12月、作業部会IからIII合同の第1回代表執筆者会議の開催;1月、気候変動と都市に関する特別報告書の執筆者会議の開催;2月、短寿命気候強制力のインベントリに関する手法論報告書の専門家査読を実施;4月、国別温室効果ガス・インベントリに用いる、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収、利用、貯留に関する手法論報告書の執筆者会議を開催予定。
Skea議長は、第7次評価サイクルにおけるIPCCの作業量の増加を指摘、IPCC-64では、IPCCの作業方法の議論が重要であるとし、IPCCの統括原則及び手順に関し、規定されているレビュー作業に焦点をあてるべきと述べ、IPCCのマンデート達成は、信託基金の持続可能性次第であると強調した。
WMO事務次官のKo Barrettは、第7次評価サイクルにおける強力かつ確実な進捗を称え、ジェンダー平等、参加性、多様性向上の努力も評価した。IPCC統括原則及び手順で予定されるレビューの重要性も強調し、これにより厳格さ及び健全性が確保できると述べた。Barrett事務次官は、各国政府からの資金貢献の持続、及び可能な場合の増額が、IPCCの作業確保に不可欠であると強調した。
UNEP専務理事のInger Andersenは、気候変動と都市に関する特別報告書、及び2つの手法論報告書での進展を称賛し、ジェンダー及び多様性に関する議論の進捗が重要だと指摘、IPCCの統括原則及び手順のレビューもきわめて重要であると強調した。さらに、IPCC信託基金は、過去数年間、歳出が歳入を上回っていると警告した。
UNFCCC事務局長のSimon Stiellは、IPCCの作業は気候変動に対するグローバルな対応の指針、情報、形成に、不可欠であると強調し、グローバルストックテイクへのフィードインとしても、また気候政策策定への情報提供においても、極めて重要であると述べた。
上記のスピーチの後、IPCCは、非公開の会議を開催、Skea議長は、会合の作業モダリティの概要を説明、最高の倫理基準に基づき、会合を進行し、相互尊重と参加性の高い対話を行うことが重要であると説き、意見の一致に至るべく、ともに努力しようと呼びかけた。
その後、Skea議長は、暫定議題書(IPCC-LXIV/Doc. 1, Rev. 2)の承認を招請した。
サウジアラビア、インド、中国、ロシア、南アフリカ、エジプト、アルジェリア、ベネズエラでのニアは、この暫定議題書でのAR7のタイムライン不記載に、懸念を表明し、ケニアは、今会合中に議論するよう求めた。サウジアラビア、南アフリカ、ケニアは、IPCCの作業のさらなる遅れを懸念した。インドは、タイムラインに関する自国の提案が無視されたと述べた。ブルンジは、議題書へのタイムラインの追加を支持し、各国が柔軟な姿勢を示すことが重要だと述べた。
アンティグア・バービューダは、議長団の議題提案を支持すると表明、その一方で、タイムラインのさらなる遅れはAR7の完成を妨げる恐れがあると指摘した。ネパールは、パナマの支持を得て、タイムラインの議論の進め方へのガイダンス提供を歓迎した。
スイスは、議長に対し、この問題に関する非公式協議開催を進言、意見の集約を図り、合意を目指すよう奨励した。ブラジル及び英国は、暫定議題書に入れなかった理由を明らかにするよう求め、今後の進め方の議論を支持した。
マレーシアは、全てのIPCCメンバーの意見を反映した、バランス良い決定書にするための建設的な議論を支持した。チュニジアは意見の一致が重要だとし、オランダは、暫定議題書に記載されていない議題の議論は義務でないと考える国もあると指摘した。
議長のSkeaは、手法論及び特別報告書の作成タイムラインでは、新たな情報が出てきていると指摘、IPCC-65で結論が出せるよう、「その他の問題」の議題項目の下で、非公式協議を進めることを提案した。ベルギーは、この提案を支持した。
インドは、この議長提案に反対し、議題書にない項目を議論するという柔軟な姿勢をとれていないのは、IPCCのリーダーたちの方ではないかと述べた。
サウジアラビアは、タイムラインの問題を議題書に入れるよう主張し、IPCC-65まで先延ばしにしては、予算が承認されないリスクがあり、今後の作業も遅れる可能性があると述べた。
議長のSkeaは、意見が一致しなかったとして、先に、他の議題項目の議論に移り、午後、暫定議題書の議論を再開するよう提案した。
ニュージーランド、ドイツ、ルクセンブルグ、コロンビア、シンガポール、トルコ、スウェーデン、フランス、パナマ、ノルウェー、フィンランド、カナダ、アイルランドは、議長案を支持した。ノルウェーは、着地点を見出すのが重要だとし、二国間での議論を歓迎した。
インドは、議長案に反対し、議題書が承認されない中で、議題項目のうち合意できそうな項目を選んで議論するわけにはいかないと述べた。サウジアラビアは、議題書の承認プロセスを無視するのは手続き上、間違っていると述べ、タイムラインの議論を議題書に加えるよう求めた。
南アフリカは、非公式協議には全ての国の政府が参加できるわけではないとして、懸念を表明、ケニアは、IPCC-64で、即、タイムラインの議論を開始するよう求めた。IPCC副議長のLadislaus Chang’aは、非公式協議のための休憩を求めた。議長のSkeaは、副議長に対し、ハドルの開催を招請した。
火曜日午後、Chang’a副議長は、タイムラインの議題書への追加が支持を集めたと報告した。議題書に「AR7のタイムラインでの進捗」という項目を追加し、ブラジルとカナダを共同議長とするコンタクトグループを結成することで、正式合意した。
パネルは、この新しい議題項目を加えた議題書(IPCC-LXIV/Doc. 1, Rev.3, Add.1)を承認した。
第61回、第62回、第63回の会合報告書草案の承認
水曜日午後、パネルは、IPCC第61回総会(IPCC-LXIV/Doc. 4)、第62回総会(IPCC-LXIV/Doc. 5)、第63回総会(IPCC-LXIV/Doc. 8)の会議報告書草案について、議論した。
ドイツは、ベルギーの支持を得て、報告書には、発言者の氏名が記載されておらず、透明性に懸念があると表明、フランスは、各国の立場が明確にされていないとして、実際には何が起きていたのか、分かりにくいと指摘した。
チリは、パナマの支持を得て、「quantifiers(数量詞)」を使うべきでないと指摘した。パナマは、ドイツの支持を得て、報告書は可能な限りの事実を記載するべきで、発言者の人数や国名を記載して、明確な議事録にするべきだと述べた。
オランダは、数量詞の表現を工夫するとか、意見発表した国名を明らかにするなど、透明性を高める方法はあると述べた。スイスは、UNFCCCなどが採用している手法の調査を提案した。
サウジアラビアは、インドの支持を得て、IPCC-63の報告書草案は改善されているとし、承認すべきだと述べた。サウジアラビアは、特定の意見の支持者の人数、反対者の人数の明示に反対し、それぞれのメンバーの意見は、同じウェートを持つべきだと指摘し、各ステートメントと、先進国または開発途上国の発言者との紐づけを提案した。インドは、口頭での発言内容の明記では、長文になると述べた。
トルコは、議論の中身の豊富さ及び多様さが報告書草案に反映されていないと述べた。アンティグア・バービューダ及びエジプトは、会議でおきたことを正確に記載するべきと主張した。
議長のSkeaは、IPCC副議長のDiana Ürge-Vorsatzに対し、ハドルを開催し、事務局へのガイダンスを議論するよう招請した。
金曜日、議長のSkeaは、報告書の質は、第63回会合のが、第61回や第62回会合のそれよりも良かったとのコメントが寄せられたと指摘し、この第63回会合報告書の採択を提案した。
ドイツは、多様な意見の記載など、報告書の改定を認めてもよいが、意見の一致がないと指摘、採択そのものに反対した。
フランスは、透明性が必要だとし、参加者の発言内容を全て記載するよう求めた。サウジアラビアは、そのような手法は受け入れられないとし、第63回及び第62回の報告書草案の採択を支持した。インドは、報告書を変更することなく採択するよう求め、IPCCは意見の一致を原則としていると強調した。
ベルギーは、だれも意見の一致の原則から離れることを求めているのではない、透明性を求めているのだと強調した。
議長のSkeaは、意見の一致がなかったとして、報告書をIPCC-65に送ると述べた。
最終決定: 決定書(IPCC-LXIV-6)において、IPCCは、第61回、第62回、第63回の報告書草案の審議を、第65回会合に先延ばしした。
オブザーバー組織の承認
火曜日午後、IPCC法務官のJennifer Lew Schneiderは、上記議題項目(IPCC-LXIV/Doc. 2)を提示し、IPCCでは263の組織がオブザーバーとして承認されており、新たに20の組織が承認を申請していると指摘した。
ロシアは、オブザーバー組織は気候変動に関する研究などの業務を実証する必要があるのかと尋ねた。法務官は、オブザーバーの立場を申請するものは全て、IPCCの設立目的、目標、マンデートに沿うことが要求されると確言した。
サウジアラビアは、前回の会合で保留された4つの組織について、申請を却下すべきではないかと述べた。さらに特定の組織を特別扱いしていると指摘した。
議長のSkeaは、申請書の扱いはIPCCの統括原則及び手順のレビュー事項であるとし、今回の20件の申請者には、前回で保留された組織は入っていないと述べた。
パネルは、20件の新しい申請者をオブザーバーとして承認した。これには、4件の保留された申請者は含まれていない。
最終決定: 決定書(IPCC-LXIV-2)において、パネルは、オブザーバー組織の承認に関するIPCC統括原則及び手順に基づき、次の組織にIPCCオブザーバーの地位を認めると決定する:
1. Abibinsroma Foundation
2. Association pour l’innovation et la recherche au service du climat (AirClimat)
3. Discover Model United Nations Foundation (DMUN)
4. Earth’s Climate for Sustainable Development Foundation (EC4SDF)
5. HATOF Foundation
6. Mediterranean Youth Foundation for Development (MYF)
7. Out for Sustainability (Out4S)
8. Researchers’ Desk
9. Rock Institute for Global Decarbonization Progress (RIGDP)
10. Silver Lining
11. Society of Entrepreneurs and Ecology (SEE)
12. United Cities and Local Governments (UCLG)
13. Université Côte d’Azur
14. Verità Onlus – International Diplomacy (V.O.I.D.)
15. Association Congolaise pour le Développement Agricole -France (ACDA)
16. Alliance Internationale pour la Défense des Droits et des Libertés (AIDL)
17. California Institute of Technology (Caltech)
18. Fédération des Coopératives des Pays de Mayoko France (FECOPAM-France)
19. Nanjing University of Information Science & Technology (NUIST)
20. Partnership for Policy Integrity (PFPI)
IPCC統括原則及び手順のレビュー
火曜日午後、IPCC法務官のJennifer Lew Schneiderは、この議題項目 (IPCC-LXIV/Doc. 6, Corr. 1) を提示、IPCCの統括原則及び手順は、少なくとも5年に1回レビューすると規定されているが、前回は、COVID-19のパンデミックの影響で延期されたと説明した。審議対象要素は、IPCC議長が事務局と協力して、意見を集めてきたと指摘し、統括原則及び手順の要素において、解釈が難しいもの、実施が困難なものを抽出したと述べた。同法務官は、執行委員会に対しインプットの提供を求めた後、そこでの意見をまとめて、第70回議長団会合に提示したと述べた。
法務官のLew Schneiderは、議長団は次の12項目を優先項目としたと、述べた:執筆者の選考基準;執筆者選考の責任;各章の科学者;文献/先住民の知識及び地方の知識の範囲;査読編集者の選考基準と責任;議長、副議長、作業部会共同議長の委任条件;技術サポートユニット(TSUs)の委任条件;開発途上国の参加及び資金面の配慮;カーボン・フットプリント及び参加性;人工知能(AI);著作権;利益相反のタイミング及びガイダンス。
議長のSkeaは、統括原則及び手順のレビューはパネルの審議事項であると強調し、執行委員会や議長団での審議は、この問題の審議に予断を与えるものではないと述べた。同議長は、今回の会合で議論されたことで、レビューしたということにはならないと指摘し、どのようなレビューをしたかが問題なのだと述べた。
アンティグア・バービューダは、ノルウェーの支持を得て、参加性を高め、AR7サイクルで直ちに応用できる要素の議論を優先するよう求めた。
ロシアは、専門家の選任を優先するよう求め、政府による推薦は報告書の信用を確立するとし、進展を図るため、それぞれの会合で議論する議題を2項目または3項目に絞ることを提案した。
サウジアラビアは、この文書を基に議論するのは時期尚早だとし、メンバー主導のレビュー・プロセスで合意するべきだと述べた。
ノルウェーは、12の優先分野を導き出したプロセスを歓迎する一方、IPCCの統括原則及び手順は有用ではあるが、改善可能な分野もあると述べた。
インドは、大規模なレビューに反対し、衡平性の面で懸念される分野があると指摘、議長団での再審議を提案した。議長のSkeaは、これは政府主導のプロセスであり、議長団のインプットは、パネルでの審議に予断を加えるものではないと述べた。
ドイツは、選挙規則及びAIの利用など、特定の場合は、ガイダンスの追加が有用であると述べ、会合期間外でも議論するタスクグループの設置を提案した。ブラジル、ロシアなどは、レビューするべき項目を議論するためのタスクグループの設置を支持した。
スウェーデン、オーストリア、中国は、現在の統括原則及び手順を大きく変える必要はないとし、変更する場合は、限定的で、焦点を絞り、正確なものにするべきだと述べた。カナダ、イタリア、南アフリカは、実施方法やガイダンスの改善ですむのではないかと述べた。
英国は、現在の統括原則及び手順は、IPCCの作業の礎を提供していると指摘、評価サイクルの次の段階には多くの作業が控えており、統括原則及び手順の議論は、焦点を絞ることが重要だと述べた。アイスランドは、実際的で建設的な手法を求め、会合期間外でのプロセス遂行を支持し、レビューの議論で、AR7報告書の発行に影響を与えるべきでないと述べた。オーストラリアは、現在のプロセスは十分合理的であり、統括原則及び手順のレビューは、的を絞り、一定の時間枠で完成させるべきだと述べた。
スイスは、チリ及びイラクの支持を得て、現実的な手法を取り入れるべきだとし、議長団作成のリストに基づく、パネルでの議論を提案、合意の可能性がある項目に絞って議論するよう求めた。
デンマーク及びトルコは、統括原則及び手順の定期的で的を絞ったレビューを支持し、韓国、中国、フランス、アゼルバイジャンとともに、議長団リストに注目した。スウェーデン及びベルギーは、議長団リストのうち、著作権に関する政策方針、及び利益相反政策などの策定を優先するべきと述べ、会合期間外での作業は明確なマンデートを持つべきと述べた。
ブラジルは、AIに関する政策方針の策定が重要だと指摘、ベルギー、韓国、サモアとともに、文献を評価する際は、先住民の知識及び現地の知識を議論することが重要だと強調した。
北マケドニアは、執筆者の選任、及び地域バランスの重要性を強調し、透明性及び一貫性も重要だと述べた。
オランダは、ルクセンブルグの支持を得て、大規模なオーバーホールやレビューに警告をし、ベルギーとともに、作業部会副議長の選出規則を明確にするよう求め、過去のプロセスにおける選出方法に懸念を表明した。
日本は、一部の項目では意見の一致は困難ではないかと指摘し、議長団及び事務局が効果的に作業できるようにするべきと述べた。
ケニア,は、タンザニアの支持を得て、多様な知識を網羅できるよう、参加性を高める必要があると強調した。ケニアは、議長団リストにない項目は、どのように議論するのかを質問した。
ネパール、南アフリカ、モロッコ、インドネシア、サモアは、明確で参加性の高いレビュー・プロセスが必要だと強調した。ブラジルは、参加性が高く、オープンエンドで、メンバー主導のプロセスにするべきだと述べた。
アンティグア・バービューダは、資金能力に限界がある国の参加を促進するには、資源が必要だとし、プロセスでは、ある程度、解決の見込みがある問題に焦点を当てる必要があると強調した。
南アフリカは、参加者には、レビューの準備をするための十分な時間を与えるべきだと強調した。
インドは、レビュー終了の時間枠に反対し、オープンエンドにするべきだとし、タスクグループの設置は時期尚早だと述べた。インドは、サウジアラビアとともに、IPCC事務局による、レビュー項目に関する各国の意見をまとめた報告書の作成を提案した。
法務官のLew Schneiderは、IPCCの規則では、統括原則及び手順を5年ごとにレビューするべきと規定しており、改定された場合は、直ちに効力を有する、選挙規則は一般的な特性を有し、作業部会の副議長に焦点を当てる規則は存在しないと明言した。
議長のSkeaは、会合期間外のタスクグループ設置に対し、支持が集まっていると指摘、当該グループのマンデートを議論し、総会に提起する題目を特定するため、ハドルを提案した。
ドイツはこの提案を支持した。
インドは、議長案のどちらにも反対し、参加性の向上を求めた。サウジアラビアは、提案に反対し、タスクグループでは意見が一致しなかったと指摘、事務局作成の文書に基づく議論の進行に反対し、メンバーに対し、レビューするべき項目に関する意見発表を求め、事務局は、メンバーの意見を回覧して集め、IPCC-65での審議にかけるべきだと述べた。
議長のSkeaは、まず、タスクグループを結成するべきかどうか、ハドルで議論し、次にパネルメンバーがそれぞれの優先項目を明らかにして、総会での議論に移ることを提案した。IPCC副議長のRamón Pichs-Madrugaがハドルを招集した。
水曜日朝、Pichs-Madruga副議長は、タスクグループの結成については、反対意見がなかったが、創設のタイミング及びプロセスの順序では意見対立があったと述べた。
インドは、優先すべき項目の中では、タスクグループ結成のタイミングで意見が一致しなかったと述べた。
Lew Schneider法務官は、レビューでは、(統括原則及び手順の)重要な改定案、部分的改定案、IPCCの慣習の変更、あるいは、パネルの作業をタイムリーかつ確実に実施するためのガイダンスの策定について、審議可能だと明言した。
ルクセンブルグは、議長団リストのうち最善の改定項目を特定するため、IPCC法務官がガイダンスを策定することを提案した。
議長のSkeaは、今後の進め方に関し、メンバーからのインプットが必要だと述べた。各国は、統括原則及び手順のレビューでの優先分野を特定した。
著作権、利益相反手順、AI、開発途上国及び後発開発途上国の参加支援による参加性の向上、先住民の知識及び現地の知識の取り入れなどの優先度が高いと指摘された。
統括原則及び手順はうまく機能していると指摘する国も多数存在し、IPCC-65で終了可能な限定的なレビューを支持した。アンティグア・バービューダは、ベルギー、オーストラリア、サモアの支持を得て、IPCC-64でのレビュー開始、会合期間外の作業、議長団作成の優先項目リストに基づく議論を、提案した。
英国、スウェーデン、ニュージーランド、エストニアは、どの項目から審議を始めるか、法務官の助言を求めた。
サウジアラビアは、次を優先した。
- 他のプロセスの会議とのオーバーラップ回避;
- 十分な評価を行うのに必要な時間をベースに、IPCC報告サイクルごとに、時間枠を定義する;
- IPCC総会会合では、開発途上国の全面参加を確保する;
- グローバルサウスの文献を活用、全地域からのインプット及び経験を収集、これを反映させる;
- 会議のスケジュールを調整し、宗教上の休日と重ならないようにする;
- ワークショップへの招待は、パネルもしくは議長団の承認を得るものとする;
- ワークショップでは、適用可能な意見及び推奨案を議論し、専門家の一致した意見を反映させる;
- 政府レビューの役割を明確にする;
- サブ地域代表のバランスをとる;
- UNFCCCプロセスと適切な調整を行う;
- 軍関係のオブザーバーを排除する;
- IPCCの決定は全て満場の意見一致を条件とする、これには手順上の決定書も含める;
- IPCCの報告書サイクルには、固定したタイムラインを設定する。
サウジアラビアは、さらに、次のように発言した:IPCCは、オブザーバーの承認において、欧州連合の場合、統括原則及び手順による再評価を行い、全EU加盟国による透明かつ一貫した形での参加を可能にするべき。
ベネズエラは、科学文献の量の急激な増加を指摘し、サイクルの期間短縮は開発途上国に悪影響を与えるとして懸念を表明した。アルジェリアは、開発途上国代表団の規模拡大を支持した。
ブルンジは、報告書を数か国語に翻訳し、地域ワークショップを開催するよう提案した。
マラウィは、作業部会を横断する、若年研究者の参加推進が重要だとし、承認会合に参加する開発途上国代表の人数増加を求めた。ネパールは、執筆者の選任の際は、地域内バランス、小地域バランスをとることを支持し、若年研究者の参加奨励も重要だと述べた。
日本、ガンビア、その他は、バーチャル方式かハイブリッド方式かの議論を支持した。サウジアラビアは、バーチャルな参加は、対面式の交渉の代替策にはならないと強調、接続リスクの問題もあり、開発途上国は、旅費の支援がなければ、対面式の交渉には参加できず、ハイブリッド方式を希望する可能性があると述べた。
オランダは、IPCCの政策関連性を損なう、あるいは意思決定を妨げる提案には反対すると述べた。フランスは、政策関連性の保持が重要だと述べた。
ロシアは、AR7の執筆者選任は公平であったとし、執筆者は、AIを権威ある情報源として用いるべきでないと述べた。ケニア、ベルギー、インド、ブラジルは、AIの利用に関するガイドラインを求めた。イラクは、AIの導入を支持、時間の節約になりうると述べた。
日本、ケニア、サモア、フランスは、各章の科学者の立場への配慮を支持し、日本は、各章担当の科学者を選任する場合は、調整役代表執筆者の意見を尊重するべきと述べた。
スイスは、IPCC-65後のタスクグループ設置では、このグループから総会へのフィードバックはないと指摘、スウェーデンの支持を得て、第6次評価サイクルから学んだ教訓に関する特別作業部会の文書(IPCC-LXI/Doc. 9)に注目するよう求めた。
韓国は、タスクグループの設置では、おおよその意見が一致していたと指摘し、このグループのIPCC-64終了時の設置、及びIPCC-65への報告を提案した。
ノルウェーは、カーボン・フットプリントの追跡と参加性の間に齟齬はないと強調し、正しい利益相反政策が重要だと述べた。
サウジアラビア及びインドは、IPCC-65で、各種提案を取りまとめ、統合して審議するよう提案し、サウジアラビアは、時間を区切るべきでないと述べた。インドは、次を優先問題として挙げた:意見の一致なしの決定はするべきでない;政府による連続レビューは行わない;関連会合日程及び主要な宗教上の休日との重複を避ける;IPCCのサイクルを、包括性及び参加性確保のため、7年周期とする。
ロシアは、IPCCの独立性保護に関する表現を入れるよう要求、さらにIPCC自体のペースでの行動を可能にするよう求めた。フランスは、この作業はIPCC-65で終わらせる必要があると強調した。
法務官のLew Schneiderは、議長団作成の12項目のレビュー案、及びそれぞれの適切性を示す表を提示した。同法務官は、各項目の扱いについて、何が適切かを決めるのはパネルであると指摘した。
インドは、議長団リストの項目と、メンバーが提起した項目の両方について、事務局によるとりまとめと、メンバー間の配布を求めた。
サウジアラビアは、この表は議長団の項目だけだとして、懸念を表明、メンバーが指摘したすべての項目も審議するべきだと述べた。
IPCC議長のSkeaは、今後の進め方を議論するコンタクトグループの設置を提案した。
サウジアラビアは、インドの支持を得て、事務局に対し、提案されているコンタクトグループで議論されるべき、メンバー提起の項目のリスト作成を要請した。議長のSkeaは、これに同意し、メンバーに対し、それぞれが提起したい項目を速やかに事務局にメールするよう求めた。同議長は、Lydia Elewa (エジプト)及びFrank McGovern (アイルランド)に対し、コンタクトグループの共同議長を務めるよう要請した。
金曜日、McGovern共同議長は、コンタクトグループでの議論内容を報告、現在の統括原則及び手順は十分機能しているが、定期的なレビューが不可欠であるとの指摘があったと述べた。同共同議長は、タスクグループ設置の可否、及び設置のタイミングでは合意が得られず、一部のものは、IPCC-65でのレビュー終了を希望したが、他のものは、次回会合からのレビュー開始、及び長期の継続レビューを希望したと述べた。
議長のSkeaは、次を記載する、コンタクトグループ共同議長作成の決定書草案を提示した:IPCCの統括原則及び手順は確立しており、十分機能してきた;定期的なレビューの重要性及び必要性を認める;統括原則及び手順のレビューに関する議長団及び事務局の準備作業に感謝する;事務局の報告書(IPCC-LXIV/Doc. 6, Corr. 1, Add. 1)に記載する情報及び分析の有用性を認める。
サウジアラビアは、インドの支持を得て、決定書草案には明確なプロセスが記載されておらず、誤解の可能性があると述べた。インドは、このグループでは合意に達していないと強調した。
コロンビアは、統括原則及び手順のレビューは終了し、2031年に再度検討する予定と明記することを提案した。サウジアラビアは、この提案に反対し、レビューは始まったばかりだと述べた。
コンタクトグループ共同議長は、改定した決定書草案を提示した。
サウジアラビア、インド、ケニアは、統括原則及び手順は十分機能しており、確立しているとの記述に、異議を唱えた。ドイツは、この表現は総会での発表を反映したものだとし、改定及び改善は他の方法でも行えると再度述べた。インドは、これに反対し、他の方法で統括原則及び手順を改正できるのなら、それはレビューではないと述べた。サウジアラビアは、レビューのための扉はいつでも開けてあると強調した。
ノルウェーは、意見の一致がなかったことは、統括原則及び手順の改正の適切性を意味すると解釈しうるとし、したがって、レビューは終了したと解釈可能ではないかと述べた。
議長のSkeaは、意見の多様性を指摘、パネルに対し、多少改定した文書を基に検討してはどうかと述べた。パネルは、追加の議論なしで、決定書を採択した。
最終決定:決定書(IPCC-LXIV-5)において、IPCCは、本会合で表明された意見の多様性を指摘し、「文書6, Corr. 1, Add. 1, Rev. 1」に留意し、IPCC統括原則及び手順のレビューは将来会合で行うのが適切であると決定する。
AR7のタイムラインにおける進展
今回の会合において、上記の作業計画の議題追加が決定されたことを受け、水曜日朝、コンタクトグループ会合が招集された、このグループのマンデートはAR7のタイムラインに関する進捗状況について、パネルに助言することとされた。このグループの共同議長は、Pedro Ivo Ferraz da Silva (ブラジル)及びChris Derksen (カナダ)が務めた。
水曜日午後、共同議長のDerksenは、次のステップについて意見が一致しなかったと述べた。サウジアラビアは、インドの支持を得て、この問題への緊急対応の必要性を強調し、合意できなかった場合は、2027年のAR7の予算及び活動の承認に影響すると指摘した。
木曜日朝、コンタクトグループ共同議長のFerraz da Silva及びDerksenは、さらなる意見交換の必要性を指摘した。作業部会II共同議長のWinston Chowは、執筆にかかわる科学者は、タイムラインに関し、政府側から明確な方向性が示されるのを待っている状況だと述べた。議長のSkeaは、メンバーに対し、タイムラインの議論を進めるプロセスに関し、意見や提案を発表するよう求めた。
シンガポールは、カナダ、ネパール、キューバ、中国、タンザニア、韓国、メキシコの支持を得て、今回の会合に出席していないメンバーが多いと指摘、さらに出席していても、議論の準備ができていないものも多いと述べ、メンバーから事務局に、タイムラインに関する意見の提出、事務局によるこれら意見書の回覧、そして提出文書をまとめたサマリーの作成、IPCC-65でのオプション報告書の提示を提案した。
スウェーデン、スイス、ドイツ、キューバ、タンザニア、サモア、メキシコ、ジンバブエ、アゼルバイジャンは、参加性への懸念を表明、この会議に出席していない国の存在を指摘した。アンティグア・バービューダは、参加性及び能力の問題を検討するべきと述べ、今回の会合に出席していない小島嶼開発途上国(SIDS)の多くは、意見書の提出を希望する可能性が大きいと指摘した。
クック諸島は、ドミニカ共和国、ルクセンブルグ、パラオ、オーストラリア、バヌアツ、フィンランド、サモア、ニュージーランド、ノルウェー、イタリア、ベリーズ、チリ、パナマの支持を得て、共同議長提出のタイムラインにはレビュー・プロセスの時間が十分とってあり、現在のAR7サイクルの段階では、時間の要素が極めて重要なことから、メンバーからの追加の意見書提出を招請するべきでないと述べた。
スウェーデン、スイス、チリ、トルコ、ドミニカ共和国、デンマーク、ルクセンブルグ、パラオ、オーストラリア、バヌアツ、フィンランド、サモア、ニュージーランド、ノルウェー、オーストリア、ベリーズは、タイムラインのプロセスは共同議長が主導するべきだと述べた。
サウジアラビアは、バーレーン、ベラルーシ、イエメン、ケニアの支持を得て、タイムラインでの合意がない場合、IPCC予算の承認に支障をきたすのを避けるため、それぞれの立場を超えて、オプションを議論するよう求めた。さらに、スケジュールの調整、参加性、能力の問題、UNFCCCプロセスとの調整、開発途上国からのインプットを可能にする時間枠なども、議論する必要があると強調した。タイムラインについては、2028年及び2029年の作業部会報告書の承認を予定するよう提案した。
ケニアは、次を強調した:執筆者には、コメントを理解し、対応するための時間が必要;レビューの実質的な作業時間、レビュー作業及び承認作業を連続して行うことの回避、UNFCCC会合との重複の回避を考慮するべき;IPCC-64での追加議論の提案。
ベリーズは、今会合ではタイムラインの議題への追加など、柔軟性があるとする一方、追加しての審議では、少数のメンバーの立場のみ反映される可能性があるとして懸念した。
ロシアは、特定の提案の審議を支持し、サウジアラビアの提案は、十分考えられたものだと述べた。
南アフリカは、参加性の問題、及び第2回グローバルストックテイクへの科学的インプット提供の可能性について、多様な意見があると指摘、作業部会の共同議長に対し、これら多様な意見の橋渡しをする新しいオプションの作成を要請した。
ハイチは、能力の欠如を理由に、開発途上国及びSIDSが意思決定から外されることがあってはならないと、強調した。
パナマは、全てのメンバーによる意思決定への参加が重要だと強調した。
オランダは、次を強調した:タイムラインでこれほどもめたことはなかった;第2回グローバルストックテイクまでにAR7を提供できない場合は、AR7の政策関連性が弱められる。オランダは、IPCC-65の前の提出文書レビューというシンガポールの提案を支持し、議長に対し、各国政府の立場に柔軟性を持たせるため、協議するよう求めた。
英国は、前例のない状況だと強調し、IPCC-65ではタイムラインで合意できるよう、各国はオプションを探求し、柔軟な立場をとるべきと提案した。さらに、信頼の構築が重要であり、共通の目標に向け、共に努力するべきだと述べた。
インドは、AR6サイクルでの開発途上国の提案を、真剣に考慮する必要があると述べ、グローバルストックテイクとの調整については、たとえ、AR7が2027年に完成しても、次の評価サイクル(AR8)の作業部会報告書は、2033年の第3回グローバルストックテイクに間に合わせられないと述べた。
リビアは、全ての意見を同等に扱うべきと述べ、パネルのメンバーに対し、開発途上国の立場への理解を求めた。
アルジェリア、タンザニア、ジンバブエは、開発途上国の能力に配慮するべきだとし、このプロセスへの適切な参画を可能にするため、時間を与えられるべきだと指摘した。チャドは、グローバルストックテイクにフィードインするというIPCCの役割を指摘し、後発開発途上国の文書レビュー能力に配慮する必要があると述べた。
ベルギーは、議題項目に関し意見を述べるには、複雑な調整プロセスを経る必要があると強調し、この点を尊重するよう求め、IPCC-65での計画に関し、さらなる情報提供を要請するというアンティグア・バービューダの提案を支持し、今後の進め方に関するオランダ及びシンガポールの提案に感謝した。
フランスは、自国は前回会合での橋渡し案の受け入れなど、顕著な柔軟性を示してきたと強調し、SIDSなどの代表団の不在で、IPCC-64での議論は参加性の低いものになったと述べた。コロンビアは、気候行動の必要性を強調し、気候の政策立案では科学情報をタイムリーに得ることが重要だとし、高い参加性も重要であると指摘した。
ネパールは、この問題の緊急性を強調し、タイムラインでの遅れは、特に少人数の代表団に課題をもたらすと指摘した。
ギニアは、IPCCプロセスでの開発途上国の参加性を向上させる必要があると述べた。
中国は、IPCCのアウトプットは気候政策の立案に役立つとし、グローバルストックテイクへのインプットが全てではないと述べ、イムラインの設定における共同議長及びパネルの両方の役割を指摘した。
韓国及びパナマは、グローバルストックテイクへのIPCCインプットの価値を強調した。
サウジアラビアは、タイムラインの設定ではIPCCの作業の複雑性に対応できるだけの時間的余裕を組み込むべきだと発言し、IPCCのマンデートは、グローバルストックテイクへのインプットだけではない、外部のタイムラインに合わせるため、サイクルのタイムラインを短縮するのは不適切であると述べた。
インドは、そもそもタイムラインが当初の議題に入っていたのはなぜかと質問し、タイムラインに関する共同議長案には不満を持つメンバーがいると指摘し、メンバーによる事務局への文書提出という提案を支持した。
ロシアは、執筆者及び編集者に質の高い作業をしてもらうだけの時間を提供することが重要であるとし、グローバルストックテイクへのインプットは、IPCCを成功させるうえで重要ではないと述べた。
ブルンジは、科学的な十全性へのリスクを過小評価しないよう警告し、脆弱な諸国は、IPCCの報告書のデータに基づき、適応戦略を立てていると強調した。
ネパールは、IPCCの選ばれた指導部を信頼していると述べ、バングラデシュは、IPCC議長及びWG共同議長らへの信頼を表明、AR7はグローバルストックテイクに最善の解を提供することが重要だと述べた。
ハンガリーは、締切日を延長しても参加性が高まるわけではないとし、不確実性が高まると作業計画の策定が困難になると9強調した。
協議のための短時間の休憩を経て、議長のSkeaは、事務局にオプションペーパーの作成を要請し、それを各国政府に回してコメントを求め、IPCC-65での決定に至る方策を探ってはどうかと提案した。
インドは、サウジアラビア及びロシアの支持を得て、タイムラインのオプションに関する提案及び意見をまとめるためのタスクグループの設置を希望した。
オランダは、議長の提案を支持し、新しいタスクグループを作っている時間はないと述べた。
議長のSkeaは、IPCC副議長のChang’aに追加議論のためのハドル招集を要請した。
金曜日、副議長のChang’aは、ハドルでは一定の進展があったと報告、議長及び事務局に対し、タスクグループの期間外会合を統括し、その結果をパネルに報告し、タイムラインに関する意見交換を進めるよう委任するとの、決定書草案を提示した。このタスクグループは、オープンエンドで、全ての加盟国の代表に開かれたものとし、IPCC議長が事務局の支援を得て、議長役を務め、2名の共同進行役と2名の報告官を有する。
インド、ブラジル、ロシア、サウジアラビア、ケニア、ベラルーシ、中国は、提示された決定書草案を支持し、サウジアラビア、ケニア、ブラジルは、この草案は、バランスのとれた参加性の高い進め方を示していると述べた。
パナマ、チリ、ベルギー、オランダ、ノルウェー、コロンビア、スウェーデン、クック諸島、フランス、スイス、イタリアは、決定書草案は支持できないと発言、パナマ、イタリア、コロンビアは、メンバー間の議論が反映されていないと指摘した。フランス、クック諸島、トルコは、タスクグループは不要だと発言、アンティグア・バービューダ、ベルギー、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、クック諸島、フィンランド、スイスは、議長による非公式協議開催を提案した。
クック諸島、パナマ、スイス、ベリーズは、作業部会の共同議長らが作成したタイムラインベースに議論するべきだと述べた。
IPCC議長のSkeaは、意見の一致が無かったとして、タスクグループへの言及を削除し、作業計画の審議をIPCC-65まで延期することを提案、改訂した決定書草案を提示した。
インド、リビア、バーレーンは、改定案に反対し、インドは、パネルはタイムラインに関する最終責任を負うべきだと強調した。バーレーンは、タイムラインは緊急性を持って扱われていないと述べた。リビア、アンゴラ、タンザニア、ベネズエラ、ブルンジ、キューバ、ギニア、ケニア、アルジェリア、チュニジア、アゼルバイジャン、ボツワナ、イラク、トルクメニスタン、ロシア、サウジアラビアは、改訂された決定書草案に反対し、改訂前の原案を支持した。
ハイチは、改定案を支持、オーストリアは、改定に完全に納得したわけではないが、妥協は可能だと述べた。ドイツ、モルディブ、エストニアは、改定案は受け入れ可能だと述べた。
アンティグア・バービューダ、クック諸島、ベリーズ、パラオ、シンガポール、アイスランド、コロンビア、オランダ、ネパール、ウクライナ、バヌアツ、サモア、スイス、スウェーデンは、決定書なしで、議論を進めることを支持した。オーストラリアは、科学に基づくタイムラインを強く支持すると述べ、作業部会共同議長らとTSUs.の努力に対し、感謝を表明した。
ネパールは、スイス及びスウェーデンの支持を得て、議論はいつまで続けられるのかを問い、開発途上国の参加者は、まもなく帰国しなければならないと指摘した。
ニュージーランド、英国、ベルギー、デンマークなどの諸国は、改定文書を議論する意思があると表明した。
南アフリカは、オプションペーパー作成及び期間外の政府提案招請という議長原案の議論を提案した。ナイジェリア及び韓国は、期間外に作業することなく、議論を先延ばしすることに懸念を表明し、次回も同様な議論を繰り返すリスクがあると指摘した。
カナダは、IPCC-65までの議論先延ばしを支持し、今回の会合で議論するだけの時間が無いと指摘した。
チャド、オランダ、イタリアは、会合期間外での非公式協議を支持した。
インドは、IPCC議長及び事務局による期間外での非公式協議を開催し、メンバーの意見提出を規定する決定書草案の議論を、再開するよう提案した。
議長のSkeaは、メンバーがそろっているうちに、会合を終わらせるべく、インドの提案を議論する短時間のハドル開催を提案した。
ハドル後、議長のSkeaは、意見の一致は無かったとして、決定書なしでのこの項目の議論を閉会した。
その他の活動
IPCC信託基金の資金調達:木曜日、事務局は、この項目の文書(IPCC-LXIV/INF. 12, Rev. 1)を提示し、IPCCの運営は加盟国及び組織からの自主的な資金供与に依存していると指摘、2024年及び2025年では、IPCC信託基金からの歳出額が歳入額を上回っているとし、2026–2029年の期間の歳出について、3つのレベルを想定、それぞれに必要な資金貢献額のシナリオを、次のように想定した:1) 年間資金貢献額を、年間の歳出予想額に等しくする場合;2) 年間資金貢献額をAR7期間中のIPCCの運営維持に必要な最小限とする;3) 年間資金貢献額を現状維持のままとする。3つの資金貢献額シナリオに対応する歳出レベルを次の3つと想定する:1) 従来通り(business-as-usual);2) 複数以上の歳出項目を一部バーチャル方式にすることで、歳出額を大幅に削減する;3) 運営を完全にバーチャルにし、複数の活動を中止することで、極めて多額の歳出額削減を実施する。事務局は、資金貢献額の大幅な増額がなければ、多額の年間赤字が続き、AR7サイクルの完成を妨げかねないと述べた。さらに、資金貢献額曲線の現状では、IPCCの現金収支は、2028年末に完全に枯渇するとも述べた。
バーレーンは、十分な参加者を確保するには、対面式の会合を続けることが重要だとし、タイムラインのレビューを予算に沿うものにすることを提案した。
日本は、資金は憂慮すべき状況にあると発言、韓国は、資金の赤字を懸念し、今年度の信託基金への貢献額を倍増すると発表した。
フランスは、コスト削減が必要だとし、バーチャル会合方式を探る必要があると述べた。
インドは、予想されている作業量の想定に疑念を示した。
ドイツは、このサイクルでの資金貢献額の増額がなければ、計画を遂行できないとし、資金タスクチームの方で、資金貢献額の増額及びコストの削減に向けたオプションを探ることを提案した。
ベルギーは、IPCCへの寄付者の範囲を広げる努力をするよう提案し、総会を年1回に減らして、対面式か完全バーチャル方式で開催することを支持、ハイブリッド方式は、コスト削減や参加性向上には結びつかないと述べた。
アルジェリアは、対面式が不可欠だと強調し、参加できないものに、バーチャル方式のオプションを提供するべきだと述べた。
オランダは、国連の評価基準を基本原則として利用することを提案、これは国際的に承認され、多様な資金能力に対応すると述べ、これにより透明性を高めることで、貢献額の増額に結び付けられると指摘した。
欧州連合は、IPCC活動を支持し続けており、オブザーバー組織ではあるが、信託基金への寄付額ではトップ3に入っていると指摘、ただし、これまで通りの資金貢献を行うとの想定には警告し、事務局に対し、この問題で、より密なコミュニケーションをとるよう求めた。
ケニアは、このプロセスの正当性を確保するには、開発途上国の広範な参加が不可欠だと強調し、参加性保持の努力を奨励した。
ノルウェーは、事務局及び資金タスクチームに対し、IPCC-65での議題に関する提案書作成を求めることを支持し、加盟国の動員、資金貢献者を加盟国以外にも広げることの良し悪し、節減の機会などの提案も含めるよう求めた。
英国は、オプションに関する事務局のペーパーは有用であるとし、自国の貢献分については、現在検討中であると述べた。
事務局長のMokssitは、スウェーデンは、資金貢献の150%増額を約束していると述べ、全ての国に対し、資金貢献を行う、あるいは総会会合の主催を奨励した。
第61回会合における総会前のブリーフィング会合:木曜日、事務局は、この議題項目の概要文書(IPCC-LXIV/Doc. 3)を提示し、総会前の会合でのアンケート調査では、回答者の96%が、将来のIPCC会合でも、総会前の会合を開催するべきだと述べていると指摘した。さらに、対面式のブリーフィング会合開催のコストは、推計で530,000スイスフランであると指摘した。
日本、ボツワナ、ケニア、ドイツは、この種の会合の有用性を説いた。
フランスは、会合開催の費用を節約するため、今後の会合はリモートで行うことを提案、韓国は、総会会合の1,2週間前にバーチャル方式でブリーフィングを行うことを提案、ベルギーは、バーチャル方式での会合開催では、全ての時間帯に配慮する必要があると指摘した。
サウジアラビアは、エジプトの支持を得て、総会前のブリーフィングは、オープンで、参加しやすく、対面で行うべきだと述べた。ケニアは、バランスを重視し、バーチャル方式は相互の意見交換には理想的とは言えないと指摘した。
事務局は、これらのコメントに留意し、パネルはブリーフィングの開催を決定済みだが、その頻度と方式を決定する必要があると述べた。IPCC事務局長のMokssitは、事務局はこのプロジェクトの最適化と、付加価値の付与を目指すことになると述べた。
金曜日夜、この項目の議論が続けられ、決定書草案が審議された。
IPCC副議長のChang’aは、総会前のブリーフィングは、参加性の向上及び開発途上国の積極的な総会への参加という意味で、かなり有用であったと発言した。
日本、スイス、ベルギーは、プレ総会会合ではバーチャル方式の参加を優先するべきで、これを除外してはならないと発言した。スイスは、対面式でブリーフィングを行うなら、総会と切り離してはならないと述べた。オランダ及びスイスは、対面式の会合を開催する場合、資金力のあるなしを条件にしてはならないと述べた。
サウジアラビアは、決定書草案を支持、この問題では公平性と参加性が問われていると述べ、会合はバーチャル方式ではなく、対面式で開催するべきだと述べた。
ブラジルは、決定書草案を支持した。ケニアは、会合の価値を強調、提案されている文書はバランスがよく、資金への影響も考えられているとする一方、バーチャル方式は不平等の溝を深めるだけだと述べた。
スイスは、オランダ及び日本の支持を得て、会合をバーチャル方式とするか、対面方式とするか、事務局で決められるとする書き換えを提案した。
パネルは、この文書を変更することなく、採択した
最終決定:決定書(IPCC-LXIV-4)において、パネルは、IPCCの総会の前にブリーフィング会合を定期的に開催すると決定する。
気候変動の評価を目的とするデータ・サポートに関するタスクグループ:金曜日、パネルは、タスクグループの報告書(IPCC-LXIV/Doc. 7)について審議し、第7次評価サイクルにおけるTG-Data作業計画で合意した。合意の中には、作業部会への支援、データ流通センターとの協力、データ管理ガイダンス、アーカイブ、アウトリーチ、デジタル製品のレビューなどの支援が含まれる。
最終決定:決定書(IPCC-LXIV-3)において、パネルは:
- 第7次評価サイクルにおけるTG-Dataの作業計画を承認する、この計画には、作業部会の支援、データ流通センターとの協調、データ管理に関するガイダンス、アーカイブ、アウトリーチ、デジタル製品のレビューが含まれる;
- TG-Data、作業部会、TSUs、データ流通センターのパートナー、及び事務局の間の協力関係継続を奨励し、第7次評価サイクルの期間中、IPCCデータ製品の継続性、透明性、長期のアクセス可能性を支援する。
IPCC利益相反委員会の報告書
IPCC副議長のChang’aは、利益相反委員会の議長として、2026年2月26日に開催された同委員会の会議について報告し、IPCC議長団メンバー及びタスクフォースの議長団メンバーから提出された2025年の更新用紙の審議では、利益相反は無かったとし、3つの作業部会の議長団及びタスクフォースの議長団が提出した年次報告書でも利益相反は無かったと述べた。
パネルはこの報告書に留意した。
進捗報告書
IPCC議長及び副議長の報告:木曜日、パネルは、議題項目7.1のIPCC 議長と副議長による報告(IPCC-LXIV/INF. 8, Rev. 1)について議論した。
IPCC議長のSkeaは、IPCC-63以後の議長の活動をレビューし、出席した会議について、共同議長会議、気候変動と都市に関する特別報告書の代表執筆者会議、作業部会報告書の第1回代表執筆者の合同会議を挙げた。同議長は、多様な知識体系に関するIPCCワークショップ、評価方法及び多様なアウトリーチ活動にも参加し、国連環境総会(UNEA-7)の第7回会合にも出席したと述べた。
IPCC副議長のDiana Ürge-Vorsatzは、IPCC-63以後、副議長、議長団、専門家による会合に出席したほか、評価方法ワークショップの運営委員を務め、UNFCCCの第30回締約国会議(COP)にも出席、IPCCのジェンダー行動チームを率いたと述べた。
議長のSkeaは、副議長のChang’a及びPichs-Madrugaの活動について説明し、Chang’a副議長はIPCC奨学金プログラム及び利益相反委員会で役割を果たし、Pichs-Madruga副議長は、近く出版及び翻訳委員会の仕事があると述べた。
パネルは、この報告に留意した。
事務局の報告:金曜日、事務局長のMokssitは、IPCC-63以後のIPCC事務局の活動について報告し、少人数の事務局だが広範な作業を実施したと指摘、事務局のスタッフへの感謝を表明、局内で特定の情報技術開発の作業を実施したと述べた。
サウジアラビアは、事務局の作業量はAR7の後半に巨大化するとし、作業部会報告書のタイムラインの議論では、この点も加味する必要があると強調した。
副議長のChang’aは、事務局の業務への感謝を表明し、このチームのイノベーション及び創造性に注目するよう求めた。
作業部会Iの報告:金曜日、作業部会I(WGI)共同議長のXiaoye Zhangは、WGIの進捗状況報告書(IPCC-LXIV/INF. 2, Rev. 1)を提示した。
サウジアラビアは、報告書の付属書Iについて懸念を表明した。この付属書では、世界気候研究プログラム(WCRP)とIPCCが共催した「地球系の影響の大きい現象、転換点、及びその影響結果」に関するワークショップの議事録を引用しているが、このワークショップは、パネルの承認を受けておらず、引用は適切でないと述べた。サウジアラビアは、インドの支持を得て、この付属書Iの削除を要求した。
WGI共同議長のZhangは、このワークショップは、事務局との議論を経て開催されており、IPCCの規則に従っているとし、この議事録は報告書の透明性を高めるために付したと説明、IPCCの包括性及び参加性伊のためにも含まれるべきだと述べた。
議長のSkeaは、IPCC法務官が全ての文書をレビュー済みだとも述べた。
サウジアラビアは、作業部会報告書の法的な結果を明らかにするよう求めた。
TSUによるAIオフィサーの採用について、ケニアは、これはTSUs全体でも標準化されるのかを質問した。
ベルギーは、進捗報告書のどの附属書の削除にも反対した。フランスは、附属書の内容に納得したわけではないが、その削除には反対すると強調した。
議長のSkeaは、この附属書はワークショップの報告書に付しているのであり、決定書のための情報文書として提示されたわけではないと指摘した。
サウジアラビアは、会議報告書は抜粋だとし、ワークショップ議事録を付属書にするには、行ごとの承認が必要だと指摘した。
IPCC法務官は、進捗報告書はIPCCの刊行物ではなく、パネルの承認を求めるものではないと確認した。
サウジアラビアは、インドの支持を得て、付属書の削除を主張、転換点は意見対立を呼ぶ問題だと指摘した。
議長のSkeaは、進捗報告書は各国政府の承認を求める文書ではないと述べ、専門家会議はパネルの承認を必要とせず、付属書の削除は、透明性を損なうと述べた。
サウジアラビアは、報告書に留意することはできないと述べた。議長のSkeaは、留意することなく先に進めると述べた。
作業部会IIの報告書:WGII共同議長のBart Van Den Hurkは、進捗状況報告書(IPCC-LXIV/INF. 10)を提示し、WGIIは、AIオフィサーを擁しており、他のTSUsとともに、気候変動と都市に関する特別報告書でのAIの利用に関するサポート及びガイダンスについて、議論してきたと述べた。
サウジアラビアは、転換点及び高影響現象に関するワークショップへの言及削除を求めた。
議長のSkeaは、この報告書は作業部会の活動における透明性向上を目的としており、会議への参加はその活動を率直かつ完全に説明するためのものだと述べた。同議長は、WGs間には科学というリンケージがあると指摘した。共同議長のVan Den Hurkは、このリストへの言及は適切であると述べた。
シンガポールは、気候変動と都市に関する特別報告書を承認するための総会を、2027年3月15-19日にシンガポールで開催すると発表した。
パネルはこの報告書に留意した。
作業部会IIIの報告書:金曜日、WGIII共同議長のKate Calvinは、進捗状況報告書(IPCC-LXIV/INF. 9)に関する質問を歓迎すると述べた。
サウジアラビアは、代表執筆者の合同会議を、学際性及び実用主義の典型とすることに異議を唱え、この手法は、作業部会間の人為的な調整をもたらし、草案作成での同調圧力やレビュー期間での調整圧力をもたらす可能性があり、タイムラインを圧縮し、各国間の協調を複雑なものにすると述べた。さらに、文書では共催したワークショップを専門家会合としていると述べ、その成果物を執筆者らと共有していることに懸念を表明した。
スイスは、執筆者らへのサポートに対する投資を支持するとし、WG共同議長らは、代表執筆者の合同会議をどう評価しているか、質問した。ノルウェーは、WGを横断する協調や意見交換を強く支持すると表明、IPCCの作業の柱になりうると述べた。アンティグア・バービューダは、作業モードの提案を支持した。フランスは、学際の交流は大きな付加価値をもたらすと述べ、シナジーはあればあるほど良いと述べた。
インドは、WGsにはそれぞれ明確に異なる役割があり、代表執筆者の合同会議開催は、それぞれの異なるアプローチを逸脱する恐れがあると述べた。さらに、この合同会議がAR7作業計画の特定の考え方を促進するため、利用されているとして、懸念を表明した。
WGIII共同議長のCalvinは、合同会議は、いくつかの報告書間で似たようなフレーズや概念がある場合、それらの相互に作用しあう機会を提供すると述べ、AIに関し他のWGsと協力しているとも述べた。
ネパールは、WGIIIの第4回代表執筆者会合の主催に関心を示した。
パネルは、WGIII報告書に留意した。
国別温室効果ガス・インベントリのタスクフォースによる報告書:金曜日、パネルは、国別温室効果ガス・インベントリのタスクフォース(TFI)による報告(IPCC-LXIV/INF. 1)という議題項目の7.6を議論した。
TFI共同議長のTakeshi Enokiは、TFI報告書の要点について、簡単にブリーフィングし、短寿命気候強制力(SLCFs)のインベントリに関するIPCC手法論報告書2027年版、二酸化炭素除去技術、二酸化炭素回収・利用・貯留(CDR/CCUS)に関するIPCC手法論報告書2027年版、IPCCのインベントリ・ソフトウェア、IPCC排出要素データベース(EFDB)、その他の活動内容について、説明した。
日本は、IPCCインベントリ・ソフトウェアおよびEFDBは、透明性を高めるうえで有用だと指摘し、TFIの作業への支援継続を表明、2027年のIPCC総会を主催すると発表、この総会では、CDR/CCUSに関する手法論報告書を審議することになると述べた。
パネルは、TFIの報告書に留意した。
ジェンダー行動チーム:木曜日、IPCC副議長のÜrge-Vorsatzは、進捗報告書(IPCC-LXIV/INF. 13)を提示し、2025年9月にジュネーブで開催された、ジェンダー・ダイバーシティ・参加性(GDEI)に関するIPCCの専門家会合の成果を説明した。同副議長は、IPCCへの寄贈者・寄稿者のダイバーシティを高めることは、信頼を勝ち取り、意見の一致を得、参加の公平性を生むうえで、きわめて重要であると述べた。同副議長は、下記のものを含める参加性原則の要素を指摘した:
- 異なる文化及びダイバーシティの尊重;
- 心理的な安全及び尊厳;
- 能力上の不均衡の解決;
- 透明性及び信頼;
- 福利健康;
- 参加性及び透明性のある意思決定。
同副議長は、IPCCにおけるダイバーシティには、ジェンダー、地理上の地域及び小地域、職業上のステージ、年齢、先住民、障碍者、認識論及び知的伝統などがあると指摘、この会議で得られた推奨事項をレビューした:
- IPCCプロセスにおいて、あまりカバーされていない地域及びグループのマッピング;
- GDEIでの進捗状況を測り、モニタリングし、指導し、報告するための、質的量的に重要な指標;
- 執筆者などの指名において、多様性を確保する;
- 有用な資金貢献の公平性確保、及び貢献の価値化;
- 明確なアカウンタビリティ制度;
- GDEIの訓練。
同副議長は、コンサルタントを保持し、執筆者、議長団、TSUs、事務局などへのGDEIの訓練を開始したと述べ、IPCCにおける、ジェンダー、地域及び小地域の代表性を反映するGDEIの統計をレビューすると述べた。
日本は、ジェンダー行動チームの作業は重要であるとし、執筆者には公平で執筆しやすいい環境を提供する必要があると強調した。カナダは、GDEIでの苦情に対応する制度が必要だと強調した。ベルギーは、主要な実績指標が必要だと述べ、フランスは、GDEIの問題に対応するにはデータが必要だとし、さらに女性の全面的な参加が必要だと強調した。ドイツは、専門家会議の提案実施を優先させる必要があると強調した。
パナマは、地域の代表が参加し、適切に地域を代表する機会を得ることが重要だと述べ、ジェンダー・バランスの統計追加を提案した。ハンガリーは、IPCCでは地域間のバランスも重要だと述べた。
パナマ、インド、サウジアラビアは、全面的な地域バランスが必要だとし、開発途上国の規模や人口の大きさを考えると、先進国出身と開発途上国出身の執筆者の比率を50-50にしたのでは、バランスがとれているとは言えないと述べた。パラオは、小地域での統計を増やすよう求めた。
インドは、専門家会議の報告書はそこでの政策提案を実施する前に、パネルの承認を受けるべきだとし、ジェンダー・バランスの統計を追加することは有用だと述べた。ハンガリーは、地域間のバランスの重要性を強調した。
パネルはこの報告書に留意した。
IPCC奨学金プログラム:金曜日、事務局は、奨学金プログラムの現状について報告(IPCC-LXIV/INF. 3)、2025年12月にスイスフランCHF 2,330の自主的な貢献を受理したとし、奨学金の信託基金残高は、2026年1月31日現在、CHF 1,721,179であると述べた。
事務局は、オックスフォード大学との戦略的パートナーシップを指摘、これにより、IPCCは、二つの博士課程奨学金を共催することになるとし、世界科学アカデミーは、2026年5月5-7日、イタリアのトリエステで、開発途上国出身の若年科学者を対象とする、「気候科学ネットワーク、メンバー、及び能力校のワークショップ」を開催する予定であると述べた。
事務局は、資金調達の持続は優先事項であると報告し、開発途上国からの奨学金供与の需要は高まっていると述べた。
パネルは、報告書に留意した。
コミュニケーション及びアウトリーチ活動:金曜日、IPCCコミュニケーション及びメディア関係の長であるAndrej Mahecicは、コミュニケーション及びアウトリーチの報告書(IPCC-LXIV/INF. 5)を提示し、IPCCの活動については、多くのメディアから取材が来ていると指摘した。また、IPCC-63以後のアウトリーチ・イベントの概要を説明した。IPCCによるソーシャル・メディア・プラットフォームの利用実態を指摘した。
パネルは、この報告書に留意した。
UNFCCC及び他の国際機関との関係
パネルはこの議題項目を金曜日に議論した。
UNFCCC:UNFCCC事務局のAnnett Möhnerは、IPCC及び他の関係する活動での協力に関するUNFCCCの報告書 (IPCC-LXIV/INF. 6)の概要を紹介し、UNFCCC COP 30での活動及び結果について説明し、グローバルストックテイク・プロセスの手順及びロジスティック、ベレン・ジェンダー行動計画、研究及び組織観測の議論結果を説明した。さらに今後の活動としては、2026年6月のUNFCCC補助機関会合での研究ダイアログの開催、研究面のギャップのマッピング、適応計画の作成でのIPCCとの協力、ジェンダー別、年齢別のデータ及びジェンダーの分析に関するダイアログの開催を挙げた。
ベルギー、オランダ、フランス、アンティグア・バービューダは、IPCCの作業の政策関連性、有用性、十全性に注目、UNFCCCとのリンクにも焦点を当てた。フィンランドは、IPCC及びUNFCCCの活動の透明性を称賛した。
インド及びサウジアラビアは、関連する活動の全てを網羅しておらず、UNFCCC COPの決定書及び活動の引用に一貫性がないとして、懸念を表明した。報告書記載の計画された活動に、パネルの承認を受けていないもの、あるいは委任していないものが含まれていることにも懸念を表明、UNFCCCの 適応委員会との作業提案を明確にする必要があると指摘した。インドは、報告書では公平性に配慮する必要があると述べた。サウジアラビア及びインドは、報告書への留意に反対した。
IPBES:生物多様性及び生態系システムに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)事務局のSimone Schieleは、IPBES報告書(IPCC-LXIV/INF. 4)の内容を説明し、英国のマンチェスターで2026年2月に開催された IPBES-12の成果に注目、現在、IPBESで行っている評価作業などにも焦点を当てた。この作業には、生物多様性のモニタリングに関する手法論の評価、人々の資源への貢献に関する評価手法、生物多様性及び生態系サービスの第2回グローバル評価などが含まれる。
スイス、ベルギー、コロンビア、フランスは、IPBESと協力することの有用性を強調、スイスは、ジュネーブでの第2回グローバル評価を支援するため、生物多様性及び気候変動に関するワークショップを開催する予定だと述べた。サウジアラビアは、協力活動では透明性が重要だと述べた。
パネルは、IPBES報告書に留意した。
IPCCの第65回総会の場所と日付
IPCC-65は、2026年の10月第2週に、エチオピアのアジスアベバで開催予定。
会合の閉会
金曜日の夜、議長のSkeaは、パネルはIPCCの原則第10項の重要性をさらに高めたと指摘した、この第10項は、パネル、その作業部会、及びタスクフォースは、意見の一致に至るまで、最善を尽くすと規定している。議長のSkeaは、パネルのメンバーは妥協と柔軟性の精神を発揮したとし、参加者及び議長団メンバーの努力をたたえた。議長のSkeaは、午後8時52分、会合閉会の槌を打った。
IPCC-64の簡易分析
気候変動に関する政府間パネルの第64回会合 (IPCC-64)は、単なるビジネスミーティングとみるものが多かったが、この第7次評価サイクルの特徴である意見対立を回避することはできなかった。IPCC議長のJim Skeaは、過去の3回の会議報告書の承認にてこずり、「IPCC-64では優しい議題などない」と述べる始末だった。
最も意見対立のあった議題項目は、一つはIPCC信託基金の問題であり、資金貢献の減少と歳出レベルの上昇で、信託基金は2028年までに枯渇すると予測されている。
重要問題では議論が尽くされたが、意見の一致に向けた進展はなく、IPCCは第7次評価サイクルの後半で大きな困難に直面している。2027年、来年には、第7次評価報告書(AR7)を構成する各報告書の査読作業及び承認作業の開始が予想されているにもかかわらずである。
この簡易分析は、IPCCが直面した重要問題のいくつかを論じる。
IPCCの十全性及び効果的な運用を確保する
IPCCの作業は、主要な活動に関する統括原則及び手順の枠組に則り、執り行われる。この枠組は、IPCCの役割、組織、手順を規定しており、IPCCの作業における包括性、客観性、開放性、及び透明性の確立を目指す。統括原則は、IPCCの組織としてのマンデート及びメンバーシップを説明し、IPCCの作業方法を規定、その付録書は、IPCC報告書の作成プロセス、資金の運営、議長団の選挙方法を規定する。原則の第16項は、原則は5年ごとにレビューし、適切な場合は改定すると規定する。前回の原則のレビューは、2020年に予定されていたが、COVID-19のパンデミックのため、延期された。
IPCC-64では、この原則レビューのマンデートが、長時間にわたる議論を呼び、多数の政府代表は、目標を立てたレビューを希望したが、他の政府代表は、このレビュー・プロセスに乗じて、意見の一致をベースにする意思決定や、評価サイクルの期間の長さの規定など、重要問題及び意見対立のある問題の議論を求めてきた。
AR7サイクルの初め、特別作業グループがAR6からの学習事項をまとめた文書を作成しており、この文書の扱いが総会で議論された。スイスは、この文書は、レビューの幅を広げるのに役立つと考えた。他のものは、プロセスの基本的な要素について、オープンエンドで議論することを求めた。問題は、レビューの幅を包括的なものにするべきかどうか、意思決定方法を含める根本的な変更を検討するかどうか、それとも現在の原則のマイナーな変更で済ませるかどうかであった。
包括的なレビューや根本的な変更であれば、長時間の交渉となる可能性が高く、後者の場合は、ビジネスアズユージャルな議論で済む可能性が高い。議論の後、パネルは、IPCC統括原則及び手順のレビューを将来会合での審議に回すと決定した。意見の一致がなかったことは、この議論は終了したことを意味すると解釈した国もあったが、他の国は、レビュー・プロセスは始まったばかりだと信じた。
またもや、タイムラインの問題
AR7のタイムラインの問題は、議長団の暫定議題書には含まれておらず、このため、資金的に苦しい国の代表は今回の会合に出席しなかった。出席したメンバーでも、この項目の議論を進めるマンデートを有しないものもいた。しかし、一部の政府代表は、この項目を議題書に追加するよう主張、IPCC-64でのタイムラインでの議論で合意しない限り、暫定議題書は承認できない、他の項目の議論にも移れないと述べた。
多数の開発途上国及び小島嶼開発途上国(SIDS)は、2028年に予定される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のグローバルストックテイクへのインプットを促進するタイムラインを求めたが、他の多数の開発途上国は、より長いタイムラインとして、執筆者や専門家、各国政府に資料を作成し、評価し、査読する時間がとれるようにすることを希望した。この問題での意見対立のため、パネルの議論は、第60回会合以後、停滞したままであり、この行き詰まりを打破するべく、少数の提案が出された。すべての国は、この問題の解決が喫緊の課題であることで意見が一致したが、全ての国に受け入れ可能な妥協案は、出てきていない。少数メンバーは、この問題を解決するには、信用を勝ち取ることが先決だと述べた。
IPCCの次回会合は、パネルにとり重要な分岐点となる、各国政府は、IPCCの予算を承認しなければならず、またAR7の各作業部会の報告書作成に関するタイムラインも決定しなけれならない。予算が承認されなければ、IPCCの評価サイクルに極めて大きな影響を及ぼすと指摘するメンバーもいた。
地政学的動乱の時代の経済
過去1年間の地政学的混乱は、国連の財政状況に大きな影響を与えている。IPCCも例外ではなく、IPCC-64では、少数の発言者が、財政面の圧迫を指摘した。IPCC信託基金は、新規の多額の資金貢献を受けない限り、近く枯渇する可能性が高い。AR7の査読や承認作業を控えて、作業量が増加するという、今の時点での資金の制約は、極めて大きな問題である。
IPCC-64において、事務局は、ビジネスアズユージャルの場合と、資金収支が異なる場合の資金シナリオを提示、資金貢献額の増加がなければ、IPCCの運営を大幅に縮小せざるを得ず、会議フォーマット効率化も必要であることが明らかになった。今後の進め方としては、活動の削減、及びバーチャル会議への切り替えが考えられるが、特に後者は、参加性、公平性、及び各国の能力の面で、多数の国の反対を受ける可能性がある。IPCCは、財政面以外でも課題があり、特にAR7の各作業部会報告書作成では、タイムラインで意見の一致が得られていないという現実がある。
IPCC-65に向けての展望
少数の参加者は、妥協が必要だとし、橋渡し案の提示や信頼の回復で、意見の隔たりが大きい問題での解決を図る必要があると指摘した。2026年10月に予定されるIPCC-65での審議に向け、AR7タイムラインに関する提案の提出、及び重要問題での意見集約を目指す議長主催の非公式協議の開催など、期間外の作業も重要となっている。
IPCCの総会の意思決定プロセスに何らかの変更を加えない限り、いつまでも議論を長引かせるだけである。議題の中には、将来の会合に回せるものもあろうが、タイムラインや予算、最終的には、AR7報告書の承認にいたるまで、きわめて重要な問題では、共通点を見出していかなければならない。副議長のLadislaus Chang’aが、IPCC-64で発言したとおり、失敗というオプションは存在しないのである。