Summary report, 20 October 2014

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下の強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第6部(ADP 2-6)は、2014年10月20-25日、ドイツのボンで開催された。ADPは、2014年12月にペルーのリマで開催予定のUNFCCC第20回締約国会議(COP20)の主要文書作成に焦点を絞り作業した。

ADPワークストリーム1 (2015年合意)の下で、各国は、交渉文書案の要素に関する推敲作業を継続した、この文書案は2015年合意の最終案作成の土台になる、さらに各国は、交渉文書草案の要素に関する締約国の意見及び提案をまとめた「ノンペーパー」(ADP.2014.6.NonPaper)についても議論した。さらにADPは、各締約国が意図する国家決定貢献分(約束草案)(INDCs)を連絡する際に提供されるべき情報のタイプを明らかにし、これらの貢献分がどのように検討される可能性があるかを示した決定書草案(ADP.2014.7.DraftText)についても議論した。会議の中で、ADP共同議長は、この決定書草案の新しい改訂版を作成し、これがリマでの審議に向け提出されることになる。

ワークストリーム2 (プレ2020年野心)において、技術専門家会議(TEMs)は次の問題に焦点を絞り議論した:二酸化炭素以外の温室効果ガス(GHGs)に関し行動する機会;(二酸化)炭素の回収、利用及び貯留;プレ2020年の期間で、エネルギー効率化、再生可能エネルギー、都市環境及び土地利用の改善により緩和の機会を解放することを議論したTEMsのフォローアップ。さらに各国は、今回の会議に先立ち両共同議長が作成したプレ2020年野心に関する決定書草案(ADP.2014.8.DraftText)についても議論した。会議の中で、この草案の新しい改訂版が発行され、リマでの審議にかけることになる。

全体的な進展は限定的であったが、参加者がボンを離れる際、多くのものは、この会議は詳細な意見交換に必要であるとされた余裕を与えたと評価していた。多くのものは、各国のそして諸国グループの見解の範囲、意見集約が可能な分野、意見が分かれる可能性がある分野、さらには各国のとる立場の背後にあるものが何か、12月のリマで各国の懸念にどう対応するか、理解を明確にする上で有用な会議であったと感じていた。

これまでのADPの経緯

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択から始まった。UNFCCCは、気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため、大気中の温室効果ガス(GHG)の濃度の安定化を目指して、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効、現在は196の締約国を有する。

1997年12月のCOP 3(第3回締約国会議)でUNFCCCの下、京都議定書が採択され、先進工業国および市場経済移行国に対して排出削減目標の達成を義務付けた。京都議定書は2005年2月16日に発効し、現在192の締約国を有する。

ダーバン:南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動会議は2011年11月28日から12月11日に開催された。ダーバンの成果として広範な課題が盛り込まれたが、特に京都議定書の第二約束期間の設置や「条約下で全ての締約国に適用可能な、議定書、法的文書、もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とする新組織ADP発足について合意があった。ADPでの交渉は2015年中に完了予定であり、2020年に新たな合意の発効を目指す。さらに、ADPには2℃目標との関連で2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索するという役割も付与された。

ADP-1:第1回ADP会合(ADP 1)は、ドイツ・ボンで2012年5月17-24日に開催されたボン気候変動会議と並行して開催され、議題や役員選出などのトピックを中心に議論が行われた。約2週間にわたる議論の後、ADPプレナリーは、役員選出に合意し、議題を採択。決定書1/CP.17のパラグラフ2-6に関するワークストリーム1(2015年合意)と同決定書パラグラフ7-8に関するワークストリーム2(2020年までの野心)という2つの部会を開始した。

ADP-1非公式会合: ADP非公式会合は、タイ・バンコクで、2012年8月30日-9月5日に開催され、ADPに対する各国のビジョンや抱負、期待する作業成果やその達成方法などについて議論する円卓会合も行われた。さらに、いかに野心を引上げるかという手段や実施手段の役割、国際協力のイニシアティブの強化法、ならびにADPの作業の枠組みを決める要素などについても議論が行われた。

ADP 1-2: ADP第1回会合第2部(ADP 1-2) は、2012年11月27日-12月7日にカタール・ドーハで開催されたCOP 18に連動する形で行われ、実質的な論議の速やかな開始、2013年の集中的な作業方式への移行、締約国政府や認定オブザーバー組織の代表の幅広い参加の奨励等について特に集中的な議論が成された。

ADP 2-1: ADP第2回会合第1部(ADP2 -1) は、ドイツ・ボンで、2013年4月29日-5月3日に開催された。ADP 2-1は、ADPの 2つのワークストリームを網羅しつつ、ワークショップや円卓会合での議論を中心に構成された。そこでは2015年合意によって2020年までに更なる緩和行動を行い、それらを様々な分野で実施できるよう主な要素に関する具体案を集めて今後の議論のたたき台を作ることを目指した。

ADP 2-2: ADP第2回会合第2部(ADP2 -2) は、ドイツ・ボンで開催されたボン気候変動会議と並行する形で2013年6月4-13日に行われ、2つのワークストリームに関するワークショップや円卓会合を中心に構成された。同会合では、2014年に少なくとも1回は会議を開き、ADPの結論を踏まえつつ、ワークストリーム1及び2の下で2014年の作業計画に向けた今後の活動について締約国やオブザーバーから意見提出を求めることで合意した。また、ADP第2回会合第3部 (ADP 2-3)の審議に向けて、寄せられた意見を基に、バランスの取れた集中的かつより公式的な作業方式のための案を出すよう次期共同議長に招請した。しかし、公式な議論に入るための手段として、コンタクトグループを1つ設置するか複数設置するかという問題で意見が分かれ、合意には至らなかった。

ADP 2-3: ADP第2回会合第3部 (ADP 2-3)は、2013年11月12-23日、ポーランド・ワルシャワで開催されたCOP19と並行する形で行われた。第1週目の作業は共同議長からの疑問提起に沿って2つのワークストリームの下で行われた。ワークストリーム1では、2015年合意の内容と要素について、適応、緩和、 技術・資金・キャパシティビルディング、 透明性の問題を含め、オープンエンド型の協議が行われた。ワークストリーム2では、今後の方策に関するオープンエンド型の協議、ならびに他の多国間の環境条約での意義深い経験から学んだ教訓に関するワークショップや、2020年までの野心、都市化の問題、都市部の気候対策を促進するための政府の役割などに関するワークショップ等での議論が行われた。また、締約国に対して約束草案に向けた国内準備の開始や強化を奨励し、バリ行動計画の完全実施と2020年までの野心を加速するための決意を記した決定書を採択した。

ADP 2-4: ADP第2回会合第4部 (ADP 2-4)は2014年3月10-14日、ドイツ・ボンで開催された。ワークストリーム1では、議題項目3についてのオープンエンド型の協議が行われ、適応、INDC、資金・技術・キャパシティビルディング (実施手段:MOI) 、野心と衡平性、緩和、行動と支援の透明性、その他各要素に絡む諸問題などについて議論が行われた。また、インセッション・ワークショップでは、INDC のための国内準備の問題が取り上げられた。ワークストリーム 2では再生可能エネルギーやエネルギー効率に関する技術専門家会合を実施。さらに、コンタクトグループの設置、ならびに今後のADP会合でも同じ方式で議論を継続することで合意した。

ADP 2-5: ADP第2回会合第5部(ADP 2-5) は、ドイツ・ボンで行われたボン気候変動会議と並行する形で、2014年6月4-14日に開催された。ADP 2-5 は、ワークストリーム1とワークストリーム2を中心に構成されたコンタクトグループ会合を実施。ワークストリーム1では、緩和、適応、資金・技術・キャパシティビルディング(MOI)、透明性、INDC、その他の要素に関する諸問題などについて討議した。INDCと2015年合意との関係や、全体的な野心レベルの評価法等といった課題は数々残されたものの、2015年合意に盛り込むべき幾つかの要素については意見の収束も見られた。また、ワークストリーム2では、都市の環境問題や土地利用に関する技術専門家会合(TEM)が行われ、緩和と適応の分野における都市や地方自治体の役割に関するフォーラムも実施された。

ADP2-6レポート

10月20日(月)午前、ADP共同議長のKishan Kumarsingh (トリニダード・トバゴ)は歓迎の辞を述べつつ、2015年5月までに国連の全ての公用語に翻訳する必要があるため、2015年4月初旬までに2015年合意の素案を準備しなければならないことを参加者に思い起こさせた。また、“自らのポジションに固執することは交渉とは言えない”と語り、今回の会議が“橋渡しの会合”となるよう期待を示して参加者に歩み寄りを求めた。

COP 20/ CMP10で次期議長を務めるManuel Pulgar-Vidalペルー環境相は、INDCのための情報; 2015年合意の素案文の要素;ワークストリーム2に関する決定書草案の入念なレビューについて、“同時並行での作業”を要請した。

UNFCCCのChristiana Figueres事務局長は、国連気候サミットが過去最高の市民を動員したと言及し、“皆さんに世界中の視線が注がれている”として、地球規模で公平かつ責任ある気候変動対策に向けた“橋渡し”と “道筋探し”を参加者に呼びかけた。

UNFCCC 事務局のDan Bondi Ogollaは、事務局が作成した2015年合意に関する法的解釈についてのQ&A集の概要を示した。

Kumarsingh共同議長 は、INDC用の情報と2020年までの野心に関する決定書草案を今次会合中にまとめ、2015年に追加交渉が必要かどうか決定しなければならないと述べた。

開会ステートメントの発表中、ADP 共同議長のノンペーパー及び決定書草案; 2015年合意の要素; INDC;及びワークストリーム2等のテーマが取り上げられた。

共同議長テキストについては、 ボリビアが、 G-77/中国の立場から、交渉テキスト素案のための要素に関するノンペーパーは“不完全”ではあるが、“有用な出発点”になると強調した。スイスは、 環境十全性グループ (EIG) の立場から、共同議長の決定書草案及び ノンペーパーをたたき台として作業する案に支持を表明した。

エクアドルは、有志国途上国グループ (LMDC)のため、締約国からの意見を踏まえた開放的で包含的で透明なプロセスを求めるとともに、2015年合意の要素に関する共同議長のノンペーパー については、重点交渉の出発点とする案を歓迎した。コスタリカは、独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)の立場から、両共同議長の“大胆かつ効果的な”作業に対して賛辞を送り、AILACは“引き続き橋渡しを行う”と述べた。

2015年合意の要素については、G-77/中国が、2015年合意では決定書1/CP.17 (ADPの設立 )に記載された各要素を公平に扱わなければならないと主張した。EUは、2015年合意における適応とMOIに係わる諸側面について定義することを強調した。オーストラリアは、 アンブレラ・グループの立場から、今次会合では2015年合意の要素を明示し、COP決定書に何を記載することができるのか特定すべきだと述べた。

ナウルは、 小島嶼国連合(AOSIS)の立場から、2015年合意に損失・被害のためのメカニズムを盛り込むとともに、COP21の成果はUNFCCCの下で法的拘束力を有する議定書を締結し、世界の気温上昇幅を1.5℃未満に抑制することだと明記することだと要求した。ネパールは、後発開発途上国(LDC) として、ADP 2-6に対する要望は2015年以後の合意の要素を整理することだと主張した。

ベネズエラは米州ボリバル人民同盟(ALBA)の立場で、アルゼンチン、エルサルバドルは、緩和、資金供与、技術移転の分野における附属書I国のリーダーシップ を求めた。サウジアラビアは、アラブ・グループの立場から、2015年合意の中核要素については出来るだけ速やかに合意し、INDCに必要な情報に対応するよう提案した。南アフリカは、BASICグループ(ブラジル、南アフリカ、インド、中国)の立場から、2015年合意では各国の貢献を漸進的に強化できるようにするべきだと強調した。

ベリーズは、 中米統合機構(CAIS)のの立場で、適応や 損失・被害、REDD+ (途上国の森林減少や森林劣化に起因する排出量削減 及び途上国における森林保全や持続可能な森林管理、森林炭素貯蓄の強化の役割) の枠組みを2015年合意の中で定着させるべきだと主張し、2015年合意に係わる法的解釈を検討するためのコンタクトグループを設置することを求めた。

INDCについては、欧州連合(EU)が、ADP2-6では、差別化の運用実施におけるINDCの役割; MRV (測定・報告・検証) ルール; 2020年以降の野心引上げのサイクル等の定義づけについて集中的に取り組むよう求めた。EIGは、グループとしてINDCのタイムリーな連絡に向けて取り組む意向を示した。

スーダンは、 アフリカン・グループの立場から、INDC及び2015年合意の要素は同じ目的に係わる側面であると述べ、 2つの別個の文書の提示をめぐる懸念を示した。LDCは、INDCの法的形式や取扱いを含め、今次会合でINDCの議論を前進させなければならないと述べた。

LMDCは、INDCに関する決定書草案は、締約国が提出する情報の特定について記載したワルシャワのマンデートを超えるものであると述べた。アラブ・グループは、INDCに必要な情報への対応ならびに先進国の義務的な行動と途上国の自主的行動の差別化を求めた。

ワークストリーム2については、アンブレラ・グループが、実践と教育、協力をTEMの重点とすることを強調した。

LDC は、ワークストリーム2は国連気候サミットの機運に乗じるべきだと述べた。BASICは、緑の気候基金(GCF)の完全資本化を含む先進国の2020年までの野心引上げは、2020年以降のプロセスの信頼を築くものとなると指摘した。

市民社会のステート発表では、企業・産業NGO団体が、緩和と適応に経済のあらゆる部門が参加する必要があると強調した。地方政府・自治体の代表は、2020年までの野心に関する共同議長の素案文が都市や地方自治体の行動計画の出発点となると述べた。

農業従事者のNGOは、SBSTA (科学的・技術的助言のための補助機関)の下で、食料の安全保障や緩和と適応も網羅する、農業関連の作業計画を策定するよう求めた。研究機関や独立系NGOは、エビデンスに基づき、健全なる科学に根差した交渉プロセスの重要性を強調した。

女性とジェンダーに関する団体は、2015年合意では、男性と女性の権利、ニーズ、経験を同等に配慮するよう要請した。気候に関する機会の窓が “目前で閉まりかけている”と述べ、 若者代表のNGOは、できるだけ高い水準の野心に取り組むよう締約国に要請した。気候行動ネットワーク(CAN)は、環境NGO (ENGO)の立場から、INDC素案について詳細かつ包括的な文言を求め、世界を“気候問題から回避させる路線”に引き戻すよう求めた。気候ジャスティス・ナウ!は、ENGOの立場から、COP20では市民社会の代表の人数が制限させたとして遺憾の意を示し、新合意にはすべての要素を取り入れるよう参加者に要請した。

月曜日の開会プレナリーの後、一週間にわたって両ワークストリームに対応するためのADP項目3に関するコンタクトグループが開催された。また、火曜、 水曜、木曜にはTEMが開催され、木曜午後には中間会合が行われた。

ADP項目 3に関するコンタクトグループ

ワークストリーム 2: ADP項目 3に関する コンタクトグループでは月曜と金曜、2020年までに強化された気候行動の実施促進(ADP.2014.8.ドラフトテキスト)に関する共同議長の決定書草案について検討し、金曜夜には改めて決定書草案が出された。ナウル(AOSIS)、チリ、スイス、米国、バングラデシュ(LDC)及びニュージーランドは、交渉の土台として共同議長の決定書草案を使うことを支持した。ニュージーランドは、今の草案文は長すぎるものの第1段階として有用であると述べた。南アフリカ、オーストラリア 及び カナダは、共同議長が今次会合で示された様々な意見に配慮した決定書草案の修正版を出すことを支持した。

AOSIS 提案については、ナウルがAOSISを代表して、2015年以降の技術プロセスの拡大案を中心とした提案であると説明し、事前通告や相互行動の強化を通じた効果的で効率的なTEM; TEMをフォローする報告書の定期更新; TEMで討議される要素の実施に関する経験を積んだあらゆるレベルの組織に対する意見提出の要請;ワークストリーム2への政府閣僚の参加等の提案を挙げた。

LMDCの 提案については、中国が LMDCの立場から、グループによるコンファレンスペーパー(CRP)を紹介。その中で、京都議定書のドーハ改正の即時(早期)批准; 2014年時点で2020年までに90年比40%減という附属書I締約国による排出削減目標への無条件のコミットメント; 適応の枠組みを支援する附属書II締約国のコミットメント;加速された実施メカニズムの開始; 対応策への取り組みのコミットメント; 速やかで実質的な緑の気候基金(GCF)の資本化; 資金の約束に関するMRV; SBSTA 42迄の技術執行委員会 (TEC) 及び気候技術センター・ネットワーク (CTCN) の運用方式策定などの提案を列挙した。

ノルウェー、 カナダ、 オーストラリア、 日本 、ニュージーランドは、LMDCのCRPはワルシャワのマンデートの範囲を超えているとし、オーストラリアとともに、BAPの実施は他のところで対処されていると述べた。さらに、カナダは、CRPが排出削減のための締約国による集団の力を著しく削減するものだと述べた。

2015年以降もワークストリーム2の作業計画を続行する案を多くの国が支持した。AOSISは BAPの実現を求めた。 コロンビアは、AILACの立場から、ワークストリーム2の文脈におけるMOI の強化及び MRV制度の強化の重要性を強調した。ヨルダンは、資金援助の妥当性に関するレビュー開始を提案した。

中国は、2020年までのコミットメント達成度の点検のための2015- 2020年作業計画を求めた。

AOSIS は、ワークストリーム2の下での作業は緩和のギャップが埋まるまでは継続すべきだと述べた。ノルウェーは、実施のための補助機関 (SBI)やTECを例に挙げつつ、2015年以降の緩和の野心強化のためのフォーラムを検討するよう提案した。ブラジルは、2020年以降も、2015年合意の一部あるいは別個のトラックとして、ワークストリーム2を展開するという選択肢を提案した。

2015年以降もTEMを継続することを多くの国が支持し、様々な国がそのための改善案を出した。AOSIS、米国、ILACは、各々の計画とフォローアップに関する提案を行った。米国は、TECにTEMの議題と議事進行の管理を求めた。ノルウェー及び日本は、TEC 及び CTCNがTEMにもっと関与するよう求め、ニュージーランドとともに、TEMの管理とその成果の連絡を行うよう提案した。

EU は、TEMは行動の促進に集中すべきだとし、ウェブ・ベースの存在がどのような形で既存のツールに対する価値を付加できるか模索するよう求めた。

カナダは、ウェブ・ベースの情報ポータルでは事務局の手に負えなくなると警告した。オーストラリアは、資金源の確保を強調し、米国とともに、TEMの成果の点検を主張した。インドは、TEMによって附属書I締約国から緩和の負担を外そうとしているのではないかとの危惧を示した。南アフリカは、TEMの成果だけに働かせる野心のメカニズムを支持した。 AILAC は、各国に適切な緩和行動と緩和行動に触媒機能をもたらす新メカニズムを支援するために締約国が自主的に情報を共有するための新たなフォーラムを構築することを提案した。一方、ニュージーランドはこの提案に反対を唱え、既存のメカニズムや枠組みの活用を求めた。

TEM開催の頻度については、AOSIS、EUが、UNFCCCの会議すべてに合わせて開催する必要はないと述べ、AOSISとともに量より質が重要だと指摘した。

TEMのテーマについては、スイス、オーストラリア、ノルウェー及びニュージーランドが、すべての締約国の緩和の野心強化を重視すべきだと述べた。また、メキシコ、 AOSIS 、ツバルは、地域別TEM開催を検討することを提案した。サウジアラビアは、TEMは適応に対処すべきものだと述べた。オーストラリアは、息の長い政策の実施に向けた環境の実現 をTEMに求めた。他方、イランは、TEMがBAPの実施に対応すべきだと述べた。AILACは、既存の政策データベースの見直し作業を実施するよう提案し、 オーストラリアの支持を得て、TEMは実施面に注力すべきだと述べた。 ノルウェーは、ニュージーランドとともに、 これまでの TEMのトピックを振り返り、炭素価格制度や化石燃料補助金の撤廃などに関する会合を追加することを求めた。AOSISは、交通および地域住民や先住民の知識に関するTEMの実施を提案した。ボリビア は、技術および先住民の知識体系に関する TEMを求めた。日本 は、技術重視を継続するよう求めた。

閣僚の参加については、EU、チリ、AILAC及びAOSISが、ワークストリーム2での閣僚参加を支持した。AILACは、TEM サマリー及び 国連気候 サミットフォローアップにおけるハイレベルの関与を提案し、緩和の取組み強化や多国間協力、及びこれらを支援する実施手段に関する新たな発表の場を求めた。スイス及びノルウェーは、閣僚の参加は恒例イベントとすべきではないが、それによって付加価値が生まれると述べた。米国は、閣僚を“戦略的な活用”し、TEMに参加してもらうよう求めた。ニュージーランド及びベネズエラは、閣僚には的を絞った質問を行うよう提案した。 AOSIS は、閣僚間の相互交流の拡大を求めた。ブラジル及びAOSISは“閣僚疲れ”を警告した。

EU、 チリ、 メキシコ、マリ 及び AOSIS は、ワークストリーム2 を国家以外の主体が参加するためのツールとして活用することを歓迎した。非国家主体の役割の重要性を指摘しつつ、タンザニアは、締約国の行動と締約国以外の行動を混同しないようにする必要があると強調した。2020年までの気候行動 の実施強化の加速に関する共同議長のCOP決定書素案が改めて金曜夜に配布された。新たなドラフトはペルー・リマでのコンタクトグループで検討される予定だ。

ワークストリーム 1: 適応: 火曜のADP項目3に関するコンタクトグループ及び木曜、金曜の非公式協議でこの問題が取り上げられた。

適応に関する行動については、G-77/中国のボリビア及びイランが、適応は国家固有の問題であるとの認識を求めた。G-77/中国は、バングラデシュ、アフリカン・グループ及びセントルシアとともに、国家適応計画 (NAP) が適応支援のカギだと述べた。スイスは、すべての締約国がNAPを策定し、国家戦略や計画を報告すべきだと述べた。ナイジェリアは、附属書II 締約国の強力で明確なコミットメントを求めた。アルジェリアは、適応のニーズは時間の経過とともに変化する性質のものだと強調した。

東ティモール及びセネガルは、適応と長期的な緩和対策の連携を求めた。 G-77/中国、 メキシコ、 南アフリカ 及びコロンビアは、緩和とMOIの連携を訴えた。タンザニアは、G-77/中国とともに、持続可能な開発という文脈の中で適応を認識するよう提案した。オーストラリアは、適応行動は緩和の代わりにはならないと強調した。

適応に関する世界目標については、メキシコが、メキシコ- AILAC 提案を紹介しつつ、野心的なビジョンを盛り込んだ世界目標を提案し、ヨルダンがこれを支持した。スーダンは、アフリカン・グループの立場から、適応MOIの数値目標はNAPから積み上げることが可能だと主張したが、ノルウェーと米国はこれに反対した。スイス、カナダ、EUは、世界目標は数値目標であるべきだとし、スイス、ニュージーランド、日本とともに、適応は国内政策に組み込むことによってレジリエンス(回復力)を促進させるという課題に専念すべきだと強調した。米国は、国家計画立案プロセスの中で適応を“引き上げる”べきことを目標とすべきだと述べた。

適応のための制度機関については、G-77/中国、スイス、コスタリカ(AILAC)、ナウル(AOSIS)、EU、ノルウェー、 日本、ニュージーランド、ブラジル、トルコは、カンクン適応枠組みのような既存の制度機関やメカニズムに立脚すべきだと主張した。AOSIS及び中国は、UNFCCCの適応の取組みを監督する適応委員会の役割を強化する案を支持した。 LDCは、既存の制度機関を2015年合意の中で根付かせるべきだと強調した。AILACは、2017年には適応制度機関を一本化させるよう求めた。エジプトは、UNFCCCと他の国際機関との相乗効果を出すことを提案した。LDCは、国際クリアリングハウスと登録簿を提案した。サウジアラビアは、アルジェリア、中国、インドとともに、“各国ごとに適切な緩和行動 (NAMA)のような” 登録簿を求めたが、カナダが反対を唱えた。スイスは、ベストプラクティスを共有する場を求めた。

AOSIS及びLDCは地域別の適応プラットフォームを求めたが、ニュージーランドは、既存の地域別イニシアティブの強化を提案した。南アフリカは、メキシコ-AILAC提案にある適応の技術・知識プラットフォームを支持した。シンガポールは、適応MRVの監視機構の巨大化に反対を唱えた。

G-77/中国、 LDC、AOSIS、中国及びセントルシアは、2015年合意の中に損失・被害のためのワルシャワ国際メカニズを組み込むことを要請したが、オーストラリアとカナダがこれに反対した。

火曜日には、 ADP共同議長より、Franz Perrez (スイス) 及び Juan Hoffmaister (ボリビア) を調整役として、世界目標や今後の登録簿を含めた制度的なアレンジ、支援の連携等を中心に非公式協議を行うよう提案があった。

木曜日の中間見直し会合では、Hoffmaister会合調整役より、適応に関する非公式協議で世界目標について建設的な話し合いが行われたとの報告があり、会議期間中はこの協議を続けるよう締約国からの要請があったとの連絡があった。

金曜日には、 Perrez会合調整役が、現在までの コミットメントの提出及び強化に関して非公式協議の中ではコンセンサスが生まれつつあると強調し、多くの締約国がまずは既存の制度機関のギャップを埋め、その後に2015年合意に関する要望を満たすよう調整を図ることを求めていると示唆した。

INDCsこの議題は、水曜日と木曜日、議題項目3に関するADPコンタクトグループ会合で議論された。

締約国数か国は、共同議長の決定書草案(ADP.2014.7.文書草案)を議論の土台として歓迎した。エクアドル及びアルジェリアは、LMDCs提出のCRPをベースにした交渉を提案した。コロンビア、カリブ共同体(CARICOM)の立場で発言したセントルシア、及びスイスは、リマでのINDC決定書の採択を支持したが、タンザニアは反対した。一部の附属書I締約国は、INDCsに関するワルシャワマンデートの尊重を強調した。

差異化に関し、LMDCsの立場で発言したアルゼンチン、アフリカングループの立場で発言したスーダン、そして中国は、INDCsに附属書I、附属書II、及び附属書I締約国の差異化された情報を含めることを提案した。多数のものが、これは後退であるとして警告し、ブラジルは、排出削減の絶対目標を同心円の中心に据え、厳格さで劣る約束を外環に配置し、全ての締約国には時間をかけて同心円の中心に向け進むことを奨励するという差異化の「同心円的(concentric)」手法を提案した。LDCsの立場で発言したツバル、そしてケニアは、情報の差異化、特に最も脆弱なものに対する差異化を強調した。スイス、ニュージーランド、オーストラリア、カナダは、「二分方式(bifurcated approach)」に反対した。

INDCsの範囲に関し、多数の非附属書I締約国は、INDCsには緩和と適応、MOIを入れるべきだと述べた。ニュージーランド、カナダ、ロシアは、INDCsは緩和のみを扱うべきだと述べ、スイス及び米国と共に、INDCsに適応を入れるなら自国の提出は遅れると論じた。ノルウェーは、国際援助を必要とする途上国の行動に対するMOIのニーズを入れるよう提案した。CARICOM、米国、シンガポール、クック諸島、スイスは、緩和に焦点を絞ったINDCsを求めたが、エルサルバドルは反対した。

INDCsで提供されるべき情報に関し、EUは、情報の要求事項を強化し、次のものを含めるよう提案した:土地利用、土地利用変化、森林:市場メカニズム;ビジネスアズユージャルなベースラインの計算方法。韓国は、全ての締約国に適用可能な緩和情報及び国情を反映する追加情報をINDCsに付けるよう提案した。

INDCsのレビューに関し、南アフリカ、コロンビア、AOSISの立場で発言したナウル、及びトンガは、評価プロセスの重要性を強調した。コロンビアとEUは、事務局によるINDCsの報告書取りまとめを提案した。エルサルバドル及びCARICOMは、事務局によるINDCsの適切性及び透明性評価の報告書草案作成を提案したが、日本は反対した。コロンビアは、事務局においてINDCsを取りまとめ、連絡し、外部組織においてレビューすることを提案した。AOSISは、野心が1.5℃限度に沿うものか、それとも2℃限度に沿うものかを評価するよう求めた。コスタリカはAILACの立場で発言し、事前レビューは緩和とMOIのみとし、適応は事前レビューしないことを提案した。ブラジルは、INDCsのサイクルでの提出を提案した。

共同議長のKumarsinghは、締約国が「それぞれの立場をとり続けている(positioning)」ことを嘆き、INDCsの議論を中断した、さらに多少の提案が提出され、特定の問題では明確化もなされたが、大きな進展はなかったと指摘した。木曜日の昼食時、各国国内のINDCs作成に対する協力及び援助に関するブリーフィングが行われた。金曜日の午後、INDCs決定書草案の新しいバージョンが配布された、この草案はリマ会議のコンタクトグループで議論される。

資金:資金問題は、火曜日と水曜日、ADP議題項目3に関するコンタクトグループで議論され、金曜日、Gary William Theseira (マレーシア)及びChristo Artusio (US)が調整役を務める非公式協議でも議論された。

GCF共同議長のAyman Shasly (サウジアラビア)及び資金常任委員会(SCF)のメンバーであるSeyni Nafo (マリ)は、GCF及びSCFの最新の作業状況を報告した。ペルーは、次期COP 20議長職による資金関連の作業状況について報告した。

資金約束に関し、マレーシアはG-77/中国の立場で発言し、先進国は条約の下でのそれぞれの義務に則り、資金援助を提供すべきだと述べた。ヨルダンはLMDCsの立場で発言し、先進国による野心的な約束、2020年まで及びそれ以後の資金に関する明確なロードマップ及びタイムテーブルを求めた。

中国、イラン、LDCsの立場で発言したツバル、及びエクアドルは、2020年までに毎年1千億米ドルというプレッジを起点とする金額でび約束を求め、ポスト2020年の資金供与の規模拡大に向けたロードマップを提案した。マラウィも金額約束を支持した。

スイス、カナダ、米国、ノルウェー、ニュージーランド、オーストラリアは、ポスト2020年の期間における短期的な金額の約束に反対した。スイスは、全ての国による気候変動政策への資源提供約束を求め、米国及びLDCsと共に、必要としているものへ支援を提供できる立場にある全ての国に対し、支援を提供するよう求めた。ノルウェーは、EUと共に、全ての締約国の約束、及び炭素の価格化を求めた。ニュージーランドは、資金に関する政治宣言を提案した。

コロンビアは、AILACの提案は次を目的とすると述べた:世界的な変遷可能な目標;締約国による約束リストを付けた数量目標;数量目標の規模拡大に向けたダイナミックなプロセス、ここでは各国の予算サイクルに配慮し、ニーズや能力の変化にも対応する。

ノルウェーとブラジルは、資金に関するプロジェクトベースの手法から離れるよう求め、ノルウェーは、自国の提案はREDD+での経験に基づくものであり、準備体制や能力向上の段階的手法を採用していると明言した。LDCsは、準備体制整備手法(readiness approach)を支持した。

制度メカニズムに関し、G-77/中国、AILACの立場で発言したコスタリカ、チリ、LDCs、トルコ、パラオ、EUは、GCFを合意の基本に据えるべきだと述べた。ガンビア、ガーナ、米国、パラオ、マラウィは、GCF資金の50%を適応向けに確保したことを歓迎し、合意でのバランスを取り続けることを支持した。

韓国は、SCFの役割強化を求めた。モルディブはAOSISの立場で発言し、合意において現在の気候資金構造のギャップに対処することを求めた。ガーナは、資金への直接アクセスを強調した。スイスは、必要な場合は資金メカニズムを評価し、改定するとのCOPマンデートを求めた。

メキシコ、ガイアナ、CARICOMの立場で発言したベリーズ、そしてブラジルは、既存の制度を基礎とする制度構築を強調した。日本は、既存の制度は十分機能していると強調した。

資金源に関し、韓国は、民間部門の参加の重要性を強調し、強力な官民パートナーシップを支持した。EUは、民間部門にシグナルを送ることができる合意を求めた。米国は、次の必要性を強調した:民間投資を促す目的での公共資金の利用;可能にする環境の整備強化;高炭素投資の制限及び全ての資金の動きに対する気候プルーフィング(気候の観点からの評価)の推奨。

LMDCs、アルジェリア、中国、イラン、インドは、公共資金を気候資金の主要な資金源にすべきだと述べた。LMDCsは、先進国は公共資金のうち国内総生産(GDP)の1%に相当する金額を投入することを提案した。南アフリカは、GDPベースで先進国の貢献分を評価するメカニズムを求めた。エクアドルは、石油輸出分に対する「エコ税(eco tax)」を提案した。

中国、イラン、エクアドル、パラオ、タンザニアは、民間の資金は補足的なものであるべきで、公共資金を置き換えるべきでないと述べた。スイスは、資金源の多様性が重要であると指摘した。ガイアナ、エクアドル、コンゴ民主共和国、エジプトは、気候資金と政府開発援助とを区別した。チリ及びCARICOMは、気候資金の定義づけを求めた。

日本、カナダ、米国は、民間投資を強調し、低炭素成長を可能にすることを強調した、EU及び米国は、民間資金が公共資金を置き換えるわけではないと明言した。オーストラリアは、民間資金を誘致できないものを支援する目的での公共資金の利用、及び最少の能力と高い脆弱性を有するものへの資金援助が優先されると強調した。ボリビアは、気候資金のための市場ベース手法に反対した。

LDCs、EU、米国は、2015年合意において南―南協力を検討するよう提案したが、インドは反対した。

支援の透明性に関し、ケニアは、レビューメカニズムを支持し、メキシコは、確固としたMRVを求めた。AILACは、緩和野心のレビューと同じ時間枠で資金約束をレビューし、資金の右上がりの増加を求めた。

EUは、気候資金の影響とその成果の検討を支持した。コロンビア及びLDCsは、気候資金の事前評価と事後レビューを支持した。

緩和、サイクル、その他の問題:この議題項目は、土曜日のADP議題項目3に関するコンタクトグループで議論された。SBSTA議長のEmmanuel Dlamini (スワジランド)は、2013-2015年のレビューの概要について報告し、ADPはレビュー結果を知らされるはずであることを想起し、特に次の点を指摘した:気候関連の影響は既に発生しており、世界の長期目標の決定は、どれだけの影響であれば受け入れ可能かを見極めるのに役立たせることを目指すもの;組織化された専門家協議の成功;2℃目標の技術的及び経済的な実施可能性;行動の仲介役としての長期の世界目標。

緩和:ツバルはLDCsの立場で発言し、法的拘束力のある合意及び2つの附属書に基づくシステムを提案した、これには締約国の緩和野心レベル引き上げの改定を、COP決定書を通して行える可能性が含まれる。米国はスケジュール方式を希望した。

LDCsは、全ての締約国に対し、非森林化及び森林の劣化による排出量を削減するため、努力することを求め、さらに対応措置の実施の影響に関するフォーラムを合意に基づく常設制度とするよう求めた。

AOSISの立場で発言したナウル、及びノルウェー、EU、日本、スイスは、全ての締約国による期限付きの効力のある緩和約束を求めた。米国は、LDCsを除く全ての締約国に対し、定量化された、または定量化可能な緩和貢献分を提出するよう求めた。AOSISは、先進国が先頭に立つべきだと付言した。ノルウェーは、追加行動は資金及び支援を条件とする可能性があると強調した。

ノルウェーは、2050年までにゼロの正味排出量とする実施目標を提案した。ニュージーランドは、世界目標のかなりの交渉時間を割くことになると警告したが、チリはAILACの立場で発言し、世界目標での合意がカギだと述べた。

中国、EU、ノルウェー、スイスは、退行を防げる規定を求めた。南アフリカは、「退行なしという規則(no backsliding rule)」は全ての締約国に適用すべきだと述べた。中国は、先進国が緩和行動をとるのを「強制するのではなく、奨励する(encourage, not force)」 とすべきだと付け加えた。ボリビアは、歴史的責任、エコ・フットプリント、能力、及び発展状況に基づく、「各国の参加に対する複合指標(compound index of country participation)」を提案した。ニュージーランドは、緩和約束の定量化など広範なパラメタ―に基づく「拘束条件つきの柔軟性(bounded flexibility)」を提案した。ナイジェリアは、附属書II締約国による強力な緩和約束を求めた。

差異化の実践に関し、EUは、INDCsに基づく差異化の自主決定(self-differentiation)を提案した。ブラジルは、自主決定の差異化では「合意成立に至らないだろう(would not take us to an agreement)」と述べ、差異化に対する「同心円的な(concentric)」手法を提案し、AILACもこれを支持した。サウジアラビアは、実施に焦点を当てるよう求めた。カナダは、国家による貢献分の決定は、差異化の困難を解決すると述べた。

サイクル:LDCs、AOSIS、CARICOMの立場で発言したベリーズ、及びスイス、東チモール、マーシャル諸島、米国は、5年のサイクルとするよう求めた。CARICOMは、条約の下での中期レビューでは「追跡結果が良くなかった(poor track record)」と指摘した。シンガポールは、7年のサイクルを提案した。ブラジル、日本、ヨルダン、韓国は、10年のサイクルを支持し、韓国は締約国の能力に沿った中期レビューを求めた。イランは、サイクルについて議論するのはダーバン・マンデートを超えるものだと述べた。

中国とイランは、多数のサイクルが既にあると指摘し、これ以上のプロセスにサイクルを追加することに対し警告した。EUは、EUのINDCには2030年の目標を記載すると伝え、次の提案を行った:確固とした中期レビュー;法的拘束力のある附属書に緩和約束を入れ、サイクルの詳細はCOP決定書で定義する。ニュージーランドとオーストラリアは、共通のサイクルを設定することを希望し、オーストラリアは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価サイクルとリンクする段階サイクルとし、これに次のものを含めるよう提案した:事前と事後のMRV;集約レベルのレビュー。米国は、サイクルには次の点を含めるべきだと述べた:貢献分の提出;協議期間;貢献分の正式決定:そしてレビュー。

レビューに関し、中国とイランは、国際的な協議と分析など、既存のアレンジを2015年合意にも入れることを支持した。スイス、AILACの立場で発言したチリ、南アフリカは、遵守メカニズムを支持した。ヨルダンは、緩和、適応、MOIに関する事後レビューを提案した。AOSIS、ノルウェー、LDCsは、INDCsの事後評価は必要であると強調し、これは2℃目標達成に向け「正しい経路を進んでいる(we are on the right track)」かどうかを知らせるとし、事務局による集約的な野心の評価を提案した。ブラジルは、5年間の貢献期間とし、2℃目標を念頭に野心レベルを推計する集約的な野心の計算を提案した。LDCsは、新しい合意とINDCsとで別々のMRVシステムにすることを強調した。

その他の問題:法律様式に関し、LDCs、AILAC、マーシャル諸島は、法的拘束力のある議定書を提案した。LDCsは、合意ではCOP決定書ではなく附属書を尊重すべきだと付言した。中国は、法律様式は合意の中身によると述べた。AOSISは、損失と被害及び法律様式についてリマで議論することを求めた。イランは、対応措置を議論する必要があると強調した。南アフリカは、透明性は法的効力に代わるものではないと強調し、AILACもこれを支持した。AILACとマーシャル諸島は、法的拘束力のある議定書を求めた。ニュージーランドは、京都議定書のような目標システムに対し警告し、法的拘束力のある合意とし、これに正式記録スケジュールを規定する約束を付すことを提案した。

技術専門家会議

CO2回収利用貯留に関するTEM10月21日火曜日、スウェーデン・エネルギー庁のUlrika Raabが進行役を務めるTEMが開催された、この会議においてカナダ、英国、アラブ首長国連邦は、CO2回収貯留(CCS)オプションの展望に関する情報交換を行い、ビジネス界代表による専門家パネルは、CCSの実施及びCO2利用オプションに関するプレゼンテーションを行った。この会議のサマリーは下記のURLで閲覧可能:http://enb.iisd.org/vol12/enb12601e.html

CO2以外のGHGs関連行動のTEM10月22日水曜日、コロンビアのMarta Pizanoを進行役とするTEMが開催された、この会議では、締約国、組織、ビジネス側から、メタン、亜酸化窒素、フッ素系ガス、特にハイドロフルオロカーボンの排出を削減し、制限するための国内地方レベル、国家レベル、国際レベルでの政策、行動、協力イニシアティブに関するプレゼンテーションが行われた。この会議のサマリーは下記で閲覧可能:http://enb.iisd.org/vol12/enb12602e.html

プレ2020年の期間における、エネルギー効率化、再生可能エネルギー、都市環境、土地利用の改善による緩和機会開拓に関するTEMsのフォローアップ会議:木曜日、UNFCCC事務局のHalldór Thorgeirssonが進行役を務め、TEMsのデブリーフィングが行われ、TEMsに関わった組織及び支援組織は次の項目に関する進捗状況を報告した:エネルギー効率化、再生可能エネルギー及び運輸 に関する行動の加速化;都市での行動;林業と農業;UNFCCC組織による支援。この会議のサマリーは下記で閲覧可能:http://enb.iisd.org/vol12/enb12603e.html

閉会プレナリー

ADP共同議長のArtur Runge-Metzger (EU)は、土曜日の午後5時34分、閉会プレナリーの開会を宣言し、時間の問題があり、締約国には閉会ステートメントの発表を遠慮してほしいとの希望を表明した。

共同議長のRunge-Metzgerは、今週の議論は、集中した実のある(intense and fruitful)ものであったと述べ、適応及び資金における豊富な議論を強調した。同共同議長は、本会議での進展をリマ会議までに確固としたものにするよう付言し、リマ会議に十分先立つ時期に文書を提出し、非公式の議論を進めることを推奨した。同共同議長は、2015年合意に関係する法律面についての事務局の文書をUNFCCCのウェブサイトで閲覧可能としたと述べた。同共同議長は、INDCsに関する会議の進捗状況は、金曜日の午後のこの問題に関する決定書草案新バージョンに反映されていると強調した。

プレ2020年野心に関し、同共同議長は、「橋をかけよう(build bridges)」とする締約国の努力に感謝し、この問題に関する決定書草案の新しいバージョンが金曜日の夜に出てきたことに焦点を当てた。さらに、同共同議長は、今回の会期中に開催された2つのTEMsのサマリーはUNFCCCウェブサイトに掲載される予定であると指摘した。

同共同議長は、リマ会議の前に、両共同議長から次の文書を提出すると述べた:ADP 2-6に関する共同議長の総括文書;2015年合意の要素に関する共同議長のノンペーパーの最新バージョン;ADP 2-7のシナリオノート。

同共同議長は、ADPの第2回会合を中断し、リマでコンタクトグループの作業を再開することを提案した。

追加の会合に関し、共同議長のRunge-Metzgerは、2015年ではADPとして少なくとも2回の追加会合を開催する必要性について全体的な理解があると指摘し、その最初の会合は、2015年2月8-13日、スイスのジュネーブで開催されると告げた。

UNFCCC事務局のRichard Kinleyは、追加会合の資金面の影響に関する最新情報を提供し、ADPは2015年の予算に影響を与えるような行動を検討していると強調し、締約国に対し、資金供与を検討するよう求めた。

会議報告書の採択:ADP報告官のAnna Serzysko (ポーランド)は、本会合の報告書(FCCC/ADP/2014/L.3)を提出、ロシア提案による若干の修正を経て、採択された。

閉会ステートメント:G-77/中国の立場で発言したボリビア、LMDCsの立場で発言したエクアドル、アラブグループの立場で発言したサウジアラビア、アフリカングループの立場で発言したスーダンは、INDCsに関する共同議長文書草案の新バージョンへの不満を表明し、全ての締約国の意見を反映させていないと嘆いた。2015年合意の要素に関し、G-77/中国、LMDCs、アラブグループ、アフリカングループは、リマでの作業モード転換を求め、LMDCsは、「全ての基本要素に関する草案文書について正式な交渉」に入る集中審議グループ(focused groups)を提案した。アフリカングループは、INDCs及び2015年合意の要素はまとめて議論されるべきだと付言した。

ネパールはLDCsの立場で発言し、ボン会議はそれぞれの立場に対する理解を深める良い機会を提供したと述べた。同代表は、要素に焦点を絞った議論を求め、全ての要素には同等の重要性があるとし、適正でバランスのとれた扱いをする必要があると付言した。

南アフリカはBASICの立場で発言し、2015年合意の要素の審議が進んでいないとして失望感を表明し、LDCsと共に、リマ会議での集中審議グループによる議論を求めた。同代表は、そのようなグループの進行役を共同議長が任命することを提案し、このグループでは、交渉文書草案の要素に関するノンペーパーの最新バージョンにおける共同議長の作業をベースに議論すると述べた。オーストラリアは、ロシアの支持を受け、分科会に移る困難さを表明し、サイロのような小部屋に分かれて(in silo)の作業は避ける必要があると強調した。

スイスはEIGの立場で発言し、進展は「緩慢であったが、それは我々締約国のせいで、共同議長のせいではない」と発言した。同代表は、進展は遅くても、締約国は重要問題の理解を深めることができたと強調し、焦点を絞った議論を求めた。EU、及びアンブレラグループの立場で発言したオーストラリアは、交渉文書草案の要素に関するノンペーパーの追加バージョンに期待すると述べた。

コスタリカはAILACの立場で発言し、自分たちは「橋を架けるエンジニア」であると称し、全ての締約国に対し、さらに多くの意見の集約が可能な分野を見出すため、倍の努力を重ねるよう求め、リマで中身のある結果を出すことが可能な作業モードを求めた。同代表は、INDCの決定書草案にはこの会議での進展は反映されていないと強調した。

ペルーは、全ての参加者が交渉作業の一段の加速化を決意していると指摘し、今回の会議で忌憚のない議論がなされたことを歓迎し、共同議長を支持した。

共同議長のRunge-Metzgerは、締約国の意見に感謝し、午後6時41分、ADPの第2回会合の中断を宣言した。

ADP 2-6の簡単な分析

Many rivers to cross(遥かなる河を渡ろう)

But I can’t seem to find my way over…(だが渡る橋が見つからない)

-Jimmy Cliff

UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、ADPの第2回会合第6部の開会を宣言し、9月の国連気候サミットからのモーメンタムをつかみ取る必要があると強調し、「橋を渡し、だれもが共にたどれる道を見出そう」と参加者に呼び掛けた。しかし会議の進行につれ、一部の参加者は、早々にこれまでの古いやり方に立ち戻り、何度も聞いた見解を繰り返した。このため、多くのものは、締約国を二つに分けている「河」はリマでのCOP 20の前に渡るには広すぎるのではないかと考えていた。この簡単な分析では、ボンでの進展を評価し、グループ全体の力関係を検討し、この6日間にやりとりされた意見交換で、リマでの進展に必要な橋が築けたかどうかを評価する。

リマに通じる橋

ボンに到着した締約国代表は、ADPに関するワルシャワ決定書のマンデートにあるとおり、リマで期待される成果の3本の重要な「柱(pillar)」での進展を図った、これらの柱とは:意図された国家決定貢献分(約束草案)(INDCs)に関する決定書;2015年合意の要素の議論を進め、2015年5月までに交渉文書草案が利用可能になることを確保する;プレ2020年の強化された気候行動の実施加速化に関する決定書。特に締約国に課せられた課題は、可能な場合、INDCsとプレ2020年野心の両方に関する決定書草案で合意することであった。

さらに、参加者には、9月の国連気候サミットそして10月初めのCOP 20議長の非公式会議―これは多くのものがポジティブで建設的であったと評したーで得られたモーメンタムを活かし、リマへの「橋を渡す」べき、との圧力もかかっていた。次期COP 20議長のManuel Pulgar-Vidalは、「緊急性の感覚と高い野心レベル」を持ち、リマ会議で期待される成果に向け進展を図ってほしいと呼びかけたが、開始直後には、緊急性や野心が今回の会議の特徴にならないことが明らかになった。

一部のものは、共同議長提示の文書及び質問事項を議論し、他の国や国グループ提出の文書及び意見に基づき、相互に議論を戦わせようと真摯な努力をしたが、ADPコンタクトグループの会合は、多くの場合、開会プレナリーの繰り返しとなり、最終合意に含めたいと希望する願望リストなどの長いステートメントを参加者が読み上げる形となった。

締約国は、差異化や範囲(scope)、情報のタイプ、事前のレビューもしくは配慮など、INDCsの主要側面についてそれぞれの意見を繰り返し発言し、それぞれの立場を一層明確にしたが、その中でそれぞれの立場が大きくかけ離れていることが浮き彫りになった。このため、多くのものは、リマでのINDCs決定書の成立を危惧していた。全体的には誠意ある雰囲気であったが、締約国はそれぞれの長年の立場に固執し、ダーバンやワルシャワでの理解から後退しているところまであり、多数のものが懸念していた。

INDCsに関する「ワルシャワ・マンデート」の範囲でも意見対立が続いた、特に多くの先進国の主張どおり、INDCsは緩和のみを含めることにするのか、それとも相当な数の途上国の提案どおり、適応も含めるのかどうかで意見が対立した。途上国は、気候変動の影響を最も受けやすく、この課題に取り組み、緩和野心に貢献するための実施手段を必要としており、このため適応は途上国にとり全体を網羅する優先策であり続ける。多数の途上国は、適応及び実施方法を同時に考慮しない形での緩和決定書の議論に抵抗した。

一部の途上国は、リマ会議において、弱いMRV法性など、2015年合意の緩和要素に「固定される(locking in)」一方、他の問題はパリでの結果に先送りされることを懸念した。この懸念があることから、アフリカ諸国は、リマ会議ではINDCs及び2015年合意要素など柱ごとの決定書ではなく、両者に関する一つの決定書にすることを提案した。一部のものは、INDCsの範囲の決定を各国の文書提出期限である2015年第一四半期からはるかに遅れるパリ会議に回し、全要素を合わせた議論を確保するよう提案するに至った。途上国が「緩和第一主義」と見るものの受け入れを躊躇し続けていることから、リマの成果は、再度「パッケージ取引」となり、この中で全要素の進め方を示し、パリ以後に残される問題はないことを保証する形となる可能性が強くなった。

どこにも渡れない橋?

この週の日を追うごとに、諸国グループの細分化が続き、利害集約グループの数を追う人間にとり、懸念材料となった。このプロセスを長年観察してきたオブザーバーの一部は、パリでのCOP 21が近付く中、従来の国グループ内で共通の立場で合意することはますます難しくなった感じであると指摘した。ボンの会議では、意見を述べる途上国グループの数の多さとか、パラオや東チモール、タンザニアなど、これまでは自分たちの連盟のスポークスパーソンに立場表明を任せていた個々の締約国が単独の意見発表をしたことなどに、この傾向が反映されていた。

EUは統一した発言を続けていたが、グループ結束の問題も出てきたことから、多くのものは、28の加盟国を持つグループ内の分裂で、当時ブリュッセルで開催されていたEU委員会における排出削減での共通の立場の合意成立が難航するのではないかと危惧していた。このため、木曜日夜、GHG排出量を2030年までに1990年比40%削減するとEUが決議したことで、多くの加盟国が安堵していた。このグループの一部の国は、EUの決議はEUのINDCの基本要素であり、「ことを動かす上で(get the ball rolling)」欠かせないと感じており、他の締約国にもそれぞれの緩和貢献を打ち出すよう推奨した。

各国の立場は複雑さを増していることから、ボンでの会議は、リマで妥協に達することがいかに難しいかを明らかにするものとなった。「この会議では橋を渡すように求められたが」と、ある参加者は嘆き、「これまでのところ、それぞれが自分のいる場所から橋を建て始め、どこで合わさるのか見通すのが難しい、慎重にやらないと、どこにも行けない橋だらけになりかねない。」

加えて、3つの結論を出す可能性がある分野でも、6月の会議から、それぞれの作業方法や作業モードでの意見対立が持ち越された形となった、この3つの分野とは:共同議長作成の文書草案をベースに直接交渉を行うかどうか;概念的な議論を続けるか;それとも2015年合意の要素について文書ベースの交渉に入るかどうかである。このため、一部の締約国は、共同議長のノンペーパーや決定書草案について議論し、他のものは国グループが提出した会議ペーパーに焦点を当てるなど、それぞれの肩越しに話をする状態となった。

大半のものは、プロセスを前に進めるには文書ベースの交渉が重要であるという点で合意していたようだが、どの文書を交渉のベースにすべきかで合意できず、多くのものは、5週間以内に始まる作業への不安感を高めつつ、帰国の途についた。このような感覚は閉会プレナリーで噴出した形となり、多数の途上国は、交渉文書の欠如に対する焦燥感を口にし、「締約国主導」プロセスでは共同議長が発行した文書の入る余地はないと繰り返した。これらの途上国は、合意文書草案の主要要素ごとにスピンオフグループを設置するなど、リマでの作業方式を速やかに変更することを求めた。

同時に、先進国は、一部の途上国と共に、共同議長のノンペーパー及び決定書草案に基づく交渉を求め、共同議長に対し、ボンでの議論を反映させるべくこれらの文書を更新するよう求めた。共同議長は、このプロセスは締約国主導であり、リマでの進行方法を決めるのは締約国で、共同議長ではないことを想起した。今後の進め方に関する基本的な意見対立は、リマでのADP開会の際にも、手順の議論に反映される可能性が高く、実質的な議論を遅らせる可能性がある。

柱を立てる

リマに向けた橋かけ作業の進展は限定的であったが、参加者は、この会議は最も必要とされた詳細な意見交換の場を提供したとして評価し、ボンを後にした。多くのものは、各国や各グループの意見の幅を示し、意見集約が可能な分野と意見が分かれる分野、さらにはそれぞれの立場の根幹にあるものが何か、その懸念にどう対処できるかについて理解を深める上で有用な会議であったと感じた。

適応及び資金に関する非公式協議では、実のある、インタラクティブな意見交換が行われた。このような協議が開始されたことは、一部のものに言わせると、作業モードの大きな変化を示すものであり、リマでは、締約国は一つのコンタクトグループでのオープンエンド協議という安楽さを離れ、焦点を絞った交渉を同時並行で行う意思がありうることを示している。最も熱意が感じられたのはおそらく適応を巡る問題であったろう、この問題は、新しい合意での重要性について圧倒的な意見の一致があったことから、「安全な」議題として登場したようである。適応及び資金の主要要素の一部が明確化されたことで、これらの重要問題に十分な注意が払われ、緩和と同じペースで先へ進められるとの確証を途上国に与えることができた。

加えて、提案の中には、締約国の二者択一オプションについて、中間点の選択可能性を提供しようとするものもあった。特に中南米諸国数カ国は、差異化や資金という、恐らくは2015年合意の成功で最も重要な要素の二つに対する対処方法に関し、具体的な提案を行い、「橋渡し役」となる可能性が際立って見られた。ブラジルの「同心円の差異化(concentric differentiation)」と言う概念は、多くの関心を呼んだが、この概念は、「条約の原則を保持」しつつ、各国が自国の野心レベルを決定するという「純粋な自主的差異化を回避」するダイナミックな合意作成を追求するものである。中南米カリブ海独立同盟(Independent Alliance of Latin America and the Caribbean)の提案した資金に関する短期目標及び長期目標の設定、さらにノルウェーが提案した、資金に関する段階的な準備体制ベースの手法採用も、諸国グループを超えて関心を集めた。

プレ2020年野心に関するワークストリーム2では、2回の技術専門家会議が開催され、一定の進展がみられた。ワークストリーム2の主要構成要素であるTEMsが実際の緩和行動の追加実施を生み出しているかどうか、多くのものは疑問視したが、政治的な交渉と同時に技術のスペースをもつことの重要性では圧倒的な意見の一致があり、技術メカニズムの下でTEMsを制度化する方法について具体的な提案がなされた。しかし、一部のものは、既存の約束など、ADPに関するワルシャワ決定書の要素をリマでの決定書にどう反映するかの問題など、ワークストリーム2を2015年以後、どう進めるかでは大きな意見の食い違いがあると指摘した。

会議の週が週末に近づく中、異なる諸国グループは、リマ会議の3つの柱にそれぞれ異なる重要性を持たせた、このことから、COP20の成功には、巧みな橋渡しや問題のバランスをとることが求められることが明らかとなり、嫌われている「パッケージ」の可能性もあることが明らかになった。ボン会議では、必要な橋渡しを完成させはしなかったが、参加者は、リマで期待されるADPの成果の3本柱について議論の基礎を敷くことに成功した。リマ会議まで数週間しか残されておらず、渡らなければならない河の広さからすると、参加者は、共に橋を築くためクリエイティブな方法を探るべく最善を尽くす必要がある、さもなければ、橋から落ち、泳ぎ方を学ばなければならないかもしれない。

今後の会議予定

IPCC-40気候変動に関する政府間パネルの第40回会合は、コペンハーゲンで開催され、第5次評価報告書(AR5)を構成する3つの作業部会報告書の結論を統合し、合成する統合報告書(SYR)について審議し、これを最終決定する。パネルは、政策立案者向けサマリー(SPM)を承認し、SYRを採択する。日付:2014年10月27-31日  場所:デンマーク、コペンハーゲン  連絡先:IPCC事務局  電話:+41-22-730-8208  ファクシミリ:+41-22-730-8025  電子メール:IPCC-Sec@wmo.int  wwwhttp://www.ipcc.ch/

COP 20世界ステークホールダー・ダイアログ:気候変動で行動を:この会議は、UNFCCC COP 20及びCMP 10の議長が開催、ペルーの利害関係者グループ及びUNFCCCオブザーバー組織のメンバー、そしてペルーのUNFCCC交渉チームが参加する。日付:2014年10月28-30日  場所:ペルー、リマ   連絡先:COP 20 Presidency  電子メール:infocop20@minam.gob.pe wwwhttp://ecpamericas.org/events/default.aspx?id=505

1回持続可能な輸送に関する閣僚及び政策会議:この会議は、アフリカの開発及び計画プロセスに持続可能な輸送の概念を統合し、持続可能な輸送プログラムに対する資金供与額の増大を目指す。  日付:2014年10月27-31日  場所:ケニア、ナイロビ  連絡先:UNEP, Division of Technology, Industry and Economics, Energy Branch  電話:+254-20-7623377  wwwhttp://www.unep.org/transport/ASTF/index.asp

APAC地域のICAO環境セミナー:このセミナーの題目は:航空輸送と環境のアウトルック、航空機の騒音、地方の大気の質、世界の排出量、持続可能な代替燃料、市場ベース措置、技術、オペレーション、グリーンな飛行場、国家行動計画、国家に対する支援と資金供与。日付:2014年10月28-30日  場所:マレーシア、クアラルンプール  連絡先:ICAO  電話:+1 514-954-8219  ファクシミリ:+1 514-954-6077  電子メール: icaohq@icao.int  wwwhttp://www.icao.int/Meetings/EnvironmentalWorkshops/Pages/2014-Ap-RegionalSeminar.aspx

REDD+アカデミー、アジア:REDD+アカデミー・シリーズの最初のイベントであり、国家REDD+戦略、セーフガード、利害関係者の参加などの問題に関するREDD+政策決定者の訓練を目的とする。  日付:2014年10月28日―11月7日  場所:インドネシア、Yogyakarta  電子メール:Levis.kavagi@unep.org  wwwhttp://www.un-redd.org/REDDAcademy/tabid/132073/Default.aspx

エネルギー規制担当者のためのワークショップ:エネルギー価格化、改革、転換:この会議は、特に、再生可能エネルギーへの転換に必要な措置とされる燃料価格改革に焦点を当てる。 日付:2014年10月29-31日  場所:ケニア、ナイロビ  連絡先: United Nations Office for Sustainable Development(持続可能な開発のための国連ナイロビ事務所)  電話:+82-32-822-9088  ファクシミリ:+82-32-822-9089  電子メール:unosd@un.org  www:http://www.unosd.org/

森林、ガバナンス、気候変動に関する第16RRIダイアログ:このダイアログでは、森林ベースの気候変動緩和の進捗状況及びその課題について検討する。  日付:2014年10月30日  場所:ペルー、リマ  連絡先:Rights and Resources Initiative事務局  電話:+1-202-470-3900  ファクシミリ:+1-202-944-3315  電子メール: DialogoRRI@ibcperu.org  wwwhttp://www.rightsandresources.org/news-events/rri-dialogue-series/

総合災害リスク管理のための国際協会第5回会合:この会議は、地方自治体における、災害の軽減、気候変動への適応、持続可能な開発を推進するための能力向上に向け、ギャップをなくし、科学に基づく解決策を進める。日付:2014年10月30日-11月1日  場所:カナダ、オンタリオ州、ロンドン  連絡先:会議事務局  電子メール:twaddington@iclr.org wwwhttp://www.has.uwo.ca/cs/idrim/

IRENAカウンシル第8回会合:この会議の議題は:2014-2015年作業計画及び予算の実施に関するDirector Generalの報告;2014年国連気候サミットの成果に関する議論;再生可能エネルギーとエネルギーの転換。  IRENAのプログラム及び戦略委員会(PSC)と総務及び財務委員会(AFC)は、カウンシル会議の直前、11月2日に会合する。  日付:2014年11月3-4日  場所:アラブ首長国連邦、アブダビ  連絡先:IRENA事務局  電話:+971-2-4179000  電子メール:secretariat@irena.org  wwwhttp://www.irena.org

CDM認証パネル第70回会合: CDM認証パネル(CDM-AP)は、認証運用機関の手順に則り、CDM理事会の意思決定書を準備する。 日付:2014年11月3-5日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://cdm.unfccc.int/Panels/accreditation/index.html

後発途上国専門家グループ(LEG)の太平洋地域LDCsのためのNAPs地域訓練ワークショップ: LEGは、LDC締約国に対する技術ガイダンス及び助言を提供する方法の一つとして地域訓練ワークショップを開催する。  日付:2014年11月3-7日 場所:バヌアツ、Port Vila 連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int/meetings/unfccc_calendar/items/2655.php?year=2014

附属書I諸国のGHGインベントリの技術レビュー目的のガイドライン改定案に関する第2回テクニカルワークショップ: このワークショップは、先進締約国による隔年報告書及び国別報告書のレビュー用ガイドライン改定に関する作業プログラムの一環。 日付:2014年11月4-6日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局 電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール: secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int/meetings/unfccc_calendar/items/2655.php?year=2014

UNFCCC COP 20及びCMP 10のプレCOP閣僚会議:このイベントは、ベネズエラ政府が開催するもので、UNFCCC交渉への市民団体の参加を再検討することが目的。 日付:2014年11月4-7日  場所:ベネズエラ、カラカス  連絡先:Cesar Aponte Rivero, General Coordinator  電子メール: precop20@gmail.com  www:http://www.precopsocial.org

京都議定書5条、7条、8条の関連問題の技術的議論:この会議はSBSTA 40の要請で開催されるもの。  日付:2014年11月7日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int  wwwhttp://unfccc.int/meetings/lima_dec_2014/workshop/8525txt.php

再生可能エネルギーの自家消費に関するワークショップ:グリッド・インフラ革命でエネルギー貯留が果たせる役割:このワークショップは、グリッドのインフラ変換、及び消費者による再生可能エネルギー発電の現場消費支援の観点から、電池によるエネルギー貯留技術を検討する。日付:2014年11月7日  場所:日本、東京  連絡先:IRENA事務局  電話:+971-2-4179000  電子メール:secretariat@irena.org wwwhttp://www.irena.org

山岳地帯の住民の気候に対する適応を議論する国際会議:この会議は、山岳地帯の地球規模気候変動について、識見を深めると期待される。 日付:2014年11月9-12日  場所:ネパール、カトマンズ  連絡先:ICIMOD  電話:+977-1-5003222  ファクシミリ:+977 1 5003299  電子メール:adapthkh@icimod.org  wwwhttp://www.icimod.org/adapthkh

REN21再生可能エネルギーアカデミー2014年:このアカデミーでは、過去10年間の再生可能エネルギー開発の進捗状況を検討し、世界のエネルギーの更なる再生可能エネルギーへの転換を進める方法について、探求する。日付:2014年11月10-12日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:REN21事務局、UNEP気付  電話:+33-1-44-37-14-50-90  電子メール: secretariat@ren21.net  wwwhttp://www.ren21.net/REN21Activities/REN21RenewablesAcademy2014

IEA持続可能なビルディングに関するワークショップ:このワークショップは、ビルディングに関する世界の主要な利害関係者の助言を求め、国際エネルギー機関の新しい持続可能なビルディング・イニシアティブの発展に貢献する。  日付:2014年11月12-13日  場所:フランス、パリ  連絡先:Marc LaFrance, IEA  電子メール: marc.lafrance@iea.org  www http://www.iea.org/workshop/iea-sustainable-buildings-workshop12-13-nov.html

CDM指定国家当局第16回フォーラム:このフォーラムは、指定国家当局及び国家窓口の代表に、意見交換及び経験情報交換の機会を提供し、フォローアップ行動のフィードバックも行う。  日付:2014年11月13-14日  場所:ドイツ、ボン  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int wwwhttp://cdm.unfccc.int/

UNECE持続可能なエネルギー・ウィーク:このエネルギー・ウィークでは次の会議が開催される:エネルギー効率化の専門家グループ;再生可能エネルギーの専門家グループ;持続可能なエネルギー委員会の第23回会合。 日付:2014年11月17-21日  場所:スイス、ジュネーブ  連絡先:Stefanie Held, Secretary of the Committee on Sustainable Energy  電話:+41-22-917-2462  ファクシミリ:+41-22-917-0038  電子メール:stefanie.held@unece.org www:http://www.unece.org/index.php?id=35137

81CDM理事会:第81回CDM理事会は、COP 20の直前に会合する。 日付:2014年11月24-28日  場所:ペルー、リマ  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール:secretariat@unfccc.int www http://cdm.unfccc.int/EB/index.html

災害緩和を目的とする米州ネットワークの第3回半球会議:この会議のテーマは、「災害リスク管理及び気候変動の適応の開発アジェンダへの統合」。 日付:2014年11月25-26日  場所:米国、ワシントンD.C.  連絡先:Pablo Gonzalez, Dept. of Sustainable Development, OAS事務局  電話:+1-202-370-4971 ファクシミリ:+1-202-370-3560  電子メール:pgonzalez@oas.org wwwhttp://www.rimd.org/actividad.php?id=615

途上国での再生可能エネルギーに関する第2回国際会議(REDEC 2014)この会議では、途上国におけるエネルギーの節減及び生産面の解決策を探求する。 日付:2014年11月26-27日  場所:レバノン、ベイルート  電子メール:redecsecretary@redeconf.org wwwhttp://www.redeconf.org

リマ気候変動会議:第20回締約国会議(COP 20)及び第10回京都締約国会合(CMP)は、ペルーのリマで開催される。SBSTA 41、SBI 41、ADP 2.7の会合も開催される。  日付:2014年12月1-12日  場所:ペルー、リマ  連絡先:UNFCCC事務局  電話:+49-228-815-1000  ファクシミリ:+49-228-815-1999  電子メール: secretariat@unfccc.int www http://unfccc.int/meetings/lima_dec_2014/meeting/8141.php

このほかの会合及び最新情報については右記を参照:http://climate-l.iisd.org/

This issue of the Earth Negotiations Bulletin © <enb@iisd.org> is written and edited by Alice Bisiaux, LLM, Mari Luomi, Ph.D., Annalisa Savaresi, Ph.D., and Anna Schulz. The Digital Editor is Brad Vincelette. The Editor is Pamela Chasek, Ph.D. <pam@iisd.org>. The Director of IISD Reporting Services is Langston James “Kimo” Goree VI <kimo@iisd.org>. The Sustaining Donors of the Bulletin are the European Commission (DG-ENV and DG-CLIMATE) and the Government of Switzerland (the Swiss Federal Office for the Environment (FOEN) and the Swiss Agency for Development Cooperation (SDC)). General Support for the Bulletin during 2014 is provided by the German Federal Ministry for the Environment, Nature Conservation, Building and Nuclear Safety (BMUB), the New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, SWAN International, the Finnish Ministry for Foreign Affairs, the Japanese Ministry of Environment (through the Institute for Global Environmental Strategies - IGES), the United Nations Environment Programme (UNEP), and the International Development Research Centre (IDRC). Specific funding for coverage of this meeting has been provided by the Kingdom of Saudi Arabia Ministry of Petroleum and Mineral Resources and Aramco. Funding for translation of the Bulletin into French has been provided by the Government of France, the Wallonia, Québec, and the International Organization of La Francophonie/Institute for Sustainable Development of La Francophonie (IOF/IFDD). The opinions expressed in the Bulletin are those of the authors and do not necessarily reflect the views of IISD or other donors. Excerpts from the Bulletin may be used in non-commercial publications with appropriate academic citation. For information on the Bulletin, including requests to provide reporting services, contact the Director of IISD Reporting Services at <kimo@iisd.org>, +1-646-536-7556 or 300 East 56th St., 11D, New York, NY 10022 USA.

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