Daily report for 12 May 2017

Bonn Climate Change Conference - May 2017

ボン気候変動会議は、金曜日も続けられた。一日中、非公式協議、コンタクトグループ、義務化イベントが開催された。

SBSTA

パリ協定6.2条(ITMOs):共同進行役のHugh Sealy(モルディブ)は、共同進行役作成の可能要素リストの氏第1案を提示、このリストはこれに限定されるものではなく、オープンであると述べた。多数の締約国は、このリストを「記憶を助けるもの(aide memoire)」として扱うよう促し、合意題目に関する作業を開始するよう求めたが、他のものは反対した。共同進行役のKelley Kizzier(EU)はリストを提示し、締約国に対し、リストに含まれていない、または含むことを希望していない要素についてコメントするよう求めた。数か国の締約国は、詳細度のバランスをとるよう促した。2つの締約国グループは、次の項目などを求めた:対応措置とのリンク;CBDR-RCへの言及。ある締約国は、このリストに入れる基準はパリ協定並びに付随文書で合意されたものである必要性を指摘した。ある締約国グループは、このプロセスに反対し、要素を排除する方法は合意されていないと指摘した。共同進行役のKizzierは、 締約国は現時点では要素の追加または推敲をし、後日、合意部分を特定することが求められると明言した。

6.4条(メカニズム):共同進行役のKizzierは、提出文書及び議論内容を基に共同進行役が作成した要素リストに関するコメントを求め、リストにないもの及び不正確なものに注目するよう求めた。数か国の締約国はこのプロセスへの期待感を共有、その後、Kizzier共同進行役は、第1段階ではどの項目もリストから削除されることはない、その後のステップは締約国同士が決定すると明言した。締約国は、次の項目などを提案した:計算の十全性;非締約国利害関係者による6.4条レジストリの利用;登録料を含む運用コスト;緩和全体に対する手法論アプローチ;先住民及び地方共同体の権利;苦情及び救済メカニズム;収入の一部を適応に回す、これには適応基金に資金を供与する可能性あり。共同進行役は、別な箇条書きを作成する。

農業:共同進行役のHeikki Granholm(フィンランド)は、過去のワークショップのレビューに関する意見表明を求めた。全ての締約国は、農業に関する非公式な非公式協議(informal informals)での進展を歓迎し、今回の会合では実のある結論書及びCOP 23決定書で合意に達するだろうとの楽観的な見方を示した。非公式な非公式協議が続けられる。

SBI

義務化イベント:多国間評価(MA):MAに関する会議は、この日一日を通して開催された。午前中、カナダ、キプロス、フランス、ギリシャ、アイスランドがプレゼンテーションを行った。多数のものが、カナダの全カナダ枠組(Pan-Canadian Framework)のプレゼンテーションに対しコメントし、特に次の項目に関し質問した:カナダの2020年目標と現在の排出量の対比:カナダの連邦制に配慮した、同国の炭素価格化及び再生可能エネルギー政策;非規制の措置;LULUCFの手法論。締約国は、フランスに対し、特に次の項目について質問した:LULUCF政策及びエネルギーミックスの変動。MAは、午後も会合を 続け、アイルランド、日本、カザフスタン、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、ポルトガルがプレゼンテーションを行った。

キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会(PCCB):PCCBは、一日中、会議を開催し、次の2017年焦点分野について議論した:パリ協定の内容におけるNDCs実施のためのキャパシティ・ビルディング活動。

次の項目に関するラウンドテーブル会合も開催された:ダーバン・プラットフォームとPCCBの作業との補足性;2017年焦点分野を支援するイニシアティブ及びパートナーシップ;NDCsの実施で対応されるべきギャップ及びニーズ。

分科会では次の項目に焦点が当てられた:NDC実施目的のキャパシティ・ビルディング活動を支援する多様な行動者間での協力強化;開発途上国のNDCs実施能力の強化。次の項目などが提案された:ギャップ、ベストプラクティス、利用可能な訓練のデータベース;キャパシティ・ビルディングの国内窓口、ニーズの評価;課題別タスクフォース;条約の国別報告書におけるキャパシティ・ビルディングのニーズ報告ガイドライン。

共同議長のNummelinは、参加者の意見交換に感謝し、PCCBはインプットを2016-2020年に作業計画に取り入れられる方法を協議すると指摘した。PCCBは、5月13日土曜日に再開する。

公開レジストリ(パリ協定4.12条)の運用及び利用に関するモダリティ及び手順の作成:共同進行役のMadeleine Diouf-Sarr(セネガル)は、NDCsレジストリのモダリティと手順、及び設計要素に関し、意見表明を求めた。

多数の締約国は、次の項目を支持した:国内窓口による提出;国名、提出ファイル名、言語、提出日/年など、並び替え可能なコラムに基づく設計。

締約国は、特に次の項目に関する文書提出要請を支持した:セキュリティ及びアクセス可能性を強化する方法;レジストリの言語/レジストリ内の言語;暫定レジストリ及びその利用者ガイドでの学習事項;2つのレジストリのリンクづけまたは橋渡し。

全ての締約国は、技術に焦点を当てる議論を称賛した。共同進行役は、結論書草案を作成する予定。

SBSTA/SBI

緩和に関するTEM:閉会会合:UNFCCC事務局のNick Nuttallは、SB 46で開催された緩和の題目別TEMsのモデレーターに対し、次の項目について報告するよう求めた:都市、これには都市レベルの協力、政策、技術解決策及びパートナーシップを含める;土地利用、これには農業、林業と土地利用、民間部門の参加を含める。その後、基調講演が行われた。

WBCSDのMatthew Reddyは、低炭素経済での持続可能な木材及びバイオマスの利用による解決策の規模拡大で民間部門が果たせる役割を強調した。

フィジーのハイレベル気候変動チャンピオンのInia Batikoto Seruiratuは、TEMは気候行動の規模拡大を推進すると発言、今回の成果が世界的な気候行動のためのマラケシュ・パートナーシップの題目別分野に取りいれられるよう努力すると保証した。

UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、都市及び土地利用における各国の経験の共有は「心強いが、十分ではない(encouraging but not enough)」と述べ、ポテンシャルの高いものを実践するよう求めた。

参加者は、今後の進め方に関しコメントし、将来のTEMsの注目分野、マラケシュ・パートナーシップとの結びつき、若者及び民間部門の参画を求めた。

対応措置:共同進行役のAndrei Marcu(パナマ)は、技術専門家グループ(TEG)報告書の議論を主導した。多数の開発途上国は、TEGの作業に対する感謝の意を示し、改善フォーラム(Improved Forum)に取り込む方法を説明し、TEGは継続すべきと主唱した。多数の先進国は、TEGを再結成すべきでないと論じ、構成員の大半が交渉担当者であると指摘、改善フォーラムの作業については、関心分野を網羅する作業計画で合意していると指摘した。議論が続けられる。

長期世界目標の次回定期レビューの対象範囲及び目標達成に向けた進捗状況の概況:共同進行役のLeon Charles(グレナダ)は、新しい結論書草案の改定案を提示した、これにはLTGGのレビュー範囲の審議を2019年まで延期して、GSTのモダリティ、2018年促進ダイアログ、及び技術検証プロセスなど、現在進行中の交渉プロセスが終了できるようにするとの決定書草案も含まれた。締約国は、決定書草案に多少の修正を加えた上で、提案された文章草案に同意した。締約国は、「関連作業に配慮した上で(taking into account relevant work)」この問題に関するSBI及びSBSTAの審議を再開するとの注釈を付した。

APA

決定書1/CP.21の緩和セクションに関する追加ガイダンス:共同進行役のGertraud Wollansky(オーストリア)は、ガイダンスの特色に関しコメントを求めた。締約国は、次の項目を含むオプションについて議論した:現在の特色を統合;特定の特色を推敲;新規の特色を明記。多数の締約国グループは、新規の特色の導入に反対し、野心及び進捗状況などの特色に差異化を反映させることが重要だと強調し、協定第3条に言及、あるグループは、LDCs及びSIDSに柔軟性を付与するよう促した。一部の締約国は、NDCsには国家決定貢献と「中央集権的に決定された(centrally determined)」特性の両方が含まれると述べ、後者に関するガイダンスを求めた。少数の締約国は、NDCsの特色とそれに記載される情報とを区別するよう求め、あるグループは、両者に違いはない可能性があると論じた。

午後、共同進行役のSin Liang Cheah(シンガポール)は、特色及び計算方法に関する意見を共有するよう締約国に求めた。ある締約国グループは次の点を強調した:特色をNDCsの特性として定義づけする;共通の時間枠に基づき作成する;緩和に限定して焦点を当てる、これについては一部の締約国が反対した。開発途上国は、柔軟性がカギであると説明した。計算方法の目的に関し、多様な締約国は、一貫性の確保に言及した。多数の締約国は、環境十全性、二重計算の回避、集約の推進に言及した。計算ガイダンスに関し、ある開発途上国グループは、開発途上国に対する柔軟性及びキャパシティ・ビルディングを強調した。先進国は、NDCsの多様性に対応する必要があると指摘した。ある締約国は、土地利用に関する専用ガイダンスに警鐘を鳴らした。 少数の締約国は、第6条(協力手法)に関し、SBSTAと合同の議論を提案したが、ある締約国は反対した。数か国の締約国は、焦点分野の題目を付した文書提出要請を支持した。

適応報告書:共同進行役のBeth Lavender(カナダ)は、適応報告書の要素の議論を主導した。ある開発途上国グループ及びある先進国グループは、別な要素リストを審議用に提示したが、二つのリストには共通点が多く、大きく異なるものではなかった。一部の締約国は、一部の要素もしくは全ての要素を報告書の特色の最小公倍数にすべきと提案し、あるものは、これ以下ではGSTにおいて適正な役割を果たせないと指摘した。他のものは、この報告書の自主的な提出という特性、国家決定という特性からすると、最小公倍数というのは不適切であると論じた。

共同進行役のNicolas Zambrano Sanchez(エクアドル)は、リンク付けに関する議論を主導した。数か国の締約国は、透明性枠組及びGSTなど、リンクづけ分野の議論は流動的で、今回の議論は時期尚早ではないかと述べた。一部の開発途上国は、NAPs及びNAPAsなど、適応報告書の一部のタイプの様式には既存のガイダンスがあることに注目し、追加負担を創出しない必要があると強調した。

行動及び支援の透明性枠組:共同進行役のXiang Gao(中国)は、パリ協定第7条(適応)の下での気候変動の影響及び適応に関係する情報ダイアログを開始するためのツールを提示した。多数の先進国は、協定では締約国は適応行動に関し報告「するものとする(shall)」となっていると指摘し、柔軟性をモダリティや手順、ガイドライン(MPGs)で推敲する必要はないと論じた。多様な先進国は、共同進行役のツールにある損失と被害への言及を削除するよう求めたが、一部の開発途上国は反対した。このほか議論された問題には、開発途上国に対し余計な負担を課さないという必要性、適応行動の効果性及び持続可能性などが含まれた。

午後はAndrew Rakestraw(米国)が共同進行役を務めた。締約国は、 資金、技術移転、キャパシティ・ビルディングに必要かつ受理した支援に関する情報について議論するため、共同進行役が作成したリストに関し、第1回の意見交換を行った。締約国は、次の提案を行った:目的の項目に原則を追加する;取引コストに関する情報を含める;「開発及び(development and)」技術移転への支援と明記する;支援の「利用、影響、結果(use, impacts and results)」に関する情報の報告に言及するのは避け、「行動の状況(status of action)」及び支援のニーズの「根拠となる想定条件(underlying assumptions)」などの新しい考えへの言及も避ける。一部の先進国は、根拠となる想定条件及び手法論に関する情報は有用と説明した。多数の開発途上国は、次の項目での課題を指摘した:ニーズに関係する情報の識別;支援のトラッキング;さらに、他のものと共に、技術移転の支援をキャパシティ・ビルディングの支援と切り離す課題も指摘した。

多数の開発途上国は、行動の強化には支援の強化が必要だと強調し、気候資金の定義づけ及びアクセス可能性の明確化を求めた。一部のものは、パリ協定の別な条項への言及を提案したが、他のものは言及を削除するか全ての条項を記載するよう提案した。多数のものは、現在SBSTAが行っているモダリティの作業はAPAでの作業へのインプットとして有用と指摘した。

共同進行役は、次のステップを議論すべく、関心のあるグループと非公式の二者協議を行い、非公式ノートを改定する予定。

グローバル・ストックテイク(GST):共同進行役のIlze Prūse(ラトビア)は、GSTのモダリティに関する意見表明を求めた。多様な途上国及び先進国は、GSTの各フェーズをダイナミックなものとし、情報の収集及び取りまとめ、これらのインプットの考察、技術的成果作成の機能の提供を提案した。一部のものは、GSTの技術フェーズの十全性を保持する必要があると強調した。多数のものは、CMAがGSTを監督することを提案し、一部のものは、技術フェーズの結果を議論する合同コンタクトグループの結成を提案した。一部の開発途上国は、キャパシティ・ビルディング、技術及び資金を検討する3件別々のダイアログの開催を提案した。ある締約国は、2013-2015年レビューに関する組織化された専門家ダイアログ(Structured Expert Dialogue)で得た学習事項に関し、事務局によるバックグラウンド・ペーパーの作成を提案した。ある開発途上国グループは、「アウトプット」などパリ協定に記載されていない用語の使用に対し懸念を表明した。多様な締約国は、衡平性はGSTの全てのワークストリームを横断するテーマと考えられるべきと指摘した。共同進行役の非公式ノートの第1回改訂版は、ここでの議論を基に更新される予定。

実施推進及び遵守促進委員会:共同進行役のPeter Horne(オーストラリア)は、各国の能力、国情、インターリンクに関するコメントを求めた。国の能力及び国情に関し、3か国の開発途上国は、差異化に対するモダリティの必要性を提案し、CBDR及び当委員会の政治的ではなく技術的な特性を指摘した。数か国の先進国及び一つの開発途上国グループは、当委員会はどの柔軟性が保証されるか事例ごとに決定できると発言し、差異化の義務はパリ協定全体に適用されており、このため、当委員会の作業に反映されると述べた。

ある開発途上国グループは、各国の能力及び状況は手順及び成果そして締約国との約束に反映されるべきと発言した。別な開発途上国グループは、過剰に規範的である必要はないと発言し、締約国との協議における柔軟性、締約国に提供される支援、プロセスのアウトプットを提案した。

リンクつけに関し、多数のものは、目的の根源、自動トリッガー、あるいは他のトリッガーへのインプットとしての透明性枠組とのリンクを指摘した。一部の先進国は、協定6.4条のメカニズムとのリンク付け探究を提案、これに対し2つの開発途上国グループは反対し、懲罰的措置になる可能性への懸念を表明した。

数か国の締約国は、CMAとの関係についてコメントし、一部のものは、組織的問題に関し報告するという当委員会の役割を指摘した。ある開発途上国グループは、CMAは当委員会に対し権限を有し、ガイダンスを提供すべきと述べ、他の2つの開発途上国グループはこれに反対し、作業自体は委員会レベルに残すべきだと述べた。非公式協議が続けられる。

追加事項:適応基金:Pieter Terpstra(オランダ)が共同進行役を務めた。

事務局の法律チームは、この基金がパリ協定においても役割を果たすために必要な法律上の限界に関する締約国の質問に回答し、この問題はCMAの決定及びCMPの決定により異なる、両者が同時に適用されるわけではないと明言した。同代表は、ガバナンス、制度、モダリティに関する決定はこの基金がどの制度もしくは協定で役割を果たすかにより異なると説明した。

ある開発途上国グループは、この解釈には不同意であるとし、次の見解を強調した:この基金が協定においても役割を果たすことは既に採択されており、2018年での決定は単にその決定の運用を開始する方法を定めるだけである;適応基金はCMP単独の意思決定権限下に残されるべきで、CMAはCMPの決定に留意するだけである。

他の開発途上国は、締約国が次のことを行うというオプションを検討した:適応基金は協定に対しても役割を果たすとCMPが決定し、この基金の理事会はCMAの権限下に入るべきことで合意する;この基金の財源、信託、理事会でのパリ協定締約国の適格性に関する問題を議論する。

数か国の開発途上国は、既にプロセス上にあるプロジェクトの「グランドファザリング(適用除外となる問題:grandfathering)」をどう扱うかなど、移行問題を議論する必要があると指摘した。議論が続けられる。

適応基金以外の問題:APA共同議長のSarah Baashan(サウジアラビア)が共同進行役を務めた。会議では次の項目を検討した:LDC基金(LDCF)及び気候変動特別基金(SCCF)に対するCMAの初期ガイダンス;現行のNDCsに関するCMAのガイダンス。多数の締約国は、どちらの項目にも優先性はないと発言し、パリ協定の締約国がLDCF及びSCCF経由の支援供給を開始する際には、その時点で両者を管理する予定のGEFにガイダンスを提供できると指摘した。NDCsの調整に対するガイダンスに関し、多数の締約国は、NDCs移行に関するガイダンスは既に大半の関連詳細分野を対象としていると指摘した。

廊下にて

金曜日午前中、ボン会議の交渉担当者は、「COPモード」に近い多忙なスケジュールが始まり、予定に押されていた。

農業及びNDCレジストリに関する交渉を終えた参加者は、満足の表情を浮かべ、前向きな精神で建設的な議論であったとコメントした。多国間評価会合でも同じ前向きな精神が生きており、あるオブザーバーは、一部の諸国の精密な質問と詳細にわたる回答は「うれしい驚き(pleasantly surprised)」であったとコメントした。

他の義務化イベント会場の外では、一部の懐疑的なオブザーバーが、いくつかの題目別イベントの付加価値に疑念を示し、多くのイベントで質疑応答に当てられた時間の短さを嘆いた。数回の非公式協議ではパリ協定の順守と協定を運用可能にするための「実のある(meaty)」ガイダンスの提供とのバランスをどうとるかの議論が堂々巡りとなり、その後、交渉自体に戻ったある交渉担当者は、焦燥感をにじませ、「パリ協定の再交渉に関する特別作業部会」を設置してはどうかと提案した。

土曜日も丸一日のスケジュールになると見越した、ある参加者は、「ようやく中身の議論に入れるのを喜んでいる」と述べ、今会合において、締約国は進展が可能な問題に集中し続け、COP 23での政治的な約束が必要な問題は「後に残しておく(saving)」ことを希望した。

以上

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