Daily report for 9 November 2017
Fiji / Bonn Climate Change Conference - November 2017
フィジー/ボン気候変動会議は木曜日も続けられた。COP、CMP、APA、SBSTA、SBIの下では非公式協議及びコンタクトグループが一日を通して招集された。午後、APAは、その全議題項目の作業状況について報告を受けるストックテイク会合を開催した。
COP
資金関係問題:資金メカニズムの第6回レビュー:Georg Børsting (ノルウェー)が共同議長を務めるコンタクトグループ会合で、締約国は、決定書草案の文章へのインプットを提供した。多数の締約国及びグループは、SCFの自己評価報告書(FCCC/CP/2017/9)に記載する提案を支持すると表明した。
フィリピンはG-77/中国の立場で発言し、特に次の項目を求めた: 気候資金の組織構造の概要;重複の回避;他の資金源の評価。エジプトはアフリカングループの立場で発言し、予測可能性及び資金ニーズの評価が必要であると強調した。南アフリカは、SCF報告書とレビューの委託条件との関係を検討する必要があると強調した。
スイス、米国、EUは、第5次レビューCOP決定書と同様の構成を求め、米国及びEUは、SCF提案の一部に焦点を当てて検討することを支持した。米国は、SCF及びGEFとのオブザーバーや民間部門の参画を支持した。共同議長は、(会合での)議論及び締約国の簡単な追加提出分に基づき文書草案をとりまとめ、このグループの次回会合に提出し共有する予定。
長期気候資金:コンタクトグループ会合で、共同議長のZaheer Fakir (南アフリカ)は、決定書草案の文章に対する締約国のインプットを求めた。
G-77/中国は、同グループとして決定書草案を提出すると通知した。コロンビアはAILACの立場で発言し、文書では気候資金の供与及び動員の規模拡大に言及すべきだと述べた。マラウィは、規模、進展、予測可能性に焦点を当てた。モルディブは、透明性を強調し、1千億ドルの(資金供与)目標に向けた進展を追跡するため、先進国の隔年の提出文書をCOP 24までにとりまとめるよう求めた。
EU、スイス、カナダは、2020年までに1千億ドルという目標に向け気候資金の規模を拡大するとの約束を指摘した。
共同議長は、ここでの議論及び締約国の簡単な追加提出文書に基づき、文書草案をとりまとめ、このグループの次回会合に提出して共有する予定。
APA
ストックテイク:APA共同議長のSarah Baashan (サウジアラビア)は、本会合のアウトプット及び2018年の作業の両方に関し、共同議長は11月10日金曜日に締約国との協議を開始すると告げ、この協議では、インプットの可能性や追加会合も含まれると述べた。
緩和セクションに関し、共同進行役のGertraud Wollansky (オーストリア)は、今後の進め方の議論では結論がでず、今後も議論を続ける予定であると告げた。
適応コミュニケーション(報告)に関し、共同進行役のBeth Lavender (カナダ)は、共同進行役の方で題目及び小題目の「粗いリスト(rough list)」を作成したが、これが今後の非公式協議の焦点になると指摘した。
透明性に関し、共同進行役のAndrew Rakestraw (米国)は、共同進行役が作成した「予備的な資料文書(preliminary materials document)」が議論の焦点であったと告げた。Rakestraw共同進行役は、より多くの時間をかける方が良いと指摘、共同進行役はこの週末中の非公式ノート作成を期待していると述べた。
GSTに関し、共同進行役のRichard Muyungi (タンザニア)は、締約国は共同進行役の作成した「構成要素表(building blocks table)」を推敲し、充実させる作業を行ったと告げた。Muyungi共同進行役は、GSTにおける衡平性(equity)の問題に的を絞って議論する協議会合を招集すると述べた。
実施推進及び遵守促進の委員会に関し、共同進行役のPeter Horne (オーストラリア)は、非公式協議の一つへの共同進行役の出席は透明性の上で有用であり、相互リンクを「引き出す(tease out)」ことになった、将来の非公式協議では最近発表された予備的資料文書に焦点を当てることになると述べた。
適応基金関係の更なる問題に関し、共同進行役のMaría del Pilar Bueno (アルゼンチン)は、パリ協定で役割を果たす適応基金に関しCOP 23で決定を行うべきかどうかで意見が分かれたと強調した。
他の追加問題に関し、共同進行役のJo Tyndall (ニュージーランド)は、残された5件の追加可能問題について、これらを議論すべきかどうか、議論する場合は、どこで、どのように、どの組織で議論すべきかを問うという、今回の協議での対応方法を説明した。
エクアドルはG-77/中国の立場で発言し、進展レベルに違いがあること、及び一部の議題項目をどう進めるかが明らかになっていないことへの懸念を表明し、会議の重複は避ける必要があると強調した。
スイスはEIGの立場で発言し、ジョージアの支持を受け、新しい問題を追加することなく、委託された問題の全範囲で作業の進展を図るべきだとし、差異化は、観念的でなく、具体的な条件に根差したものにすべきだと述べた。
EUは、議題項目3(緩和セクション)での進展の無さに失望感を表明、この議題項目は題目、小題目、説明文を伴う単独のノートとすべきだと述べた。
エチオピアはLDCsの立場で発言し、議題項目3、及びAPAの下での協定9.5条(事前の資金透明性)のモダリティなど、その他の問題での進展の無さを指摘し、締約国に対し、適応基金がパリ協定でも役割を果たせるようCOP 23での決議を求めた。
サウジアラビアはアラブグループの立場で発言し、改定文書においては締約国提出文書の全ての要素を盛り込む必要があると強調し、同グループは「全ての項目を統合構造(all items in an integrated structure)」にした決定書でなければ受け入れられないと強調した。
オーストラリアはアンブレラ・グループの立場で発言し、締約国は「スピードを速める(pick up the pace)」べきだと強調し、一部の締約国がパリ協定のマンデートを外れる作業を主張していることへの失望感を表明した。
イランはLMDCsの立場で発言し、作業スピードを上げるなら同グループは議題項目に相応する考察を加えることができないと述べた。
南アフリカはアフリカングループの立場で発言し、APA 1-3からの非公式ノートに則り構築することの重要性を繰り返し述べ、先進国には開発途上国への資金供与を示す政治的意思がないとして、懸念を表明した。
モルディブはAOSISの立場で発言し、進捗状況への懸念を表明し、全ての議題項目を等しく進める必要があるとし、パリ協定作業計画の全要素を包含する文書草案を求めた。
共同議長のBaashanは、進展は締約国の手にかかっていると強調し、この会合を閉会した。
決定書1/CP.21の緩和セクションに関係する追加ガイダンス:非公式協議において、共同進行役のWollanskyは、締約国間の議論では進展を達成できていないと説明した。同共同進行役は、今後の進め方に関し、多数の先進国及び開発途上国から共同進行役のノンーペーパーの付録を議論の土台とするという提案が出されたと指摘した。
ある開発途上国グループは、他の多数の諸国の支持を得て、文書に構成、題目、小題目、さらには特定の問題を盛り込み、情報またはオプションをクラスターにまとめることを提案した。あるグループは、情報及び計算のための実質的な要素について、ガイダンスを2セット作ることを求めたが、ある国は反対した。
多数のものは、APAの透明性の議論で用いたものと同様の進捗状況捕捉フォーマット、もしくは予備的な資料文書を支持したが、具体的なフォーマットや内容については意見が分かれた。
締約国は、共同進行役の文書作成提案を支持すると表明、ただしその文書では全ての意見を盛り込み、赤線部分(red line:譲れない線)の尊重を強調した。非公式協議が続けられる予定。
適応コミュニケーション(報告):非公式協議で、共同進行役のLavenderは、締約国のインプットに基づく題目及び小題目の「骨格(skeleton)」リストを記載する非公式ノートを提示した。少数の諸国は、小項目の構成及びその内容について質問した。少数の先進国は、このペーパーのバランスに懸念を表明、要素については既に議論してきたことから特に要素に関し、内容を議論し詰めていく方向に動く必要があると指摘した。少数の開発途上国は、異なる題目オプションに関し更なる情報及び明確化を求めた。非公式協議を続行し、題目に焦点を当てる予定。
行動及び支援の透明性枠組のMPGs:Xiang Gao (中国)とRakestrawを共同進行役とする非公式協議が続けられ、予備的資料文書をスリム化すべく、未記載の情報及び機会を明らかにした。締約国は、未記載要素のうち特に次のことが必要であると指摘した:条約の別の場所で進行中のプロセスについても捕捉する;開発途上国の報告作成に柔軟性を認める;「前向きの手法(forward-looking approach)」と野心とのリンク。予備的資料文書においてどの条項をどの締約国グループに適用するかを示すため、共同進行役が作成した表記スキームについては、意見が分かれ、ある開発途上国は、このスキームはパリ協定の「慎重な交渉がなされた(delicately-negotiated)」バランスを反映していないと強調した。さらに締約国は、追加題目の挿入要請でも意見が分かれ、ある先進国は、NDCs及び適応報告作成支援に関するパリ協定9.5条(事前資金透明性)に関係した題目は受け入れられないと述べた。非公式協議が続けられる予定。
実施推進及び遵守促進委員会:Horneを共同進行役とする非公式協議は、リ強化された透明性枠組と組織的問題とのンクに関する議論を再開した。その後、同共同進行役は、共同進行役の予備的資料文書に関する最初の意見表明を求め、多数の国がこの文書を今後の議論の基礎とすることに異論はないと述べた。あるグループは、各トリガーのタイプの総枠の下で少数のセクションを議論するよう求め、特定の義務への言及追加を提案したが、別なグループは、広範な範囲というステートメントでは十分ではないと指摘した。先進国3か国は、原則を強調するセクションに対し、懸念を表明した。各国は、差異化をどのように運用するか、各国の能力及び状況の違いに関しても異なる意見を表明した。非公式協議が続けられる予定。
更なる問題:適応基金:Pieter Terpstra (オランダ)が非公式協議の共同進行役を務めた。決定書を2017年に採択するか、2018年に採択するかで意見が分かれた。ある開発途上国グループは、2つの決定書草案を提示、その両方とも適応基金がパリ協定でも役割を果たし、ガバナンス、セーフガード及び運用モダリティに関係するアレンジについて更なる作業を行うと決定している、ただし2番目の決定書では、特に資源へのアクセス及び資源動員戦略に関係する運用政策及びガイドラインを特定し、これらは必要な修正を行った上で適用されるべきと規定する。少数の先進国の提案では、暫定運用機関の必要性を強調、あるグループは、この基金は2020年以後、協定における役割を果たすべきと提案した。ある先進国は、主な資金源は市場からの収入の一部徴収とすべきと強調し、他のものは、境地6条との関係を明確にするよう求めたが、ある開発途上国グループは、この内容において市場を受け入れる状況は「開始しない(non-starter)」ことだと決めつけた。多数のものは、共同進行役の非公式ノートを改定すべきことで合意したが、少数の開発途上国は、提示された決定書草案を今後の交渉の基礎とするよう求めた。非公式協議が続けられる予定。
SBI
適応基金の第3回レビュー:非公式協議では、Patience Damptey (ガーナ)とGemma O’Reilly (アイルランド)が共同進行役を務め、締約国のインプットをまとめた共同進行役のとりまとめ草案の概要を説明し、これには全てのオプションを記載し、インプットの題目に基づき、パラグラフをまとめていると指摘した。
ある開発途上国グループは、パラグラフとりまとめの合理性を明確にするよう求めた。締約国は、適応基金はパリ協定でも役割を果たすべきと記載するパラグラフを、他の議題項目の結果を条件に、括弧書きにすべきか、それともプレースホールダーにすべきかを議論した。締約国 はこの文書のスリム化を共同進行役に委ねた。非公式協議が続けられる予定。
パリ協定7.12条に規定する公開レジストリの運用及び利用のモダリティ及び手順:Madeleine Diouf Sarr (セネガル)が非公式協議の共同進行役を務めた。ある国は、非公式ノートについて、4つの可能性を提案した:レジストリなし;既存のレジストリ、具体的にはNDCsレジストリに委任;新規のレジストリ;他のレジストリの締約国の報告とハイパーリンクするレジストリ。
締約国は、それそれの希望を述べ、正当化する理由も述べた。多数のものが、適応にビジビリティを与えるには別なレジストリにする必要があると強調した。あるグループは、NDCsを通して、適応情報を流すよう求めた。ある国は、2つのレジストリをNDCs及び適応報告書の両方に関する一つのレジストリに合体させることを提案した。「レジストリのハイパーリンク(registry of hyperlinks)」に反対する締約国は、これでは透明性が高まらないと述べた。あるグループは、NAP Centralを適応報告の寄託場所として利用することに反対した。
締約国は、議論を非公式ノートにまとめるよう共同進行役に委託するかどうか意見が一致しなかった。共同進行役は手順結論書草案を作成し、非公式協議の最終会合に提示する予定。
パリ協定4.12条に規定する公開レジストリの運用及び利用のモダリティ並びに手順:非公式協議で、 共同進行役のPeer Stiansen (ノルウェー)は、締約国の委託通り、この協議の前回会合の議論に基づく非公式ノートを提示した。
あるグループは議事手続上の問題があるとし、この会議を成果なしで中断するよう求め、共同進行役には、APAの項目3 (決定書1/CP.21の緩和セクションに関係する追加ガイダンス)とのリンクを含めるよう義務付けられておらず、このことは結果に予断を加えてしまうと述べた。このグループは、これは「信頼問題(trust issue)」であるとし、手順結論書のみを発行し、共同進行役が変更された場合に検討するよう求めた。
他の多くのグループ及び諸国は、このグループが提起した議事進行上の問題が明らかにされるまで、このグループの提案通り、議事進行問題文書の削除を検討する意思があると表明した。ある国は、題目から議論を始めることを提案した。
このグループは、内部での協議の後、文書の一部の削除を条件に、同じ共同進行役のガイダンスの下で、文書の議論を続ける意思があると表明した。共同進行役のStiansenは、合意の欠如を指摘、共同進行役はノートを改定し、今後の進め方についてSBI議長と協議する予定であり、結論書草案はこの協議の最終会合で議論されると述べた。
LDCS関係問題:Malcolm Ridout (英国)を共同進行役とする非公式協議では、結論書草案を審議した。締約国は、最初の9つのパラグラフについて議論し、GCF Readiness and Preparatory Support Programme(GCF準備及び予備的支援プログラム)へのアクセスにおいて、LEGがGCF事務局と共に指導すべきかどうかに関するパラグラフを保持することの可否では合意しなかった。さらに締約国は、NAP Expo(NAP博覧会)への参加及び企画を招請される組織のタイプをリストアップするかどうかでも意見が一致しなかった。非公式協議が続けられる予定。
開発途上国の森林部門における緩和活動の実施に対する支援協力、制度アレンジを含める:Ayman Cherkaoui (モロッコ)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、決定書草案に記載されたオプションを議論した。別なガバナンスのアレンジが必要かどうかでは意見が分かれ、少数の先進国は、この議題項目のマンデートにはREDD+の実施に対する「効果的な支援の推進(facilitation of effective support)」が含まれていないと論じた。多数の開発途上国は、実施の協調には独立した組織が必要だと論じた。REDD+のワルシャワ枠組はGCFを主な支援資金源としていることから、GCFを決定書で認識する必要があるかどうかでは、意見が分かれた。非公式協議が続けられる予定。
SBSTA
協定6条関係問題:協定6.2条(ITMOs):非公式協議で、締約国は、共同進行役の非公式ノートに対するフィードバックを提供し、可能性ある要素及び可能な追加要素に注目した。共同進行役は、次回会合に向け、このノートを改定する予定。共同進行役のHugh Sealy (モルディブ)は、ある国の質問に答え、共同進行役は、大きく広がった「取りまとめ文書(compilation text)」にする意図はなかったと述べた。少数の締約国は、いかなる構成の変更も認められないと警告したが、他のものは、締約国のインプットの正当化を歓迎した。非公式協議が続けられる予定。
非市場手法枠組(6.8条)の下での作業計画:Kelley Kizzier (EU)を共同進行役とする非公式協議で、各国は、共同進行役の非公式ノートを審議した。参加者は、この段階では項目を削除することなく、題目、可能な要素、可能な追加要素を通しで議論した。少数の締約国は、ガバナンスとレビューに関する追加題目を求めた。さらに少数のものは、6.8条に関するワークプラン(workplan)は進行中であるとし、ワークプランでの前進を図る決定書を作成するのが手元の課題であることを明らかにした。共同進行役は、今後の協議に向け非公式ノートを改定する予定。
農業:Heikki Granholm (フィンランド)を共同進行役とする非公式協議が続けられた。ある開発途上国グループは、決定書草案の文案を提示、その中でSBIに対し、5年間の作業計画を確定し、定期的に評価し、次の6つの主題について作業を続けるよう要請する:適応を評価する手法及び方法;土壌の健全性、炭素、肥沃度の改善;栄養素の利用改善;家畜の管理改善;社会経済面;技術移転を進め、性別に配慮する手法論。締約国は、作業計画及び主題をSBI及びSBSTA合同で議論する方法、マッピング演習で可能な範囲、決定書草案の目標について検討した。非公式協議が続けられる予定。
SbSTA/SBI
対応措置実施の影響:Andrei Marcu (パナマ)が共同進行役を務める非公式協議では、フォーラム及び作業プログラムの改善に焦点が当てられた。Marcu共同進行役は、2018年5月にモデル化ツールの会議が計画されていることを想起した。少数の締約国は、対応措置の越境影響数値化ではモデル研究が重要であると強調し、特に開発途上国では、既存のモデルがなく、キャパシティ・ビルディング及び訓練資料が必要であると強調した。多数の締約国は、既存の努力を重ねるのではなく、ベストプラクティスから学ぶことの重要性を指摘した。少数のものは、外部の専門家及び組織の価値を強調し、あるものは、事例研究手法を求めた。非公式協議が続けられる予定。
廊下にて
会議4日目、一部の参加者は、混乱しているように見えた。少数の文書が取りまとめ文書に「膨らんでしまい(ballooned)」ある参加者は、「本当は、フィジーにいるのでもなく、ボンにいるのでもなく、どうやらジュネーブにいるのではないか」と心配していた。しかしジュネーブとは異なり、パリに近いようで、各国は、明らかに自国の「譲れない線(red lines)」を引き始めており、APAでは初めてではないかと考えられている。多くの協議が明らかにとげとげしい雰囲気になっており、3つの補助機関による最後の4日間の審議で今後の進め方に関し、どのように合意の線を引けるか、多くのものが首をかしげていた。