Daily report for 6 November 2022

Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022

シャルムエルシェイク気候変動会議は緊急感を共有して開会、多数のスピーカーは、今年発生した悲惨な気候影響を指摘した。開会式典のスピーチでは、気候科学の発するメッセージを想起、現在の地政学的問題及びエネルギーや食糧システムに与える影響を指摘し、(気候行動の)実施に焦点を当てるべきと強調した。気候会議の全組織は実質的な作業を開始、午後には非公式協議が開催された。合同の開会プレナリーも開催され、締約国及びオブザーバーはステートメントを発表した。

開会式典

COP 26 議長の Alok Sharma は、最近の報告書に注目、現在の約束を全て実現したとしても、世界の平均気温は 1.7 ℃上昇経路になると述べた。同議長は、これでは不十分だとし、世界の指導者に対し、昨年の達成事項及び今後の進め方の説明を求めた。

COP27 議長の Sameh Shoukry は、最近世界各地で発生した極端な現象は約束及び目標に基づく行動をとるべきとの警鐘だと述べた。同議長は、交渉及びプレッジをする段階から実施段階への移行を求め、各国の能力に応じた野心規模の引き上げを求めた。 Shoukry 議長は、 11 月 7 日からの各国首脳レベルのシャルムエルシェイク・サミット開催を指摘した。

UNFCCC 事務局長の Simon Stiell は、「パリでは協定締結、カトヴィツェとグラスゴーでは計画策定だった、シャルムエルシェイクでは実施への移行だ( Paris gave us the agreement and Katowice and Glasgow gave us the plan, Sharm-El-Sheikh shifts us to implementation )」と述べ、だれも「単なる通行人( a mere passenger )」ではありえないと強調した。同議長は、 3 つの重要行動を指摘した:実施への転換を実現;緩和、適応、資金、損失損害のワークストリームでの進展確保;プロセス全体の透明性及び信頼性の原則の実施強化。

気候変動に関する政府間パネル( IPCC )議長の Hoesung Lee は、世界は 1.5 ℃地球温暖化経路に至っていないと警告、全体行動を求め、将来の指導者及び政策立案者には利用可能なオプションも時間もないと強調した。

開会ステートメント

パキスタンは、 G-77/ 中国の立場で発言、損失損害は「慈善ではない、気候の正義だ( is not charity; it is climate justice )」と強調、次の優先事項を指摘した:損失損害支援の制度構造及び運用モダリティでの合意;信頼再構築に向け、 1 千億米ドルの約束実現;気候資金の新規集団数量目標の金額及びタイムラインの議論進展;適応世界目標 (GGA) 。

欧州連合は、 1.5 ℃温暖化及びパリ協定に合致する世界の資金フローを議論する会議開催での不合意に失望感を表明した。同代表は、先進国に対し、集団資金目標実現に向けた「さらなる努力( step up )」を要請し、損失損害行動は重要だと強調した。

スイスは、環境十全性グループの立場で発言、アフリカでのCOPで「 1.5 ℃目標を失ってはならない( must not be the COP where we lose 1.5 ℃)」 と警告、次を要請した:確固とした緩和作業プログラム;石炭の段階的削減及び非効率な化石燃料補助金の段階的廃止という「グラスゴーからの宿題( homework from Glasgow )」の実現;人権及び環境十全性を確保し、市場の技術的ルールを進める。

オーストラリアは、アンブレラグループの立場で発言、同グループはロシア及びベラルーシとは協調していないと指摘し、次を強調した: 1.5 ℃目標を活かす、野心引き上げ作業プログラム; 1 千億米ドル目標の即時達成;世界の気温目標と合致する資金フロー;損失損害のサンチャゴネットワークの運用開始。同代表は、損失損害の資金供与制度という新しい議題項目を歓迎した。

ザンビアは、アフリカングループの立場で発言、アフリカ特有のニーズ及び状況に注目、アフリカ大陸にとり適応は生存問題だと述べ、適応行動の規模拡大及びGGAの実質的な成果を求めた。同代表は、新規で追加的、予見可能で、無償ベース、譲渡型の資金供与、及び 1 千億米ドル目標の達成を求めた。

アンティグアバーブーダは、小島嶼諸国連合 (AOSIS) の立場で発言、「我々の資金システムは化石燃料産業中心で構築されている、惑星を救済するより破壊する方が安価だ( our financial system has been built around the fossil fuel industry and it is cheaper to destroy the planet than to save it )」と指摘、損失損害の議題項目挿入は「思いやりではない( not a favor )」とし、締約国は 1.5 ℃目標を活かす集団行動の遂行を求められると強調した。

セネガルは、後発開発途上国 (LDCs) の立場で発言、世界は温暖化削減と温暖化した惑星への適応を同時進行しており、これには莫大な資金を要すると指摘した。同代表は、適応だけでなく損失損害にも注目する必要があると述べ、「気候の危機に苦しむものは交渉者の成果実現を待てない( those who are suffering from the climate crisis cannot wait for negotiators to deliver )」と強調した。

ベネズエラは、米州ボリバル同盟 (ALBA) の立場で発言、次を要請した:先進国の約束及び責任の実現;自然と調和した生活;生物多様性の保護;汚染廃止。

コロンビアは、 C 独立中南米カリビアン諸国連合 (AILAC) の立場で発言、次を要請した:全行動を裏付けるサイエンス;気候資金の金額及び質の欠点への対処;専用の追加資金へのアクセスなど、損失損害での具体的な成果。

サウジアラビアは、アラブグループの立場で発言、共通するが差異のある責任及びそれぞれの能力の原則を強調、パリ協定の全条項に対する衡平かつバランスのとれたアプローチ、及びパリ協定第 6 条の全小項目での進展を要請した。

ボリビアは、有志途上国 (LMDCs) の立場で発言、気候の不正義の深化に注目、先進国は「組織的に負担を途上国に移行している( systematically trying to shift the burden on developing countries )」と嘆き、気候資金の定義づけ、適応資金の倍増、 GGA の実質的な決定、サンチャゴネットワークの運用開始、損失損害の資金供与制度を、要請した。

ブラジルは、アルゼンチン・ブラジル・ウルグアイ (ABU) の立場で発言、 COP 27 を「実施のCOP( implementation COP )」にするよう求め、資金、適応、損失損害での実質的な進展が必要だと強調した。

パプアニューギニアは、熱帯雨林諸国連合の立場で発言、熱帯雨林諸国は森林伐採及び劣化による排出削減 (REDD+) で、 9 ギガトン以上を除去したと強調した。

南アフリカは、ブラジル・南アフリカ・インド・中国 (BASIC) の立場で発言、 COP 27 で焦点を当てるべき問題は国家決定貢献 (NDCs) 実施に向けた各国への支援方法であるとし、先進国に対し、自国の約束の順守を要請、全ての国家に対し、気候変動への適応に多国間で対応し、損失損害への対応における相互協力を求めた。

LOCAL GOVERNMENTS AND MUNICIPAL AUTHORITIES (LGMA) は、 COP 27 での多国間行動時代の開始を求めた。

RESEARCH AND INDEPENDENT NON-GOVERNMENTAL ORGANIZATIONS (RINGOs) は、締約国に対し、サイエンスの求める緊急行動、 NDC の改定、適応及びレジリエンスの支援を要請した。

TRADE UNION NGOS (TUNGOs) は、正当な移行政策措置の実施は信用を構築すると述べ、 G20 諸国の行動推進を求めた。

WOMEN AND GENDER は、ジェンダーにやさしい政策の推進、急速な構造改革、気候の正義を求めた。

BUSINESS AND INDUSTRY NGOs (BINGOs) は、次を要請した:ビジネス投資の明確なロードマップ; 1 千億米ドルの約束遵守;第 6 条の全面運用の開始。

CHILDREN AND YOUTH は、グローバル・ユース・ステートメントへの注目を要請、 COPs へのアクセシビリティには依然課題があると嘆いた。

Climate Action Network は、環境 NGOs(ENGOs) の立場で発言、世界の気候危機及びそれによる損失損害は世界中の数百万人の権利に影響すると述べ、気候活動家や人権保護団体の状況に焦点を当てた。

Demand Climate Justice は ENGOs の立場で発言、公共資金による損失損害資金供与ファシリティ、正当な移行、 UNFCCC プロセスでの利益相反政策を要請した。

FARMERS は、農業従事者のニーズ及び期待に配慮した参加性のある野心的な NDCs を求め、農業に関するコロニビア共同作業の重要性を強調した。

INDIGENOUS PEOPLES は、 UNFCCC 組織とパートナーシップを締結し全面参加する権利など、先住民に認められた権利の履行を求めた。

締約国会議 (COP)

組織上の問題:手順規則:締約国は、手順規則草案 (FCCC/CP/1996/2) のうち、投票規則案 42 を除く全規則の適用で合意した。バングラデシュは、投票規則問題の解決を希望し、意見の一致( consensus )は全員の同意ではなく広範な同意を意味すると述べた。 COP 27 議長職は協議を開催する。

議題書の採択: Shoukry 議長は、議題書の協議は 48 時間以上続いたと指摘、締約国提案の新規議題項目に関する議長提案を説明した。 Shoukry 議長は、損失損害対応の資金制度に関する G-77/ 中国の提案について、次を提案し、締約国も同意した: COP 議題書及び CMA 議題書のタイトルと脚注の改定。 Shoukry 議長は次を指摘した:当該議題項目の成果には補償責任または補償は含まれない:当該項目にグラスゴー・ダイアログを含める;これにより、 2024 年またはその前の決定書採択に向けたプロセスを立ち上げる。

議長職は、アフリカ特有のニーズ及び状況に関するアフリカングループの CMA 議題案について協議し、その結果をその他の問題という CMA 議題項目の下で報告する。 議長職は、条約構成組織での地域代表の公平性に関するジョージアの提案でも協議し、その結果をその他の問題という COP 議題項目の下で報告する。

議長職主導の協議は、次の提案項目を含めて招集される:

  • パリ協定第 2 条 1 項 (c) 、 EU 及び EIG は CMA 議題への追加を提案;
  • 資金メカニズムの第 7 回レビュー、米国は CMA 議題への追加を提案;
  • 1.5 ℃温暖化抑制、 EIG は CMA 議題への追加を提案;
  • 適応資金に関する決定書 1/CP.26 の 11 項、及び決定書 1/CMA.3 の 18 項の実施、 G-77/ 中国は、 COP 議題及び CMA 議題への追加を提案。

議長職は、次の項目の保留を提案し、締約国も同意した:条約第 15 条(条約の改定)に基づく条約改定に関する締約国提案の審議に関係する、ロシアの提案、及びパプアニューギニア及びメキシコの提案;条約第 4 条 2 項 (a-b) (先進締約国の緩和)の適切性に関する第 2 回レビュー。

COP は議題書 (FCCC/CP/2022/1/Add.2) を採択した。

Shoukry 議長は、損失損害の資金制度の項目挿入は連帯の証だと指摘、気候関連災害の犠牲者への同情を示し、この問題の議論を要求し続け、この問題の議論を進めるきっかけを提供した活動家及び市民団体に感謝した。

議長職以外の役員選出:この項目はCOP閉会プレナリーで議論する。

オブザーバー組織の認定: COP は、 FCCC/CP/2022/7 記載の組織をオブザーバーとして認定した。

作業構成書: COP は、附属書I締約国の報告及びレビューの審議を COP 28 まで延期すると合意した。

COP は、 SBs 議題項目に加えて、次を決定した:適応委員会の進捗状況、有効性、実績のレビューを SBs に委任する;ジェンダー構成に関する年次報告書、及びジェンダーにやさしい気候政策の実施に関する統合報告書の審議を SBI に委任する。

次の項目に関するコンタクトグループを招集する:

  • 長期気候資金;
  • 資金常任委員会 (SCF) の問題;
  • 緑の気候基金 (GCF) の報告及びガイダンス;
  • 地球環境ファシリティ (GEF) の報告及びガイダンス;
  • 資金メカニズムの第 7 回レビュー。

気候変動の悪影響に伴う損失損害に対応する資金供与制度に関する非公式協議を招集、損失損害への対応に焦点を当てる。

議長職は、気候変動の影響に伴う損失損害のワルシャワ国際メカニズム (WIM) のガバナンス、及び UNFCCC プロセスでの意思決定でも協議する。

議長職は、 COP 、 CMP 、 CMA 全般に関わる決定でも、代表団長らとの非公式協議を招集する。

ウクライナは、ロシアによる戦争の影響を嘆いた。

将来会合の時期及び場所: Shoukry 議長は、 COP 28 はアラブ首長国連邦で開催されると想起し、東欧諸国及び中南米カリブ海諸国グループに対し、それぞれ COP 29 及び COP 30 の主催国選出を招請した。

京都議定書締約国会議 (CMP)

組織上の問題:議題書の採択: CMP は議題書 (FCCC/KP/CMP/2022/1) を採択した。

作業構成書: CMP は、附属書 I 締約国の報告及び国別報告書のレビューに関する議題項目、及び京都議定書附属書 B 締約国の第 2 約束期間年次とりまとめ及びアカウンティング報告書( 2019 年、 2020 年、 2021 年、 2022 年)の審議を、 CMP 18 まで延期すると決定した。

CMP は、第 2 約束期間における京都議定書第 8 条の専門家レビュープロセスの終了日については閉会プレナリーで審議し、決定書草案を SBSTA 56 に送る予定である。

次の項目に関し、コンタクトグループを招集する:クリーン開発メカニズム( CDM );適応基金理事会報告書。遵守委員会報告書では非公式協議を招集する。京都議定書約束の野心引き上げに関するハイレベル閣僚級ダイアログ報告書に関し、議長職主導の協議を行う。

共同実施関係の問題: CMP は、共同実施監督委員会の年次報告書 (JISC) (FCCC/KP/CMP/2022/6) に留意した。 CMP 議長は、 JISC 推奨案の審議で協議する予定である。

適応基金理事会報告書: CMP は、報告書 (FCCC/KP/CMP/2022/4 – FCCC/PA/CMA/2022/3) に留意した。コンゴ民主共和国は、適応基金と損失損害基金を明確な分離を求め、後者は緊急行動を志向し、前者は短期、中期、長期のニーズに対応すると指摘した。

遵守委員会報告書: CMP は、報告書 (FCCC/KP/CMP/2022/2) に留意した。

パリ協定締約国会議 (CMA)

組織上の問題:議題書の採択: CMA は議題書 (FCCC/PA/CMA/2022/1/Add.4) を採択した。

作業構成書: CMA は、 SBs 議題項目に加え、次を SBs に委任すると決定した:

  • パリ協定第 13 条に基づく報告及びレビュー:開発途上国の報告作成及びキャパシティビルディングへの資金及び技術支援の提供;
  • 適応問題:適応委員会の進捗状況、有効性、実績のレビュー。

次の項目に関するコンタクトグループを招集する:

  • 気候資金の新規の集団数量目標;
  • 第 6 条 4 項メカニズムの規則、モダリティ、手順
  • パリ協定第 15 条 2 項の実施推進遵守促進委員会の報告書。

次の項目は下記の通りとする:

  • SCF 関係問題は、 COP との合同コンタクトグループで議論;
  • GCF 及び GEF へのガイダンスは、 COP との合同コンタクトグループで議論;
  • 適応基金関係問題は、 CMP との合同コンタクトグループで議論;
  • 気候変動の悪影響に伴う損失損害に体操する資金供与制度の問題は、損失損害への対応に注目し、 COP との合同コンタクトグループで議論。

科学的技術的助言のための補助機関 (SBSTA)

組織上の問題:議題書の採択: SBSTA 議長の Tosi Mpanu Mpanu ( コンゴ民主共和国 ) は、この会議を開会、 SBSTA は、附属書I締約国の温室効果ガス・インベントリの技術レビュー (FCCC/SBSTA/2020/INF.3, FCCC/SBSTA/2021/INF.4 and FCCC/SBSTA/2022/INF.3) を、 SBSTA 58 での審議に回すと合意した。 SBSTA は、そのうえで、議題書 (SBSTA/2022/7/Rev.1) を採択した。

議長以外の役員選出: CMA 閉会プレナリーで選出する。

作業構成書:次の項目に関し、 SB 合同非公式協議を招集する:

  • 適応委員会報告書;
  • 適応委員会の進捗状況、有効性、実績のレビュー;
  • GGAに関するグラスゴー・シャルムエルシェイク作業プログラム;
  • WIM 執行委員会 (WIM ExCom) 報告書;
  • WIMサンチャゴネットワーク関係問題;
  • 農業に関するコロニビア共同作業;
  • 決定書 1/CMA.3 第 27 項(グラスゴー気候合意)の緩和野心及び実施の緊急の規模拡大作業プログラムに関係する問題;
  • 技術開発及び移転:技術執行委員会 (TEC) 及び気候技術センター・ネットワーク (CTCN) の合同年次報告書。

次の項目に関し、 SBSTA/SBI 合同コンタクトグループを招集する:

  • パリ協定のグローバルストックテイク関係問題;
  • サイエンス及びレビューに関係する問題:条約の長期世界目標、及びその達成に向けた進捗状況の第 2 回レビュー;
  • 対応措置実施の影響に関するフォーラム。

次の項目に関し、非公式協議を行う:

  • M サイエンス及びレビューに関係する問題:研究及び組織的観測;
  • 条約の手法論問題及びその 5 件の小項目;
  • パリ協定第 13 条の報告作成及びレビュー関係問題:決定書 18/CMA.1 の附属書第 IV 章に基づき報告される情報の自主的なレビュー、及び自主的なレビューに必要な訓練コース;
  • 第 6 条 2 項の協力手法のガイダンス;
  • 第 6 条 4 項メカニズムの規則、モダリティ、手順。

SBSTA 議長は、非市場アプローチのグラスゴー委員会第 2 回会合を、コンタクトグループ方式で開催する。

適応委員会報告書:適応委員会は、作業概要書 (FCCC/SB/2022/5 and Add.1 and Add.2) を提出した。

WIM ExCom 報告書: WIM ExCom は、報告書概要 (FCCC/SB/2022/2) を提出した。

パリ協定グローバルストックテイク関連問題: SBSTA 議長は、 SBSTA/SBI 合同コンタクトグループの作業支援で、技術ダイアログを開催すると述べた。

技術開発及び移転:技術執行委員会及び気候技術センター・ネットワーク合同の年次報告書: TEC 議長は、 TEC 及び CTCN 諮問理事会議長の作業に関する報告書 (FCCC/SB/2022/4) を提出した。

対応措置実施の影響に関するフォーラムの問題:カトヴィツェ委員会 (KCI) 共同議長は、 KCI の作業書 (FCCC/SB/2022/6) を提出した。

条約の手法論問題:国際航空輸送及び海上輸送用の燃料からの排出量: SBSTA 議長は、国際民間航空機関 (ICAO) 及び国際海事機関 (IMO) の事務局長らは決定書 4/CP.1 第 2 項 (FCCC/CP/1995/7/Add.1) に則った SBSTA への貢献として、国際航空輸送及び海上輸送用の燃料排出量への現在の対応策に関する文書を、自主的に提出したと、指摘した。

政府間組織のステートメント: IPCC は、第 6 次評価報告書全編は 2023 年初めに完成予定であり、 COP 28 でのグローバルストックテイクにインプット可能だと述べた。地球観測衛星委員会( COMMITTEE ON EARTH OBSERVATION SATELLITES )及び気象衛星協力グループ( COORDINATION GROUP FOR METEOROLOGICAL SATELLITES )は、宇宙機関によるパリ協定実施を支援し、二酸化炭素及びメタンの排出量をモニタリングしていると指摘した。地球気候観測システム( GLOBAL CLIMATE OBSERVING SYSTEM )は、政策立案における気候観測の重要性を強調、地域レベルのデータのギャップに対応するよう求めた。ユネスコの政府間海洋委員会( INTERGOVERNMENTAL OCEANOGRAPHIC COMMISSION OF UNESCO )は、海洋は気候系の体系的モニタリングの中心だと述べた。世界気候研究プログラム( WORLD CLIMATE RESEARCH PROGRAMME )は、降水量予測実験を指摘した。世界気象機関( WORLD METEOROLOGICAL ORGANIZATION )は、 2022 年は 1850 年以降で最も温暖な年になると強調した。 IMO は、世界の船舶輸送からの実質ゼロ・カーボン排出量という集団の長期希望目標( collective long-term aspirational goal (LTAG) )を新しく採択したと指摘した。 ICAO は、国際航空輸送に関しても、同様の LTAG を採択したと強調した。

テクニカル・レビューの年次報告書:条約附属書 I 締約国の隔年報告書及び国別報告書記載の情報に関するテクニカル・レビュー:京都議定書第 1 条 7 項に規定する附属書 I 締約国報告の温室効果ガス・インベントリ、及び他の情報のテクニカル・レビュー: SBSTA は、報告書 (FCCC/SBSTA/2022/INF.2 and INF.4) に留意した。

実施のための補助機関 (SBI)

組織上の問題:議題書の採択: SBI 議長の Marianne Karlsen ( ノルウェー ) は、適応委員会の進捗状況、有効性、実績のレビューを審議するよう COP 及び CMA から SBs に委任されたと指摘した。締約国は、この項目を適応委員会報告書(議題項目 11 )と共に審議することで合意した。

Karlsen 議長は、 CMA から SBI には議題項目 CMA 5(a) の審議も委任されているが、これは開発途上国に対し、パリ協定第 13 条での報告作成及びレビューのキャパシティビルディングのため、資金及び技術支援を提供するとの議題項目であると指摘し、この項目をSBIの新規議題項目とし、その後の議題項目の番号を付け替えるよう提案、締約国も同意した。

SBI は、次の項目を SBI 58 での審議に回すことで合意した:適応基金理事会のメンバーシップ;附属書I締約国の報告及びそのレビュー。

締約国は、口頭で改定された議題書 (FCCC/SBI/2022/12) を採択、小項目 4(a) ( 附属書I締約国の国別報告書記載の情報 ) を保留した。

議長以外の役員選出:この項目は、 SBI 閉会プレナリーで審議される。

作業構成書:

次の項目に関し、非公式協議を招集する:

  • 附属書I締約国の報告:専門家諮問グループの報告;資金及び技術支援の提供;
  • 決定書 3/CMA.3 附属書 75(b) 項記載のCDMレジストリ問題;
  • LDCs 関係問題;
  • 国家適応計画;
  • 条約の技術メカニズム及び資金メカニズムのリンク;
  • 決定書 1/CP.21 の第 69 項記載の第 1 回定期評価;
  • 技術移転に関するポズナニ戦略プログラム;
  • 適応基金の第 4 回レビュー;
  • キャパシティビルディング問題;
  • ジェンダーと気候変動;
  • 気候エンパワーメント行動;
  • パリ協定第 13 条に基づく、開発途上国での報告作成及びキャパシティビルディングに対する資金及び技術支援の提供。

事務管理上、資金上、制度上の問題に関し、コンタクトグループを招集する。

非附属書I締約国の報告: CGE の報告書:専門家諮問グループ (CGE) の議長は、報告書 (FCCC/SBI/2022/16) を提出した。

資金及び技術支援の提供: GEF は、パリ協定第 13 条での支援について報告し、 2022 年 7 月から 2026 年 6 月の期間での 53 億米ドルという「記録的な資金補填( record replenishment )」を指摘した。

非附属書I締約国の隔年更新報告書の技術分析に関するサマリー報告書: SBI は、 UNFCCC ウェブサイト掲載のサマリー報告書に留意した。

京都議定書国際取引ログ管理者の報告書: SBSTA (SBI?)は、報告書 (FCCC/KP/CMP/2022/5) に留意した。

後発開発途上国問題: LDC 専門家グループ (LEG) は、作業に関し報告した。 (FCCC/SBI/2022/18)

キャパシティビルディング問題:キャパシティビルディングに関するパリ協定委員会 (PCCB) は、作業に関し報告した。 (FCCC/SBI/2022/14)

事務管理上、資金上、制度上の問題: UNFCCC 事務局次長の Ovais Sarmad は、関連の報告書 (FCCC/SBI/2022/INF.10, Add.1, INF.11, and /INF16) を提出した。

非公式協議

緩和野心及び実施の緊急の規模拡大を目的とする作業プログラム:非公式協議で、共同進行役の Carlos Fuller ( ベリーズ ) は、締約国に対し、CMA審議用の決定書草案を SB 57 終了時に完成させるよう求め、作業プログラムの開始日及び期間に関するインプットを招請した。締約国は、 2023 年の可能な限り早い時期での作業プログラム開始で意見を集約させたが、期間では意見が一致しなかった。少数の開発途上国グループ及び先進国グループは、グラスゴー気候合意での「この重要な 10 年間( this critical decade )」との言及を指摘、 2030 年までの作業プログラム継続を求めたが、 2 つの開発途上国グループは、 2023 年での終了を支持し、グローバルストックテイクの重複よりも、補充すべきだと述べた。前者のグループは、 2024 年か 2025 年での作業プログラムの中間レビューを支持した。

パリ協定第 6 条 2 項及び決定書 2/CMA.3 記載の協力アプローチに関するガイダンス:非公式協議で、共同進行役の Kuki Soejachmoen ( インドネシア ) 及び Peer Stiansen ( ノルウェー ) は、次の審議項目を説明した:報告用の表及びガイダンスに関する提案、インフラ、レビュー , 小島嶼開発途上国及び LDCs の特殊事情、相応の調整、国際的に移行される緩和成果 (ITMOs) に排出回避を含めるべきかどうか。両共同進行役は、 SBSTA 議長の非公式ノートを議論の土台とするかどうか、意見を求めた。

少数の締約国は、議論の土台としての議長ノートの使用を支持したが、他のものは、このノートは ITMOs 及びレビュープロセスの権限の変更など、扱いが不十分な項目があると指摘した。ある締約国は、このノートはグループのマンデート外の要素や COP 26 で拒否された要素を含んでおり、ボン会議で出たオプションも一部は含まれているが、省かれたものもあり、今回の会合での議論に予断を加えると指摘した。

一部の締約国グループは、第 6 条 2 項の運用開始に必要な優先項目に焦点を当てるよう提案、インフラ及び報告作成、レビュー、キャパシティビルディング・プログラム、 ITMOs の権限変更を指摘した。一部の締約国は、優先問題を個別ではなく、全体として議論するよう要請した。

廊下にて

世界各国にとり、経済的にも地政学的にも困難な一年の終わりに開催された COP 27 は、容易ならざる会議になると予想された。「昨夜は 1 時間しか寝ていない( I only had an hour of sleep last night )」と疲労困憊した参加者は発言、「これでも初日にすぎない( and this is only day one )」とも述べた。追加議題項目を議論する 48 時間の協議を、 COP27 議長は「ヘラクレス並み( herculean )」と称した。その中心は、損失損害資金などの資金問題であったが、 1.5 ℃温暖化なども議論の的となった。

会議の開始は多少遅れたが、議題書は採択され、多くのものは安どした。しかし、主要なスピーカーのステートメントや意見発表から明らかになったのは:資金は「今後の作業を占う( make or break the work ahead us )」という前議長の Sharma の主張どおりの未来である。さらには、事務局長の Stiell が警告するとおり、「真の試験は、今後 2 週間の議論の質、そしてその成果にかかっている( the real test will be the quality of the discussions that will take place over the next two weeks, and the eventual outcomes )」のである。

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