Daily report for 30 April 2018

Bonn Climate Change Conference - April 2018

月曜日、会議の焦点は、実施に関する補助機関(SBI)、科学上技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)、パリ協定に関する特別作業部会(APA)の下での作業開始及び交渉グループ設立であった。交渉グループの一部は、午後に作業を開始した。SBSTA、SBI、APAの合同プレナリーも各代表のステートメントを聞くため会合した。対応措置に関する作業計画関係の経済モデル化ツール訓練ワークショップは、一日中開催された。

SBSTA

SBSTA議長のPaul Watkinson (フランス)は開会を宣言した。

組織上問題:SBSTA 48は、議題書(FCCC/SBSTA/2018/1)を採択し、作業構成書で合意した。UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、サウジアラビアが提起した懸念に応え、事務局は新しいUNFCCCウェブサイト掲載の情報及び文書へのアクセスを確保すると参加者に保証した。

議長以外の役員の選出:SBSTA議長のWatkinsonは、SBSTA副議長及び報告官に関する協議が続行中と指摘した。副議長のAnnela Anger-Kraavi (エストニア)及び報告官のAderito Manuel Fernandes Santana (サントメ・プリンシペ)は、新しい指名が受理されるまで役職を続ける。

研究及び組織的観測:ポスター会合及びダイアログは5月3日に開催される予定、締約国は、この問題に関し非公式に協議する。

地方社会及び先住民のプラットフォーム:マルチ利害関係者ワークショップは5月1日に開催される予定であり、締約国は、この問題に関し非公式に協議する。

他の国際機関との協力:この項目(FCCC/SBSTA/2018/INF.2)に関し、SBSTA議長のWatkinsonは、協議を開催する予定。

IPCCは、近い将来に発表予定の特別報告書に関する作業を含め、IPCC作業計画の進捗状況に焦点を当てた、世界気象機関は、締約国に対し、気候サービスの国内枠組設置を奨励した。世界気候研究計画は、近く発表予定の10年戦略計画に関する情報を交換した。地球気候観測システムは、今後の地域ワークショップシリーズに焦点を当てた。

国連教育科学文化機関の政府間海洋学委員会は、海洋系で起きている変化について理解を進める必要があり、開発途上国での海洋研究能力を高める必要があると指摘した。国連海洋会議は、海洋と気候変動体制の間のシナジー強化が重要と強調し、UNFCCCがそのメンバーになることを奨励した。

国際民間航空機関(ICAO)は、持続可能な航空燃料を推進する努力について報告し、UNFCCCとICAOの補完的な役割を強調した。国際海事機関は、国際船舶輸送のGHG排出量を2050年までに2008年比で少なくとも50%削減するという「初期戦略(initial strategy)」について報告した。サウジアラビアは、自国はIMO戦略の満場一致の決議に参加していないと強調した。国連食糧農業機関は、農業に関するコロニビア(Koronivia)共同作業の採択を称賛した。

SBSTAは次の項目の議論をコンタクトグループに委ねた:

  • 影響、適応、脆弱性に関するナイロビ作業計画(NWP);
  • 対応措置及び作業計画に関する改良フォーラム;
  • 対応措置に関するフォーラムの(パリ)協定の下でのモダリティ、作業計画、及び機能;
  • 農業に関するコロニビア共同作業;
  • 協定6条(市場及び非市場手法);
  • 協定9.7条の下、公的干渉で提供される資金源の計算。

次の項目は非公式協議に委ねられた:

  • 適応委員会報告書;
  • 協定10.4条の下での技術枠組;
  • 附属書Iの報告する年次インベントリ・ガイドラインの改定;
  • 附属書IのGHGインベントリ、隔年報告書、国別報告書に関係する情報のテクニカル・レビュー用ガイドライン;
  • 議定書の下での手法論問題。

SBSTA議長は、議定書2.3条(政策措置の悪影響)及びバンカー燃料に関し協議を行う。


その他の問題:中国は、事務局に対し、パリ協定に関係する議題項目ごとに会議の回数の情報を明らかにするよう要請した。ベネズエラは、SBSTAに対し、1.5℃温暖化に関するIPCC特別報告書を考慮するよう求めた。SBSTA議長のWatkinsonは、この項目をSBSTA 49の議題に入れる方法を検討する予定。

SBI

SBI議長のEmmanuel Dlamini (スワジランド)はこの会合を開会した。

組織上の問題:締約国は、この議題項目の題を「パリ協定の実施支援に関する技術メカニズムの定期的評価の範囲及びモダリティ」と変更することで合意し、議題書(FCCC/SBI/2018/1)を改定されたとおり採択した。東チモールは、損失及び損害に関する議題項目への支持を表明した。

附属書I報告書及びレビュー:7回国別報告書及び第3回隔年報告書:SBIは、35の締約国の国別報告書及び隔年報告書の提出及びレビューに留意した。

非附属書I報告書:国際的な協議及び分析(ICA)のためのモダリティ及びガイドラインの改定:SBIは、APAの下で透明性枠組の議論が進行中であることに鑑み、この項目はSBI 50で検討することで合意した。

非附属書I国別報告書に関する専門家諮問グループ(CGE)CGE議長のThiago de Araújo Mendes (ブラジル)は、開発途上国による隔年更新報告書(BURs)の作成など、報告作成義務の順守、及びICAへの参加支援におけるCGEの役割に焦点を当てた。

BURsの技術分析に関するとりまとめ報告書:SBIは、BURsの技術分析に関するとりまとめ報告書に留意した。

CDMの手順及びモダリティのレビュー:SBIは、この問題をSBI 49で検討すると合意した。

開発途上国による森林部門緩和行動に関係する活動実施に対する支援協調:コンゴ民主共和国(DRC)は、速やかな決議を求め、ブラジルの支持を得て、この問題はCOP 23で終了に近いところまでいったと指摘した。ノルウェーは、SBI 48でも交渉の結論が出ないなら、REDD+専門家の自主的な会議は自動継続されないと自国は理解していることを強調した。

事務管理上、資金上、制度上の問題:事務局の機能及び運営の継続レビュー:UNFCCC事務局次長のOvais Sarmadは。特に事務局の業務における協調及び一貫性を改善し、長期の構造レビューに関し外部コンサルタントの参加を求める努力について報告した。SBIはこの報告に留意した。

事務管理上、資金上、制度上の問題:予算問題:UNFCCC事務局次長のSarmadは、特に事務局の業務に関し「全く初めてとなる(the first ever)」年次報告を強調した。コンタクトグループ会合が行われる。

適応委員会報告書:後発開発途上国(LDCs)に関係する問題項目に関し、SBI/SBSTA合同の非公式協議が開催される予定。

LDCsに関係する問題:LDC専門家グループ(LEG)副議長のFernandes Santanaは、COP 23以後の進捗状況について報告し、特に国別適応計画(NAPs)に関する専門家会議、NAP Expoの成功、近く開催予定の2回のExposに焦点を当てた。適応委員会報告書に関する議題項目では、合同の非公式協議が開催される予定。

気候資金関係問題:協定9.5条(先進国の隔年事前資金報告書)に則り、締約国が提供すべき情報:この項目及びLDCsの項目に関し、中国は、注釈付き議題書(FCCC/SBI/2018/1)に注目するよう求め、この文書ではSB 48の作業成果はCOP 24に回すことになっていると指摘した。同代表は、COPの前に交渉会合が追加される可能性がある中、これはこれらの問題に関する交渉に予断を加えることにならないかと問うた。SBI議長のDlaminiは、いかなる追加会合もSB 48の成果を検討するマンデートを有すると保証した。

中国は、エジプト及びインドの支持を得て、注釈付き議題書では「提案(recommendations)」とされるSB 48で期待される成果について、その特性を明確にするよう求めた。中国は、本会合の終了時の交渉文書作成を目指すべく交渉を行うとのAPA共同議長の目標に注目し、このSBI議題項目及びLDCsに関する議題項目の議論も交渉文書に結びつくのかと質問した。エジプトは、バランスの取れた進捗の必要性を記載すべく、SBIの注釈的議題書の改定を提案し他。米国は、進捗に予断を加える可能性はないと論じた。SBI議長のDlaminiは、このプロセスの締約国主導という特性を強調し、全ての項目で進捗達成の努力をすると約束した。

締約国は非公式に協議する。

対応措置:対応措置に関するフォーラムの改善及び作業計画:この問題は、コンタクトグループ会合で検討される。事務局は、経済モデル化ツールに関する訓練ワークショップに関し、報告書を作成する予定。

対応措置実施の影響に関するフォーラムの(パリ)協定の下でのモダリティ、作業計画及び機能:この項目は、コンタクトグループで検討される。

議定書3.14条(政策措置の悪影響)、及び決定書1/CP.10(適応と対応措置に関するブエノスアイレス作業計画)の実施に関する進捗状況:必要な場合は非公式協議が行われる。 

ジェンダーと気候変動:SBI議長のDlaminiは、5月5日のジェンダー・ダイアログ、及び5月2日と9日に予定されるジェンダーに関するワークショップに注目した。事務局は、両方のイベントに関する報告書を作成する予定。

政府間会合のアレンジ:この項目は、コンタクトグループで議論される。

NAPs締約国は非公式に協議する。

その他の問題:ベネズエラは、事務局の予算に仮想通貨を使うことを探究するよう提案した。

APA

APA 1-5の開会プレナリーは夕方に開催された。締約国は、APA 1の議題書(FCCC/APA/2018/1)の利用を継続し、単一のコンタクトグループで作業すること、このコンタクトグループは非公式協議で作業を行うことで合意した。さらに締約国は、前例に倣い、会議をオブザーバーにも開放し続けることでも合意した。

SBI、SBSTA、APA合同プレナリー

午後、SBI、SBSTA、APA合同のプレナリーが開催され、各代表のステートメントを聞いた。

エジプトはG-77/中国の立場で発言し、PAWPで成果を上げるには、衡平性、共通するが差異のある責任とそれぞれの能力の原則(CBDR-RC)が重要であると強調した。同代表は、NDCsの国家による決定という特性を維持するよう促し、グローバルストックテイクを、野心引上げを義務付ける手法に結びつけるべきではないとし、適応努力、さらには資金支援の規模拡大に留意するよう求めた。

欧州連合(EU)は、全てのパリ協定の項目に関する決定書草案の文章作成が主要目的であると強調した。同代表は、測定と報告の重要性を強調し、タラノア・ダイアログへの参加に対する「固い約束(strong commitment)」を強調した。

スイスは環境十全性グループ(EIG)の立場で発言し、全てのものに適用可能で、バランスがとれ、包括的な作業計画を求めた。同代表は、「バランスのとれた(balanced)」は、「条項間の機械的な分画(mechanical parity between clauses)」を意味するものではないと強調し、PAWPの要素の一部は技術的で時間を必要とすると述べた。韓国もEIGの立場で発言し、次のように述べた:隔年報告書は、透明性枠組に関連する;国家認定組織は、透明性枠組に積極的に参加すべき;協定9.5条の議論は政治的ではなく実質的なものであるべきだ。

オーストラリアは、アンブレラ・グループの立場で発言し、各議題項目に割り当てる時間は当該項目の複雑性を基準にすべきと述べ、クロスカッティングで複雑、時間のかかるものとして透明性に関する交渉に焦点を当てた。

ガボンは、アフリカングループの立場で発言し、協定9.5条及びAPA議題項目3(緩和セクション)及び4(適応報告)での進展の遅れに対し、懸念を表明した。同代表は、さらに次の項目に注目した:技術枠組;LEGと適応委員会のマンデート;対応措置;NWP。

モルディブは小島嶼諸国連合(AOSIS)の立場で発言し、AOSIS加盟国が蒙る気候影響を強調し、何十年も前に作られた気候変動に関する約束の順守の「全体的な失敗(collective failure)」を嘆いた。同代表は、次を求めた:PAWPの完了;タラノア・ダイアログからの有意の成果;資金へのアクセス、損失と損害に関する進展。

イランは、有志開発途上国(LMDCs)の立場で発言し、「ユニラテラルで強圧的な(unilateral and coercive)」措置及び制裁に反対した。同代表は、緑の気候基金及び地球環境ファシリティの資金条項を「政治色のないもの(depoliticized)」にするよう求め、優先度の高い問題として次の項目に注目した:APA及びSBsの全要素にCBDR-RCを入れる:協定3条の忠実な実施;対応措置のマイナスの影響回避;京都議定書のドーハ改定書の迅速な発効を含めるプレ2020年野心。

DRCは、熱帯雨林諸国連合(CfRN)の立場で発言し、締約国及び非締約国両方からの資金貢献の重要性を強調した。同代表は、COP 23においてREDD+資金に関し合意に至らなかったことは遺憾だとし、パリ協定6条に関する「ギアシフト(shift in gears)」を求め、REDD+は環境十全性及び持続可能な発展を達成する強力な規則、モダリティ、プロトコルを作り出す開拓者であったと強調した。

エチオピアはLDCsの立場で発言し、APAは今年の年末までにPAWPを終了させる道筋にたっていないとして懸念を表明し、APA議題項目3、6(グローバルストックテイク)、及び5(透明性枠組)の時間割り当てを追加するよう要請した。同代表は、損失及び損害に関する協定8条の実施をSBsの常設議題項目にするよう求めた。

ベネズエラは米州ボリバル同盟(ALBA)の立場で発言し、全ての補助機関を横断する包括的で均等な進展を求め、開発途上国の気候変動対策を支援する技術枠組の役割を強調し、合意された原則及びパラメタ―に基づく非締約国利害関係者の参加を歓迎した。

ブラジルは、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイの立場で発言し、緩和、適応、実施方法のバランスのとれた進展を求めた;先進国が提供する資金関連情報に関する第3回隔年報告書では透明性が欠如していたと嘆き;プレ2020年野心に焦点を当てる必要性を強調した。

サウジアラビアはアラブ連盟の立場で発言し、UNFCCC原則への堅い誓約を求めた。南アフリカは、ブラジル、南アフリカ、インド、中国(BASIC)の立場で発言し、プレ2020年野心での衡平な扱いを求めるBASICの要求が無視されたとして懸念を表明し、タラノア・ダイアログ及びドーハ改定書の批准は信頼を築く機会であると強調した。

チリは独立中南米カリブ海諸国連合(AILAC)の立場で発言し、透明性枠組、グローバルストックテイク、実施推進及び遵守促進のメカニズムの重要性を強調した。

各国及びオブザーバー組織のステートメントは下記ウェブキャストを参照: https://unfccc-sb48.cloud.streamworld.de/webcast/joint-plenary-of-the-sbi-sbsta-apa.

経済モデル化ツールに関する訓練ワークショップ

SBI議長のDlaminiは、2日間の経済モデル化ツールの利用に関するSBI/SBSTA合同ワークショップを開会した、これは対応措置実施の影響に関するフォーラム内フォーラム会合である。Andrei Marcu (パナマ)及びNatalie Kushko (ウクライナ)を議長とするイベントは、気候関連対応措置の越境影響を理解し、定量化するためのモデル化ツールに焦点を当てることを目指す。

全体会合では、利用可能なモデルの各種タイプに関する基本情報が提示され、多様なモデルでは、何ができ、何ができないかが議論された。事務局は、2005年に創設されたモデル化ツールに関するウェブポータルなど、この主題に関するこれまでの作業を提示。

専門家のプレゼンテーションは、既存のモデルの応用を図示した、例えば国際労働機関のモデルは、対応措置の労働への影響を評価する、グリーンな仕事への転職やモーリシャスの低炭素経済への移行のモデルなどがある。

コンタクトグループ及び非公式協議

NWP非公式協議では、SBSTA 47で合意された3つの質問に基づくNWPの効果性のレビューに焦点が当てられ、次の方法に関しても焦点が当てられた:パートナー組織の作業計画とNWPの主題とのリンクを改善するため、これらパートナー組織の参画を強める;NWPがマンデートに則り実現されるのを確保する;適応委員会及びLEGの作業と高い関連性を持つNWP。ある締約国グループは、適応のワークストリームを横断する作業では重複作業を避けることが重要だと強調した。

農業に関するコロニビア(Koronivia)共同作業:非公式協議において、多数の締約国は、農業に関するKoronivia共同作業のロードマップ作成を求めた。締約国が提案したロードマップの要素には次のものが含まれた:タイムライン;検討項目;ワークショップそして/または専門家会合の日付;締約国、非締約国利害関係者、専門家、国際機関の提出文書。一部の締約国は、提言やガイドラインなど、望まれる成果を検討するよう促した。

多数の締約国は、実施に焦点を移す必要があると強調した。一部のものは、UNFCCCの構成組織における農業関連の作業について、事務局がマッピング演習を実行するよう提案した。共同進行役は、ロードマップの必要性では意見が一致していると指摘、次回の非公式協議に先立ちさらなる検討を行うため、締約国に追加の質問をするよう提案した。

協定6条(市場手法及び非市場手法):コンタクトグループ会合において、SBSTA議長のWatkinsonは、次に関する要素案を記載する非公式文書を提出した:協力的手法に関するガイダンス;協定6.4条に言及するメカニズムの規則、モダリティ、手順;非市場手法枠組の作業計画に関する決定書草案。

締約国数か国は、これらの文書を今後の作業のたたき台として歓迎し、一部のものは明確化のための質問をした。締約国は、作業モードについては意見が分かれ、一部のものは、文書中のオプションの更なる明確化を求め、他のものは、より実質的な議論を求めた。共同議長のHugh Sealy (モルディブ)は、COP 24に向けての交渉のタイムラインを提示、進捗はみられたが、中身のある技術的な議論が必要だと指摘した。

廊下にて

月曜日午前中、参加者は、ボンの世界会議センターという慣れた環境に集合した。丸一日のプレナリー会合を終えた参加者は、全ての組織が速やかに作業を開始できたと喜んでいたようだ。しかし多くのものは、パリ協定作業計画の下での問題で合意するという今年に実現できる主要成果をあげるには「厳しい交渉(tough negotiation)」になるだろうと予想していた。作業計画は、12月のカトヴィツェ気候変動会議での採択に向け準備されることになる。一部のものは、最も大きな課題は今回も資金と緩和であろうと憶測したが、他のものは、特に大きな課題として透明性を挙げた。数名のものは、今会合で大きな突破口がみつかるのではと期待したが、これからの2週間で十分な進捗を見る必要があるというのが共通の感覚であった。SBI議長のDlaminiが言う通り、「カトヴィツェでの成功はここボンから始まる(success in Katowice starts here in Bonn)」のである。

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