Daily report for 3 May 2018

Bonn Climate Change Conference - April 2018

木曜日の会議の焦点は、12月のCOP 24で最終決定する必要があるパリ協定作業計画(PAWP)の交渉であった、この日は広範な題目の審議も行われており、その中には緩和と国家決定貢献(NDCs)、資金、透明性枠組、協定の実施推進遵守促進のメカニズムが含まれた。さらに交渉グループは、SBSTA及びSBI議題項目の下での他の多様な問題を議論するため会合した。

キャパシティ・ビルディング及び損失と損害は、木曜日の主要テーマであった。損失と損害関係問題を話し合うSuva専門家ダイアログも2日目の議論を続けた。加えて、キャパシティ・ビルディングに関するパリ委員会(PCCB)会合も、キャパシティ・ビルディングに関する第7回ダーバン・フォーラムと並行して開催された。SBSTA研究ダイアログの第10回会合も開催された。

SBSTA

資金源の計算モダリティ(協定9.7)非公式協議では、多国間のチャンネルを通して提供される気候資金に焦点が当てられた。

締約国は、緑の気候基金など気候に注目する資金への資金の流れ、そしてこれら資金からの資金の流れはまともに流れるが、例えば多国間開発銀行に対する一般的な資金貢献は問題が多いと指摘した。一部の者は、どのくらい気候に起因するかを見極めることの難しさ、さらには二重計算のリスクを考えると、個別の資金供与国に対し、そのような組織からの気候に特化した資金供与に関する報告を要求するのは不適切であると述べた。一部の締約国は、資金常任委員会(SCF)の隔年評価の中でそのような資金拠出を報告する義務を課すことを提案したが、他のものは、それはSCFのマンデートの範囲外であると警告した。一部の国は、気候関係以外の資金も含まれる多国間資金に対し、「根本的で一般的な(core general)」貢献を報告するよう要請することを疑問視したが、他のものは資金総額のうち気候変動に特化した割合を示す能力があることを重要視した。共同進行役は、週末の間に非公式ノートを推敲する。

協定6.4 (メカニズム)非公式協議で、締約国は、SBSTA議長の非公式ノートの第1回読み合わせを終了した。締約国は、このノートの次の改訂版に対するマンデートについて議論し、ある締約国グループは、このノートに関するいかなる議論も「時期尚早(premature)」であるとした。締約国は、このノートの2回目の読み合わせに移ることで合意した。

締約国は、協定6条の下での作業構成について議論し、結局、協定6.8条 (非市場手法)に対するコメントの修正をとりあえず終らせることで合意した。

SBI

政府間会合のアレンジ:非公式協議で、2つのオブザーバー組織は、UNFCCC及びそれに関係する制度の目的とは相反する商業利益を有する組織についてはオブザーバーの地位を否定する利益相反政策を求めた。別なものは、全ての非締約国利害関係者の参加を続けるよう求め、ビジネスは気候変動への対応で重要な役割を果たすと論じた。

締約国数か国は、参加性は価値があるが、オブザーバーの参加は利益相反がある場合、制限されるべきことで合意した。広範な参加性の問題に関し、ある締約国は、実施への参加と規則策定プロセスへの参加とを区別するよう提案し、後者については制限されるべきだと述べた。

議論は金曜日も続けられる予定。

気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の効果的な実施のレビュー:非公式協議で、締約国は、COP決定書草案について議論した。

一部の開発途上国は、より行動に重きを置く文章を求め、たとえば先進国の国別認定組織の役割を盛り込む、さらにはCTCNへの持続可能な資金支援の必要性に関するパラグラフでも類似の変更を行うよう求めた。一部の先進国は、CTCNレビューに対するUNEPの管理回答書の中に詳細な推奨事項への言及があることから、現在の詳細の度合いでも必要ないと論じた。

共同進行役は改定文書を作成する。

協定9.5条に則り締約国が提供する情報(先進国の隔年事前資金報告書)締約国は、共同進行役が呈した質問に対する意見発表に焦点を当てた:非公式ノートで捉えられていない追加要素の可能性;二重の表現及び重複;適切な文書構成。

ある締約国グループは、定性的な情報と定量的な情報との区別を求めたが、別なものは反対した。多数の締約国は、 重複分野を明らかにするため要素をクラスターにまとめることを支持した。多数の締約国は、ホスト国のニーズに基づき各国が支援プログラムを作成する場合には、定量的な事前情報を提供するという課題があると強調した。ある諸国グループは、国内プロセスでの違いを認識し、資金プレッジは事前情報として捉えられる可能性があると述べた。ある締約国グループは、損失と損害が欠落要素だと指摘した。

共同進行役は非公式ノートを改定する予定。

APA

透明性枠組:非公式協議で、各国は、技術専門家レビューの方法に焦点を当てた。

範囲(scope)について、一部の締約国は、特に次の点を強調した:レビューは協定の規定する範囲に限定されるべき;この問題は「レビューを受けるべき情報(information to be reviewed)」と共に議論されるべき;レビューの範囲外となるものの定義づけが有用;キャパシティ・ビルディングのニーズは当該締約国と共に決定すべき;「既存のガイドラインに則り構築(building on existing guidelines)」を方法として取り入れるべき。

フォーマットに関し、一部の締約国は、提示された方法の一部について更なる明確化が必要だと指摘し、特定された方法は相互に排他的なものではないと論じた。締約国数か国は、文書に記載するいかなる方法でもこの段階で排除することに反対した。

頻度とタイミングに関し、多様な締約国は、特に次の点を指摘した:柔軟性を持たせるべきで、締約国の能力と結びつけるべき;報告は隔年報告に合わせ、2年ごとに提出されるべき;LDCs及びSIDSは、頻度を自国の裁量で決定できるようにすべき。

締約国は、進捗状況に関する促進的な多国間の審議のフォーマット及びステップに関する議論を開始して、協議を締めくくった。

実施及び遵守:非公式協議は、午前中、次の枠づけ質問集をベースに続けられた:問題をどうやって委員会に提起するか;委員会での審議の各段階;委員会が行う可能性がある行動及びアウトプット。法的拘束力のある条項と法的拘束力のない条項とを区別すべきかどうか、客観的に検証可能な(2分式(binary)の)ものと2分式でない法的効力力のある義務とを区別すべきかどうか、締約国の意見は分かれた。開始モードに関しても意見が分かれた。全ての締約国は、自国に委ねる(self-referral)をオプションとすべきことで合意し、一部のものは、特にNDC登録簿を通して提供される情報に基づき、2分式の法的拘束力のある「客観的(objective)」なトリガーを支持すると付け加えた。

特に次の点では意見の集約が見られた:委員会は各国の能力及び状況を考慮する必要がある;特定の場合に適用される措置に関するアウトプットの「ツールボックス(toolbox)」、ただし「裁量には限界(bounded discretion)」がある;当該締約国とのダイアログの重要性及びその締約国の全面的な参加。

午後の非公式協議で、締約国は、委員会でシステム上の問題を議論する方法について検討した。次の点では意見の集約が見られた:CMAが始めるプロセスか、それとも委員会自体が始めるプロセスか、あるグループは、共同当事者に委ねることを提案した;他の関連組織からの情報取得というこの委員会のマンデート;アウトプットは委員会がCMAに示す年次報告書の中に記載。

制度アレンジに関し、大半の締約国は、決定書には委員会が機能する上で「最低限(the bare minimum)」必要なものを含めさへすれば良く、作成されるべき手順規則は委員会に委ねればよいことで合意した。

スリム化された非公式ノートが作成される予定。

適応基金以外の更なる問題:締約国は、協定9.5条 (先進国による隔年の事前資金報告書)に関係する追加的な問題で、CMAでの審議が求められるものがあるかどうか議論した。

締約国は、パリ協定がPAWPに対し9.5条のモダリティ拡大を委任しているかどうかで意見が分かれ、先進国数か国はSBI議題項目で資金報告書に関し必要な明確さが与えられていると論じた。開発途上国は、2つの構成部分があると論じた:一つはSBIの下に置かれるべきもの、もう一つはAPAの下に置かれるべきもの。ある開発途上国グループはさらに、9.5条の実施手順は不十分な明確さしかないと論じ、開発途上国は期待される資金に関し明確な情報が得られない限り、野心を引き上げられないと論じた。

決定書1/CP.21 (パリ協定の採択)の緩和セクションに関係する追加ガイダンス:非公式協議で、締約国は、NDCの計算に関するガイダンスを審議した。このガイダンスは、協定4.13条に説明する原則を運用可能とする必要があるという点で意見が一致した。大半の締約国は、規範的であることに異論を唱えた。開発途上国グループは、それぞれの能力に合わせたガイダンスが必要と強調し、計算に土地利用を入れることには異論を唱えた。締約国数か国は、協力的手法を用いる締約国に対するガイダンスが必要だと指摘し、協定6条の交渉との協調を指摘した。計算結果は透明性枠組を通して報告されるべきことで全般的な合意が得られた。

キャパシティ・ビルディングに関するダーバン・フォーラム

第7回キャパシティ・ビルディングに関するダーバン・フォーラムは、午後に開催された。

世界資源研究所のYamide Dagnetは、基調講演の中で、少なくとも42件のNDC関係のキャパシティ・ビルディング・イニシアティブ及び基金が存在すると指摘した。

パネルディスカッションにおいて、マレーシアのMahawan Karuniasaは、自国のNDC実施での経験について説明した。同氏は、制度上の知識を高め、国内のイノベーションを奨励する努力に焦点を当てた。Mary Robinson Foundation – Climate JusticeのTara Shineは、キャパシティ・ビルディングでは人権及びジェンダーにより多くの注意を払うよう促した。気候変動に関する先住民国際フォーラムのHindou Oumarou Ibrahimは、チャドのNDCに関する先住民との協議で学習したことについて説明した。UNEP DTUパートナーシップのMiriam Hinostrozaは特に、透明性のためのキャパシティ・ビルディング実施グローバル協力プラットフォームについて説明した。

その後キャパシティ・ビルディングの多様な側面に関する分科会が開催された。

SBSTA研究ダイアログ

SBSTA研究ダイアログは午後に開催された。

世界気候研究プログラム(WCRP)のAmanda Lynchは、WCRPの2019年-2029年戦略計画の主要目的について説明し、 社会に役立つ気候科学には、より広範なパートナーシップが必要だと強調した。

WCRP Coordinated Regional Downscaling Experiment (WCRP-CORDEX)のChris Lennardは、WCRP-CORDEXがいかにして研究者や影響科学者、政策立案者を集め、行動可能な気候情報を作成しているか説明した。

IPCCのShobhakar Dhakalは、都市と気候変動会議に焦点を当て、都市と気候変動に関する科学という世界的な研究課題が重要な成果であったと述べた。

Global Carbon ProjectのCorinne Le Quéréは、化石燃料の利用及び産業からのCO2排出量は3年間、多少とも一定の量で推移した後、2017年に1.5%増加したと述べた。

University of Southern DenmarkのNicola Tollinは、都市部に対し、その緩和及び適応の努力をNDCs及び国別適応計画と協調させるよう促した。

UNESCOの政府間海洋学委員会のSalvatore Aricòは、国内及び国際的な科学的努力を高める行動に対する地球規模の枠組として、国連の持続可能な開発のための海洋科学の10年に焦点を当てた。

Snowchange CooperativeのTero Mustonenは、北極のシステムは巨大な変化を遂げている最中にあると強調し、モニタリング及び行動を目的とする先住民の知識と科学のセンターを設立するよう提案した。

英国Hadley CenterのRichard Bettsは、食糧安全保障を失いかねない脆弱性は気候の要素と共に気候以外の要素にも依存するが、地球温暖化と共に脆弱性が高まるのが一般的だと強調した。

廊下にて

パリ協定作業計画の交渉では、木曜日一日を通し、手順上の議論が浮上し、一部の締約国は、非公式ノートの審議続行を主張したが、他のものは、ステップを変更し、文章の交渉に入ることを推した。午後の代表団トップのAPA会議では、「大きな全体像(big overall picture)」に再度焦点を当てようとした。廊下にいた熟練交渉担当者の一部は、そのような努力は必要だとする一方、一部の主要分野での「深刻な行きつまり(severe blockages)」に懸念を表明した。

資金は、ここ数日間、特に御し難い議題として浮上した。最も激論が戦わされたものの一つは、先進国の気候資金に関する事前報告であった。先進国は、資金の議論をSBIの下に限定する意思を固めているが、開発途上国は、野心引き上げには予想される支援に関し、明確な情報が示される必要があると述べる。ある交渉担当者が言った通り:「資金に関する決定がなければカトヴィセでのパッケージ取引はない」であろう。

Further information

Participants

Tags