Daily report for 11 December 2018
Katowice Climate Change Conference - December 2018
カトヴィチェ気候変動会議は、火曜日も続けられ、パリ協定作業計画に関係する数件の議題で議長職協議が行われ、タラノア・ダイアログは政治段階の議論に入った。夕方、COP議長職はストックテイキング会合を開催した。
COP
地球環境ファシリティ(GEF)の報告及びGEFへのガイダンス:Richard Muyungi (タンザニア)及びStefan Schwager (スイス)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、文書草案のパラグラフごとに意見交換を行った。締約国は、次の項目で意見が一致しなかった:GEFの第7回資金募集を認めるか、歓迎するか、それとも指摘するか;第7回資金募集と第6回資金募集との間のGEF資金の減少を%で示すか、それとも図で示すか。ある開発途上国は、量的な情報を「顕著な減額(significant decrease)」に換えることを提案した。
締約国は、開発途上国の組織に対するアクセスモダリティ改善の検討するようGEFに指示する表現について、強力な意見の不一致があった。ある先進国グループは、GEFは他の基金とは本質的に違うことから、直接アクセスのモダリティを可能にするなら、異なる環境条約を横断する国内組織の認定「の洪水に門戸を開く(open the floodgates)」ことになると論じた。ある開発途上国はこれに反対し、開発途上国の組織に対する直接アクセスを進めるための「パラダイムシフト(paradigm shift)」を求めた。
締約国は、GEF資金へのアクセスに対する政治的、非技術的障壁を論ずる2つのパラグラフでも強い意見の不一致があった、ある先進国は、短時間のコンタクトグループ会合で表現が「一線を越えた(red line)」と述べ、文書草案は閣僚レベルでの審議に向け議長職に送致された。
緑の気候基金(GCF)の報告及びGCFへのガイダンス:Richard Muyungi (タンザニア)及びStefan Schwager (スイス)が共同進行役を務める非公式協議で、締約国は、午前中の非公式協議に基づき、この日の内に作成された文書の新しい版を検討した。
議論の中心は、資金常任委員会(SCF)に対し、開発途上国による条約実施支援に必要な基金に関する評価書を作成し、GCFの第1回資金募集プロセスを支援するよう要請するパラグラフであった。多数の先進国は、開発途上国グループの代替案の議論に反対した。
ある国は、IPCC1.5℃特別報告書への言及に反対し、これは緩和に向けた資金供与をゆがめると述べた。別な国はこれに反対し、これは「適応への投資でもある(also an investment in adaptation)」との観点を示した。
締約国は、特に残された政策ギャップへの対応に関係するパラグラフを括弧で閉じ、締約国に対し、GCFの初期資金動員の下での寄付のアレンジや合意の全面実施を促した。
同じ小項目に関するコンタクトグループとして短時間の協議を行った共同議長のSchwagerは、この文書をCOP議長職に提示すると述べた。
議長職協議:緩和/NDCs:締約国は、APAから送致された文書草案の第3版に関し、意見交換を続け、それぞれの立場を繰り返し述べ、パラグラフの括弧書きの追加や削除を要請、スリム化が可能な分野を提案した。締約国は、NDCsに関係するキャパシティ・ビルディング支援に関するパラグラフ、及び二重計算回避のパラグラフでは、一定の共通の立場を見出した。
明確性、透明性、理解のための情報(ICTU)についてのガイダンスに関し、締約国は、次に関する意見の食い違いを続けた:詳細の程度や範囲、具体的には緩和の他の要素を入れるかどうか;適応可能となるタイミング、具体的には「2020年まで(by 2020)」か、それとも第2回及びその後のNDCsのタイミングか;法的拘束力の程度、具体的には、全ての締約国がNDCsのタイプで決定される詳細を付すICTUを「提供するものとする(shall provide)」か、それとも先進国はICTUを「提供するものとし(shall provide)」、開発途上国は「含めても良い(may include)」とするか。
締約国は、特に次を考察した:NDCsの衡平性及び野心に関するガイダンスの詳細度;NDCの計画策定プロセスへの一般の参加や参画、並びに持続可能な開発といった「概念問題(contextual issues)」。
計算方法に関し、締約国は、次に関係する提案を行った:共通の計算方式、これにはIPCCガイドラインの対象外の手法論を用いる国レベルの計算方法に関するものも含める;可能なガイダンスのレビューのタイミング;政策措置や戦略で表現される目標を含めるNDCsの捕捉;排出源、吸収源、または活動に関係する排出量及び除去量、あるグループは「全ての陸地域(all land area)」への言及を提案、 他のお一部のものは「プール(pools)」の追加を提案した。
多数のものは、透明性枠組と協定6条 (協力的手法)の実質的なリンクを、異なる文章間の重複表現を減らす形でどう対応できるか、さらなる注意を求めた。
締約国は、自分たちのインプットはCOP 議長職が協議支援の目的で任命した専門家とも共有されると知らされた。
適応:締約国は、議長職が作成した決定書草案の文章を審議した。他の問題の中で、締約国は、グローバルストックテイク(GST)において開発途上国の適応努力の認識を進める方法についての文書、及び適応と支援の適切性や効果性をレビューする手法論に関する文書の作成で合意した。特に次の項目では意見の不一致が残った:条約及びパリ協定の下の適応関係組織の作業実施に向け資源を提供するよう奨励すべきなのはどの締約国か;適応ニーズ評価の関連手法論のインベントリを作成し、定期的に更新することはだれに要請すべきか:SBSTAに対し、そのような手法論の適用可能性を高める方法、さらにはそのプロセスにおけるIPCCの役割について検討するよう要請するオプション。
適応報告書に対するガイダンスに関し、特に次の点で意見が分かれた:適応報告書の事後と先進的な要素との上下関係の程度を紹介する表現;適応関連情報の伝達に関し、既存のガイダンスを考慮するかどうか;適応行動及び/または経済多角化計画に関するNDCsの構成要素として、もしくはそれらとの関係で伝達される情報が緩和の共同便益に結びつくかどうか、結びつくならどう結び付くかをレビューの対象とするかどうか。
その後文書草案が議長職に送致された。
技術:午後、可能にする環境に言及する表現で、意見が分かれた。このグループは、移転の用意がある技術の評価を議論する十分な時間がなく、実施に対する障壁を取り上げるだけの時間もなかった。共同進行役は、全ての国はCOP議長職に提出されるべき新しい版を検討する予定だと述べた。
定期的な評価の範囲及びモダリティに関し、締約国は、定期的な評価とGSTとの関係を特定する方法、並びに技術メカニズムへの支援は先進国が提供すべきかどうかでも合意できなかった。共同進行役は、括弧書きの文書をCOP議長職に送致すると指摘した。
遵守: 午前中、締約国は、措置、委員会による審議開始、タイムラインの柔軟性に焦点を当てた。
措置に関し、締約国は、この委員会は透明性枠組の下での技術専門家レビューの報告に関連する場合を除き、パリ協定の条項の実施及び遵守と関係する「事実報告書(findings of fact)」を発行する可能性があると、特に規定する文章案を検討した。締約国は、この文章で合意できなかった。ある締約国は、委員会は二つの法的拘束力のある義務に関係する場合にのみ「事実報告書(findings of fact)」を発行可能にすべきだと述べた。他の締約国は、同委員会は可能性ある課題及び解決策を洗い出すため、当事者である締約国と適切な資金や技術、キャパシティ・ビルディングの組織もしくはアレンジとの対話を促進する可能性があるとする小パラグラフについて、懸念を表明した。多数の締約国は、この提案に関する更なる協議に参加する意思があると表明したが、あるグループは、即時妥協するよう求め、更なる議論に価値があるかどうか不確かだと表明した。
この委員会による審議開始について、締約国は、この委員会は(報告書が作成されたかどうかのみを検討すべきで、提供された情報の中身を検討すべきではないことを、どう記述するか検討した。
非公式な非公式協議が午後に開催された。
第6条(協力的手法):締約国は、締約国主導の議論において明らかにされた意見や提案、可能性ある落としどころについて、フィードバックを提供した。
6.2条(ITMOs)の下、対応する調整に関し、締約国は、排出又は排出削減で作業する、ベース及び換算方法の明確化を確保するなど、多数のオプションの中から各国が選択できるようにするとの「メニュー方式(menu approach)」の提案で合意できなかった。数か国の締約国は、この提案を支持したが、他のものは反対し、全ての締約国に同一の根拠を提供する単独の手法を求めた。
NDCsの達成以外の目的に関し、締約国は、次を表明した:定義づけの必要性;二重計算を取り巻く懸念;UNFCCCには他の組織の規則を作るマンデートがないとの認識。締約国は、報告の目的での事前の定量化に反対する意見を有した。
6.4条(メカニズム)に関し、締約国は、活動サイクルの手法論原則について議論した。ある締約国は、高度な原則及びそれを作成する作業計画を求めた数か国の締約国は、適切なベースライン手法に関する意見を表明し、一部のものは、ビジネスアズユージャルで歴史的なベースラインの適用への留保を表明した。一部のものは、グローバルな排出量の全体的緩和とのリンクを指摘した。締約国は、監督機関の構成についても議論した。
6.8条 (非市場手法の枠組)に関し、締約国は、枠組のガバナンスはフォーラムの設立で開始され、恒久的なガバナンス構造の2019年での設置を保証するとの妥協案について議論した。さらに締約国は、作業計画の活動に関する妥協案も審議した。
今後の進め方に関し、共同進行役は、残された違いを考えると括弧書き付きの文書しか作成できないと議長職に伝えることになると説明した。
対応措置:共同進行役は、提案された文書を提示し、合意はされていないが、可能な落としどころを示していると述べた。序文に関し、締約国は、協定、条約及び京都議定書のどの条項に言及するか、さらにはどのCOP決定書に言及するかで意見が異なった。
このフォーラムの運営に関し、対応措置実施の影響に関する委員会を設置するとの文章を入れるかどうかで、意見が分かれた。一部の締約国は、プレースホールダーを入れるよう提案し、委員会を設置するとの合意はないと指摘した。
機能に関し、締約国は、このフォーラムは特に次に対するマンデートを有するべきかどうか、意見交換を行った:パリ協定の下での構成組織、他のアレンジ、プロセスからの要請に応じる;対応措置実施の悪影響を最小限に抑制するための行動を促進する。
今後の進め方に関し、あるグループは、強い懸念を表明し、COP議長職に送致される文章の事前の閲覧を主張した。締約国に対し、議長職が任命した専門家が自身の権限の下で文章を作成し、意見のバランスを確保しようとすることが保証された。
COP議長職のストックテイク:COP 24議長のKurtykaは、これまでの交渉では「進展が不十分(insufficient progress)」なことから、自身の状況評価を示し、必要とされる次のステップの概要を説明すると述べた。
ニュージーランドのJo Tyndallは、モダリティ、手順、ガイドライン(MPG)のクラスターでの進展について報告した。同代表は、未解決な問題に焦点を当て、次の点を指摘した:
- 透明性:条約の下での既存の報告の最終日及び協定13条の下での報告の開始日;時間がたつとともに改善していけるようにする方法。
- 緩和及びNDCs:ICTUの差異化、及び計算方法のガイダンス:ICTU及び計算方法に関するガイダンスの範囲。
- GST:衡平性への言及方法、及び特定の衡平性条項がある場合はそれを定義づける方法;損失と損害及び対応措置を含めるGSTの題目別分野または範囲。
- 実施と遵守:委員会イニシエーションの範囲;委員会が取れる措置。
フランスのPaul Watkinsonは、全ての議論の全線で進展が見られたが、次のものなど、問題は残されていると述べた:
- 協定6条:協定6.4条のメカニズムの下での適応基金に対する収入の一部(の提供);世界の排出量に対応する調整、及び全体的な緩和;京都議定書からパリ協定システムへの移管;
- 対応措置:このフォーラムの作業計画、ガバナンス、制度。
eSwatiniのEmmanuel Dlaminiは、適応と技術に関する交渉の進展を報告したが、次の項目に関するものなどで意見の違いが残っていると指摘した:
- 技術メカニズムの定期的な評価:定期的な評価とGSTとの関係;メカニズムに対し提供される支援の適切性;定期的な評価への情報源。
- 技術枠組:CBDR-RC;技術開発及び移転の実施に対する障壁;可能にする環境。
- 適応:適応のニーズ評価における、IPCC及び条約の下での他の組織の参画;GSTのアウトプットの構成;CBDR-RCへの言及。
Dlaminiは、リンクされる問題の解決を待って、登録簿に関する協議が行われたと報告した。
エジプトの環境大臣Yassmin Abdelazizは、資金に関するオープンエンドの協議について報告、この協議ではドイツの環境・自然保全・原子力安全省の連邦国務大臣であるJochen Flasbarthが共同進行役を務めたと述べた。同大臣は、表明された全ての意見を反映させ、協定9.5条(事前資金の透明性)に関する文書の第2案における共通点を捉えようとしたと報告した。国務大臣のFlasbarthは、この文書はまだ締約国のものとはなっておらず、共同進行役の責任において発行されたものだとつけ加えた。将来の協議では、適応基金及びポスト2025年の集団の資金目標が議論される。
COP 24議長のKurtykaは、現在の交渉モードは使い尽くされていると発言し、12月12日水曜日の午前中に新しい文章案が利用できるようになると発表した。同議長は、大臣たちがそれぞれ対になって次の項目の解決策を探る予定だと伝えた:資金;透明性;緩和/NDCのガイダンス;GST;適応;協定6条の下での協力的手法。同議長は、閣僚達はオープンエンドの協議、ウィーン方式(Vienna settings)、二者間協議、シャトル外交など、締約国と「協議するあらゆるツール(all possible tools to consult)」を利用できると述べた。同議長は、締約国に対し、「些細な問題(micro issues)」は避け、大局を見るよう求め、会議を閉会した。
タラノア・ダイアログ
開会式典:COP 23議長のFrank Bainimaramaが議長役を務めた。
COP 24議長のMichał Kurtykaは、タラノア・ダイアログの政治段階は野心強化に必要な勇気や自信を得るため、明確で前向きなシグナルの発信を目指すと述べた。
UNFCCC事務局長のPatricia Espinosaは、タラノア・ダイアログは「偉大な会話(a grand conversation)」であるとし、人々は今も気候変動に苦しめられているとし、気候行動は起きているが、十分早く起きているとは言えないと強調した。
技術段階からの主要メッセージ:COP 24議長のPresident Kurtykaがモデレーターを務めた。
IPCC議長のHoesung Leeは、IPCCの1.5℃特別報告書を提示し、緊急の行動が必要であり、社会の全ての分野において前例のない転換が求められると強調した。
ハイレベル気候チャンピオンでフィジーのInia Seruiratuは、今年はタラノア・プロセスが世界を席巻したと述べ、グローバル気候行動からの報告をし、全ての利害関係者がそれぞれのストーリーを交換したことに対し、感謝を表明した。
COP 20議長のManuel Pulgar-Vidalは、ハイレベル資金ダイアログについて報告し、開発途上国が直接アクセスできる気候資金の規模を大幅に拡大し、予見可能で一貫性のある資金フローを実現する必要があるとのメッセージを伝えた。
ノルウェーの気候環境大臣のOla Elvestuenは、プレ2020年のストックテイクについて報告した。同大臣は、ストックテイクの政治的な部分から、特に、一部の国は京都議定書の約束を過剰に達成し、他のものはカーボン原単位のプレッジを超える一方で経済成長を遂げたとのメッセージを伝えた。
COP 21議長のLaurent Fabiusは、COP 24では、透明性メカニズムの定義づけ、「1.5℃及び2℃目標(1.5ºC and 2ºC targets)」の確認、CBDRの再確認、世界は野心を引き上げていくとの明確なメッセージの発信などを「達成可能であり、達成すべきだ(could and should achieve)」と説明した。
タラノアの描写:Seruiratuが共同進行役を務め、発言者は次のストーリーを交換した:
先住民のHindou Oumarou Ibrahimは、全ての行動を共に行う必要があると強調し、先住民は世界の生物多様性の80%を保護していると指摘した。
ポーランド環境大臣のHenryk Kowalczykは、クリーンな公共交通への投資、クリーンな住宅暖房技術への投資など自国の転換のストーリーを語った。
アイルランドの国営電力会社LandsvirkjunのRagna Árnadóttirは、農業従事者による水力発電から始まり、起業家が地域暖房用の地熱エネルギー利用技術を構築し、地方自治体がそのような努力の規模拡大を図ることで、100%再生可能エネルギーを実現した自国のストーリーを語った。
COP 23議長のBainimaramaは、「たとえ自分たちは安全だと考えても、脆弱になる(even if you think you’re safe, you will be vulnerable)」と参加者に告げ、サイクロンが一層強力なものになる、村民の心配、「以前に優る復興(build back better)」への支援の必要性という影響のメッセージを伝えた。
その後、タラノア・ダイアログは、21の会合で続けられ、それぞれ11-13名の閣僚で構成され、野心引上げに向けたストーリーを交換した。
CMP
適応基金に関係する問題:適応基金理事会:共同議長のRichard Muyungi (タンザニア)は、このコンタクトグループの共同議長も務めた。モルディブはAOSISの立場で発言し、現在「APAにおいて(under the APA)」進行中の適応基金の協議結果のためのプレースホールダーの追加を提案した。Muyungiは、共同議長は独立の議題項目に対する文章の相互参照を行うマンデートを持っていないと述べた。EU、アフリカングループの立場で発言した南アフリカ、パキスタンは、APSISの提案を支持した。プレースホールダー付きの文書草案が、CMPでの審議に回された。
廊下にて
クリーンな文書作成に向けた「技術的な(technical)」交渉の期限である午後5時が迫る中、火曜日の朝5時まで協議をしてきた一部のグループは、ほんの数時間の解散後、議論を再開しており、交渉担当者のこの課題への献身は疑う余地がなかった。しかし、多くの参加者の観察では、多数の会議室での議論は「空回り(going in circles)」していた。あるものは、3年間の議論でも整理できなかったものを、閣僚達は3日間で解決すると考えられるのだろうかと不思議がっていた。議長職のストックテイクを終えて、会場を後にした一人の楽観的なオブザーバーは、閣僚達が「宿題をやり遂げた(done their homework)」と希望したが、深夜に代表団長会議が開催されるとの噂は、まだやるべきことが多く残っていることを暗示させた。