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Bonn Climate Change Conference - May 2016

ボン気候変動会議は2016年5月16-26日の日程でドイツ・ボンにて開催される。同会議は、3つの補助機関(SBs)による会合、すなわち「科学的・技術的助言に関する補助機関」第44回会合(SBSTA 44)、 「実施に関する補助機関」第44回会合(SBI 44) ならびに「パリ協定に関する特別作業部会」第1回会合(APA-1)で構成される。

SBIでは、報告、京都議定書のメカニズムに関する問題、後発開発途上国;各国の適応計画、適応基金第3回レビュー、キャパシティビルディング、対応措置、ジェンダー等の議題項目を討議予定。また、SBIは、国別決定貢献レジストリ (NDCs)ならびに技術メカニズムの定期的な評価のためのスコープ及びモダリティ等を含めた気候変動に関するパリ協定に係る問題を検討する。

SBSTAでは、特にナイロビ作業計画、農業、科学・レビュー、対応措置、UNFCCC及び京都議定書に基づく方法論の問題、ならびに市場・非市場メカニズムについて検討予定。また、SBSTAでも、技術枠組みや6条 (協力的アプローチ)に関する問題、公的機関を介して提供・動員された資金のアカウンティングのためのモダリティ等のパリ協定に関する問題を幾つか検討する。

APAでは、パリ協定の幾つかの条項、すなわち、NDCs (4条)、行動及び支援に向けた透明性の枠組み(13条)、グローバル・ストックテイク (14条)、実施の前進及び遵守の促進に向けたメカニズム (15条)等を含むモダリティ及び追加ガイダンスについて検討予定だ。 また、APAは、パリ協定の発効やパリ協定第1回締約国会議の開催の準備についても検討する。

UNFCCC 及び 京都議定書のこれまでの経緯

気候変動に対する国際政治の対応は、1992年の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の採択に始まる。UNFCCCは、気候系に対する「危険な人為的干渉」を回避するため、大気中の温室効果ガス(GHGs)の濃度安定化を目指して、その枠組みを規定した条約であり、1994年3月21日に発効し、現在197の締約国を有する。1997年12月、日本の京都で開催された第3回締約国会議(COP3)に参加した各国の政府代表は、先進工業国及び市場経済移行国に排出削減目標の達成を義務付けるUNFCCCの議定書に合意。UNFCCCの下で附属書Ⅰ国と呼ばれる国々が、2008-2012年(第一約束期間)の間に、6種の温室効果ガス(GHG)の排出量を1990年と比較して全体で平均5%削減し、各国ごとに異なる個別目標を担うことを約束し、合意が成立した。京都議定書は、2005年2月16日に発効し、現在192の締約国を有する。

2005-2009年の長期交渉: カナダ・モントリオールで2005年に開催された京都議定書の第1回締約国会合(CMP1)で、議定書3.9条に則り、京都議定書の下での附属書Ⅰ国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の設立を決定し、第一約束期間が終了する少なくとも7年前までに附属書Ⅰ国の更なる約束を検討することをその役割として定めた。

2007年12月にインドネシア・バリで開催されたCOP13及びCMP3では長期の問題に関するバリ・ロードマップについて合意に至った。COP13は「バリ行動計画」(BAP)を採択し、緩和、適応、資金、技術、キャパシティビルディング、長期的協力行動の共有ビジョンを中心に討議することをその役割と定める「条約の下での長期的協力行動のための特別作業部会」(AWG-LCA)を設立した。また、AWG-KPの下では、附属書Ⅰ国の更なる約束に関する交渉が続けられた。さらに、2つの交渉トラックが結論を出す期限については、2009年のコペンハーゲン会議までと定められた。

コペンハーゲン: 2009年12月の国連気候変動会議は、デンマーク・コペンハーゲンで開催された。世間の大きな注目を集めた同会議は、透明性の問題やプロセスをめぐる論争が目立った。12月18日深夜、会議の成果として政治合意である「コペンハーゲン・アコード」が成立し、その後COPプレナリー(全体会合)での採択に向けて提出された。それから13時間にわたる議論の末、各国の政府代表がコペンハーゲン合意に「留意する(take note)」ことで最終的に合意。さらに、AWG交渉グループの期限をそれぞれ 2010年のCOP16及びCMP6まで延長することで合意した。2010年には140カ国を超える締約国がこの合意への支持を表明し、80カ国以上が国家の緩和目標または行動に関する情報を提出した。

カンクン: 2010年12月、メキシコ・カンクンで国連気候変動会議が開催され、「カンクン合意」がまとまり、2013年から2015年までのレビュー期間中に世界長期目標の妥当性について検討することで締約国が合意した。カンクン合意により、緑の気候基金 (GCF)、カンクン適応枠組み、適応委員会、技術メカニズム等の新たな制度やプロセスが創設された。また、技術メカニズムの下には、技術執行委員会(TEC)と気候技術センター・ネットワーク(CTCN)が設立された。

ダーバン: 2011年11月28日-12月11日、南アフリカ・ダーバンで国連気候変動会議が開催された。ダーバン会議の主な成果としては、2020年までに新合意の発効を目指し、2015年までに、「条約の下で、全ての締約国に適用可能な、議定書・法的文書・もしくは法的効力を有する合意成果の形成」を目的とした新組織であるADP(強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会)の発足についての合意が挙げられる。さらに、ADPには、2℃目標との関連で、2020年までの野心ギャップを埋めるための行動を模索する役割も課された。

ドーハ: 2012年11月26日-12月8日、国連気候変動会議はカタール・ドーハにて開催。「ドーハ気候ゲートウェイ」と称される一連の決定書パッケージが作成され、京都議定書の第二約束期間(2013年-2020年)を定めるための議定書の改正事項や、ドーハにおけるAWG-KP及びAWG-LCAの作業完了、BAP交渉の終了等に関する合意も盛り込まれた。

ワルシャワ: 2013年11月11日-23日、国連気候変動会議はポーランド・ワルシャワで開催された。同会議では、締約国に「各国の約束草案」(INDCs)に向けた国内準備の開始や強化を招請すること等を盛り込んだADP決定書が採択された。また、「気候変動に関連する損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズム(WIM)」の設立を定めた決定書、ならびに「ワルシャワREDD+枠組み」の設立を定めた決定書等が採択された。

リマ: 2014年12月1-14日、国連気候変動会議はペルー・リマで開催された。このCOP 20で「気候行動のためのリマ声明」(Lima Call for Climate Action)が採択され、INDCsの提出や点検のプロセスに関する議論を含めた2015年合意に向けた交渉原案の要素等を詰め、合意交渉を始動させるとともに、プレ2020年の野心の強化に取り組むことを定めた。また、19件の決定書も採択され、WIM (損失と被害のためのワルシャワ国際メカニズム)の運用推進や「ジェンダーに関するリマ作業計画」の策定、「教育や啓発に関するリマ閣僚宣言」の採択等が定めている。

2015年のADP交渉: ADP 2-8は、2015年2月8日-13日、スイス・ジュネーブで行われた。会合の目的はCOP20で定められた通り、「気候行動のためのリマ声明」に付属する交渉原案の要素に基づく交渉テキスト作りにあり、ADP 2-8で採択されたジュネーブ交渉テキストが交渉の土台となった。

ADP 2-9は、2015年6月1日-11日、ドイツ・ボンで開催。ジュネーブ交渉テキスト(GNT)の整理や編集、分類作業や概念的な議論が行われ、GNTの序文や総則/目的、緩和、適応、損失・被害、資金、技術の開発と移転、キャパシティビルディング、透明性、時間枠(タイムフレーム)、実施と遵守、手続きと制度に関する条項等が取り上げられた。また、ADPでは、ADPの役割やプレ2020年の野心に関する議論のための要素案等についても審議された。

ADP 2-10は、2015年8月31日-9月4日、ドイツ・ボンで開催された。今後の作業指針として、ADP 2-9で簡素化・統合化した文書をベースにADP共同議長が作成した「ツール」の様々な部分について討議が行われた。「ツール」内のパラグラフ配置の検討や、主要問題に関する概念的な議論が行われ、一部では文章上の提案にまで発展するケースも見られた。なお、ADP共同議長には今後の交渉の基礎を成すノンペーパー修正版を作成するという役割が託された。

ADP 2-11は、2015年10月19日-23日、ドイツ・ボンで開催された。ADP共同議長が作成した文書を起点とした文章ベースの交渉を開始するよう議長から提案された。さらなる交渉に向けて修正版ノンペーパーで進めることで合意し、事務局に対して密接に関連したパラグラフやセクション内の重複箇所、整理できる分野等を特定した技術文書を作成するよう要請した。

パリ: 国連気候変動会議は、2015年11月30日-12月13日、フランス・パリで開催され、気候変動に関するパリ協定の成立に至った。パリ協定の目的は、産業革命以前と比べて世界の平均気温の上昇幅を2℃を十分下回る水準に抑制し、1.5℃未満に抑制する努力も追求、世界の適応力の向上、気候変動へのレジリエンス強化や脆弱性の緩和等である。同協定は、2つの5カ年サイクルを有する。一つ目のサイクルは、各国の異なる国情に照らしつつ、共通だが差異ある責任や個々の能力を反映させつつ、各締約国は、毎回の貢献で前回よりも進歩させたNDCsを提出するというものだ。また、INDCについて10年という時間枠(タイムフレーム)を設けられた締約国は、それらの貢献を連絡または更新することが義務付けられている。2つ目のサイクルは、2018年の促進的対話を受けて、2023年から開始される集団的努力に関するグローバル・ストックテイクである。すべての締約国は共通の透明性枠組みを用いて報告し、途上国には報告義務を履行するための支援が提供される。パリ協定は、特に、GHG排出量の削減に資するとともに持続可能な開発及び技術メカニズムに重要指針を供する技術枠組みに対する支援を行うメカニズムを定めている。パリ協定は、世界のGHG排出量の少なくとも55%以上を占める締約国55カ国の批准をもって発効する。

直近の関連会議ハイライト

GCF 12: 第12回GCF理事会は、2016年3月8-10日、韓国・松島で開催された。理事会は、2016年作業計画や前回までの理事会の懸案事項、戦略計画、常任理事選出委員会への委託条件等に関するいくつかの決議を採択した。

CCAC作業部会: 「気候と大気浄化のコアリション(連携): CCAC」は2016年4月1日、米国ワシントンDCで開催され、農業部門や調理・暖房・照明等における短寿命気候汚染物質削減のためのイニシアティブに対する1,000万ドルの資金拠出を承認した。

IPCC 43: 気候変動に関する政府間パネル第43回総会は、2016年4月11-13日、ケニア・ナイロビで開催。IPCC事業予算や第6次評価報告書に向けたコミュニケーション、特別報告書、戦略計画について4つの決定書が採択された。また、3つの特別報告書(①産業革命以降の1.5℃の地球温暖化による影響や関連する世界のGHG排出経路に関する特別報告書、②気候変動・砂漠化・土地劣化・持続可能な開発・食料安全保障・陸域生態系におけるGHGフラックスに関する特別報告書、③気候変動と海洋・雪氷圏)の作成についても合意がなされた。

パリ協定署名式典: パリ協定署名式は、2016年4月22日、ニューヨーク国連本部で行われ、174カ国及び欧州連合(EU)がパリ協定に署名し、15カ国が批准書を寄託した。

パリ協定に関するCOP議長国非公式協議: COP21及びCOP22議長国による非公式会合が2016年4月15-16日、パリで開催され、パリ会議後に実行すべき共通の任務や作業に関する点検を行った。また、同協定が発効し、完全に施行されるまでのボン、マラケシュ以降につながる道筋についても省察された。

(IGES-GISPRI仮訳)

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Participants

National governments
US
Democratic Republic of the Congo
Negotiating blocs
European Union

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