Daily report for 18 May 2016

Bonn Climate Change Conference - May 2016

ボン気候変動会議は水曜日も続けられ、午前中は性別対応型気候政策に関するワークショップが開催された。昼食時には、リマ-パリ行動アジェンダ(LPAA)の成果に関するイベントが開催された。午後、世界状況把握に対するIPCC評価報告書の情報提供方法に関する助言のスペシャル・イベント、気候エンパワーメント行動に関する第4回ダイアログ、APAの議題及び作業構成に関する非公式協議が開催された。この日一日を通し、SBI及びSBSTAのコンタクトグループ会議及び非公式協議、長期資金に関するワークショップが開催された。

SBSTA

ナイロビ作業計画: 非公式協議では、この作業計画の追加活動を推敲する方法に焦点が当てられた。締約国は、これまでの協議に基づく共同議長作成のノートの配布、提案された活動の肉付けに必要な「なぜ、だれが、何を(why, who and what)」のテンプレートの配布で合意した。締約国は、詳細な提案を提出し審議にかけることで合意した。

条約の下での手法論問題: 共通の計算方式: 非公式協議において、締約国は、次の3つのオプションを記載する結論書草案を議論した: この審議を2021年まで延期する、またはこの項目の審議を続け、文書提出を求める。多様な先進国は、議論の延期を支持、APAでもこの項目を審議する予定であると指摘し、第2のオプションには変更を加えた。多様な途上国は、最後のオプションを希望し、ある国は、世界の気温ポテンシャルに言及する必要があると指摘した。共同進行役が、この結論書草案の修正を行う予定。

パリ協定10.4条の技術枠組: 非公式協議において、締約国は、火曜日の議論をまとめた共同進行役のサマリーをレビューした。数か国の締約国は、この枠組の目的を推敲するよう提案したが、他のものは、協定でも目的の概要が示されていると発言した。締約国は、この枠組は技術メカニズムに指針を提供する戦略文書であるべきとの考えを中心に意見を集約させた。共同進行役は、結論書草案を作成、議論で得たインプットに基づき、共同進行役サマリーを推敲する。

農業: 非公式協議において、締約国は、SBSTA 43で開催されたワークショップは成功し、その報告書には成果が反映されていることで合意した。締約国は、グッドプラクティス、経験、学習事項の受け皿としてのプラットフォームまたは知識ハブの創設を支持した。締約国は、プラットフォームに関するアイデアを出すよう求め、SBSTAにおける農業の議論をパリ協定の内容においてどのように展開すべきが、もしくは展開するかどうか、一般的な考えの提出を求めるよう提案した。非公式協議は続けられる。

CDMの下でのLULUCF: 非公式協議において、締約国は、CDMの下では再植林または新規植林の目的での森林地の定義を満たさない、0.05ヘクタール以上の土地への多年生木質植物を用いる再植生について、これをCDMに適格とする提案を検討した。締約国は、他のタイプの植生の法制及び手順で更なる作業が必要なことを含め、提案した締約国が文書草案を作成することで合意した。締約国は、この議題項目は、CMP 12で結論を出すことが望ましいという点で合意した。

IPCC評価報告による世界状況把握への情報提供方法に関する助言: SBSTA議長のCarlos Fullerは、この問題に関しCOP 21において助言が要請されたことを想起した。IPCC議長のHoesung Leeは、2013-2015年レビューに関する組織的専門家ダイアログにおいて、パリ協定は「真に科学に基づく(truly based on science)」ことが確認されたと発言した。IPCC副議長は、IPCCの第6次評価報告書作成サイクルの目標、手法、制作物、時間枠の概要を説明した。IPCCの3つの作業部会共同議長は、それぞれの作業が世界状況把握にどう関連するかを提示した。国別GHGインベントリに関するタスクフォース共同議長は、関連の手法論作業について説明した。UNFCCC事務局は、世界状況把握に対する情報提供を目的とするIPCCの制作物の活用に関し、可能な法性の概要を説明した。これに続く議論では、2013-2015年レビュー、IPCCのサイクルと世界状況把握の時期的な同調、1.5°C排出経路の研究と関係する特別報告書、国別GHGインベントリの利用に焦点が当てられた。

SBI

UNFCCCプロセスにおける意思決定: 非公式協議において、数か国の締約国は、この議題項目の終了を提案、透明性のある形でパリ協定が締結され、COP 21議長職は特に優れた運営手腕を見せたと指摘した。ある締約国はこれに反対し、パリ会議後に推敲すべき決定及び成果のセーフガードになるのは意思決定方法であると強調した。

1回IARプロセス(2014-2015年)の成果: 非公式協議において、締約国は、次の項目に関するそれぞれの見解を述べた: 結論書草案で可能性ある内容、及びこの草案をどこに回すのか;IARの法性及び手順における改定の可能性、これにはどの組織が行うべきかも含める。結論書草案の内容に関し、締約国は、特に次の項目を提案した: 手法論及び報告作成要求実施の評価;多国間評価の範囲にMOIを含める案、手順に関する結論書のみの草案作成。多数の締約国は、SBIは2017年に改定を行うべきだと発言した。共同進行役は、5月19日の次回協議に向け、結論書草案を作成する。

気候エンパワーメント行動(ACE)の第4回ダイアログ(第1日): SBI議長のTomasz Chruszczowは、このイベントは条約第6条に関するドーハ作業計画の中期レビューに貢献すると指摘した。UNFCCC事務局のNick Nuttallは、啓発を科学として考えることを提案した。Solar Impulse Team(ソーラー・インパルス・チーム)のBertrand Piccardは、解決策に焦点を当て、行動を起こすよう求めた。

啓発に関し、プレゼンターは次の項目に関する経験を共有した: 2015年ミラノ博における持続可能性教育;インドにおける気候変動に関する移動列車展覧会;パートナーシップで実現したサン・ピエトロ寺院のアート・プロジェクション;有名人がナレーションをするビデオなどのメディア・キャンペーン;WWFのEarth Hour、これは気候行動を理解しやすくし、関係性を構築し、成功させるものと称される。

一般の参加に関し、パネリストは、コスタリカの自主的なカーボン・ニュートラリティーへの一般の参加について、プレゼンテーションを行い、Green Radio Worldという18か国70名のジャーナリストが適応及び持続可能な土地管理推進に努力するプログラムについて、プレゼンテーションを行った。

あるプレゼンターは、気候変動戦略に不可欠な要素として、社会科学及び人文科学の参入を求めた。別なプレゼンターは、COP 22でのACEによる若者パビリオンの建設、少数派の若者たちのための奨学金の創設を提案した。あるビジネス代表は、意欲ある行動家を引き寄せるため、多数の参加窓口を利用し運動を構築してきた経験に焦点を当てた。

4つの作業グループの議論では、次の項目に関しグッドプラクティス、課題、ニーズ、提案を出し合った: 気候変動政策への啓発努力の統合;行動の変化を実現する政策、プログラム、活動;啓発のためのデジタル・コミュニケーション及びソーシャルメディアの活用;若者の啓発活動への参加。

性別対応型気候政策に関するワークショップ(第1日): モデレーターのGeorge Wamukoya(ケニア)は、このワークショップの目的は次の項目について理解を深めることだと説明した: 重要な性別関連用語;性別問題の主流化を図るためのステップ及びプロセス;条約のメカニズムと関連組織のシナジー;グッドプラクティス。

UN WomenのVerona Collantes-Lebaleは、UNFCCC決定書、作業分野及び各組織における性別問題の扱い方について、概要を説明した。

3つの分科会では、異なるレベルでのグッドプラクティスを検討した。国内小地域レベルについて、プレゼンターは次の項目での作業経験を共有した;フィリピン及びケニアにおける市民参加のためのコミュニティ・エンパワーメント;ジョージアの性別に配慮した国家適切緩和行動(NAMA)。

国レベル及び地域レベルに関し、パネリストは、次の項目についてプレゼンテーションを行った;ペルー及びカンボジアにおける性別対応型の国内政策策定プロセス;電力部門ユーティリティー企業でのジェンダー・ダイバーシティー改善。国際レベルでは、特に次の項目に関するプレゼンテーションが行われた: 女性代表者参加基金(Women Delegates’ Fund)を用いた女性のUNFCCC代表団参加者の訓練;GEFにおける性別問題の主流化、LDC専門家グループの作業における性別への配慮。

議論の中で、参加者は次の項目を強調した: 草の根レベルのニーズと支援のリンク付け;性別問題への予算配分;性別問題の政策への統合とその政策の実施における途上国の経験不足。

長期資金に関するワークショップ

午前中の会議で、UNFCCC事務局長のChristiana Figueresは、パリ協定のビジョンを現実にしていく鍵を握るのは資金であると述べ、適応支援への金融機関社会の参加、遠近両用型レンズを通して官民の資金供与を見ることの回避を促した。

気候政策イニシアティブのBarbara Buchnerは、民間資金の参入を禁じている主要障壁を明らかにし、投資前段階及び投資段階を橋渡しするため開発資金組織がとったステップについて議論した。

途上国の適応ニーズ評価に関し、ガーナのAntwi-Boasiako Amoahは、ガーナの総合計画作成プロセス及び主流化する利点を論じた。議論では特に次の項目が審議された: 適応計画作成での国内小地域行動者の参加;技術行動計画における適応、各国の責任。

分科会の議論において、参加者は次の項目を議論した: 適応のニーズを評価し、伝えるツール;ニーズを行動に変える上で最も有用な支援の形式;適応ニーズの計画作成及び予算プロセスの統合、これに キャパシティビルディングの推進及び科学に基づく証拠の改善が含まれる。

その後の会議で、参加者は、まず適応行動に対する資金の規模拡大を議論した。Siguler GuffのJay Kohは、グローバル適応及び回復力基金における投資マップの作成及びインフラに対する資本の流入を認めるなど、適応の課題に対応した方法について議論した。

パネリストは、次の項目に関し意見交換を行った: 臨時基金及びコンセッション契約の利用;アフリカリスク能力(Africa Risk Capacity)の極端な気候ファシリティーという革新的な手段;気候資金へのアクセスでLDCsが直面する課題に対応するための戦略。

適応資金の透明性強化に関し、適応資金アカウンタビリティー・イニシアティブのRenato Redentor Constantinoは、資金とニーズのマッチング改善において、アカウンタビリティのギャップを埋めるため市民社会が果たせる役割を強調した。

パネリストは、結果を追跡する気候統合指標などのツールの利用、気候問題の主流化に伴う計算面の課題、SCFの作業について議論した。

分科会において、参加者は次の項目について議論した: 気候資金へのアクセス及び気候資金の供与を加速化できる方法;気候資金の規模拡大のための戦略及び手法に関する学習事項について、2016年の文書提出に向けた情報の提供;資金の流れの追跡を改善するために必要な行動;適応資金の成果の透明性を測定し、高める方法。

LPAAの成果

LPAAのパートナーであるペルー、フランス、UNFCCC事務局は、LPAAの成果の概要を提示した、これには非締約国の利害関係者による約束、12の行動分野を横断し動員された70の気候行動連合の約束が含まれる。パネリストは、LPAAの目的、2015年の作業方法、COP 21の成果及び学習事項について説明した。再生可能エネルギー、エネルギー効率化、都市及び国家小地域の行動者、森林及び回復力における例に焦点が当てられた。モロッコは、2016年以後のLPAAの将来について議論した。議論の中で、参加者は、イニシアティブによるNDCsの支援方法、LPAAとプレ2020年行動との関係のテコ入れなど、数件のフォローアップ議論があると指摘した。

廊下にて

水曜日午前中、参加者は、非公式協議の技術作業を深化させると同時に進行中のAPA及びSBIの問題解決に向けた舞台裏の議論にも参加した。ある参加者は、議題は明確さを欠いており、他の分野の議論を侵害する可能性があり、参加者が条約及び議定書の「古い作業」を整理しようとし、パリ会議の成果から生じる「新しい作業」に入ろうとして、「交渉可能な余地を見出そう」とするときに、困難なことだと述べた。

この新しい議論を真摯に開始しようとする中、多くのものは議題を正しくとらえ、その構成の比重のバランスをとることの重要性を認識した。非公式協議が続く中、ある参加者は、「議題での矛盾は予想されていたことだが、今やそれが重要な議題項目の議論を遅らせている」として懸念を示した。APA共同議長は議題項目の修正に関する文書提出を招請したが、あるオブザーバーは、木曜日にはかなり沈静化するのではないか、あるオブザーバーが言っていたAPAの「実際の開始」になるのではないかとの希望を表明した。

(IGES-GISPRI仮訳)

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