Daily report for 16 November 2022

Sharm El-Sheikh Climate Change Conference - November 2022

少数の項目、特に資金問題の交渉は、遅々として進まなかったが、他の項目では、審議用の文書をCOP議長職や閣僚たちに送ることができた。サンチャゴネットワークの決定書で合意した際は、交渉担当者から拍手が沸き起こった。適応基金理事会でも妥協案で合意した。

COP

資金問題:長期資金:朝の非公式協議で、共同進行役のCarlos Fuller (ベリーズ)及びGertraud Wollansky (オーストリア)は、新しいスリム化した決定書草案にコメントするよう求めた。共同進行役のWollanskyは、交渉時間は午後6時までだと告げた。締約国は、この文書全体の議論を開始し、パラグラフごとに意見交換をしたが、ギャップの縮小は限定的であった。ある開発途上国グループは、政府から民間部門へ負担義務を移す表現の削除を求めたが、先進国は、それは既に合意された表現だと指摘した。大半のパラグラフで意見の違いが続き、多数の括弧書きが残されたことから、共同進行役のWollanskyは、締約国による非公式会合を求めた。

条約の長期世界目標(LTGG)の第2回定期レビュー:非公式協議で、共同進行役のLeon Charles (グレナダ)及びAndrew Ferrone (ルクセンブルク)は、新しい決定書草案を提示した。先進国は、これは自分たちの「最大限の柔軟性(maximum flexibility)」を示したものだと強調した。

排出量のピークは現在から2025年の間とする、2030年までの大幅な排出削減、条約及びパリ協定の下での努力の強化など、2030年までの行動の記述では、意見が大きく分かれた。2つの開発途上国グループは、LTGGにおける短期目標への言及を拒否し、これは「衡平性を侵害する(violates equity)」と述べた。他の先進国及び開発途上国は、この10年間でのサイエンスに沿った行動の重要性を強調した。ある先進国は、条約とパリ協定の両方への言及に反対し、一部の開発途上国もこれを支持した。

ある開発途上国は、歴史的排出量への言及追加を提案したが、一部の先進国は、手順上の結論書が必要になる可能性を示唆した。

共同進行役のCharlesは、衡平性の言及方法に関する括弧書きオプションも含め、この文書と締約国の意見を、COP議長職に送ると述べた。

CMA

適応世界目標(GGA)のグラスゴー・シャルムエルシェイク作業プログラム:非公式協議で、共同進行役のKishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)は、 締約国の提出文書及び意見発表を記載する文書草案へのコメントを求めた。共同進行役のKumarsinghは、GGA枠組に関するパラグラフの冒頭での記載ミスも含め、改定箇所を読み上げた:「枠組の範囲、テーマ、クロスカッティングの配慮、適切な場合は指標/計算方法/目標、目標達成のための情報源を伴う枠組を設置すると決定する(Decides to establish a framework with its dimensions, themes, cross-cutting considerations, indicators/metrics/targets as appropriate, and sources of information for achieving the goal)」。

締約国は、希望するオプションを指摘し、追加の文章案を示した。特に気候変動に関する政府間パネルの参加、及びCMA 4における枠組の設置では意見の違いが残った。一部の先進国は、組織化アプローチ及び2023年での枠組の審議に関する妥協案に関心を示した。

共同進行役のKumarsinghは、閣僚たちの審議項目を減らすため、締約国間の非公式協議開催を促し、共同進行役へのメールによる進捗状況報告を求めた。

ワルシャワ国際メカニズムのサンチャゴネットワーク:Lucas di Pietro (アルゼンチン)及びCornelia Jäger (オーストリア)を共同進行役とする非公式協議で、分科会は、妥協案を提示し、共同進行役のdi Pietroは、パッケージとして検討するよう求めた。少数の締約国は、以前の提案の再挿入や審議を求めたが、締約国は、非公式な非公式方式に切り替えた。

非公式協議は再招集され、締約国による合意達成が報告された。締約国は、特に次の項目で合意した:序文で、パリ協定及び関連のCOP決定書やCMA決定書を想起する;技術支援の提供では、ネットワークは、パリ協定序文11項(人権、先住民や地域コミュニティ、脆弱なコミュニティの権利、ジェンダーの平等、世代間の平等)のクロスカッティング・イシューを考慮する;ネットワークの運用及び技術支援に対する支援提供を、「他のもの(others)」にも奨励する;ホスト選択基準では、ガバナンス及び管理構造の倫理基準を確保する。

68項の非市場アプローチ枠組の作業プログラム:Maria Al-Jishi (サウジアラビア)及びJacqueline Ruesga (ニュージーランド)を共同進行役とする非公式協議で、締約国は、この日の朝に発行された新しい決定書草案の全てのセクションで意見を共有、特に非市場アプローチ(NMAs)のUNFCCCのウェブベース・プラットフォームのセクションで意見交換した。締約国は、前夜の非公式な非公式協議での建設的な議論を報告した。

プラットフォームに関し、ある開発途上国グループは、最初、NMAs及び支援に関わる行動者はプラットフォーム経由で関連情報を登録する、次にマッチングを促進する「ラウンドテーブル作業グループ(roundtable working groups)」及び関連の成果をまとめる会合期間中ワークショップの両方を行うという、同グループのビジョンを明らかにした。締約国は、特に次に関する意見交換をした:プラットフォームの機能、特に、情報そして/またはマッチメイキングを記録する機能;窓口の役割可能性;マッチングを締約国主導のプロセスとするか、それとも事務局の支援を必要とするか;「マッチング(matching)」とするか、それとも「機会の特定(identification of opportunities)」とするか;マッチング・プロセスの評価を事務局に委任するかどうか。

提案されたキャパシティビルディング・プログラムに関し、一部のグループは、NMAsは何を意味するか、第6条8項のキャパシティビルディングは何に焦点を当てるか、定義づけを優先するよう求めた。これにもかかわらず、同じグループは、第6条の広範な条項での関連活動を探求する用意があると述べた。

共同進行役は、建設的な意見交換であったと指摘し、受け取ったインプットは次のバージョンの文書にまとめ、11月17日木曜日の午後には配布できるようにすると告げ、さらに今後の進め方は議長職と協議すると述べた。

COP/CMA

資金問題:気候資金の新しい集団の数量目標:非公式協議で、共同進行役のZaheer Fakir (南アフリカ)及びGeorg Børsting (ノルウェー)は、2つの意見対立のあるパラグラフについては閣僚級審議に送ったと告げ、文書の残りの部分の審議継続を求めた。一部の先進国は、文書の最新の第3版に懸念を表明し、以前のバージョンへの差し替えを提案した。多数の開発途上国は、この提案に強く反対し、最新バージョンの方が実質的だと主張、このバージョンでの審議を希望した。ある締約国は、どの分野が最も多くの作業を必要としているか、その元となる文書は何かが明確になっていない中、特定の課題は閣僚たちのものとされて、安どしたと述べた。

共同進行役のFakirは、これまでのプロセスを説明し、文書の第2版では異論が出ていないと指摘したところ、さらなるインプットが出され、第3版が作成された。同共同進行役は、文書への一般的な意見発表を募るつもりだったと説明し、非公式な非公式協議を行った。さらに、閣僚たちは詳細な文書ではなく、主要な対立点や政治的な問題を審議することが説明された。締約国の意見や懸念は多岐にわたり、このため、共同進行役は、今後の進め方についてCOP議長職と協議し、その結果を報告する。

緑の気候基金(GCF)に対するガイダンス:非公式協議で、共同進行役のRichard Muyungi (タンザニア)及びToru Sugio (日本)は、文書の新バージョンへのコメントを求めた。参加者は、少数のパラグラフでは進捗をしたが、多数の意見の違いが残った。ある開発途上国グループは、資金のGCF-1資金募集期からの「少なくとも倍増(at least double)」とする文章を求めたが、先進国の支持は得られなかった。合意できなかったことから、共同進行役は、この問題について、議長職と協議する。

農業に関するコロニビア共同作業:非公式協議で、共同進行役のMonika Figaj (ポーランド)及びAyman Amin (COP 議長職)は、前日の交渉の行き詰まりを受け、「最後の手段(last resort)」として、議長職及び共同進行役は決定書草案を作成したと、締約国に告げた。共同進行役のAminは、次の項目などの主要提案について説明した:「気候行動」に代わる表現;共同作業は4年間とする;SBsは、COP 31 (2026年)に報告する;第1回ワークショップの題目は「食料システム(food systems)」;他のワークショップの題目について、文書提出を求める。

一部の締約国は、支持を表明し、多数の文章挿入の回避を求め、この文書は明らかな「妥協の文書(compromise text)」であるとの認識を示した。一部の開発途上国グループ及び締約国は、優先度の高い変更を提案した、この中には、共同作業の目的の運用開始に関する文書提出、及び統合報告書で締約国の意見を捕捉することが含まれる。特定の項目では意見が大きく分かれた、たとえば、適応行動及び緩和行動の実施では、SBsの結論書を考慮に入れるべき制度や機関への言及方法である。非公式な非公式協議は夜まで続いた。

対応措置:午後から夜まで、Andrei Marcu (パプアニューギニア)及びDaniel Waterschoot (EU)を共同進行役とする非公式協議が開催され、締約国は、決定書草案の審議を続けた。開発途上国は、進展の無さを懸念し、この項目は極めて重要だと指摘、先進国に対し、建設的な参加を求めた。締約国は長時間議論し、多数の編集上の提案や代案を出し、文書の審議は徐々に進められた。夕方の段階でも議論は続いており、多数の括弧書きが残されている。

CMP

クリーン開発メカニズム(CDM)非公式協議で、共同進行役のKazuhisa Koakutsu (日本)は、締約国に対し、前日に発行された決定書草案の新バージョンにある橋渡し提案の検討を求めた、この提案は次に関係する:京都議定書第2約束期間終了後のCDMの機能、これには、認定排出削減量(CER)の発行プロセス、手法論、認定(accreditation)、新規植林及び再植林、ポスト2020年ユニットの自主的取り消しを含める;資金源の管理。

プロセスに関し、ある開発途上国グループは、文書の次の2つの主要オプションの要素を組み合わせるとの橋渡し案を提示した、具体的には:個別のプロセスの日付や時間枠の設定、または最初に事務局による技術作業を委任する、後者は多数の締約国が原則として支持した。議論された特定要素は次のとおり:新しい手法論のボトムアップな提出、及び既存の手法論のトップダウンの改定を続けるかどうか;「CDMの終り(end of the CDM)」の全体的なアプローチを確保する。

ある開発途上国は、ポスト2020年CERsの自主的取り消しを認めると提案し、別な開発途上国及びグループは支持したが、少数のグループ及び締約国は反対し、次のように述べた:グラスゴーで決定 (決定書2/CMP.16)した通り、ポスト2020年排出削減量の発行は不可能である;暫定措置の下、排出削減量を記録する場所に「とどまる(stop)」よう要請する、すなわち「一時的CERs(temporary CERs)」は存在しない。一部のものはさらなる作業を委任するよう求めたが、提案推進国は、この問題の緊急性から、今回のCMPでの政治的解決が必要だと述べた。

資金源の管理に関する提案は、次のとおり:2023年にこれら資金源の総合評価を行い、どのように利用されるべきかを評価する;このCMPで、CDM信託基金から適応基金へ特定額を配分する。

良い進展があったと指摘した共同進行役のKoakutsuは、共同進行役は改定文書を発行し、今後の進め方は議長職と協議すると述べた。

CMP/CMA

報告 of the 適応基金理事会の報告:非公式協議で、参加者は、適応基金理事会関係の文書草案の議論を終了し、CMP及び CMA向けの決定書で合意した。これらの文書では、基金への資金プレッジを歓迎し、継続し増額する資金供与を奨励する。共同進行役のDiann Black-Layne (アンティグアバーブーダ)及びEva Schreuder (オランダ)は、合意成果達成での参加者の柔軟性に感謝した。

廊下にて

人々は、このCOPの感触を得ようとし、ある参加者は、「ギアが動かなくなったようだ(seemed stuck in gear)」と言い、別なものは氷の上でランニングをするようなものだと述べた。COP資金及び長期世界目標の会話は紛糾し、交渉担当者は、躊躇しながらも、一部の文書のコントロールをあきらめ、COP議長職や閣僚らに委ねていた。同時に、一部のものは、重要な交渉担当者をカバー決定書の交渉ルームに引き抜かれたと感じていた。他方、サンチャゴネットワークの交渉室から聞こえてきた拍手は、希望をもたらすものとなり、あるものは、「脆弱な諸国とコミュニティに代わり(on behalf of vulnerable countries and communities)」拍手していると述べた。

気候変動の影響を最も受けるもの、気候変動の責任が最も小さいものを、どう支援するかは、このCOPでの議論の中心である。G7及びV20が2日前に打ち出したThe Global Shield Against Climate Risks(気候に対する世界の楯)は、「人々は生存のために損失損害資金を必要としている事実の現実の金銭面での認識(real, monetary recognition that people need loss and damage finance to survive)」を実証した。この「楯」は、7つの気候に脆弱な諸国に対し、災害に襲われる前に、資金及び保険を事前に用意することを目指す。しかし、この「楯」に関する市民社会のイベントでは、この動きに疑問を呈し、COPでの資金ファシリティ設置の提案を損なう可能性があると懸念するものもいた。あるオブザーバーは、「少数のものの保険に過ぎない、損失損害とは何かを無視している(it’s just insurance for a few, and ignores so much of what loss and damage is about)」と言い放った。

この日の終わりには、多くの文書が議長職の手に渡り、カバー決定書の最初のバージョンへの期待感も出てきたが、どうパッケージにまとめられるか、議長職は締約国の書いた文書統合の手引きをどう解釈するかは疑問である。

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Participants

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European Union

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