Daily report for 19 May 2016
Bonn Climate Change Conference - May 2016
木曜日、ボンの気候変動会議は続けられ、性別対応型の気候政策に関するワークショップが開催された。午後、気候エンパワーメント行動(Action for Climate Empowerment (ACE))の第4回ダイアログ、及びSBSTA研究ダイアログが開催された。この日一日を通し、SBI及びSBSTAの非公式協議が数回開催された。午後遅くには、APAの議題に関する非公式協議が開催された。
SBSTA
枯渇森林:非公式協議において、共同進行役のJosé Sanhueza(チリ)は、この議題はSBSTA 32以後審議されてきたが進展はなかったことを想起した。ある締約国は、枯渇林のある森林地をCDMの下での新規植林及び再植林活動に含めるとの提案について説明した。他の締約国は、環境十全性に関する懸念を提起し、この議題項目の終結を提案した。共同進行役のSanhuezaは、締約国に対し、二者間協議を行うことを推奨した。
パリ協定第6条関係問題(協力的手法):6.8条(非市場アプローチ)の作業計画:非公式協議において、数か国の締約国は、非市場アプローチは次のいかなる行動でもありうると説明した:市場メカニズムに依存しない;NAMAs及びREDD+等のツールを含めることは可能である;取引可能なユニット(単位)は用いない。ある締約国は、国家が決定する、成果本位ではなくニーズに基づくもので、先進国からの公的資金の供与に基づくことを強調した。多数のものは、作業計画での重複の回避で合意した。一部の締約国は、シナジーの可能性のマッピングを提案、これにより関連の制度アレンジを横断する協調が可能になる、もしくはそのような機会が増える可能性があると述べた。
6.4条(緩和に貢献し、持続可能な開発を支援するメカニズム):非公式協議において、締約国は、CDMの経験に則り構築する必要があることで合意した。一部の締約国は、全ての締約国には義務があるとする箇所の変更に留意したが、追加性及び環境十全性は不可欠なものであり続けると強調した。締約国は、更なる審議が必要な議題を指摘した、これには次の項目が含まれる:適格な活動の範囲;監督組織メンバーの構成;成果の法的特性;ホスト国の利益と各国の国内組織;登録及び移動のためのメカニズム;手法論の開発;5条(吸収と吸収源)とのリンク。テクニカルペーパーの必要性については見解が分かれ、ある締約国は、この段階では文書提出の方が適当であることを示唆した。一部の締約国は、CDMの要素をリストアップする報告書の作成を支持した。
6.2条(国際的に移動可能な緩和成果)に関するガイダンス:非公式協議において、締約国は、次の項目に関し意見交換を行った:国内行動に対する補足性の必要性;確固とした算定方式の重要性:4.13条(NDCsの計算)とのリンク;「対応する調整(corresponding adjustments)」という表現の運用方法;CMAによる採択が期待されるガイダンスに向けて招請される提出文書の範囲。共同進行役は、5月20日までに3つの副項目全てに関する意見を記載するノートを発表する。
パリ協定9.7条に基づき公的介在により供与され、動員される資金源の算定:非公式協議において、締約国は、結論書草案の要素について議論し、次の行動を行うことでこの項目の進展を図った:文書提出;テクニカルペーパー;会合期間中ワークショップまたは情報提供イベント;SBSTA 45での審議継続。締約国は、文書提出の範囲及びタイムラインの精密性が必要なことで合意した。テクニカルペーパーの必要性及びその範囲については、意見が分かれた。一部の締約国は、MRVに関する条約のアレンジが必ずしもパリ協定9条(資金)に基づく算定のモダリティを構成しているわけではないと強調した。共同進行役は、結論書草案の要素を改定する。
研究ダイアログ:ポスターセッションに続き、次の項目に関する新しい科学上の発見、新しく出てきた情報のプレゼンテーションが行われた:パリ会議の成果に対する世界気候研究計画(World Climate Research Programme)の貢献;気温の変化に関する科学・知識のギャップの状況;GCOSでの新しい発見及び新しく出てきたニーズ;世界のカーボン・バジェットの観測上の制約及び2015年の異常性に関する暫定的な分析結果;1.5°Cの気温上昇と2°Cの気温上昇とでの気候影響の差異;社会経済シナリオ開発にとっての気候-カーボン・サイクル・モデル研究の意味合い。議論では、低排出シナリオ、海流の流速鈍化、地域変動に関する更なる研究の必要性に焦点が当てられた。
科学知識及びキャパシティビルディングに関するプレゼンテーションでは、次の項目が取り上げられた:開発途上国における知識及びキャパシティビルディング;科学と人々とのつながり;気候への適応及び緩慢に発生する現象(slow onset events);太平洋での緩慢に発生する現象の展望;気候サービス;気候研究の成果を有用な製品及びサービスに転換する。異なる時間規模での予報及び太平洋でのデータ復元が議論された。
SBI
適応基金の第3回レビュー:非公式協議において、締約国は、レビューの委託条件(ToR)案を議論した。目的に関し、あるグループは、適応基金の資源の適切性という概念を明示するよう提案した。範囲に関し、締約国は次の項目を審議した:アクセスのモダリティで得られた学習事項の表現方法;資金源の動員及び効果的な利用へ言及するかどうか;効果性及び透明性の評価、並びに制度上のリンクの一貫性及び補足性。情報源に関し、締約国は、次を提案した:適応に関する技術検証プロセスへの言及;関連するCMAの決定書;WIMの報告。共同進行役はToR草案を改定する。
議定書の下での手法論問題:共同実施ガイドラインのレビュー:非公式協議において、事務局は、JIのモダリティ及び手順書(FCCC/SBI/2016/INF.7)草案及びJIガイドライン(FCCC/SBI/2016/INF.8)草案の実施に関するJI監督委員会(JISC)の提案書を提出した。締約国は、この議題項目はCMP 12で終了すべきことで合意し、パリ協定6条(協力的手法)の実施に向けてはJIの学習事項を取り入れることが重要であると強調した。締約国は、JISC提案のJIモダリティ及び手順草案の改定を支持すると表明し、これを5月20日の締約国のレビュー項目に入れることで合意した。
キャパシティビルディング:非公式協議において、締約国は、次の項目に焦点を当てた: キャパシティビルディングに関するパリ委員会(PCCB)のToRの要素;開発途上国におけるキャパシティビルディング枠組実施の第3回総合レビュー。
ToRに関し、締約国は、次の項目を含める事前作成リストに関し、意見交換を行った:用語;性別問題;議長職;クロス・メンバーの規則;オブザーバーの参加;年次作業計画;手順規則;決定。締約国は、定足数、透明性、条約内外の組織及び制度との協力を追加するよう提案した。決定に関し、締約国は、満場一致の原則を利用することで意見が集約した。
レビューに関し、事務局は、テクニカルペーパー(FCCC/TP/2016/1)を提出、特に次の項目に注目するよう求めた:情報のギャップ;PCCBのToRとキャパシティビルディング作業計画とのレビューの重複。締約国は、次の項目に関し質問した:影響分析、情報共有、国内制度が結果に与える影響、他のUNFCCC組織の活動。5月21日も協議を継続する予定。
LDCs:非公式協議において、締約国は、結論書草案の改定を議論した、これには、先進締約国及び行える立場にある他の締約国に対し資金のギャップを埋めるよう招請するパラグラフが含まれる。「行える立場にある他の締約国(other parties in a position to do so)」を削除するとの提案が出され、「資金のギャップ(finance gap)」という表現の使用への躊躇感が表明された後、締約国は、当該パラグラフを削除し、多少の改定を加えた合意可能な表現を挿入、LDC基金(LDCF)の資金不足を指摘し、締約国「及びその他のもの(and others)」に対し、「LDCFそして/またはGCF」への資金供与を促す表現とした。締約国は、そのほかの改定を加えた上、結論書草案で合意した。
性別対応型気候政策に関するワークショップ(第2日):参加者は、4つの分科会に分かれて議論し、提案書を作成した。UNFCCC政策決定者及び執行者グループは、分科会後の報告の中で、性別と気候の問題に関する参加者の能力向上及びより多くの男性の参加を提案した。
資金に関するグループは、次を提案した:評価結果のプロジェクト参加者へのフィードバック;女性の資金アクセス窓口の創設;性別に配慮することの利益について、プロジェクト実施者の意識向上を図る。
UNFCCC事務局及び国連のシステムに関するグループは、事務局に対し、他の政府間プロセスを含め、性別問題主流化に向け調整し、一貫性を高め、性別バランスの数値に関する報告書作成では現行よりもさらに多くの内容とするよう提案した。
国家、地方レベルの実施機関及び市民社会に関するグループは、次の重要性を強調した:男性のチャンピオン;草の根組織でのキャパシティビルディング;カリキュラムの作成;女性の重要性を男性に納得してもらうための強力な研究分析。
多数の参加者は、COP 22後も、性別に関するリマ作業計画を継続するよう求めた。閉会にあたり、SBI議長のTomasz Chruszczowは、指摘された解決策を5月20日のコンタクトグループ会議にフィードバックすると述べた。
ACEに関する第4回ダイアログ(第2日):フランスのMarie Jaudetは、一般の参加及び一般の情報へのアクセスに関するイベントの進行役を務めた。オーフス条約(Aarhus Convention)のElla Behlyarovaは、UNFCCCの6条とオーフス条約との関連性を指摘し、6条実施に関するガイドブックの作成を提案した。ボン市長のAshok-Alexander Sridharan卿は、情報の入手可能性及び透明性はパリ協定実施の前提条件であると強調した。
一般の参加に関し、プレゼンターは、次の項目での経験を共有した:チリでのINDCの作成;国連の国別代表への市民社会の参加;メキシコでの気候政策策定への一般の参加に関する法的枠組;セネガル及びフィリピンにおける地域社会の適応プロジェクトへの参加;ネパール及びスリランカにおける市民社会の環境ガバナンスへの参加。
4つの分科会では、次の項目を審議した:一般の参加に向けたツール及び革新的手法;緩和活動、適応活動への市民の参加;一般が参加するためのマルチ・ステークホールダー・パートナーシップ。
一般による情報アクセスに関し、パネリストは、次の項目のプレゼンテーションを行った:中南米におけるアクセスの権利遂行のための地域的な手法;欧州委員会の気候ADAPT及びUNFCCCの気候行動のための非国家行動者ゾーン(NAZCA)の情報集積所;韓国のカーボンフットプリント製品のラベリング。
今後進めるべき点には次が含まれる:ACEの作業における社会科学者の参加;NAZCAポータルにACEセクションを含める;ACE枠組における「一般市民(lay citizens)」のためのスペース。
SBSTA/SBI
LTGGの次回定期レビューの範囲及びIT達成に向けた全体的な進捗状況の次回定期レビューの範囲:非公式協議において、締約国は、共同議長の結論書草案に基づき作業を進めることで合意した。締約国は、次の項目への言及の挿入を提案した:定期レビューのマンデート;2018年促進ダイアログ; COP 22におけるレビューに関するワークショップ。一部の締約国は、促進ダイアログへの言及に懸念を表明、これではSB 48まで何の作業も行われないことになると指摘した。一部はワークショップ開催を検討する意思があると表明したが、他のものは、そのタイミング及び目的への懸念を表明した。5月24日に改定草案の協議を行う。
対応措置:改善されたフォーラム及び作業計画:作業計画に関し、多数の参加者は、経済多角化に焦点を当て、適正な移行の有益性で合意した。あるグループは、対応措置が経済多角化及び持続可能な開発にどのような影響を与えるかに焦点を当てるよう提案した。ある締約国は、適正な移行の一環として性別への配慮を加えることを提案した。さらに締約国は、技術専門家の特別部会のためのToRsとして可能性あるものについてコメントした。多数の締約国は、改善されたフォーラムでは行動本位の手法が有益であり、実際の成果を上げられることで合意し、特定された行動に対し、明確なタイムラインを示すよう求めた。あるグループは、COP 22における専門家ワークショップを提案した。非公式協議は、5月21日に再開する予定。
廊下にて
木曜日、SBSTA及びSBIの出席者は、いつも通りの形を続け、多数の非公式協議に参加し、イベントをこなした。うわべだけを見れば、APAやSBIの議題に関する協議が継続していることは気づかれなかった可能性がある。各グループ及び締約国との議論に基づくAPA共同議長の議題書案の「スナップ写真(snapshot)」を検討していた数名の参加者は、この草案に示された妥協のためのオプションのおかげで、参加者同士の距離が縮まったと思えたようだ、この中には、協定の推進を図ることを目的とする、補助機関及び構成組織の作業の現状調査が含まれた。SBSTA及びSBIでは既にこの作業の一部を行っていたことから、ある参加者は、APAの遅れに慰められたようで、「2つの常設補助機関は、2015年の大半の時間において「脇に追いやられていたが、ようやくスピードを出せた」と述べた。
(IGES-GISPRI仮訳)