Daily report for 12 November 2024
UN Climate Change Conference Baku - November 2024
初日は丸一日、議題書の議論に費やされたが、会議の2日目は、実質的な交渉が行われ、多数の議題で非公式協議が始まり、夜まで交渉が続けられた。別な場所では、各国首脳によるステートメントの発表が開始された。
資金
新しい集団数量目標(NCQG):共同議長のZaheer Fakir (UAE)は、パリ協定締約国会議(CMA)の下でのNCQGコンタクトグループ会合を開催、このグループの目的は第1週の間に、技術的な問題を解決し、閣僚会議用のオプションを提示することだと述べた。締約国は、この新しい集団数量目標(NCQG)に関する特別作業プログラム共同議長らが事前の会合で作成した交渉文書草案(FCCC/PA/CMA/2024/9/Add.1)の実質枠組を拒否したが、数名は有用なツールではあると述べた。
G-77/中国は、資金供与は先進国から開発途上国に対して行われるものだとし、緩和、適応、損失損害に対応する新規で、追加的、安価な資金でなければならないと強調した。米国は、損失損害を含めることに反対し、少数の先進国は、先進国間の負担共有など、「新たな原則(new principles)」の導入に反対した。
NCQGの最低額について、G-77/中国は、年1.3兆米ドルを提案、後発開発途上国(LDCs)は、LDCsへは最低年2200億ドルを配分するとし、小島嶼国連合(AOSIS)は、小島嶼開発途上国(SIDS)には最低390億米ドルを指定した。独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)は、地域配分される最低額を提案した。環境十全性グループ(EIG)、EU、日本、ニュージーランドは、最低額については資金供与額ベース、制度、及びタイムラインの考えの中で議論する必要があると強調した。
NCQGの組織構造に関し、AOSIS、有志開発途上国(LMDCs)、アラブグループは、投資額目標を拒否し、本来、投資する魅力がない国への不平等を悪化させることが指摘された。EIG、EU、ノルウェー、オーストラリア、日本、英国、米国、ニュージーランドは、投資目標は資金供与・動員目標に追加的なものだとし、投資をエネルギー移行に振り向けるものだと強調した。
資金アクセスに関し、多数の国は、実質枠組以上に野心的で詳細なものにするよう求めた。
透明性に関し、G-77/中国は、強化された透明性枠組の利用を提案、AOSIS、アフリカングループ、LMDCs、その他は、輸出クレジットなど気候資金ではないものを明確にする必要があると強調した。
受益国に関し、AOSIS、LDCs、米国、カナダ、その他は、LDCs及びSIDSの特別な状況を強調し、EU、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、ブラジルは、先住民や女性と女子、若者、その他の脆弱なグループの役割と権利を強調した。
締約国は、共同議長らに対し、意見発表、及び火曜日午後5時までに提出される文書によるインプットをベースに、交渉文書草案を作成するよう委任した。
長期資金:COPの長期資金コンタクトグループ共同議長のMadeleine Diouf Sarr (セネガル)は、決定書草案の要素に関する意見発表を求めた。多数の先進国は、2022年での1千億米ドルの資金目標達成を認めるよう求めたが、アフリカングループはこれは毎年の目標であって、ある一年での達成では不十分だと指摘した。LDCs、LMDCs、アラブグループ、AILACは、共通会計手法論の欠如を指摘、このために目標に向けた進捗状況の評価が複雑化していると指摘、さらに、資金の69%がローンであることへの深刻な懸念を表明した。LDCs、AILAC、カナダは、適応資金の規模拡大の提案を支持した。
AOSISは、アフリカングループ及びアラブグループの支持を得て、次の項目に関し、COP決定書にプレースホールダーを入れ宇陽求めた:NCQGを1千億米ドルの継承と位置付ける;長期資金(LTF)プログラムの下で、NCQGの進捗状況を追跡するというCMAからの招請を受け入れる。ノルウェー、ニュージーランド、オーストラリア、その他の先進国は、これに異論を唱え、NCQGはCOPではなくCMAにおいて規定されるものだと述べた。共同議長らは、文書草案を作成する予定。
資金常任委員会(SCF):SCFの第2回レビューに関するSBIコンタクトグループの共同議長は、Clara Schultz (スウェーデン)が務めた。COP決定書のみとするべきか、CMA決定書も作成するべきかで意見が一致せず、共同議長らは、さらなるガイダンスを求めた。
COP/CMA合同コンタクトグループの共同議長は、Ali Waqas (パキスタン)が務めた。多数のものは、SCFの作業を歓迎した。気候資金の定義づけに関し、LMDCsは、多数の国の合意による定義づけを提案、アラブグループは、2028年まで定義づけの技術的作業を続ける作業プログラムの設置を提案した。GRUPO SURは、開発途上国を気候資金の受け取り手と定義づける必要があると強調した。少数の先進国は、作業の終了を提案、アプローチの多様性を指摘し、パリ協定のボトムアップ特性を示す二つ目の報告書だと指摘した。非公式協議が続けられる。
決定書1/CMA.5の97項に規定するグローバルストックテイクの成果実施に関するダイアログ:CMAの非公式協議の共同進行役は、Ricardo Marshall (バルバドス)が務めた。締約国は, ダイアログのスコープ及びモダリティに関する意見交換を続け、この議題項目は資金関係問題の下に置くが、それにより両方の項目に予断を加えるわけではないことを確認した。
スコープに関しては、それぞれの立場が表明された。モダリティに関し、G-77/中国は、アイデアや学習事項を交換しやすくするため、「クリエイティブでインタラクティブな方法」を採用することを提案した。このダイアログを、毎年6月の補助機関(SBs)会合において開催することでは広範な合意がなされたが、これを実施のための補助機関(SBI)の下で行うか、科学的技術的助言のための補助機関(SBSTA)の下で行うか、それとも両方の下で行うかでは意見が分かれた。このダイアログの期間でも意見が分かれ、AOSIS及びノルウェーは、2026年に開始する2回目のグローバルストックテイク(GST 2)と重なるべきではないと強調したが、EU及びアフリカングループは、GST 2が終了する2028年末までとすることを提案した。アウトプットについては、毎年の報告書作成を求めるものと、ダイアログ終了時の統合報告書作成を提案するものとに分かれた。
緩和
緩和野心及び実施の作業プログラム(MWP):SBの非公式協議の共同進行役は、Ursula Fuentes (ドイツ)が務めた。CMAに送る決定書草案の要素に関する議論が行われ、多数の先進国及び開発途上国は、次回のNDCsにおける1.5℃目標の実現に言及するよう求めた。少数のものは、GSTから緩和に関する高度なメッセージを発する必要があると強調、これはCMAのカバー決定書で行えると指摘するものもいたが、GST実施ダイアログが適切だと指摘するものもいた。夜、非公式協議が再招集された。
パリ協定第6条2項の協力的アプローチに関するガイダンス:SBSTA非公式協議の共同進行役は、Maria AlJishi (サウジアラビア)及びPeer Stiansen (ノルウェー)が務めた。SBSTA 60で作成された文書草案を基に議論が行われた。
アフリカングループは、定義づけには柔軟に対応すると述べる一方、他の締約国の国家決定貢献(NDCs)に用いられる国際的に移行する緩和成果(ITMOs)と他の国際的な目的に使われる緩和成果とを区別する必要があると指摘した。
認可フォーマットに関し、AOSISは、最低限の義務を入れるよう求め、また締約国が自主的に利用できるテンプレートの作成を提案した。認可の変更を認めるかどうかでは、意見が分かれ、一部の締約国は、第1回の移行前の変更容認を支持したが、他のものはいかなる変更にも反対した。夜、非公式協議が再招集された。
パリ協定第6条4項規定のメカニズムの規則、モダリティ、手順:SBSTAの非公式協議の共同進行役であるKate Hancock (オーストラリア)及びSonam Tashi (ブータン)は、認可及びメカニズム・レジストリに関する意見発表を求めた。締約国は、SBSTA 60で作成された文書草案を基に議論した。
アフリカングループは、このメカニズムと国際レジストリのリンクについては決定書が既に存在すると指摘、新たな決定書では、このことを考慮する必要があると指摘した。
大半の締約国は、第6条2項の協力的アプローチと第6条4項メカニズムの両方で、同一、もしくはスリム化した認可プロセスとするべきと強調した。
AOSISは、認可は発行より遅れるべきではないとし、遡っての認可は、適応基金に対する収入の一部の入金を削減するほか、締約国のNDCs達成の確実性が高まり、自国の緩和貢献を「軽減(offload)」しようとした場合には、市場が過剰供給ユニットで溢れることになると指摘した。同代表は、収入の一部の問題は適応基金で議論することを提案した。共同進行役は、スリム化した文書草案を作成する予定。
パリ協定第6条8項規定の非市場アプローチ枠組の作業プログラム:SBSTA議長のHarry Vreuls (オランダ)は、SBSTAコンタクトグループを開催、事務局は次の項目に焦点を当てた:ウェブベースのプラットホームにはまだ非市場アプローチ(NMAs)が記録されていない;国内窓口の指定は78か国、これはSBSTA 60での52か国より増加している。締約国は、この作業プログラムの第2フェーズ改善のため、次を提案した:
- 特定の題目について深く掘り下げるためスピンオフグループを利用し、次を推進する;
- NMAsの効率を数値化する措置の開発、及びこれによる各国のNDCs達成を支援する方法の開発;
- 個別のNMAsの登録を可能にするよう、ウェブベース・プラットフォームを更新する;
- ウェブベース・プラットフォームによる仲介機能実施方法を明記する。
適応
適応世界目標の問題:SB非公式協議の共同進行役は、Tina Kobilšek (スロベニア)が務め、適応指標の定義付けでの進捗状況(FCCC/SB/2024/6)を議論した。指標マッピングの精緻化には専門家グループへの追加ガイダンスが必要であることでは意見が一致したが、その内容では意見が一致しなかった。G-77/中国は、実施方法の追跡を可能する指標にするべきだと強調したが、EU、英国、日本、カナダなどは、これを拒否した。一部の参加者は、指標を次の2つのセットに分けることを主張した:一つは適応世界目標に向けての進捗状況を追跡する、拘束力があり、世界的な指標;もう一つは締約国が個別の状況に対応できるようにする内容別の自主的な指標。ロシアは、世界的な指標と現場の指標の両方とも自主的なものにするべきだと述べた。
適応委員会の報告:SBの非公式協議の共同進行役であるLina Yassin (スーダン)は、適応委員会(AC)報告書(FCCC/SB/2024/4)に関する意見発表を求めた。G-77/中国は、次を提案した:全ての開発途上国の参画を増やす;グローバル・サウスの組織との協力強化;ACの知識の資料を全ての国連用語に翻訳する;訓練及び対象を絞ったキャパシティビルディング・イニシアティブの追加。
多様なグループ及び締約国は、適応世界目標の指標策定に対するACの支援を歓迎した。サウジアラビアは、同委員会に対し、新たなマンデートで惑わされることなく、要請されたときにのみ、支援を提供するよう求めた。
多様なグループ及び締約国は、文書草案の作成を共同進行役に委ねるとしたが、アフリカングループは反対し、画面上での文書作成を求めた。共同進行役は、この問題で、SB議長らと協議する予定。
適応委員会の進捗状況、効果性及び実績のレビュー:SB非公式協議の共同進行役は、Lina Yassin (スーダン)が務め、このレビューをCOPのみで行うべきか、それともCMAでも行うべきかを議論した。ノルウェーは、橋渡し案を提示、このレビューはCOP決定書で最終決定されるが、既存のマンデートを反映させるため、COP及びCMAの両方の下で、新たなレビューを開始することを提案した。アフリカングループ、アラブグループ、LMDCsは反対した。締約国は、事務局に対し、この提案に関する法的なガイダンスを要請した。
損失損害
ワルシャワ国際メカニズムの2024年レビュー:この義務化イベントで、多数の締約国は、これまでのWIMの実績に対する失望感を表明、「野心的でなく、不十分な(low-ambition and insufficient)」メカニズムだと悲嘆した。開発途上国は、WIMのアウトプットは「隔絶した学術的な専門用語(detached, academic jargon)」を用いており、言語の障壁もあり、利用しづらいと強調、ボトムアップ・アプローチを強化し、実務者や地方コミュニティ、先住民の積極的な参画を図るよう提案した。参加者は、WIMによる、損失損害のニーズ及びギャップに関する年次報告書の作成も提案した。
その他の問題
技術移転に関するポズナニ戦略プログラム:SBI非公式協議では、ポズナニ戦略プログラム及びGST 1決定書で設置された技術実施プログラムの問題の扱い方で意見が分かれた。一部のものは、ポズナニ戦略プログラムの議論を終了し、全ての技術に関する問題を技術実施プログラムの下で進めることを提案した。技術実施プログラムの運用開始に関し、多数のものは、グローバル・ダイアログ及び地域ダイアログの開催を支持した。多数の開発途上国は、NDCsの実施支援のため、技術の優先度を明らかにする必要があると強調した。
公正な移行作業プログラム:SBコンタクトグループの共同議長は、Kishan Kumarsingh (トリニダードトバゴ)及びGeorg Børsting (ノルウェー)が務め、CMA文書草案に盛り込むべき主要要素に関し、締約国のステートメントが発表された。G-77/中国及びAOSISは、適応優先を支持すると強調、AILAC、LDCs及びLMDCsと共に、実施面のギャップを無くす必要があると強調した。EIG及びEUは、運用パラグラフでの1.5℃目標への言及を求め、NDCsでは公正な移行問題に対応し、実地の行動を可能にすることを提案した。LDCsは、技能向上の必要性に注目、ローンではなく無償融資ベースの資金供与を優先する必要があると述べ、公正な移行の進捗状況を追跡する評価メカニズムの設置を要請した。LMDCsは、共通するが差異のある原則を強調し、資金面のギャップ及びユニラテラルな貿易措置への懸念を示した。夜、非公式協議が再招集された。
グローバルストックテイク・プロセス全体の手順及びロジスティック要素:SB非公式協議の共同進行役のSoraya Gargash (UAE)及びPatrick Spicer (カナダ)は、SB 60の非公式ノートへの注目を求めた。会合期間外の作業を追加し、締約国による早期の参画を図ることは、広範な支持を集めたが、GSTと気候変動に関する政府間パネル(IPCC)との協調では意見が分かれた。EIGは、IPCCの第7次評価サイクルとGST 2との協調を支持したが、LMDCsは反対し、「優れた科学には時間がかかる(good science takes time)」と強調、IPCCの作業をGSTに合わせることは、「馬の前に荷車を置く(putting the cart before the horse)」ようなもので、前後が逆だと述べた。
パリ協定の実施推進及び遵守促進委員会の問題:CMA非公式協議で、締約国は、同委員会のこれまでの経験は限られていることから、モダリティ及び手順のレビューを2027年まで延期するとの同委員会の提案を支持した。事務局は、同委員会が提案したNDCレジストリの記録手順に関する問題に対応していることを明らかにした、これは、締約国が2030年から有効となるNDCsを提出する場合、現行のNDCsは、当該国が前回提出したNDCsになるためである。
開発途上国への資金援助及び技術支援の供与:SBI非公式協議で、締約国は、パリ協定での報告作成への支援提供における事務局の努力を歓迎した。開発途上国グループは、特に次の点に焦点を当てた:
- 条約の下での報告作成支援とパリ協定の下での報告作成支援の間の移行問題;
- パリ協定の下での報告作成要求の増加に見合う資金ニーズを評価し、これを地球環境ファシリティ(GEF)の次回の資金補填プロセスに組み込む;
- 開発途上国の国内におけるキャパシティビルディングの必要性;
- GEFによる資源配分の遅れ。
共同進行役は文書草案を作成する予定。
LDCs関係問題:SBI非公式協議では、LDC専門家グループ(LEG)が作業報告(FCCC/SBI/2024/22)を行った。LDCsは、昨年度、新たな国家適応計画(NAPs)が提出されなかったことを嘆き、次を求めた:NAPs作成への支援強化;NAP作成プロセスの迅速化;支援へのアクセス促進;直接アクセス組織のキャパシティビルディング。EUは、文書草案の主要要素として、次を示した:LEGの作業を歓迎する;LEGの中間レビューに対し、明確なモダリティを提供する;支援アクセスでの懸念事項及び進捗状況に注目する。中国は、次への注目を求めた:LDCs以外の開発途上国が、LDCsの経験から学ぶ方法;NAPの作成及び実施に関する障壁を克服するためのLEGの努力。締約国は、共同進行役に文書草案の作成を委任した。
ジェンダー:SBI非公式協議で、共同進行役のRuleta Camacho Thomas (アンティグアバーブーダ)及びMarc-André Lafrance (カナダ)は、SBI 60では、ジェンダーに関する強化されたリマ作業プログラム及びそのジェンダー行動計画(GAP)の実施に関する最終レビューが開始されたこと、さらにSBI 61では、SBI 60での括弧つき文書草案に基づき、このレビューを続けることで合意したことを想起した。共同進行役は、締約国に対し、ジェンダーの構成に関する2024年報告書(FCCC/CP/2024/4)、及びジェンダー対応型の気候雄政策、計画、戦略、行動の実施に関する統合報告書(FCCC/CP/2024/5)を考察するよう求めた。
ブラジル、米国、チリ、カナダ、メキシコ、及びWOMEN AND GENDERは、脆弱な要素の相互関係や組み合わせの考察を求めた。たとえば、年齢、人種、障害の有無、性別、ジェンダーの多様性などである。ロシアは、ジェンダーの多様性(gender diversity)など、全ての締約国に受け入れられるとは限らない用語があると指摘した。アフリカングループは、カナダ、メキシコ、その他の支持を得て、「あらゆる多様性における(in all their diversity)」女性及び女子という表現を削除し、「地方コミュニティの(from local communities)」女性及び女子という表現に置き換えることを提案した。
アフリカングループは、次のステップでは実施に注目するべきだと強調し、AOSIS、AILAC、中国、ブラジルと共に、実施手段を組み込む必要があると強調した。AOSIS及びPACIFIC SIDSは、草の根の組織や女性、特に先住民や地方コミュニティの、気候資金へのアクセスを簡易化するよう求めた。
作業プログラムを5年にするか、それとも10年にするかでは、意見が分かれ、米国、YOUNGOs、WOMEN AND GENDERは、5年目に中間レビューを行う10年間の作業プログラムを求めた。オーストラリアは、5年のGAP(ジェンダー行動プログラム)を伴う10年間の作業プログラムを支持し、アフリカングループは、5年の作業プログラムを希望した。
共同進行役らは、追加審議分野として次を挙げた:資金及び実施手段;人権及び多様性の表現;将来の作業プログラムなど、次のステップ。
研究委及び組織観測:SBSTAの非公式協議の共同進行役はPatricia Nyinguro (ケニア)及びFrank McGovern (アイルランド)が務め、決定書草案で言及すべき項目として、次が提案された:
- 2024年11月11日の地球情報デーの成功;
- 適応及び早期警戒システムの重要性;
- 世界気象機関の地球温室ガス監視イニシアティブ(Global Greenhouse Gas Watch initiative);
- IPCCの都市に関する特別報告書作成作業。
観測システム及びデータには少数のギャップがあると指摘された、特に雪氷圏、海洋、アフリカにギャップが見られる。2024年が最も温暖な一年になろうとしていることへの懸念を指摘するかどうかでは意見が分かれた。多数の国は、このステートメントを支持したが、LMDCsは反対し、問題は一つの年ではなく、長期的な傾向であると述べた。多数の参加者は、過去の記録を含めるデータの共有が重要だと強調したが、LMDCsは、データ共有の範囲を明確にするよう求めた。
事務管理上、資金上、制度上の問題:SBIコンタクトグループでは、国連監査官報告書(FCCC/SBI/2024/INF.7 and Add.1)が、提示された。EUは、事務局に対する監査官の次の提案に共鳴した:将来の予算サイクルの主要要素については、相当前に、締約国に情報を提供し、協議し、締約国の懸念に配慮する。 締約国は、この報告書に留意し、資金貢献及び料金の状況 (FCCC/SBI/2024/INF.11)、及び2024年から2025年の2か年における事務局の作業プログラム(FCCC/SBI/2024/INF.9)にも留意することで合意した。
廊下にて
議題書での合意待機に終始した月曜日とは対照的に、会議2日目では、参加者が忙しく廊下を往来し、コーヒーを求めたりしていた。
リーダーズ・サミットに徒歩で向かうものもいたが、アゼルバイジャン大統領は、開会の辞で、ホスト国に対する西側メディアの「誹謗中傷(slander campaign)」を非難、欧州各国は大陸でのエネルギー安全保障の危機の際、アゼルバイジャンの化石燃料資源からの支援を求めたことを想起し、論議を呼ぶ結果となった。
新しい資金目標の交渉でも火花が散り、締約国は、共同議長文書を土台とする交渉を拒否した。オブザーバー組織は、議論の中で登場した「奇妙な同盟(strange allies)」を指摘、たとえばサウジアラビアは、化石の日の表彰を受けることが多いが、気候行動ネットワークのEcoに記載する表現を引用した。
月曜日の無駄な時間を取り戻そうと、夜も、非公式協議が招集され、交渉担当者は、緩和や公正な移行に関する作業プログラムに焦点を当て、一日のうちに2回も会合を開いた。夜になり、疲れ果てて会場を後にした参加者の一人は、「このプロセスでは驚くほど早い段階で(surprisingly quickly for the process)」、多くの議題項目での文書草案の作成が委任されたと、コメントした。