Daily report for 8 June 2026
Bonn Climate Change Conference - June 2026
実施のための補助機関(SBI)及び科学的技術的助言のための補助機関は、ボンで会合を開催、議題書を採択し、気候変動枠組条約(UNFCCC)の第31回締約国会議(COP 31)までに主要議題の進展を図るため、一部の議題をCOP31での議論に回すことで合意した。
開会ステートメント
UNFCCC事務局長のSimon Stiell:会議参加者は、気候行動の推進を献身的に進め、国家間の合意達成に向け努力してきた。コミットメントの再交渉及び化石燃料への依存の問題など、注意すべき点もあるが、2028年の第2回グローバルストックテイク(GST)の結論までに、一層の実施努力を求めたい。UNFCCCプロセスの改革を求める声もあるが、そのスリム化は締約国が決定することだ。このプロセスは交渉が中心だが、グローバルな気候行動の議題に取り組むことで、現実の世界経済に近づくことができる。
COP 31の次期議長Murat Kurum (トルコ):世界全体は、環境と経済の両面で危機に直面しており、化石燃料エネルギー依存のリスクが注目される、エネルギーの移行を緊急に進める必要がある。締約国は、ボンでの会合で主要議題の議論を進め、COP 31での作業量を減らすべきだ。COP 31の議題は科学に基づくものであり、具体的な目標を出せるだろう。
COP 31の交渉担当議長Chris Bowen (オーストラリア):COP 30以後のエネルギー危機は、経済や供給チェーンの混乱を招き、世界の人々を困惑させている。電化やクリーンエネルギーの供給強化で、化石燃料への依存度削減を求める。さらに、締約国に対し、COP 31までに国家決定貢献(NDCs)の最新版を提出するよう求め、小島嶼開発途上国(SIDS)及び後発開発途上国(LDCs)の資金アクセス改善の重要性を強調した。
G-77/中国:衡平性の原則、及び共通するが差異のある責任及びそれぞれの能力の原則の重要性を強調、開発途上国の国情に合わせた意味のある気候行動の重要性も強調した。気候行動は、貧困撲滅及び持続可能な開発と切り離せないと指摘、先進国による気候資金コミットメントの一層の増額を求めた。
欧州連合(EU)気候行動の十全性、及び国際的な気候科学組織の十全性を守るよう求めた。他の関連プロセスとの連携が重要だとし、貿易問題などでの建設的な議論を支持すると表明した。先進国による気候資金の供与額は、3年連続で1千億米ドルの目標を超えたとし、全ての資金源からの資金規模拡大が必要だと強調した。
環境十全性グループ(EIG):1.5℃目標の確保には、温室効果ガスの急速な削減が不可欠だと指摘、気候変動に関する国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見に従い、締約国はそれぞれのNDCsの野心を可能な限り高いものにする義務があると指摘した。さらに化石燃料からの移行に向けたロードマップを自主的に作るよう奨励した。
アンブレラグループ:1.5℃目標を達成可能にしておくため、緩和組織構造の強化を求めた。締約国には、2035年のNDCsを可能な限り早期に提出し、第1回のGSTの結果に沿うべく、可能な限り高い野心を示す目標を設定するよう求めた。科学の果たす役割の重要性を指摘し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に対し、第7次評価報告書を第2回GSTまでに作成するよう求めた。
アフリカングループ:議題項目の中に、損失損害及び国家適応計画が含まれていないことに失望したとし、適応での進展、公正な移行メカニズムの運用開始、パリ協定第9条1項及び7項に従い、先進国による資金の供与及び気候資金の報告を実現するよう求めた。
有志開発途上国(LMDCs):野心の欠如を議論するよう求め、ユニラテラリズムや保護主義などの台頭に警告した。また地球環境ファシリティ(GEF)の直近の資金募集額が16年間で最低になったとして失望感を表明した。UNFCCCでの作業は満場一致ベースの決定であり続けるべきだとし、資金及び貿易に関する議論は、有意義なダイアログになれるようにするべきだとも指摘した。
ブラジル、南アフリカ、インド、中国(BASIC):ユニラテラルな措置により生じる課題を解決するべきだとし、先進国はその歴史的責任に応じる緩和努力を負担するよう促した。資金援助は長年にわたり不適切なレベルのままだとし、気候資金に関する作業プログラムを、第8回パリ協定締約国会議 (CMA 8)の暫定議題に入れるべきだと述べた。
アラブグループ:公式の交渉の場以外で策定されたロードマップは、地域の実態にあっておらず、経済的な安定性を損なうとして、暫定議題に入れることに反対した。科学的な情報源に対する政治的な動きを非難し、1.5℃目標を目指すには、バランスの取れた対応が必要だとし、非規範的、非懲罰的な解決策、地域の実態を考慮した解決策が必要だと強調した。
小島嶼諸国連合(AOSIS):開発途上国及び主要排出国は、第1回GSTの提唱する2030年及び2035年での1.5℃の目標に向け、野心的で信頼性のある形で、世界の先頭に立つべきだとし、この約束の全面的な実現を図り、足りないところは、国際法の義務に合わせ、努力を一層強化するべきだと述べた。
LDCs:気候の影響により、これまでの開発努力が損なわれていることを嘆いた。最近の国連総会におけるICJの勧告的意見への支持に注目し、1.5℃目標達成に向け一層努力するよう促した。ボンでは損失損害を議論する場がないと指摘し、適応指標の実現及び公正な移行の実現が必要だと強調した。
独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)COP 30の閉会プレナリーでの意見の一致は適切でなかったとし、意見発表の扱いも適正でなかったとして、手順上の不備を非難した。パリ協定第9条1項(先進国による資金供与義務)の運用開始、緩和作業プログラムによる本来の目的達成、IPCCの第7次評価報告書(AR7)のタイムリーな発表による第2回GSTへの情報提供などが必要だと強調した。
内陸開発途上国(LLDCs):内陸国には構造的な脆弱性があり、地政学的な緊張関係の高まりで、悪化していると指摘、LLDCsの特別なニーズ及び状況を認識する条約第4条8項を想起し、内陸国の適応面の課題に注目するよう求めた。
GRUPO SUR:適応及び農業のための気候資金を優先する必要があるとし、適応指標の運用開始に向けたガイダンス策定作業のモダリティ、タイムライン、及び構成で合意するよう求めた。
山岳地域パートナーシップ・グループ:全プロセスに、山岳地域の優先課題を統合し、山岳地域に関する作業プログラムを策定するよう求め、山岳地域に関する早期警戒システム及び科学研究の推進を求めた。
熱帯雨林諸国連合(CfRN):強化された透明性枠組のモダリティ、手順、ガイドラインのレビュー開始に注目、パリ協定第6条に関するテクニカル・レビュワーは、締約国の決定を厳密に守るべきだと指摘した。
IPCC:AR7の概要と進捗状況を説明し、都市に関する特別報告書の作成作業は順調に推移していると指摘する一方、深刻な予算上の制約に直面していることを嘆いた。
国際民間航空輸送機関(ICAO):気候関連の目標及びビジョンに注目し、国際航空輸送では、2020年以後、カーボンニュートラルが増加しており、2030年までに二酸化炭素の排出量を5%削減、2050年までにはカーボン排出量を実質ゼロにすると述べた。
世界気象機関、グローバル気候観測システム、世界気候研究プログラム:2026年6月から8月、エルニーニョ現象が発生する確率は80%であるとし、2025年の世界気候現状報告書では、過去11年間連続で最も高い気温が記録され続けていることを示していると指摘した。
地方政府及び地方当局(LGMAs):ベレンで採択された全ての決定書の運用開始を求め、気候資金関係などでは、国内小地域政府の参加も得るべきだと述べた。
RESEARCH AND INDEPENDENT NGOs (RINGO)科学者社会による、研究の必要性と対応策のマッピングを歓迎し、科学者社会は、その専門知識を用いて、適応指標の問題など、UNFCCCプロセスに貢献する用意があると強調した。
TRADE UNION NGOs (TUNGOs):企業は労働者の権利及び人権を侵害する事例が増えていると嘆き、人権問題では、最も先進的であった欧州諸国での退行を指摘した。
WOMEN AND GENDER:権力主義が高まっているとし、合意された表現は守っていく必要があると強調、フェミニストの気候の正義を育てるには、男性やジェンダー的に多様な人々の参加を求める必要があると強調した。
CHILDREN AND YOUTH NGOs (YOUNGO)気候エンパワーメント行動では、世代間の平等及び正義を主唱する、野心的で新規の行動計画の策定を求めた。若者の参画の重要性の認識が高まっているとして歓迎する一方、若者による意思決定への参加の制度化が必要だと強調した。
BUSINESS AND INDUSTRY NGOs (BINGOs):気候資金作業プログラムでは、資本面の障壁について議論するよう提案し、カーボン市場が高度に健全なものになれば、投資家の信頼を高めると強調した。自主的なイニシアティブは重要な役割を果たすと認識する一方、多国間プロセスに根差した進展が必要だと強調した。
GLOBAL CAMPAIGN TO DEMAND CLIMATE JUSTICE (DCJ):供与された全気候資金のアカウンティング、及び化石燃料補助金の透明性を求め、気候危機への対応では、補償、民主的な参加、ジェンダーの正義、人類や惑星を消耗するシステムの解体を求めた。
CLIMATE ACTION NETWORK (CAN):人々は多国間システムの問題解決能力に対する信頼感を失っていると警告し、各国は、化石燃料からの移行を、実質的に進めるべきだと求めた。
FARMERS NGOs:農業に関する今後の作業経路を明確にする必要があるとし、全ての農業従事者が利用できる、アクセス可能で、予見可能な気候資金を提供し、公正な移行に向けた措置をとることで、農村コミュニティが支援を確実に受けられるようにするべきと強調した。
INDIGENOUS PEOPLES ORGANIZATIONS (IPOs):先住民が報復を受ける危険なしに参加する権利の尊重を求め、ビザでの障壁への対応を求めた。さらに、全ての気候行動においては、先住民の有する土地や領土及び資源への権利を保障するべきだとし、締約国に対し、先住民と地方コミュニティを一つのグループとして扱うことはやめるよう促した。
手順上の問題
議題書の採択:締約国は、附属書I締約国の隔年報告書のとりまとめ統合の議題項目、及び非附属書I締約国の国別報告書に記載する情報に関する議題項目を保留にした上で、SBIの暫定議題書(FCCC/SBI/2026/3)を採択した。さらに、SBSTAの暫定議題書(FCCC/SBSTA/2026/4)も採択した。
作業構成:次に関するコンタクトグループが招集された:
- 非市場アプローチに関するグラスゴー委員会;
- 公正な移行作業プログラム;
- 対応措置;
- 政府間会合のアレンジ;
- 事務管理上、資金上、制度上の問題。
次に関する非公式協議が招集された:
- 非市場アプローチ(パリ協定第6条8項)枠組の作業プログラムのレビュー;
- 研究及び組織観測;
- 気候変動の影響、脆弱性、適応に関するナイロビ作業プログラム;
- GHGデータ・インターフェース;
- 国際航空輸送及び海上輸送で使用される燃料からの排出量;
- 他の国際機関との協力;
- 適応世界目標;
- 緩和作業プログラム;
- 農業;
- 技術執行委員会及び気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の合同年次報告書;
- 非附属書Iの条約上の報告書作成に対するサポート;
- 開発途上国によるパリ協定での報告書作成に対するサポート;
- 適応委員会へのガイダンス;
- 後発開発途上国;
- 気候技術センターのホスト国;
- 技術メカニズムと資金メカニズムのリンク;
- パリ協定実施支援のため技術メカニズムに供与される支援の効果性及び適切性の第2回定期評価;
- 適応基金問題、SBI議長は、この項目に関する代表団長会議も招集する;
- キャパシティビルディング;
- 気候エンパワーメント行動;
- パリ協定第6条2項規定の協力的アプローチ。
適応委員会の進捗状況、効果性、実績のレビューの審議は、SB 65に回された。SB議長らは、この問題での進展を妨げている問題について話し合うため、SB 64で代表団長会議を招集する。ウクライナは、不法に占拠されている領土のデータが(ロシアの国家GHGインベントリ・データに)含まれていることを非難した。SBIは、国家GHGインベントリ・データ報告書の審議を、SBI 65まで延期することで合意した。
SBIは、次の議題項目の審議延期でも合意した:
- CTCNのレビュー・プロセスと技術メカニズムの定期評価プロセスの調整を、SBI 68まで延期;
- 技術移転に関するポズナニ戦略プログラムを、SBI 65まで延期;
- 資金常任委員会の機能の第2回レビューを、SBI 65まで延期。
アフリカングループは、一連の貿易ダイアログでの議論をまとめた報告書を、2028年に予定されるハイレベル・イベントに提出するという、CMA 7からのマンデートに関し、SB議長らの対応への疑念を表明、議長らに対し、ダイアログの各会の成果を捕捉する手順について、SB 64で締約国と協議するよう求めた。
交渉及び義務化イベント
影響、脆弱性、適応に関する作業プログラム(NWP):SBSTAの非公式協議では、Lina Yassin (スーダン)及びLuke Millar (オーストラリア)が共同進行役を務めた。事務局は、NWP活動の実施における進捗状況、及び2026-2027年度のNWP作業計画を提示した。
AILACは、作業計画を支持すると表明、優先項目として次の3項目を挙げた:各国固有のニーズに合わせた知識製品;リマ適応知識イニシアティブの拡大継続;知識面のギャップを特定するプロセスの設置。多数の締約国は、研究、キャパシティビルディング、知識の醸成を強化する方法として、大学とのパートナーシップ・プログラムを歓迎した。
非附属書I締約国の隔年更新報告書の技術分析に関するサマリー報告書:SBIは、公表されたサマリー報告書に留意した。
気候資金作業プログラム:締約国間のワークショップで、この作業プログラムの共同議長であるApollonia Miola (欧州委員会)及びYolando Velasco (フィリピン)は、作業プログラムのスコープ及びモダリティに関する意見発表を招請した。COP 30議長職のLiliam Chagasは、議論を指導し、作業プログラムの成功を確実にする用意があると述べた。
作業プログラムのスコープに関し、G-77/中国は、共同議長作成の作業計画を拒否、これを議論の土台とすることに反対し、パリ協定第9条1項による資金援助の強化が、この作業プログラムの主眼であると強調、資金フロー報告書の透明性及び補足性などの問題も指摘した。
EU、スイス、カナダ、日本、その他の先進国は、作業プログラムのスコープは、気候資金であり、これには第9条(資金)全体の観点における第9条1項が含まれると強調、このため、気候資金の義務を満たすものとして、気候資金に関する新規集団資金目標の実施を、焦点とするよう提案した。スイスは、資金貢献者の基本ベースを議論すること、及び民間の行動者の参画を求めた。ノルウェーは、気候目標に合わせた投資額の規模拡大方法、及びこれを可能にする環境や能力の議論を提案した。
LDCsは、資金の質、特にグラント(無償融資)の割合、適応資金と緩和資金のバランスも議論するよう提案した。アラブグループは、先進国間の負担分担のアレンジを議論するよう提案した。LMDCsは、資金フローの質及び予見可能性に注目した。AOSISは、資金の供与及び資金アクセスを強化するための実務計画を求めた。
モダリティに関し、AILAC、アラブグループ、LMDCs、その他は、この作業プログラムはCMAが設置したものであり、CMA 8で議論する、CMA議題項目であり続けるべきだと述べた。AILACは、締約国の意見をまとめた統合報告書を作成し、これをCMA 8での審議にかけるよう提案した。アラブグループは、CMA 8に向けたロードマップの作成を提案した。スイス、ノルウェー、カナダ、その他は、作業プログラムはCMA 7で立ち上げられたと指摘、共同議長の指名及び意見書の提出が開始されているとし、SB 64での実質的な審議開始を促した。
廊下にて
「最初の障害はクリアした」と、ある参加者は、この2026年6月気候会議の開会を受けて、宣告した。この言葉は、補助機関の議題書の採択が円滑に進んだことへの皆の安心感を代弁している。これまでの会議とは異なり、締約国は、速やかに実質的な交渉に入ることができた。この日の朝、会議場に到着した時よりも、楽観的な見方をするものもおり、ある参加者は、「あらゆる問題にも関わらず、多国間主義はまだ機能しているようだ」と評した。
より慎重な評価をするものもおり、締約国は「砂の上に多様な線を引いている」と評する者もいた。各グループの開会ステートメントからは、化石燃料からの移行に関する見方の多様性が明らかにされ、緩和野心及び実施の強化の議論もどう展開するか予測できない。気候資金に関する新しい作業プログラムのスコープでは、締約国の期待感の違いが明らかになった。
事務局長のSimon Stiellは、ほぼ全ての項目で意見対立のある各国から合意を得ることは簡単ではないと認め、締約国に対し、パリ協定の実現に向け、より前向きに、より早く進むよう命じた。