Daily report for 11 June 2026
Bonn Climate Change Conference - June 2026
木曜日、多数の交渉会議で予定時間を超えた議論が続いた。特に適応基金及び緩和作業プログラムの交渉では、会議の進め方の議論に多くの時間を費やした。
緩和
緩和作業プログラム(MWP): SB非公式協議では、Ursula Fuentes Hutfilter (ドイツ)及びMaesela John Kekana (南アフリカ)が共同進行役を務め、MWPの将来について議論した。
日本は、MWPの2つの重要な機能を指摘した:国家決定貢献(NDCs)の実施をサポートする;国際社会に対し、野心的な緩和行動をとるべきとの強力なメッセージを発信する。日本は、MWPがこれらの機能を果たせるようにすることを促した。ウクライナは、MWP専用の組織の設置を支持した。韓国及び小島嶼国連合(AOSIS)は、グローバルストックテイク (GST)との運用上のリンクの強化を支持した。
グローバル・ダイアログ及び投資中心のイベントの改善策として、次が提案された:トピックを、多年度またはテーマ別にする;学習事項及び行動可能な解決策の議論に特化した場を設ける;事務局は事例研究をし、開発途上国でのプロジェクト開発を助ける;機会、障壁、課題の議論では、バランスを確保する。
作業構成に関する議事進行の問題が提起されたことから、共同進行役らは、次回の協議に先立ち、協議の構成、及び協議の指針となる質問を通知する予定。
パリ協定第6条2項(二国間の協力的アプローチ)の実施における、資金調達、インフラ、プロセス、キャパシティビルディングのアレンジ: SBI非公式協議で、共同進行役のPacifica F. Achieng Ogola (ケニア)及びPeer Stiansen (ノルウェー)は、非公式ノートに関するコメントの発表を招請した。
後発開発途上国(LDCs)は、利用ベースの料金や利用料は協力的アプローチへの参加に不可欠なキャパシティビルディング活動には相応しくないと発言、そのような料金の徴収は、メインテナンス・コストに充当する場合に限ることとし、しかも、小島嶼開発途上国(SIDS)及びLDCsは免除を要請できる場合にのみ、検討するべきだと指摘した。アフリカングループ及びLDCsは、締約国の国際レジストリの利用については、料金を徴収するべきでないと述べた。アフリカングループは、民間の組織に対してはそのような料金の支払いを要求する可能性があると示唆したが、有志開発途上国(LMDCs)は反対した。英国は、料金の徴収は必ずしも参加障壁を成すとは限らないとし、締約国が料金を支払う場合でも、そのコストを締約国が負担するとは限らないと指摘した。
ニュージーランドは、第6条2項はオーダーメードの資金アレンジを要求していないとし、この非公式ノートに、第6条2項の資金アレンジは条約の通常の予算設定プロセスに従うとの記述を入れるよう求めた。欧州連合(EU)は、第6条2項が最終的には料金徴収で、自己資金で運用される制度になることを希望した。アフリカングループは、特にインフラ及びキャパシティビルディングの資金では、基幹及び補足予算による資金調達オプションとすることを支持し、さらに料金徴収分を充当するのは運営費のみとすることを支持した。
適応
適応世界目標(GGA): SBSTA非公式協議で、共同進行役のPeter Gerard Wittoeck (ベルギー)及びRicardo Delano Marshall (バルバドス)は、次に関する意見発表を招請した:バクー適応ロードマップ(BAR)の第1段階の優先策;適応指標に関するテクニカル・タスクフォースのマンデート、公正、モダリティ、及び期待される成果。
G-77/中国は、BARはパリ協定第9条1項(先進国による資金供与コミットメント)に則り、適応実施サポートのため、予測可能でアクセス可能な資金へのアクセスを確保するべきだと強調した。カナダ、日本、英国、EUは、これに異論を唱え、適応資金は、既に他の議題項目の下、及び他の構成機関で取り上げられていると指摘した。
タスクフォースのマンデートに関し、GRUPO SUR、環境十全性グループ(EIG)、EU、カナダ、ロシアは、59件の指標を改善するため、メタデータ及び手法論を開発するべきだと述べた。
タスクフォースの構成に関し、G-77/中国は、締約国主導であるべきだと強調した。GRUPO SURは、開発途上国と先進国のバランスをとるよう求めた。ブラジルは、締約国と専門家の混成を求めた。コンゴ民主共和国は、地理的に公平な代表とし、関連部門の専門家及び最前線のコミュニティの専門家の参加を求めた。EUは、国連機関からの16名のメンバーで構成することとし、ジェンダーのバランスを確保するよう提案した。EIG及び独立中南米カリビアン諸国連合(AILAC)は、GGA枠組及び指標作業プログラムに慣れている専門家を入れるべきだと述べた。
モダリティに関し、AOSIS及びアフリカングループは、政策アラインメント及びメタデータと手法論に関するワークストリームの設置を提案した。GRUPO SURは、ハイブリッド方式での定期会合の開催を提案した。カナダは、バーチャルモダリティを優先し、既存の資源を活用して、テクニカルな成果をタイムリーに出すよう提案した。
タスクフォースの期待される成果に関し、GRUPO SURは、報告書の作成を提案、その中に、締約国が、応用可能性、確実性、一貫性の検証試験を行った指標を記載するよう求めた。ニュージーランドは、タスクフォースは各国に適した成果の実現をサポートするべきだと述べた。
適応報告書に対するガイダンス: SBI非公式協議で、共同進行役のMarie Wien Fjell (ノルウェー)は、文書草案への意見発表を招請した。
アラブグループ及びLMDCsは、適応報告書作成の改善方法では、多様な組織が推奨案の議論を行っていると記載するパラグラフに関し、関連性の結論を出すのは時期尚早だとして、このパラグラフの削除を要請した。アラブグループは、LMDCs及び日本の支持を得て、適応報告書のガイダンスの状況調査に関するタイムラインに焦点を当てて議論するよう求めた。
アラブグループは、事務局による、ガイダンスの利用経験に関する締約国の提出文書をまとめた統合報告書の作成を希望、さらに、この統合報告書をSBI 70(2029年6月)の審議にかけ、結論書草案をCMA 11 (2029年11月)の審議にかけることを希望した。
日本は、提案された多様なタイムラインを検討する意思があると表明する一方で、EU及び英国とともに、適応報告書ガイダンスの改定は、強化された透明性枠組のモダリティ、手順、ガイドライン(MPGs)のレビュー終了後に行うべきだと述べた。LMDCs及びアフリカングループは、適応報告書はMPGレビュープロセスと結び付けられるべきではないと強調した。
共同進行役らは、文書草案を改訂する予定。
後発開発途上国(LDCs): SBI非公式協議で、共同進行役のRik den Hoedt (オランダ)は、SBI結論書草案、及びCOP決定書草案、並びにCMA結論書草案に関する意見発表を招請した。
SBI結論書に関し、EU及び英国は、LDC専門家グループ(LEG)の2026-2027年度作業プログラムを「歓迎する」、及び国別適応計画(NAPs)を2030年までに設定するとのLDCsのビジョンを「歓迎する」ことを支持した。アラブグループは、「歓迎する」ではなく、「留意する」ことを希望した。
決定書草案に関し、EU及び日本は、NAPの実施に対する資金支援の供与及び資金へのアクセスが重要であるとするパラグラフの削除を要請、この議題項目で議論するのは適切でないと強調した。
LDCsの問題は、COPの議題項目であると指摘した、アラブグループ及びLMDCsは、CMA決定書草案に対する懸念を表明し、事務局に対し、法的な明確化を求めた。ノルウェーは、決定書26/CMA.7に記載するSBI 64のマンデートは、LDCs問題に関する決定書草案を作成し、CMA 8の審議にかけることだったと指摘した。アラブグループは、次の記述の追加を求めた:ユニラテラルな貿易措置がLDCsに与える影響、パリ協定第9条1項に規定する先進国の資金面の義務。
資金
適応基金: SBI非公式協議で、共同進行役のKoosje Beumer-van der Loo (オランダ)は、適応基金をパリ協定のミニ役割を果たすものに移行するため、SBI 63で作成されたCMP及びCMAの決定書草案に関する意見発表を招請した。
G-77/中国は、この文書をSBI 議長に送るよう提案した。スイス、EU、英国、カナダ、ノルウェーは、移行アレンジの一環として、理事会のメンバーシップの問題を議論する必要があると、再度述べた。アラブグループ及びウガンダは、「移行を人質にとるべきではない」と反対した。スイスは、移行に必要な要素の全てで合意できていないことは、全体的な失敗であるとし、テクニカルなレベルでの解決に向け、希望を表明した。
アラブグループ及びアフリカングループは、メンバーシップの議論の前に、最初のステップとして、収入の一部(SOPs)の貨幣価値化をアレンジする必要があると強調した。南アフリカは、SOPsが貨幣価値化されて初めて、移行が有効となるのであり、時間がかかると指摘した。
スイスは、理事会の構成変更の提案がSB 62で取り下げられたことを想起し、理事会メンバーシップの問題は、貨幣価値化された時に、決着すると述べた。スイスは、現在の提案は次のとおりであると指摘した:現在の附属書I締約国と非附属書I締約国から2名ずつから、先進国及び開発途上国から2名筒に変更;他のメンバーの人数及び割合は変更なし;先進国かそれとも開発途上国かにより予断が加えられることはない。
共同進行役らは、この議題項目で議論する他の問題に関する意見発表を招請した。G-77/中国は、適応基金の第5回レビューは移行後に行うことを支持した。
アラブグループは、手順規則草案の規則34項(議事進行)を発動、移行アレンジに関する意見の一致があるかどうか、共同進行役の判断を求めた。共同進行役は、SBI 63での作業に基づく議論がこの問題に関する決定書草案に予断を加えるわけではないとするCMP及びCMAの指摘を想起した。アラブグループは、SBI議長は、開会時のスピーチで、この議題項目で議論されるべき3件のマンデートを指摘したとし、満場一致で賛成を得た文書が回されない理由を質問した。英国及びノルウェーは、移行アレンジに関する文書自体の改定案は出ていないが、メンバーシップ文書なしで、移行アレンジ文書を回すことでは、意見の一致がないと指摘した。
法律顧問は、次を指摘した:厳密にいえば、手順規則草案は、プレナリーで適用されるもので、コンタクトグループ及び非公式協議での議論の指針になる;満場の意見の一致がある場合にのみ、その文書は回される;疑問があれば、SBI議長などの選出役員と相談するべきだ。
共同進行役は、今後の進め方について、SBI議長と協議する。
その他の問題
公正な移行作業プログラム(JTWP):SBコンタクトグループ共同議長のJoseph Teo (シンガポール)は、公正な移行メカニズムの運用開始に関する意見発表も招請した。
原則に関し、インドは、開発の権利及び貧困撲滅を強調した。EIGは、世代間の平等に焦点を当てた。EUは、労働者の権利及びジェンダーの平等に言及した。
目的に関し、インド、中国、クウェートは、公正な移行について、広く理解を得ることを支持し、緩和中心であってはならないと強調した。EU及び英国は、1.5℃目標に沿うべきであり、第1回のGSTに根差すべきだと述べた。
メカニズムの活動に関しては、知識の共有、国際協力、技術支援に焦点があてられた。英国は、次を提案した:毎年のイベント開催;化石燃料からの移行など、関連する報告書の作成;ツールキット及び他の知識製品。EUは、3か年の作業計画を提案した。
メカニズムの形式では意見が大きく分かれた。WOMEN AND GENDERは、メカニズムは構成組織であるべきだとし、環境NGOs (ENGOs)とともに、資金問題を議論するべきだと述べた。インドは、このメカニズムは実施手段をサポートするべきだと述べ、ナイジェリアは、気候資金の規模拡大、新規で予見可能な資金を求めた。英国は、新しい構成組織や資金メカニズムの創設に反対した。カナダは、このメカニズムは資金源追加の道筋にはならないと述べた。事務局のマッピングは既存の制度及び活動が広範にわたることを示していると強調したEUは、制度が少ないことではなく、細分化していることが課題だと述べた。
パリ協定の実施を支援するため、技術メカニズムに提供されるサポートの効果性及び適切性に関する第2回定期評価: SBI非公式協議で、共同進行役のStephen Minas (キプロス)は、SBI結論書草案に関するコメントを求めた。締約国は、作業構成について議論し、G-77/中国は、技術の議題項目全体での進捗を図るため非公式な非公式協議の開催を提案した。
結局、結論書草案に関するパラグラフごとにコメントすることで合意した。G-77/中国は、序文の文章の追加を提案し、少数のCMA決定書を想起した。チリは、技術的なニーズに関する統合報告書の更新を要請するよう提案した。事務局に対し、第2回定期評価に関する中間報告書の作成を要請し、これをSBI 66 (2027年6月)の審議にかける件についても議論した。
共同進行役は、この項目を議論する追加会合のスケジュールに関し、SBI議長と協議する予定。
キャパシティビルディング: SBI非公式協議で、共同進行役のAbze Djigma (ブルキナファソ)は、次に関する意見発表を招請した:条約の下での開発途上国でのキャパシティビルディング枠組の実施に対する第5回レビューについてのCOP決定書草案;条約及び京都議定書の下でのキャパシティビルディングに関するSBI結論書草案。
第5回レビューに関する議論では、キャパシティビルディング枠組の効果改善方法を考え、第6回レビューに情報を提供するため、ワークショップを開催するというG-77/中国の提案に焦点があてられた。
SBI結論書草案について、キルギスタンは、特に脆弱な開発途上国における能力のギャップ及びニーズの記述では、LDCs及びSIDSに加え、山岳国にも言及するよう求めた。
研究と組織観測: SBSTA非公式協議で、共同進行役のPatricia Nying’uro (ケニア)は、SB 64でのこれまでの議論を記載する非公式ノートに関し、意見発表を招請した。
EU及び英国は、エルニーニョ現象の懸念を表明する文章を支持したが、サウジアラビアは、この削除を求めた。EUは、情報の十全性(information integrity)及び誤報への対応策という新しい表現も提案した。サウジアラビアは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に対し、最新情報の定期的な共有を求める文章の削除を提案したが、英国は反対した。AOSISは、1.5℃のオーバーシュートの規模及び期間を制限するとの文案を提案し、LDCsの支持を得たが、インドは反対した。
転換点(tipping points)に関する文章でも意見対立があり、EU及び英国は、この概念では多様な見方があるとの言及の削除を求めたが、インド及びサウジアラビアは、この表現の保持を希望した。インドは、不可逆的な変化への言及の削除を提案したが、 EU及び英国は反対した。
政府間会合のアレンジ: SBIコンタクトグループで、共同進行役のFelix Wertli (スイス)及びKaveh Guilanpour (ジョージア)は、UNFCCCプロセスの効率改善方法に関する意見発表を招請した。
AILACは、このプロセスに関し、外部の専門家のレビューを提案した。AOSISは、地域気候ウィークを効果あるものにするよう促した。EUは、義務化イベントをまとめて開催し、一部は、会合期間外にバーチャルで行うことを提案した。中国は、義務化イベントの期間、費用対効果、意図した成果をあげられたかどうかなどを、レビューするよう求めた。
日本は、決定する前に予算への影響を議論する必要があるとし、EIGとともに、多年度手法を議論するよう提案した。アフリカングループは、文書やコンセプトノートをタイムリーに公表するよう求めた。
EIGは次を提案した:COPs参加者の人数に上限を設ける;会合前のバーチャル協議;議題項目を既存のマンデートの範囲内で整理する。南アフリカは、議題の整理縮小、及び議題の恣意的な削除に反対し、気候資金作業プログラムに関する議題項目を提案、さらに会合ごとの義務化イベントの数をバランスのとれた形で制限するよう提案した。中国は、議題項目の統合に警鐘を鳴らした。
他の国際機関との協力: SBSTA非公式協議で、共同進行役のSara Victoria González (ドミニカ共和国)及びHeloïse van Houten (オランダ)は、これまでの議論の概要を紹介、さらなる意見発表を招請した。
EUは、キャパシティビルディング、透明性、先住民に関する問題での技術的な協力を提案した。アラブグループは、開発途上国における資金、及びユニラテラルな貿易措置の影響に関する協力を提案した。
ジンバブエ及びコロンビアは、合同リエイゾン・グループ(JLG)の強化を求めた。モンゴルは、JLGへの利害関係者の参画推奨を提案した。ガーナは、JLGでの情報共有サイドイベントの開催を提案した。
アラブグループ、ガーナ、ロシアは、手順上の結論書の採択を支持した。ガーナは、国際機関はそれぞれ異なる義務や政策のサイクル、報告要請があり、政策の一致は国内では可能だが国際的には難しいと強調した。
共同進行役は結論書草案を作成する予定。
グローバルストックテイク(GST)の成果実施に関するダイアログ:この義務化イベントの第2日では、GSTの成果実施を可能にする、主要な要素に焦点があてられた。次の要素が指摘された:
- 労働者及びその権利を守る、公正な移行;
- 技術、キャパシティビルディング、グラントベースの公共資金;
- 若者主導及び女性主導のイニシアティブ及びプロジェクトへのサポート、これには専用及び簡素化された資金窓口も含める;
- 先住民とその権利に関するセーフガード、及び効果ある保護;
- 他の知識保有者の科学及び知識を気候行動に取り入れる;
- 国際協力、及びユニラテラルな貿易措置の排除;
- 知識共有イニシアティブの強化;
- 炭素価格の保持策などによる、グローバルな炭素市場の健全性の確保;
- GSTとUNFCCC構成機関の作業プログラムとのリンク強化;
- メタン排出量削減の行動を加速化。
廊下にて
ライン川付近は、季節外れの寒さとなり、それに呼応するかのように、多数の交渉会議の雰囲気も、「冷たい」ものになった。
特に公正な移行メカニズムの運用開始に関する議論では、大きな意見対立が登場。このメカニズムを新たな資金のチャンネルにするとの提案に対し、先進国は強固に反対。この会議の後に出てきたオブザーバーの一人は、「空は限りなくあると考えるものもいるようだが、低い雲が立ち込めていると考えるものもいる」と形容した。
新しい集団の資金数量目標の交渉は、「いつもどおり」の展開となったが、これは喜ばしいものではなかった。あるオブザーバーは、「ステートメントの中には、10頁に及ぶものもあった」と明かし、気候資金の議論に5時間もつきあって、頭がくらくらすると述べていた。
ある参加者は、少数の議題項目では、議論の進め方について、SBI議長などからの提案が必要だとの声があると指摘し、「この空気を洗い流すには、にわか雨が必要だ」と示唆した。